1の分割(partition of unity)とは、位相空間上の $[0,1]$ 値の連続関数の族 $(\rho_\alpha)$ で、台の族が局所有限であり、各点で $\sum_\alpha\rho_\alpha=1$ となるもののことであり、開被覆 $(U_\alpha)$ に対し $\operatorname{supp}\rho_\alpha\subset U_\alpha$ となるものを従属する 1 の分割という。Hausdorff かつ第 2 可算な滑らかな多様体では、任意の開被覆に従属する $C^\infty$ 級の 1 の分割が存在し、局所的に作った関数や計量を重み付きの和で貼り合わせられる。滑らかな Urysohn の補題、滑らかな関数の延長、リーマン計量の存在はその応用である。実解析的な関数や正則関数では、一致の定理のため、従属する 1 の分割は一般には存在しない。
多様体の上で何かを作るとき、局所座標の中でなら簡単に作れるが、それを全体でつなぎ合わせるのが難しいことが多い。たとえば各局所座標の中では Euclid 空間の内積を使えば接ベクトルの長さが測れるが、局所座標ごとに長さが食い違う。1 の分割(partition of unity)は、各点で和が $1$ になる非負の関数の族であって、それぞれの関数が 1 つの開集合の中でしか $0$ でない値をとらないものである。局所的に作ったものにこれらの関数を重みとしてかけて足し合わせると、食い違いを滑らかに平均した大域的な対象が得られる。リーマン計量の存在、微分形式の積分、滑らかな関数の延長などはすべてこの方法による。
以下、$X$ を位相空間とする。関数 $\rho\colon X\to\mathbb{R}$ の台を $\operatorname{supp}\rho:=\overline{\{x\in X\mid\rho(x)\neq0\}}$ で定める。$X$ の部分集合の族 $(S_\alpha)_{\alpha\in A}$ が局所有限であるとは、各点 $x\in X$ に、有限個の $\alpha$ を除いて $S_\alpha$ と交わらない近傍があることをいう(パラコンパクト空間の記事の定義「パラコンパクト空間」)。
位相空間 $X$ 上の連続関数の族 $(\rho_\alpha\colon X\to[0,1])_{\alpha\in A}$ が 1 の分割であるとは、次の 2 条件をみたすことをいう。
(R1) 台の族 $(\operatorname{supp}\rho_\alpha)_{\alpha\in A}$ は局所有限である。
(R2) 各 $x\in X$ で $\sum_{\alpha\in A}\rho_\alpha(x)=1$ である。
条件 (i) により、各点の近傍では有限個の $\rho_\alpha$ を除いて恒等的に $0$ なので、条件 (ii) の和は各点で有限和である。$X$ の開被覆 $(U_\alpha)_{\alpha\in A}$ に対し、同じ添字集合の 1 の分割で、すべての $\alpha$ について $\operatorname{supp}\rho_\alpha\subset U_\alpha$ となるものを、$(U_\alpha)$ に従属する 1 の分割という。$X=M$ が滑らかな多様体(可微分多様体)で、すべての $\rho_\alpha$ が $C^\infty$ 級のとき、滑らかな 1 の分割という。
連続な 1 の分割の存在はパラコンパクト空間の記事の定理「1 の分割の存在」が扱い、そこでは各台が被覆のどれかの成員に含まれることを「従属する」と呼んでいる。Nic20 Definition 1.2.10 も、1 の分割の添字集合 $B$ と写像 $\phi\colon B\to A$ で $\operatorname{supp}f_\beta\subset U_{\phi(\beta)}$ となるものを考える。次の補題により、この 2 つの流儀の違いは問題にならない。
$M$ を滑らかな多様体、$(U_\alpha)_{\alpha\in A}$ を開被覆、$(\sigma_\beta)_{\beta\in B}$ を滑らかな 1 の分割、$\phi\colon B\to A$ を $\operatorname{supp}\sigma_\beta\subset U_{\phi(\beta)}$ をみたす写像とする。$\rho_\alpha:=\sum_{\phi(\beta)=\alpha}\sigma_\beta$ とおくと、$(\rho_\alpha)_{\alpha\in A}$ は $(U_\alpha)$ に従属する滑らかな 1 の分割である。
要点:局所有限な族では、和をとっても滑らかさと局所有限性が保たれ、合併の閉包は閉包の合併に等しい。
各点 $x$ にはその近傍 $W$ で有限個の $\operatorname{supp}\sigma_\beta$ としか交わらないものがあり、$W$ 上では $\rho_\alpha$ は有限個の $C^\infty$ 級関数の和なので $C^\infty$ 級である。$\rho_\alpha\ge0$ で、$\sum_\alpha\rho_\alpha=\sum_\beta\sigma_\beta=1$(各点で有限和の並べ替え)なので $\rho_\alpha\le1$ である。$\{\rho_\alpha\neq0\}\subset\bigcup_{\phi(\beta)=\alpha}\operatorname{supp}\sigma_\beta$ であり、局所有限な閉集合の族の合併は閉集合である(開被覆の記事の命題「局所有限な族の閉包」)から、$\operatorname{supp}\rho_\alpha\subset\bigcup_{\phi(\beta)=\alpha}\operatorname{supp}\sigma_\beta\subset U_\alpha$ である。$W$ が $\operatorname{supp}\rho_\alpha$ と交われば、ある $\beta$ で $\phi(\beta)=\alpha$ かつ $W$ が $\operatorname{supp}\sigma_\beta$ と交わるので、そのような $\alpha$ は有限個であり、$(\operatorname{supp}\rho_\alpha)$ は局所有限である。$\square$
$h\colon\mathbb{R}\to\mathbb{R}$ を $t>0$ で $h(t)=e^{-1/t}$、$t\le0$ で $h(t)=0$ と定め、
$$
g(t):=\frac{h(t)}{h(t)+h(1-t)}
$$
とおく。ベクトル場の記事の補題「隆起関数の存在と局所関数の延長」の証明が示すとおり、$h$ と $g$ は $C^\infty$ 級で、$0\le g\le1$、$t\le0$ で $g(t)=0$、$t\ge1$ で $g(t)=1$ である。$\mathbb{R}$ の開被覆 $U_1:=(-\infty,1)$、$U_2:=(-1,\infty)$ に対し
$$
\rho_2(x):=g\Bigl(x+\frac12\Bigr),\qquad\rho_1(x):=1-\rho_2(x)
$$
とおく。$\rho_2$ は $x\le-\frac12$ で $0$ なので $\operatorname{supp}\rho_2=[-\frac12,\infty)\subset U_2$、$\rho_1$ は $x\ge\frac12$ で $0$ なので $\operatorname{supp}\rho_1=(-\infty,\frac12]\subset U_1$ であり、$(\rho_1,\rho_2)$ は $(U_1,U_2)$ に従属する滑らかな 1 の分割である。
数直線の開被覆 U₁ = (−∞, 1)、U₂ = (−1, ∞) に従属する 1 の分割 ρ₁、ρ₂ のグラフ。ρ₁ + ρ₂ = 1 で、ρ₁ は x ≥ 1/2 で 0、ρ₂ は x ≤ −1/2 で 0
図のように、$\rho_1$ と $\rho_2$ は $-\frac12\le x\le\frac12$ の範囲で滑らかに入れ替わる。$g$ の値の例は $g(\frac12)=\frac12$、$g(\frac14)=h(\frac14)/(h(\frac14)+h(\frac34))=e^{-4}/(e^{-4}+e^{-4/3})\approx0.0650$ である。ここで、$h$ のどの階数の導関数も $t\to0+$ で $0$ に近づくこと(冪級数の記事の例「反例:何回でも微分できるが冪級数で表せない関数」と同じ型の性質)が、滑らかさを保ったまま値を $0$ から立ち上げるのに本質的に効いている。
$S^1\subset\mathbb{R}^2$ の北極 $N=(0,1)$、南極 $S=(0,-1)$ に対し、開被覆 $U_N:=S^1\setminus\{N\}$、$U_S:=S^1\setminus\{S\}$ を考える。ex-pou-line の $g$ を使って
$$
\rho_S(x,y):=g\Bigl(y+\frac12\Bigr),\qquad\rho_N(x,y):=1-\rho_S(x,y)\qquad((x,y)\in S^1)
$$
とおく。これらは $\mathbb{R}^2$ 上の $C^\infty$ 級関数の $S^1$ への制限なので $C^\infty$ 級である(包含写像 $S^1\hookrightarrow\mathbb{R}^2$ は $C^\infty$ 級:局所座標の記事の命題「等位集合の多様体構造」)。$\rho_S$ は $y\le-\frac12$ で $0$ なので台は $\{y\ge-\frac12\}\cap S^1$ に含まれ、$S$ を含まない。$\rho_N$ は $y\ge\frac12$ で $0$ なので台は $N$ を含まない。よって $(\rho_N,\rho_S)$ は $(U_N,U_S)$ に従属する滑らかな 1 の分割である。
円周の 1 の分割:色の濃さが ρ_S の値。北側(y ≥ 1/2)で ρ_S = 1、南側(y ≤ −1/2)で ρ_S = 0 で、ρ_N = 1 − ρ_S はその逆。ρ_S の台は南極 S を含まず、ρ_N の台は北極 N を含まない
図の円周の上で、$\rho_S$ は $y\ge\frac12$ の弧で $1$、$y\le-\frac12$ の弧で $0$ であり、その間で滑らかに変わる。
以下、$M$ を $n$ 次元の滑らかな多様体(Hausdorff かつ第 2 可算)とする。証明には 2 つの道具を使う。1 つはベクトル場の記事の補題「隆起関数の存在と局所関数の延長」で、$p\in M$ と $p$ を含む開集合 $U$ に対し、$0\le\psi\le1$、$p$ の近傍で $\psi\equiv1$、$\operatorname{supp}\psi$ がコンパクトで $U$ に含まれる $\psi\in C^\infty(M)$(隆起関数)があることを保証する。もう 1 つは次の補題である。
$M$ のコンパクト集合の列 $K_0\subset K_1\subset K_2\subset\cdots$ で、各 $j$ について $K_j\subset\operatorname{int}K_{j+1}$($\operatorname{int}$ は内部)であり、$\bigcup_jK_j=M$ となるものが存在する。
要点:閉包がコンパクトな開集合の可算個の列 $W_1,W_2,\dots$ で $M$ を覆い、$K_j$ が有限個の $\overline{W_i}$ の合併で次の $K_{j+1}$ の内部に入るように順に選ぶ。
$M=\emptyset$ なら $K_j=\emptyset$ とすればよいので、$M\neq\emptyset$ とする。$\mathcal{B}$ を $M$ の可算な開基とする。各点 $p$ について、局所座標 $(U,\varphi)$ と閉球 $\overline{B}(\varphi(p),r)\subset\varphi(U)$ をとると、$V:=\varphi^{-1}(B(\varphi(p),r))$ の閉包はコンパクト集合 $\varphi^{-1}(\overline{B}(\varphi(p),r))$ に含まれる(Hausdorff 空間のコンパクト集合は閉集合)。$p\in B\subset V$ となる $B\in\mathcal{B}$ の閉包は $\overline V$ の閉部分集合なのでコンパクトである。したがって閉包がコンパクトな $\mathcal{B}$ の元は $M$ を覆い、それらを $W_1,W_2,\dots$ と並べられる(有限個なら同じものを繰り返す)。
$K_0:=\overline{W_1}$ とする。$K_j$ がコンパクトな有限個の $\overline{W_i}$ の合併として定まったとき、$K_j$ は開集合 $W_i$ たちで覆われるので、$m_j>j$ を $K_j\subset W_1\cup\dots\cup W_{m_j}$ となるようにとれる。$K_{j+1}:=\overline{W_1}\cup\dots\cup\overline{W_{m_j}}$ とおくと、$K_{j+1}$ はコンパクトで、$K_j\subset W_1\cup\dots\cup W_{m_j}\subset\operatorname{int}K_{j+1}$ である。$m_j\ge j+1$ なので $W_{j+1}\subset K_{j+1}$ であり、$\bigcup_jK_j=M$ である。$\square$
$M$ の任意の開被覆 $(U_\alpha)_{\alpha\in A}$ に対し、$(U_\alpha)$ に従属する滑らかな 1 の分割 $(\rho_\alpha)_{\alpha\in A}$ が存在する。さらに、各台がコンパクトでどれかの $U_\alpha$ に含まれる、高々可算個の関数からなる滑らかな 1 の分割 $(\sigma_k)_k$ も存在する。
lem-pou-exhaustion の $K_j$ をとり、$K_{-1}=K_{-2}:=\emptyset$ とおく。各 $j\ge0$ について
$$
A_j:=K_j\setminus\operatorname{int}K_{j-1},\qquad O_j:=\operatorname{int}K_{j+1}\setminus K_{j-2}
$$
とおく。$A_j$ はコンパクト集合 $K_j$ の閉部分集合なのでコンパクトであり、$O_j$ は開集合で $A_j\subset O_j$ である。
隆起関数を並べる:各 $p\in A_j$ について $p\in U_{\alpha}$ となる $\alpha$ を 1 つ選び、$p$ における隆起関数 $\psi_p$ で、$\operatorname{supp}\psi_p$ がコンパクトで $U_\alpha\cap O_j$ に含まれるものをとる。開集合 $\{\psi_p>0\}$($p\in A_j$)は $A_j$ を覆うので、有限個で $A_j$ を覆える。これをすべての $j$ について集めた可算個の関数を $\psi_0,\psi_1,\psi_2,\dots$ と並べる。
局所有限性:$j'\ge j+3$ なら $O_{j'}\cap K_{j+1}=\emptyset$ である。
$O_{j'}\subset M\setminus K_{j'-2}$ であり、$j'-2\ge j+1$ より $K_{j+1}\subset K_{j'-2}$ だからである。
この定理は可微分多様体の記事の定理「滑らかな 1 の分割」の主張であり、同記事は証明を外に置いている。Nic20 Proposition 1.2.11 も同じ主張((a) コンパクトな台をもつもの、(b) 添字集合を $A$ にとれること)を述べ、証明は他書を参照している。上の証明で Hausdorff 性と第 2 可算性は近似列(lem-pou-exhaustion)を作るところで使われた。滑らかさを保証するのは隆起関数であり、連続な 1 の分割の存在(パラコンパクト空間の記事の定理「1 の分割の存在」)は関数の滑らかさについて何も述べないので、それだけでは滑らかな 1 の分割は得られない。
$A,B$ を $M$ の交わらない閉集合とする。このとき $C^\infty$ 級関数 $f\colon M\to[0,1]$ で、$A$ の上で $f=0$、$B$ の上で $f=1$ となるものが存在する。
$A\cap B=\emptyset$ なので $(M\setminus A,\ M\setminus B)$ は $M$ の開被覆である。thm-pou-existence によりこれに従属する滑らかな 1 の分割 $(\rho_1,\rho_2)$ をとり、$f:=\rho_1$ とおく。$\operatorname{supp}\rho_1\subset M\setminus A$ なので $A$ の上で $f=0$ であり、$\operatorname{supp}\rho_2\subset M\setminus B$ なので $B$ の上で $\rho_2=0$、したがって $f=1-\rho_2=1$ である。$\square$
連続関数についての同じ主張は、正規空間に対する Urysohn の補題である(正規空間)。thm-pou-urysohn は分ける関数を $C^\infty$ 級にとれることを主張している。
$A\subset M$ を閉集合、$f\colon A\to\mathbb{R}$ を関数とし、各 $p\in A$ に $p$ の開近傍 $W_p$ と $C^\infty$ 級関数 $\tilde f_p\colon W_p\to\mathbb{R}$ で $W_p\cap A$ の上で $\tilde f_p=f$ となるものがあるとする。このとき $C^\infty$ 級関数 $F\colon M\to\mathbb{R}$ で $F|_A=f$ となるものが存在する。
開被覆 $\{W_p\}_{p\in A}\cup\{M\setminus A\}$ に従属する滑らかな 1 の分割 $(\rho_p)_{p\in A}\cup(\rho_0)$ をとる(thm-pou-existence)。$\operatorname{supp}\rho_p\subset W_p$ なので、$W_p$ の上で $\rho_p\tilde f_p$、$W_p$ の外で $0$ と定めた関数は $C^\infty(M)$ の元である(ベクトル場の記事の補題「隆起関数の存在と局所関数の延長」の 2)。その和を
$$
F:=\sum_{p\in A}\rho_p\tilde f_p
$$
とおくと、台の族の局所有限性により各点の近くで有限和なので、$F$ は $C^\infty$ 級である。$x\in A$ では $\operatorname{supp}\rho_0\subset M\setminus A$ より $\rho_0(x)=0$ であり、$\rho_p(x)\neq0$ となる $p$ については $x\in W_p\cap A$ なので $\tilde f_p(x)=f(x)$ である。よって $F(x)=\sum_p\rho_p(x)f(x)=\bigl(1-\rho_0(x)\bigr)f(x)=f(x)$ である。$\square$
同じ「局所的に作って 1 の分割で平均する」方法で、任意の多様体がリーマン計量をもつことが示される(リーマン幾何学の記事の命題「リーマン計量の存在」)。そこでは局所座標ごとの Euclid 内積 $g_\alpha$ を $\sum_\alpha\rho_\alpha g_\alpha$ と平均し、正定値な対称形の非負結合がまた正定値であることを使う。これが成り立つのは、正定値性が「凸な」条件だからである。逆に、局所的な対象の非負結合で保たれない条件(たとえば「値が $0$ にならないベクトル場」)は、この方法では貼り合わせられない($v$ と $-v$ の平均は $0$ である)。微分形式の積分も、1 の分割で積分する形式を局所座標の中の部分に分けて定義する。
1 の分割の条件や、空間・関数の種類の仮定を外すと、存在定理や貼り合わせが成り立たなくなる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 関数の種類を $C^\infty$ 級にとること | 実解析的な関数($\mathbb{R}$ の開被覆 $(-\infty,1)$、$(-1,\infty)$) | 従属する実解析的な 1 の分割が存在する |
| 同上 | 正則関数($\mathbb{C}$ の開被覆 $\{\operatorname{Re}z<1\}$、$\{\operatorname{Re}z>-1\}$) | 和が $1$ で台が各成員に入る正則関数の組が存在する |
| 条件 (i) の局所有限性 | $\mathbb{R}$ 上の定数関数 $\rho_n=2^{-n}$($n\ge1$) | 局所的な関数 $g_n$ の重み付きの和 $\sum_n\rho_ng_n$ が定まる |
| 空間の第 2 可算性(パラコンパクト性) | 長い直線 | 任意の開被覆に従属する(連続な)1 の分割が存在する |
実解析的な関数 $\rho_1,\rho_2\colon\mathbb{R}\to\mathbb{R}$ で $\operatorname{supp}\rho_1\subset(-\infty,1)$、$\operatorname{supp}\rho_2\subset(-1,\infty)$、$\rho_1+\rho_2=1$ となるものは存在しない。$\operatorname{supp}\rho_2$ は $(-1,\infty)$ に含まれる閉集合なので、$\rho_2$ は開区間 $(-\infty,-1)$ の上で $0$ である。下で示すように、空でない開区間の上で $0$ になる実解析的な関数は $\mathbb{R}$ 全体で $0$ なので $\rho_2\equiv0$、$\rho_1\equiv1$ となり、$\rho_1$ が $(1,\infty)$ の上で $0$ であることに反する。
$f$ を $\mathbb{R}$ 上の実解析的な関数(各点のまわりで収束する冪級数で表される関数。可微分多様体の記事の定義の節)とし、$E:=\{x\in\mathbb{R}\mid\text{すべての }k\text{ で }f^{(k)}(x)=0\}$ とおく。$E$ は連続関数 $f^{(k)}$ の零点集合の共通部分なので閉集合である。$x_0\in E$ のまわりで $f(x)=\sum_ka_k(x-x_0)^k$ と表されているとすると、冪級数の記事の系「何回でも微分できることと係数の公式」により $a_k=f^{(k)}(x_0)/k!=0$ なので、$x_0$ の近傍で $f\equiv0$ であり、その近傍は $E$ に含まれる。よって $E$ は開集合でもある。$f$ が空でない開区間の上で $0$ なら $E\neq\emptyset$ であり、$\mathbb{R}$ は連結(連結空間)なので $E=\mathbb{R}$、とくに $f\equiv0$ である。
$\mathbb{R}$ 上の定数関数 $\rho_n:=2^{-n}$($n=1,2,\dots$)は、各点で $\sum_n\rho_n=1$ をみたし、台 $\mathbb{R}$ は開被覆 $(U_n)_{n\ge1}$、$U_n:=\mathbb{R}$ の成員に含まれる。しかし台の族は局所有限でない。このとき局所的な関数 $g_n:=2^n$($U_n$ 上の $C^\infty$ 級関数)を重み $\rho_n$ で足した $\sum_n\rho_ng_n=\sum_n1$ は発散する。満たす性質は「非負の滑らかな関数で和が $1$、台が被覆の成員に入る」、満たさない性質は条件 (i) であり、破る含意は「$\sum_\alpha\rho_\alpha g_\alpha$ は任意の滑らかな $g_\alpha$ について滑らかな関数を定める」である。条件 (i) があれば、各点の近くでこの和は有限和になる。
位相空間 $X$ の任意の開被覆に従属する(連続な)1 の分割が存在するならば、$X$ はパラコンパクトである。
$\mathcal{U}$ を $X$ の開被覆とし、$\mathcal{U}$ を添字の集合とする族 $(U)_{U\in\mathcal{U}}$ に従属する 1 の分割 $(\rho_U)_{U\in\mathcal{U}}$ をとる。$V_U:=\{x\mid\rho_U(x)>0\}$ は開集合で $V_U\subset\operatorname{supp}\rho_U\subset U$ である。各点で $\sum_U\rho_U=1$ なので、ある $U$ で $\rho_U(x)>0$ となり、$(V_U)$ は $X$ を覆う。台の族が局所有限で $V_U\subset\operatorname{supp}\rho_U$ なので、$(V_U)$ も局所有限である。よって $(V_U)$ は $\mathcal{U}$ の局所有限な開細分であり、$X$ はパラコンパクトである。$\square$
長い直線 $L$ は Hausdorff で、各点が $\mathbb{R}$ の開区間と同相な近傍をもつが、第 2 可算でない(同記事の注意「多様体の定義への注意」)。同記事の命題「パラコンパクトでないこと」により $L$ はパラコンパクトでないので、prop-pou-paracompact により、$L$ には従属する連続な 1 の分割をもたない開被覆がある。満たす性質は「Hausdorff かつ局所 Euclid」、満たさない性質は「第 2 可算」であり、破る含意は「Hausdorff かつ局所 Euclid な空間の任意の開被覆に従属する 1 の分割がある」である。パラコンパクト空間の記事の定理「1 の分割の存在」と、位相空間の上の連続な 1 の分割についても同じ証明が通る lem-pou-reindex とあわせると、Hausdorff 空間では「任意の開被覆に従属する連続な 1 の分割がある」ことはパラコンパクト性と同値である。
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