整関数

同義語:entire function

概要

整関数(entire function)とは、複素平面全体で正則な関数である。任意の中心での Taylor 級数が全平面で収束し、円周上の最大絶対値から係数を評価できる。零関数でない整関数の零点は孤立し、有界な閉集合には有限個しかない。多項式かどうかは成長や無限遠での特異点によって見分けられる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 正則関数, Taylor展開(複素解析), Cauchyの積分公式

全平面で正則な関数

分母が零になる点、対数の枝を切る場所、冪級数の収束円の境界などを避けずに、複素平面のどこでも正則な関数を整関数(entire function)という。定義は短いが、定義域が全平面であるため、任意に大きい円周に Cauchy の積分公式を適用できる。このことが Taylor 係数、無限遠での成長、零点の配置を結びつける。

整関数

写像 $f:\mathbb{C}\to\mathbb{C}$ が複素平面のすべての点で正則であるとき、$f$ を整関数という。整関数全体を $\mathcal{O}(\mathbb{C})$ と書く。

「整」は関数値が整数であることを意味しない。たとえば $e^z$ は整関数だが、値は通常整数ではない。また実数直線上で何回でも微分できるだけでは足りず、複素変数として全平面で正則でなければならない。正則関数 は一般の開集合上での微分可能性を扱う。本記事は定義域を $\mathbb{C}$ 全体に固定したときに得られる大域的な性質を扱う。
多項式、$e^z$、$\sin z$、$\cos z$ は整関数である。多項式は複素微分の規則から分かり、後の三つは収束半径が無限大の冪級数として定義できる。一方 $1/z$ は原点で定義できず、$1/(1+z^2)$ は $i$ と $-i$ に極をもつため整関数ではない。$\overline z$ は全平面で定義され連続でも、複素微分可能でない。定義域に穴がないことと複素微分可能性の両方が必要である。

関数複素平面での状態整関数か
$z^3-2z+1$多項式はい
$e^z$、$\sin z$冪級数が全平面で収束はい
$1/z$$0$ に極いいえ
$1/(1+z^2)$$i,-i$ に極いいえ
$\overline z$複素微分可能でないいいえ

整関数の和・積・合成・導関数は再び整関数になる。商 $f/g$ は $g$ の零点がない場合には整関数だが、零点があるときは約分などによって正則に延長できるかを別に確かめる。たとえば $\sin z/z$ は表示のままでは $0$ で未定義だが、$\sin z=z-z^3/3!+\cdots$ から $0$ に値 $1$ を入れて整関数へ延長できる。このような除去可能特異点を含む式は、式の見かけだけで整関数性を決めてはいけない。

Taylor 級数の半径が無限大

整関数を全平面で理解する最初の道具は Taylor 級数である。一般の正則関数の Taylor 展開は中心の近くで成り立つ。整関数なら中心からどれほど遠い点にも展開を延ばせる。

整関数と全平面で収束する冪級数

$f:\mathbb{C}\to\mathbb{C}$ について、次は同値である。

  1. $f$ は整関数である。
  2. 任意の $a\in\mathbb{C}$ に対し、$f(z)=\sum_{n=0}^{\infty}f^{(n)}(a)(z-a)^n/n!$ がすべての $z\in\mathbb{C}$ で成り立つ。
  3. ある $a\in\mathbb{C}$ と係数 $c_n\in\mathbb{C}$ があり、$\sum_{n=0}^{\infty}c_n(z-a)^n$ の収束半径が無限大で、和が $f(z)$ に等しい。

1 を仮定する。任意の $a$ と $R>0$ について、$f$ は中心 $a$、半径 $R$ の閉円板の近くで正則なので、Taylor展開(複素解析) により $|z-a|< R$ で 2 の展開が成り立つ。$R$ は任意だから、展開はすべての $z$ で成り立つ。2 なら $a$ を一つ選べば 3 である。3 なら冪級数は任意の円板上で局所一様収束し、その和は各点で正則である(正則関数 の定理「冪級数の正則性」)。よって 1 が従う。$\square$

一つの中心 $a$ で収束半径が無限大と分かれば十分である。中心を変えても、その関数は整関数なので再び全平面で Taylor 展開できる。逆に、ある正則関数を中心の近くで表す Taylor 級数の収束半径が有限なら、その関数を全平面の整関数へ延長することはできない。延長できたと仮定すれば、Taylor 係数の一意性により同じ級数が全平面で収束するはずだからである。ただし収束円の外の一部へ解析接続できることはある。たとえば $1/(1-z)=\sum_{n=0}^{\infty}z^n$ は $|z|<1$ での展開だが、関数 $1/(1-z)$ は $\mathbb{C}\setminus\{1\}$ に正則に延びる。$z=1$ に極があるので整関数には延びない。

係数から整関数を作る

$F(z)=\sum_{n=0}^{\infty}z^n/(n!)^2$ とする。項の絶対値の比は $|z|/(n+1)^2\to0$ だから、任意の $z\in\mathbb{C}$ で収束する。さらに任意の閉円板 $|z|\le R$ 上では $R^n/(n!)^2$ で一様に抑えられるので、冪級数の和 $F$ は整関数である。係数は無限個が $0$ でないため、$F$ は多項式ではない。冪級数を使えば、初等関数の名前がついていなくても整関数を構成できる。

冪級数 $\sum c_n(z-a)^n$ の収束半径が無限大であることは、Cauchy–Hadamard の公式を使えば $\limsup_{n\to\infty}|c_n|^{1/n}=0$ と同値である。これは係数がどの固定された幾何級数よりも速く小さくなることを意味する。ただし係数そのものの減少だけでは、円周上の関数の大きさを直感的に見積もりにくい。次の最大絶対値がその橋渡しになる(How25 §7.2、DLMF §1.10(i))。

円周上の成長と Taylor 係数

整関数 $f$ について $M_f(R)=\max_{|z|=R}|f(z)|$($R>0$)と置く。円周はコンパクトで $f$ は連続だから、最大値は存在する。$M_f(R)$ は、原点から距離 $R$ のところで関数がどれほど大きくなるかを測る。原点以外を中心にする場合は $M_{f,a}(R)=\max_{|z-a|=R}|f(z)|$ と書く。

最大絶対値と係数

$f$ を整関数とし、$f(z)=\sum_{n=0}^{\infty}c_n(z-a)^n$ と書く。任意の $R>0$ と $n\ge0$ について
$$ |c_n|\le\frac{M_{f,a}(R)}{R^n} $$
が成り立つ。とくに $|f^{(n)}(a)|\le n!M_{f,a}(R)/R^n$ である。

Cauchy の係数公式により
$$ c_n=\frac{1}{2\pi i}\int_{|z-a|=R}\frac{f(z)}{(z-a)^{n+1}}\,dz. $$
積分路の長さは $2\pi R$、積分される関数の絶対値は $M_{f,a}(R)/R^{n+1}$ 以下である。積分の絶対値を「長さ×上界」で抑えると、右辺は $M_{f,a}(R)/R^n$ 以下となる。$c_n=f^{(n)}(a)/n!$ から後半も従う。$\square$

この不等式は $R$ を任意に大きくとれるところに整関数の強みがある。$M_f(R)$ が $R^d$ 程度以下でしか増えなければ、$n>d$ の係数について $R\to\infty$ として $c_n=0$ が分かる。したがって $f$ は次数 $d$ 以下の多項式になる。この結論と、有界な整関数が定数である $d=0$ の場合は Liouvilleの定理(複素解析) で詳しく証明されている。整関数の成長を調べることは、無限個の Taylor 係数のうちどれが残れるかを調べることでもある。
一方、非多項式の整関数は、どの固定された多項式の増大率にも全平面で抑えられない。これは「実軸上の一方向で必ず速く増える」という意味ではない。$e^z$ は負の実軸上では $0$ に近づくが、正の実軸上では $e^R$ まで増える。実際 $|e^z|=e^{\operatorname{Re}z}$ なので $M_{e^z}(R)=e^R$ である。最大絶対値はすべての方向を同時に見る量である。
$\sin z$ はさらに分かりやすい例である。実数 $x$ については $|\sin x|\le1$ だが、虚軸上では $\sin(iR)=i\sinh R$ だから、$M_{\sin}(R)\ge\sinh R$ となる。実軸だけを観察すると有界に見えても、複素平面全体での大きさはまったく異なる。Liouville の定理で「有界」と言うときも、実軸上ではなく全平面上の上界を要求する。閉円板内部での絶対値も、最大値原理により境界円周上の $M_f(R)$ を超えないので、この一つの量は半径 $R$ までの全体の増大を測っている。

成長の比較

$p(z)=a_dz^d+\cdots+a_0$ が次数 $d$ の多項式なら、三角不等式から $M_p(R)\le\sum_{j=0}^d|a_j|R^j$ であり、$R\ge1$ では $M_p(R)\le C R^d$ となる。$e^z$ では $M(R)=e^R$ なので、いかなる $C R^d$ でもすべての大きな $R$ にわたって上から抑えることはできない。これは非多項式性の別の確認である。ただし整関数の成長は一様に指数型とは限らず、$e^{z^2}$ では $M(R)=e^{R^2}$ となる。

最大絶対値は係数の推定にも使えるが、円周上の値を Taylor 係数だけから簡単に逆算できるとは限らない。異なる項が方向によって打ち消し合うからである。確実に使えるのは、Cauchy の不等式による「円周上の上界から係数への上界」である。したがって、非多項式性を示すときは $M_f(R)$ の厳密な式を求める必要はなく、多項式型の上界が成り立たないことを一方向の値などから示せば足りる。

零点は集積できない

整関数の零点とは $f(a)=0$ となる点 $a$ である。多項式は有限個しか零点をもたないが、整関数は無限個の零点をもつことがある。それでも非零の整関数では零点が複素平面内に集積しない。この制約は、局所 Taylor 級数と全平面で定義されることの組合せから出る。

零点の位数

$f$ を零関数でない整関数とし、$f(a)=0$ とする。$f(a)=f'(a)=\cdots=f^{(m-1)}(a)=0$ かつ $f^{(m)}(a)\ne0$ となる整数 $m\ge1$ を、$a$ における零点の位数という。$m=1$ の零点を単純零点という。

零点の位数が有限であることも証明を要する。もしすべての導関数が $a$ で $0$ なら、前節の全平面 Taylor 展開から $f$ は恒等的に $0$ になる。したがって非零の整関数の零点には、最初に $0$ でない Taylor 係数が必ず現れる。DLMF §1.10(i) でもこの係数で位数を定めている。

零点の局所因数分解

$f$ を零関数でない整関数とし、$a$ を位数 $m$ の零点とする。このとき $a$ のある円板上で正則な $g$ があり、$g(a)\ne0$ かつ $f(z)=(z-a)^m g(z)$ と書ける。したがって $a$ は $f$ の孤立した零点である。

$a$ の周りの Taylor 展開で、$m$ より小さい次数の係数は $0$、$m$ 次の係数 $c_m$ は $0$ でない。よって
$$ f(z)=(z-a)^m\bigl(c_m+c_{m+1}(z-a)+c_{m+2}(z-a)^2+\cdots\bigr) $$
と書ける。括弧内を $g(z)$ とすれば、冪級数として正則で $g(a)=c_m\ne0$ である。連続性により、十分小さい円板で $g(z)$ は零にならない。そこでは $f(z)=0$ となるのは $z=a$ だけである。$\square$

この命題は一般の連結領域上の正則関数にも成り立つ(How25 §7.5)。全平面で整関数として扱うと、零点集合全体について次の形にできる。

有界な範囲には零点が有限個

零関数でない整関数 $f$ の零点は、任意の有界な閉集合に有限個しかない。零点が無限個あるなら、その絶対値は無限大へ向かう部分列を含む。

ある有界な閉集合に零点が無限個あると仮定する。その集合は $\mathbb{C}$ のコンパクト集合なので、相異なる零点の列には収束部分列があり、極限 $a$ もその閉集合に属する。連続性から $f(a)=0$ である。しかし $a$ のどの近傍にも別の零点があり、前命題の孤立性に矛盾する。後半は、各閉円板に零点が有限個しかないことから従う。$\square$

無限個の零点と零点のない関数

$\sin z=(e^{iz}-e^{-iz})/(2i)$ は整関数である。$\sin z=0$ は $e^{2iz}=1$ と同値であり、その解は $z=n\pi$($n\in\mathbb{Z}$)である。導関数 $\cos z$ は $n\pi$ で $(-1)^n\ne0$ なので、すべて単純零点である。零点は無限個あるが、有界な領域には有限個しかない。一方 $e^z$ はどこでも $0$ にならない。整関数だから零点が必ず存在する、という推論は誤りである。

零点のない整関数には、さらに具体的な形がある。$e^z$ だけが例なのではなく、任意の整関数 $G$ に対して $e^{G(z)}$ は零点をもたない。逆向きも成り立つ。

零点をもたない整関数

整関数 $f$ が全平面で零点をもたないことと、ある整関数 $G$ と $0$ でない定数 $c$ により $f(z)=c e^{G(z)}$ と書けることは同値である。

$f$ が零点をもたなければ、$h=f'/f$ は整関数である。全平面 Taylor 展開 $h(z)=\sum_{n=0}^{\infty}b_nz^n$ をとり、$G(z)=\sum_{n=0}^{\infty}b_nz^{n+1}/(n+1)$ と定める。積分で得た冪級数も全平面で収束するので $G$ は整関数で、$G'=h$、$G(0)=0$ である。積の微分則から $(f e^{-G})'=e^{-G}(f'-G'f)=0$。全平面は連結なので $f e^{-G}$ は定数 $c=f(0)\ne0$ となる。逆に $e^{G(z)}$ はどの点でも $0$ にならないから、$c e^{G(z)}$ も零点をもたない。$\square$

この表示の $G$ は一意ではない。$G$ に $2\pi i n$($n\in\mathbb{Z}$)を加えても指数関数は変わらず、定数 $c$ を指数の中に吸収することもできる。重要なのは、零点がないという大域的な条件が、全平面で正則な「対数」を選べることと結びつく点である。零点がある関数にはこのままでは対数をとれない。零点を除いた領域ごとに対数を考える場合は、領域の形も関係する。

無限遠で見た整関数

整関数には有限の複素平面内に特異点がない。そこで $w=1/z$ と置き、$w=0$、つまり無限遠の近くで $f(1/w)$ を調べると、多項式とそれ以外の整関数の違いが分かる。これは「無限遠が特異点」という言い方を、有限の点 $w=0$ の孤立特異点として正確に読み替える方法である。

無限遠の特異点による分類

整関数 $f$ の無限遠について、次が成り立つ。

  1. 無限遠が除去可能特異点であることと、$f$ が定数であることは同値である。
  2. 無限遠が位数 $d\ge1$ の極であることと、$f$ が次数 $d$ の多項式であることは同値である。
  3. 無限遠が真性特異点であることと、$f$ が多項式でないことは同値である。

$f(z)=\sum_{n=0}^{\infty}a_nz^n$ は全平面で収束する。$0<|w|<\varepsilon$ で $z=1/w$ とすると
$$ f(1/w)=a_0+a_1w^{-1}+a_2w^{-2}+\cdots $$
となり、これは $w=0$ の周りの Laurent 展開である。負の冪がないのは $a_n=0$($n\ge1$)、すなわち $f$ が定数のときに限る。負の冪が有限個あり、最高が $w^{-d}$ なら $f$ は次数 $d$ の多項式で、$w=0$ は位数 $d$ の極である。負の冪が無限個残る場合は Laurent 展開による孤立特異点の分類から真性特異点である。$\square$

たとえば $e^z$ と $\sin z$ は多項式でないので、無限遠は真性特異点である。有限の点ではどこでも正則であっても、無限遠でまで正則とは限らない。逆に、多項式は無限遠の極を許すことで Riemann 球面上の有理型関数と見られる。この見方は 有理型関数 や Riemann球面 の記事につながる(DLMF §1.10(iii))。
成長による見方と無限遠での分類は一致する。多項式は $M_f(R)$ が高々 $R^d$ の速さで増え、非多項式の整関数では多項式型の上界を一つに固定できない。零点については別の違いがある。多項式は零点が有限個であるが、$e^z$ のように零点が一つもない非多項式の整関数も、$\sin z$ のように無限個もつものもある。成長の情報だけ、あるいは零点の有無だけで整関数の形を決めることはできない。

反例の表

整関数の性質の多くは「定義域が全平面」であることに依存する。仮定を一つずつ外すと結論が崩れることを確かめる。

外す条件反例成り立たなくなること
複素微分可能であること$\overline z$整関数であること(全平面で定義され連続でも)
定義域が全平面(prop-entire-function-series)$\mathbb C\setminus\{1\}$ 上の $1/(1-z)$$0$ 中心の Taylor 級数の収束半径が無限大
定義域が全平面(cor-entire-function-zero-locally-finite)$\mathbb C\setminus\{0\}$ 上の $\sin(1/z)$有界な範囲の零点が有限個
定義域が全平面(prop-entire-function-zero-free)$\mathbb C\setminus\{0\}$ 上の $f(z)=z$零点がなければ $ce^{G}$ と書ける
零関数でないこと零関数 $0$零点が孤立する
全平面での有界性(実軸上だけにする)$\sin z$有界なら定数(Liouville の定理)
反例:穴のある領域では零点が集積しうる

$f(z)=\sin(1/z)$ は $\mathbb C\setminus\{0\}$ で正則だが、$0$ では定義されない。$f(1/(n\pi))=\sin(n\pi)=0$ なので、$z_n=1/(n\pi)$($n\ge1$)は無限個の零点で、$z_n\to0$ である。したがって有界な集合 $\{0<\lvert z\rvert\le1\}$ に零点が無限個ある。これは cor-entire-function-zero-locally-finite の結論を破る。この集合は $\mathbb C\setminus\{0\}$ の中で閉だがコンパクトではなく、証明で使った「零点列の極限 $a$ が定義域に属し $f(a)=0$」が、極限 $0$ が定義域の外にあるために崩れる。$f$ は整関数ではない($0$ は真性特異点)。

反例:穴のある領域では零点がなくても対数がとれない

$f(z)=z$ は $U=\mathbb C\setminus\{0\}$ で正則で零点をもたない。もし $U$ 上の正則関数 $G$ と定数 $c\ne0$ で $z=ce^{G(z)}$ と書けたとすると、微分して $1=G'(z)\,ce^{G(z)}=G'(z)z$、すなわち $G'(z)=1/z$ である。単位円周 $\lvert z\rvert=1$ に沿って積分すると、$G'$ は $U$ で原始関数 $G$ をもつので $\oint G'(z)\,dz=0$ だが、$\oint dz/z=2\pi i$ である。矛盾するので、そのような $G$ はない。prop-entire-function-zero-free の証明では $f'/f$ の原始関数を全平面の冪級数の項別積分で作ったが、$U$ では $1/z$ の原始関数が $U$ 全体では存在しない。

残りの行は本文で確かめた。$\overline z$ は「全平面で正則な関数」の節、$1/(1-z)$ は Taylor 級数の節、$\sin z$ は実軸上で $\lvert\sin x\rvert\le1$ でも虚軸上で $\lvert\sin(iR)\rvert=\sinh R$ となる例である。零関数はすべての点が零点で、零点の位数も定まらない(def-entire-function-zero-order は零関数でない $f$ についての定義である)。

関連項目

参考文献

Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する