Rolleの定理(Rolle's theorem)とは、$a<b$ を満たす閉区間 $[a,b]$ 上で連続かつ開区間 $(a,b)$ 上で微分可能な実数値関数 $f$ が $f(a)=f(b)$ を満たすならば、$f'(c)=0$ となる $c\in(a,b)$ が存在するという定理である。両端の高さが等しいグラフには接線が水平になる点がある、という主張で、平均値の定理の特別な場合であり、その証明の出発点でもある。証明には最大値・最小値の存在、したがって実数の完備性を使う。関数の 2 つの零点の間には導関数の零点がある、と読み替えて繰り返し使うと、方程式の実数解の個数を導関数の零点の個数で押さえられ、根がすべて実数である多項式の導関数の根もすべて実数であることや、Descartes の符号法則が導かれる。内部に微分できない点がある場合や、値が複素数の場合には、一般には成り立たない。
ボールを真上に投げると、ボールは上がって止まり、落ちてきて手元に戻る。投げた瞬間と戻った瞬間で高さが同じなら、その間のどこかでボールの速度はちょうど $0$ になる(いちばん高い所に達した瞬間)。たとえば時刻 $t$ 秒での高さが $y(t)=20t-5t^2$(メートル)なら、$y(0)=y(4)=0$ で、速度 $y'(t)=20-10t$ は $t=2$ でちょうど $0$ になる。
グラフで言えば次のようになる。$f(x)=x^2-4x+3$ は $f(1)=f(3)=0$ を満たし、$f'(x)=2x-4$ は $x=2$ で $0$ になる。両端の高さが等しい滑らかなグラフには、途中に接線が水平になる点がある。
この主張が Rolle の定理(Rolle's theorem)である。平均値の定理は、両端の高さが違う場合に弦を傾けて同じことを言う定理であり、Rolle の定理はその特別な場合であると同時に、その証明の出発点でもある。Rolle の定理を何度も使うと、関数の零点(方程式の実数解)の個数を導関数の零点の個数で押さえることができる。これが本記事の後半の主題である。
本記事では、区間 $I\subset\mathbb{R}$ 上の実数値関数 $f$ が点 $c\in I$ で微分可能であるとは、極限
$$
f'(c):=\lim_{x\to c,\ x\in I\setminus\{c\}}\frac{f(x)-f(c)}{x-c}
$$
が実数として存在することとし($c$ が $I$ の端点なら片側極限)、$I$ のすべての点で微分可能なとき $c\mapsto f'(c)$ を $f$ の導関数という。$c$ で微分可能な関数は $c$ で連続である($f(x)-f(c)=\frac{f(x)-f(c)}{x-c}\cdot(x-c)\to f'(c)\cdot0=0$)。
証明の出発点は、区間の内部で最大・最小になる点では接線が水平になる、という事実である。
$f\colon(a,b)\to\mathbb{R}$ が点 $c\in(a,b)$ で微分可能であり、$c$ で最大値をとる(すべての $x\in(a,b)$ で $f(x)\leq f(c)$)か最小値をとるならば、$f'(c)=0$ である。
最大値の場合を示す。$c< x< b$ なら $f(x)-f(c)\leq0$、$x-c>0$ なので $\frac{f(x)-f(c)}{x-c}\leq0$ であり、$x\to c$ の右側極限をとって $f'(c)\leq0$ を得る。$a< x< c$ なら $x-c<0$ なので差分商は $\geq0$ であり、左側極限をとって $f'(c)\geq0$ を得る。$f$ は $c$ で微分可能なので左右の極限はどちらも $f'(c)$ に等しく、$f'(c)=0$ である。最小値の場合は $-f$ に同じ議論を使う。
$a< b$ とし、$f\colon[a,b]\to\mathbb{R}$ は $[a,b]$ 上で連続、開区間 $(a,b)$ 上で微分可能で、$f(a)=f(b)$ を満たすとする。このとき $f'(c)=0$ となる $c\in(a,b)$ が存在する。
$[a,b]$ はコンパクト空間である(コンパクト空間 の記事の定理「有界閉集合とコンパクト性の一致」)。$f$ は $[a,b]$ 上で連続なので、同じ記事の定理「最大値・最小値の存在」により、$f$ は $[a,b]$ のある点で最大値 $M$ を、ある点で最小値 $m$ をとる。
$M=m$ ならば $f$ は定数であり、すべての $c\in(a,b)$ で $f'(c)=0$ である。$M\ne m$ ならば、$M$ と $m$ の少なくとも一方は端点での値 $f(a)=f(b)$ と異なる。たとえば $M\ne f(a)$ なら、最大値をとる点 $c$ は $a$ でも $b$ でもないので $c\in(a,b)$ であり、$f$ を $(a,b)$ に制限したものは $c$ で最大値をとる。lem-rolle-interior-extremum により $f'(c)=0$ である。$m\ne f(a)$ の場合も最小値について同様である。
最大値・最小値の存在は、実数の完備性(上に有界な空でない集合が上限をもつこと)に基づく。したがって Rolle の定理は実数の完備性を使う定理であり、有理数だけの世界では成り立たない(ex-rolle-rationals)。同じ定理と証明は 平均値の定理 の記事の定理「Rolleの定理」にもあり、Leb Theorem 4.2.3(p. 163)も同じ筋で証明している。
$f(x)=\sin x$ を $[0,2\pi]$ で考えると $f(0)=f(2\pi)=0$ で、$f'(c)=\cos c=0$ となる $c\in(0,2\pi)$ は $\pi/2$ と $3\pi/2$ の 2 つある。定数関数ならすべての点で $f'=0$ である。定理は $c$ の存在だけを述べ、個数や位置は関数によって変わる。
$f(x)=|x|$ を $[-1,1]$ で考える。$f$ は $[-1,1]$ 上で連続で $f(-1)=f(1)=1$ だが、$x<0$ で $f'(x)=-1$、$x>0$ で $f'(x)=1$ であり、$f'(c)=0$ となる $c$ はない。$f$ は「$(-1,1)$ 上で微分可能」を満たさない($x=0$ で左右の差分商の極限が $-1$ と $1$ で異なる)。この仮定を外すと結論は成り立たない(Leb p. 164 の例と同じ)。
$[0,1]$ 上で $f(x)=x$($0\leq x<1$)、$f(1)=0$ と定める。$f$ は $(0,1)$ 上で微分可能で $f'(x)=1$、また $f(0)=f(1)=0$ だが、$f'(c)=0$ となる $c\in(0,1)$ はない。$f$ は「$[a,b]$ 上で連続」を $x=1$ で満たさない。端点での微分可能性は要らないが、端点での連続性は外せない。
$f(x)=x^3-x$ を有理数の区間 $\{x\in\mathbb{Q}\mid0\leq x\leq1\}$ 上の関数とみる。$f(0)=f(1)=0$ で、$f$ はこの集合の各点で(有理数の範囲の差分商の極限として)微分可能で $f'(x)=3x^2-1$ である。しかし $f'(c)=0$ となるのは $c=1/\sqrt3$ だけで、これは有理数でない($\sqrt3$ が無理数なので)。したがって有理数の範囲には $f'(c)=0$ となる $c$ がない。有理数全体は「上に有界な空でない部分集合が上限をもつ」という完備性を満たさず、最大値の存在(prf-rolle の第 1 段)が破れる。実際、$f$ は実数の区間 $[0,1]$ では $x=1/\sqrt3$ で最小値をとるが、有理数の範囲では最小値をとらない。
実数の区間から複素数への関数 $f(t)=e^{it}=\cos t+i\sin t$ を $[0,2\pi]$ で考えると $f(0)=f(2\pi)=1$ だが、$f'(t)=ie^{it}$ の絶対値は常に $1$ で、$f'(c)=0$ となる $c$ はない。$f$ は実数値であるという性質を満たさない。証明は、実数値関数が最大値をとる点を使っており、値が平面の点になると使えない。円周を一周して戻る点の速度が $0$ になる瞬間はない。
$f(x)=x^3$ を $[-1,1]$ で考えると、$f'(0)=0$ となる点 $0\in(-1,1)$ があるが、$f(-1)=-1\ne1=f(1)$ である。「$f'(c)=0$ となる $c$ がある $\Rightarrow$ $f(a)=f(b)$」は成り立たない。
以下、「$f$ の零点」とは $f(x)=0$ となる点 $x$ のことである。Rolle の定理は「$f$ の 2 つの零点の間には $f'$ の零点がある」と言い換えられる。これを繰り返すと、関数の零点の個数を高階の導関数の零点の個数で押さえられる。
$f$ を区間 $I$ 上で微分可能な関数とし、$x_0< x_1<\cdots< x_k$ を $I$ の中の $f$ の相異なる零点とする。このとき各 $j=1,\dots,k$ について $f'(y_j)=0$ となる $y_j\in(x_{j-1},x_j)$ があり、$y_1< y_2<\cdots< y_k$ である。特に、$f$ が $I$ に $k+1$ 個以上の相異なる零点をもてば、$f'$ は $I$ に $k$ 個以上の相異なる零点をもつ。
$f$ は $I$ 上で微分可能なので連続であり、$[x_{j-1},x_j]\subset I$ 上で連続、$(x_{j-1},x_j)$ 上で微分可能で、$f(x_{j-1})=f(x_j)=0$ である。thm-rolle により $f'(y_j)=0$ となる $y_j\in(x_{j-1},x_j)$ がある。開区間 $(x_{j-1},x_j)$ は互いに交わらず左から順に並ぶので、$y_1<\cdots< y_k$ である。
$n\geq1$ とし、$f$ を区間 $I$ 上で $n$ 回微分可能な関数とする。$f$ が $I$ に $n+1$ 個の相異なる零点 $x_0<\cdots< x_n$ をもつならば、$f^{(n)}(c)=0$ となる $c\in(x_0,x_n)$ がある。したがって、$I$ のすべての点で $f^{(n)}(x)\ne0$ ならば、$f$ の $I$ における零点は高々 $n$ 個である。
$k=0,1,\dots,n$ について「$f^{(k)}$ は $[x_0,x_n]$ に $n+1-k$ 個の相異なる零点をもち、$k\geq1$ ならそれらはすべて $(x_0,x_n)$ に属する」ことを $k$ についての帰納法で示す。$k=0$ は仮定である。$k< n$ で成り立つとすると、$f^{(k)}$ は $I$ 上で微分可能($k< n$ なので $f^{(k+1)}$ が存在する)であり、cor-rolle-between-zeros を $f^{(k)}$ の $n+1-k$ 個の零点に使うと、隣り合う零点の間の開区間に $f^{(k+1)}$ の零点が 1 つずつ、合わせて $n-k$ 個の相異なる零点が得られ、それらは最小の零点と最大の零点の間、したがって $(x_0,x_n)$ に属する。$k=n$ の場合が前半の主張である。後半は前半の対偶である。
$g(x)=e^x-(ax^2+bx+c)$($a,b,c$ は実数)は $g'''(x)=e^x>0$ を満たすので、cor-rolle-higher により $g$ の実数の零点は高々 3 個である。すなわち、指数関数 $y=e^x$ のグラフと放物線(または直線)は高々 3 点でしか交わらない。同様に、次数 $n-1$ 以下の多項式 $p$ について $e^x=p(x)$ の実数解は高々 $n$ 個である。
多項式の場合は、同じ根が重なっていることも数えたい。実数係数の多項式 $f\ne0$ と実数 $r$ について、$(x-r)^m$ が $f$ を割り切り $(x-r)^{m+1}$ が割り切らないとき、$r$ を $f$ の重複度 $m$ の根という($m\geq1$ のとき $r$ は根、$m\geq2$ のとき重根)。重複度を込めて数えた実数の根の個数を、以下「実根の個数」という。
$r$ が実数係数の多項式 $f$ の重複度 $m\geq1$ の根ならば、$r$ は $f'$ の重複度 $m-1$ の根である($m=1$ なら $f'(r)\ne0$ という意味)。
$f(x)=(x-r)^mg(x)$、$g(r)\ne0$ と書ける。積の微分により
$$
f'(x)=(x-r)^{m-1}\bigl(mg(x)+(x-r)g'(x)\bigr)
$$
であり、$h(x):=mg(x)+(x-r)g'(x)$ は $h(r)=mg(r)\ne0$ を満たす。したがって $(x-r)^{m-1}$ は $f'$ を割り切り、$(x-r)^m$ は割り切らない(割り切るなら $x-r$ が $h$ を割り切り $h(r)=0$ となる)。
実数係数の多項式 $f$ の次数を $n\geq1$ とし、$f$ の実根の個数(重複度込み)を $Z$ とする。このとき $f'$ の実根の個数は $Z-1$ 以上である。特に、$f$ の根がすべて実数($Z=n$)ならば、$f'$ の根もすべて実数である。
$Z=0$ なら主張は自明なので、$Z\geq1$ とする。$f$ の相異なる実根を $r_1<\cdots< r_k$、その重複度を $m_1,\dots,m_k$ とすると $m_1+\cdots+m_k=Z$ である。lem-rolle-multiplicity により、各 $r_i$ は $f'$ の重複度 $m_i-1$ の根である。また cor-rolle-between-zeros により、各 $j=1,\dots,k-1$ について $f'(s_j)=0$ となる $s_j\in(r_j,r_{j+1})$ があり、$s_j$ は $f$ の根ではない($r_j$ と $r_{j+1}$ の間に $f$ の根はない)ので $r_i$ のどれとも異なる。したがって $f'$ の実根の個数は少なくとも
$$
\sum_{i=1}^k(m_i-1)+(k-1)=Z-1
$$
である。$Z=n$ なら $f'$ は次数 $n-1$ で実根を $n-1$ 個以上もつので、根はすべて実数である(次数 $n-1$ の多項式の根は重複度込みで高々 $n-1$ 個)。
$f(x)=x^5-5x+1$ の実数解の個数を求める。$f'(x)=5x^4-5=5(x^2+1)(x-1)(x+1)$ の実根は $\pm1$ の 2 個だけなので、prop-rolle-polynomial-roots により $f$ の実根は高々 3 個である。一方 $f(-2)=-21$、$f(-1)=5$、$f(1)=-3$、$f(2)=23$ で符号が 3 回変わるので、中間値の定理により $(-2,-1)$、$(-1,1)$、$(1,2)$ に 1 つずつ根がある。したがって $f$ の実数解はちょうど 3 個である(数値的には $-1.5416\ldots$、$0.2000\ldots$、$1.4405\ldots$)。残りの 2 個の根は実数でない複素数である。
$n\geq1$ とし、$g(x)=(x^2-1)^n$ とする。$g$ の根は $\pm1$(どちらも重複度 $n$)だけで、すべて実数である。このとき $n$ 階導関数 $g^{(n)}$(次数 $n$)は、区間 $(-1,1)$ に $n$ 個の相異なる根をもつ。実際、$k=0,1,\dots,n$ について「$g^{(k)}$ は $\pm1$ を重複度 $n-k$ の根にもち、$(-1,1)$ に $k$ 個の相異なる根をもつ」ことが帰納法で分かる。$k< n$ で成り立つとすると、lem-rolle-multiplicity により $\pm1$ は $g^{(k+1)}$ の重複度 $n-k-1$ の根であり、$g^{(k)}$ の相異なる零点 $-1< t_1<\cdots< t_k<1$($n-k\geq1$ なので $\pm1$ も零点)の隣り合う $k+1$ 組の間に cor-rolle-between-zeros で $g^{(k+1)}$ の零点が 1 つずつ、合わせて $k+1$ 個の相異なる零点が $(-1,1)$ に得られる。$n=3$ の場合、$g'''(x)=24x(5x^2-3)$ の根は $0,\pm\sqrt{3/5}=\pm0.7745\ldots$ で、確かに $(-1,1)$ にある。
Rolle の定理を繰り返す議論からは、係数の符号だけで正の根の個数を押さえる規則も得られる。実数係数の多項式 $f\ne0$ の係数を次数の低い順に並べ、$0$ の係数を除いた列で、隣り合う係数の符号が変わる箇所の数を $V(f)$ と書く。また $f$ の正の実根の個数(重複度込み)を $Z_+(f)$ と書く。
実数係数の多項式 $f\ne0$ について $Z_+(f)\leq V(f)$ であり、$V(f)-Z_+(f)$ は偶数である。
$f=x^kf_1$($f_1(0)\ne0$)と書くと、$f$ と $f_1$ は正の根も係数の符号の列も同じなので、はじめから $f(0)\ne0$ としてよい。$f$ の定数項を $a_0\ne0$、最高次の係数を $a_n\ne0$ とする。
段階 1(偶奇):$f$ の正の根を $r_1,\dots,r_k$、重複度を $m_1,\dots,m_k$ とし、$f(x)=\prod_i(x-r_i)^{m_i}\cdot h(x)$ と書く。$h$ は正の根をもたず $h(0)\ne0$ なので、中間値の定理により $h$ は $[0,\infty)$ で符号を変えず、$x\to\infty$ での符号 $\operatorname{sgn}a_n$ に等しい。よって $\operatorname{sgn}a_0=\operatorname{sgn}f(0)=(-1)^{Z_+(f)}\operatorname{sgn}a_n$ である。一方、符号の列の変化の数 $V(f)$ が偶数であることと、列の最初と最後の符号 $\operatorname{sgn}a_0$ と $\operatorname{sgn}a_n$ が等しいことは同値である。したがって $(-1)^{V(f)}=(-1)^{Z_+(f)}$ であり、$V(f)-Z_+(f)$ は偶数である。
段階 2(不等式):次数 $n$ についての帰納法で示す。$n=0$ なら $Z_+(f)=V(f)=0$ である。$n\geq1$ とし、次数の小さい多項式では成り立つとする。$f'$ の係数の列は $a_1,2a_2,\dots,na_n$ で、$f$ の列から $a_0$ を除いたものと符号が同じなので、$V(f')=V(f)$ または $V(f')=V(f)-1$ である。prop-rolle-polynomial-roots の証明を正の根だけに使う(正の根 $r_j< r_{j+1}$ の間の $s_j$ も正である)と $Z_+(f')\geq Z_+(f)-1$ である。帰納法の仮定を $f'$($f'\ne0$、次数 $n-1$)に使って
$$
Z_+(f)\leq Z_+(f')+1\leq V(f')+1\leq V(f)+1
$$
を得る。$Z_+(f)=V(f)+1$ は段階 1 の偶奇に反するので、$Z_+(f)\leq V(f)$ である。
この規則は Descartes の符号法則とよばれる(Pra04 第 1 章)。$f(-x)$ に使えば負の根の個数も押さえられる。
$f(x)=x^3-7x+6=(x-1)(x-2)(x+3)$ の係数の列(低い順に $6,-7,1$)は符号が 2 回変わり、正の根は $1,2$ の 2 個で $V(f)$ と一致する。$f(-x)=-x^3+7x+6$ の係数の列 $6,7,-1$ は符号が 1 回変わり、負の根は $-3$ の 1 個である。一方 $x^2-2x+5$ は符号が 2 回変わるが、判別式が負で実根をもたず、正の根は $0$ 個である(差 $2$ は偶数)。$x^3+x+1$ は符号の変化が $0$ 回なので正の根をもたない。
名前は Michel Rolle(1652–1719)にちなむ。Rolle が 1691 年に示したのは多項式についての主張で、「$f'$ の隣り合う 2 つの根の間には $f$ の根が高々 1 つしかない」という形であった(Leb Theorem 4.2.3 の脚注と Exercise 4.2.11、p. 163・p. 170)。これは多項式 $f$ に cor-rolle-between-zeros を使ったときの対偶にあたる($f$ の 2 つの根の間には $f'$ の根があるので、$f'$ の根を含まない区間に $f$ の根は 2 つ以上ない)。
cor-rolle-higher は、関数を多項式で近似したときの誤差の評価の基本の道具である。たとえば Taylorの定理 の剰余項の Lagrange の形は、近似の誤差を表す関数に Rolle の定理を繰り返し使って証明される(Leb Theorem 4.3.2、p. 172)。$n+1$ 個の点で値が一致する次数 $n$ 以下の多項式(補間多項式)と関数との差も、同じ議論で $f^{(n+1)}$ を使って評価できる。
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