無限グラフ(infinite graph)とは、頂点が無限個あるグラフであり、頂点の次数がすべて有限のものを局所有限という。無限連結グラフは次数が無限の頂点をもつか半無限道を含み、局所有限なら任意の頂点から始まる半無限道を含む(König の無限補題による)。任意の連結グラフは Zorn の補題により全域木をもち、可算グラフの彩色は有限部分グラフの彩色から無限補題で組み立てられる。互いに交わらない有限集合 $U,W$ に対して $U$ のすべてと隣接し $W$ のどれとも隣接しない頂点がとれる Rado グラフは、すべての可算グラフを誘導部分グラフとして含む。
グラフ の記事の定義では、頂点の集合 $V$ は有限とは限らない。頂点が無限個あるグラフが無限グラフである。整数を順に結んだ両側に無限に続く道、平面の格子、すべての有限の 0-1 列を頂点とする二分木などが典型的な例である。
有限グラフでの定理の多くは、無限グラフではそのままでは成り立たない。木 の記事の命題「木の三つの基本性質」のうち、2 頂点を結ぶ道の一意性は無限の木でも成り立つが、葉の存在は成り立たなくなり、辺の本数の公式は意味を失う。両側に無限に続く道は葉を 1 つももたない。その一方で、有限の場合にない現象として、終わりなく続く道(半無限道)が現れる。
この記事では、無限連結グラフには次数が無限の頂点か半無限道があること(thm-ig-ray-or-star)、任意の連結グラフが全域木をもつこと(thm-ig-spanning-tree)を証明し、König の無限補題による彩色の議論と、すべての可算グラフを誘導部分グラフとして含む Rado グラフ(thm-ig-rado-universal)を扱う。
グラフ の記事の定義のグラフ $G=(V,E)$ で、$V$ が無限集合であるものを 無限グラフ(infinite graph)という。頂点 $v$ の隣接点の集合 $N(v)$ の濃度を $v$ の次数という(有限とは限らない)。すべての頂点の次数が有限であるとき、$G$ は 局所有限(locally finite)であるという。$V$ が可算集合であるとき、$G$ は可算であるという。
相異なる頂点 $x_0,x_1,x_2,\dots$ と辺 $x_0x_1,x_1x_2,x_2x_3,\dots$ からなるグラフを 半無限道(ray)という。相異なる頂点 $x_n$($n\in\mathbb Z$)と辺 $x_nx_{n+1}$($n\in\mathbb Z$)からなるグラフを 両側無限道(double ray)という。グラフ $G$ が半無限道と同型な部分グラフをもつとき、$G$ は半無限道を含むという。
有限の道・閉路と同じく、半無限道 $x_0x_1x_2\cdots$ と書く。半無限道から最初の有限個の頂点を除いた $x_nx_{n+1}\cdots$ もまた半無限道である。
無限連結グラフが無限であることは、遠くへ続く道(長さ)として現れるか、無限に多くの隣接点をもつ頂点(幅)として現れる。そのどちらかは必ず起こる。鍵になるのは次の補題である。
$V_0,V_1,V_2,\dots$ を互いに交わらない空でない有限集合の列とし、$G$ をそれらの和集合を頂点集合とするグラフとする。$n\ge1$ について、$V_n$ のどの頂点も $V_{n-1}$ のある頂点と隣接するとする。このとき $G$ は、$v_n\in V_n$($n=0,1,2,\dots$)となる半無限道 $v_0v_1v_2\cdots$ を含む。
$n\ge1$ と $v\in V_n$ について、$v$ と隣接する $V_{n-1}$ の頂点を 1 つ選んで $p(v)$ とする(各 $V_n$ の元に番号を付けておき、番号の最小のものをとる。後の $v_{n+1}$ も同じく番号の最小のものをとる。頂点に初めから番号があれば(たとえば可算グラフ)選択は要らないが、一般には可算個の有限集合に番号を付けるところで選択公理の弱い形を使う)。$m\ge n$、$u\in V_m$、$v\in V_n$ について、$p$ を $m-n$ 回施して $u$ から $v$ に着くとき、$u$ を $v$ の子孫という($u=v$ も含める)。$V_m$ の各頂点は、各 $n\le m$ について $V_n$ のちょうど 1 つの頂点の子孫である。
$V_0$ の頂点の子孫を全部合わせると、すべての頂点になる。頂点は無限個あり($V_n$ はどれも空でない)、$V_0$ は有限なので、子孫が無限に多い $v_0\in V_0$ がある。$v_n\in V_n$ の子孫が無限に多いとする。$v_n$ 以外の $v_n$ の子孫は、$p(w)=v_n$ となる $w\in V_{n+1}$ のどれかの子孫である。そのような $w$ は有限個なので、子孫が無限に多い $w$ があり、それを $v_{n+1}$ とする。$v_{n+1}$ と $v_n=p(v_{n+1})$ は隣接し、$V_n$ が互いに交わらないので $v_0,v_1,\dots$ は相異なる。よって $v_0v_1v_2\cdots$ は半無限道である。$\square$
$V_n$ を根付き木の第 $n$ 層、$p(v)$ を $v$ の親とみれば、この補題は コンパクト性定理(命題論理) の記事の定理「König の補題」(有限分岐の無限の木は無限の枝をもつ)と同じ内容である。そこでは命題論理のコンパクト性定理から導かれている。
無限連結グラフ $G$ は、次数が無限の頂点をもつか、半無限道を含む。とくに、局所有限な無限連結グラフは、任意の頂点から始まる半無限道を含む。
$G$ が局所有限であるとし、頂点 $v_0$ を 1 つ固定する。$n\ge0$ について、$v_0$ からの距離(距離(グラフ))が $n$ の頂点の集合を $V_n$ とする。$G$ は連結なので、すべての頂点はどれかの $V_n$ に属する。
$V_0=\{v_0\}$ は有限であり、$V_{n+1}$ の頂点は $V_n$ のある頂点と隣接する($v_0$ への最短の道の上で 1 つ手前の頂点)。よって $V_{n+1}$ は $V_n$ の頂点の隣接点の集合の和に含まれ、局所有限性から、$V_n$ が有限なら $V_{n+1}$ も有限である。帰納法ですべての $V_n$ は有限である。
ある $N$ で $V_N=\emptyset$ なら、距離が $N$ 以上の頂点は、$v_0$ への最短の道の上に距離 $N$ の頂点をもつので存在せず、$G$ の頂点は $V_0\cup\cdots\cup V_{N-1}$ に含まれ有限個になって仮定に反する。よってすべての $V_n$ は空でない。
lem-ig-infinity-lemma により、$v_n\in V_n$ となる半無限道 $v_0v_1v_2\cdots$ がある。$v_0$ は任意だったので、最後の主張も従う。$\square$
この定理は Die25 Proposition 8.2.1(p. 237)で、そこでも無限補題(Lemma 8.1.2、p. 233)から導かれている。結論の 2 つの可能性はどちらも起こる。整数の道は局所有限で半無限道を含み、無限の星は半無限道を含まず次数が無限の頂点をもつ(ex-ig-basic の 1・3)。
木 の記事の定義「木」(連結で閉路をもたない有限グラフ)から有限の仮定を除き、無限グラフでも連結で閉路をもたないものを木という。木の 2 頂点を結ぶ道がただ 1 つであることの証明は有限性を使わないので、無限の木でも成り立つ。
空でない木 $T$ のすべての頂点の次数が $2$ 以上ならば、$T$ は任意の頂点から始まる半無限道を含み、両側無限道を含む。とくに $T$ は無限グラフである。
後戻りのない歩道は道.$T$ の歩道 $x_0x_1x_2\cdots$(有限でも無限でもよい)で、すべての $i\ge1$ について $x_{i+1}\ne x_{i-1}$ となるものの頂点は相異なる。$x_i=x_j$($i< j$)となる組のうち $j-i$ が最小のものをとると、$x_i,\dots,x_{j-1}$ は相異なる。$j-i=1$ はループ、$j-i=2$ は $x_{i+2}=x_i$ で後戻りになるので、$j-i\ge3$ であり、$x_ix_{i+1}\cdots x_j$ は閉路になって $T$ が閉路をもたないことに反する。
半無限道.頂点 $x_0$ と隣接点 $x_1$ を選ぶ。$x_n$ まで決めたら、$x_n$ の次数が $2$ 以上なので $x_{n-1}$ 以外の隣接点 $x_{n+1}$ を選ぶ。こうしてできる歩道は後戻りがないので、$x_0x_1x_2\cdots$ は半無限道である。
両側無限道.辺 $x_0x_1$ をとり、$x_1$ から $x_0$ を通らない側へ、$x_0$ から $x_1$ を通らない側へ、同じ手順で後戻りなしに延ばす($x_0$ の側を $x_{-1},x_{-2},\dots$ とする)。両側をつないだ $\cdots x_{-1}x_0x_1\cdots$ も後戻りがないので頂点は相異なり、両側無限道である。$\square$
有限の木では 2 頂点以上なら葉が 2 つ以上あった(木 の記事の命題「木の三つの基本性質」の 2)。この命題から、次数が $2$ 以上の頂点しかもたない空でない木は無限の木に限られる。両側無限道と二分木(ex-ig-basic の 4)はそのような木の例である。
すべての連結グラフ $G$ は全域木(頂点集合が $V(G)$ である木で、$G$ の部分グラフであるもの)をもつ。
$E(G)$ の部分集合 $F$ で、グラフ $(V(G),F)$ が閉路をもたないもの全体を $\mathcal P$ とし、包含関係で順序を入れる。$\emptyset\in\mathcal P$ なので空でない。
鎖の上界.$\mathcal C\subset\mathcal P$ を空でない鎖とし、$F^{*}:=\bigcup\mathcal C$ とする。$(V(G),F^{*})$ が閉路 $C$ をもったとする。$C$ の辺は有限個で、それぞれ $\mathcal C$ のどれかの元に属する。それら有限個の元は鎖をなすので最大のもの $F$ があり、$C$ の辺はすべて $F$ に属する。これは $F\in\mathcal P$ に反する。よって $F^{*}\in\mathcal P$ で、$F^{*}$ は $\mathcal C$ の上界である。Zornの補題 の記事の定理「鎖の上界から得られる極大元」により、$\mathcal P$ は極大元 $F$ をもつ。
極大なら連結.$T:=(V(G),F)$ が連結でなかったとする。$T$ の連結成分 $C$ を 1 つとると $\emptyset\ne V(C)\ne V(G)$ である。$G$ は連結なので、連結グラフ の記事の命題「切断による判定」により、$u\in V(C)$、$v\notin V(C)$ となる辺 $uv\in E(G)$ がある。$uv\notin F$ である。$F\cup\{uv\}$ に閉路があれば、その閉路は $uv$ を通るので、閉路から $uv$ を除いた $T$ の道が $v$ と $u$ を結び、$u,v$ が $T$ の異なる連結成分にあることに反する。よって $F\cup\{uv\}\in\mathcal P$ となり、$F$ の極大性に反する。したがって $T$ は連結で閉路をもたない、すなわち全域木である。$\square$
$G$ が可算なら、辺を $e_1,e_2,\dots$ と並べ、閉路ができない限り順に加えていけば、Zorn の補題なしに全域木が得られる(各段で、それまでに選んだ辺に $e_n$ を加えると閉路ができる場合は加えない。鎖の上界と同じ議論で閉路はできず、極大性と同じ議論で連結になる)。Die25 Proposition 8.1.1(pp. 230–232)は、極大な木をとる Zorn の補題による証明と、超限帰納法による証明を与えている。有限グラフの場合は 全域木 の記事の定理「全域木の存在」である。
コンパクト性定理(一階論理) の記事の命題「de Bruijn–Erdős の定理」は、正の整数 $k$ について、グラフ $G$ の有限個の頂点が誘導する部分グラフがすべて $k$ 色で彩色可能なら、$G$ も $k$ 色で彩色可能であることを、非可算の場合も含めて一階論理のコンパクト性定理から導いている。$G$ が可算なら、lem-ig-infinity-lemma から直接示せる。
頂点を $u_0,u_1,u_2,\dots$ と並べ、$G_n$ を $\{u_0,\dots,u_n\}$ が誘導する部分グラフとする。$V_n$ を、$G_n$ の頂点彩色で色を $\{1,\dots,k\}$ からとるもの(写像 $\{u_0,\dots,u_n\}\to\{1,\dots,k\}$)の集合とする。仮定から $V_n$ は空でなく、写像の個数は $k^{n+1}$ 以下なので有限である。$c\in V_n$($n\ge1$)と、その $\{u_0,\dots,u_{n-1}\}$ への制限 $c'\in V_{n-1}$ を辺で結ぶ。$G_{n-1}$ は $G_n$ の誘導部分グラフなので $c'$ は確かに $G_{n-1}$ の彩色である。lem-ig-infinity-lemma により半無限道 $c_0c_1c_2\cdots$($c_n\in V_n$)がある。$c_n$ は $c_{n+1}$ の制限なので、$c(u_n):=c_n(u_n)$ と定めると、すべての $m\ge n$ で $c_m(u_n)=c(u_n)$ である。$G$ の辺 $u_iu_j$ について $m=\max\{i,j\}$ とすれば $c(u_i)=c_m(u_i)\ne c_m(u_j)=c(u_j)$ なので、$c$ は $G$ の $k$ 色の頂点彩色である。$\square$
これは Die25 Theorem 8.1.3 の第 1 証明(p. 233)と同じ方針である。Die25 pp. 233–234 は、非可算の場合も含む証明をさらに 2 つ与えている。たとえば、平面に描けるグラフの有限部分グラフは平面に描けるので、四色定理 と合わせると、頂点が無限個の平面グラフも 4 色で塗れる(コンパクト性定理(一階論理) の記事の例「無限平面グラフの 4 彩色」)。
有限グラフの世界にはない現象として、すべての可算グラフを一度に含む 1 つの可算グラフが存在する。
グラフ $G$ が 拡大性をもつとは、$V(G)$ の互いに交わらない任意の有限部分集合 $U,W$ について、$U\cup W$ に属さない頂点 $v$ で、$U$ のすべての頂点と隣接し、$W$ のどの頂点とも隣接しないものが存在することをいう。
$\mathbb N=\{0,1,2,\dots\}$ を頂点集合とし、$i< j$ のとき、$j$ を 2 進法で $j=\sum_kb_k2^k$($b_k\in\{0,1\}$)と表して $b_i=1$ ならば $i$ と $j$ を結んだグラフを Rado グラフ といい、$R$ と書く。
拡大性は 有限モデル理論 の記事の定義「拡大公理」の公理 $\chi_{k,l}$($k+l\ge1$)をすべて満たすことと同じである($U=W=\emptyset$ の場合は頂点が 1 つ以上あることを要求する)。拡大性をもつグラフは無限である。有限なら $U=V(G)$、$W=\emptyset$ について $U\cup W$ の外に頂点がないからである。
Rado グラフ $R$ は拡大性をもつ。
$U,W\subset\mathbb N$ を互いに交わらない有限集合とし、$U\cup W$ のどの元よりも大きい $m\in\mathbb N$ をとる($U\cup W=\emptyset$ なら $m=0$)。$v:=2^m+\sum_{u\in U}2^u$ とおく。$v\ge2^m>m$ なので $v$ は $U\cup W$ のどの元よりも大きく、$U\cup W$ に属さない。$v$ の 2 進法の第 $i$ 桁が $1$ であるのは $i\in U$ または $i=m$ のときちょうどである。$u\in U$ は $u< v$ で第 $u$ 桁が $1$ なので $v$ と隣接する。$w\in W$ は $w< v$ で $w\notin U$、$w\ne m$ だから第 $w$ 桁が $0$ なので $v$ と隣接しない。$\square$
$R'$ を拡大性をもつグラフとする。すべての可算グラフ(有限でもよい)$G$ は、$R'$ のある誘導部分グラフと同型である。とくにすべての可算グラフは Rado グラフ $R$ の誘導部分グラフと同型である。
$G$ の頂点を $g_0,g_1,g_2,\dots$ と並べる。単射 $\varphi$ を $g_0,g_1,\dots$ の順に定義する。$g_0,\dots,g_{n-1}$ の像まで決まったとき、
$$
U:=\{\varphi(g_i)\mid i< n,\ g_ig_n\in E(G)\},\qquad W:=\{\varphi(g_i)\mid i< n,\ g_ig_n\notin E(G)\}
$$
とおく。$\varphi$ はそれまで単射なので $U$ と $W$ は交わらない有限集合で、$U\cup W$ はそれまでの像全体である。拡大性により、$U\cup W$ の外の頂点で $U$ のすべてと隣接し $W$ のどれとも隣接しないものがあるので、その 1 つを $\varphi(g_n)$ とする($R'$ の頂点が可算なら、番号最小のものをとればよい)。
$\varphi(g_n)$ はそれまでの像と異なるので $\varphi$ は単射である。$i< n$ について、$g_ig_n\in E(G)$ なら $\varphi(g_i)\in U$ で $\varphi(g_n)$ と隣接し、$g_ig_n\notin E(G)$ なら $\varphi(g_i)\in W$ で隣接しない。よって $\varphi$ は $G$ から、像が誘導する $R'$ の部分グラフへの同型である。$\square$
拡大性をもつ可算グラフは、どの 2 つも同型である(有限モデル理論 の記事の補題「ランダムグラフの理論の性質」の 2、Die25 Theorem 8.3.1、pp. 246–247)。この記事では証明しないが、証明は thm-ig-rado-universal の議論を両側から交互に行う往復論法である。したがって、拡大性をもつ可算グラフはどれも $R$ と同型である。各頂点の対を独立に確率 $\frac12$ で辺にした可算無限のランダムグラフは確率 $1$ で拡大性をもつ(この記事では証明しない)ので、$R$ は可算ランダムグラフともよばれる(Die25 p. 247)。
拡大性をもつグラフ $R'$ の頂点集合を 2 つの集合 $V_1,V_2$ に分けると、$V_1$ と $V_2$ の少なくとも一方が誘導する部分グラフは拡大性をもつ。とくに、$R$ の頂点集合を 2 つに分けると、一方は $R$ と同型なグラフを誘導する。
どちらも拡大性をもたないとすると、$V_1$ の中に拡大性の要求を満たさない組 $U_1,W_1$ が、$V_2$ の中に組 $U_2,W_2$ がある。$U:=U_1\cup U_2$、$W:=W_1\cup W_2$ は互いに交わらない有限集合なので、$R'$ の拡大性から、$U\cup W$ の外の頂点 $v$ で $U$ のすべてと隣接し $W$ のどれとも隣接しないものがある。$v\in V_1$ なら $v$ は $U_1\cup W_1$ の外にあって $U_1$ のすべてと隣接し $W_1$ のどれとも隣接せず、$U_1,W_1$ の選び方に反する。$v\in V_2$ でも同様である。後半は、拡大性をもつ可算グラフが $R$ と同型であることから従う(拡大性をもつ部分は無限で、$R$ の部分なので可算である)。$\square$
この命題は Die25 Proposition 8.3.2(p. 247)の前半である。
半無限道 $Q_1,Q_2$ が同値であるとは、有限個の頂点からなる任意の集合 $S$ について、$Q_1$ と $Q_2$ の両方が $G-S$ の同じ連結成分の中に、最初の有限個の頂点を除いた部分(尾)をもつことをいう。この同値類を $G$ のエンド(end)という。Die25 pp. 235–236 によれば、両側に無限に続く梯子のエンドは 2 つ、二分木のエンドは無限の 0-1 列と 1 対 1 に対応して連続体濃度個ある。エンドは、グラフを位相空間とみたときに半無限道が収束していく「無限遠の点」として扱われる(Die25 §8.6)。この記事では証明しない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 木 の命題「木の三つの基本性質」の、頂点が有限個であること | 両側無限道 | 2 頂点以上の木は葉を 2 つ以上もつ |
| thm-ig-ray-or-star の連結性 | 辺の可算個の非交和(ex-ig-basic の 5) | 次数が無限の頂点か半無限道がある |
| thm-ig-ray-or-star の後半の局所有限性 | 無限の星(ex-ig-basic の 3) | 半無限道を含む |
| lem-ig-infinity-lemma の、$V_n$ が有限であること | 下の確かめの 4 行目のグラフ($V_n$ が無限集合) | $v_n\in V_n$ となる半無限道がある |
| コンパクト性定理(一階論理) の命題「de Bruijn–Erdős の定理」の、色の数 $k$ が正の整数であること | 非可算個の頂点をもつ完全グラフ | 有限部分グラフが $k$ 色で塗れるなら全体も($k=\aleph_0$) |
1 行目.両側無限道は連結で閉路をもたず(後戻りのない歩道なので頂点が相異なる)、木であり、すべての頂点の次数が $2$ なので葉がない。
2・3 行目.ex-ig-basic の 5・3 で確かめた。2 行目のグラフの次数はすべて $1$ である。
4 行目.$V_0:=\{r\}$、$n\ge1$ について $V_n:=\{(m,n)\mid m\ge n\}$ とし、$(m,1)$ と $r$、$(m,n)$ と $(m,n-1)$($2\le n\le m$)を結ぶ。$(m,n)$($n\ge1$)は $V_{n-1}$ の頂点($n=1$ なら $r$、$n\ge2$ なら $(m,n-1)$)と隣接する。$V_n$ は空でないが無限集合である。$v_n\in V_n$ となる半無限道があれば、$v_1=(m,1)$ として、$(m,n)$ の隣接点は、$(m,n-1)$($n=1$ なら $r$)と、$n< m$ なら $(m,n+1)$ だけなので $v_n=(m,n)$ が帰納的に従い、$v_{m+1}\in V_{m+1}$ が $(m,m+1)$ になるが、これは頂点でない。
5 行目.非可算集合 $V$ 上の完全グラフでは、隣接する頂点の色が違うので、彩色は単射でなければならず、可算個の色では塗れない。有限部分グラフは有限個の頂点の完全グラフなので、有限個の色、とくに可算個の色で塗れる。
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