九点円(nine-point circle)とは、三角形の 3 辺の中点、3 頂点から向かい合う辺に下ろした垂線の足、垂心と 3 頂点を結ぶ線分の中点の 9 点をすべて通る円である。中心は外心 $O$ と垂心 $H$ を結ぶ線分の中点 $N$ で、半径は外接円の半径 $R$ の半分である。外心を原点にとると $\vec h=\vec a+\vec b+\vec c$ から中心は $\frac{\vec a+\vec b+\vec c}2$ となり、垂線の足は「直径に対する円周角は直角」によって円に乗る。九点円は外接円を、重心を中心とする比 $-\frac12$ の相似拡大で移しても、垂心を中心とする比 $\frac12$ の相似拡大で移しても得られる。中心 $N$ は Euler 線の上にあり、$OG:GN:NH=2:1:3$ である。
前提知識: Euler線, 三角形の垂心, 円周角の定理(高校数学), 位置ベクトルと内分点
三角形 $ABC$ の垂心を $H$ とする。次の 3 種類、合わせて 9 個の点を考える。
$A(5,12)$、$B(0,0)$、$C(14,0)$ とする。外心は $O\bigl(7,\frac{33}8\bigr)$、外接円の半径は $R=\frac{65}8$、垂心は $H\bigl(5,\frac{15}4\bigr)$ である(三角形の五心)。$N$ を $OH$ の中点とすると $N=\bigl(6,\frac{63}{16}\bigr)$ である。
ex-npc-first の三角形で、$B$ から直線 $CA$ への足 $D_b$ を求める。直線 $CA$ の点は $\vec c+t(\vec a-\vec c)=(14-9t,\ 12t)$ と書ける。$\overrightarrow{BD_b}\perp\overrightarrow{CA}$ から
$$
(14-9t)\cdot(-9)+12t\cdot12=0,\qquad -126+81t+144t=0,\qquad t=\frac{126}{225}=\frac{14}{25}
$$
で、$D_b=\bigl(14-\frac{126}{25},\ \frac{168}{25}\bigr)=\bigl(\frac{224}{25},\frac{168}{25}\bigr)$ である。同じく直線 $AB$ の点 $(5s,12s)$ で $\overrightarrow{CD_c}\perp\overrightarrow{AB}$ とすると、$(5s-14)\cdot5+12s\cdot12=0$ から $s=\frac{70}{169}$、$D_c=\bigl(\frac{350}{169},\frac{840}{169}\bigr)$ である。
3 辺 13, 14, 15 の三角形の九点円(紫)。緑の四角は辺の中点 $M_a,M_b,M_c$、青の三角は垂線の足 $D_a,D_b,D_c$、赤の丸は垂心 $H$ と頂点を結ぶ線分の中点 $E_a,E_b,E_c$。九点円の中心 $N$ は外心 $O$ と垂心 $H$ の中点で、Euler 線(破線)の上にあることを見る図。灰色の円は外接円。
図1 の九点円は、外接円のちょうど半分の大きさに見える。次の問いが出てくる。
| 高校の計算 | この記事での見方 | ボックス |
|---|---|---|
| 中点連結定理で中点三角形を作る | 重心を中心とする比 $-\frac12$ の相似拡大で外接円が九点円に移る | thm-npc-main |
| $AH$ の中点をとる | 垂心を中心とする比 $\frac12$ の相似拡大で外接円が九点円に移る | thm-npc-main |
| 直径に対する円周角は直角 | $(\vec x-\vec p)\cdot(\vec x-\vec q)=0$ は直径 $PQ$ の円 | lem-npc-diameter |
| 外心を原点にとると $\vec h=\vec a+\vec b+\vec c$ | 中心 $\vec n=\frac{\vec a+\vec b+\vec c}2$、半径 $\frac R2$ | thm-npc-main |
三角形 $ABC$ の垂心を $H$ とする。
垂線の足が円に乗ることを示すために、「直径に対する円周角は直角」をベクトルで書いた形を用意する。
異なる 2 点 $P,Q$ に対し、線分 $PQ$ の中点を $K$ とする。平面のどの点 $X$ についても
$$
(\vec x-\vec p)\cdot(\vec x-\vec q)=|\vec x-\vec k|^2-\frac{|\vec p-\vec q|^2}4
$$
が成り立つ。とくに、$(\vec x-\vec p)\cdot(\vec x-\vec q)=0$ であることと、$X$ が $PQ$ を直径とする円(中心 $K$、半径 $\frac12PQ$)の上にあることは同値である。
方針:$\vec x-\vec p$ と $\vec x-\vec q$ を、中点からのずれ $\vec u=\vec x-\vec k$ と半分の差 $\vec w=\frac{\vec q-\vec p}2$ で書き、和と差の積の公式を使う。
段 1。$\vec k=\frac{\vec p+\vec q}2$ なので、$\vec p=\vec k-\vec w$、$\vec q=\vec k+\vec w$ である。よって $\vec x-\vec p=\vec u+\vec w$、$\vec x-\vec q=\vec u-\vec w$ である。
段 2。内積の分配法則で展開すると、$\vec u\cdot\vec w$ と $-\vec w\cdot\vec u$ が打ち消し合い
$$
(\vec u+\vec w)\cdot(\vec u-\vec w)=|\vec u|^2-|\vec w|^2
$$
となる。$|\vec u|^2=|\vec x-\vec k|^2$、$|\vec w|^2=\frac{|\vec q-\vec p|^2}4$ なので、等式が成り立つ。
段 3。左辺が $0$ であることは $|\vec x-\vec k|^2=\frac{|\vec p-\vec q|^2}4$、つまり $XK=\frac12PQ$ と同値である。$\square$
$X\ne P$、$X\ne Q$ のとき、$(\vec x-\vec p)\cdot(\vec x-\vec q)=0$ は $\angle PXQ=90^\circ$ を意味する。したがってこの補題は、「$PQ$ を直径とする円の上の点から $P,Q$ を見ると直角」とその逆(円周角の定理(高校数学))をまとめた形である。$X=P$ や $X=Q$ でも式は成り立ち、$P,Q$ 自身も円の上にある。
$P(0,0)$、$Q(4,0)$ とすると、中心 $K(2,0)$、半径 $2$ の円である。
三角形 $ABC$ の外心を $O$、外接円の半径を $R$、垂心を $H$ とし、線分 $OH$ の中点を $N$ とする。このとき def-npc-points の 9 点 $M_a,M_b,M_c,D_a,D_b,D_c,E_a,E_b,E_c$ は、すべて中心 $N$・半径 $\frac R2$ の円の上にある。さらに、線分 $E_aM_a$、$E_bM_b$、$E_cM_c$ はこの円の直径である。
この円を三角形 $ABC$ の 九点円 といい、$N$ を 九点円の中心 という。
方針:外心 $O$ を原点にとると $\vec h=\vec a+\vec b+\vec c$ なので、中点と Euler 点は $N$ からの距離がすぐ計算できる。垂線の足は、$E_aM_a$ が直径であることと lem-npc-diameter で円に乗せる。
段 1(準備)。$O$ を原点にとる。$|\vec a|=|\vec b|=|\vec c|=R$ で、三角形の垂心(Euler線 でも示した)により $\vec h=\vec a+\vec b+\vec c$ である。$N$ は $OH$ の中点なので $\vec n=\frac{\vec h}2=\frac{\vec a+\vec b+\vec c}2$ である。
段 2(辺の中点)。$\vec m_a=\frac{\vec b+\vec c}2$ なので
$$
\vec m_a-\vec n=\frac{\vec b+\vec c}2-\frac{\vec a+\vec b+\vec c}2=-\frac{\vec a}2
$$
で、$NM_a=\frac{|\vec a|}2=\frac R2$ である。文字を入れかえて $NM_b=NM_c=\frac R2$ である。
段 3(Euler 点)。$\vec e_a=\frac{\vec a+\vec h}2$ なので
$$
\vec e_a-\vec n=\frac{\vec a+\vec h}2-\frac{\vec h}2=\frac{\vec a}2
$$
で、$NE_a=\frac R2$ である。同じく $NE_b=NE_c=\frac R2$ である。
段 4(直径)。段 2・段 3 から $\vec e_a-\vec n=-(\vec m_a-\vec n)$ なので、$N$ は線分 $E_aM_a$ の中点である。$E_a$ と $M_a$ はどちらも中心 $N$・半径 $\frac R2$ の円(これを $\Gamma_N$ と書く)の上にあるので、$E_aM_a$ は $\Gamma_N$ の直径である。$E_aM_a=|\vec a|=R>0$ なので $E_a\ne M_a$ である。$E_bM_b$、$E_cM_c$ も同じである。
段 5(垂線の足)。$A$ からの垂線を $\ell_A$ とする。$H$ は $\ell_A$ の上にあり $A$ も $\ell_A$ の上にあるので、その中点 $E_a$ も $\ell_A$ の上にある。$D_a$ は $\ell_A$ と直線 $BC$ の交点である。したがって $\vec d_a-\vec e_a$ は $\ell_A$ の向きのベクトル(または $\vec0$)であり、$M_a$ も $D_a$ も直線 $BC$ の上にあるので $\vec d_a-\vec m_a$ は $BC$ の向きのベクトル(または $\vec0$)である。$\ell_A\perp BC$ なので
$$
(\vec d_a-\vec e_a)\cdot(\vec d_a-\vec m_a)=0
$$
である。lem-npc-diameter により、$D_a$ は $E_aM_a$ を直径とする円、つまり段 4 の $\Gamma_N$ の上にある。$D_b$、$D_c$ も同じである。$\square$
ex-npc-first の三角形で、$N=\bigl(6,\frac{63}{16}\bigr)$、$\bigl(\frac R2\bigr)^2=\frac{4225}{256}$ である。
| 点 | 座標 | $N$ からのずれ | 距離の 2 乗 |
|---|---|---|---|
| $M_b$ | $\bigl(\frac{19}2,6\bigr)$ | $\bigl(\frac72,\frac{33}{16}\bigr)$ | $\frac{3136+1089}{256}=\frac{4225}{256}$ |
| $M_c$ | $\bigl(\frac52,6\bigr)$ | $\bigl(-\frac72,\frac{33}{16}\bigr)$ | $\frac{4225}{256}$ |
| $E_b$ | $\bigl(\frac52,\frac{15}8\bigr)$ | $\bigl(-\frac72,-\frac{33}{16}\bigr)$ | $\frac{4225}{256}$ |
| $E_c$ | $\bigl(\frac{19}2,\frac{15}8\bigr)$ | $\bigl(\frac72,-\frac{33}{16}\bigr)$ | $\frac{4225}{256}$ |
| $D_b$ | $\bigl(\frac{224}{25},\frac{168}{25}\bigr)$ | $\bigl(\frac{74}{25},\frac{1113}{400}\bigr)$ | $\frac{1184^2+1113^2}{400^2}=\frac{2640625}{160000}=\frac{4225}{256}$ |
| $D_c$ | $\bigl(\frac{350}{169},\frac{840}{169}\bigr)$ | $\bigl(-\frac{664}{169},\frac{2793}{2704}\bigr)$ | $\frac{4225}{256}$ |
$E_b$ と $M_b$ の $N$ からのずれは符号が反対で、$E_bM_b$ が直径であることが見える($E_c$ と $M_c$ も同じ)。
外接円と九点円の関係は、Euler線 で使った相似拡大で見ると見通しがよい。
三角形 $ABC$ の外接円を $\Gamma$、九点円を $\Gamma_N$、重心を $G$ とする。
方針:相似拡大は中心 $C$・半径 $r$ の円を、中心 $C$ の像・半径 $|k|r$ の円に移す(Euler線 の「相似拡大の性質」)。中心 $O$ の像が $N$ になることを確かめればよい。外心 $O$ を原点にとり、$\vec h=\vec a+\vec b+\vec c$、$\vec g=\frac{\vec h}3$、$\vec n=\frac{\vec h}2$ を使う。
段 1(1)。$\varphi_{G,-1/2}$ による $O$ の像は $\vec g-\frac12(\vec0-\vec g)=\frac32\vec g=\frac{\vec h}2=\vec n$ で、半径は $\frac12R$ である。よって $\Gamma$ の像は $\Gamma_N$ である。$A$ が $M_a$ に移ることは Euler線 で示した。
段 2(2)。$\varphi_{H,1/2}$ による $O$ の像は $\vec h+\frac12(\vec0-\vec h)=\frac{\vec h}2=\vec n$ で、半径は $\frac12R$ である。$A$ の像は $\vec h+\frac12(\vec a-\vec h)=\frac{\vec a+\vec h}2=\vec e_a$ である。
段 3(3 の前半)。$\varphi_{H,2}$ は $\varphi_{H,1/2}$ の逆の変換なので、段 2 から $\Gamma_N$ を $\Gamma$ に移す。$D_a$ と $M_a$ は $\Gamma_N$ の上にある(thm-npc-main)ので、その像 $\vec h+2(\vec d_a-\vec h)=2\vec d_a-\vec h$ と $2\vec m_a-\vec h$ は $\Gamma$ の上にある。
段 4(折り返し)。$H$ は $A$ からの垂線の上にあり、この垂線は直線 $BC$ と $D_a$ で垂直に交わる。したがって $H$ を直線 $BC$ について折り返した点は、$D_a$ について $H$ と点対称な点、つまり $2\vec d_a-\vec h$ である。
段 5($A^*$)。$2\vec m_a-\vec h=(\vec b+\vec c)-(\vec a+\vec b+\vec c)=-\vec a$ で、原点 $O$ について $A$ と対称な点 $A^*$ である。$\square$
prop-npc-two-homotheties の 3 は、「$M_a$ は $H$ と $A^*$ を結ぶ線分の中点である」と言いかえられる。$AA^*$ は外接円の直径である。
外接円(灰色)が 2 通りの相似拡大で九点円(紫)に移る様子。緑の破線の矢印は重心 $G$ を中心とする比 $-\frac12$ の相似拡大(頂点 → 辺の中点)、赤の矢印は垂心 $H$ を中心とする比 $\frac12$ の相似拡大(頂点 → $AH$ などの中点)を表す図。
ex-npc-first の三角形で、$O\bigl(7,\frac{33}8\bigr)$、$R^2=\frac{4225}{64}$、$H\bigl(5,\frac{15}4\bigr)$、$D_a(5,0)$、$M_a(7,0)$ である。
三角形が正三角形でないとき、九点円の中心 $N$ は Euler 線の上にあり、4 点は $O,G,N,H$ の順に並んで
$$
OG:GN:NH=2:1:3
$$
である。正三角形では $O=G=N=H$ である。
方針:外心 $O$ を原点にとると、4 点の位置ベクトルはすべて $\vec h$ の実数倍になる。
段 1。$\vec o=\vec0$、$\vec g=\frac13\vec h$、$\vec n=\frac12\vec h$、$\vec h=1\cdot\vec h$ である(Euler線)。
段 2。正三角形でなければ $\vec h\ne\vec0$ である(三角形の五心)。4 点は原点を通り向き $\vec h$ の直線の上にあり、係数 $0<\frac13<\frac12<1$ の順に並ぶ。間隔は $\frac13$、$\frac12-\frac13=\frac16$、$1-\frac12=\frac12$ で、比は $\frac13:\frac16:\frac12=2:1:3$ である。
段 3。正三角形では $\vec h=\vec0$ なので 4 点はすべて原点 $O$ に一致する。$\square$
ex-npc-first の三角形で、$O\bigl(7,\frac{33}8\bigr)$、$G\bigl(\frac{19}3,4\bigr)$、$N\bigl(6,\frac{63}{16}\bigr)$、$H\bigl(5,\frac{15}4\bigr)$ である。$x$ 座標は $7,\ \frac{19}3,\ 6,\ 5$ と減っていき、差は $\frac23,\ \frac13,\ 1$ で、比は $2:1:3$ である。$y$ 座標の差も $\frac18,\ \frac1{16},\ \frac3{16}$ で、同じく $2:1:3$ である。
九点円は、中点三角形 $M_aM_bM_c$ の外接円であり(Euler線 の「中点三角形の心」)、三角形 $E_aE_bE_c$ の外接円でもある。3 つの垂線の足が一直線上にない(直角三角形でない)ときは、三角形 $D_aD_bD_c$(垂足三角形)の外接円でもある。括弧の言いかえの理由は次のとおりである。3 つの足は九点円の上にあり、円と直線の共通の点は 2 個以下なので、3 つが互いに異なれば一直線上にない。$D_b$ は直線 $CA$、$D_c$ は直線 $AB$ の上にあるので、$D_b=D_c$ となるのは 2 つとも $A$ のとき、つまり $\angle A=90^\circ$ のときに限る(ex-npc-right)。$D_c=D_a$、$D_a=D_b$ も同じで、それぞれ $\angle B=90^\circ$、$\angle C=90^\circ$ のときに限る。よって、直角三角形でなければ 3 つの足は一直線上になく、直角三角形では 2 つの足が直角の頂点で重なって三角形ができない。
| 変えたこと・外した仮定 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| 垂心 $H$ を別の点に替える | $PA$ などの中点が辺の中点と同じ円に乗る | ex-npc-other-point |
| 直角三角形 | 9 点がすべて異なる | ex-npc-right |
| 正三角形 | 9 点がすべて異なる | ex-npc-equilateral |
| 鈍角三角形($H$ が外部) | 崩れない(9 点は同じ円の上) | ex-npc-obtuse |
点 $P$ と頂点を結ぶ線分の中点は、prop-npc-two-homotheties の 2 と同じ理由で、$\Gamma$ を $\varphi_{P,1/2}$ で移した円(中心 $\frac{O+P}2$、半径 $\frac R2$)の上にある。この円が $\Gamma_N$ と一致するのは、中心が一致する $\frac{O+P}2=\frac{O+H}2$、つまり $P=H$ のときに限る。
ex-npc-first の三角形で $P=G\bigl(\frac{19}3,4\bigr)$ とすると、$GA$ の中点は $\bigl(\frac{17}3,8\bigr)$ で、$N$ からのずれ $\bigl(-\frac13,\frac{65}{16}\bigr)$ の長さの 2 乗は $\frac19+\frac{4225}{256}$ となり、$\frac{4225}{256}$ より大きい。この点は九点円の上にない。変えたこと:垂心を重心に替えた。崩れる主張:3 つの中点が辺の中点と同じ円に乗ること。
$A(0,0)$、$B(4,0)$、$C(0,3)$ とする。$\angle A=90^\circ$ で、$H=A$、$O=M_a=\bigl(2,\frac32\bigr)$、$R=\frac52$、$N=\bigl(1,\frac34\bigr)$ である。
$A(0,\sqrt3)$、$B(-1,0)$、$C(1,0)$ では、$O=H=N=\bigl(0,\frac{\sqrt3}3\bigr)$、$R=\frac2{\sqrt3}$ である。垂線は中線でもあるので、垂線の足は辺の中点と一致する($D_a=M_a$ など)。Euler 点は $E_a=\bigl(0,\frac{2\sqrt3}3\bigr)$、$E_b=\bigl(-\frac12,\frac{\sqrt3}6\bigr)$、$E_c=\bigl(\frac12,\frac{\sqrt3}6\bigr)$ で、異なる点は 6 つである。九点円は中心 $N$・半径 $\frac1{\sqrt3}$ の円で、内接円(中心 $N$、半径 $r=\frac{\sqrt3}3=\frac1{\sqrt3}$)と一致する。
$A(1,2)$、$B(0,0)$、$C(6,0)$($\angle A$ が鈍角)では、$O\bigl(3,-\frac14\bigr)$、$H\bigl(1,\frac52\bigr)$、$R^2=\frac{145}{16}$ で、$N=\bigl(2,\frac98\bigr)$、$\bigl(\frac R2\bigr)^2=\frac{145}{64}$ である。
左は鈍角三角形 $A(1,2)$、$B(0,0)$、$C(6,0)$ の九点円で、垂心 $H$ が外にあっても 9 点が 1 つの円に乗ることを見る。右は直角三角形 $A(0,0)$、$B(4,0)$、$C(0,3)$ の九点円で、9 点が 5 点に重なることを見る図(記号は図1 と同じ)。
三角形の垂心 で見たように、垂心 $H$ が頂点と異なるとき、4 点 $A,B,C,H$ のどれも残りの 3 点でできる三角形の垂心になっている(垂心系)。九点円は、この 4 つの三角形に共通である。
三角形 $ABC$ の垂心 $H$ が $A,B,C$ のどれとも異なるとする。このとき 4 つの三角形 $ABC$、$HBC$、$HCA$、$HAB$ の九点円はすべて同じ円である。したがって、4 つの三角形の外接円の半径はすべて等しい。
方針:三角形 $HBC$ の九点円が $M_a,M_b,M_c$ を通ることを示す。一直線上にない 3 点を通る円はただ 1 つなので、それは三角形 $ABC$ の九点円と一致する。
段 1($HBC$ の垂心)。三角形の垂心 の垂心系の命題により、三角形 $HBC$ の垂心は $A$ である。
段 2($HBC$ の九点円が通る点)。三角形 $HBC$ の九点円は、その辺の中点と、その垂心 $A$ と頂点を結ぶ線分の中点を通る(thm-npc-main を三角形 $HBC$ に使う)。
ex-npc-first の三角形で、$H\bigl(5,\frac{15}4\bigr)$、$B(0,0)$、$C(14,0)$ の三角形の外心を求める。$BC$ の垂直二等分線 $x=7$ の上に $(7,q)$ をとり、$49+q^2=4+\bigl(q-\frac{15}4\bigr)^2=q^2-\frac{15}2q+\frac{289}{16}$ から $\frac{15}2q=\frac{289}{16}-49=-\frac{495}{16}$、$q=-\frac{33}8$ である。外心は $\bigl(7,-\frac{33}8\bigr)$ で、半径の 2 乗は $49+\frac{1089}{64}=\frac{4225}{64}=R^2$ である。三角形 $HBC$ の外接円は、三角形 $ABC$ の外接円を直線 $BC$ について折り返した円になっている。
九点円には、内接円と 3 つの傍接円のすべてに接するという性質がある(Feuerbach の定理。Feuerbachの定理、CG67 §5.6)。本記事では証明しないが、数で確かめられる。
ex-npc-first の三角形では、九点円は中心 $N\bigl(6,\frac{63}{16}\bigr)$・半径 $\rho=\frac{65}{16}$ である。内心は $I(6,4)$、内接円の半径は $r=4$、傍心は $I_A(8,-12)$、$r_a=12$ である(三角形の内心と傍心)。
prop-npc-two-homotheties により、九点円は外接円を $\varphi_{G,-1/2}$ で移しても、$\varphi_{H,1/2}$ で移しても得られる。2 つの相似拡大を続けた $\varphi_{H,2}\circ\varphi_{G,-1/2}$ は比 $\bigl(-\frac12\bigr)\cdot2=-1$ の相似拡大、つまり点対称であり、外心 $O$ を原点にとると $\vec x\mapsto-\vec x$ である(prop-npc-two-homotheties の段 5 と同じ計算)。外接円は $O$ に関して点対称な図形なので、この合成で自分自身に移る。
このように、「ある図形を相似拡大の群で動かした像の集まり」を考えると、別々に見えた点(辺の中点、$AH$ の中点、外接円の上の $A^*$ や $H$ の折り返し)が、1 つの円とその像の関係としてまとまる。相似拡大と平行移動の合成が群をなすことは Euler線 の「大学数学で見る」で示した。平面の円の全体を、相似変換や反転で移り合うものとして調べるのが、Möbius 幾何などの大学の幾何学である(円に関する反転、相似変換と相似の中心)。
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