2曲線の交点を通る図形(束)

同義語:2曲線の交点を通る図形figures through the intersection of two curves

概要

2曲線の交点を通る図形(束)(figures through the intersection of two curves)とは、$f(x,y)=0$、$g(x,y)=0$ から作る方程式 $\lambda f+\mu g=0$($\lambda,\mu$ は実数で $(\lambda,\mu)\ne(0,0)$)の表す図形の全体である。どの図形も交点($f=g=0$ の点)をすべて通る。共通でない点 $P$ を指定すると、$P$ を通る図形は比 $\lambda:\mu=g(P):(-f(P))$ でただ 1 つに決まる。高校の $f+kg=0$ は $\lambda=1$ の場合で、$g=0$ 自身が漏れるので、$g(P)=0$ の点では $k$ が見つからない。平行でない 2 直線の交点を通る直線や、円と直線の 2 交点を通る円は、束に入る。$k$ によらず通る点は共通の点である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 直線の方程式と点と直線の距離, 円と直線の位置関係, 恒等式と未定係数法

高校での出発点:交点を求めずに、交点を通る図形を作る

数学 II では、2 つの図形 $f(x,y)=0$、$g(x,y)=0$ の交点を通る図形を、交点の座標を求めずに
$$ f(x,y)+k\,g(x,y)=0\qquad(k\text{ は定数}) $$
とおいて求める方法を習う。まず 2 つの計算をしてみる。

2 直線の交点と原点を通る直線

2 直線 $2x-y-1=0$、$x+y-5=0$ の交点と原点を通る直線を求める。
段 1(式をおく)。$f=2x-y-1$、$g=x+y-5$ として
$$ (2x-y-1)+k(x+y-5)=0 $$
を考える。2 直線の交点では $f=0$ かつ $g=0$ なので、$k$ がどんな値でも左辺は $0+k\cdot0=0$ になる。つまりこの式は、$k$ によらず交点を通る。
段 2(原点を通る条件)。$x=0$、$y=0$ を代入すると $-1+k\cdot(-5)=0$ なので、$k=-\dfrac15$ である。
段 3(整理)。$k=-\dfrac15$ を代入して両辺に $5$ を掛けると
$$ 5(2x-y-1)-(x+y-5)=10x-5y-5-x-y+5=9x-6y=0 $$
で、求める直線は $3x-2y=0$ である。
確かめ。2 直線を連立すると、2 式を足して $3x-6=0$、$x=2$、$y=3$ で、交点は $(2,3)$ である。$3\cdot2-2\cdot3=0$ なので、$3x-2y=0$ はたしかに $(2,3)$ と原点を通る。

円と直線の交点と原点を通る円

円 $x^2+y^2-13=0$ と直線 $x-y-1=0$ の 2 つの交点と、原点を通る円を求める。
段 1(式をおく)。$f=x^2+y^2-13$、$g=x-y-1$ として $f+kg=0$、つまり
$$ x^2+y^2-13+k(x-y-1)=0 $$
を考える。ex-pen-hs-lines の段 1 と同じ理由で、この式は $k$ によらず 2 つの交点を通る。
段 2(原点を通る条件)。原点を代入すると $-13+k\cdot(-1)=0$ なので $k=-13$ である。
段 3(整理)。$x^2+y^2-13-13x+13y+13=0$、つまり
$$ x^2+y^2-13x+13y=0 $$
である。平方完成すると $\left(x-\dfrac{13}2\right)^2+\left(y+\dfrac{13}2\right)^2=\dfrac{169}2$ で、中心 $\left(\dfrac{13}2,-\dfrac{13}2\right)$、半径 $\dfrac{13}{\sqrt2}$ の円である。
確かめ。$y=x-1$ を円に代入すると $x^2+(x-1)^2=13$、$2x^2-2x-12=0$、$x^2-x-6=0$、$(x-3)(x+2)=0$ で、交点は $(3,2)$ と $(-2,-3)$ である。求めた円の左辺に代入すると、$(3,2)$ では $9+4-39+26=0$、$(-2,-3)$ では $4+9+26-39=0$ で、どちらも通る(図 1 の赤い円)。

円 f = x² + y² − 13 = 0(黒)と直線 g = x − y − 1 = 0(灰色の破線)の交点 (3, 2)、(−2, −3) を、f + kg = 0 の形の円がすべて通る。赤は原点を通る k = −13 の円 円 f = x² + y² − 13 = 0(黒)と直線 g = x − y − 1 = 0(灰色の破線)の交点 (3, 2)、(−2, −3) を、f + kg = 0 の形の円がすべて通る。赤は原点を通る k = −13 の円
2 つの例では、交点の座標を知らなくても答えが出た。しかし、この方法には注意すべき点がある。たとえば ex-pen-hs-circle で「2 つの交点と点 $(1,0)$ を通る円」を同じ方法で求めようとすると、$k$ が見つからない(ex-pen-leak)。この記事では次の問いに答える。

  1. $f+kg=0$ はなぜ交点をすべて通るのか。1 点を指定すると $k$ が 1 つに決まるのはなぜか。→ thm-pen-basic
  2. $f+kg=0$ の形では表せない図形はあるか。→ ex-pen-leak、def-pen-pencil
  3. 交点を通る直線(円)は、すべて $f+kg=0$ の形に書けるか。→ thm-pen-lines、prop-pen-circle-line
  4. 「$k$ の値にかかわらず通る点」を求める問題とは、どういう関係にあるか。→ cor-pen-fixed
  5. $f=0$ と $g=0$ が交わらないとき、$f+kg=0$ は何を表すか。→ ex-pen-parallel、ex-pen-disjoint
    高校の計算この記事の言葉大学の言葉
    $f+kg=0$ とおく束の図形(def-pen-pencil)方程式の 1 次結合
    交点では $f=g=0$ なので $k$ によらず通る共通の点(thm-pen-basic の 1)線形系の基点
    1 点を代入して $k$ を決める1 点を通る図形はただ 1 つ(thm-pen-basic の 2)1 次方程式 1 つで比 $\lambda:\mu$ が決まる
    $g=0$ 自身は $f+kg=0$ に入らない$k=\infty$ にあたる図形射影直線の無限遠点
    $k$ の値にかかわらず通る定点共通の点(cor-pen-fixed)恒等式

取り出す構造:方程式の 1 次結合

以下、$f(x,y)$、$g(x,y)$ は $x$、$y$ の多項式とし、方程式 $f(x,y)=0$ を満たす点 $(x,y)$ 全体を「図形 $f=0$」と呼ぶ。

2 つの方程式が定める束

多項式 $f$、$g$ と、少なくとも一方は $0$ でない実数の組 $(\lambda,\mu)$(つまり $(\lambda,\mu)\ne(0,0)$)に対して、方程式
$$ \lambda f(x,y)+\mu g(x,y)=0 $$
の表す図形を考える。$(\lambda,\mu)$ を動かしてできる図形の全体を、$f$ と $g$ が定める 束 という。$f=0$ と $g=0$ の両方を満たす点を、2 つの図形の 共通の点(交点)という。

$(\lambda,\mu)$ と $(c\lambda,c\mu)$($c\ne0$)は、方程式の両辺を $c$ 倍しただけなので、同じ図形を表す。$\lambda\ne0$ のときは両辺を $\lambda$ で割り、$k=\dfrac\mu\lambda$ とおけば $f+kg=0$ の形になる。$\lambda=0$ のときは $\mu\ne0$ なので、方程式は $g=0$ そのものである。つまり
$$ \text{束の図形}=\{\,f+kg=0\ (k\text{ は実数})\,\}\ \text{と}\ \{\,g=0\,\} $$
である。高校の $f+kg=0$ は、束から $g=0$ の 1 つだけを除いたものである。

束を書き出してみる
  1. $f=x$、$g=y$($y$ 軸と $x$ 軸)。束の図形は $\lambda x+\mu y=0$ で、原点を通る直線がすべて現れる。たとえば $(\lambda,\mu)=(1,-1)$ で $y=x$、$(\lambda,\mu)=(2,1)$ で $y=-2x$ である。一方 $f+kg=0$、つまり $x+ky=0$ の形では、$k$ をどう選んでも $y$ の係数が $k$、$x$ の係数が $1$ なので、$x$ 軸 $y=0$($x$ の係数が $0$)は現れない。$x$ 軸は $(\lambda,\mu)=(0,1)$、つまり $g=0$ 自身である。
  2. $f=x^2+y^2-1$、$g=x$(単位円と $y$ 軸。交点は $(0,1)$、$(0,-1)$)。$f+kg=0$ は $x^2+y^2+kx-1=0$、平方完成して
    $$ \left(x+\frac k2\right)^2+y^2=\frac{k^2}4+1 $$
    である。右辺は正なので、どの $k$ でも中心 $\left(-\dfrac k2,0\right)$、半径 $\sqrt{\dfrac{k^2}4+1}$ の円である。$k=2$ なら中心 $(-1,0)$、半径 $\sqrt2$ の円 $x^2+y^2+2x-1=0$ で、$(0,1)$ を代入すると $0+1+0-1=0$ となり、たしかに通る。ここでも $y$ 軸 $x=0$ 自身は $f+kg=0$ の形には現れない。

主定理 1:共通の点を通り、1 点で 1 つに決まる

束の基本性質

多項式 $f$、$g$ が定める束(def-pen-pencil)について、次が成り立つ。

  1. 共通の点は、束のすべての図形の上にある。
  2. 共通の点でない点 $P$ に対して、$P$ を通る束の図形は、方程式として(両辺の定数倍の違いを除いて)ただ 1 つあり、それは $(\lambda,\mu)=\bigl(g(P),\,-f(P)\bigr)$ の図形である。
  3. 2 の $P$ について、$g(P)\ne0$ なら $f+kg=0$ が $P$ を通る $k$ はただ 1 つで、$k=-\dfrac{f(P)}{g(P)}$ である。$g(P)=0$ なら、$f+kg=0$ が $P$ を通る $k$ は存在せず、$P$ を通る束の図形は $g=0$ 自身である。
1 次方程式として解く

方針:点 $P$ を固定すると、$f(P)$、$g(P)$ はただの数になる。「$P$ が図形 $\lambda f+\mu g=0$ の上にある」は、$\lambda$、$\mu$ についての 1 次方程式 $\lambda f(P)+\mu g(P)=0$ になるので、それを解く。
段 1(1 の証明)。$P$ が共通の点なら $f(P)=0$、$g(P)=0$ なので、どんな $(\lambda,\mu)$ に対しても $\lambda f(P)+\mu g(P)=\lambda\cdot0+\mu\cdot0=0$ である。よって $P$ はすべての図形 $\lambda f+\mu g=0$ の上にある。
段 2(2 の証明:解の形)。$P$ が共通の点でないとき、$f(P)$ と $g(P)$ の少なくとも一方は $0$ でない。$a=f(P)$、$b=g(P)$ とおくと、$P$ が図形 $\lambda f+\mu g=0$ の上にある条件は
$$ a\lambda+b\mu=0 $$
である。$(\lambda,\mu)=(b,-a)$ はこれを満たし($ab-ba=0$)、$(a,b)\ne(0,0)$ なので $(b,-a)\ne(0,0)$ である。
段 3(2 の証明:ほかの解は定数倍)。$(\lambda,\mu)$ が $a\lambda+b\mu=0$ を満たすとする。$b\ne0$ のときは $\mu=-\dfrac ab\lambda$ なので、$c=\dfrac\lambda b$ とおくと $\lambda=cb$、$\mu=-ca$ で、$(\lambda,\mu)=c(b,-a)$ である。$b=0$ のときは $a\ne0$ なので $\lambda=0$ で、$c=-\dfrac\mu a$ とおくと $(\lambda,\mu)=(0,\mu)=c(0,-a)=c(b,-a)$ である。どちらの場合も $(\lambda,\mu)\ne(0,0)$ なら $c\ne0$ で、方程式 $\lambda f+\mu g=0$ は $bf-ag=0$ の $c$ 倍である。
段 4(3 の証明)。$f+kg=0$ は $(\lambda,\mu)=(1,k)$ の場合である。$P$ を通る条件は $a+kb=0$ である。$b\ne0$ なら $k=-\dfrac ab$ とただ 1 つに決まる。$b=0$ なら条件は $a=0$ になるが、$P$ は共通の点でないので $a\ne0$ であり、どの $k$ でも成り立たない。このとき段 2 の解は $(b,-a)=(0,-a)$ で、方程式は $-ag=0$、両辺を $-a\ne0$ で割って $g=0$ である。$\square$

ex-pen-hs-lines の段 2 と ex-pen-hs-circle の段 2 は、この定理の 3 の計算そのものである。どちらも原点は $g$ の図形の上にない(ex-pen-hs-lines では $g(0,0)=-5$、ex-pen-hs-circle では $g(0,0)=-1$)ので、$k$ がただ 1 つ決まった。

$k$ が見つからない点

ex-pen-hs-circle の円 $f=x^2+y^2-13$ と直線 $g=x-y-1$ で、「2 つの交点と点 $(1,0)$ を通る円」を $f+kg=0$ で求めようとする。$(1,0)$ を代入すると
$$ 1+0-13+k(1-0-1)=-12+k\cdot0=-12 $$
で、$k$ によらず $-12\ne0$ である。$k$ は存在しない。
理由は $g(1,0)=1-0-1=0$、つまり点 $(1,0)$ が直線 $x-y-1=0$ の上にあることである(thm-pen-basic の 3)。束の中で $(1,0)$ を通る図形は直線 $g=0$ 自身だけである。
実際、3 点 $(3,2)$、$(-2,-3)$、$(1,0)$ はすべて直線 $y=x-1$ の上にあるので、この 3 点を通る円はない(円と直線の共有点は多くて 2 個。円と直線の位置関係)。$f+kg=0$ で $k$ が見つからないことは、この事実を正しく反映している。

2 直線の束で $g$ 自身が必要になる例

ex-pen-hs-lines の $f=2x-y-1$、$g=x+y-5$ で、交点 $(2,3)$ と点 $(4,1)$ を通る直線を求める。$g(4,1)=4+1-5=0$ なので、$f+kg=0$ では求まらない。実際 $f(4,1)+kg(4,1)=8-1-1+k\cdot0=6\ne0$ である。求める直線は $g=0$、つまり $x+y-5=0$ 自身である。
$\lambda f+\mu g=0$ の形なら、thm-pen-basic の 2 により $(\lambda,\mu)=(g(4,1),-f(4,1))=(0,-6)$ で、$-6(x+y-5)=0$ がきちんと出てくる。

答えを $f+kg=0$ の形で探すときは、「$g=0$ 自身が答えではないか」を別に調べる必要がある。はじめから $\lambda f+\mu g=0$ とおけば、この確認はいらない。

$k$ の値にかかわらず通る点

thm-pen-basic の 1 は、向きを逆にして使うこともできる。$k$ を含む方程式が与えられたとき、$k$ の値にかかわらず通る点を求める問題である。

$k$ によらず通る点

点 $P$ について、次の 2 つは同値である。

  1. すべての実数 $k$ について、$P$ は $f+kg=0$ の上にある。
  2. $P$ は共通の点、つまり $f(P)=0$ かつ $g(P)=0$ である。
    さらに、1 の代わりに「2 つの異なる値 $k_1\ne k_2$ について $P$ が $f+kg=0$ の上にある」としても、2 と同値である。
2 つの $k$ を代入する

方針:$f(P)+kg(P)$ は $k$ の 1 次式なので、2 つの値で $0$ になれば係数がどちらも $0$ である。
段 1(2 ならば 1)。thm-pen-basic の 1 である。
段 2(2 つの値から 2 へ)。$f(P)+k_1g(P)=0$ と $f(P)+k_2g(P)=0$ を引くと $(k_1-k_2)g(P)=0$ で、$k_1\ne k_2$ なので $g(P)=0$ である。これを 1 つ目の式に戻すと $f(P)=0$ である。
段 3(1 ならば 2 つの値)。1 が成り立てば、たとえば $k_1=0$、$k_2=1$ で成り立つので、段 2 から 2 が出る。$\square$

$k$ によらず通る点を求める
  1. 直線 $(k+1)x+(2k-1)y-3k=0$ が、$k$ の値にかかわらず通る点を求める。左辺を $k$ について整理すると
    $$ (x-y)+k(x+2y-3)=0 $$
    である。cor-pen-fixed により、求める点は $x-y=0$ と $x+2y-3=0$ の共通の点で、$x=y$ を代入して $3y=3$、点 $(1,1)$ である。確かめると、$(k+1)+(2k-1)-3k=0$ で、たしかに $k$ によらず成り立つ。
  2. 円 $x^2+y^2-2kx+4ky-10+10k=0$ が $k$ によらず通る点を求める。整理すると $(x^2+y^2-10)+k(-2x+4y+10)=0$ である。共通の点は $x^2+y^2=10$ と $x-2y-5=0$ の交点で、$x=2y+5$ を代入すると $(2y+5)^2+y^2=10$、$5y^2+20y+15=0$、$y^2+4y+3=0$、$y=-1,-3$ である。点は $(3,-1)$ と $(-1,-3)$ の 2 つである。たとえば $(3,-1)$ では $9+1-6k-4k-10+10k=0$ で、たしかに $k$ によらない。

cor-pen-fixed の段 2 は、「$k$ についての恒等式なら係数がすべて $0$」という 恒等式と未定係数法 の考え方を、1 次式の場合に確かめたものである。これと対になる問い「$k$ を動かしたとき、直線が少なくとも 1 回は通る点はどこか」は、通過領域と包絡線 で扱う。

主定理 2:交点を通る直線・円はすべて束に入る

thm-pen-basic は「束の図形は共通の点を通る」ことを述べた。逆に「共通の点を通る図形は、すべて束に入るか」を考える。これが成り立つと、「交点を通る直線(円)を求めよ」という問題で、$f+kg=0$ とおく方法(と $g=0$ 自身の確認)で答えを取りこぼさないことが保証される。

2 直線の交点を通る直線

2 直線 $f=a_1x+b_1y+c_1=0$、$g=a_2x+b_2y+c_2=0$ は平行でない($a_1b_2-a_2b_1\ne0$)とし、交点を $P_0$ とする。このとき次が成り立つ。

  1. 束の図形 $\lambda f+\mu g=0$ は、どれも $P_0$ を通る直線である。
  2. $P_0$ を通る直線は、どれも $\lambda f+\mu g=0$ の形に書ける。
2 点目を 1 つ選ぶ

方針:1 は係数を調べる。2 は、与えられた直線の上に $P_0$ 以外の点 $Q$ を 1 つとり、thm-pen-basic で $Q$ を通る束の図形を作る。それは $P_0$ と $Q$ を通る直線なので、与えられた直線と一致する。
段 1(係数が両方 $0$ にならない)。$\lambda f+\mu g=(\lambda a_1+\mu a_2)x+(\lambda b_1+\mu b_2)y+(\lambda c_1+\mu c_2)$ である。$x$ と $y$ の係数がともに $0$、つまり
$$ \lambda a_1+\mu a_2=0,\qquad \lambda b_1+\mu b_2=0 $$
と仮定する。1 つ目の式に $b_2$ を、2 つ目の式に $a_2$ を掛けて引くと $\lambda(a_1b_2-a_2b_1)=0$ で、$a_1b_2-a_2b_1\ne0$ なので $\lambda=0$ である。同じように、1 つ目に $b_1$、2 つ目に $a_1$ を掛けて引くと $\mu(a_2b_1-a_1b_2)=0$ で $\mu=0$ である。これは $(\lambda,\mu)\ne(0,0)$ に反する。よって $x$、$y$ の係数の少なくとも一方は $0$ でなく、$\lambda f+\mu g=0$ は直線を表す。
段 2(1 の証明)。段 1 により直線であり、$P_0$ は共通の点なので thm-pen-basic の 1 により $P_0$ を通る。
段 3(2 の証明)。$P_0$ を通る直線 $h$ をとり、$h$ の上に $P_0$ と異なる点 $Q$ をとる。2 直線の共通の点は $P_0$ だけなので、$Q$ は共通の点でない。thm-pen-basic の 2 により、$(\lambda,\mu)=\bigl(g(Q),-f(Q)\bigr)\ne(0,0)$ の図形 $\lambda f+\mu g=0$ は $Q$ を通る。段 2 によりこれは $P_0$ も通る直線である。異なる 2 点 $P_0$、$Q$ を通る直線はただ 1 本なので、この直線は $h$ である。$\square$

交点 (2, 3) を通る直線を束で書く

ex-pen-hs-lines の $f=2x-y-1$、$g=x+y-5$(交点 $(2,3)$)で、$(2,3)$ を通るいくつかの直線を束の形で書く。
(1) $y$ 軸に平行な直線 $x=2$。$\lambda f+\mu g$ の $y$ の係数 $-\lambda+\mu$ を $0$ にすればよいので $\lambda=\mu=1$ で、$f+g=3x-6$ である。$3x-6=0$ は $x=2$ である。
(2) $x$ 軸に平行な直線 $y=3$。$x$ の係数 $2\lambda+\mu$ を $0$ にすればよいので $(\lambda,\mu)=(1,-2)$ で、$f-2g=2x-y-1-2x-2y+10=-3y+9$ である。$-3y+9=0$ は $y=3$ である。
(3) 直線 $x+y-5=0$ は $(\lambda,\mu)=(0,1)$ で、$f+kg=0$ の形には入らない(ex-pen-leak-lines)。

円と直線の場合

円と直線が 2 点で交わるとき、2 つの交点を通る円もすべて束に入る。円と円の場合(円の束)は 根軸と根心 で扱うので、ここでは高校でよく使う「円と直線」の場合を述べる。

円と直線の交点を通る円

$f=x^2+y^2+Dx+Ey+F$ とし、円 $f=0$ と直線 $g=ax+by+c=0$($(a,b)\ne(0,0)$)が異なる 2 点 $A$、$B$ で交わるとする。$x^2+y^2$ の係数が $1$ の方程式
$$ h=x^2+y^2+D'x+E'y+F'=0 $$
について、次の 2 つは同値である。

  1. $h(A)=0$ かつ $h(B)=0$。
  2. ある実数 $k$ で $h=f+kg$ となる。
    さらにこのとき、$h=0$ は $A$、$B$ を通る円である。
差は $A$、$B$ を通る 1 次式

方針:$h-f$ は $x^2+y^2$ が消えて 1 次以下の式になる。それが $A$、$B$ で $0$ になるので、直線 $AB$ の式の定数倍である。
段 1(2 ならば 1)。$f(A)=g(A)=0$ なので $h(A)=f(A)+kg(A)=0$ である。$B$ も同じである。
段 2(1 ならば 2:差をとる)。$h-f=(D'-D)x+(E'-E)y+(F'-F)$ である。$p=D'-D$、$q=E'-E$、$s=F'-F$ とおくと、$h-f=px+qy+s$ で、1 から $A$、$B$ で $0$ になる($h(A)-f(A)=0-0=0$)。
段 3($p=q=0$ の場合)。$h-f=s$ は定数で、$A$ で $0$ になるので $s=0$ である。$h=f=f+0\cdot g$ で、$k=0$ である。
段 4($(p,q)\ne(0,0)$ の場合)。$px+qy+s=0$ は直線で、$A$、$B$ を通る。異なる 2 点を通る直線はただ 1 本なので、この直線は $g=0$ と同じ直線である。同じ直線を表す 2 つの 1 次式は定数倍しか違わないことを確かめる。直線 $g=0$ の方向ベクトルは $(-b,a)$ で、$B-A$ はその $0$ でない実数倍である。$p x+qy+s$ も $A$、$B$ で $0$ になるので、引き算して $(p,q)\cdot(B-A)=0$、つまり $(p,q)\cdot(-b,a)=0$、$-pb+qa=0$ である。$(a,b)\ne(0,0)$ なので、$a\ne0$ なら $k=\dfrac pa$ とおくと $q=\dfrac{pb}a=kb$、$p=ka$ である。$a=0$ なら $b\ne0$ で、$-pb=0$ から $p=0=ka$($k=\dfrac qb$ とおく)、$q=kb$ である。どちらでも $(p,q)=k(a,b)$ である。最後に $A$ を代入すると $0=pA_x+qA_y+s=k(aA_x+bA_y)+s=k(-c)+s$ なので $s=kc$ である。よって $h-f=k(ax+by+c)=kg$ である。
段 5(円であること)。$h=0$ は $x^2+y^2$ の係数が $1$ なので、平方完成すると $(x-p_0)^2+(y-q_0)^2=R$ の形になり、$R>0$ なら円、$R=0$ なら 1 点、$R<0$ なら空集合である(円と直線の位置関係)。$h=0$ は異なる 2 点 $A$、$B$ を含むので、1 点でも空集合でもなく、$R>0$ で円である。$\square$

段 4 の「同じ直線を表す 1 次式は定数倍しか違わない」は、根軸と根心 の円の束の証明でも使われている。

2 つの交点を直径の両端とする円

ex-pen-hs-circle の $A(3,2)$、$B(-2,-3)$ を直径の両端とする円は、中心が中点 $\left(\dfrac12,-\dfrac12\right)$、半径の 2 乗が $\dfrac{AB^2}4=\dfrac{5^2+5^2}4=\dfrac{25}2$ なので
$$ \left(x-\frac12\right)^2+\left(y+\frac12\right)^2=\frac{25}2,\qquad\text{展開して}\qquad x^2+y^2-x+y-12=0 $$
である。prop-pen-circle-line により、これは $f+kg$ の形のはずである。$x$ の係数を比べると $f+kg=x^2+y^2+kx-ky-13-k$ の $x$ の係数は $k$ なので $k=-1$ で、このとき $f-g=x^2+y^2-x+y-12$ となり、たしかに一致する(図 1 の青い円)。

接点で接する円の族

円 $f=x^2+y^2-2=0$ と直線 $g=x+y-2=0$ は、点 $(1,1)$ で接する(中心 $(0,0)$ と直線の距離は $\dfrac{|-2|}{\sqrt2}=\sqrt2$ で、半径 $\sqrt2$ に等しい)。$f+kg=0$ は
$$ x^2+y^2+kx+ky-2-2k=0,\qquad\text{平方完成して}\qquad \left(x+\frac k2\right)^2+\left(y+\frac k2\right)^2=\frac{k^2}2+2k+2=\frac{(k+2)^2}2 $$
である。$k\ne-2$ なら中心 $\left(-\dfrac k2,-\dfrac k2\right)$、半径 $\dfrac{|k+2|}{\sqrt2}$ の円で、$(1,1)$ を通る($1+1+k+k-2-2k=0$)。中心から $(1,1)$ へのベクトルは $\left(1+\dfrac k2\right)(1,1)$ で、直線 $x+y-2=0$ の法線ベクトル $(1,1)$ に平行なので、この円は $(1,1)$ で直線に接する(接線は接点を通る半径に垂直。円と直線の位置関係)。$k=-2$ のときは右辺が $0$ で、図形は 1 点 $(1,1)$ だけである。
共通の点は $(1,1)$ の 1 つだけだが、$f+kg=0$ は「$(1,1)$ を通る円」全体ではなく、「$(1,1)$ で直線 $g=0$ に接する円」だけを表している(図 2)。
実際、$(1,1)$ と原点を通る円 $x^2+y^2-2y=0$(中心 $(0,1)$、半径 $1$。$(1,1)$ で $1+1-2=0$)は束に入らない。$x^2+y^2+kx+ky-2-2k$ と $x$ の係数を比べると $k=0$ が必要だが、$k=0$ の式は $x^2+y^2-2$ で、$y$ の係数が $0$ となり $-2$ と一致しないからである($g=0$ 自身は直線なので、これとも一致しない)。

円 x² + y² − 2 = 0(黒)と、点 (1, 1) での接線 x + y − 2 = 0(破線)。f + kg = 0 の円はすべて (1, 1) でこの直線に接する 円 x² + y² − 2 = 0(黒)と、点 (1, 1) での接線 x + y − 2 = 0(破線)。f + kg = 0 の円はすべて (1, 1) でこの直線に接する

交点を通っても束に入らない 2 次曲線

prop-pen-circle-line は、$x^2+y^2$ の係数が $1$ の方程式(円・1 点・空集合を表す形)に限った主張である。この限定を外すと成り立たない。たとえば
$$ h=x^2+xy-y-13 $$
は $A(3,2)$ で $9+6-2-13=0$、$B(-2,-3)$ で $4+6+3-13=0$ となり、2 点を通る。しかし $h$ には $xy$ の項があり、$f+kg=x^2+y^2-13+k(x-y-1)$ にはどの $k$ でも $xy$ の項がないので、$h$ は $f+kg$ の形に書けない($(\lambda,\mu)$ を使っても同じである)。$h=f+(x-y-1)\cdot y$ と書けるので、$h=0$ は $A$、$B$ を通るが、$g$ に掛けたものが定数ではなく 1 次式 $y$ である。2 点を通る 2 次曲線は、円の束よりずっと多い。

交点がないとき、図形の種類が変わるとき

thm-pen-basic の 1 は、共通の点がなくても正しい(主張することが何もないだけである)。そのとき $f+kg=0$ は何を表すかを、2 つの例で見る。

平行な 2 直線の束

$f=x+y-1$、$g=x+y-3$(平行な 2 直線。共通の点はない)。$f+kg=0$ を整理すると
$$ (1+k)(x+y)-(1+3k)=0 $$
である。$k\ne-1$ なら $x+y=\dfrac{1+3k}{1+k}$ で、2 直線に平行な直線である。たとえば $k=1$ で $x+y=2$(2 直線のちょうど中間)である。$k=-1$ なら $x$、$y$ の係数がともに $0$ になり、左辺は $0\cdot x+0\cdot y-(1-3)=2$ となり、方程式は $2=0$ で、満たす点はない(空集合)。
thm-pen-lines は「2 直線が平行でない」ことを仮定していた。この例では、その仮定を外したので、束の図形は 1 点を通る直線の全体ではなく、平行な直線の全体と空集合になった。

交わらない円と直線の束

$f=x^2+y^2-1$(単位円)、$g=x-2$(直線 $x=2$。円と交わらない)。$f+kg=0$ は $x^2+y^2+kx-1-2k=0$、平方完成して
$$ \left(x+\frac k2\right)^2+y^2=\frac{k^2}4+2k+1=\frac{k^2+8k+4}4 $$
である。右辺が $0$ になるのは $k^2+8k+4=0$、つまり $k=-4\pm2\sqrt3$ のときで、そのとき図形は 1 点 $\left(2\mp\sqrt3,0\right)$ だけになる($-\dfrac k2=2\mp\sqrt3$)。$-4-2\sqrt3< k<-4+2\sqrt3$ では右辺が負で、空集合である。それ以外の $k$ では円である。たとえば $k=1$ では $\left(x+\dfrac12\right)^2+y^2=\dfrac{13}4$ の円になる。
このように、交点がないときの $f+kg=0$ には、円・1 点・空集合が混ざる。「交点を通る円を求める」という使い方はできないが、束そのものは意味をもつ(このような束は 根軸と根心 の円の束の例と同じ形である)。

円の束の中の直線

円 $f=x^2+y^2-5$ と円 $g=x^2+y^2-6x-2y+5$(中心 $(3,1)$、半径 $\sqrt5$)の束を考える。$f+kg=0$ の $x^2+y^2$ の係数は $1+k$ なので、$k\ne-1$ なら両辺を $1+k$ で割って $x^2+y^2$ の係数が $1$ の式になり、円・1 点・空集合のどれかを表す。$k=-1$ では 2 次の項が消えて
$$ f-g=6x+2y-10=0,\qquad\text{つまり}\qquad 3x+y=5 $$
という直線になる。$y=5-3x$ を $f=0$ に代入すると $x^2+(5-3x)^2=5$、$10x^2-30x+20=0$、$x^2-3x+2=0$ で、$x=1,2$、交点は $(1,2)$、$(2,-1)$ である。直線 $3x+y=5$ はこの 2 点を通る($3+2=5$、$6-1=5$)。束の中には、円でない図形(2 円の共通弦を延ばした直線)が 1 つ入っている。この直線が 根軸と根心 の根軸である。

大学数学で見る:束は「比」の直線、2 次曲線の束

$k=\infty$ にあたる図形

def-pen-pencil で見たように、束の図形は比 $\lambda:\mu$ で決まる。

比の全体と $k$ の値

少なくとも一方は $0$ でない実数の組 $(\lambda,\mu)$(つまり $(\lambda,\mu)\ne(0,0)$)を、比 $\lambda:\mu$ が等しいもの同士を同じとみなして集めたものを、実数の 射影直線 という。$\lambda\ne0$ の比は $1:k$($k=\dfrac\mu\lambda$)とただ 1 通りに書けるので実数 $k$ と 1 対 1 に対応し、残る比は $0:1$ だけである。$k$ を大きくしていくと $1:k$ は $\dfrac1k:1$ と同じで $0:1$ に近づくので、$0:1$ を「$k=\infty$」とみなす。
したがって「$f+kg=0$ に $g=0$ 自身が入らない」ことは、「実数直線は射影直線から 1 点(無限遠点)を除いたもの」ということの言いかえである。thm-pen-basic の 2 は、「共通の点でない点 $P$ を指定すると、射影直線の点(比)がただ 1 つ決まる」と言いかえられる。大学の代数幾何では、共通の点を束の 基点 と呼び、束のような図形の族(係数が 1 次式で動く族)を 線形系 と呼ぶ(Ful08 §5.2)。

4 点を通る 2 次曲線

直線(1 次式)の束は 1 点を共通にもち、円の束は 2 点を共通にもった。一般の 2 次曲線 $ax^2+bxy+cy^2+dx+ey+f=0$ では、4 点を共通にもつ束が現れる。

4 点を通る 2 次曲線の束

異なる 4 点 $P_1$、$P_2$、$P_3$、$P_4$ がすべて 1 本の直線の上にあるのではないとする。$x$、$y$ の 2 次以下の式で、$x^2$、$xy$、$y^2$ の係数が同時に $0$ ではないものの中で、4 点すべてで $0$ になるものを考える。そのうち定数倍でない 2 つ $f$、$g$ をとると、4 点で $0$ になるそのような式はすべて $\lambda f+\mu g$($(\lambda,\mu)\ne(0,0)$)の形に書ける。

証明について

この定理はここでは証明しない。Ful08 の §5.2 の問題 5.17 は、4 点が 1 本の直線の上にないとき、4 点を通る 2 次曲線の全体が次元 $1$ の線形系(束)になることを示させている(そこでは射影平面の中で述べられている)。考え方は、2 次式の 6 個の係数に対して「$P_i$ を通る」が 1 次の条件 4 つになり、条件が互いに独立なので、係数の自由度が $6-4=2$、比にすると $1$ だけ残る、というものである。2 つの 2 次曲線(共通の成分をもたないもの)の共通の点が多くて $4$ 個であることは Bézout の定理の特別な場合である(Ful08 §5.3)。

thm-pen-conics を使うと、4 点を通る 2 次曲線を、直線の組から作れる。4 点を 2 つずつ組にして結んだ 2 本の直線の積は、4 点で $0$ になる 2 次式だからである。

正方形の 4 頂点を通る 2 次曲線

4 点 $(1,1)$、$(-1,1)$、$(-1,-1)$、$(1,-1)$ を通る 2 次曲線を求める。
段 1(直線の組)。2 本の直線 $x=1$、$x=-1$ の積 $f=(x-1)(x+1)=x^2-1$ と、$y=1$、$y=-1$ の積 $g=(y-1)(y+1)=y^2-1$ は、どちらも 4 点で $0$ になる。束は
$$ (x^2-1)+k(y^2-1)=0 $$
と $g=0$ 自身である。
段 2(5 点目で決める)。点 $(2,0)$ を通る条件は $3+k\cdot(-1)=0$ で $k=3$、曲線は $x^2+3y^2=4$(楕円)である。$(1,1)$ で $1+3=4$ となり、たしかに通る。点 $(0,2)$ を通る条件は $-1+3k=0$ で $k=\dfrac13$、両辺を $3$ 倍して $3x^2+y^2=4$(楕円)である。
段 3(いろいろな種類)。$k=1$ で $x^2+y^2=2$(円)、$k=-2$ で $x^2-2y^2+1=0$、つまり $2y^2-x^2=1$(双曲線)である。$k=-1$ では $x^2-y^2=0$、つまり $(x-y)(x+y)=0$ で、2 本の対角線 $y=x$、$y=-x$ の組になる。これは 4 点を「$(1,1)$ と $(-1,-1)$」「$(-1,1)$ と $(1,-1)$」の組に分けて結んだものである。
段 4($g=0$ 自身)。点 $(2,1)$ を通る条件は $3+k\cdot0=0$ で、$k$ は存在しない。$(2,1)$ は $g=0$(直線 $y=1$)の上にあるので、$(2,1)$ を通る束の曲線は $g=0$、つまり 2 直線 $y=\pm1$ の組である(thm-pen-basic の 3)。
4 点の 2 つずつの組み分けは 3 通りあり、それに応じて直線の組が 3 つ($k=0$、$k=-1$、$g=0$ 自身)束に入っている(図 3)。

正方形の 4 頂点を通る 2 次曲線の束。楕円(k = 3、1/3)、円(k = 1)、双曲線(k = −2)と、3 組の直線の組(破線)がすべて 4 頂点を通る 正方形の 4 頂点を通る 2 次曲線の束。楕円(k = 3、1/3)、円(k = 1)、双曲線(k = −2)と、3 組の直線の組(破線)がすべて 4 頂点を通る

例と反例

この記事の主張がどの仮定に支えられているかを一覧にする。

外した仮定崩れる主張ボックス
$g(P)\ne0$$f+kg=0$ で $P$ を通る図形が見つかるex-pen-leak、ex-pen-leak-lines
2 直線が平行でない束の直線がすべて 1 点を通るex-pen-parallel
$f=0$ と $g=0$ が共通の点をもつ$f+kg=0$ が「交点を通る図形」として使えるex-pen-disjoint
$k$ によって $x^2+y^2$ の係数が $0$ にならない円の束の図形は円・1 点・空集合のどれかex-pen-degenerate
方程式の形を $x^2+y^2$ の係数 $1$ に限る2 点を通るものがすべて束に入るex-pen-not-all
共通の点が 2 つある(接するのではない)束は 2 点を通る円すべてを表すex-pen-tangent

ex-pen-tangent では共通の点が $(1,1)$ の 1 つだけで、prop-pen-circle-line の仮定(異なる 2 点で交わる)を満たさない。そのとき束は「$(1,1)$ を通る円」すべてではなく、「$(1,1)$ で接する円」だけを表した(束に入らない円の例は同じボックスの最後にある)。

さらに先へ

  • 2 つの円の束(円と円の場合)と、束のどの 2 円も同じ根軸をもつことは 根軸と根心 で扱う。方べきを使った見方は 方べきの定理(高校数学) にある。
  • 円の外の点 $P$ から引いた 2 本の接線の接点を結ぶ直線(極線)は、円と「$OP$ を直径とする円」の束の中の直線として求められる。これは 円の接線と極線 で扱う。
  • 「$k$ によらず通る点」(cor-pen-fixed)は、すべての $k$ で成り立つ点だった。「少なくとも 1 つの $k$ で成り立つ点」の全体、つまり図形の族が通る範囲は 通過領域と包絡線 で扱う。
  • 3 次曲線どうしの共通の 9 点についての性質を使うと、円や 2 次曲線に内接する六角形についての Pascalの定理 が導ける(Ful08 §5.6 の Proposition 2 と Corollary 1。ここでは証明しない)。大学では束を 線形系 として扱う(Ful08 §5.2)。

関連項目

参考文献

[1]
William Fulton, Algebraic Curves: An Introduction to Algebraic Geometry, 2008, §5.2 Linear Systems of Curves(Problem 5.17)、§5.3 Bézout's Theorem、§5.6 Applications of Noether's Theorem(Proposition 2、Corollary 1)

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