モジュラー曲線(modular curve)とは、上半平面 $\mathfrak{H}$ をモジュラー群の合同部分群 $\Gamma$ で割り、尖点を加えてコンパクトにした Riemann 面 $X(\Gamma)$ のことである。$X_0(N)$ の尖点以外の点は、複素数体上の楕円曲線と位数 $N$ の巡回部分群の組の同型類と一対一に対応する。種数は指数・楕円点・尖点の個数から Riemann–Hurwitz の公式で決まり、$X_0(11)$ は種数 $1$ になる。$X_0(N)$ は有理数体上の曲線として定義され、有理数体上の楕円曲線はすべて $X_0(N)$ の像になる。
モジュラー曲線(modular curve)は、上半平面 $\mathfrak{H}$ をモジュラー群の合同部分群 $\Gamma$ で割り、有限個の尖点を付け加えてコンパクトにした Riemann 面 $X(\Gamma)$ である。代表は $\Gamma_0(N)$ に対する $X_0(N)$ で、尖点を除いた部分 $Y_0(N)$ の点は、複素数体上の楕円曲線と位数 $N$ の巡回部分群の組の同型類と一対一に対応する。$X_0(N)$ は有理数体上の代数曲線として自然に定義され、有理数体上のすべての楕円曲線は $X_0(N)$ からの全射の像になる(モジュラー性定理)。
この記事では、モジュラー曲線と尖点・楕円点を定義し、$Y_0(N)$ の点が楕円曲線と巡回部分群の組を分類すること、被覆 $X(\Gamma)\to X(1)$ の分岐の数え方から種数の公式を導くこと、素数 $p$ について $X_0(p)$ の種数を求めることを完全に証明する。$X(\Gamma)$ が Riemann 面になることと $X_0(N)$ の有理数体上のモデルは引用にする。
$\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})$ は $\mathfrak{H}$ に 1 次分数変換で作用し、$\pm I$ は自明に作用する(上半平面 の定義「1 次分数変換による作用」)。同じ式で $\mathbb{P}^1(\mathbb{Q})=\mathbb{Q}\cup\{\infty\}$ にも作用する。$\mathfrak{H}^*:=\mathfrak{H}\cup\mathbb{P}^1(\mathbb{Q})$ とおく。合同部分群 $\Gamma_0(N)$、$\Gamma_1(N)$、$\Gamma(N)$ は モジュラー群 の定義「合同部分群」のとおりとする。
$\Gamma$ を $\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})$ の合同部分群とする。
$\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})$ の楕円点は $i$ と $\rho:=e^{2\pi i/3}$ の軌道だけで、位数はそれぞれ $2$ と $3$ である。$i$ の固定部分群の像は $S=\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}$ が、$\rho$ の固定部分群の像は $ST$($T=\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix}$)が生成し、ほかの点の固定部分群の像は自明である(上半平面 の定理「基本領域」)。$\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})$ は $\mathbb{P}^1(\mathbb{Q})$ に推移的に作用し(既約分数 $a/c$ に対して $ad-bc=1$ となる $b,d$ をとれば $\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}\infty=a/c$)、$\infty$ の固定部分群の像は $T$ が生成する。したがって $X(1)$ の尖点は $\infty$ の 1 点である。
$\Gamma=\Gamma_0(N)$ とする。$\mathfrak{H}^*$ に、$\mathfrak{H}$ では通常の位相、$\infty$ では $\{\operatorname{Im}\tau>M\}\cup\{\infty\}$、$a\in\mathbb{Q}$ では $a$ で実軸に接する円板と $\{a\}$ の和を基本近傍とする位相を入れる。このとき $X(\Gamma)$ は商位相でコンパクトな Hausdorff 空間であり、次の局所座標によって連結なコンパクト Riemann 面になる。
この記事では証明しない。Mil21 Proposition V.1.5–V.1.8(pp. 178–180)にある(位相についての Proposition V.1.5–V.1.7 は有限指数の部分群一般で述べられている)。一般の合同部分群 $\Gamma$ でも $X(\Gamma)$ がコンパクト Riemann 面になることは Sil09 Remark C.13.2(p. 441)が述べている。$X(1)$ の種数が $0$ であること(Mil21 Proposition V.1.9、p. 180)も使う。これは $j$ 関数が $X(1)$ から Riemann 球面への同型を与えることの言い換えである(モジュラー形式 の命題「$j$ 関数」)。
$\tau\in\mathfrak{H}$ に格子 $\Lambda_\tau=\mathbb{Z}\tau+\mathbb{Z}$ と楕円曲線 $E_\tau:=\mathbb{C}/\Lambda_\tau$ を対応させる(楕円曲線 の例「格子から得られる楕円曲線」)。$Y(1)$ の点が $\mathbb{C}$ 上の楕円曲線の同型類と一対一に対応することは 上半平面 の命題「格子の相似類とモジュラー群の軌道」と 楕円曲線 の定理「一意化定理」による。$Y_0(N)$ は、これに位数 $N$ の巡回部分群を付けたものを分類する。
$N\ge1$ とする。$\tau\in\mathfrak{H}$ に組 $(E_\tau,C_\tau)$($C_\tau$ は $1/N+\Lambda_\tau$ が生成する位数 $N$ の巡回部分群)を対応させる写像は、全単射
$$
Y_0(N)=\Gamma_0(N)\backslash\mathfrak{H}\ \xrightarrow{\ \sim\ }\ \{(E,C)\}/\cong
$$
を引き起こす。右辺は、$\mathbb{C}$ 上の楕円曲線 $E$ と位数 $N$ の巡回部分群 $C\subset E$ の組を、$C$ を $C'$ に移す同型 $E\cong E'$ で同一視した集合である。
楕円曲線 $\mathbb{C}/\Lambda'\to\mathbb{C}/\Lambda$ の同型(原点を保つ解析的な同型)は、$\alpha\Lambda'=\Lambda$ をみたす $\alpha\in\mathbb{C}^\times$ による $z\mapsto\alpha z$ にほかならない(Sil09 Theorem VI.4.1、p. 171)。また $\gamma=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}\in\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})$ について $\Lambda_\tau=(c\tau+d)\Lambda_{\gamma\tau}$ である(上半平面 の命題「格子の相似類とモジュラー群の軌道」の証明)。
写像が $\Gamma_0(N)$ 軌道の上で定まること:$\gamma\in\Gamma_0(N)$ とし、$\alpha:=c\tau+d$ とおく。$z\mapsto\alpha z$ は同型 $E_{\gamma\tau}\to E_\tau$ で、$1/N$ を $(c\tau+d)/N=(c/N)\tau+d/N$ に移す。$N\mid c$ なので $(c/N)\tau\in\Lambda_\tau$ であり、像は $d/N$ を法 $\Lambda_\tau$ で表した点である。$ad-bc=1$ と $N\mid c$ から $d$ は $N$ と互いに素なので、$d/N$ は $C_\tau$ の生成元である。よって同型は $C_{\gamma\tau}$ を $C_\tau$ に移す。
単射:$(E_{\tau'},C_{\tau'})\cong(E_\tau,C_\tau)$ とする。同型は $z\mapsto\alpha z$($\alpha\Lambda_{\tau'}=\Lambda_\tau$)で、上半平面 の命題の証明により $\alpha=c\tau+d$、$\alpha\tau'=a\tau+b$ となる $\gamma=\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}\in\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})$ があって $\tau'=\gamma\tau$ である。$\alpha/N=(c/N)\tau+d/N$ が $C_\tau=\{k/N+\Lambda_\tau\}$ に入るので、ある整数 $k$ について $(c/N)\tau+(d-k)/N\in\mathbb{Z}\tau+\mathbb{Z}$、とくに $N\mid c$ である。よって $\gamma\in\Gamma_0(N)$ である。
全射:$(E,C)$ をとる。一意化定理により $E\cong\mathbb{C}/\Lambda$ となる格子 $\Lambda=\mathbb{Z}\omega_1+\mathbb{Z}\omega_2$ があり、$C$ は $\frac1N\Lambda/\Lambda\cong(\mathbb{Z}/N\mathbb{Z})^2$ の位数 $N$ の元 $(u\omega_1+v\omega_2)/N$ で生成される。位数が $N$ なので $\gcd(u,v,N)=1$ である。$\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z}/N\mathbb{Z})$ はこのような行ベクトル全体に推移的に作用し(モジュラー群 の系「合同部分群の指数」の証明)、還元 $\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})\to\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z}/N\mathbb{Z})$ は全射なので(同じ記事の定理「法 $N$ への還元の全射性」)、$(0,1)\gamma\equiv(u,v)\pmod N$ となる $\gamma\in\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})$ がある。$\binom{\omega_1'}{\omega_2'}:=\gamma\binom{\omega_1}{\omega_2}$ は $\Lambda$ の基底で、$\omega_2'\equiv u\omega_1+v\omega_2$ を法 $N\Lambda$ でみたすので、$C$ は $\omega_2'/N$ で生成される。必要なら $\omega_1'$ を $-\omega_1'$ に替えて $\tau:=\omega_1'/\omega_2'\in\mathfrak{H}$ とすると、$z\mapsto z/\omega_2'$ が $(\mathbb{C}/\Lambda,C)$ を $(E_\tau,C_\tau)$ に移す。$\square$
同じ論法で、$Y_1(N)$ は楕円曲線と位数 $N$ の点の組を、$Y(N)$ は $E[N]$ の基底で Weil 対の値が $e^{2\pi i/N}$ のものとの組を分類する(Sil09 付録 C §13 の冒頭、p. 440)。巡回部分群 $C$ は核が $C$ の同種写像 $E\to E/C$ と同じものなので、$Y_0(N)$ は核が位数 $N$ の巡回群である同種写像を分類するとも言える(同 p. 440、同種写像)。
以下、$\Gamma=\Gamma_0(N)$ とし($-I\in\Gamma_0(N)$ である)、$\mu:=[\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z}):\Gamma]$ とおく($\operatorname{PSL}_2(\mathbb{Z})$ での像の指数も $\mu$ である)。$\operatorname{PSL}_2(\mathbb{Z})$ は右剰余類の集合 $\bar\Gamma\backslash\operatorname{PSL}_2(\mathbb{Z})$ に右から作用する。
$\tau_0\in\mathfrak{H}^*$ とし、$G\subset\operatorname{PSL}_2(\mathbb{Z})$ をその固定部分群とする。
要点:ファイバーの点は両側剰余類 $\bar\Gamma\gamma G$ に対応し、分岐指数は局所座標の比 $w^{e'}\mapsto w^{e}$ から $e/e'$(尖点では幅 $h$)で、それが $G$ 軌道の長さに等しい。
1:$\tau_0$ の像の上の点は $\Gamma\gamma\tau_0$($\gamma\in\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})$)の形である。$\Gamma\gamma\tau_0=\Gamma\gamma'\tau_0$ は、$\delta\gamma\tau_0=\gamma'\tau_0$ となる $\delta\in\Gamma$ があること、すなわち $\gamma'^{-1}\delta\gamma\in G$(の代表)となること、すなわち $\bar\Gamma\gamma'\in\bar\Gamma\gamma G$ と同値である。よって点は両側剰余類 $\bar\Gamma\gamma G$、すなわち剰余類の $G$ 軌道に対応する。
3:$\bar\Gamma\gamma g=\bar\Gamma\gamma$ は $\gamma g\gamma^{-1}\in\bar\Gamma$ と同値で、$\gamma G\gamma^{-1}$ は $\gamma\tau_0$ の $\operatorname{PSL}_2(\mathbb{Z})$ での固定部分群である。
2:thm-modular-curve-riemann-surface の局所座標で計算する。$\tau_0\in\mathfrak{H}$ で $\lvert G\rvert=e$ とし、点 $\Gamma\gamma\tau_0$ での $\bar\Gamma$ の固定部分群の位数を $e'$ とする。$\gamma\tau_0$ の近くで $X(\Gamma)$ の座標は $w^{e'}$、$X(1)$ の座標は $w^{e}$($w=(z-\gamma\tau_0)/(z-\overline{\gamma\tau_0})$)なので、分岐指数は $e/e'$ であり、これは 3 と同じ論法で $G$ 軌道の元の個数 $\lvert G\rvert/\lvert\text{固定部分群}\rvert$ に等しい。尖点では $\tau_0=\infty$、$G=\langle T\rangle$ としてよい。点 $\Gamma\gamma\infty$ で $\beta:=\gamma^{-1}$ とおくと、$T^k\in\beta\Gamma\beta^{-1}$ は $\gamma T^k\gamma^{-1}\in\Gamma$、すなわち $\bar\Gamma\gamma T^k=\bar\Gamma\gamma$ と同値なので、幅 $h$ は剰余類 $\bar\Gamma\gamma$ の $G$ 軌道の長さである。座標は $X(\Gamma)$ で $e^{2\pi i\gamma^{-1}z/h}$、$X(1)$ で $e^{2\pi i\gamma^{-1}z}$ なので、分岐指数は $h$ である。$\square$
$\nu_2$、$\nu_3$ を $\Gamma$ の位数 $2$、$3$ の楕円点の個数、$\nu_\infty$ を尖点の個数とする。3 により、$\nu_2$ は $S$ で動かない剰余類の個数、$\nu_3$ は $ST$ で動かない剰余類の個数に等しい($i$ と $\rho$ の上の点のうち、固定部分群が自明でないもの)。
$X(\Gamma)$ の種数 $g$ は
$$
g=1+\frac{\mu}{12}-\frac{\nu_2}{4}-\frac{\nu_3}{3}-\frac{\nu_\infty}{2}
$$
で与えられる。
$\phi\colon X(\Gamma)\to X(1)$ は次数 $\mu$ の正則写像である(一般の点の上には剰余類と同じ $\mu$ 個の点がある。prop-modular-curve-fiber の 1 で $G$ が自明な場合)。分岐しうるのは $i$、$\rho$、$\infty$ の上だけである(ほかの点では $G$ が自明)。prop-modular-curve-fiber により:
$p$ を素数とする。$\Gamma_0(p)$ について $\mu=p+1$、$\nu_\infty=2$ であり、$p\ge5$ では
$$
\nu_2=1+\Bigl(\frac{-1}{p}\Bigr),\qquad\nu_3=1+\Bigl(\frac{-3}{p}\Bigr)
$$
である($(\frac{\cdot}{p})$ は Legendre 記号)。したがって $X_0(p)$ の種数は $p=12n+1$ で $n-1$、$p=12n+5,12n+7$ で $n$、$p=12n+11$ で $n+1$ である。
モジュラー群 の系「合同部分群の指数」の証明により、剰余類 $\Gamma_0(p)\gamma$ は $\gamma$ の下の行 $(c,d)$ の定める $\mathbb{P}^1(\mathbb{F}_p)$ の点 $[c:d]$ と一対一に対応し、右からの作用は行ベクトルへの右からの積である。$\mu=p+1$ である。
$S$ の作用は $(c,d)S=(d,-c)$ である。$[d:-c]=[c:d]$ なら $d=\lambda c$、$-c=\lambda d$ となる $\lambda\in\mathbb{F}_p^\times$ があり($c=0$ なら $d=0$ となり不可)、$\lambda^2=-1$ である。逆にそのような $\lambda$ ごとに固定点 $[1:\lambda]$ が 1 つあるので、$\nu_2$ は $\lambda^2=-1$ の $\mathbb{F}_p$ での解の個数 $1+(\frac{-1}{p})$ である。
$ST=\begin{pmatrix}0&-1\\1&1\end{pmatrix}$ の作用は $(c,d)ST=(d,d-c)$ である。固定点は同様に $d=\lambda c$、$d-c=\lambda d$ から $\lambda^2-\lambda+1=0$ をみたす $\lambda$ に対応する。この 2 次式の判別式は $-3$ で、$p\ge5$ では解の個数は $1+(\frac{-3}{p})$ である。
尖点は $T$ の軌道で、$(c,d)T=(c,c+d)$ である。$[0:1]$ は動かず、$c\ne0$ の点 $[1:d]$ は $d\mapsto d+1$ で 1 つの長さ $p$ の軌道になる。よって $\nu_\infty=2$ である。
種数は thm-modular-curve-genus から $g=\frac{p+1}{12}-\frac{\nu_2}4-\frac{\nu_3}3$ である。$(\frac{-1}{p})=1\iff p\equiv1\pmod4$、$(\frac{-3}{p})=1\iff p\equiv1\pmod3$(平方剰余の相互法則)を使うと、$p=12n+1,5,7,11$ に応じて $(\nu_2,\nu_3)=(2,2),(2,0),(0,2),(0,0)$ で、$g=n-1,n,n,n+1$ を得る。$\square$
この結果は Mil21 p. 181 の公式と一致する。同じ箇所によれば、$X_0(N)$ の種数は $N=1,\dots,10,12,13,16,18,25$ で $0$、$N=11,14,15,17,19,20,21,24,27,32,36,49$ で $1$ である。
$p=11=12\cdot0+11$ では $\nu_2=\nu_3=0$、$\mu=12$ で、種数は $1+1-0-0-1=1$ である。$p=13=12\cdot1+1$ では $\nu_2=\nu_3=2$、$\mu=14$ で、種数は $1+\frac{14}{12}-\frac12-\frac23-1=0$ である。$X_0(11)$ は種数 $1$ で、有理数体上に定義された尖点を 2 つもつので、その 1 つを原点として有理数体上の楕円曲線になる(Sil09 付録 C §13、p. 442)。
$N=2,3$ では素数の場合の計算がそのまま使え、$\Gamma_0(2)$ は $(\mu,\nu_2,\nu_3,\nu_\infty)=(3,1,0,2)$、$\Gamma_0(3)$ は $(4,0,1,2)$ である($p=2$ では $\lambda^2=-1$ の解は $\lambda=1$ だけ、$\lambda^2-\lambda+1=0$ は $\mathbb{F}_2$ で解をもたない。$p=3$ では $\lambda^2=-1$ は解をもたず、$\lambda^2-\lambda+1=(\lambda+1)^2$ は解 $\lambda=2$ を 1 つもつ)。どちらも種数は $0$ である。
$X_0(N)$ の関数体は $\mathbb{C}(j(\tau),j(N\tau))$ であり(Mil21 Theorem V.2.3、p. 184)、$j$ と $j_N(\tau):=j(N\tau)$ の満たす多項式 $F_N(X,Y)$ は有理数係数である(同 Proposition V.2.4、p. 185)。曲線 $F_N=0$ の特異点を解消した非特異射影曲線として、$X_0(N)$ は有理数体上の曲線に自然になる(同 p. 186、Sil09 Theorem C.13.1 (a)、p. 441)。このモデルの点 $\tau\in Y_0(N)$ で、その座標が生成する体を $K$ とすると、$\tau$ に対応する組 $(E,C)$ の同型類には、$E$ が $K$ 上定義され $C$ が $\operatorname{Gal}(\bar K/K)$ で保たれるものがある(同 Theorem C.13.1 (a))。この記事ではこれらを証明しない。
$E$ を有理数体上の楕円曲線、$N$ をその導手とする。有理数体上で定義された全射 $X_0(N)\to E$ が存在する。
この記事では証明しない(Sil09 Theorem C.13.6、p. 442)。半安定な曲線の場合を Wiles が Taylor の助けを得て証明し、Breuil・Conrad・Diamond・Taylor がすべての曲線に広げた(Mil21 pp. 209–210、Sil09 p. 443)。予想の源は、谷山豊(Yutaka Taniyama)が 1955 年の東京・日光での代数的整数論の会議で配った問題と、志村五郎(Goro Shimura)がすべての有理数体上の楕円曲線はモジュラーだと予想したことにある(Mil21 p. 209、Sil09 Remark C.13.6.1、p. 443)。モジュラー性から楕円曲線の L 関数の解析接続と関数等式が出る(楕円曲線のL関数)。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 尖点を加える | $Y_0(1)=\operatorname{SL}_2(\mathbb{Z})\backslash\mathfrak{H}$ | コンパクトであること |
| $\gamma$ の左下の成分が $N$ で割れる | $N=5$、$\gamma=S$ | 同型 $E_{\gamma\tau}\to E_\tau$ が巡回部分群を保つこと |
| 楕円点を数える($\nu_2,\nu_3$) | $\Gamma_0(13)$ で $\nu_2=\nu_3=0$ とした計算 | 種数が整数であること |
1 行目:$j$ は $Y_0(1)$ から $\mathbb{C}$ への全単射で、$\mathbb{C}$ はコンパクトでない。2 行目:$S$ は $c=1$、$d=0$ で $\Lambda_\tau=\tau\Lambda_{S\tau}$ を与え、prf-modular-curve-moduli の同型 $z\mapsto\tau z$ は $1/5$ を $\tau/5$ に移す。$\tau/5$ は $\langle1/5+\Lambda_\tau\rangle$ に入らないので、この同型は $C_{S\tau}$ を $C_\tau$ に移さない。3 行目:$1+\frac{14}{12}-\frac22=\frac76$ は整数でない。
注意を 2 つ挙げる。
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