局所座標

同義語:局所座標系local coordinates

概要

局所座標(local coordinates)とは、多様体の開集合 $U$ から $\mathbb{R}^n$ の開集合への座標近傍 $\varphi$ の成分関数の組 $(x^1,\dots,x^n)$ のことであり、$U$ の点を $n$ 個の実数で表して多様体の上で微積分を行うための道具である。2 つの局所座標は座標変換で結ばれ、滑らかな多様体では座標変換は $C^\infty$ 級で、その Jacobi 行列はどの点でも正則である。逆関数定理により、点での Jacobi 行列式が $0$ でない $n$ 個の滑らかな関数はその点の近くの局所座標になる。極座標や球面の立体射影が代表例であり、空でないコンパクトな $1$ 次元以上の多様体は 1 つの局所座標では覆えない。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 多様体, 可微分多様体, 逆関数定理

地球の表面の点は緯度と経度の 2 つの数で表せるが、北極と南極では経度が決まらず、経度 $180^\circ$ の線をまたぐと値が飛ぶ。このように、曲がった空間では全体を 1 組の座標で表せないことが多い。それでも各点の近くだけなら、いくつかの実数の組で点を表し、そこで微分や積分を行うことができる。この「点の近くだけで使う座標」が局所座標(local coordinates)である。多様体の上の微積分は、すべて局所座標で書いた式を通して定義され、座標の取り替えで式がどう変わるかを調べることで、座標によらない量が取り出される。

定義

以下、多様体は多様体・可微分多様体の記事と同じく Hausdorff かつ第 2 可算とし、「滑らかな多様体」は $C^\infty$ 級の可微分多様体を指す。$\mathrm{pr}_i\colon\mathbb{R}^n\to\mathbb{R}$ を第 $i$ 成分をとる射影とする。

局所座標

$M$ を $n$ 次元の滑らかな多様体とし、$(U,\varphi)$ を $M$ の滑らかな座標近傍($M$ の極大アトラスに属する座標近傍)とする。$i=1,\dots,n$ に対し、$U$ 上の関数
$$ x^i:=\mathrm{pr}_i\circ\varphi\colon U\to\mathbb{R} $$
を $(U,\varphi)$ の座標関数といい、組 $(x^1,\dots,x^n)$ を $U$ 上の局所座標または局所座標系という。$\varphi=(x^1,\dots,x^n)$ と書き、$(U,\varphi)$ を $(U;x^1,\dots,x^n)$ とも書く。点 $p\in M$ が $U$ に属するとき、$(x^1,\dots,x^n)$ を $p$ のまわりの局所座標といい、さらに $\varphi(p)=0$ のとき $p$ を中心とする局所座標という。
関数 $f\colon M\to\mathbb{R}$ に対し、$\varphi(U)$ 上の関数 $\hat f:=f\circ\varphi^{-1}$ を $f$ の局所座標表示という。$\hat f$ を $f(x^1,\dots,x^n)$ と書くことが多い。$U\cap V\neq\emptyset$ となる 2 つの局所座標 $(U;x^1,\dots,x^n)$、$(V;y^1,\dots,y^n)$($\psi=(y^1,\dots,y^n)$)に対し、写像
$$ \psi\circ\varphi^{-1}\colon\varphi(U\cap V)\to\psi(U\cap V) $$
を座標変換といい、成分で $y^j=y^j(x^1,\dots,x^n)$ と書く。その Jacobi行列 $\bigl(\partial y^j/\partial x^i\bigr)_{j,i}$ を座標変換の Jacobi 行列という。

座標近傍を $n$ 個の関数の組とみるこの見方は Lee12 第 1 章「Smooth Manifolds」の局所座標の定義と同じである。$p$ のまわりの局所座標 $(U,\varphi)$ があれば、平行移動 $x\mapsto x-\varphi(p)$ と合成して $p$ を中心とする局所座標が得られる(下の lem-localcoord-criterion による)。位相多様体についても、座標近傍の成分を同じ言葉で局所座標と呼ぶ(多様体の記事の定義「局所 Euclid 性と座標近傍」)。この記事では主に滑らかな場合を扱う。
座標変換は、2 つの局所座標と $U\cap V$ の関係を表す。
$$ \xymatrix{ & U\cap V \ar[dl]_{\varphi} \ar[dr]^{\psi} & \\ \varphi(U\cap V) \ar[rr]_{\psi\circ\varphi^{-1}} & & \psi(U\cap V) } $$
この図式が可換であるとは、$U\cap V$ 上で $\psi=(\psi\circ\varphi^{-1})\circ\varphi$ が成り立つことである。関数 $f$ の 2 つの局所座標表示は、$\varphi(U\cap V)$ 上で
$$ f\circ\varphi^{-1}=(f\circ\psi^{-1})\circ(\psi\circ\varphi^{-1}) $$
で結ばれる。滑らかな多様体では座標変換は $C^\infty$ 級であり、その逆写像 $\varphi\circ\psi^{-1}$ も座標変換なので $C^\infty$ 級である。$(\varphi\circ\psi^{-1})\circ(\psi\circ\varphi^{-1})=\mathrm{id}$ に連鎖律を使うと、2 つの向きの座標変換の Jacobi 行列は互いの逆行列であり、とくに座標変換の Jacobi 行列式はどの点でも $0$ でない。
どの座標近傍が極大アトラスに属するか(つまり滑らかな局所座標か)は、次のように判定できる。

滑らかな局所座標の判定

$M$ を $n$ 次元の滑らかな多様体、$U\subset M$ を開集合、$\varphi\colon U\to\mathbb{R}^n$ を写像とする。$U$ を開部分多様体(可微分多様体の記事の命題「開部分多様体」)とみる。このとき次は同値である。

  1. $(U,\varphi)$ は $M$ の滑らかな座標近傍である。
  2. $\varphi(U)$ は $\mathbb{R}^n$ の開集合であり、$\varphi\colon U\to\varphi(U)$ は $C^\infty$ 級の微分同相写像である。

要点:$\varphi$ と $\varphi^{-1}$ を他の座標近傍 $(V,\psi)$ で局所表示すると、それぞれ座標変換 $\varphi\circ\psi^{-1}$ と $\psi\circ\varphi^{-1}$ になる。したがって「$\varphi$ が微分同相」と「$\varphi$ がすべての座標近傍と $C^\infty$ 級で両立する」は同じことである。

詳しい証明を開く

写像が $C^\infty$ 級であることは、各点のまわりの一組の座標近傍の局所表示で確かめればよい(可微分多様体の記事の命題「可微分性は座標の取り方によらない」)。$\mathbb{R}^n$ の開集合には恒等写像を座標とする。

1 ⇒ 2:座標近傍の定義により $\varphi(U)$ は開集合で、$\varphi$ は同相写像である。$M$ の任意の滑らかな座標近傍 $(V,\psi)$ に対し、$\varphi$ の局所表示 $\varphi\circ\psi^{-1}$ と $\varphi^{-1}$ の局所表示 $\psi\circ\varphi^{-1}$ は、極大アトラスの 2 つの元の間の座標変換なので $C^\infty$ 級である。よって $\varphi$ と $\varphi^{-1}$ は $C^\infty$ 級である。

2 ⇒ 1:微分同相写像は同相写像なので $(U,\varphi)$ は座標近傍である。$(V,\psi)$ を $M$ の任意の滑らかな座標近傍とすると、$\psi\circ\varphi^{-1}$ は $C^\infty$ 級写像 $\varphi^{-1}$ の局所表示、$\varphi\circ\psi^{-1}$ は $C^\infty$ 級写像 $\varphi$ の局所表示なので、ともに $C^\infty$ 級である。よって $(U,\varphi)$ は極大アトラスのすべての元と $C^\infty$ 級で両立し、極大性により極大アトラスに属する。$\square$

複素多様体・リーマン面でも同じ言葉を使う。

正則な局所座標

$X$ を $n$ 次元の複素多様体とし、$(U,\varphi)$ を $X$ の正則な座標近傍(座標変換が正則な極大アトラスの元、$\varphi\colon U\to\varphi(U)\subset\mathbb{C}^n$)とする。成分 $z^j:=\mathrm{pr}_j\circ\varphi$($j=1,\dots,n$)の組 $(z^1,\dots,z^n)$ を $U$ 上の正則な局所座標(複素座標)という。$z^j=x^j+iy^j$($x^j,y^j$ は実数値)と分けると、$(x^1,y^1,\dots,x^n,y^n)$ は $X$ の下にある $2n$ 次元の滑らかな多様体の局所座標である(正則写像は実の写像として $C^\infty$ 級だからである)。$n=1$、すなわちリーマン面では、正則な局所座標 $z$ を単に局所座標ということが多い。

直感

局所座標は、多様体の一部分 $U$ を $\mathbb{R}^n$ の開集合 $\varphi(U)$ に写し取った「地図」である。地図の上では点は $n$ 個の実数で表され、関数は $n$ 変数の関数 $\hat f$ になるので、偏微分や Jacobi 行列といった $\mathbb{R}^n$ の微積分がそのまま使える。ただし地図の選び方は一つではないので、多様体の上の概念として意味があるのは、地図を取り替えても変わらないもの(あるいは決まった規則で変わるもの)だけである。座標変換 $\psi\circ\varphi^{-1}$ が $C^\infty$ 級であることは、「どの地図で微分しても、微分できるかどうかは変わらない」ことを保証する条件である。

例と反例

Euclid 空間の座標

$\mathbb{R}^n$ では恒等写像が局所座標(標準座標)を与える。$A$ を正則な $n$ 次正方行列、$b\in\mathbb{R}^n$ とすると、$x\mapsto Ax+b$ は $\mathbb{R}^n$ から自身への $C^\infty$ 級の微分同相写像なので、lem-localcoord-criterion により $\mathbb{R}^n$ 全体で定義された局所座標である。斜交座標や、原点をずらした座標はこの例である。

極座標

平面から原点と負の $x$ 軸を除いた開集合 $U:=\mathbb{R}^2\setminus\{(x,0)\mid x\le0\}$ と、$D:=(0,\infty)\times(-\pi,\pi)$ 上の写像
$$ \Phi\colon D\to\mathbb{R}^2,\qquad\Phi(r,\theta):=(r\cos\theta,\ r\sin\theta) $$
を考える。極座標の記事の命題「極座標の存在と偏角の一意性」により、原点以外の点は $r>0$ の極座標をもち、偏角は $2\pi$ の整数倍を除いて一つに決まる。長さ $2\pi$ の区間 $(-\pi,\pi]$ には偏角がちょうど一つあり、それが $\pi$ になるのは点が負の $x$ 軸の上にあるときに限る。よって $\Phi$ は $D$ から $U$ への全単射である。同じ記事の命題「極座標のJacobi行列式」により $\det D\Phi(r,\theta)=r>0$ なので、逆関数定理の記事の系「微分がいたるところ正則な写像」により $\Phi\colon D\to U$ は $C^\infty$ 級の微分同相写像である。したがって $\varphi:=\Phi^{-1}$ について $(U;r,\theta)$ は $\mathbb{R}^2$ の局所座標である。

極座標の座標曲線:左は (r, θ) の長方形の格子、右はその像で、r が一定の円弧と θ が一定の半直線。負の x 軸(太線)と原点は定義域の外 極座標の座標曲線:左は (r, θ) の長方形の格子、右はその像で、r が一定の円弧と θ が一定の半直線。負の x 軸(太線)と原点は定義域の外
図の左の格子($r$ または $\theta$ が一定の線)は、$\Phi$ で右の円弧と半直線に写る。$U$ の点は、それを通る円弧と半直線でただ一通りに表される。原点と負の $x$ 軸を除いたのは、そこで $\Phi$ の逆が連続にならない(偏角が $\pi$ と $-\pi$ の間で飛ぶ)か、存在しない(原点で偏角が決まらない)からである。偏角の範囲をずらせば、正の $x$ 軸を除いた開集合の上の局所座標も得られ、2 つを合わせると $\mathbb{R}^2\setminus\{0\}$ が覆われる。直交座標 $(x,y)$ からこの局所座標への座標変換は $r=\sqrt{x^2+y^2}$、$\theta=2\arctan\bigl(y/(x+r)\bigr)$ と書ける($U$ 上で $x+r>0$ であり、半角の公式 $\tan(\theta/2)=\sin\theta/(1+\cos\theta)$ による)。

立体射影による球面の局所座標

$n\ge1$ とし、$N:=(0,\dots,0,1)$、$S:=(0,\dots,0,-1)$ とする。多様体の記事の命題「球面の座標近傍」により、北極 $N$ からの立体射影 $\varphi_N(x)=(x_1,\dots,x_n)/(1-x_{n+1})$ と南極 $S$ からの立体射影 $\varphi_S(x)=(x_1,\dots,x_n)/(1+x_{n+1})$ は $S^n$ のアトラスをなし、座標変換は
$$ \varphi_S\circ\varphi_N^{-1}(u)=\frac{u}{\|u\|^2}\qquad(u\in\mathbb{R}^n\setminus\{0\}) $$
である。この写像の各成分は分母が $0$ にならない有理関数なので $C^\infty$ 級である。逆向きの座標変換 $\varphi_N\circ\varphi_S^{-1}$ も同じ式で与えられる($N$ と $S$ の役割は、最後の座標の符号を変える対称で入れ替わる)。したがって 2 つの立体射影は $C^\infty$ 級のアトラスであり、$S^n$ に滑らかな多様体の構造を与える。

n=1 の立体射影:北極 N と円周上の点 x を結ぶ直線が x 軸と交わる点が u、南極 S からの射影が u' で、u u' = 1 となる n=1 の立体射影:北極 N と円周上の点 x を結ぶ直線が x 軸と交わる点が u、南極 S からの射影が u' で、u u' = 1 となる
$n=1$ では、円周の点 $x\neq N,S$ は $N$ からの射影で実数 $u$ に、$S$ からの射影で実数 $u'$ に写り、$u'=1/u$ が成り立つ(図)。たとえば $x=(3/5,4/5)$ では $u=(3/5)/(1-4/5)=3$、$u'=(3/5)/(1+4/5)=1/3$ である。

射影空間のアフィン座標

射影空間の記事の命題「アフィン座標近傍と多様体構造」により、$K=\mathbb{R}$ または $\mathbb{C}$ に対し、$K\mathrm{P}^n$ の開集合 $U_i=\{[a_0:\cdots:a_n]\mid a_i\neq0\}$ 上で比 $a_j/a_i$($j\neq i$)が局所座標を与え、座標変換は分母の消えない有理関数である。$n=1$ では $U_0$ 上の座標 $z=a_1/a_0$ と $U_1$ 上の座標 $w=a_0/a_1$ の座標変換は $w=1/z$($z\neq0$)である。$K=\mathbb{C}$ のとき $w=1/z$ は正則なので、$z$ と $w$ は $\mathbb{C}\mathrm{P}^1$(Riemann 球面)の正則な局所座標であり、$\mathbb{C}\mathrm{P}^1$ はリーマン面になる(リーマン面の記事の例「Riemann球面」)。

局所座標にならない写像の例を、外した条件ごとに並べる。

外す条件反例成り立たなくなること
点での微分の線形独立性$\mathbb{R}^2$ の原点での $(x,\ x+y^2)$原点のどの近傍でも単射でない
点での微分の線形独立性$\mathbb{R}$ の $t\mapsto t^3$同相写像だが、標準の構造の滑らかな局所座標でない
定義域が特異な点を含まないこと原点を含む集合の上の極座標 $(r,\theta)$原点で $\theta$ が決まらず、写像 $\Phi$ の Jacobi 行列式が $0$
定義域を小さくとることコンパクトな多様体全体1 つの局所座標では覆えない(thm-localcoord-compact)
反例の確認

1 行目の $(x,\ x+y^2)$ は $C^\infty$ 級で原点で $0$ だが、$y$ と $-y$ で同じ値をとるので局所座標にならない。2 行目の $t\mapsto t^3$ は同相写像だが逆写像が原点で微分可能でない。

各反例の確認を開く

1 行目:$F(x,y):=(x,\ x+y^2)$ は $C^\infty$ 級で $F(0,0)=(0,0)$ だが、$F(x,y)=F(x,-y)$ なので原点のどの近傍の上でも単射でなく、局所座標にならない。Jacobi 行列は $\begin{pmatrix}1&0\\1&2y\end{pmatrix}$ で、原点での行列式は $0$ である。満たす性質は「$C^\infty$ 級の関数の組で、原点で $0$」、満たさない性質は「原点の近くで単射」であり、破る含意は「$p$ で $0$ になる $n$ 個の滑らかな関数は $p$ の近くの局所座標である」である。

2 行目:$\chi(t):=t^3$ は $\mathbb{R}$ の同相写像だが、標準の座標との座標変換 $\chi^{-1}(s)=s^{1/3}$ は $s=0$ で微分可能でない。可微分多様体の記事の注意「反例:両立しない滑らかなアトラス」がこの例を扱っている。$\chi'(0)=0$ なので、thm-localcoord-inverse の条件をみたさない。満たす性質は「$C^\infty$ 級の同相写像」、満たさない性質は「逆写像が $C^\infty$ 級」であり、破る含意は「滑らかな同相写像は滑らかな局所座標である」である。

3 行目:$\Phi(r,\theta)=(r\cos\theta,r\sin\theta)$ は $r=0$ でどの $\theta$ も原点に写すので、$(0,\theta_0)$ のどの近傍の上でも単射でなく、原点の近くで $(r,\theta)$ を局所座標に使うことはできない。$\det D\Phi=r$ は $r=0$ で $0$ である。

性質

関数の組が局所座標になる条件

局所座標を具体的に作るときの基本の道具は、逆関数定理を多様体の上で言い直した次の定理である。以下、$p$ のまわりの局所座標 $(U;x^1,\dots,x^n)$、$\varphi=(x^1,\dots,x^n)$ と、$p$ の近くで定義された関数 $g$ に対し、
$$ \frac{\partial g}{\partial x^i}(p):=\frac{\partial(g\circ\varphi^{-1})}{\partial x^i}(\varphi(p)) $$
と書く(局所座標表示の偏微分)。

関数の組が局所座標になる条件

$M$ を $n$ 次元の滑らかな多様体、$p\in M$、$W$ を $p$ の開近傍、$f^1,\dots,f^n\colon W\to\mathbb{R}$ を $C^\infty$ 級関数とし、$f:=(f^1,\dots,f^n)\colon W\to\mathbb{R}^n$ とおく。$p$ のまわりの局所座標 $(U;x^1,\dots,x^n)$ を 1 つとる。次は同値である。

  1. $\det\Bigl(\dfrac{\partial f^j}{\partial x^i}(p)\Bigr)_{j,i}\neq0$ である。
  2. $p$ の開近傍 $V\subset W$ で、$(V,f|_V)$ が $M$ の滑らかな座標近傍となるものが存在する。すなわち $(f^1,\dots,f^n)$ は $p$ の近くの局所座標である。
    とくに条件 1 が成り立つかどうかは、局所座標 $(U;x^1,\dots,x^n)$ の選び方によらない。

$\varphi=(x^1,\dots,x^n)$ とし、$\mathbb{R}^n$ の開集合 $\varphi(U\cap W)$ 上の $C^\infty$ 級写像 $F:=f\circ\varphi^{-1}$ と点 $a:=\varphi(p)$ を考える。条件 1 の行列は $F$ の $a$ での Jacobi 行列 $DF(a)$ である。
1 ⇒ 2:$DF(a)$ は正則なので、逆関数定理の記事の定理「逆関数定理」($C^\infty$ 級の場合)により、$a$ を含む開集合 $U_0\subset\varphi(U\cap W)$ で、$F|_{U_0}$ が単射、$F(U_0)$ が開集合、逆写像 $F(U_0)\to U_0$ が $C^\infty$ 級となるものがある。$V:=\varphi^{-1}(U_0)$ は $p$ を含む $M$ の開集合で $V\subset U\cap W$ である。$V$ 上で $f=F\circ\varphi$ なので、$f|_V\colon V\to F(U_0)$ は、微分同相写像 $\varphi|_V\colon V\to U_0$(lem-localcoord-criterion)と微分同相写像 $F|_{U_0}\colon U_0\to F(U_0)$ の合成であり、開集合 $F(U_0)$ への微分同相写像である。lem-localcoord-criterion により $(V,f|_V)$ は滑らかな座標近傍である。
2 ⇒ 1:$(V,f|_V)$ が滑らかな座標近傍なら、$\varphi(U\cap V)$ 上で $F=(f|_V)\circ\varphi^{-1}$ は 2 つの局所座標の間の座標変換である。定義の節で見たとおり座標変換の Jacobi 行列はどの点でも正則なので、$DF(a)$ は正則である。
条件 2 は局所座標 $(U;x^1,\dots,x^n)$ に言及しないので、条件 1 もその選び方によらない。$\square$

この定理は、局所座標を「$n$ 個の関数の組で、$p$ での Jacobi 行列式が $0$ でないもの」として作れることを示す。$n$ 個より少ない関数から始めて、局所座標の一部を補って完成させることもできる。

局所座標への補完

$M$、$p$、$(U;x^1,\dots,x^n)$ を thm-localcoord-inverse と同じとし、$1\le k\le n$、$f^1,\dots,f^k$ を $p$ の開近傍 $W$ 上の $C^\infty$ 級関数で、$k\times n$ 行列 $\bigl(\partial f^j/\partial x^i(p)\bigr)$ の階数が $k$ であるものとする。このとき添字 $i_1<\dots< i_{n-k}$ と $p$ の開近傍 $V\subset U\cap W$ で、$(f^1,\dots,f^k,x^{i_1},\dots,x^{i_{n-k}})$ が $V$ 上の局所座標となるものが存在する。

要点:Jacobi 行列の $k$ 本の行に標準基底のうち $n-k$ 本を加えて基底にし、それに対応する座標関数を補えば thm-localcoord-inverse が使える。

詳しい証明を開く

行列 $\bigl(\partial f^j/\partial x^i(p)\bigr)$ の $k$ 本の行ベクトル $r_1,\dots,r_k\in\mathbb{R}^n$ は、階数が $k$ なので線形独立である。標準基底 $e_1,\dots,e_n$ は $\mathbb{R}^n$ を張るので、基底の延長(基底と次元)により、$e_1,\dots,e_n$ のうち $n-k$ 個 $e_{i_1},\dots,e_{i_{n-k}}$ を加えて $r_1,\dots,r_k,e_{i_1},\dots,e_{i_{n-k}}$ を $\mathbb{R}^n$ の基底にできる。$\partial x^l/\partial x^i=\delta_{li}$ なので、関数 $x^{i_m}$ の行は $e_{i_m}$ である。したがって $n$ 個の関数 $(f^1,\dots,f^k,x^{i_1},\dots,x^{i_{n-k}})$(定義域 $U\cap W$)の $p$ での Jacobi 行列は基底を行にもち、行列式は $0$ でない。thm-localcoord-inverse により主張が従う。$\square$

等位集合を平らにする局所座標

曲面や曲線が方程式で与えられるとき、その近くで方程式そのものを座標の一部に使うと、図形が座標平面の一部として見える。

等位集合を平らにする局所座標

$M$ を $n$ 次元の滑らかな多様体、$1\le k\le n$、$F=(F^1,\dots,F^k)\colon M\to\mathbb{R}^k$ を $C^\infty$ 級写像、$c=(c^1,\dots,c^k)\in\mathbb{R}^k$、$S:=F^{-1}(c)$ とする。各点 $p\in S$ で、$p$ のまわりの局所座標に関する行列 $\bigl(\partial F^j/\partial x^i(p)\bigr)$ の階数が $k$ であるとする。このとき各 $p\in S$ に対し、$p$ のまわりの局所座標 $(V;y^1,\dots,y^n)$ で
$$ V\cap S=\{q\in V\mid y^{n-k+1}(q)=\dots=y^n(q)=0\} $$
となるものが存在する。

階数の条件は局所座標の選び方によらない。座標を取り替えると、連鎖律により行列 $\bigl(\partial F^j/\partial x^i(p)\bigr)$ に右から座標変換の正則な Jacobi 行列がかかるからである。

$p\in S$ とし、$p$ のまわりの局所座標 $(U;x^1,\dots,x^n)$ をとる。関数 $F^j-c^j$($j=1,\dots,k$)の偏微分は $F^j$ のものと同じなので、cor-localcoord-complete を $F^1-c^1,\dots,F^k-c^k$ に適用して、添字 $i_1<\dots< i_{n-k}$ と $p$ の開近傍 $V$ で、
$$ (y^1,\dots,y^n):=\bigl(x^{i_1},\dots,x^{i_{n-k}},\ F^1-c^1,\dots,F^k-c^k\bigr) $$
が $V$ 上の局所座標となるものがとれる。$q\in V$ について、$q\in S$ は $F(q)=c$、すなわち $y^{n-k+1}(q)=\dots=y^n(q)=0$ と同値である。$\square$

円周 x² + y² = 1 の点 (0, 1) のまわりで、s = x、t = x² + y² − 1 を局所座標にとる。左の平面の縦線と同心円が、右の座標平面では縦線と横線になり、上半分の円周が横軸 t = 0 に写る 円周 x² + y² = 1 の点 (0, 1) のまわりで、s = x、t = x² + y² − 1 を局所座標にとる。左の平面の縦線と同心円が、右の座標平面では縦線と横線になり、上半分の円周が横軸 t = 0 に写る
たとえば $F(x,y)=x^2+y^2$、$c=1$ とすると $S$ は単位円周である。$p=(0,1)$ で $DF(p)=(0,\,2)$ なので、cor-localcoord-complete で $x$ を補って $(s,t)=(x,\ x^2+y^2-1)$ とおく。上半平面 $V=\{y>0\}$ の上では $x=s$、$y=\sqrt{t+1-s^2}$ と逆が書けるので、$(s,t)$ は $V$ から開集合 $\{(s,t)\mid t>s^2-1\}$ への微分同相写像であり、$V\cap S$ は $t=0$ で与えられる(図)。
thm-localcoord-slice の局所座標から $y^{n-k+1},\dots,y^n$ を捨てると、$S$ の局所座標が得られる。

等位集合の多様体構造

thm-localcoord-slice の仮定のもとで $S\neq\emptyset$ とし、$S$ に部分空間の位相を入れる。$\pi\colon\mathbb{R}^n\to\mathbb{R}^{n-k}$ を最初の $n-k$ 成分への射影とする。同定理の局所座標 $(V,\psi)$、$\psi=(y^1,\dots,y^n)$ のすべてについて $(V\cap S,\ \pi\circ\psi|_{V\cap S})$ を集めた族は、$S$ の $C^\infty$ 級アトラスである。これにより $S$ は $n-k$ 次元の滑らかな多様体になり、包含写像 $S\hookrightarrow M$ は $C^\infty$ 級である。

要点:$V\cap S$ は $\psi$ で $\mathbb{R}^{n-k}\times\{0\}$ の開集合に写るので、最初の $n-k$ 成分が $S$ の座標になり、その座標変換は $M$ の座標変換を $\mathbb{R}^{n-k}\times\{0\}$ に制限したものである。

詳しい証明を開く

位相:$S$ は Hausdorff かつ第 2 可算な空間 $M$ の部分空間なので、Hausdorff かつ第 2 可算である。

座標近傍であること:$(V,\psi)$ を上の局所座標とし、$W:=\{u\in\mathbb{R}^{n-k}\mid(u,0)\in\psi(V)\}$ とおく。$W$ は連続写像 $u\mapsto(u,0)$ による開集合 $\psi(V)$ の逆像なので開集合である。$\psi(V\cap S)=\psi(V)\cap(\mathbb{R}^{n-k}\times\{0\})$ なので、$\pi\circ\psi$ は $V\cap S$ から $W$ への全単射で、逆写像は $u\mapsto\psi^{-1}(u,0)$ である。両者は連続なので、$\pi\circ\psi|_{V\cap S}$ は $S$ の開集合 $V\cap S$ から $W$ への同相写像である。各点 $p\in S$ はこのような $V$ に含まれるので、この族は $S$ を覆う。

座標変換:$(V,\psi)$、$(V',\psi')$ を 2 つの局所座標とすると、$\pi\circ\psi(V\cap V'\cap S)$ 上で、座標変換は $u\mapsto\pi\bigl(\psi'\circ\psi^{-1}(u,0)\bigr)$ である。これは $C^\infty$ 級写像 $u\mapsto(u,0)$、$M$ の座標変換 $\psi'\circ\psi^{-1}$、線形写像 $\pi$ の合成なので $C^\infty$ 級である。よって族は $C^\infty$ 級アトラスである。

包含写像:$\iota\colon S\hookrightarrow M$ の局所表示は $\psi\circ\iota\circ(\pi\circ\psi|_{V\cap S})^{-1}(u)=(u,0)$ であり、$C^\infty$ 級である。$\square$

thm-localcoord-slice と prop-localcoord-level-set は、Lee12 第 5 章「Submanifolds」の正則等位集合に関する議論に対応する。ここでは局所座標の作り方から座標変換の滑らかさまで証明した。

球面

$F\colon\mathbb{R}^{n+1}\to\mathbb{R}$、$F(x)=\|x\|^2$ とすると、$S^n=F^{-1}(1)$ であり、$F$ の Jacobi 行列は $2x^{\mathsf T}$ なので $S^n$ の各点で階数 $1$ である。prop-localcoord-level-set により $S^n$ は $n$ 次元の滑らかな多様体であり、$x_{i}>0$ となる点の近くでは、$x_i$ 以外の $n$ 個の座標 $(x_1,\dots,\widehat{x_i},\dots,x_{n+1})$ が $S^n$ の局所座標になる($\widehat{\ }$ は取り除くことを表す)。これは $S^n$ の上半分をグラフ $x_i=\sqrt{1-\sum_{l\neq i}x_l^2}$ として見ることにあたる。

座標変換と変換則

局所座標で書いた量は、座標を取り替えると座標変換の Jacobi 行列を通して変わる。関数が $C^\infty$ 級であるかどうかは局所座標の選び方によらない(可微分多様体の記事の命題「可微分性は座標の取り方によらない」)。点での 1 階の偏微分は、2 つの局所座標 $(x^i)$、$(y^j)$ について連鎖律により
$$ \frac{\partial g}{\partial x^i}(p)=\sum_{j=1}^n\frac{\partial y^j}{\partial x^i}(p)\,\frac{\partial g}{\partial y^j}(p) $$
と変わる。これはベクトル場の記事の命題「座標変換に関する変換則」の式にほかならず、同記事の定理「座標ベクトルは接空間の基底をなす」とあわせて、局所座標は各点の接空間に基底を与える。たとえば直交座標 $(x,y)$ とex-localcoord-polar の極座標 $(r,\theta)$ では、$\partial x/\partial r=\cos\theta$、$\partial y/\partial r=\sin\theta$、$\partial x/\partial\theta=-r\sin\theta$、$\partial y/\partial\theta=r\cos\theta$ なので
$$ \frac{\partial g}{\partial r}=\cos\theta\,\frac{\partial g}{\partial x}+\sin\theta\,\frac{\partial g}{\partial y},\qquad\frac{\partial g}{\partial\theta}=-r\sin\theta\,\frac{\partial g}{\partial x}+r\cos\theta\,\frac{\partial g}{\partial y} $$
である。$g(x,y)=x^2+y^2$ なら右辺はそれぞれ $2r$ と $0$ で、$g=r^2$ を直接微分した値と一致する。

1 つの局所座標では覆えないこと

コンパクトな多様体は 1 つの局所座標では覆えない

$M$ を空でないコンパクトな $n$ 次元位相多様体とし、$n\ge1$ とする。このとき $U=M$ となる座標近傍 $(U,\varphi)$ は存在しない。

$(M,\varphi)$ が座標近傍であったとする。$\varphi(M)$ はコンパクト空間の連続写像による像なので $\mathbb{R}^n$ のコンパクト集合であり、したがって有界な閉集合である。一方、座標近傍の定義により $\varphi(M)$ は $\mathbb{R}^n$ の開集合で、$M\neq\emptyset$ より空でない。$\mathbb{R}^n$ は連結(連結空間)なので、空でなく開かつ閉な部分集合は $\mathbb{R}^n$ 自身であり、$\varphi(M)=\mathbb{R}^n$ となる。$n\ge1$ なので $\mathbb{R}^n$ は有界でなく、矛盾する。$\square$

$n=0$ では $\mathbb{R}^0$ は 1 点なので、1 点からなる多様体は 1 つの局所座標で覆える。仮定 $n\ge1$ はこの場合を除くためにある。thm-localcoord-compact により $S^n$($n\ge1$)には局所座標が少なくとも 2 つ要り、ex-localcoord-stereographic の 2 つの立体射影で足りる。多様体の上の関数や写像を調べるときに、ほとんどの場合に局所座標をいくつも使い分ける必要があるのはこのためである。

リーマン面の局所座標

リーマン面でも thm-localcoord-inverse と同じ形の判定ができる。証明の要となるのは、1 変数の正則関数の局所的な逆写像の存在である。

正則関数が局所座標になる条件

$X$ をリーマン面、$p\in X$、$z$ を $p$ のまわりの正則な局所座標(定義域 $U$)、$f$ を $p$ の開近傍 $W$ 上の正則関数とし、$\hat f:=f\circ z^{-1}$($z(U\cap W)$ 上の正則関数)とおく。$\hat f'(z(p))\neq0$ ならば、$p$ の開近傍 $V$ で $(V,f|_V)$ が $X$ の正則な座標近傍となるものが存在する。条件 $\hat f'(z(p))\neq0$ は正則な局所座標 $z$ の選び方によらない。

要点:thm-localcoord-inverse の証明で使った実の逆関数定理を、1 変数の正則関数の局所的な逆写像の存在に取り替えればよい。

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$u_0:=z(p)$ とおく。開写像定理(複素解析)の記事の補題「正則関数の局所的な逆写像」を $\hat f$ と $u_0$ に適用して、$u_0$ の開近傍 $V_0\subset z(U\cap W)$ と $\hat f(u_0)$ の開近傍 $W_0$ で、$\hat f|_{V_0}\colon V_0\to W_0$ が全単射で逆写像が正則なものをとる。$V:=z^{-1}(V_0)$ とおくと、$V$ 上で $f=\hat f\circ z$ なので、$f|_V\colon V\to W_0$ は同相写像の合成として同相写像である。$X$ の任意の正則な座標近傍 $(U',w)$ に対し、$V\cap U'$ に対応する定義域の上で $f\circ w^{-1}=\hat f\circ(z\circ w^{-1})$ と $w\circ(f|_V)^{-1}=(w\circ z^{-1})\circ(\hat f|_{V_0})^{-1}$ はいずれも正則写像の合成なので正則である。よって $(V,f|_V)$ は極大アトラスのすべての元と正則に両立し、極大性により正則な座標近傍である。

別の正則な局所座標 $w$ をとると $f\circ w^{-1}=\hat f\circ(z\circ w^{-1})$ であり、連鎖律により $(f\circ w^{-1})'(w(p))=\hat f'(z(p))\cdot(z\circ w^{-1})'(w(p))$ である。座標変換 $z\circ w^{-1}$ は双正則なので、その複素微分は $0$ でない(リーマン面の記事の定義「リーマン面」のあとの段落)。よって条件は $w$ に取り替えても変わらない。$\square$

たとえば Riemann 球面 $\mathbb{C}\mathrm{P}^1$ の $\infty=[0:1]$ のまわりでは $w=1/z$ が局所座標であり(ex-localcoord-projective)、$\infty$ の近くの関数の振る舞いは $w$ の関数として調べる。正則関数の零点の位数を局所座標で定めても座標によらないこと(零点の位数の記事の命題「局所座標によらないこと」)も、座標変換の複素微分が $0$ でないことに基づく。

注意

  • 座標関数 $x^i$ は $U$ の上でしか定義されていない。$M$ 全体の関数として扱いたいときは、隆起関数をかけて延長する(ベクトル場の記事の補題「隆起関数の存在と局所関数の延長」)。
  • 局所座標と座標近傍は同じデータ $(U,\varphi)$ であり、写像 $\varphi$ を見るときは座標近傍(チャート)、成分の関数 $x^i$ を見るときは局所座標と呼ぶ。
  • 滑らかな局所座標であることは、位相多様体としての座標近傍であることより強い(ex-localcoord-counterexamples の 2 行目)。どの微分構造に関して滑らかかを常に意識する必要がある。
  • 代数幾何学では、非特異な点の局所環の極大イデアルを生成する元の組(正則局所環の記事の定義「正則局所環と正則パラメータ系」の正則パラメータ系)が、局所座標に似た役割を果たす。ただしそれらは点の近くの開集合から $\mathbb{A}^n$ の開集合への同型を与えるとは限らず、多様体の局所座標とは性質が異なる。

関連項目

参考文献

[1]
John M. Lee, Introduction to Smooth Manifolds, Springer, 2012, Chapter 1, Smooth Manifolds; Chapter 5, Submanifolds

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