変分法の直接法

同義語:direct method in the calculus of variations直接法(変分法)Tonelliの直接法

概要

変分法の直接法(direct method in the calculus of variations)とは、汎関数の最小化列から収束する部分列を取り出し、下半連続性によって極限が最小点であることを示す方法である。反射的な Banach 空間では、空でない閉凸集合の上の凸で下半連続な強圧的汎関数は最小値をとる。有界な最小化列が弱収束する部分列をもち、凸関数が弱下半連続であることによる。Euler–Lagrange 方程式を解かずに最小点の存在を示す方法で、強圧性・下半連続性・凸性・閉性・反射性のどれか 1 つを外すと、下限が有限でも最小値をとらない例がある。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 変分法, 反射的Banach空間, 半連続性, 弱収束(Banach空間)

変分法の直接法(direct method in the calculus of variations)は、汎関数の最小点が存在することを、Euler–Lagrange 方程式を解くことによらずに直接示す方法である。値が下限に近づく点列(最小化列)をとり、そこから収束する部分列を取り出し、その極限が最小点になることを確かめる。Tonelli の直接法とも呼ばれる。
この方法がうまくいくには、相反する 2 つの性質が同時に要る。部分列が収束するには、弱い位相(収束しやすい位相)が都合がよい。一方、極限で値が上に跳ねないこと(下半連続性)は、強い位相ほど成り立ちやすい。反射的な Banach 空間の弱位相と、凸な汎関数の組み合わせは、この 2 つを両立させる典型である。
この記事では、まず位相空間での抽象的な形を述べて証明し、次に反射的な Banach 空間での形(主定理)を証明する。応用として、凸でない汎関数でも直接法が使える 1 次元の例を扱う。最後に、主定理の仮定を 1 つずつ外した反例を挙げる。その中には、凸性を外すと下限がとられない Bolza の例が含まれる。

抽象的な形

$X$ を位相空間、$\Phi\colon X\to(-\infty,+\infty]$ を関数とする。$m:=\inf_X\Phi\in[-\infty,+\infty]$ について、$\Phi(x_k)\to m$ となる点列 $(x_k)$ を 最小化列 という。$X$ の点列 $x_k\to x$ について $\Phi(x)\le\liminf_{k\to\infty}\Phi(x_k)$ がつねに成り立つとき、$\Phi$ は 点列下半連続 であるという。下半連続な関数は点列下半連続である(半連続性 の命題「ネットによる特徴づけ」)。

直接法の抽象的な形

$\Phi\colon X\to(-\infty,+\infty]$ が点列下半連続であり、ある実数 $c$ について、集合 $S_c:=\{x\in X\mid\Phi(x)\le c\}$ が空でなく、$S_c$ の中の任意の点列が $X$ の中で収束する部分列をもつとする。このとき $\Phi$ は $X$ の上で最小値をとる。

$S_c$ の外の点では $\Phi>c$ であり、$S_c$ の点の値は $c$ 以下なので、$m:=\inf_X\Phi=\inf_{S_c}\Phi\le c$ である。$x_k\in S_c$ を $\Phi(x_k)\to m$ となるようにとる($m=-\infty$ なら $\Phi(x_k)\to-\infty$)。仮定から部分列 $x_{k_j}$ がある $x\in X$ に収束し、点列下半連続性から
$$ \Phi(x)\le\liminf_{j\to\infty}\Phi(x_{k_j})=m $$
である。$\Phi(x)>-\infty$ なので $m>-\infty$ であり、$\Phi(x)\ge m$ と合わせて $\Phi(x)=m$ となる。$\square$

仮定のうち「$S_c$ の点列が収束部分列をもつ」は、$\Phi$ の値が小さい点が「遠くへ逃げない」ことと、その範囲で位相がコンパクト性を与えることを合わせたものである。位相を弱くすると収束部分列はとりやすくなるが、点列下半連続性は成り立ちにくくなる。

反射的な Banach 空間での直接法

以下、$E$ を実数体上の Banach 空間とする。$A\subset E$ と $\Phi\colon A\to(-\infty,+\infty]$ について、$x\in A$、$\|x\|\to\infty$ のとき $\Phi(x)\to+\infty$ となることを 強圧性 という($A$ が有界なら条件はないものとする)。双線形形式の強圧性(強圧的双線形形式)とは別の条件だが、強圧的な形式 $a$ について $v\mapsto a(v,v)$ はこの意味で強圧的である。

反射的な空間での直接法

$E$ を反射的な Banach 空間、$A\subset E$ を空でない閉凸集合とし、$\Phi\colon A\to(-\infty,+\infty]$ が凸で、ノルムの位相で下半連続であり、恒等的に $+\infty$ ではなく、強圧的であるとする。このとき $\Phi$ は $A$ の上で最小値をとる。さらに $\Phi$ が狭義凸($x\ne y$、$\Phi(x),\Phi(y)< \infty$、$0< t<1$ なら $\Phi(tx+(1-t)y)< t\Phi(x)+(1-t)\Phi(y)$)なら、最小点はただ 1 つである。

$\Phi$ を $A$ の外で $+\infty$ と定めて $E$ 上の関数 $\tilde\Phi$ に延ばす。$A$ が凸なので $\tilde\Phi$ は凸である。各 $\lambda\in\mathbb{R}$ について $\{\tilde\Phi\le\lambda\}=\{x\in A\mid\Phi(x)\le\lambda\}$ は $A$ の閉集合で、$A$ は $E$ で閉じているので $E$ の閉集合でもある。よって $\tilde\Phi$ はノルムの位相で下半連続である(半連続性 の命題「開集合・閉集合による特徴づけ」)。
$E$ に弱位相を入れ、thm-dm-abstract を $\tilde\Phi$ に当てる。

  • 点列下半連続性:$\tilde\Phi$ は凸でノルムの位相で下半連続なので、弱下半連続であり、とくに $x_k\rightharpoonup x$ なら $\tilde\Phi(x)\le\liminf\tilde\Phi(x_k)$ である(Mazurの補題 の系「凸関数の弱下半連続性」)。
  • 部分列:$\Phi(a)< \infty$ となる $a\in A$ をとり、$c:=\Phi(a)$ とおく。$S_c=\{\tilde\Phi\le c\}$ は $a$ を含み、強圧性から有界である(有界でなければ $\|x_k\|\to\infty$ となる $x_k\in S_c$ がとれ、$\Phi(x_k)\to+\infty$ となって $\Phi(x_k)\le c$ に反する)。反射的な空間の有界な点列は弱収束する部分列をもつ(反射的Banach空間 の定理「有界列の弱収束部分列」)。
    thm-dm-abstract により $\tilde\Phi$ は最小値をとる。その値は $\Phi(a)< \infty$ 以下なので、最小点は $A$ に属し、$\Phi$ の $A$ 上の最小点である。
    一意性:$x\ne y$ がともに最小点で最小値が $m$ なら、狭義凸性から $\Phi\bigl(\frac{x+y}2\bigr)< m$ となり、$\frac{x+y}2\in A$ なので矛盾する。$\square$

この証明では、最小化列の極限が $A$ に入ることを別に示す必要がない。$\tilde\Phi$ を使ったので、極限で $\tilde\Phi$ が有限であることから自動的に $A$ に入る。ここで $A$ の閉性と凸性が、$\tilde\Phi$ の下半連続性と凸性として効いている(ノルムで閉じた凸集合は弱閉である:Mazurの補題 の定理「凸集合の強閉と弱閉」)。

線形の制約のもとでの最小ノルム

$H$ を実 Hilbert 空間、$B\subset H$ を閉部分空間、$b\in H$ とする。$A:=b+B$ は空でない閉凸集合で、$\Phi(x):=\|x\|^2$ は連続・狭義凸・強圧的である。$H$ は反射的なので(反射的Banach空間 の命題「Hilbert 空間は反射的」)、thm-dm-reflexive から $A$ の中にノルムが最小の元 $x_0$ がただ 1 つある。$x_0$ は $b$ から $B$ への直交射影を $P_Bb$ として $x_0=b-P_Bb$ であり、$B$ と直交する(Hilbert空間 の定理「直交射影と直交分解」)。$B$ が閉でないと、最小点は存在しないことがある(ex-dm-counter の 2 行目)。

対称な強圧的形式のエネルギー

$H$ を実 Hilbert 空間、$a$ を有界で強圧的な対称双線形形式、$\varphi$ を連続線形汎関数とし、$E(v):=\frac12a(v,v)-\varphi(v)$ とおく。$E$ は連続で、$a(w,w)\ge0$ から凸であり、$E(v)\ge\frac\alpha2\|v\|^2-\|\varphi\|\,\|v\|$ なので強圧的である。thm-dm-reflexive から最小点が存在し、それは方程式「すべての $v$ で $a(u,v)=\varphi(v)$」の解である(強圧的双線形形式 の命題「方程式とエネルギー最小化」)。区間上の具体例は 変分法 の命題「1 次元の Dirichlet の原理」にある。

凸でない汎関数への応用

直接法の要は弱下半連続性であり、汎関数全体が凸である必要はない。微分の最高階の部分が凸で、低階の部分がコンパクト性で制御できれば十分である。1 次元で、その典型を示す。
$H:=H^1_0(0,1)$(1次元Sobolev空間 の定義「零境界の空間」)に内積 $\langle u,v\rangle_H:=\int_0^1u'v'\,dx$ を入れる。各 $v\in H$ は連続な代表をもち、$v(0)=0$ なので $v(x)=\int_0^xv'(t)\,dt$ である(同記事の定理「連続な代表」「零境界の空間の特徴づけ」)。Cauchy–Schwarz の不等式から
$$ |v(x)|\le\|v\|_H\quad(0\le x\le1),\qquad\|v\|_{L^2}\le\|v\|_H $$
である。とくに $\|v\|_H$ は $H^1$ ノルムと同値なので、$H$ はこの内積で Hilbert 空間であり、反射的である。

1 次元の凸でない汎関数の最小点

$G\colon\mathbb{R}\to[0,\infty)$ を連続関数、$f\in L^2(0,1)$ とし、
$$ J(v):=\int_0^1\Bigl(\frac12v'(x)^2+G\bigl(v(x)\bigr)-f(x)v(x)\Bigr)\,dx\qquad(v\in H) $$
とおく。このとき $J$ は $H$ の上で最小値をとる。

$v\in H$ は有界な連続関数なので $G(v)$ も有界な連続関数であり、$J(v)$ は有限である。弱位相について thm-dm-abstract の仮定を確かめる。
強圧性と部分列:$G\ge0$ と $\bigl|\int fv\bigr|\le\|f\|_{L^2}\|v\|_{L^2}\le\|f\|_{L^2}\|v\|_H$ から
$$ J(v)\ge\frac12\|v\|_H^2-\|f\|_{L^2}\|v\|_H $$
なので、$S_c:=\{J\le c\}$($c:=J(0)=\int_0^1G(0)\,dx$)は $0$ を含む有界集合である。$H$ は反射的なので、$S_c$ の点列は弱収束する部分列をもつ(反射的Banach空間 の定理「有界列の弱収束部分列」)。
点列下半連続性:$v_k\rightharpoonup v$ とする。弱収束する列はノルム有界であり、$\|v\|_H\le\liminf\|v_k\|_H$ である(弱収束(Banach空間) の節「定義と基本性質」)。$R:=\sup_k\|v_k\|_H< \infty$ とおく。

  1. 各 $x\in[0,1]$ について、$w\mapsto w(x)$ は $|w(x)|\le\|w\|_H$ を満たす連続線形汎関数なので、$v_k(x)\to v(x)$ である。$|v_k(x)|\le R$ なので $0\le G(v_k(x))\le\max_{[-R,R]}G$ であり、$G$ の連続性と 優収束定理 の定理「優収束定理」から $\int_0^1G(v_k)\,dx\to\int_0^1G(v)\,dx$ である。
  2. $w\mapsto\int_0^1fw\,dx$ は連続線形汎関数なので、$\int_0^1fv_k\,dx\to\int_0^1fv\,dx$ である。
  3. $\frac12\int_0^1v'^2\,dx=\frac12\|v\|_H^2\le\liminf\frac12\|v_k\|_H^2$ である。
    3 項を合わせて $J(v)\le\liminf J(v_k)$ を得る。thm-dm-abstract により $J$ は最小値をとる。$\square$

$G$ が凸でなければ $J$ は凸とは限らず、最小点は一意とは限らない。たとえば $G(t)=5(t^2-1)^2$、$f=0$ とし、$\varphi(x):=\sin\pi x$ とおくと、$\dfrac{d^2}{dt^2}J(t\varphi)\Big|_{t=0}=\int_0^1\varphi'^2\,dx-20\int_0^1\varphi^2\,dx=\dfrac{\pi^2}2-10<0$ なので、$0$ は最小点でなく、$J$ は凸でない。$J(-v)=J(v)$ なので、最小点 $u\ne0$ があれば $-u$ も別の最小点である。一方 $G(t)=(t^2-1)^2$ では、$J(v)=\bigl(\frac12\|v\|_H^2-2\|v\|_{L^2}^2\bigr)+\int_0^1(v^4+1)\,dx-\int_0^1fv\,dx$ と書け、区間での Poincaré の不等式 $\|v\|_{L^2}^2\le\pi^{-2}\|v\|_H^2$ により第 1 項が凸なので、$J$ は凸である。$\frac12\int v'^2$ の項が凸であることは 3 で、低階の項 $G(v)$ が凸でなくてよいのは 1 で、$v_k(x)\to v(x)$ という各点の収束(1 次元の Sobolev 空間のコンパクト性の現れ)を使ったからである。

最小点の満たす方程式

thm-dm-nonconvex でさらに $G$ が $C^1$ 級なら、最小点 $u$ は
$$ \int_0^1\bigl(u'\varphi'+G'(u)\varphi-f\varphi\bigr)\,dx=0\qquad(\varphi\in C_c^\infty((0,1))) $$
を満たす。$t\mapsto J(u+t\varphi)$ は $t=0$ で最小であり、積分記号の下で微分できるからである($u+t\varphi$ の値は $|t|\le1$ で有界な区間に入り、そこで $G'$ は有界)。$g:=G'(u)-f\in L^2(0,1)$ の原始関数 $\Gamma(x):=\int_0^xg(t)\,dt$ について $\int_0^1g\varphi\,dx=-\int_0^1\Gamma\varphi'\,dx$ なので(Bre11 Lemma 8.2、p. 205)、$\int_0^1(u'-\Gamma)\varphi'\,dx=0$ となり、変分法の基本補題 の定理「du Bois-Reymond の補題」から $u'=\Gamma+C$ がほとんど至る所成り立つ。とくに $f$ が連続なら $u$ は $C^2$ 級で、$u''=G'(u)-f$ を古典的な意味で満たす。

仮定を外すと成り立たなくなること

thm-dm-reflexive の仮定を 1 つずつ外した反例を挙げる。どの行でも、外した条件以外の仮定は満たされ、下限が有限なのに最小値がとられない。

外す条件反例成り立たなくなること
強圧性$E=A=\mathbb{R}$、$\Phi(x)=e^x$最小値をとる
$A$ が閉$E=\ell^2$、$A=b+T(\ell^2)$($(Tx)_k=x_k/k$、$b=(1/k)_k$)、$\Phi(x)=\Vert x\Vert$最小値をとる
$\Phi$ の下半連続性$E=A=\mathbb{R}$、$\Phi(0)=1$、$x>0$ で $\Phi(x)=x$、$x<0$ で $\Phi(x)=+\infty$最小値をとる
$\Phi$ の凸性$E=A=W^{1,4}_0(0,1)$、$\Phi(u)=\int_0^1\bigl((u'^2-1)^2+u^2\bigr)dx$(Bolza の例)最小値をとる
$E$ の反射性$E=\ell^1$、$A=\{x\mid\sum_kx_k=1\}$、$\Phi(x)=\sum_k(1+\frac1k)\vert x_k\vert$最小値をとる
表の反例の確かめ

1 行目:$e^x>0$ で、$x\to-\infty$ で $0$ に近づく。
2 行目:$A$ は空でない凸集合(平行移動した部分空間)で、$\Phi$ は連続・凸・強圧的である。有限個の成分だけが $0$ でない数列は $T(\ell^2)$ に入るので、$b$ の第 $N$ 成分までを消した $y_N:=(0,\dots,0,\frac1{N+1},\frac1{N+2},\dots)$ は $A$ に属し、$\|y_N\|\to0$ である。よって下限は $0$ である。しかし $0\in A$ なら $-b=Tx$ となる $x\in\ell^2$ があり、$x_k=-1$(すべての $k$)となって矛盾する。$A$ は閉じていない。
3 行目:$\Phi$ は凸で強圧的である($x\to-\infty$ では $+\infty$、$x\to+\infty$ では $x$)。下限は $0$ だが、$\Phi(x)>0$ がすべての $x$ で成り立つ。$x\to0^+$ で $\Phi(x)\to0<1=\Phi(0)$ なので、$0$ で下半連続でない。
4 行目:ノルムを $\|u'\|_{L^4}$ とする。Poincaréの不等式 の定理「幅が有限な領域でのPoincaréの不等式」($p=4$)から $\|u\|_{L^4}\le\|u'\|_{L^4}$ なので、これは $W^{1,4}$ ノルムと同値である。$W^{1,4}(0,1)$ は反射的で(Bre11 Proposition 8.1、pp. 203–204)、その閉部分空間 $W^{1,4}_0(0,1)$ も反射的である(反射的Banach空間 の定理「閉部分空間の反射性」)。$\|u\|_{L^2}\le\|u\|_{L^4}\le\|u'\|_{L^4}$ と $\int u'^2\le\|u'\|_{L^4}^2$ から $\Phi$ は連続で、$\Phi(u)\ge\|u'\|_{L^4}^4-2\|u'\|_{L^4}^2$ なので強圧的である。下限は $0$ で、とられない。もし $\Phi$ が凸なら thm-dm-reflexive から最小値をとるはずなので、$\Phi$ は凸でない。

詳細

$u_k(x)$ を $x$ から最も近い $j/k$($j$ は整数)までの距離とすると、$u_k$ はのこぎり歯の形の Lipschitz 関数で、$u_k(0)=u_k(1)=0$、ほとんど至る所 $|u_k'|=1$、$0\le u_k\le\frac1{2k}$ である。1次元Sobolev空間 の系「Lipschitz 連続な関数」と定理「零境界の空間の特徴づけ」から $u_k\in W^{1,4}_0(0,1)$ で、$\Phi(u_k)=\int_0^1u_k^2\,dx\le\frac1{4k^2}\to0$ である。逆に $\Phi(u)=0$ なら $\int u^2=0$ からほとんど至る所 $u=0$ で、弱微分の一意性から $u'=0$ となり、$\Phi(u)=\int_0^1(0-1)^2\,dx=1$ となって矛盾する。


5 行目:$\ell^1$ は反射的でない(反射的Banach空間 の例「$c_0$・$\ell^1$・$L^1[0,1]$ は反射的でない」)。$A$ は連続線形汎関数 $x\mapsto\sum_kx_k$ の等位集合なので閉凸で、$\Phi$ は凸・連続で $\Phi(x)\ge\|x\|_1$ から強圧的である。標準基底 $e_k\in A$ について $\Phi(e_k)=1+\frac1k\to1$ である。一方 $x\in A$ なら $x\ne0$ で、$\Phi(x)>\sum_k|x_k|\ge\sum_kx_k=1$ である。よって下限 $1$ はとられない。

$C^1([a,b])$ の中で汎関数を最小にしようとすると、強圧性が成り立つノルムで空間が反射的にならないことが多い。変分法 の例「Weierstrass の例:下限がとられない」はその典型で、最小化列の $C^1$ ノルムが有界にならない。直接法では、汎関数が強圧的になるノルムで完備かつ反射的な空間(Sobolev 空間など)を選んで最小点を求め、そのあとで最小点の滑らかさを調べる(rem-dm-euler)。

補足

文献

反射的な空間での直接法は Bre11 Corollary 3.23(p. 71)である。そこでは劣位集合 $\{\Phi\le\Phi(a)\}$ の弱コンパクト性を使っており、この記事の点列による証明とは道筋が異なる。凸関数の弱下半連続性は Corollary 3.9(p. 61)、有界列の弱収束部分列は Theorem 3.18(p. 69)にある。

関連項目

参考文献

[1]
Haim Brezis, Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations, Springer, 2011, Corollary 3.9(p. 61)、Theorem 3.18(p. 69)、Corollary 3.23(p. 71)、Proposition 8.1(pp. 203–204)、Lemma 8.2(p. 205)

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