最高ウェイト(highest weight)とは、複素半単純 Lie 環 $\mathfrak{g}$ の既約表現で、Cartan 部分環 $\mathfrak{h}$ の同時固有ベクトルのうち正のルートのルート空間ですべて消えるもの(極大ベクトル)の固有値 $\lambda\in\mathfrak{h}^*$ のことである。有限次元の既約表現は極大ベクトルを定数倍を除いてただ 1 つもち、その最高ウェイトは支配的な整ウェイトで、表現を同型を除いて決める。逆に各支配的整ウェイトを最高ウェイトとする有限次元既約表現がある。$\mathfrak{sl}_2$ では最高ウェイト $m$ の表現は $m+1$ 次元で、一般線形群では最高ウェイトは $\lambda_1\ge\cdots\ge\lambda_n$ を満たす整数列であり、多項式表現の指標は Schur 多項式になる。
$\mathfrak{sl}_2(\mathbb{C})$ の有限次元の既約表現では、対角行列 $h=\operatorname{diag}(1,-1)$ の固有値が $m,m-2,\dots,-m$ と並び、いちばん大きい固有値 $m$($0$ 以上の整数)だけで表現が決まる。$m$ の固有ベクトルは、上三角の $e$ で消える「いちばん上」のベクトルである。一般の複素半単純 Lie 環でも、Cartan 部分環の同時固有値(ウェイト)の中に、正のルートの方向へはそれ以上進めない「最高の」ものがただ 1 つあり、それを最高ウェイトという。有限次元の既約表現は最高ウェイトで決まり、現れる最高ウェイトはちょうど支配的な整ウェイトである。一般線形群では最高ウェイトは $\lambda_1\ge\cdots\ge\lambda_n$ を満たす整数の列で、多項式表現では分割になり、指標は Schur 多項式で与えられる。この記事では、最高ウェイトを定義し、有限次元既約表現が最高ウェイトで分類されることを、存在は $\mathfrak{sl}_n$ について、一意性と整性は一般の半単純 Lie 環について証明する。
Lie 環 $\mathfrak{g}$ の表現とは、ベクトル空間 $V$ と Lie 環の準同型 $\rho\colon\mathfrak{g}\to\mathfrak{gl}(V)$ の組のことで、$\rho(x)v$ を $xv$ と書き、$V$ を $\mathfrak{g}$ 加群ともいう。$\mathfrak{g}$ の作用で保たれる部分空間を部分加群といい、$V\neq0$ で $0$ と $V$ 以外に部分加群をもたないとき $V$ は既約であるという。
以下、$\mathfrak{g}$ を $\mathbb{C}$ 上の半単純 Lie 環、$\mathfrak{h}$ を Cartan 部分環、$\Phi\subset\mathfrak{h}^*$ をルートの集合とし、半単純Lie環 の定理「ルート分解」を使う。すなわち $\mathfrak{g}=\mathfrak{h}\oplus\bigoplus_{\alpha\in\Phi}\mathfrak{g}_\alpha$、各 $\mathfrak{g}_\alpha$ は 1 次元、$\gamma\notin\Phi\cup\{0\}$ なら $\mathfrak{g}_\gamma=0$、$[\mathfrak{g}_\alpha,\mathfrak{g}_\beta]\subset\mathfrak{g}_{\alpha+\beta}$ であり、$\Phi$ はルート系をなす。その基 $\Delta=\{\alpha_1,\dots,\alpha_l\}$ を 1 つ固定し、$\Phi^+$ を正のルート($\Delta$ の $0$ 以上の係数の線形結合で書けるルート)の集合とする。各 $\alpha\in\Phi$ について、同定理の 3 の元 $e_\alpha\in\mathfrak{g}_\alpha$、$f_\alpha\in\mathfrak{g}_{-\alpha}$、$h_\alpha=[e_\alpha,f_\alpha]$($\alpha(h_\alpha)=2$)を選び、$e_i:=e_{\alpha_i}$、$f_i:=f_{\alpha_i}$、$h_i:=h_{\alpha_i}$ と書く。$e_\alpha,h_\alpha,f_\alpha$ は $\mathfrak{sl}_2(\mathbb{C})$ の基底 $e,h,f$ と同じ関係式 $[h,e]=2e$、$[h,f]=-2f$、$[e,f]=h$ を満たす。
$V$ を $\mathfrak{g}$ 加群とする。
$\mu,\lambda\in\mathfrak{h}^*$ について、$\lambda-\mu$ が $\Delta$ の $0$ 以上の実数係数の線形結合であるとき $\mu\preceq\lambda$ と書く。$\Delta$ は線形独立なので、$\mu\preceq\lambda$ かつ $\lambda\preceq\mu$ なら $\mu=\lambda$ である。
$\lambda\in\mathfrak{h}^*$ が整ウェイトであるとは、すべての $i$ について $\lambda(h_i)\in\mathbb{Z}$ であることをいう。さらにすべての $i$ について $\lambda(h_i)\ge0$ のとき、支配的整ウェイト(dominant integral weight)という。
$v\in V_\mu$、$x\in\mathfrak{g}_\alpha$ なら $H(xv)=x(Hv)+[H,x]v=(\mu+\alpha)(H)\,xv$ なので、$\mathfrak{g}_\alpha V_\mu\subset V_{\mu+\alpha}$ である。相異なるウェイトのウェイトベクトルは線形独立であり(固有値の異なる固有ベクトルの独立性)、とくに有限次元の $V$ のウェイトは有限個である。
$V$ を $\mathfrak{sl}_2(\mathbb{C})$ の有限次元表現、$0\neq v\in V$ を $hv=cv$、$ev=0$ を満たすベクトルとする。このとき $c=m$ は $0$ 以上の整数であり、$v_k:=f^kv$ とおくと
$$
hv_k=(m-2k)v_k,\qquad fv_k=v_{k+1},\qquad ev_k=k(m-k+1)v_{k-1}
$$
($v_{-1}=v_{m+1}=0$)が成り立ち、$v_0,\dots,v_m$ は線形独立で、それらが張る $m+1$ 次元の部分空間は既約な部分加群である。
$[h,f]=-2f$ から帰納的に $hf^kv=(c-2k)f^kv$ である。$ef^kv=k(c-k+1)f^{k-1}v$ も $k$ の帰納法で示す。$k=0$ は $ev=0$ である。$ef^kv=fef^{k-1}v+hf^{k-1}v$($[e,f]=h$)に帰納法の仮定を入れると、係数は $(k-1)(c-k+2)+(c-2k+2)=kc-k(k-1)=k(c-k+1)$ である。
$0$ でない $f^kv$ は $h$ の固有値が相異なるので線形独立であり、$V$ は有限次元だから $f^Nv=0$ となる最小の $N\ge1$ がある。$0=ef^Nv=N(c-N+1)f^{N-1}v$ で $f^{N-1}v\neq0$ だから $c=N-1$ である。よって $m:=c$ は $0$ 以上の整数で、$v_0,\dots,v_m$ は $0$ でなく線形独立、$v_{m+1}=0$ であり、3 つの式から張る空間 $U$ は $e,f,h$ で保たれる。$U$ の $0$ でない部分加群 $U'$ は $h$ で保たれるので、ある $v_k$ を含む($U'$ の元を固有ベクトルに分けた成分は $U'$ に入る)。$e$ を $k$ 回当てると $0$ でない係数 $\prod_{j=1}^{k}j(m-j+1)$ 倍の $v_0$ が得られ、$f$ を当てるとすべての $v_j$ が得られるので $U'=U$ である。$\square$
各 $m\ge0$ について、$m+1$ 次元の既約表現 $V(m)$ で、$h$ の固有値 $m$ の固有ベクトルが $e$ で消えるものが同型を除いてただ 1 つあり、$\mathfrak{sl}_2(\mathbb{C})$ の有限次元既約表現はどれかただ 1 つの $V(m)$ に同型である。
要点:存在は lem-hw-sl2 の式が関係式 $[e,f]=h$ などを満たすことの計算、分類は $h$ の固有ベクトルに $e$ を当て続けて極大なベクトルを作り、補題を当てることによる。
存在:基底 $v_0,\dots,v_m$ をもつ空間に lem-hw-sl2 の式で $e,f,h$ を作用させる。$(ef-fe)v_k=(k+1)(m-k)v_k-k(m-k+1)v_k=(m-2k)v_k=hv_k$ であり($k=m$ でも $(m+1)\cdot0=0$ と合う)、$e,f$ は $h$ の固有値を $\pm2$ ずらすので $[h,e]=2e$、$[h,f]=-2f$ も成り立つ。既約性は補題の最後の議論と同じである。
分類:既約な $V$ で $h$ の固有ベクトル $w$ をとると、$e^kw$ は $0$ でなければ固有値 $c+2k$ の固有ベクトルで、有限次元だから $e^kw\neq0=e^{k+1}w$ となる $k$ がある。$v:=e^kw$ に補題を当てると、張る部分加群は既約性から $V$ 全体で、作用は $m$ だけで決まる式で与えられる。$\dim V=m+1$ から $m$ も決まる。$\square$
$\mathfrak{sl}_2$ では $\mathfrak{h}=\mathbb{C}h$、$\Phi^+=\{\alpha\}$、$\alpha(h)=2$ で、ウェイト $\mu$ は数 $\mu(h)$ と同一視できる。$V(m)$ の最高ウェイトは $m$ である。
$V$ を $\mathfrak{g}$ 加群(有限次元とは限らない)、$v$ をウェイト $\lambda$ の極大ベクトルとする。$U$ を、$k\ge0$ と $\beta_1,\dots,\beta_k\in\Phi^+$ についての $f_{\beta_1}f_{\beta_2}\cdots f_{\beta_k}v$ が張る部分空間とする。このとき $U$ は $v$ を含む最小の部分加群であり、$U=\bigoplus_\mu U_\mu$(ウェイト空間の直和)、$U$ のウェイトはすべて $\preceq\lambda$ で、$U_\lambda=\mathbb{C}v$ である。
要点:$e_\alpha f_\beta=f_\beta e_\alpha+[e_\alpha,f_\beta]$ で $e_\alpha$ を右へ送り、$[e_\alpha,f_\beta]$ が $\mathfrak{h}$、正のルート空間、負のルート空間のどれかに入ることを使って、語の長さの帰納法で示す。
$f_{\beta_1}\cdots f_{\beta_k}v$ は $0$ でなければウェイト $\lambda-\beta_1-\cdots-\beta_k$ のウェイトベクトルである。$k\ge1$ なら $\beta_1+\cdots+\beta_k$ は $\Delta$ の $0$ 以上の係数の結合で $0$ でないので、ウェイトは $\lambda$ と異なり $\preceq\lambda$ である。よって $U$ はウェイト空間の直和で $U_\lambda=\mathbb{C}v$ である。
$U$ が部分加群であることを示す。$U_k$ を長さ $k$ 以下の積が張る空間とする。$f_\beta U_k\subset U_{k+1}$ であり、$\mathfrak{h}$ はウェイトベクトルを定数倍するので $U_k$ を保つ。$\alpha\in\Phi^+$ について $e_\alpha U_k\subset U_k$ を $k$ の帰納法で示す。$k=0$ は $e_\alpha v=0$ である。$w=f_\beta w'$($w'\in U_{k-1}$)について$$e_\alpha f_\beta w'=f_\beta(e_\alpha w')+[e_\alpha,f_\beta]w'$$であり、第 1 項は帰納法の仮定から $f_\beta U_{k-1}\subset U_k$ に入る。$[e_\alpha,f_\beta]\in\mathfrak{g}_{\alpha-\beta}$ は、$\alpha=\beta$ なら $\mathfrak{h}$ の元、$\alpha-\beta\in\Phi^+$ なら $e_{\alpha-\beta}$ の定数倍、$\alpha-\beta\in-\Phi^+$ なら $f_{\beta-\alpha}$ の定数倍、それ以外なら $0$ である。どの場合も $[e_\alpha,f_\beta]w'\in U_k$ である(2 番目の場合は帰納法の仮定)。$\mathfrak{g}$ は $\mathfrak{h}$ と $e_\alpha,f_\alpha$($\alpha\in\Phi^+$)で張られるので、$U=\bigcup_kU_k$ は部分加群である。$v$ を含む部分加群は $f_{\beta_1}\cdots f_{\beta_k}v$ をすべて含むので、$U$ は最小である。$\square$
$\mathfrak{g}$ を $\mathbb{C}$ 上の半単純 Lie 環とする。
1。$\mathfrak{h}$ は可換なので、その元は $V$ の上で互いに可換な線形変換として作用し、$\mathbb{C}$ 上の有限次元空間では共通の固有ベクトルをもつ。よって $V$ にはウェイトがあり、その個数は有限である。$\preceq$ はウェイトの有限集合の上の順序なので、極大なウェイト $\lambda$ がある。$\alpha\in\Phi^+$ について $\lambda\preceq\lambda+\alpha\neq\lambda$ だから $\lambda+\alpha$ はウェイトでなく、 $e_\alpha V_\lambda\subset V_{\lambda+\alpha}=0$ であり、$0\neq v\in V_\lambda$ は極大ベクトルである。
$V$ は既約なので、lem-hw-generate の部分加群 $U$ は $V$ に等しい。よって $V=\bigoplus_\mu V_\mu$、ウェイトはすべて $\preceq\lambda$、$V_\lambda=\mathbb{C}v$ である。別の極大ベクトル $v'$(ウェイト $\lambda'$)があれば、同じ理由で $V$ のウェイトはすべて $\preceq\lambda'$ なので $\lambda\preceq\lambda'\preceq\lambda$、$\lambda'=\lambda$ で、$v'\in V_\lambda=\mathbb{C}v$ である。
各 $i$ について、$e_i,h_i,f_i$ が張る $\mathfrak{sl}_2(\mathbb{C})$ と同型な部分 Lie 環の表現として $V$ を見ると、$e_iv=0$、$h_iv=\lambda(h_i)v$ なので、lem-hw-sl2 により $\lambda(h_i)$ は $0$ 以上の整数である。
2。$V,V'$ を最高ウェイト $\lambda$ の有限次元既約表現、$v,v'$ を極大ベクトルとする。$(v,v')\in V\oplus V'$ はウェイト $\lambda$ の極大ベクトルで、lem-hw-generate によりそれが生成する部分加群 $U$ は $U_\lambda=\mathbb{C}(v,v')$ を満たす。射影 $p\colon U\to V$ の像は $v$ を含む部分加群なので $V$ 全体である。$\operatorname{Ker}p=U\cap(0\oplus V')$ は $V'$ の部分加群とみなせるので $0$ か $0\oplus V'$ であるが、後者なら $(0,v')\in U_\lambda=\mathbb{C}(v,v')$ となり矛盾する。よって $p$ は同型 $U\cong V$ であり、同様に $U\cong V'$ だから $V\cong V'$ である。
3。この記事では一般の場合を証明しない(所在は rem-hw-existence)。$\mathfrak{g}=\mathfrak{sl}_n(\mathbb{C})$ の場合は prop-hw-sln で証明する。$\square$
次の命題は、極大ベクトルから既約表現を切り出す方法である。
$V$ を有限次元の $\mathfrak{g}$ 加群、$v$ をウェイト $\lambda$ の極大ベクトル、$U$ を $v$ が生成する部分加群とする。$U$ の真の部分加群全体の和 $M$ は真の部分加群であり、$U/M$ は最高ウェイト $\lambda$ の有限次元既約表現である。
要点:真の部分加群はウェイト $\lambda$ の成分をもたないので、それらの和も真であり、商は既約になる。
lem-hw-generate により $U=\bigoplus_\mu U_\mu$ で $U_\lambda=\mathbb{C}v$ である。部分加群 $U'$ は $\mathfrak{h}$ で保たれるので、$U'=\bigoplus_\mu(U'\cap U_\mu)$ である($U'$ の元をウェイト成分に分けると、Vandermonde 型の議論で各成分が $U'$ に入る)。$U'\cap U_\lambda\neq0$ なら $v\in U'$ で $U'=U$ だから、真の部分加群は $\bigoplus_{\mu\neq\lambda}U_\mu$ に含まれ、その和 $M$ も含まれて真である。$U/M$ の部分加群は $M$ を含む $U$ の部分加群に対応するので、$U/M$ は既約である。$v$ の像は $0$ でなく、ウェイト $\lambda$ の極大ベクトルである。$\square$
$n\ge2$、$\mathfrak{g}=\mathfrak{sl}_n(\mathbb{C})$ とし、$\mathfrak{h}$ を跡 $0$ の対角行列、$\varepsilon_i\in\mathfrak{h}^*$ を第 $i$ 対角成分とする(半単純Lie環 の命題「$\mathfrak{sl}_n$ のルート分解」)。基を $\alpha_i=\varepsilon_i-\varepsilon_{i+1}$($1\le i\le n-1$)にとると、$\Phi^+=\{\varepsilon_i-\varepsilon_j\mid i< j\}$ で(ルート系 の例「$A_{n-1}$ 型」)、$e_{\varepsilon_i-\varepsilon_j}=E_{ij}$、$f_{\varepsilon_i-\varepsilon_j}=E_{ji}$、$h_{\varepsilon_i-\varepsilon_j}=E_{ii}-E_{jj}$ ととれる。とくに $h_i=E_{ii}-E_{i+1,i+1}$ である。以下、$\mathbb{C}^n$ の標準基底を $e_1,\dots,e_n$ と書く(ルートベクトル $e_i=E_{i,i+1}$ とは別のものである)。$\omega_k:=\varepsilon_1+\cdots+\varepsilon_k$($1\le k\le n-1$)を基本ウェイトという。
一般線形群 $GL_n(\mathbb{C})$ の有限次元表現(行列成分が正則関数であるもの)では、対角行列の群 $T$ の作用でウェイトを考え、上三角行列の群が固定する直線の上で $\operatorname{diag}(x_1,\dots,x_n)$ が $x_1^{\lambda_1}\cdots x_n^{\lambda_n}$ 倍で作用するとき、整数列 $\lambda=(\lambda_1,\dots,\lambda_n)$ を最高ウェイトという。既約表現の同型類は $\lambda_1\ge\lambda_2\ge\cdots\ge\lambda_n$ を満たす整数列と一対一に対応する(FH91 pp. 231–232、Proposition 15.47。この記事では証明しない)。
thm-hw-main の条件を 1 つずつ外す。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 有限次元 | $\mathfrak{sl}_2$ の無限次元表現 $M(-1)$ | 既約で極大ベクトルをもつのに、そのウェイト $-1$ は支配的でない |
| 既約 | $\mathfrak{sl}_2$ の $\mathbb{C}^2\oplus\mathbb{C}^2$ | 極大ベクトルがスカラー倍を除いて一意 |
| 半単純 | $\mathfrak{sl}_2$ を部分 Lie 環 $\mathfrak{b}=\mathbb{C}h\oplus\mathbb{C}e$ に替え、1 次元表現 $h\mapsto\tfrac12$、$e\mapsto0$ | 極大ベクトルのウェイトが整数 |
1 行目:$c\in\mathbb{C}$ について、基底 $v_0,v_1,v_2,\dots$ をもつ空間 $M(c)$ に $hv_k=(c-2k)v_k$、$fv_k=v_{k+1}$、$ev_k=k(c-k+1)v_{k-1}$ で作用させる。cor-hw-sl2 の証明と同じ計算で $\mathfrak{sl}_2$ の表現であり($\mathfrak{sl}_2$ の Verma 加群)、$v_0$ はウェイト $c$ の極大ベクトルである。$c=-1$ なら $k\ge1$ で $k(c-k+1)=-k^2\neq0$ である。$0$ でない部分加群は $h$ で保たれるので($h$ の固有値 $c-2k$ が相異なる)ある $v_k$ を含み、$e$ を当てて $v_0$、$f$ を当ててすべての $v_j$ を得るので、$M(-1)$ は既約である。$-1$ は $0$ 以上の整数でない。lem-hw-sl2 の有限次元性が「$f^Nv=0$ となる $N$ がある」の段で必要なことを示す。
2 行目:$(e_1,0)$ と $(0,e_1)$ はどちらもウェイト $1$ の極大ベクトルで、互いにスカラー倍でない。既約でないので lem-hw-generate の $U$ が全体にならない。
3 行目:$[h,e]=2e$ の両辺は $\tfrac12\cdot0-0\cdot\tfrac12=0$ と $2\cdot0=0$ で一致するので、$\mathfrak{b}$ の 1 次元表現である。$0$ でないベクトルは $h$ の固有値 $\tfrac12$ の固有ベクトルで $e$ で消えるが、$\tfrac12$ は整数でない。$\mathfrak{b}$ は可解で、$e,h$ と組む $f$ がないので lem-hw-sl2 が使えない。
$\rho$ を正のルートの和の半分、$W$ を Weyl 群(Weyl群)とすると、最高ウェイト $\lambda$ の既約表現の指標は
$$
\sum_\mu\dim V(\lambda)_\mu\,e^{\mu}=\frac{\sum_{w\in W}\operatorname{sgn}(w)\,e^{w(\lambda+\rho)}}{\sum_{w\in W}\operatorname{sgn}(w)\,e^{w\rho}}
$$
で与えられ(Weyl の指標公式。FH91 Theorem 24.2、p. 400、証明は §25.2)、次元は $\dim V(\lambda)=\prod_{\alpha\in\Phi^+}(\lambda+\rho,\alpha)/(\rho,\alpha)$ である(同 Corollary 24.6、p. 402)。$\mathfrak{sl}_2$ では $\rho=\alpha/2$、$\lambda=m\alpha/2$ で、次元は $(m+1)/1=m+1$ となり cor-hw-sl2 と一致する。
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