亜群(groupoid)とは、すべての射が同型射である圏である。群(対象が $1$ つの亜群)、集合(離散亜群)、同値関係、空間の基本亜群、群作用の作用亜群が代表例で、各対象の自己同型群と連結成分の集合 $\pi_0$ が基本的な不変量になる。選択公理のもとで亜群は群の非交和と圏同値であり、亜群の間の関手が圏同値であることは $\pi_0$ の全単射と各自己同型群の同型で判定できるが、圏同値な亜群が同型とは限らない。圏の脈体が Kan 複体になるのはその圏が亜群のときに限り、Kan 複体は∞亜群と呼ばれる。
亜群は、すべての射が同型射である圏である。群は「$1$ つの対象の対称性」を記録するが、亜群は「たくさんの対象と、それらの間の同一視の仕方」をまとめて記録する。空間の点と点を結ぶ道のホモトピー類、群が作用する集合の元とそれらを移す群の元、同値関係で結ばれた元の組は、どれも亜群をなす。圏同値を除けば、亜群は「同型類の集合」と「各同型類の自己同型群」だけで決まり、群の非交和と同値になる。一方、圏同値な亜群が圏として同型とは限らないことが、亜群を群や集合で置き換えずに扱う理由になる。高次圏論では、すべての射が可逆な∞圏(Kan 複体)がこの概念の高次版として現れる。
この定義は Rie16 Definition 1.1.12、Stacks Tag 0018 による。
亜群 $\mathcal G$ の対象 $x$ に対し、$\operatorname{Hom}_{\mathcal G}(x,x)$ は合成を積として群をなす。これを $x$ の自己同型群といい $\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)$ と書く(一般の圏では自己同型射全体が群をなす。同型射 の命題「自己同型全体は群をなす」。亜群ではすべての自己射が自己同型である)。
亜群の対象 $x,y$ の間に射があることを $x\sim y$ と書くと、これは同値関係である(恒等射、逆射、合成による)。その同値類を $\mathcal G$ の連結成分といい、連結成分の集合を $\pi_0\mathcal G$ と書く。亜群では射はすべて同型射なので、$\pi_0\mathcal G$ は対象の同型類の集合と同じである。$\pi_0\mathcal G$ がちょうど $1$ 元のとき $\mathcal G$ は連結であるという。
同じ連結成分の $2$ つの対象の自己同型群は同型である。射 $h\colon x\to y$ を $1$ つ選ぶと、
$$
\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)\to\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(y),\qquad g\mapsto h\circ g\circ h^{-1}
$$
は群の同型であり(逆写像は $g'\mapsto h^{-1}\circ g'\circ h$)、さらに
$$
\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)\to\operatorname{Hom}_{\mathcal G}(x,y),\qquad g\mapsto h\circ g
$$
は全単射である(逆写像は $u\mapsto h^{-1}\circ u$)。つまり $\operatorname{Hom}_{\mathcal G}(x,y)$ は、空でなければ $\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)$ と同じ大きさの集合であり、ただし特定の元が「恒等射」として選ばれてはいない。射 $h$ の選び方で同型が変わる($h$ を $h\circ k$、$k\in\operatorname{Aut}(x)$ に替えると、上の群の同型は $k$ による共役だけ変わる)ことが、群ではなく亜群で考える意味の $1$ つである。
群 $G$ に対し、対象がただ $1$ つ $\ast$ で $\operatorname{Hom}(\ast,\ast)=G$、合成を $G$ の積とする圏を $\mathbf BG$ と書く。群の元はすべて逆元をもつので $\mathbf BG$ は亜群であり、逆に対象が $1$ つの亜群はこの形をしている。群準同型 $G\to H$ は関手 $\mathbf BG\to\mathbf BH$ と同じものである(Stacks Tag 0019、Tag 001F。関手が群準同型を与えることは定義から直ちに従う)。$\mathbf BG$ の脈体が、脈体の例「群の脈体 $BG$」の単体的集合 $BG$ である。
集合 $S$ に対し、対象を $S$ の元とし、射を恒等射だけとする圏は亜群である(離散亜群。Stacks Tag 001A)。$\pi_0$ は $S$ 自身で、自己同型群はすべて自明である。
集合 $X$ 上の同値関係 $R$ に対し、対象を $X$ の元とし、$(x,y)\in R$ のときだけ $x$ から $y$ への射をただ $1$ つ置く圏を考える。反射律が恒等射、推移律が合成、対称律が逆射を与えるので、これは亜群である。$\pi_0$ は商集合 $X/R$ で、自己同型群はすべて自明である。逆に、どの $2$ 対象の間にも射が高々 $1$ つしかない亜群は、「射がある」という関係によって対象の集合上の同値関係と同じものである。
位相空間 $X$ の点を対象、$x$ から $y$ への道の(端点を固定した)ホモトピー類を $x$ から $y$ への射とし、道の類 $[\gamma]\colon x\to y$、$[\delta]\colon y\to z$ の合成を道の積の類 $[\gamma\cdot\delta]$ とする圏を $X$ の基本亜群 $\Pi_1(X)$ という。これが圏であり、すべての射が逆をもつことは 基本群 の定理「基本亜群の公理と基本群の群構造」の内容である(基本群 の注意「道の圏としての基本亜群」)。$\pi_0\Pi_1(X)$ は弧状連結成分の集合であり、$\operatorname{Aut}(x)$ は $x$ を基点とするループの類の集合で、基本群 $\pi_1(X,x)$ と同じ集合である(Rie16 Example 1.1.13)。ただし合成 $[\delta]\circ[\gamma]=[\gamma\cdot\delta]$ は積 $[\gamma][\delta]$ と順序が逆なので、群としての $\operatorname{Aut}(x)$ は $\pi_1(X,x)$ の反対群であり、逆元をとる写像 $[\gamma]\mapsto[\bar\gamma]$ によって $\pi_1(X,x)$ と同型である。
圏 $\mathcal C$ の対象をすべて残し、射を同型射だけにした部分圏 $\mathcal C^{\simeq}$ は亜群であり、$\mathcal C$ に含まれる亜群で対象をすべて含むもののうち最大である(Rie16 Lemma 1.1.14)。これを $\mathcal C$ の核(core、極大部分亜群)という。たとえば有限集合と写像の圏の核は、有限集合と全単射の亜群 $\mathbf{FinSet}^{\simeq}$ である。$\mathcal C$ が亜群でなければ $\mathcal C^{\simeq}$ は $\mathcal C$ の充満部分圏でない。
作用亜群は節を改めて扱う(def-groupoid-action)。
選択公理を仮定する。$\mathcal G$ を連結な亜群、$x$ をその対象とする。$\mathbf B\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)$ の対象を $x$ へ、射をそれ自身へ送る関手 $\mathbf B\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)\to\mathcal G$ は圏同値である。
この関手は、$\mathcal G$ の対象 $x$ $1$ つの張る充満部分圏の包含と同じものである(その充満部分圏の射の集合は $\operatorname{Hom}_{\mathcal G}(x,x)=\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)$)。$\mathcal G$ は連結なので、どの対象 $y$ も $x$ と同型である。したがって 充満部分圏 の命題「代表を含む充満部分圏の包含は圏同値である」により、包含は圏同値である。
擬逆関手を具体的に書くと次のようになる。各対象 $y$ に射 $h_y\colon y\to x$ を $1$ つ選び、$h_x=\mathrm{id}_x$ とする。$R\colon\mathcal G\to\mathbf B\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)$ を、対象はすべて $\ast$ へ、射 $u\colon y\to z$ を
$$
R(u)=h_z\circ u\circ h_y^{-1}\in\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)
$$
へ送る関手とする。$v\colon z\to w$ に対し $R(v\circ u)=h_w v h_z^{-1}h_z u h_y^{-1}=R(v)R(u)$ なので $R$ は関手で、$\operatorname{Aut}(x)$ の上では恒等写像である。$h$ は恒等関手から $R$ と包含の合成への自然同型を与える。$\blacksquare$
この定理は Rie16 Proposition 1.5.13 である。弧状連結な空間の基本亜群に当てはめると、基点を替えても基本群が同型であること(基本群 の命題「基点の取り替え」)が得られる(Rie16 Corollary 1.5.14)。ただし、得られる同型は道 $h_y$ の選び方によるので、基本亜群から基本群への擬逆関手は自然には選べない(Rie16 Remark 1.5.15)。
一般の亜群では、連結成分ごとに代表を $1$ つずつ選ぶ。
選択公理を仮定する。小さな亜群 $\mathcal G$ の各連結成分 $\alpha\in\pi_0\mathcal G$ から対象 $x_\alpha$ を $1$ つずつ選ぶ。このとき $\mathcal G$ は、$1$ 対象の亜群 $\mathbf B\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x_\alpha)$ たちの非交和
$$
\coprod_{\alpha\in\pi_0\mathcal G}\mathbf B\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x_\alpha)
$$
と圏同値である。ここで圏の非交和は、対象と射の集合をそれぞれ非交和にし、異なる成分の対象の間には射を置かない圏である。
$\{x_\alpha\}$ の張る充満部分圏を $\mathcal S$ とする。$\alpha\neq\beta$ なら $x_\alpha$ と $x_\beta$ は別の連結成分にあるので射がなく、$\operatorname{Hom}_{\mathcal S}(x_\alpha,x_\alpha)=\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x_\alpha)$ である。よって $\mathcal S$ は上の非交和と(圏として)同じものである。$\mathcal G$ のどの対象も自分の連結成分の代表と同型なので、充満部分圏 の命題「代表を含む充満部分圏の包含は圏同値である」により、包含 $\mathcal S\to\mathcal G$ は圏同値である。$\blacksquare$
$\mathcal S$ は $\mathcal G$ の骨格(充満部分圏 の定義「骨格的な圏、骨格」)である。こうして、亜群は圏同値を除けば「集合 $\pi_0\mathcal G$ と、その各元に付いた群(の同型類)」で決まる。次の命題は、この $2$ つが圏同値の判定にも十分であることを述べる。
亜群の間の関手 $F\colon\mathcal G\to\mathcal H$ は、連結成分の間の写像 $\pi_0F\colon\pi_0\mathcal G\to\pi_0\mathcal H$($x$ の成分を $Fx$ の成分へ送る)と、各対象での群準同型 $F_x\colon\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)\to\operatorname{Aut}_{\mathcal H}(Fx)$ を誘導する。
選択公理を仮定する。亜群の間の関手 $F\colon\mathcal G\to\mathcal H$ について、次は同値である。
(R1) $F$ は圏同値である。
(R2) $\pi_0F$ は全単射であり、すべての対象 $x$ について $F_x\colon\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)\to\operatorname{Aut}_{\mathcal H}(Fx)$ は群の同型である。
(i) ⇒ (ii):圏同値 の命題「圏同値の必要条件」により $F$ は充満忠実かつ本質的全射である。本質的全射なので $\pi_0F$ は全射である。$Fx$ と $Fy$ が同じ成分にある、つまり $Fx\cong Fy$ なら、充満忠実関手 の命題「充満忠実関手は同型類上単射である」により $x\cong y$ なので、$\pi_0F$ は単射である。$F_x$ は $\operatorname{Hom}(x,x)\to\operatorname{Hom}(Fx,Fx)$ の全単射であり群準同型なので、群の同型である。
(ii) ⇒ (i):$F$ が本質的全射であることは $\pi_0F$ の全射性そのものである。充満忠実性を示す。対象 $x,y$ をとる。
$x$ と $y$ が別の成分にあるとき、$\pi_0F$ の単射性から $Fx$ と $Fy$ も別の成分にあり、$\operatorname{Hom}(x,y)$ と $\operatorname{Hom}(Fx,Fy)$ はともに空なので、その間の写像は全単射である。
$x$ と $y$ が同じ成分にあるとき、射 $h\colon x\to y$ を $1$ つ選ぶ。次の図式を考える。
$$
\xymatrix{
\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x) \ar[r]^{F_x} \ar[d]_{h\circ-} & \operatorname{Aut}_{\mathcal H}(Fx) \ar[d]^{Fh\circ-} \\
\operatorname{Hom}_{\mathcal G}(x,y) \ar[r]_{F_{x,y}} & \operatorname{Hom}_{\mathcal H}(Fx,Fy)
}
$$
$F(h\circ g)=Fh\circ Fg$ なので図式は可換である。定義の後に述べたとおり縦の $2$ 本は全単射であり、上の $F_x$ は仮定により全単射なので、下の $F_{x,y}$ も全単射である($F_{x,y}=(Fh\circ-)\circ F_x\circ(h\circ-)^{-1}$)。
以上で $F$ は充満忠実かつ本質的全射であり、充満忠実関手 の命題「圏同値の特徴づけ」により圏同値である。$\blacksquare$
図式の等式は $F(h\circ g)=Fh\circ F_x(g)$($g\in\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x)$)である。条件 (ii) の $2$ つの部分はどちらも外せない:$\pi_0F$ が全単射でも自己同型群が同型でなければ圏同値でなく、自己同型群がすべて同型でも $\pi_0F$ が全単射でなければ圏同値でない(ex-groupoid-criterion-fails)。
群 $G$ が集合 $X$ に左から作用しているとする(群作用)。作用亜群 $X/\!\!/G$ とは、対象を $X$ の元とし、
$$
\operatorname{Hom}_{X/\!\!/G}(x,y)=\{g\in G\mid g\cdot x=y\}
$$
とし、合成を $G$ の積($h\colon y\to z$ と $g\colon x\to y$ の合成は $hg\colon x\to z$)、恒等射を単位元 $e$ とする圏である。
$h\cdot(g\cdot x)=(hg)\cdot x$ と $e\cdot x=x$ から、合成と恒等射が定まり、結合律と単位律は $G$ の結合律と単位律から従う。$g\colon x\to y$ の逆射は $g^{-1}\colon y\to x$($g^{-1}\cdot y=x$)なので、$X/\!\!/G$ は亜群である。
群 $G$ が集合 $X$ に作用しているとし、$x\in X$ とする。
(R1) $\pi_0(X/\!\!/G)$ は軌道の集合 $X/G$ に等しい。
(R2) $\operatorname{Aut}_{X/\!\!/G}(x)$ は $x$ の安定化群(固定部分群)$G_x=\{g\in G\mid g\cdot x=x\}$ である。
(R3) 軌道 $G\cdot x$ の元 $y$ について、$\operatorname{Hom}_{X/\!\!/G}(x,y)$ は $G_x$ の左剰余類であり、$G$ は $x$ を始点とする射の集合として非交和 $G=\coprod_{y\in G\cdot x}\operatorname{Hom}_{X/\!\!/G}(x,y)$ に分かれる。$G$ が有限なら $|G|=|G\cdot x|\cdot|G_x|$ である。
(R4) 選択公理を仮定すると、$X/\!\!/G$ は、各軌道から $1$ つずつ選んだ代表 $x_\alpha$ の安定化群の非交和 $\coprod_{\alpha\in X/G}\mathbf BG_{x_\alpha}$ と圏同値である。
(i):$x$ から $y$ への射があることは $g\cdot x=y$ となる $g$ があること、つまり $y$ が $x$ の軌道に入ることである。よって連結成分は軌道である。
(ii):定義から $\operatorname{Hom}(x,x)=\{g\mid g\cdot x=x\}=G_x$ であり、合成は $G$ の積なので、群としても $G_x$ に等しい。
(iii):$y\in G\cdot x$ とし、$g_0\cdot x=y$ となる $g_0$ を $1$ つとる。$g\cdot x=y$ は $g_0^{-1}g\cdot x=x$、つまり $g_0^{-1}g\in G_x$ と同値なので、$\operatorname{Hom}(x,y)=g_0G_x$ である。$G$ の各元 $g$ は、ちょうど $1$ つの $y=g\cdot x$ について $\operatorname{Hom}(x,y)$ に属するので、$G$ はこれらの非交和である。$G$ が有限なら各 $\operatorname{Hom}(x,y)$ は $|G_x|$ 元で、$y$ は $|G\cdot x|$ 通りあるので $|G|=|G\cdot x|\cdot|G_x|$ である。
(iv):(i)(ii) と cor-groupoid-disjoint-union による。$\blacksquare$
(iii) の数え上げは群作用の定理「軌道・安定化群定理」の等式であり、作用亜群で言い直すと「$x$ を始点とする射を終点で分類した」ものになる(Rie16 Example 1.5.19)。(iv) は「作用亜群の骨格は、軌道ごとの安定化群の非交和」と言い換えられる。軌道の集合 $X/G$ だけを見ると安定化群の情報が失われるが、作用亜群は同値を除いてその両方を保持する。
$G$ が $X$ に自由に作用する(どの $x$ でも $G_x=\{e\}$)なら、$X/\!\!/G$ の自己同型群はすべて自明であり、$X/\!\!/G$ は商集合 $X/G$ の離散亜群と圏同値である。とくに $G$ の自分自身への左移動の作用では、$G/\!\!/G$ は $1$ 点と圏同値である。反対に、$1$ 点集合への自明な作用では、$\mathrm{pt}/\!\!/G=\mathbf BG$ である。
亜群の「大きさ」として、同型類の数ではなく、各同型類を自己同型群の位数で割って数えるものがある。
小さな亜群 $\mathcal G$ で、すべての自己同型群が有限であり、和
$$
|\mathcal G|=\sum_{\alpha\in\pi_0\mathcal G}\frac{1}{|\operatorname{Aut}_{\mathcal G}(x_\alpha)|}
$$
($x_\alpha$ は成分 $\alpha$ の対象)が有限の値に収束するものを考え、この値を $\mathcal G$ の濃度(groupoid cardinality)という。
各項は正なので、和は項の並べ方によらない(有限個の部分和の上限として定める)。$x_\alpha$ の選び方によらないことは、同じ成分の自己同型群が同型であることによる。
(i):thm-groupoid-equivalence-criterion により、圏同値 $F\colon\mathcal G\to\mathcal H$ は全単射 $\pi_0F$ を誘導し、各成分の自己同型群の位数を保つ。よって和の項が $1$ 対 $1$ に対応して等しい。
(ii):$\mathbf BG$ は成分が $1$ つで自己同型群が $G$ である。離散亜群では成分が $S$ の元で、自己同型群は自明である。
(iii):thm-groupoid-action により成分は軌道 $\alpha$、自己同型群は安定化群であり、$|G\cdot x_\alpha|\cdot|G_{x_\alpha}|=|G|$ である。よって
$$
|X/\!\!/G|=\sum_{\alpha\in X/G}\frac{1}{|G_{x_\alpha}|}=\sum_{\alpha\in X/G}\frac{|G\cdot x_\alpha|}{|G|}=\frac{|X|}{|G|}
$$
である(最後の等号は $X$ が軌道の非交和であることによる)。$\blacksquare$
(iii) は、作用が自由でなくても「$X$ を $G$ で割った大きさ」が $|X|/|G|$ という分数として正しく出ることを示す。商集合 $X/G$ の元の数はこれと一般に一致しない:$\mathbb Z/2\mathbb Z$ が $1$ 点に作用するとき、$|X/G|=1$ だが $|X/\!\!/G|=1/2$ である。
有限集合と全単射の亜群 $\mathbf{FinSet}^{\simeq}$(ex-groupoid-core)は大きな亜群だが、$\{0,1,\ldots,n-1\}$($n\in\mathbb N$)の張る充満部分圏 $\mathcal F$ は小さな亜群で、どの有限集合もどれかの $\{0,\ldots,n-1\}$ と全単射で結ばれるので、充満部分圏 の命題「代表を含む充満部分圏の包含は圏同値である」により $\mathbf{FinSet}^{\simeq}$ と圏同値である。そこで $\mathcal F$ の濃度を $\mathbf{FinSet}^{\simeq}$ の濃度とみなす(prop-groupoid-cardinality の (i) により、圏同値な小さな亜群のどれを選んでも同じ値になる)。$\mathcal F$ の成分は $n\in\mathbb N$ で、$n$ 元集合の自己同型群は $n$ 次対称群 $S_n$(位数 $n!$)なので、
$$
|\mathcal F|=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{1}{n!}=e
$$
である($\mathcal F$ は Rie16 Example 1.5.18 (iv) の骨格である)。有限集合の同型類は無限個あるが、亜群の濃度は有限の値になる。
対象 $a,b$ をもち、どの順序対の間にも射がちょうど $1$ つある圏 $\mathcal I$ は亜群である($a\to b$ と $b\to a$ の合成は $a$ の自己射なので恒等射に等しい)。$\mathcal I$ は連結で自己同型群は自明なので、thm-groupoid-connected により $1$ 点の亜群($\mathbf B\{e\}$)と圏同値である。しかし対象の数が $2$ と $1$ で違うので、圏として同型ではない(圏同値 の例「同型な二対象を一つへまとめる」と同じ圏)。$\mathcal I$ はex-groupoid-equivalence-relation で $2$ 元集合上の全関係(すべての組が同値)から作った亜群でもある。
$\mathbf B(\mathbb Z/2\mathbb Z)\to\mathbf B\{e\}$(ただ $1$ つの関手)では $\pi_0F$ は $1$ 点どうしの全単射だが、自己同型群の準同型 $\mathbb Z/2\mathbb Z\to\{e\}$ は同型でない。$F$ は忠実でないので圏同値でない。
$1$ 点の離散亜群から $2$ 点の離散亜群への関手(どちらかの点を選ぶ)では、自己同型群はすべて自明で $F_x$ は同型だが、$\pi_0F$ は全射でない。$F$ は本質的全射でないので圏同値でない。
どちらも thm-groupoid-equivalence-criterion の条件 (ii) の一部を満たし、残りの部分を満たさない例であり、条件 (ii) の $2$ つの部分がそれぞれ必要であることを示す。
亜群は脈体を通して単体的集合として見ることができ、そこでは「すべての射が可逆」がホーンの充填で言い表される。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| すべての射が同型射(自己射だけ同型) | 順序集合の圏 $[1]$ | 亜群である |
| すべての射が同型射(対象が $1$ つ) | モノイド $(\mathbb N,+)$ | 亜群である |
| 圏の同型(圏同値だけ) | $2$ 対象の連結な亜群 $\mathcal I$ と $1$ 点 | 対象の数が一致する |
| 自己同型群の同型 | $\mathbf B(\mathbb Z/2\mathbb Z)\to\mathbf B\{e\}$ | 圏同値である($\pi_0F$ は全単射) |
| $\pi_0F$ の全単射 | $1$ 点から $2$ 点の離散亜群へ | 圏同値である($F_x$ は同型) |
各行の確認は ex-groupoid-not-groupoid、ex-groupoid-equivalent-not-isomorphic、ex-groupoid-criterion-fails にある。
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