Hilbert–Mumfordの判定法(Hilbert–Mumford criterion)とは、代数閉体上の簡約群 $G$ の有限次元表現 $V$ の点 $x\ne0$ について、軌道の閉包が原点を含む(不安定)ことと、ある 1 径数部分群 $\lambda$ で $t\to0$ のとき $\lambda(t)x\to0$ となることが同値であり、軌道が閉で固定部分群が有限(安定)であることと、自明でないすべての $\lambda$ に関して $x$ が正と負の重みをもつことが同値である、という定理である。軌道の閉包の問題を 1 次元の群の重みの計算に帰着し、幾何学的不変式論で商に入れる点を決めるのに使われる。
Hilbert–Mumfordの判定法(Hilbert–Mumford criterion)は、簡約群 $G$ の線形表現 $V$ の点 $x$ が不安定・半安定・安定のどれであるかを、$G$ の 1 径数部分群 $\lambda\colon\mathbb{G}_m\to G$ に関する $x$ の重みだけで判定する定理である。たとえば $x$ が不安定、すなわち軌道 $G\cdot x$ の閉包が原点を含むことは、ある 1 径数部分群 $\lambda$ について $t\to0$ で $\lambda(t)x\to0$ となることと同値である。軌道の閉包という大域的で扱いにくい条件が、1 次元の群の作用という具体的な計算に帰着される。
Hilbert は 2 元形式などの不変式論でこの考え方を用い、Mumford が幾何学的不変式論の基礎として一般の簡約群について定式化した。代数多様体や層のモジュライ空間を群の作用による商として作るとき、商に入れる点(半安定点・安定点)を決めるのにこの判定法が使われる。
この記事では、安定性と重みを定義し、判定法を述べる。そのうえで「容易な向き」を一般の群について、判定法全体を代数的トーラスの場合に凸幾何を使って証明し、2 元形式・行列の共役・平面 3 次曲線に当てはめる。一般の簡約群の場合の残りの向きは証明しない。
以下、$k$ を代数閉体、$G$ を $k$ 上の簡約群(連結とする)とし、$G$ は有限次元の $k$ 線形空間 $V$ に線形に作用するとする(表現 $G\to\mathrm{GL}(V)$)。$x\in V$ の軌道 $G\cdot x$ の Zariski位相 での閉包を $\overline{G\cdot x}$ と書き、固定部分群を $G_x:=\{g\in G\mid gx=x\}$ と書く。
$x\in V$、$x\ne0$ とする。
$G$ の作用はスカラー倍と可換なので $G\cdot(cx)=c\,(G\cdot x)$ であり、射影空間の点についての定義は持ち上げの選び方によらない。安定な $x\ne0$ は半安定である。実際 $G\cdot x$ は閉なので $\overline{G\cdot x}=G\cdot x$ であり、$gx=0$ なら $x=g^{-1}0=0$ となるから $0\notin G\cdot x$ である。不安定の反対は半安定であって、安定ではないことに注意する。
1 径数部分群とは、代数群の準同型 $\lambda\colon\mathbb{G}_m\to G$ のことである。$\mathbb{G}_m$ の有限次元表現は対角化可能なので(MilAG Theorem 14.12, p. 229)、$V$ は
$$
V=\bigoplus_{r\in\mathbb{Z}}V_r,\qquad V_r:=\{v\in V\mid \lambda(t)v=t^rv\ (t\in k^\times)\}
$$
と分解する。$x=\sum_rx_r$($x_r\in V_r$)と書くとき、$x_r\ne0$ となる $r$ の全体を $\lambda$ に関する $x$ の重み といい、その最小値を $\mu(x,\lambda)$ と書く。$\lambda(t)x=\sum_rt^rx_r$ なので、次が成り立つ。
$k$ を代数閉体、$G$ を簡約群、$V$ を $G$ の有限次元表現、$x\in V\setminus\{0\}$ とする。
2 は 1 の言い換えである。3 で「正と負の両方」と言い換えられるのは、$\mu(x,\lambda^{-1})<0$ が $\lambda$ に関する正の重みの存在を意味するからである。
言明は Mum77 1.1 の表(p. 41)と 1.2 の注意(pp. 42–43)にある(同所では重みと不安定性の向きがこの記事と同じ規約で書かれている)。1 の「$\lambda$ があれば不安定」と 3 の「安定なら負の重みがある」は容易な向きで、次の prop-hm-easy で一般の $G$ について証明する。残りの向きはこの記事では証明しない。Mum77 1.2 の注意 vii(p. 43)によれば、それは $k[\![t]\!]$ と $k((t))$ に値をとる $G$ の点について、両側剰余類 $G(k[\![t]\!])\backslash G(k((t)))/G(k[\![t]\!])$ が 1 径数部分群の像で代表されることから導かれる。$G$ がトーラスの場合は、この記事の thm-hm-torus で完全に証明する。
$G$ を $k$ 上の任意の線形代数群とし、$x\in V\setminus\{0\}$ とする。
1:重みの節で見たとおり、$\lim_{t\to0}\lambda(t)x=0$ は $\overline{G\cdot x}$ に属する。
2:自明でない $\lambda$ について $\mu(x,\lambda)\ge0$ と仮定して矛盾を導く。重みの節により極限 $x_0:=\lim_{t\to0}\lambda(t)x$ があり、$x_0\in\overline{G\cdot x}=G\cdot x$ なので $x_0=gx$ となる $g\in G$ がある。$x_0$ は重み $0$ の成分なので $\lambda(\mathbb{G}_m)$ で固定され、$\lambda(\mathbb{G}_m)\subset G_{x_0}=gG_xg^{-1}$ である。$\lambda$ は自明でないので、その核は $\mathbb{G}_m$ の真の閉部分群、すなわち有限群 $\mu_n$ であり、像 $\lambda(\mathbb{G}_m)$ は無限群である。これは $G_x$ が有限であることに反する。$\square$
$T\cong\mathbb{G}_m^r$ を代数的トーラスとする。指標 $\chi\colon T\to\mathbb{G}_m$ の群 $X(T)$ と 1 径数部分群の群 $Y(T)$ はどちらも $\mathbb{Z}^r$ と同一視でき、$\chi\circ\lambda(t)=t^{\langle\chi,\lambda\rangle}$ で定まる対 $\langle\ ,\ \rangle$ は $\mathbb{Z}^r$ の標準内積になる。$T$ の表現は指標ごとの固有空間に分解する(MilAG Theorem 14.12, p. 229)。
$$
V=\bigoplus_{\chi\in X(T)}V_\chi,\qquad V_\chi:=\{v\mid tv=\chi(t)v\}.
$$
$x=\sum_\chi x_\chi$ について $\operatorname{wt}(x):=\{\chi\mid x_\chi\ne0\}$ を $x$ の 重みの集合 という。$\lambda\in Y(T)$ に関する $x$ の重みは $\{\langle\chi,\lambda\rangle\mid\chi\in\operatorname{wt}(x)\}$ である。
$x\in V\setminus\{0\}$、$W:=\operatorname{wt}(x)\subset\mathbb{Z}^r$ とする。
証明は、整数ベクトルの有限集合についての凸幾何の補題 2 つ(lem-hm-rational、lem-hm-cone)のあとの prf-thm-hm-torus で与える。
$W\subset\mathbb{Z}^r$ を有限集合、$u\in\mathbb{Z}^r$ とする。
有理数係数の 1 次方程式系が実数解をもてば、解の全体は有理数解 $p$ と有理数ベクトルを基底とする線形空間 $U$ の和 $p+U$ であり(Gauss の消去法は有理数の中で進む)、その有理点は $p+U$ で稠密である。
1:実数解 $a^*$ をとり、$W_+:=\{w\mid a^*_w>0\}$ とする。方程式系 $\sum_wa_ww=u$、$a_w=0$($w\notin W_+$)は有理数係数で $a^*$ を解にもつので、$a^*$ の近くに有理数解 $a$ があり、近ければ $a_w>0$($w\in W_+$)を保つ。
2:$W_0:=\{w\in W\mid\langle w,y\rangle=0\}$ とし、有理数係数の線形空間 $U:=\{z\mid\langle w,z\rangle=0\ (w\in W_0)\}\ni y$ をとる。条件「$\langle w,z\rangle>0$($w\in W\setminus W_0$)、$\langle u,z\rangle<0$」は $U$ の中の開条件で $y$ がみたすので、$y$ の近くの有理点 $z\in U$ もみたす。$z$ に分母の公倍数を掛ければ $\mathbb{Z}^r$ の元になる。後半の形も同じ議論である。$\square$
$W\subset\mathbb{Z}^r$ を空でない有限集合とする。
1:$\mathbb{R}^{r+1}$ のベクトル $(w,1)$($w\in W$)と $(0,1)$ に 凸錐 の系「Farkas の補題(錐の形)」を当てる。その 2 が成り立つとすると、$(v,s)$ で $\langle w,v\rangle+s\ge0$($w\in W$)かつ $s<0$ となるものがあり、$\langle w,v\rangle\ge-s>0$ となる。lem-hm-rational の 2 の後半の形により $\lambda\in\mathbb{Z}^r$ がとれて仮定に反する。よって 1 が成り立ち、$\sum_wa_w(w,1)=(0,1)$ となる実数 $a_w\ge0$ がある。lem-hm-rational の 1 により有理数にとれ、分母を払えば整数で、$\sum_wa_w=1$ だったのですべては $0$ でない。$\sum a_ww/\sum a_w=0$ なので $0$ は凸包に属する。
2:$W$ と $u$ に Farkas の補題を当てる。その 2 が成り立つとすると、$\langle w,y\rangle\ge0$($w\in W$)、$\langle u,y\rangle<0$ となる $y$ があり、lem-hm-rational の 2 により $y\in\mathbb{Z}^r$ にとれる。$\langle u,y\rangle<0$ なので $y\ne0$ で、仮定に反する。よって $u=\sum_wa_ww$(実数 $a_w\ge0$)であり、有理数にとって分母の公倍数 $N$ を掛ければよい。$\square$
要点:$x$ の座標を取り出す 1 次式の積は、指標の和が $0$ なら $T$ 不変な多項式になり、軌道の閉包の上で一定である。重みの間の整数関係は lem-hm-cone が与える。
準備:$\chi\in W$ ごとに、$V_\chi$ 上の線形形式で $x_\chi$ での値が $1$ のものを射影 $V\to V_\chi$ と合成して $\ell_\chi\in V^*$ を作る。$\ell_\chi(ty)=\chi(t)\ell_\chi(y)$($t\in T$、$y\in V$)が成り立つ。
1 の後半の同値:$\langle\chi,\lambda\rangle>0$($\chi\in W$)なら $W$ の凸結合と $\lambda$ の対も正なので $0\notin\operatorname{conv}W$。逆は lem-hm-cone の 1 の対偶である。
1 の前半:$\lambda$ があれば prop-hm-easy の 1 により不安定である。$\lambda$ がないとすると、lem-hm-cone の 1 により $0$ 以上の整数 $a_\chi$(すべては $0$ でない)で $\sum_\chi a_\chi\chi=0$ となるものがある。$f:=\prod_{\chi\in W}\ell_\chi^{a_\chi}$ は次数 $\sum a_\chi\ge1$ の斉次多項式で、$f(ty)=\bigl(\prod\chi(t)^{a_\chi}\bigr)f(y)=f(y)$ なので $T$ 不変である。$f(x)=1$ なので $f$ は $T\cdot x$ の上で、したがって閉集合 $f^{-1}(1)$ に含まれる $\overline{T\cdot x}$ の上で $1$ であり、$f(0)=0$ だから $0\notin\overline{T\cdot x}$ である。
2 の「$\Leftarrow$」:条件を (C) と書く。固定部分群:$W$ が $\mathbb{Q}^r$ を張らなければ、$W$ のすべての元と直交する $\lambda\in\mathbb{Z}^r\setminus\{0\}$ があり (C) に反する。よって 1 次独立な $\chi_1,\dots,\chi_r\in W$ がとれる。$T_x=\{t\mid\chi(t)=1\ (\chi\in W)\}$ は準同型 $\varphi\colon T\to\mathbb{G}_m^r$、$t\mapsto(\chi_i(t))_i$ の核に含まれる。座標で $\chi_i(t)=\prod_jt_j^{A_{ij}}$ と書くと、$A$ は行列式が $0$ でない整数行列であり、Smith標準形 により $A=PDQ$($P,Q\in\mathrm{GL}_r(\mathbb{Z})$、$D=\operatorname{diag}(d_1,\dots,d_r)$、$d_i\ne0$)と書ける。$P,Q$ は $\mathbb{G}_m^r$ の自己同型(単項式による座標変換)を定めるので、$\ker\varphi$ は $\prod_i\{s\in k^\times\mid s^{d_i}=1\}$ と同型で、各因子は高々 $|d_i|$ 個の元からなる。よって $T_x$ は有限である。
軌道が閉であること:$T\cdot x$ は閉部分空間 $V_x:=\bigoplus_{\chi\in W}kx_\chi$ に含まれ、$V_x$ の座標 $c_\chi=\ell_\chi$ で $x=(1,\dots,1)$、$T$ は $c_\chi\mapsto\chi(t)c_\chi$ と作用する。$\chi_0\in W$ を固定する。(C) より lem-hm-cone の 2 の仮定がみたされるので、$u=-\chi_0$ に当てて $N(-\chi_0)=\sum_\chi a_\chi\chi$($N\ge1$、$a_\chi\ge0$)を得る。$g:=c_{\chi_0}^N\prod_\chi c_\chi^{a_\chi}$ は 1 の前半と同じ理由で $T$ 不変で $g(x)=1$ なので、$\overline{T\cdot x}$ の上で $g=1$、とくに $c_{\chi_0}\ne0$ である。$\chi_0$ は任意なので $\overline{T\cdot x}\subset\mathbb{G}_m^W$(すべての座標が $0$ でない点の集合)である。一方 $T\cdot x$ は準同型 $T\to\mathbb{G}_m^W$、$t\mapsto(\chi(t))_\chi$ の像であり、代数群の準同型の像は閉部分群である(MilAG Theorem 6.18, p. 101、Proposition 1.27, p. 24)。よって $\overline{T\cdot x}=\overline{T\cdot x}\cap\mathbb{G}_m^W$ は $T\cdot x$ の $\mathbb{G}_m^W$ での閉包、すなわち $T\cdot x$ 自身である。
2 の「$\Rightarrow$」:prop-hm-easy の 2 である。$\square$
$G$ の 1 径数部分群 $\lambda$ の像はトーラスなので、ある極大トーラスに含まれる。$k$ は代数閉なので極大トーラスは互いに共役である(MilAG Theorem 18.67, p. 330)。極大トーラス $T$ を 1 つ固定すると、$\lambda=g^{-1}\lambda'g$($\lambda'\in Y(T)$、$g\in G$)と書け、$\lambda$ に関する $x$ の重みは $\lambda'$ に関する $gx$ の重みに等しい($\lambda(t)x=g^{-1}\lambda'(t)gx$)。したがって thm-hm-main は次の形に言い換えられる。
$T\subset G$ を極大トーラスとする。$x\in V\setminus\{0\}$ が $G$ について半安定(安定)であるための必要十分条件は、すべての $g\in G$ について $gx$ が $T$ について半安定(thm-hm-torus の 2 の条件をみたす)ことである。
1 つの $T$ だけでは足りず、$g$ を動かす必要がある(反例の表の 2 行目)。
$\mathrm{SL}_2$ は 2 変数 $x,y$ の $d$ 次斉次多項式(2 元形式)の空間 $V_d$ に $(g\cdot f)(v):=f(g^{-1}v)$ で作用する。$\lambda_m(t):=\operatorname{diag}(t^m,t^{-m})$ とすると、$\lambda_m(t)$ は単項式 $x^{d-i}y^i$ を $t^{m(2i-d)}$ 倍する。
$\mathrm{SL}_2$ の任意の 1 径数部分群は、ある $g\in\mathrm{SL}_2$ と整数 $m\ge0$ により $t\mapsto g\lambda_m(t)g^{-1}$ と書ける。
$\lambda$ による $k^2$ の $\mathbb{G}_m$ 表現は対角化可能なので(MilAG Theorem 14.12)、固有ベクトルの基底 $v_1,v_2$ で $\lambda(t)v_1=t^av_1$、$\lambda(t)v_2=t^bv_2$ となる。$\det\lambda(t)=t^{a+b}=1$ から $b=-a$ である。$v_2$ を定数倍して $\det(v_1,v_2)=1$ とし、$a<0$ なら $(v_2,-v_1)$ に取り替えると、$g:=(v_1\ v_2)\in\mathrm{SL}_2$、$m:=|a|$ について $\lambda(t)=g\lambda_m(t)g^{-1}$ である。$\square$
$f\in V_d\setminus\{0\}$($d\ge1$)とする。thm-hm-main により次が成り立つ(Mum77 1.7, p. 45)。
$n\ge2$ とし、$\mathrm{SL}_n$ が $n$ 次正方行列の空間 $M_n(k)$ に共役 $g\cdot A=gAg^{-1}$ で作用するとする。
$\mathrm{SL}_3$ が 3 変数の 3 次形式の空間に $(g\cdot F)(v)=F(g^{-1}v)$ で作用するとする。$\lambda(t)=\operatorname{diag}(t^a,t^b,t^c)$($a+b+c=0$)は単項式 $x^iy^jz^l$ を $t^{-(ai+bj+cl)}$ 倍する。
仮定や条件を 1 つ外すと判定法は成り立たない。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| $G$ が簡約 → 加法群 $\mathbb{G}_a$ | $\mathbb{G}_a$ が $k^2$ に $s\cdot(a,b)=(a+sb,b)$ と作用、$x=(1,0)$ | 自明でない 1 径数部分群がないので 3 の条件は成り立つが、$G_x=\mathbb{G}_a$ は有限でなく $x$ は安定でない |
| すべての 1 径数部分群 → 固定した極大トーラスのものだけ | $\mathrm{SL}_2$、$f=(x+y)^2\in V_2$、対角トーラス | 対角トーラスのどの自明でない $\lambda$ にも正と負の重みがあるが、$f$ は不安定 |
| 安定の定義の「固定部分群が有限」 → 「軌道が閉」だけ | $\mathrm{SL}_2$、$f=xy\in V_2$ | 軌道は閉だが、$\lambda_m$ に関する重みは $0$ だけで負の重みがない |
1 行目:準同型 $\mathbb{G}_m\to\mathbb{G}_a$ は $\varphi(t)=\sum_nc_nt^n\in k[t,t^{-1}]$ で $\varphi(st)=\varphi(s)+\varphi(t)$ をみたすものである。$n\ne0$ の項 $c_ns^nt^n$ は右辺に現れないので $c_n=0$、残る $c_0=2c_0$ から $\varphi=0$ である。$x$ の軌道は 1 点 $\{x\}$ で閉、$G_x=\mathbb{G}_a$ である。$\mathbb{G}_a$ は簡約群でない(それ自身が連結な冪単正規部分群)。
2 行目:対角トーラスの $\lambda_m$ に関する $f=x^2+2xy+y^2$ の重みは $\{-2m,0,2m\}$ である。一方、$g:=\begin{pmatrix}1&0\\1&1\end{pmatrix}$($g^{-1}(x,y)=(x,y-x)$)について $(g\cdot f)(x,y)=f(x,y-x)=y^2$ で、$y^2$ の $\lambda_1$ に関する重みは $2>0$ なので、$\mu(f,g^{-1}\lambda_1g)>0$ であり $f$ は不安定である。
3 行目:$q=\alpha x^2+\beta xy+\gamma y^2$ の判別式 $\beta^2-4\alpha\gamma$ は $\mathrm{SL}_2$ 不変である。判別式が $1$ の $q$ は、相異なる 1 次式の積 $\ell_1\ell_2$ に分解し、$\ell_1,\ell_2$ の係数を行とする行列 $M$ について判別式は $(\det M)^2$ に等しい。$\ell_1,\ell_2$ を入れ替えて $\det M=1$ とすると $q(v)=(xy)(Mv)$、すなわち $q=M^{-1}\cdot(xy)$ である。よって $xy$ の軌道は閉集合 $\{\beta^2-4\alpha\gamma=1\}$ である。$xy$ は $\lambda_m$ に関して重み $0$ だけをもち、$G_{xy}\supset\lambda_1(\mathbb{G}_m)$ は無限群なので $xy$ は安定でない。
Mum77 1.1 の表(p. 41)は、$x$ が半安定であることを「$f(x)\ne0$ となる定数でない $G$ 不変な斉次多項式 $f$ がある」こととも言い換えている($G$ の幾何学的簡約性による。同 1.2 の注意 vi、p. 42)。ex-hm-matrices の 1 はその例である。$\mathbb{P}(V)$ の半安定点の集合を $\mathbb{P}(V)^{ss}$ と書くと、不変式環 $k[V]^G$ の Proj への射 $\mathbb{P}(V)^{ss}\to\operatorname{Proj}k[V]^G$ が定まり、2 点が同じ点に写るのは軌道の閉包が半安定点で交わるときであり、安定点の上では軌道をちょうど分ける(Mum77 命題 1.3, p. 43)。不変式環が有限生成であることは、作用が Reynolds 作用素をもつ場合(有限群、完全可約な表現、複素数体上の $\mathrm{GL}_m$ の有理表現など)について Hilbertの有限性定理(不変式論) で扱われている。モジュライ空間の構成では、Quotスキーム などのパラメータ空間に簡約群が作用し、その半安定点の集合をこの方法で割る。
Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する