Auslander–Buchsbaum公式(Auslander–Buchsbaum formula)とは、Noether局所環 $(A,\mathfrak m,k)$ 上の非零有限生成加群 $M$ の射影次元 $\operatorname{pd}_AM$ が有限なとき、$\operatorname{pd}_AM+\operatorname{depth}_AM=\operatorname{depth}A$ が成り立つという定理である。深さは極大イデアル内の正則列の最大長であり、公式は最小自由解像度の長さと深さを結び付ける。帰結として有限射影次元は環の深さ以下となり、深さ零の局所環上で有限射影次元をもつ非零有限加群は自由になる。有限射影次元の仮定は外せず、双対数環 $k[\varepsilon]/(\varepsilon^2)$ 上の剰余体 $k$ は射影次元が無限で公式を適用できない。
自由加群による解像度が有限で終わるとき、その長さと加群の深さは独立の数ではない。Auslander–Buchsbaum公式は、両者の和が環の深さに等しいことを述べる。局所環上の有限加群という条件と、有限射影次元という条件がともに必要になる。
この公式は正則局所環だけの結果ではない。環が零因子をもっていても、対象加群に有限射影解像度がある限り成り立つ。ただし任意の有限加群に有限解像度が存在するとは限らない。本記事では深さのExt表示から最小自由解像度の長さの判定までを証明し、その後で公式を導く。
$(A,\mathfrak m,k)$ をNoether局所環、$M$ を非零有限生成 $A$ 加群とする。射影次元 $\operatorname{pd}_A M$ が有限なら
$$\operatorname{pd}_A M+\operatorname{depth}_A M=\operatorname{depth}A$$
が成り立つ。
この定理の証明は「公式の証明」節に置く。その前に、深さのExt表示と最小解像度の長さを証明する。有限射影次元を使う場所と、最小性を使う最後の一段を区別する。
射影次元は射影解像度の最短の長さである。射影加群とは、任意の全射に対してその加群からの写像を持ち上げられる加群をいう。この定義で解像度の項を有限生成に限定しない。有限加群の局所的な最小自由解像度と結び付くことは後で示す。零加群の深さは無限大とするが、零加群を上の有限数値の公式には含めない。
$(A,\mathfrak m,k)$ をNoether局所環とし、$k=A/\mathfrak m$ とする。$M$ は非零有限生成加群とする。列 $x_1,\ldots,x_r\in\mathfrak m$ が $M$ 正則であるとは、各段の商上で次の元の掛算が単射で、最後の商が非零となることをいう。空列は長さ零の正則列である。
$M$ の深さ $\operatorname{depth}_A M$ は、極大イデアル内の $M$ 正則列の長さの最大値である。環の深さは $\operatorname{depth}A=\operatorname{depth}_AA$ とする。零加群については $\operatorname{depth}_A0=\infty$ と約束する。
最大値の存在と、延長できない列が最大長をもつことは以下で証明する。有限生成性から、$\mathfrak m$ 内の有限列で割った商が零ならNakayamaにより元の加群が零になる。従って正則列の各段で最後の非零性を確認する際、局所有限加群の条件が働く。
この場で使う有限Nakayamaを確認しておく。有限生成加群 $Q$ が $Q=JQ$、$J\subset\mathfrak m$ を満たすとする。生成元を $q_1,\ldots,q_s$ とし、$q_i=\sum_j c_{ij}q_j$、$c_{ij}\in J$ と書く。行列 $E-C$ の余因子行列を掛けると $\det(E-C)Q=0$ となる。行列式は $1-a$、$a\in J$ の形で、局所環では極大イデアルの外にあるから単元である。従って $Q=0$。生成元が零個の場合は最初から零加群なので、同じ結論を得る。
深さの基礎は Mat89 §16–17、射影次元と公式は §19 に位置づけられる。以下では必要な基礎も証明する。
元 $m\ne0$ の零化イデアルを $\operatorname{Ann}(m)$ と書く。これが素イデアルとなる場合、その素イデアルを $M$ の随伴素イデアルという。全体を $\operatorname{Ass}(M)$ とする。
有限生成 $M\ne0$ について随伴素イデアルは非空有限集合であり、$M$ 上の零因子全体はその和集合である。
非零元の零化イデアルの中で極大なものを取る。Noether条件により存在する。それを $\mathfrak p=\operatorname{Ann}(m)$ とする。$ab\in\mathfrak p$、$b\notin\mathfrak p$ なら $bm\ne0$。$\operatorname{Ann}(bm)$ は $\mathfrak p$ を含み、極大性から同じだから $a\in\mathfrak p$。従って $\mathfrak p$ は素であり、$Am\cong A/\mathfrak p$ である。
この巡回部分加群を商へ取り除いて同じ操作を続けると、$M$ の部分加群の厳密な上昇列になる。$M$ はNoetherなので有限回で停止し、有限フィルトレーションで各因子を $A/\mathfrak p_i$ と書ける。
短完全列 $0\to U\to V\to W\to0$ で $\operatorname{Ass}(V)\subset\operatorname{Ass}(U)\cup\operatorname{Ass}(W)$ を確認する。$v$ の零化素を $\mathfrak p$ とする。$Av\cap U=0$ なら $Av$ は $W$ に単射するので $\mathfrak p$ は $W$ の随伴素。交叉が非零なら $av\ne0$ をその中に選ぶ。$a\notin\mathfrak p$ なので $\operatorname{Ann}(av)=(\mathfrak p:a)=\mathfrak p$、従って $U$ の随伴素である。$A/\mathfrak p_i$ の随伴素は整域の非零元の消去から $\mathfrak p_i$ だけ。フィルトレーションへ反復すると有限性を得る。
$a$ が $M$ の非零元を零化するなら、$a$ で零化される非零元の中から零化イデアルが極大な元を取る。同じ素性の論証では $bm$ も $a$ で零化されるので、極大性はこの限定族でも使える。従って $a$ を含む随伴素が得られる。逆に随伴素に属する元はその素を零化イデアルにもつ非零元を零化する。これで零因子の和集合表示を得る。
有限素回避もここで確認する。イデアル $J$ が有限個の素イデアル $\mathfrak p_i$ のどれにも含まれないなら、その和集合の外に $J$ の元がある。含まれ合う素を整理して、どの $\mathfrak p_j$ も他の $\mathfrak p_i$ に含まれないようにする。$a_i\in J\setminus\mathfrak p_i$ を選び、$b_i\in\bigcap_{j\ne i}\mathfrak p_j\setminus\mathfrak p_i$ を他の素から選んだ元の積で作る。素性により積は $\mathfrak p_i$ を避ける。$\sum_i a_ib_i$ は $J$ に属し、各 $\mathfrak p_i$ を法とすると第 $i$ 項だけが残り非零だから全てを避ける。一個の素なら空積を $1$ とする。
加群のsocleを $\{m\in M\mid\mathfrak m m=0\}$ とする。これは $\operatorname{Hom}_A(k,M)$ と自然に同一である。写像は $1+\mathfrak m$ の像で決まり、その像が極大イデアルに零化されることが必要十分だからである。
非零有限生成 $M$ に正則元が極大イデアル内に存在しないことと、socleが非零であることは同値である。
正則元がなければ極大イデアル全体は $M$ の零因子の有限和集合に含まれる。有限素回避から $\mathfrak m$ は一つの随伴素に含まれる。その素は極大イデアルに含まれるので $\mathfrak m$ に等しい。従って極大イデアルに零化される非零元がある。
逆にそのような元があると、極大イデアルのどの元もその非零元を零化するので単射には作用しない。従って正則元を選べない。
正則列を一元ずつ延長し、延長できる限り続けると有限回で停止する。各新しい元は前の生成イデアルに属さない。属せば前の非零商上で零として作用し単射にならないからである。従って生成イデアルは厳密に増える。Noether条件は無限の厳密上昇列を許さないので停止する。終端の商では前の命題からsocleが非零となる。
この段階では、異なる延長の仕方で同じ長さになることはまだ示していない。それをExtの特徴づけから得る。
$k$ の自由解像度 $P_\bullet\to k$ を取る。各段で有限個の生成元から全射を作り、その核もNoether性により有限生成なので、すべての $P_i$ を有限自由にできる。$\operatorname{Ext}^i_A(k,M)$ は $\operatorname{Hom}_A(P_\bullet,M)$ の次数 $i$ のコホモロジーとして計算する。
解像度の選択によらないことを確認する。二つの自由解像度の間に $k$ の恒等を持ち上げる鎖写像を、次数零から帰納で作る。次の段の写像の像が目標のサイクルに入るため、目標解像度の完全性と始域の自由性で次の持上げを選べる。同じ写像を持ち上げた二つの鎖写像の差は零とホモトピックである。次数零の差は増大写像で零になるので次の微分の像へ持ち上げられ、既に作ったホモトピーを差から引いて同じ操作を各次数で繰り返す。逆向きも構成すると合成は恒等とホモトピックになるので、Hom複体のコホモロジーは自然に同型となる。
短完全列 $0\to L\to N\to Q\to0$ にHom複体を適用すると、各 $P_i$ が自由だから各次数で短完全列になる。そこからコホモロジーの長完全列を得る。接続写像は右端のサイクルを中央へ持ち上げ、その微分を左端へ戻した類である。代表を変えると境界だけが変わる。接続の像が零なら持上げを左端の元で補正してサイクルにでき、逆も同じ計算になる。これが各箇所の像と核の一致を示す。
すべての $i$ について $\mathfrak m\operatorname{Ext}^i_A(k,M)=0$ である。
$x\in\mathfrak m$ の自由解像度 $P_\bullet$ 上の掛算写像は、$k$ 上で零を誘導する。これが鎖ホモトピーで零になることを明示する。次数零では $xP_0$ は増大写像の核に入り、次の微分の像に入るので、自由性を使って写像 $h_0:P_0\to P_1$ へ持ち上げる。
$h_0,\ldots,h_{i-1}$ までできたなら、$x\operatorname{id}_{P_i}-h_{i-1}d_i$ の微分を取ると、前のホモトピー恒等式により零になる。従ってその像は次の微分の像に入り、自由性で $h_i:P_i\to P_{i+1}$ へ持ち上げる。こうして $dh+hd=x\operatorname{id}$ を得る。
Hom複体では $x$ の値域への掛算と、始域 $P_i$ 上の掛算による前合成は同じである。鎖ホモトピーはコホモロジー上で零だから、$x$ の作用は零となる。任意の $x\in\mathfrak m$ について成立するので主張を得る。
$x\in\mathfrak m$ が $M$ に単射に作用し、$Q=M/xM$ とする。すべての $i\ge0$ に対して短完全列
$$0\to\operatorname{Ext}^i_A(k,M)\to\operatorname{Ext}^i_A(k,Q)\to\operatorname{Ext}^{i+1}_A(k,M)\to0$$
がある。また $\operatorname{Hom}_A(k,M)=0$ である。
$0\to M\xrightarrow{x}M\to Q\to0$ へ前節の長完全列を適用する。二つの $M$ のExtの間の写像は $x$ 倍であり、極大イデアルの零化補題から零である。従って長完全列は表示した短完全列に分かれる。
$\operatorname{Hom}(k,M)$ の元の像は $\mathfrak m$ に零化されるので、特に $x$ に零化される。$x$ の作用が単射だからその像は零で、Homは零となる。
非零有限生成 $M$ の深さは有限であり、
$$\operatorname{depth}_A M=\min\{i\ge0\mid\operatorname{Ext}^i_A(k,M)\ne0\}$$
となる。極大イデアル内で延長できない正則列はすべて同じ長さをもつ。正則元 $x$ で割ると深さはちょうど一つ下がる。
延長できない正則列を前に構成したように選び、その長さを $r$ とする。終端の商 $Q_r$ はsocleが非零なので、最初の非零Extは次数零である。正則商の短完全列を逆に一段ずつたどる。
商の最初の非零Extが次数 $s$ なら、元の加群の最初の非零Extは次数 $s+1$ となる。実際、元のHomは零で、$0\to E^i(M)\to E^i(Q)\to E^{i+1}(M)\to0$ を次数零から順に使えば、$i< s$ で次のExtも零となる。$i=s$ では左端はすでに零、中央が非零なので右端が非零になる。従って元の $M$ の最初の非零Extは次数 $r$ である。
Extは $M$ に固有のものだから、別の延長できない列も同じ長さ $r$ となる。任意の正則列は延長できない列へ有限回で延ばせるので、その長さは $r$ 以下となる。従って最大長の定義と一致する。正則元 $x$ についても同じ次数移動を使えば、商の深さが一つ下がる。
この証明では深さが先に有限と仮定されたのではなく、Noetherの上昇鎖条件で終端を作り、そのsocleとExtの移動から有限性を得た。正則列の長さが選択によらないこともこの証明に含まれる。
有限生成加群の短完全列 $0\to L\to N\to Q\to0$ に対して
$$\operatorname{depth}N\ge\min(\operatorname{depth}L,\operatorname{depth}Q),$$
$$\operatorname{depth}L\ge\min(\operatorname{depth}N,\operatorname{depth}Q+1),$$
$$\operatorname{depth}Q\ge\min(\operatorname{depth}L-1,\operatorname{depth}N)$$
が成り立つ。零加群の深さは無限大、無限大に有限整数を加減しても無限大とする。
Extの長完全列の各次数で、両隣が零なら中央が零であることを使う。$i$ が $L,Q$ の深さより小さければ $E^i(L)=E^i(Q)=0$ なので $E^i(N)=0$。これが第一の不等式。
$i$ が $N$ の深さと $Q$ の深さに一を加えた値より小さければ、$E^{i-1}(Q)=E^i(N)=0$ なので $E^i(L)=0$。負次数のExtは零と約束し、次数零も含めて第二を得る。
$i$ が $L$ の深さから一を引いた値と $N$ の深さより小さければ、$E^i(N)=E^{i+1}(L)=0$ なので $E^i(Q)=0$。これが第三である。前の特徴づけで最初の非零次数へ戻せば、表示した深さの不等式になる。零加群ではExtが全次数零なので、無限大の規約も同じ計算と両立する。
例えば $\operatorname{depth}L< \operatorname{depth}N$ なら、長完全列を最初の非零次数で見ると $\operatorname{depth}Q=\operatorname{depth}L-1$ となる。ただし $\operatorname{depth}L=0$ の場合、この不等式の配置自体が起きない。Homの列で非零の $\operatorname{Hom}(k,L)$ が零の $\operatorname{Hom}(k,N)$ に単射することは不可能だからである。こうした境界を落とさず、単に三つの数の一つを機械的に減らさない。
同じ加群の射影解像度の間には恒等を持ち上げる鎖写像があり、二つの持上げは鎖ホモトピックである。従ってTorも解像度の選択によらない。
増大解像度 $P_\bullet,Q_\bullet$ を取る。$P_0\to M$ を $Q_0\to M$ へ射影性で持ち上げる。$f_i$ まで作れば $f_i d_{i+1}$ は目標のサイクルに入る。目標の完全性と $P_{i+1}$ の射影性から次の持上げを選べる。
二つの写像 $f,g$ の差は次数零で増大写像の核に入るので、$h_0:P_0\to Q_1$ を選べる。既に $h_{i-1}$ まであれば、$f_i-g_i-h_{i-1}d_i$ の微分は前の恒等式から零となる。これを次へ持ち上げて $h_i$ を作ると $f-g=dh+hd$ となる。逆向きの比較も作れば合成は恒等とホモトピックである。
任意の加群をテンソルしてもこの恒等式は成立するので、ホモロジー上で比較写像は互いに逆になる。従って射影解像度にテンソルを適用したホモロジー、すなわちTorは選択によらない。テンソルが元の解像度の完全性を保存するとは主張していない。保存されるのは比較のホモトピー恒等式である。
短完全列 $0\to K\to P\to M\to0$、$0\to L\to Q\to M\to0$ で $P,Q$ が射影なら $K\oplus Q\cong L\oplus P$ である。
引戻し $W=\{(p,q)\in P\oplus Q\mid p,q\text{の像が等しい}\}$ を作る。$W\to P$ は全射で核が $L$、$W\to Q$ は全射で核が $K$ となる。始域へのこれらの全射は射影性から分裂する。従って $W\cong L\oplus P$ と $W\cong K\oplus Q$ が同時に成り立つ。
この操作を長さに関して反復する。最初の核が $K\oplus Q\cong L\oplus P$ となったら、$K$ の残りの解像度に $Q$ を次数零の射影直和として付加し、$L$ 側にも $P$ を付加する。同型の加群に対する一段短い解像度になり、再び同じ補題を使える。帰納すると最終の核は、それぞれに解像度の射影項の有限直和を加えた後に同型となる。一方の最終核が射影なら、他方も射影である。射影直和は射影であり、その直和因子も射影だからである。元の射影項は無限生成でもこの反復は成立する。
特に $\operatorname{pd}M\le n$ なら、別に構成した自由解像度の第 $n$ syzygyも射影になる。長さ $n$ の射影解像度の最後の項を最終核と見て上述の反復を使えばよい。$n=0$ は $M$ 自体が射影という定義に戻る。
有限生成射影加群 $Q$ は局所環上では自由である。$Q/\mathfrak mQ$ の基底を持ち上げた写像 $A^s\to Q$ は、有限余核へNakayamaを使えば全射となる。射影性により分裂して $A^s\cong Q\oplus K$。$K$ は基底の射影像で生成されるので有限であり、剰余体上の次元から $K/\mathfrak mK=0$。再びNakayamaで $K=0$ となる。$Q=0$ なら $s=0$ で同じ結論になる。
非零有限生成 $M$ に、各項が有限自由である最小自由解像度が存在する。有限射影次元 $n$ の場合には長さ $n$ で終了し、全微分の行列要素は $\mathfrak m$ に入る。
$M/\mathfrak mM$ の基底を持ち上げ $F_0\to M$ を作る。有限余核へのNakayamaから全射であり、核の元は剰余体上で零になるので核は $\mathfrak mF_0$ に含まれる。核はNoether性により有限生成だから、核に同じ操作を反復する。これで各微分の行列要素が極大イデアルに入る自由解像度を得る。
$\operatorname{pd}M=n< \infty$ なら、第 $n$ syzygyは前の補題で射影、有限局所射影の結果から自由になる。これをそのまま最後の $F_n$ とすれば有限解像度が得られる。$n>0$ で $F_n=0$ ならすでに一段短い解像度があるため、射影次元の最小性に反する。
剰余体をテンソルすると全微分が零になるから、最後の $F_n\ne0$ に対して $\operatorname{Tor}_n^A(k,M)=k\otimes_A F_n\ne0$。一段短い射影解像度が存在すれば同じTorは零だが、比較独立性に反する。従って長さは正確に射影次元である。$n=0$ の場合は非零有限射影 $M$ 自体が非零自由である。
$n\ge1$ で $N=\ker(F_0\to M)$ とすれば、残りの最小解像度から $\operatorname{pd}N\le n-1$。より短い解像度が $N$ にあれば $F_0$ を連結して $M$ のより短い解像度が得られるので、実際に $\operatorname{pd}N=n-1$ である。
$d=\operatorname{depth}A$、$n=\operatorname{pd}M$ とし、$n$ について帰納する。$n=0$ なら $M$ は階数一以上の有限自由。Extは有限直和と交換するため、最初の非零Ext次数は $A$ と同じで、深さは $d$ となる。
$n\ge1$ では最小解像度の最初の短完全列 $0\to N\to F_0\to M\to0$ を使う。$N$ は非零有限で射影次元 $n-1$ である。帰納仮説から $s=\operatorname{depth}N=d-n+1$。
$n\ge2$ なら $s< d$。もし $s=0$ なら非零の $\operatorname{Hom}(k,N)$ が $\operatorname{Hom}(k,F_0)=0$ に単射するので矛盾。従って $s>0$。Ext長完全列において $i< s-1$ では $E^i(M)=0$、次数 $s-1$ では $E^{s-1}(M)\cong E^s(N)\ne0$ となる。ここで $E^i(F_0)=0$ は $i< d$ に使った。従って $\operatorname{depth}M=s-1=d-n$。
$n=1$ では $N$ は非零有限自由となる。最小性により $N\to F_0$ の行列要素はすべて $\mathfrak m$ に入り、極大イデアルは $\operatorname{Ext}^i(k,A)$ を零化する。従って $E^i(N)\to E^i(F_0)$ は全次数で零である。$d=0$ ならHomの単射性とこの零写像が矛盾するので $d\ge1$。次数 $d-1$ で $E^{d-1}(M)\to E^d(N)$ は全射で非零、下次数は零。従って深さは $d-1$ となる。すべての枝で $n+\operatorname{depth}M=d$ が成り立つ。
体 $k$ に対し $A=k[x,y]_{(x,y)}$ とする。座標正則列と終端の剰余体から深さは二である。$A/(x)$ には解像度 $0\to A\xrightarrow{x}A\to A/(x)\to0$ がある。最小で最後の項が非零なので射影次元は一、商の深さも一で、公式の和は二となる。剰余体 $k$ には二元Koszul解像度がある。具体的に微分は $(a,b)\mapsto xa+yb$ と $c\mapsto(-yc,xc)$。核の関係 $xa=-yb$ は $A/(x)$ が整域で $y$ が非零因子であることから $b=xc$、次に $a=-yc$ を与える。従って完全であり、全行列要素が極大イデアルに入るから射影次元は二である。深さ零との和は二になる。
有限射影次元を外す反例は双対数環 $B=k[\varepsilon]/(\varepsilon^2)$ と剰余体 $k$ である。$B$ の深さは非零socle $k\varepsilon$ のため零、$k$ も深さ零である。しかし $k$ の解像度は $\cdots\xrightarrow{\varepsilon}B\xrightarrow{\varepsilon}B\to k\to0$ となる。各 $\varepsilon$ 倍の核と像はともに $k\varepsilon$ なので完全。$k$ をテンソルすると微分は全て零となり、すべての非負次数でTorが $k$ となる。有限解像度なら高次数Torが零になるので、射影次元は無限である。公式を有限射影次元なしに用いて射影次元零とすることはできない。
同じ環でも非零自由加群 $B^s$ は射影次元零で深さ零である。零因子をもつ環を公式から排除する必要はない。反対に零加群は深さを無限大とする規約の対象であり、非零有限加群の公式に代入して有限数値を作らない。
公式から有限射影次元は環の深さ以下となる。深さ零の局所環上で有限射影次元をもつ非零有限加群は自由である。また有限射影次元をもつ加群が環と同じ深さなら射影次元は零となり、局所自由性から自由である。ただし深さが同じという条件だけで有限射影次元を省くことはできない。上の双対数の剰余体がその違いを示している。
最小解像度の各核をとる操作は、環の深さと加群の深さとの差を一段ずつ記録する。帰納の最後の一段では深さ補題の不等式だけでなく、最小行列が極大イデアル内にあることを使った。このため一般の自由全射を選んで行列の零作用を仮定することはできない。最小性とExt零化補題を併せて使うことが、深さ零の端点にも矛盾なく証明を通す鍵となる。
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