右順序位相

同義語:right order topology

概要

右順序位相(right order topology)とは、全順序集合の右半直線 $\{x\mid a< x\}$ をすべて開集合として生成される位相である。開集合は上に閉じているので空でない開集合も空でない閉集合もどの二つも交わり、二点以上なら $T_0$ だが $T_1$ でなく、連結・弧状連結・擬コンパクトになる。空でない部分集合がコンパクトであることは最小元をもつことと同値である。実数直線の場合は第2可算・$\sigma$-コンパクトだがコンパクトでも可算メタコンパクトでもなく、自分自身の第1類集合になる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 位相空間, 全順序, 順序位相, 分離公理, コンパクト空間

右順序位相(right order topology)とは、全順序集合 $X$ の右半直線 $\{x\in X\mid a< x\}$ をすべて開集合として生成される位相である。順序位相 が左右両方の半直線から生成されるのに対し、右順序位相は右側の半直線だけを使う。開集合はどれも「上に閉じた」集合になるので、空でない開集合はどの二つも交わり、空でない閉集合もどの二つも交わる。そのため $T_0$ だが $T_1$ でない空間の典型例になり、Hausdorff 性を外したときに局所コンパクト性・Lindelöf 性・Baire の定理のどこが崩れるかを、実数直線という身近な台集合の上で確かめられる。また実数直線への写像が右順序位相について連続であることは、下半連続であることにほかならない。

定義

右半直線で生成される位相

$(X,<)$ を全順序集合とし、$a\in X$ に対して
$$S_a:=\{x\in X\mid a< x\}$$
とおく。$\{S_a\mid a\in X\}$ を準開基として生成される $X$ 上の位相を右順序位相(right order topology)という。同様に $P_a:=\{x\in X\mid x< a\}$ から生成される位相を左順序位相(left order topology)という。

$a\le b$ なら $S_a\cap S_b=S_b$ なので、有限個の $S_a$ の共通部分はまた $S_a$ の形である。したがって $\{X\}\cup\{S_a\mid a\in X\}$ が開基になり、開集合は $\emptyset$、$X$、および $S_a$ たちの合併である。$X$ に最小元 $m$ があると、$m$ はどの $S_a$ にも属さず、$m$ を含む開集合は $X$ だけである。開基に $X$ を加えておくのはこのためである。
$X=\mathbb{R}$ のとき、空でない $A\subset\mathbb{R}$ について $\bigcup_{a\in A}S_a$ は $(\inf A,\infty)$($A$ が下に有界でなければ $\mathbb{R}$)なので、開集合は $\emptyset$、$\mathbb{R}$、$(a,\infty)$($a\in\mathbb{R}$)でちょうど尽くされる。$x\mapsto -x$ は右順序位相の $\mathbb{R}$ から左順序位相の $\mathbb{R}$ への同相写像だが、同じ集合の上の位相としては二つは異なる($(0,\infty)$ は前者でだけ開)。左順序位相についての主張は順序を逆にすれば得られるので、以下では右順序位相だけを扱う。二点集合 $\{0,1\}$($0< 1$)の右順序位相の開集合は $\emptyset,\{1\},\{0,1\}$ であり、これは Sierpiński空間 である。
右順序位相は順序位相より粗い。順序集合の一般論では、主イデアル $\{y\mid y\le x\}$ の補集合を準開基とする位相を上位相(upper topology)と呼ぶことがある。全順序集合ではこの補集合は $S_x$ なので、上位相は右順序位相に一致する。名前の似た Sorgenfrey直線 は半開区間 $[a,b)$ を開基とする Hausdorff 空間で、別の空間である(下の比較の表)。

直感

開集合は上に閉じている。ある点を含めば、それより大きい点をすべて含む。したがって点 $x$ の近傍とは「$x$ より少し下から上の全部」である。大きい点は小さい点のすべての近傍に入り込み、小さい点は大きい点の近傍に入らない。この非対称が、以下の計算のほとんどすべてを決める。たとえば小さい点は大きい点の閉包に入り、二つの空でない開集合は大きい側でかならず出会う。

基本の計算

開集合・閉集合・閉包

$X$ に右順序位相を入れる。

  1. 開集合は上に閉じている($x\in U$、$x< y$ なら $y\in U$)。閉集合は下に閉じている。
  2. 空でない $A\subset X$ の閉包は
    $$\overline{A}=\{x\in X\mid A\ \text{のすべての上界}\ b\in X\ \text{について}\ x\le b\}$$
    である。とくに $A$ が $X$ に上界をもたなければ $\overline A=X$ であり、$A$ が最大元 $M$ をもてば $\overline A=\{x\mid x\le M\}$ である。
  3. 空でない開集合は稠密である。
  4. 空でない二つの開集合は交わり、空でない二つの閉集合も交わる。
  1. 開基の元 $X$、$S_a$ は上に閉じており、上に閉じた集合の合併も上に閉じている。閉集合はその補集合なので下に閉じている。
  2. $x\notin\overline A$ であることは、$x$ の開近傍で $A$ と交わらないものがあることである。$A\neq\emptyset$ なので $X$ はそのような近傍になりえず、これは開基の元 $S_b\ni x$(すなわち $b< x$)で $S_b\cap A=\emptyset$ をみたすものがあることと同値である。$S_b\cap A=\emptyset$ は $b$ が $A$ の上界であることにほかならない。よって $x\notin\overline A$ と「$x$ より真に小さい $A$ の上界がある」は同値であり、全順序なので後者の否定は「$A$ のすべての上界 $b$ について $x\le b$」である。$A$ に最大元 $M$ があれば、上界はちょうど $M$ 以上の元なので後半を得る。
  3. $U$ を空でない開集合、$u\in U$、$x\in X$ とする。$x> u$ なら 1 により $x\in U$ である。$x\le u$ なら、$x$ の開近傍は上に閉じているので $u$ を含み、$U$ と交わる。どちらの場合も $x\in\overline U$ である。
  4. 空でない開集合 $U\ni u$、$V\ni v$ について、$\max(u,v)$ は 1 により $U$ にも $V$ にも属する。空でない閉集合 $F\ni f$、$G\ni g$ について、$\min(f,g)$ は $F$ にも $G$ にも属する。$\square$
実数直線での閉包

$\mathbb{R}$ に右順序位相を入れる。$\overline{\{0\}}=(-\infty,0]$、$\overline{(0,1)}=(-\infty,1]$、$\overline{(0,\infty)}=\mathbb{R}$ である。また $\overline{(-\infty,0)}=(-\infty,0]$ であり、$0$ は $(-\infty,0)$ のどの点以下でもないのに閉包に入る。閉包は「$A$ のどれかの点以下の点の全体」ではなく、prop-rot-closure の 2 のとおり上界で決まる。一般に上に有界な空でない $A\subset\mathbb{R}$ について $\overline A=(-\infty,\sup A]$ である。

空でない開集合がどの二つも交わる空間は 既約空間 であり(既約空間の記事の命題「既約性の同値条件」の (R2)。hyperconnected ともいう)、空でない閉集合がどの二つも交わる空間を ultraconnected という。prop-rot-closure の 4 により、空でない全順序集合の右順序位相はこの両方をみたす。

分離公理

分離公理の名前は 分離公理 の記事に従う。正則性条件・正規性条件・遺伝正規性条件・完全正規性条件には $T_1$ を含めず、$T_3$・$T_4$・$T_5$・$T_6$ はそれぞれに $T_1$ を加えたものである。

分離公理の成否

$X$ を全順序集合とし、右順序位相を入れる。

  1. $X$ は $T_0$ である。
  2. $X$ が二点以上なら、$X$ は $T_1$ でも $T_2$ でもなく、正則性条件も完全正則性条件もみたさない。
  3. $X$ は正規性条件と遺伝正規性条件をみたす。
  4. $X$ が二点以上なら、$X$ は完全正規性条件をみたさない。とくに $X$ 以外の空でない閉集合で $G_\delta$ 集合(Gδ集合)であるものはない。
  1. $x< y$ なら、開集合 $S_x$ は $y$ を含み $x$ を含まない。
  2. $x< y$ をとる。prop-rot-closure の 2 により $x\in\overline{\{y\}}$ なので $\{y\}$ は閉でなく、$X$ は $T_1$ でない。空でない開集合はどれも交わるので $T_2$ でもない。閉集合 $F=\overline{\{x\}}=\{z\mid z\le x\}$ と点 $y\notin F$ を考えると、$F$ を含む開集合は $x$ を含み上に閉じているので $y$ も含む。よって正則性条件は成り立たない。完全正則性条件が成り立つなら、$f(F)=\{0\}$、$f(y)=1$ となる連続関数 $f\colon X\to[0,1]$ があり、$f^{-1}([0,1/2))$ と $f^{-1}((1/2,1])$ が互いに素な空でない開集合になって prop-rot-closure の 4 に反する。
  3. 互いに素な閉集合の組は、prop-rot-closure の 4 により一方が空であり、空集合と $X$ で分けられる。遺伝正規性条件については、分離された二集合 $A,B$($\overline A\cap B=A\cap\overline B=\emptyset$)の一方が空であることを示せばよい。ともに空でないとして $p\in A$、$q\in B$ をとると $p\neq q$ である。$q< p$ なら $q\in\overline{\{p\}}\subset\overline A$ で $\overline A\cap B\neq\emptyset$、$p< q$ なら同様に $A\cap\overline B\neq\emptyset$ となって矛盾する。
  4. $X$ 以外の空でない閉集合 $F$ と $f\in F$ をとる。$F$ を含む開集合 $U$ は $f$ を含み上に閉じているので $f$ 以上の点をすべて含み、$F$ が下に閉じているので $f$ 以下の点もすべて含む(それらは $F$ に属する)。よって $U=X$ であり、$F$ を含む開集合の可算個の共通部分は $X\neq F$ である。二点以上なら $x< y$ について $F=\overline{\{x\}}$ がそのような閉集合である。$\square$

3 は空虚な成立である。空でない閉集合の組や分離された組がそもそも存在しないので、分ける必要がない。分離公理の番号に $T_1$ を含めない流儀(たとえば SS78)では「$T_4$ であり $T_5$ である」と言い表される。本記事の流儀では、二点以上の $X$ は $T_1$ でないので $T_4$ でも $T_5$ でもない。

コンパクト性

コンパクト部分集合の判定と局所的な性質

$X$ を全順序集合とし、右順序位相を入れる。

  1. 空でない $K\subset X$ がコンパクトであることと、$K$ が最小元をもつことは同値である。とくに空でない $X$ がコンパクトであることと、$X$ が最小元をもつことは同値である。
  2. 各点 $x$ はコンパクト集合からなる近傍基をもつ。とくに各点はコンパクト近傍をもつ。
  3. $X$ が空でないとき、各点がコンパクトな閉包をもつ開近傍をもつことと、$X$ がコンパクトであることは同値である。
  4. $X$ の二点以上を含む部分集合は集積点をもつ。とくに $X$ は極限点コンパクト(無限部分集合はかならず集積点をもつ)である。
  5. 連続関数 $f\colon X\to\mathbb{R}$ はすべて定数である。とくに $X$ は 擬コンパクト空間 である。
  1. $K$ が最小元 $k$ をもつとする。$K$ の開被覆から $k$ を含む元 $U$ を一つとれば、$U$ は上に閉じているので $K$ 全体を含む。よって $K$ はコンパクトである。逆に $K$ が最小元をもたないとする。各 $x\in K$ について $x$ より小さい $a\in K$ があるので、$\{S_a\mid a\in K\}$ は $K$ を覆う。有限個 $S_{a_1},\dots,S_{a_n}$ を選ぶと、$a_*=\min_i a_i\in K$ はどの $S_{a_i}$ にも属さないので、有限部分被覆はない。
  2. $x$ の開近傍 $V$ をとる。$V\ni x$ は開基の元 $W$ で $x\in W\subset V$ となるものを含む。$W=X$ なら $V=X$ であり、$x$ が $X$ の最小元のときは $X$ 自身が最小元をもつのでコンパクトな近傍である。$x$ が最小元でなければ $c< x$ をとり、$K=\{y\mid y\ge c\}$ は最小元 $c$ をもつのでコンパクトで、開集合 $S_c\ni x$ を含む $x$ の近傍である。$W=S_b$($b< x$)のとき、$b< c< x$ となる $c$ があれば $K=\{y\mid y\ge c\}\subset S_b$ がコンパクト近傍であり、そのような $c$ がなければ $S_b=\{y\mid y\ge x\}$ 自身が最小元 $x$ をもつコンパクトな開近傍である。
  3. prop-rot-closure の 3 により空でない開集合の閉包は $X$ なので、条件は $X$ のコンパクト性と同値である。
  4. $A$ が相異なる $a< b$ を含むとする。$a$ の近傍はどれも上に閉じているので $b\neq a$ を含み、$a$ は $A$ の集積点である。
  5. $f(a)\neq f(b)$ とすると、$f(a)$、$f(b)$ を含む互いに素な開区間の逆像は互いに素な空でない開集合になり、prop-rot-closure の 4 に反する。$\square$

2 と 3 は、Hausdorff 性のない空間では局所コンパクト性の流儀が分かれることを示す。局所コンパクト空間 の記事の定理「コンパクト近傍の同値な形」の条件 1(各点がコンパクト近傍をもつ)と条件 4(各点がコンパクト集合からなる近傍基をもつ)は、最小元のない空でない全順序集合(たとえば $\mathbb{R}$)の右順序位相で成り立つが、条件 2(各点がコンパクトな閉包をもつ開近傍をもつ)は成り立たない。また 1 により $\{y\mid y\ge 0\}$ は右順序位相の $\mathbb{R}$ でコンパクトだが、その閉包は $\mathbb{R}$ であり、コンパクト集合が閉とは限らない。

連結性と半連続関数

連結性と道

$X$ を空でない全順序集合とし、右順序位相を入れる。

  1. $X$ は 連結空間 かつ 局所連結空間 である。
  2. $x< y$ のとき、$\gamma(0)=x$、$0< t\le1$ で $\gamma(t)=y$ と定めた $\gamma\colon[0,1]\to X$ は連続である。とくに $X$ は弧状連結かつ局所弧状連結である。
  3. $X$ の開集合 $U$ に $X$ から入る相対位相は、$U$ 自身の順序による右順序位相に一致する。
  4. $X$ が二点以上なら、$[0,1]$ から $X$ への埋め込みはない。とくに $X$ は弧連結でない。

要点:空でない開集合がどれも交わることから連結性が、開集合が上に閉じていることから 2 の道の連続性が従う。4 は二点以上の部分空間がどれも $T_1$ でないことによる。

詳しい証明を開く

1. 互いに素な空でない開集合はないので $X$ は連結である。3 により各開集合もまた右順序位相の空間で連結だから、開集合全体が連結な開集合からなる開基になり、$X$ は局所連結である。

2. 開集合 $U$ は上に閉じているので、$x\in U$ なら $y\in U$ で $\gamma^{-1}(U)=[0,1]$、$x\notin U$ かつ $y\in U$ なら $\gamma^{-1}(U)=(0,1]$、どちらも含まなければ空集合である。いずれも $[0,1]$ の開集合である。$y< x$ のときは $\delta(t)=x$($0\le t< 1$)、$\delta(1)=y$ が同じ理由で連続であり、$x$ と $y$ を結ぶ。3 により各開集合も弧状連結なので局所弧状連結である。

3. $U$ の相対開集合は開基の元との共通部分 $U\cap X=U$ と $U\cap S_a$ の合併である。$a\in U$ なら $U\cap S_a$ は $U$ の中の右半直線 $\{u\in U\mid a< u\}$ である。$a\notin U$ なら、$U$ が上に閉じているので $a$ は $U$ のすべての元より小さく、$U\cap S_a=U$ である。よって相対位相は $U$ の右順序位相と同じ開基をもつ。

4. 部分集合 $Y\subset X$ が相異なる $y_1< y_2$ を含めば、$y_1$ の $X$ での近傍はすべて $y_2$ を含むので、$Y$ の相対位相でも $y_1$ の近傍はすべて $y_2$ を含み、$Y$ は $T_1$ でない。$[0,1]$ は $T_1$ だから、二点以上の像をもつ埋め込み $[0,1]\to X$ はない。$\square$

2 と 4 は、弧状連結空間 の定理「Hausdorff 空間での一致」で Hausdorff 性を外せないことの例になる。ただし埋め込みでない連続な単射なら存在しうる。次の命題がそれを示す。

実数直線への連続写像と下半連続性

$Y$ を位相空間とし、$\mathbb{R}$ に右順序位相を入れる。写像 $f\colon Y\to\mathbb{R}$ が右順序位相について連続であることと、$f$ が通常の意味で下半連続であることは同値である。

開基 $\{\mathbb{R}\}\cup\{(c,\infty)\mid c\in\mathbb{R}\}$ の元の逆像は $Y$ と $\{f> c\}$ である。したがって $f$ の連続性は、すべての $c\in\mathbb{R}$ について $\{f> c\}$ が開であることと同値であり、これは 半連続性 の命題「開集合・閉集合による特徴づけ」の 1 により $f$ の下半連続性と同値である。$\square$

埋め込みでない連続な単射

恒等写像 $\iota\colon[0,1]\to\mathbb{R}$($\mathbb{R}$ は右順序位相)は、$\iota^{-1}((c,\infty))=(c,1]\cap[0,1]$ が $[0,1]$ の開集合なので連続な単射である(prop-rot-lsc で言えば、連続関数は下半連続である)。しかし thm-rot-connected の 4 により、これは埋め込みではない。像 $[0,1]$ の相対位相は $[0,1]$ の右順序位相で、通常の位相より真に粗い。弧を連続な単射として定める流儀なら右順序位相の $\mathbb{R}$ は弧連結になり、埋め込みとして定める流儀なら弧連結でない。この空間では二つの流儀が実際に分かれる。

実数直線の右順序位相

以下、$\mathbb{R}$ に右順序位相を入れた空間を考える。開集合は $\emptyset$、$\mathbb{R}$、$(a,\infty)$ である。点列や部分集合の集積点と区別して、点 $x$ の任意の近傍が $A$ の点を無限個含むとき $x$ を $A$ の $\omega$-集積点という。

可算性・被覆性質・カテゴリー

$\mathbb{R}$ に右順序位相を入れる。

  1. $\{(r,\infty)\mid r\in\mathbb{Q}\}$ は可算な開基である。とくに $\mathbb{R}$ は 第2可算公理 をみたし、可分で、Lindelöf空間 である。
  2. 可算な開被覆 $\{(n,\infty)\mid n\in\mathbb{Z}\}$ は有限部分被覆をもたない。とくに $\mathbb{R}$ はコンパクトでも 可算コンパクト空間 でもない。
  3. $\mathbb{R}=\bigcup_{m\ge1}[-m,\infty)$ であり、各 $[-m,\infty)$ はコンパクトである。とくに $\mathbb{R}$ は $\sigma$-コンパクトである。
  4. 各 $r\in\mathbb{R}$ について $P_r=(-\infty,r)$ は 疎集合 であり、孤立点をもたない。$\mathbb{R}=\bigcup_{r\in\mathbb{Q}}P_r$ は自分自身の第1類集合であり、$\mathbb{R}$ は Baire 空間でない。
  5. 開被覆 $\{(n,\infty)\mid n\in\mathbb{Z}\}$ は点有限な開細分をもたない。とくに $\mathbb{R}$ は可算メタコンパクトでなく、パラコンパクトでもない。
  6. 空でない有限集合 $F$ の最大元を $M$ とすると、$F$ の集積点の全体は $(-\infty,M)$ であり、$F$ は $\omega$-集積点をもたない。

要点:開集合が $(a,\infty)$ の形に限ることから、近傍の比較はすべて左端点の大小に帰着する。5 では、$0$ を含む有限個の成員が上に閉じていることから、それらの最小の左端点より左の点を覆えないことを示す。

詳しい証明を開く

1. $x\in(a,\infty)$ なら $a< r< x$ となる有理数 $r$ があり、$x\in(r,\infty)\subset(a,\infty)$ である。$\mathbb{R}$ を含む開基の元は不要である($\mathbb{R}=\bigcup_{r\in\mathbb{Q}}(r,\infty)$)。可算な開基をもつ空間は可分であり(各基元から一点ずつ選ぶ)、開被覆に対して、被覆のどれかの元に含まれる基元ごとにその元を一つずつ選べば高々可算な部分被覆になるので Lindelöf である。

2. 有限個 $(n_1,\infty),\dots,(n_k,\infty)$ の合併は $(\min_i n_i,\infty)$ で、点 $\min_i n_i$ を覆わない。可算な開被覆が有限部分被覆をもたないので可算コンパクトでない。

3. $[-m,\infty)$ は最小元 $-m$ をもつので thm-rot-compact の 1 によりコンパクトである。

4. ex-rot-closure-real により $\overline{P_r}=(-\infty,r]$ である。空でない開集合は上に有界でないので $(-\infty,r]$ に含まれず、$\overline{P_r}$ の内部は空である。$x\in P_r$ の任意の近傍 $(a,\infty)$($a< x$)は $x< y< r$ となる $y\in P_r$ を含むので、$x$ は $P_r$ の孤立点でない。$\mathbb{R}$ は空でない開集合で、可算個の疎集合の合併だから、Baire 空間でない(Baireのカテゴリー定理 の命題「Baire 性の言い換え」の 3)。

5. $\mathcal{V}$ を点有限な開細分とする。$\mathcal{V}$ の各成員はある $(n,\infty)$ に含まれるので $\mathbb{R}$ ではなく、空でない成員は $(a,\infty)$ の形である。$0$ を含む成員は有限個 $(a_1,\infty),\dots,(a_k,\infty)$ であり($0$ を含む成員は空でない)、$a=\min_i a_i< 0$ とおく。点 $a$ を含む成員 $(c,\infty)$ では $c< a< 0$ なので、それは $0$ を含み、$a_1,\dots,a_k$ のどれかに $c$ が等しくなるはずだが、$c< a$ に反する。よって点有限な開細分はない。被覆が可算なので可算メタコンパクトでない(メタコンパクト空間 の定義「可算メタコンパクト空間」)。パラコンパクトなら局所有限な開細分は点有限なので、パラコンパクトでもない。

6. $x< M$ なら $x$ の近傍はすべて $M\neq x$ を含む。$x> M$ なら近傍 $(M,\infty)$ は $F$ と交わらない。$x=M$ のとき、$F=\{M\}$ なら $F\setminus\{M\}$ は空であり、そうでなければ $b=\max(F\setminus\{M\})< M$ について近傍 $(b,\infty)$ は $F\setminus\{M\}$ と交わらない。どちらの場合も $M$ は集積点でない。$F$ は有限なので、どの近傍も $F$ の点を有限個しか含まない。$\square$

6 により、空でない有限集合 $F$ に $\omega$-集積点を付け加えても $F$ のままであり、閉包 $(-\infty,\max F]$ にはならない。$T_1$ 空間では有限集合は閉で集積点をもたないが、右順序位相では有限集合が無限個の集積点をもつ。

三つの位相の比較

$\mathbb{R}$ の上の通常の位相、Sorgenfrey直線 の位相($[a,b)$ を開基とする)、右順序位相を比べる。通常の位相の列は標準的な事実、Sorgenfrey 直線の列は同記事の命題による。

性質通常の位相Sorgenfrey 直線右順序位相
$T_1$・Hausdorffであるであるでない
第2可算であるでないである
可分・Lindelöfであるであるである
$\sigma$-コンパクトであるでないである
コンパクト部分集合有界閉集合高々可算な集合に限る空集合と最小元をもつ集合
連結であるでない(完全不連結)である

三つの位相のうち、右順序位相がいちばん粗く、通常の位相がその次で、Sorgenfrey 直線の位相がいちばん細かい。右順序位相の $(a,\infty)$ は通常の位相でも開であり、通常の開区間 $(a,b)=\bigcup_{a< c< b}[c,b)$ は Sorgenfrey の位相で開である。Sorgenfrey 直線がコンパクト部分集合を高々可算しかもたないのは位相が細かいからで、逆に右順序位相では最小元をもつだけで非有界な集合までコンパクトになる。

反例の表

外す条件反例成り立たなくなること
Hausdorff 性右順序位相の $\mathbb{R}$ のコンパクト集合 $[0,\infty)$コンパクト集合は閉集合である
Hausdorff 性右順序位相の $\mathbb{R}$各点がコンパクト近傍をもてば、コンパクトな閉包をもつ開近傍をもつ
Hausdorff 性右順序位相の $\mathbb{R}$局所コンパクトな Hausdorff 空間は Baire 空間である
正則性条件右順序位相の $\mathbb{R}$正則な Lindelöf 空間はパラコンパクトである
Hausdorff 性二点以上の全順序集合の右順序位相弧状連結なら弧連結である
$T_1$右順序位相の $\mathbb{R}$ の空でない有限集合有限集合は閉集合で、集積点をもたない

1 行目は thm-rot-compact の 1 と prop-rot-closure の 3、2 行目は thm-rot-compact の 2・3、3 行目は thm-rot-compact の 2 と thm-rot-real の 4(局所コンパクト空間 の定理「局所コンパクト空間は Baire 空間」と比べる)、4 行目は thm-rot-real の 1・5 と thm-rot-separation の 2(パラコンパクト空間 の命題「正則 Lindelöf 空間」と比べる)、5 行目は thm-rot-connected の 2・4、6 行目は thm-rot-real の 6 による。

出典

右順序位相と実数直線の右順序位相の性質の一覧は SS78 の Examples 49–50(p. 74)にある。

関連項目

参考文献

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