主束の接続

同義語:connection on a principal bundleprincipal connection主接続接続形式connection form局所接続形式

概要

主束の接続(connection on a principal bundle)とは、主 $G$ 束 $P\to M$ の各点でファイバー方向を補う水平部分空間を $G$ の作用と両立するように選んだものであり、同じことを、基本ベクトル場を Lie 環の元に戻し随伴表現で変換する $\mathfrak g$ 値 1 形式(接続形式)で表せる。接続はつねに存在し、その全体はアフィン空間をなす。局所切断で引き戻した局所接続形式は $A\mapsto\mathrm{Ad}(g^{-1})A+g^{-1}dg$ と変換し、この変換則を満たす族は接続を一意に定める。水平持ち上げにより曲線に沿う $G$ 同変な平行移動が定まる。接続は同伴ベクトル束に共変微分を誘導し、枠束の接続はベクトル束の接続とちょうど一対一に対応する。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 主束, Lie群, 微分形式, 接続

主束の接続(connection on a principal bundle、principal connection)とは、主 $G$ 束 $p\colon P\to M$ の各点で、ファイバーに沿う方向(垂直方向)を補う接空間の部分空間(水平空間)を、$G$ の作用と両立するように選んだものである。同じことを、Lie 環 $\mathfrak g$ に値をとる 1 形式 $\omega$ で、ファイバー方向の基本ベクトル場を $\mathfrak g$ の元に戻し、$G$ の作用に対して随伴表現で変換するもの(接続形式)として表すこともできる。
接続は「隣のファイバーへ移る規則」を束の構造群の言葉で与えたものである。水平な曲線をたどると、底空間の曲線に沿ってファイバーの間の $G$ 同変な写像(平行移動)が得られる。局所切断で引き戻した $\mathfrak g$ 値 1 形式(局所接続形式、物理でいうゲージ場)は切断の取り替えで $A\mapsto\mathrm{Ad}(g^{-1})A+g^{-1}dg$ と変換する。主束の接続は、同伴するすべてのベクトル束に共変微分(接続)を同時に誘導し、枠束の場合にはベクトル束の接続とちょうど一対一に対応する。
この記事では、水平分布と接続形式が同じものであること、接続が必ず存在すること、局所接続形式の変換則と貼り合わせ、水平持ち上げと平行移動の存在、同伴ベクトル束への誘導と枠束での対応を証明する。曲率は 曲率形式 で扱う。

準備:Lie 群の記号

多様体はすべて $C^\infty$ 級、$G$ は Lie 群(Lie群)、$\mathfrak g:=T_eG$ はその Lie 環で、括弧は左不変ベクトル場の Lie括弧 で定める($A\in\mathfrak g$ の左不変な延長を $A^L$ と書く)。$L_g,R_g$ は左右からの積、$c_g(h):=ghg^{-1}$ とし、随伴表現を $\mathrm{Ad}(g):=d(c_g)_e\colon\mathfrak g\to\mathfrak g$ とおく。$g\exp(tA)g^{-1}=\exp(t\,\mathrm{Ad}(g)A)$ である。Maurer–Cartan 形式 $\theta\in\Omega^1(G;\mathfrak g)$ を $\theta_g(v):=d(L_{g^{-1}})_g(v)$ で定める。$G$ が $\mathrm{GL}_n$ の閉部分群なら、$\mathrm{Ad}(g)A=gAg^{-1}$、$[A,B]=AB-BA$、$\theta=g^{-1}dg$ である。
$\mathfrak g$ 値の微分形式 $\alpha\in\Omega^k(P;\mathfrak g)$、$\beta\in\Omega^l(P;\mathfrak g)$ について、$\mathfrak g$ の基底 $X_a$ で $\alpha=\sum\alpha^aX_a$、$\beta=\sum\beta^bX_b$ と書き、$[\alpha\wedge\beta]:=\sum_{a,b}\alpha^a\wedge\beta^b\,[X_a,X_b]$ とおく(基底によらない)。1 形式 $\omega$ では $[\omega\wedge\omega](\xi,\eta)=2[\omega(\xi),\omega(\eta)]$ であり、行列 Lie 群では $\tfrac12[\omega\wedge\omega]=\omega\wedge\omega$(行列の積と外積)である。
$p\colon P\to M$ を主 $G$ 束(主束)とする。$A\in\mathfrak g$ の基本ベクトル場 $A^\#$ を $A^\#_u:=\frac{d}{dt}\big|_{t=0}u\exp(tA)$ で定め、$V_u:=\ker dp_u$ を垂直部分空間という。

基本ベクトル場と Maurer–Cartan 形式
  1. $A\mapsto A^\#_u$ は線形同型 $\mathfrak g\to V_u$ である。
  2. $(R_g)_*A^\#_u=(\mathrm{Ad}(g^{-1})A)^\#_{ug}$。
  3. $[A^\#,B^\#]=[A,B]^\#$。
  4. 作用 $\mu\colon P\times G\to P$ の微分は $d\mu_{(u,g)}(\xi,\eta)=(R_g)_*\xi+(\theta_g(\eta))^\#_{ug}$ である。したがって局所切断 $s$ と $C^\infty$ 写像 $g\colon U\to G$ について $d(sg)_x(v)=(R_{g(x)})_*ds_x(v)+\bigl((g^*\theta)(v)\bigr)^\#_{s(x)g(x)}$。
  5. $R_h^*\theta=\mathrm{Ad}(h^{-1})\theta$ であり、Maurer–Cartan の方程式 $d\theta+\tfrac12[\theta\wedge\theta]=0$ が成り立つ。

要点:軌道写像 $\iota_u\colon G\to P$、$g\mapsto ug$ で $A^L$ と $A^\#$ が $\iota_u$ 関係にあることから、1・3・4 が従う。

証明を開く

1.局所自明化で見ると $\iota_u$ は $G$ からファイバー $P_{p(u)}$ への微分同相で、$p$ は沈め込みなので $T_uP_{p(u)}=V_u$ である。$A^\#_u=d(\iota_u)_e(A)$ なので同型である。

2.$u\exp(tA)g=ug\cdot g^{-1}\exp(tA)g=ug\exp(t\,\mathrm{Ad}(g^{-1})A)$ を $t=0$ で微分する。

3.$\iota_u(g\exp(tA))=(ug)\exp(tA)$ から $d\iota_u(A^L_g)=A^\#_{ug}$、すなわち $A^L$ と $A^\#$ は $\iota_u$ 関係にある。Lie 括弧の自然性(Lie括弧 の命題「Lie 括弧の自然性」、Lee13 Proposition 8.30)により $[A^L,B^L]=[A,B]^L$ と $[A^\#,B^\#]$ も $\iota_u$ 関係にあり、$e$ で評価して $[A^\#,B^\#]_u=d\iota_u([A,B])=[A,B]^\#_u$。

4.$d\mu(\xi,0)=(R_g)_*\xi$ である。$X:=\theta_g(\eta)$ とおくと $\eta=\frac{d}{dt}\big|_0g\exp(tX)$ で、$\mu(u,g\exp(tX))=(ug)\exp(tX)$ なので $d\mu(0,\eta)=X^\#_{ug}$。後半は $sg=\mu\circ(s,g)$ に連鎖律を使う。

5.$L_{(gh)^{-1}}\circ R_h=c_{h^{-1}}\circ L_{g^{-1}}$ を微分すると $\theta_{gh}((R_h)_*v)=\mathrm{Ad}(h^{-1})\theta_g(v)$。左不変ベクトル場で評価すると $\theta(A^L)=A$ は定数なので $d\theta(A^L,B^L)=-\theta([A^L,B^L])=-[A,B]$、一方 $\tfrac12[\theta\wedge\theta](A^L,B^L)=[A,B]$ であり、左不変ベクトル場は各点の接空間を張るので方程式が成り立つ。$\square$

定義

主束の接続

主 $G$ 束 $p\colon P\to M$ の接続とは、$TP$ の $C^\infty$ 部分束 $H$ で、各 $u\in P$ について
$$ T_uP=V_u\oplus H_u,\qquad (R_g)_*H_u=H_{ug}\quad(g\in G) $$
を満たすものをいう。$H_u$ を水平部分空間、$H_u$ の元を水平ベクトルという。$T_uP$ の元を $V_u\oplus H_u$ に分けた成分を垂直成分・水平成分という。

接続形式

$\omega\in\Omega^1(P;\mathfrak g)$ が接続形式(connection form)であるとは、次の 2 条件を満たすことをいう。

  1. $\omega(A^\#)=A$($A\in\mathfrak g$)。
  2. $R_g^*\omega=\mathrm{Ad}(g^{-1})\,\omega$($g\in G$)。
水平分布と接続形式

接続 $H$ に対し、$\omega_H(\xi):=A$($\xi$ の垂直成分が $A^\#_u$ のとき)と定めると $\omega_H$ は接続形式である。逆に接続形式 $\omega$ に対し $H_u:=\ker\omega_u$ は接続である。この二つの対応は互いに逆である。

接続 $H$ が与えられたとする。$T_uP\to V_u$ を $H_u$ に沿う射影とし、それを lem-pc-fundamental の 1 の同型 $V_u\cong\mathfrak g$ と合成したものが $\omega_H$ である。$V$ は基本ベクトル場 $X_a^\#$($X_a$ は $\mathfrak g$ の基底)で張られる $C^\infty$ 部分束で、$H$ も $C^\infty$ 部分束なので、この射影は $C^\infty$ であり、$\omega_H$ は $C^\infty$ な 1 形式である。条件 1 は定義から明らかである。条件 2 を見る。$\xi=A^\#_u+h$($h\in H_u$)と分けると、lem-pc-fundamental の 2 と $(R_g)_*H_u=H_{ug}$ により
$$ (R_g)_*\xi=(\mathrm{Ad}(g^{-1})A)^\#_{ug}+(R_g)_*h,\qquad (R_g)_*h\in H_{ug} $$
であり、$\omega_H((R_g)_*\xi)=\mathrm{Ad}(g^{-1})A=\mathrm{Ad}(g^{-1})\omega_H(\xi)$ である。
逆に接続形式 $\omega$ が与えられたとする。条件 1 により $\omega_u$ の $V_u$ への制限は同型なので、$\omega_u\colon T_uP\to\mathfrak g$ は全射であり、$H_u:=\ker\omega_u$ は $V_u$ と $0$ でしか交わらず、次元は $\dim P-\dim G$ である。よって $T_uP=V_u\oplus H_u$ である。$\omega$ は階数一定の全射な束写像 $TP\to P\times\mathfrak g$ なので、その核 $H$ は $C^\infty$ 部分束である。$\xi\in H_u$ なら条件 2 により $\omega((R_g)_*\xi)=\mathrm{Ad}(g^{-1})\omega(\xi)=0$ なので $(R_g)_*H_u\subset H_{ug}$ であり、次元が等しいので等号が成り立つ。
最後に、$\ker\omega_H=H$ は定義から明らかである。$\omega$ と $\omega_{\ker\omega}$ は $V_u$ 上で条件 1 により一致し、$\ker\omega_u$ 上ではともに $0$ なので一致する。$\square$

この同値は Mic08 19.1(pp. 231–232)にある。以下、接続と接続形式を同一視する。水平成分を $\xi\mapsto\xi^h$ と書くと、$\xi=\omega(\xi)^\#+\xi^h$ である。

接続の存在と接続全体の空間
  1. 任意の主 $G$ 束は接続をもつ。
  2. $\omega$ を接続形式とする。$\eta\in\Omega^1(P;\mathfrak g)$ について、$\omega+\eta$ が接続形式であることと、$\eta$ が水平($\eta(A^\#)=0$)かつ $R_g^*\eta=\mathrm{Ad}(g^{-1})\eta$ を満たすことは同値である。また接続形式 $\omega_i$ と、$\sum_if_i=1$ を満たす $M$ 上の $C^\infty$ 関数の局所有限な族 $f_i$ について、$\sum_i(f_i\circ p)\,\omega_i$ は接続形式である。

自明束の場合。$U\times G$ 上で $\omega_0:=\mathrm{pr}_2^*\theta$ とおく。$(x,g)$ での $A^\#$ は $(0,\frac{d}{dt}g\exp(tA))=(0,A^L_g)$ なので $\omega_0(A^\#)=\theta(A^L)=A$ である。右作用は $R_h(x,g)=(x,gh)$ なので $R_h^*\omega_0=\mathrm{pr}_2^*R_h^*\theta=\mathrm{Ad}(h^{-1})\omega_0$ である(lem-pc-fundamental の 5)。よって $\omega_0$ は接続形式である。
1.$P$ の局所自明化 $\psi_\alpha\colon p^{-1}(U_\alpha)\to U_\alpha\times G$ をとる。$\psi_\alpha$ は同変で $p$ と両立するので $A^\#$ を $A^\#$ に移し、$\omega_\alpha:=\psi_\alpha^*\omega_0$ は $p^{-1}(U_\alpha)$ 上の接続形式である。$M$ の $C^\infty$ な 1 の分割 $\{\rho_\alpha\}$ で $\operatorname{supp}\rho_\alpha\subset U_\alpha$ となるものをとる(1の分割)。$(\rho_\alpha\circ p)\,\omega_\alpha$ は $p^{-1}(\operatorname{supp}\rho_\alpha)$ の外で $0$ として $P$ 全体の $C^\infty$ な 1 形式に延び、和
$$ \omega:=\sum_\alpha(\rho_\alpha\circ p)\,\omega_\alpha $$
は局所有限なので $C^\infty$ である。$\omega(A^\#_u)=\sum_\alpha\rho_\alpha(p(u))A=A$ であり、$\rho_\alpha\circ p\circ R_g=\rho_\alpha\circ p$ なので $R_g^*\omega=\sum_\alpha(\rho_\alpha\circ p)\mathrm{Ad}(g^{-1})\omega_\alpha=\mathrm{Ad}(g^{-1})\omega$ である。よって $\omega$ は接続形式である。
2.条件 1・2 はともに、$\omega$ について「定数項つきの線形条件」である。$\omega+\eta$ が条件 1 を満たすことは $\eta(A^\#)=0$ と、条件 2 を満たすことは $R_g^*\eta=\mathrm{Ad}(g^{-1})\eta$ と同値である。後半は 1 の計算と同じで、$\sum_if_i=1$ から条件 1 が、$f_i\circ p$ が $R_g$ で不変であることから条件 2 が従う。$\square$

存在は Mic08 19.3(pp. 233–234)、ベクトル束の接続の存在の同じ議論は MS74 Appendix C, Lemma 2(p. 291)にある。水平かつ $R_g^*\eta=\rho(g)^{-1}\eta$ を満たす $V$ 値形式を、型 $\rho$ のテンソル的形式という。

テンソル的形式と同伴束に値をもつ形式

$\rho\colon G\to\mathrm{GL}(V)$ を表現、$E:=P\times_\rho V$ を同伴ベクトル束とする。型 $\rho$ のテンソル的 $k$ 形式 $\eta$ と、$E$ に値をもつ $M$ 上の $k$ 形式 $\bar\eta\in\Omega^k(M;E)$ とは、
$$ \bar\eta_{p(u)}(dp\,\xi_1,\dots,dp\,\xi_k)=[u,\eta_u(\xi_1,\dots,\xi_k)] $$
によって一対一に対応する。局所切断 $s_\alpha$ で書くと、$\bar\eta$ の成分は $s_\alpha^*\eta$ であり、$s_\beta=s_\alpha g_{\alpha\beta}$ のとき $s_\beta^*\eta=\rho(g_{\alpha\beta})^{-1}s_\alpha^*\eta$ である。

要点:$\eta$ は水平なので $dp\,\xi_i$ の持ち上げの取り方によらず、同変性により $u$ の取り方にもよらない。$k=0$ の場合が同伴束の切断と同変写像の対応である。

証明を開く

$dp_u\colon T_uP\to T_{p(u)}M$ は全射で核は $V_u$ である。$\eta$ は多重線形で $V_u$ の元を 1 つでも入れると $0$ なので、$\eta_u(\xi_1,\dots,\xi_k)$ は $dp\,\xi_i$ だけで決まる。$u$ を $ug$ に替えると、持ち上げとして $(R_g)_*\xi_i$ をとれば $[ug,\eta_{ug}((R_g)_*\xi)]=[ug,\rho(g)^{-1}\eta_u(\xi)]=[u,\eta_u(\xi)]$ なので、$\bar\eta$ は矛盾なく定まる。局所切断 $s_\alpha$ で $u=s_\alpha(x)$、$\xi_i=ds_\alpha(v_i)$ ととると、$\bar\eta(v_1,\dots,v_k)=[s_\alpha(x),(s_\alpha^*\eta)(v_1,\dots,v_k)]$ なので、$\bar\eta$ は $C^\infty$ で成分が $s_\alpha^*\eta$ である。逆に $\bar\eta$ が与えられたら、この式を $\eta_u(\xi):=j_u^{-1}\bar\eta(dp\,\xi)$($j_u\colon V\to E_{p(u)}$、$v\mapsto[u,v]$)と読んで $\eta$ を定めれば、水平で同変($j_{ug}=j_u\circ\rho(g)$)であり、局所的に $(x,g)\mapsto\rho(g)^{-1}(\text{成分})$ と書けるので $C^\infty$ である。二つの対応は互いに逆である。変換則は、lem-pc-fundamental の 4 で $ds_\beta(v)=(R_{g_{\alpha\beta}})_*ds_\alpha(v)+(\text{垂直})$ となり、$\eta$ が垂直ベクトルを消すことから $s_\beta^*\eta=R_{g_{\alpha\beta}}^*\eta\circ ds_\alpha=\rho(g_{\alpha\beta})^{-1}s_\alpha^*\eta$ となる。$\square$

とくに 2 つの接続形式の差は、随伴表現の同伴ベクトル束 $\mathrm{Ad}(P):=P\times_{\mathrm{Ad}}\mathfrak g$ に値をもつ 1 形式である。したがって $P$ の接続全体は、ベクトル空間 $\Omega^1(M;\mathrm{Ad}(P))$ を差の空間とするアフィン空間である。

局所表示と変換則

$\{(U_\alpha,\psi_\alpha)\}$ を局所自明化、$s_\alpha(x):=\psi_\alpha^{-1}(x,e)$ をその局所切断(同変性から $\psi_\alpha^{-1}(x,g)=s_\alpha(x)g$)、$g_{\alpha\beta}$ を変換関数($s_\beta=s_\alpha g_{\alpha\beta}$)とする。接続形式 $\omega$ に対し
$$ A_\alpha:=s_\alpha^*\omega\in\Omega^1(U_\alpha;\mathfrak g) $$
を局所接続形式(物理ではゲージ場、ゲージポテンシャル)という。

局所接続形式の変換則と貼り合わせ
  1. $p^{-1}(U_\alpha)$ の点 $s_\alpha(x)g$ で、$\psi_\alpha^{-1}$ の微分による $(v,\eta)\in T_xU_\alpha\times T_gG$ の像について
    $$ \omega\bigl(d\psi_\alpha^{-1}(v,\eta)\bigr)=\mathrm{Ad}(g^{-1})A_\alpha(v)+\theta_g(\eta) $$
    が成り立つ。とくに $\omega$ は $p^{-1}(U_\alpha)$ の上で $A_\alpha$ だけで決まる。
  2. $U_\alpha\cap U_\beta$ の上で
    $$ A_\beta=\mathrm{Ad}(g_{\alpha\beta}^{-1})\,A_\alpha+g_{\alpha\beta}^*\theta $$
    である。行列 Lie 群では $A_\beta=g_{\alpha\beta}^{-1}A_\alpha g_{\alpha\beta}+g_{\alpha\beta}^{-1}dg_{\alpha\beta}$ である。
  3. 逆に、2 の変換則を満たす $A_\alpha\in\Omega^1(U_\alpha;\mathfrak g)$ の族に対し、$s_\alpha^*\omega=A_\alpha$ となる接続形式 $\omega$ がただ 1 つ存在する。

1.$\psi_\alpha^{-1}(x,g)=s_\alpha(x)g=\mu(s_\alpha(x),g)$ なので、lem-pc-fundamental の 4 により
$$ d\psi_\alpha^{-1}(v,\eta)=(R_g)_*ds_\alpha(v)+(\theta_g(\eta))^\#_{s_\alpha(x)g} $$
である。接続形式の条件 2 から $\omega((R_g)_*ds_\alpha(v))=(R_g^*\omega)(ds_\alpha v)=\mathrm{Ad}(g^{-1})\omega(ds_\alpha v)=\mathrm{Ad}(g^{-1})A_\alpha(v)$、条件 1 から第 2 項の値は $\theta_g(\eta)$ である。
2.$s_\beta=s_\alpha g_{\alpha\beta}$ に lem-pc-fundamental の 4 を使うと、$ds_\beta(v)=(R_{g_{\alpha\beta}})_*ds_\alpha(v)+((g_{\alpha\beta}^*\theta)(v))^\#$ であり、1 と同じ計算で $A_\beta(v)=\mathrm{Ad}(g_{\alpha\beta}^{-1})A_\alpha(v)+(g_{\alpha\beta}^*\theta)(v)$ を得る。行列 Lie 群の形は $\mathrm{Ad}(g^{-1})X=g^{-1}Xg$、$\theta=g^{-1}dg$ による。
3.一意性は 1 による。存在を示す。各 $\alpha$ について、$p^{-1}(U_\alpha)$ 上の 1 形式 $\omega^{(\alpha)}$ を 1 の右辺で定める。すなわち $\omega^{(\alpha)}:=(\psi_\alpha)^*\bigl(\mathrm{Ad}(g^{-1})\mathrm{pr}_1^*A_\alpha+\mathrm{pr}_2^*\theta\bigr)$($g$ は $U_\alpha\times G$ の第 2 座標)である。これは接続形式である:$A^\#$ は $\psi_\alpha$ で $(0,A^L_g)$ に移るので値は $\theta(A^L)=A$ であり、$R_h$ は $(x,g)\mapsto(x,gh)$ と書けて $\mathrm{Ad}((gh)^{-1})=\mathrm{Ad}(h^{-1})\mathrm{Ad}(g^{-1})$、$R_h^*\theta=\mathrm{Ad}(h^{-1})\theta$ なので条件 2 も満たす。また $g=e$、$\eta=0$ とおけば $s_\alpha^*\omega^{(\alpha)}=A_\alpha$ である。
$U_\alpha\cap U_\beta$ の上で $\omega^{(\alpha)}=\omega^{(\beta)}$ を示す。$\omega^{(\beta)}$ は $p^{-1}(U_\alpha\cap U_\beta)$ 上の接続形式で $s_\beta^*\omega^{(\beta)}=A_\beta$ なので、2(その証明は接続形式の条件 1・2 しか使わない)を $\omega^{(\beta)}$ に適用すると
$$ A_\beta=\mathrm{Ad}(g_{\alpha\beta}^{-1})\,s_\alpha^*\omega^{(\beta)}+g_{\alpha\beta}^*\theta $$
である。仮定の変換則と比べて $s_\alpha^*\omega^{(\beta)}=A_\alpha=s_\alpha^*\omega^{(\alpha)}$ となり、1 の一意性により $p^{-1}(U_\alpha\cap U_\beta)$ 上で $\omega^{(\beta)}=\omega^{(\alpha)}$ である。よって $\omega^{(\alpha)}$ たちは $P$ 上の接続形式 $\omega$ に貼り合わさる。$\square$

局所接続形式の変換則とこの貼り合わせは Mic08 19.4(pp. 234–235)にある(同書の記号では $\omega_\alpha$)。変換則には $\mathrm{Ad}$ による共役のほかに非斉次項 $g_{\alpha\beta}^*\theta$ があるので、$A_\alpha$ は $M$ 上の $\mathfrak g$ 値 1 形式としては貼り合わない。$G$ が可換(例えば $\mathrm U(1)$)なら $\mathrm{Ad}$ は恒等写像で、$g_{\alpha\beta}=e^{i\varphi}$ と書ければ $A_\beta=A_\alpha+i\,d\varphi$ となる。これは電磁ポテンシャルのゲージ変換の形である。

水平持ち上げと平行移動

水平持ち上げと平行移動

$\gamma\colon[0,1]\to M$ を $C^\infty$ 曲線、$u_0\in P_{\gamma(0)}$ とする。$p\circ\tilde\gamma=\gamma$、$\tilde\gamma(0)=u_0$、$\tilde\gamma'(t)\in H_{\tilde\gamma(t)}$ を満たす $C^\infty$ 曲線 $\tilde\gamma$(水平持ち上げ)がただ 1 つ存在する。$u_0g$ の水平持ち上げは $\tilde\gamma g$ である。したがって $P_\gamma(u_0):=\tilde\gamma(1)$ は $G$ 同変な微分同相 $P_\gamma\colon P_{\gamma(0)}\to P_{\gamma(1)}$(平行移動)を定める。

局所の方程式.$\gamma([t_0,t_1])\subset U_\alpha$ のとき、曲線 $\tilde\gamma(t)=s_\alpha(\gamma(t))g(t)$ について thm-pc-local の 1 より $\omega(\tilde\gamma')=\mathrm{Ad}(g^{-1})a(t)+\theta(g')$($a(t):=A_\alpha(\gamma'(t))$)である。$\theta(g')=d(L_{g^{-1}})g'$ と $\mathrm{Ad}(g^{-1})=d(L_{g^{-1}})\circ d(R_g)$ から、水平性は $g'(t)=-(R_{g(t)})_*a(t)$ と同値である。右辺を $X(t,g):=-(R_g)_*a(t)$ とおくと、$(R_h)_*X(t,g)=X(t,gh)$(右不変性)なので、$g(t)$ が積分曲線なら $g(t)h$ も積分曲線である。
区間全体での存在.$\gamma$ と $a$ を $[t_0,t_1]$ を含む開区間 $J$ に延ばしておく。時間依存の流れの基本定理(Lee13 Theorem 9.48)により、$X$ の流れの定義域 $\mathcal E\subset J\times J\times G$ は開集合で、$(t,t,e)$ をすべて含む。$\{(t,t,e):t\in[t_0,t_1]\}$ はコンパクトなので、ある $\varepsilon>0$ について $|t-\tau|\le\varepsilon$、$\tau\in[t_0,t_1]$ なら $(t,\tau,e)\in\mathcal E$ である。右不変性により、任意の $\tau$ と初期値 $h$ に対して積分曲線は $[\tau-\varepsilon,\tau+\varepsilon]\cap J$ 上に存在する。これを長さ $\varepsilon$ ずつつなげば、$[t_0,t_1]$ 全体で解が存在し、一意性も同じ定理による。
貼り合わせと同変性.$[0,1]$ を、各小区間の像がある $U_\alpha$ に入るように分割し、端点での値を初期値として順に解けば、一意性から水平持ち上げがただ 1 つ得られる。$\tilde\gamma g$ は $p(\tilde\gamma g)=\gamma$ を満たし、$(R_g)_*$ が $H$ を保つので水平であり、一意性から $u_0g$ の持ち上げである。よって $P_\gamma(u_0g)=P_\gamma(u_0)g$ であり、$P_\gamma(s_\alpha(\gamma(0))g)=\tilde\gamma(1)g$ は $g$ について $C^\infty$ である。逆向きの曲線に沿う平行移動が逆写像なので、$P_\gamma$ は微分同相である。$\square$

主束の平行移動が大域的に定まり $G$ 同変であることは Mic08 19.6(p. 238)にある。$\gamma$ が $x$ を基点とする閉曲線なら $P_\gamma(u)=u\,\mathrm{hol}_u(\gamma)$($\mathrm{hol}_u(\gamma)\in G$)と書ける。区分的に $C^\infty$ な曲線でも、区間ごとに持ち上げてつなげば同じである。$x$ を基点とする区分的に $C^\infty$ な閉曲線 $\gamma_1$ のあとに $\gamma_2$ をたどる閉曲線 $\gamma_2\cdot\gamma_1$ について、同変性から $P_{\gamma_2\cdot\gamma_1}(u)=P_{\gamma_2}(u\,\mathrm{hol}_u(\gamma_1))=P_{\gamma_2}(u)\,\mathrm{hol}_u(\gamma_1)=u\,\mathrm{hol}_u(\gamma_2)\,\mathrm{hol}_u(\gamma_1)$ であり、定値の曲線は単位元を、逆向きの閉曲線は逆元を与える($P_{\gamma^{-1}}$ は $P_\gamma$ の逆写像)ので、$\mathrm{hol}_u(\gamma)$ の全体は $G$ の部分群(ホロノミー群)をなす。

同伴ベクトル束の接続

$\rho\colon G\to\mathrm{GL}(V)$ を表現、$\rho_*\colon\mathfrak g\to\mathfrak{gl}(V)$ をその微分、$E:=P\times_\rho V$ とする。$E$ の切断 $\sigma$ は、$\varphi(ug)=\rho(g)^{-1}\varphi(u)$ を満たす $\varphi\colon P\to V$ と対応する(主束 の命題「同伴束の切断と同変写像」)。

同伴ベクトル束に誘導される接続
  1. $\varphi$ が切断 $\sigma$ に対応するとき、$d\varphi+\rho_*(\omega)\varphi$ は型 $\rho$ のテンソル的 1 形式である。これに prop-pc-tensorial で対応する $\nabla\sigma\in\Omega^1(M;E)$ によって、$E$ の接続 $\nabla$(接続)が定まる。局所切断 $s_\alpha$ に沿う成分 $\varphi_\alpha:=\varphi\circ s_\alpha$ で書くと
    $$ (\nabla\sigma)_\alpha=d\varphi_\alpha+\rho_*(A_\alpha)\,\varphi_\alpha $$
    である。
  2. $E$ を階数 $r$ のベクトル束、$P=\mathrm{Fr}(E)$ を枠束、$\rho=\mathrm{id}$ とする($\mathbb K=\mathbb R$ または $\mathbb C$、$\mathrm{GL}_r=\mathrm{GL}(r,\mathbb K)$ で、$E\cong\mathrm{Fr}(E)\times_{\mathrm{GL}_r}\mathbb K^r$)。対応 $\omega\mapsto\nabla$ は、$\mathrm{Fr}(E)$ の接続と $E$ の接続との全単射である。局所枠 $s_\alpha=(e_1,\dots,e_r)$ について、$A_\alpha$ は $\nabla$ の接続行列($\nabla e_j=\sum_i(A_\alpha)_{ij}\otimes e_i$)に一致する。

1.水平性:$\varphi(u\exp(tA))=\rho(\exp(-tA))\varphi(u)$ を微分して $d\varphi(A^\#)=-\rho_*(A)\varphi$ であり、$\rho_*(\omega(A^\#))\varphi=\rho_*(A)\varphi$ と打ち消し合う。同変性:$R_g^*d\varphi=d(\varphi\circ R_g)=\rho(g)^{-1}d\varphi$ である。また $\rho\circ c_g=c_{\rho(g)}\circ\rho$ を微分すると $\rho_*(\mathrm{Ad}(g)X)=\rho(g)\rho_*(X)\rho(g)^{-1}$ なので、
$$ R_g^*\bigl(\rho_*(\omega)\varphi\bigr)=\rho_*(\mathrm{Ad}(g^{-1})\omega)\,\rho(g)^{-1}\varphi=\rho(g)^{-1}\rho_*(\omega)\rho(g)\rho(g)^{-1}\varphi=\rho(g)^{-1}\rho_*(\omega)\varphi $$
である。よって $d\varphi+\rho_*(\omega)\varphi$ はテンソル的であり、$\nabla\sigma$ が定まる。$\nabla$ は $\mathbb R$ 線形($V$ が複素ベクトル空間で $\rho$ が複素表現なら $\mathbb C$ 線形)で、関数 $f$ について $f\sigma$ には $(f\circ p)\varphi$ が対応し、$d((f\circ p)\varphi)=p^*df\,\varphi+(f\circ p)d\varphi$ なので $\nabla(f\sigma)=df\otimes\sigma+f\nabla\sigma$(Leibniz 則)が成り立つ。成分は prop-pc-tensorial により $s_\alpha^*(d\varphi+\rho_*(\omega)\varphi)=d\varphi_\alpha+\rho_*(A_\alpha)\varphi_\alpha$ である。
2.$s_\alpha=(e_1,\dots,e_r)$ を局所枠とすると、切断 $\sigma=\sum_j\varphi_je_j$ の成分は列ベクトル $\varphi_\alpha=(\varphi_j)$ である($\mathrm{ev}[s_\alpha,\varphi_\alpha]=\sum_j\varphi_je_j$)。1 の式は $\nabla\sigma=\sum_i\bigl(d\varphi_i+\sum_j(A_\alpha)_{ij}\varphi_j\bigr)\otimes e_i$ であり、$\sigma=e_j$ とおけば $\nabla e_j=\sum_i(A_\alpha)_{ij}\otimes e_i$ となる。すなわち $A_\alpha$ は $\nabla$ の接続行列である。接続は各 $U_\alpha$ 上の接続行列で決まるので(接続 の命題「接続行列と曲率行列」の 1)、$\omega\mapsto\nabla$ は単射である。逆に $E$ の接続 $\nabla$ が与えられたとき、局所枠 $s_\alpha$ に関する接続行列を $A_\alpha$ とすると、$s_\beta=s_\alpha g_{\alpha\beta}$ なので同じ命題の 3 により $A_\beta=g_{\alpha\beta}^{-1}dg_{\alpha\beta}+g_{\alpha\beta}^{-1}A_\alpha g_{\alpha\beta}$ である。これは $\mathrm{GL}_r$ での thm-pc-local の 2 の変換則にほかならないので、同定理の 3 により $s_\alpha^*\omega=A_\alpha$ となる接続形式 $\omega$ がただ 1 つあり、$\omega$ が誘導する接続は接続行列 $A_\alpha$ をもつので $\nabla$ に等しい。よって全射である。$\square$

誘導される接続は Mic08 19.8–19.12(pp. 243–248)で扱われている。1 により、表現の直和・テンソル積・双対の同伴束には、同じ $\omega$ から両立する接続が一斉に定まる。構造群を縮小した主束(主束 の命題「計量による $\mathrm{O}(r)$ への縮小」の $\mathrm O(E)$ など)の接続から誘導される $E$ の接続は、対応する構造を保つ。例えば $\mathrm O(E)$ の接続形式は $\mathfrak o(r)$(交代行列)に値をとるので、正規直交枠で $\nabla\sigma=d\varphi+A\varphi$、$A^{\mathsf t}=-A$ となり、$d\langle\sigma,\tau\rangle=\langle\nabla\sigma,\tau\rangle+\langle\sigma,\nabla\tau\rangle$ が成り立つ。

例

自明束のゲージ場

$P=M\times G$ と大域切断 $s(x)=(x,e)$ について、thm-pc-local により接続形式は $A:=s^*\omega\in\Omega^1(M;\mathfrak g)$ と一対一に対応し、$\omega=\mathrm{Ad}(g^{-1})\mathrm{pr}_1^*A+\mathrm{pr}_2^*\theta$ である。$A=0$ のものが自明な接続 $\mathrm{pr}_2^*\theta$ で、水平部分空間は $T_xM\times\{0\}$、平行移動は $(x,g)\mapsto(y,g)$ である。$C^\infty$ 写像 $h\colon M\to G$ で切断を $s'=sh$ に替えると、$s'^*\omega=\mathrm{Ad}(h^{-1})A+h^*\theta$ となる。これがゲージ変換による局所接続形式の変化である。

Hopf 束の標準接続

主束 の例「Hopf 束」の $S^3\to\mathbb{CP}^1$(構造群 $\mathrm U(1)$、$\mathfrak u(1)=i\mathbb R$)の上で
$$ \omega:=\bar z_1\,dz_1+\bar z_2\,dz_2\quad(S^3\text{ への制限}) $$
とおく。$S^3$ 上で $d(|z_1|^2+|z_2|^2)=2\,\mathrm{Re}\,\omega=0$ なので $\omega$ は $i\mathbb R$ に値をとる。$A=ia$ の基本ベクトル場は $\frac{d}{dt}ze^{iat}=iaz$ なので $\omega(A^\#)=ia(|z_1|^2+|z_2|^2)=A$ であり、$R_\lambda^*\omega=\bar\lambda\lambda\,\omega=\omega$ で、$\mathrm U(1)$ は可換なので条件 2 も満たす。水平部分空間は $H_z=\{v\in\mathbb C^2:\bar z_1v_1+\bar z_2v_2=0\}$、すなわち $z$ の Hermite 内積に関する直交補空間である。局所切断 $s_2(w)=(w,1)/\sqrt{1+|w|^2}$ で引き戻すと、$r:=\sqrt{1+|w|^2}$ として $s_2^*\omega=\bar w\,dw/r^2-dr/r$ であり、$dr/r=\tfrac12d\log(1+|w|^2)$ を代入すると
$$ A_2=s_2^*\omega=\frac{\bar w\,dw-w\,d\bar w}{2(1+|w|^2)} $$
となる。この接続の曲率は 曲率形式 で計算する。

枠束の接続とアフィン接続

thm-pc-induced の 2 を $E=TM$ に使うと、$M$ の枠束 $\mathrm{Fr}(TM)$ の接続は $TM$ の接続(アフィン接続)と一対一に対応する。とくに Riemann 多様体の Levi-Civita接続 は、$\mathrm{Fr}(TM)$ のただ 1 つの接続形式として表される。座標近傍の枠 $(\partial_1,\dots,\partial_n)$ に関する局所接続形式は、Christoffel 記号を成分とする行列 $(A)_{ij}=\sum_k\Gamma^i_{kj}\,dx_k$ である。

反例

外す条件反例成り立たなくなること
接続形式の同変性(条件 2)$P=\mathbb R\times\mathrm{SU}(2)$ 上の $\omega=\mathrm{pr}_2^*\theta+X\,dx$($X\in\mathfrak{su}(2)$ は $0$ でない定数)条件 1 は満たすが、水平分布が $R_g$ で不変でなく、水平持ち上げが $G$ 同変でない
$G$ の作用と両立すること(主束の接続であること)自明束 $\mathbb R\times\mathbb R\to\mathbb R$(底空間の座標 $s$、ファイバーの座標 $y$)の水平分布 $H=\mathbb R(\partial_s+(1+y^2)\partial_y)$水平持ち上げが有限時間で発散し、平行移動が定まらない
変換則の非斉次項 $g^*\theta$$S^1\times\mathrm U(1)$ の自明な接続と、2 つの大域切断 $s(z)=(z,1)$、$s'(z)=(z,z)$同じ接続でも $s^*\omega=0$、$s'^*\omega=i\,d\phi$ で、局所接続形式は $\mathrm{Ad}$ による共役だけでは移り合わず、$M$ 上の 1 形式として定まらない

1 行目:$\omega$ は $(x,g)$ で $\theta_g+X\,dx$ なので、$\omega(A^\#)=A$ である。しかし $R_h^*\omega=\mathrm{Ad}(h^{-1})\theta+X\,dx$ で、$\mathrm{Ad}(h^{-1})X\neq X$ となる $h$($X$ と可換でない元)については $\mathrm{Ad}(h^{-1})\omega$ と異なる。$\mathrm{SU}(2)$ を行列で書くと、$\gamma(t)=t$ の水平持ち上げは $g^{-1}g'+X=0$、すなわち $g(t)=g_0\exp(-tX)$ である。$g_0h$ からの持ち上げ $g_0h\exp(-tX)$ と、$g_0$ からの持ち上げの右移動 $g_0\exp(-tX)h$ は、$h$ が $\exp(-tX)$ と可換でなければ一致しない。thm-pc-transport の同変性は条件 2 に依っている。
2 行目:水平な曲線は $dy/ds=1+y^2$ を満たすので、$y(0)=0$ からの持ち上げは $y=\tan s$ で、$s\to\pi/2$ で発散し、$[0,\pi]$ 上の持ち上げは存在しない。この $H$ は垂直方向 $\partial_y$ の補空間であるが、ファイバーの平行移動 $y\mapsto y+c$(主 $\mathbb R$ 束の作用)で不変でない($1+y^2$ が $y$ によるため)。主束の接続では右不変性により解が区間全体に延びたが(thm-pc-transport の証明)、一般のファイバー束の水平分布ではそれが成り立たない。この例は Mic08 17.6(p. 204)にある。
3 行目:$\phi$ は $S^1$ の角度座標で、$h(z):=z$ は $M=S^1$ から $\mathrm U(1)$ への写像である。$s'=sh$ なので $s'^*\omega=\mathrm{Ad}(h^{-1})\cdot0+h^*\theta=z^{-1}dz=i\,d\phi$ であり、$\mathrm{Ad}$ は恒等写像だから、斉次の変換則なら $0$ のままのはずである。非斉次項は、局所接続形式が接続そのものではなく「切断を選んだときの座標表示」であることを表している。

関連項目

参考文献

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