De Giorgi–Nash–Moserの定理(De Giorgi–Nash–Moser theorem)とは、係数が有界可測で一様楕円型の発散形の方程式 $\operatorname{div}(A(x)\nabla u)=0$ の弱解 $u\in H^1_{\mathrm{loc}}$ が局所的に Hölder 連続になるという定理であり、指数と評価の定数は次元と楕円性の定数だけで決まる。De Giorgi の証明では、Caccioppoli の不等式と Sobolev の不等式を水準を上げながら繰り返して $L^2$ ノルムから $L^\infty$ ノルムが抑えられ、等周型の補題から振動が一定の割合で減っていく。Hilbert の第 19 問題を解決した定理で、非負の解については Moser の Harnack の不等式が続く。
前提知識: Sobolev空間, Sobolevの不等式, Sobolev空間の連鎖律, Harnackの不等式
De Giorgi–Nash–Moserの定理(De Giorgi–Nash–Moser theorem)とは、発散形の線形楕円型方程式
$$
\operatorname{div}(A(x)\nabla u)=\sum_{i,j=1}^n\partial_i\bigl(a_{ij}(x)\partial_ju\bigr)=0
$$
の弱解が、係数 $a_{ij}$ が有界可測で一様楕円型であるという仮定だけから、局所的に Hölder 連続になるという定理である。Hölder 指数と評価の定数は、次元 $n$ と楕円性の 2 つの定数だけで決まり、係数の連続性や滑らかさにはまったくよらない。
それ以前の楕円型方程式の正則性理論(Schauder 評価など)は、係数が連続であることを使い、解を拡大すると方程式が定数係数の方程式に近づく、という摂動の考え方に立っていた。係数が不連続なら拡大しても方程式は良くならないので、この考え方は使えない。1957 年に Ennio De Giorgi が、ほぼ同時に John Nash が独立にこの定理を証明し、これによって変分問題の最小化元の滑らかさを問う Hilbert の第 19 問題が解決された。その後 Jürgen Moser が冪を試験関数に使う別の証明を与え、1961 年には非負の解に対する Harnack の不等式を示した(FRRO22 §3.1、Remark 3.12、Remark 3.18)。
この記事では、De Giorgi の方法による完全な証明を与える。証明は 2 段に分かれる。第 1 段で、エネルギーの評価(Caccioppoli の不等式)と Sobolev の不等式を水準を上げながら繰り返し使い、$L^2$ ノルムから $L^\infty$ ノルムを評価する。第 2 段で、解の値が上限から離れる点の集合が正の測度をもてば、小さい球の上で上限そのものが下がることを示し、振動が一定の割合で減ることから Hölder 連続性を導く。
$\Omega\subset\mathbb R^n$ を開集合、$B_r(x_0)$ を中心 $x_0$・半径 $r$ の開球とし、$B_r:=B_r(0)$ と書く。$|E|$ は Lebesgue 測度である。
$A=(a_{ij})\colon\Omega\to\mathbb R^{n\times n}$ を可測な行列値関数とし、定数 $0<\lambda\le\Lambda$ について、ほとんどすべての $x\in\Omega$ とすべての $\xi\in\mathbb R^n$ で
$$
\lambda|\xi|^2\le\xi\cdot A(x)\xi,\qquad|A(x)\xi|\le\Lambda|\xi|
$$
が成り立つとき、$A$ を 楕円性の定数 $\lambda,\Lambda$ をもつ一様楕円型の有界可測係数 という。$A(x)$ は対称でなくてよい。
$B$ を開球とし、$A$ を $B$ の上の一様楕円型の有界可測係数とする。$u\in H^1(B)$ が $B$ で $\operatorname{div}(A\nabla u)=0$ の 弱解 であるとは、すべての $\varphi\in H^1_0(B)$ について
$$
\int_BA\nabla u\cdot\nabla\varphi\,dx=0
$$
が成り立つことをいう。$\varphi\ge0$ ほとんど至る所となるすべての $\varphi\in H^1_0(B)$ について左辺が $\le0$ になるとき、$u$ を 劣解 という($\operatorname{div}(A\nabla u)\ge0$ の弱い形)。開集合 $\Omega$ の上では、$u\in H^1_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ がすべての $\varphi\in C_c^\infty(\Omega)$ について上の等式を満たすとき弱解という。
$u\in H^1_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ が $\Omega$ の上の弱解で、開球 $B$ の閉包が $\Omega$ に含まれるなら、$u|_B\in H^1(B)$、$A\nabla u\in L^2(B)$ であり、$C_c^\infty(B)$ は $H^1_0(B)$ で稠密なので、$u|_B$ は $B$ の上の弱解である。弱解 $u$ について $u$ と $-u$ はともに劣解であり、劣解 $u$ と定数 $c>0$、$d\in\mathbb R$ について $cu+d$ も劣解である。また $v(y):=u(x_0+ry)$ は、係数 $A(x_0+ry)$(楕円性の定数は同じ)について $B_1$ の上の弱解(劣解)になる。この 拡大縮小の不変性 により、評価は単位球で示せばよい。
$n\ge1$ とし、$A$ を $\Omega$ の上の楕円性の定数 $\lambda,\Lambda$ をもつ一様楕円型の有界可測係数、$u\in H^1_{\mathrm{loc}}(\Omega)$ を $\operatorname{div}(A\nabla u)=0$ の弱解とする。このとき $u$ は $\Omega$ の上で連続な代表元をもち、$n,\lambda,\Lambda$ だけで決まる定数 $\alpha\in(0,1)$ と $C>0$ があって、閉包が $\Omega$ に含まれるすべての球 $B_R(x_0)$ と $x,y\in B_{R/2}(x_0)$ について
$$
|u(x)|\le CR^{-n/2}\|u\|_{L^2(B_R(x_0))},\qquad|u(x)-u(y)|\le CR^{-n/2}\|u\|_{L^2(B_R(x_0))}\Bigl(\frac{|x-y|}{R}\Bigr)^{\alpha}
$$
が成り立つ。
係数が滑らかなら、弱解は滑らかである(楕円正則性)。この定理は、係数について一様楕円性と有界可測性しか仮定しないときに、何が残るかを答える。結論は連続性(Hölder 連続性)までであり、それより強い正則性は一般には出ない(ex-dgnm-lipschitz-only)。応用上の要点は、定数が係数の具体的な形によらないことである。たとえば変分問題 $\int L(\nabla u)\,dx$($L$ は一様凸で滑らか)の最小化元 $u$ について、方程式 $\operatorname{div}(DL(\nabla u))=0$ を方向 $e$ に微分すると、偏導関数 $v=\partial_eu$ は係数 $A(x)=D^2L(\nabla u(x))$ について $\operatorname{div}(A\nabla v)=0$ を満たす(厳密には差分商で同じことを行う)。この $A$ は一様楕円型だが、$u$ が $C^1$ 級と分かるまでは連続とは限らない。この定理から $\nabla u$ が Hölder 連続になり、あとは Schauder 評価で $u$ が滑らかになる(FRRO22 §3.4、pp. 94–95)。
$n=1$、$\Omega=(-1,1)$ とし、$a(x)=1$($x<0$)、$a(x)=2$($x\ge0$)とする。$u(x)=x$($x<0$)、$u(x)=x/2$($x\ge0$)とおくと、$a(x)u'(x)=1$ は定数なので、$\varphi\in C_c^\infty(\Omega)$ について $\int au'\varphi'\,dx=\int\varphi'\,dx=0$ であり、$u$ は $(au')'=0$ の弱解である。$u$ は Lipschitz 連続だが原点で微分可能でない。係数の跳びが解の導関数の跳びになる。
非負の解については、さらに Harnack の不等式が成り立つ。Moser は、非負の弱解 $u$ について $B_R(x_0)$ の閉包が $\Omega$ に含まれるとき $\sup_{B_{R/2}(x_0)}u\le C\inf_{B_{R/2}(x_0)}u$($C$ は $n,\lambda,\Lambda$ だけで決まる)を示した。Laplace 作用素の場合の Harnack の不等式(Harnackの不等式)の一般化であり、この記事では証明しない(文献は FRRO22 Remark 3.18 に挙げられている)。
以下の証明では、$n\ge3$ を仮定する($n\le2$ は最後に変数を足して帰着させる)。$2^*:=2n/(n-2)$ とし、Sobolevの不等式 の定理「Gagliardo--Nirenberg--Sobolev不等式」の $p=2$ の場合を
$$
\|f\|_{L^{2^*}(\mathbb R^n)}\le S_n\|\nabla f\|_{L^2(\mathbb R^n)}\qquad(f\in H^1(\mathbb R^n))
$$
の形で使う。$H^1(B)$ の関数で台が $B$ の中のコンパクト集合に含まれるものは、$B$ の外で $0$ とおけば $H^1(\mathbb R^n)$ の元である。
$u\in H^1(B)$ を開球 $B$ の上の劣解、$k\in\mathbb R$、$w:=(u-k)^+$ とする。$\eta\in C_c^\infty(B)$ について
$$
\int_B|\nabla(\eta w)|^2\,dx\le C_1\int_Bw^2|\nabla\eta|^2\,dx,\qquad C_1:=2+\frac{8\Lambda^2}{\lambda^2}
$$
が成り立つ。
Sobolev空間の連鎖律 の定理「正部分と絶対値の弱勾配」により $w\in H^1(B)$、$\nabla w=\mathbf 1_{\{u>k\}}\nabla u$ である。$\varphi:=\eta^2w$ はコンパクトな台をもつ $H^1(B)$ の非負の元なので $H^1_0(B)$ に属し、$\nabla\varphi=\eta^2\nabla w+2\eta w\nabla\eta$ である。$\{u\le k\}$ の上では $w=0$、$\nabla w=0$ であり、$\{u>k\}$ の上では $\nabla u=\nabla w$ なので、ほとんど至る所 $A\nabla u\cdot\nabla\varphi=\eta^2A\nabla w\cdot\nabla w+2\eta wA\nabla w\cdot\nabla\eta$ となる。劣解の定義から
$$
\lambda\int\eta^2|\nabla w|^2\le\int\eta^2A\nabla w\cdot\nabla w\le-2\int\eta w\,A\nabla w\cdot\nabla\eta\le2\Lambda\int|\eta||\nabla w|\,w|\nabla\eta|.
$$
右辺を $ab\le\frac\lambda{4\Lambda}a^2+\frac\Lambda\lambda b^2$($a=|\eta||\nabla w|$、$b=w|\nabla\eta|$)で抑えると $\frac\lambda2\int\eta^2|\nabla w|^2\le\frac{2\Lambda^2}\lambda\int w^2|\nabla\eta|^2$ となる。$|\nabla(\eta w)|^2\le2\eta^2|\nabla w|^2+2w^2|\nabla\eta|^2$ と合わせて主張を得る。$\square$
この不等式は「逆向きの Poincaré の不等式」である。Poincaré の不等式は関数を勾配で抑えるが、ここでは劣解であることを使って、勾配を関数自身で抑えている。
$C\ge1$、$b>1$、$\varepsilon>0$ とし、非負の数列 $(Y_k)$ が $Y_{k+1}\le Cb^kY_k^{1+\varepsilon}$($k\ge0$)を満たすとする。$Y_0\le C^{-1/\varepsilon}b^{-1/\varepsilon^2}$ なら、すべての $k$ で $Y_k\le b^{-k/\varepsilon}Y_0$ であり、とくに $Y_k\to0$ である。
$k$ についての帰納法による。$Y_k\le b^{-k/\varepsilon}Y_0$ なら
$$
Y_{k+1}\le Cb^k\bigl(b^{-k/\varepsilon}Y_0\bigr)^{1+\varepsilon}=b^{-k/\varepsilon}\cdot CY_0^\varepsilon\cdot Y_0\le b^{-k/\varepsilon}b^{-1/\varepsilon}Y_0
$$
である。最後に $CY_0^\varepsilon\le b^{-1/\varepsilon}$ を使った。$\square$
$n\ge3$ とする。$n,\lambda,\Lambda$ だけで決まる $\delta_0>0$ があって、$u\in H^1(B_1)$ が $B_1$ の上の劣解で $\int_{B_1}(u^+)^2\,dx\le\delta_0$ を満たすなら、$B_{1/2}$ の上でほとんど至る所 $u\le1$ である。
要点:水準 $1-2^{-k}$ と半径 $\frac12+2^{-k-1}$ を同時に $1$ と $\frac12$ に近づけ、切り落とした関数の $L^2$ ノルム $V_k$ が、Caccioppoli・Sobolev・Hölder・Chebyshev の不等式で $V_{k+1}\le C_2\,16^kV_k^{1+2/n}$ を満たすことを示して、lem-dgnm-iteration を当てる。
$r_k:=\frac12+2^{-k-1}$、$w_k:=(u-(1-2^{-k}))^+$($k\ge0$)とおく。$r_0=1$、$w_0=u^+$ であり、$w_{k+1}\le w_k$ である。$k\ge1$ について $\eta_k\in C_c^\infty(B_{r_{k-1}})$ を、$0\le\eta_k\le1$、$B_{r_k}$ の上で $\eta_k=1$、$|\nabla\eta_k|\le2^{k+3}$ となるようにとる($r_{k-1}-r_k=2^{-k-1}$)。$V_0:=\int_{B_1}w_0^2$、$V_k:=\int_{B_1}(\eta_kw_k)^2$($k\ge1$)とおく。どの $k\ge0$ でも $B_{r_k}$ の上の $w_k^2$ の積分は $V_k$ 以下である。
$k\ge0$ を固定する。$\eta_{k+1}$ の台は $B_{r_k}$ に含まれるので、lem-dgnm-caccioppoli から $$\int|\nabla(\eta_{k+1}w_{k+1})|^2\le C_1\,4^{k+4}\int_{B_{r_k}}w_{k+1}^2\le C_1\,4^{k+4}V_k$$ である。Sobolev の不等式により $\|\eta_{k+1}w_{k+1}\|_{L^{2^*}}^2\le S_n^2C_1\,4^{k+4}V_k$。$G:=\{\eta_{k+1}w_{k+1}>0\}$ とおくと、Hölder の不等式(指数 $2^*/2$ とその共役、$1-2/2^*=2/n$)から $V_{k+1}\le\|\eta_{k+1}w_{k+1}\|_{L^{2^*}}^2|G|^{2/n}$ である。$G$ の点 $x$ では $x\in B_{r_k}$ かつ $u(x)>1-2^{-k-1}$ なので $w_k(x)>2^{-k-1}$ であり、Chebyshev の不等式から $|G|\le4^{k+1}V_k$ となる。まとめると $$V_{k+1}\le S_n^2C_1\,4^{k+4}V_k\,(4^{k+1}V_k)^{2/n}\le C_2\,16^kV_k^{1+2/n},\qquad C_2:=4^5S_n^2C_1$$ である($4^{(k+1)2/n}\le4^{k+1}$ を使った。$C_2\ge1$ としてよい)。
$\delta_0:=C_2^{-n/2}16^{-n^2/4}$ とおくと、$V_0=\int(u^+)^2\le\delta_0$ のとき lem-dgnm-iteration($\varepsilon=2/n$、$b=16$)により $V_k\to0$ である。$B_{1/2}\subset B_{r_k}$ の上では $\eta_k=1$、$(u-1)^+\le w_k$ なので $\int_{B_{1/2}}((u-1)^+)^2\le V_k\to0$、すなわち $B_{1/2}$ の上でほとんど至る所 $u\le1$ である。$\square$
$n\ge3$ とし、$C_3:=\delta_0^{-1/2}$ とおく。$u\in H^1(B_R(x_0))$ が劣解なら、$B_{R/2}(x_0)$ の上でほとんど至る所 $u\le C_3R^{-n/2}\|u^+\|_{L^2(B_R(x_0))}$ である。$u$ が弱解なら $|u|\le 2C_3R^{-n/2}\|u\|_{L^2(B_R(x_0))}$ である。
$v(y):=u(x_0+Ry)$ は $B_1$ の上の劣解で、$\|v^+\|_{L^2(B_1)}=R^{-n/2}\|u^+\|_{L^2(B_R(x_0))}$ である。$t:=\delta_0^{-1/2}\|v^+\|_{L^2(B_1)}>0$ なら $\int_{B_1}((v/t)^+)^2=\delta_0$ なので、$v/t$ に prop-dgnm-l2-linfty を当てて $B_{1/2}$ の上で $v\le t$ を得る($t=0$ なら、任意の $t'>0$ について $v/t'$ に当てて $v\le t'$)。$u$ に戻せば最初の主張である。弱解なら $-u$ にも当て、$\|u^\pm\|_{L^2}\le\|u\|_{L^2}$ を使う。$\square$
$w\in H^1(B_1)$、$\int_{B_1}|\nabla w|^2\le Q$ とし、$Z:=\{w\le0\}\cap B_1$、$T:=\{w\ge\frac12\}\cap B_1$、$E:=\{0< w<\frac12\}\cap B_1$ とおく。このとき
$$
|Z|\,|T|\le2^{n+3}|B_1|\,Q^{1/2}|E|^{1/2}
$$
が成り立つ。
要点:$w$ を $0$ と $\frac12$ で切り落とした関数は $Z$ で $0$、$T$ で $\frac12$ をとるので、$L^1$ の Poincaré–Wirtinger の不等式で $|Z||T|$ を勾配の積分で抑え、その勾配は $E$ の上にしかないので Cauchy–Schwarz の不等式で $|E|^{1/2}$ が出る。
$\bar w:=w^+-(w-\frac12)^+$ とおく。Sobolev空間の連鎖律 の定理「正部分と絶対値の弱勾配」と系「等位集合の上で勾配は 0」により $\bar w\in H^1(B_1)$、$\nabla\bar w=\mathbf 1_E\nabla w$ ほとんど至る所である。$\bar w=0$ が $Z$ の上、$\bar w=\frac12$ が $T$ の上で成り立つ。$m$ を $\bar w$ の $B_1$ での平均とすると $$\frac12|Z||T|=\int_Z\int_T|\bar w(x)-\bar w(y)|\,dy\,dx\le\int_{B_1}\int_{B_1}\bigl(|\bar w(x)-m|+|\bar w(y)-m|\bigr)dy\,dx=2|B_1|\int_{B_1}|\bar w-m|$$ である。$B_1$ は直径 $2$ の凸集合なので、Poincaré–Wirtingerの不等式 の定理「凸領域でのPoincaré–Wirtingerの不等式」($p=1$。$\bar w\in H^1(B_1)\subset W^{1,1}(B_1)$)から $$\int_{B_1}|\bar w-m|\le2^{n+1}\int_{B_1}|\nabla\bar w|=2^{n+1}\int_E|\nabla w|\le2^{n+1}|E|^{1/2}Q^{1/2}$$ となる。合わせて主張を得る。$\square$
$n\ge3$、$0<\mu\le1$ とする。$n,\lambda,\Lambda,\mu$ だけで決まる $\gamma\in(0,\frac14]$ があって、$u\in H^1(B_2)$ が $B_2$ の上の劣解で、$B_2$ の上でほとんど至る所 $u\le1$、かつ $|\{u\le0\}\cap B_1|\ge\mu|B_1|$ なら、$B_{1/2}$ の上でほとんど至る所 $u\le1-\gamma$ である。
要点:$w_k:=2^k(u-(1-2^{-k}))^+$ は $0\le w_k\le1$ を満たし、$\{0< w_k<\frac12\}$ は $k$ ごとに交わらない。$\int_{B_1}w_{k+1}^2$ が大きいあいだは lem-dgnm-isoperimetric によりこれらの集合が一定以上の測度をもつので、そうなる $k$ は有限個しかなく、小さくなった所で prop-dgnm-l2-linfty を当てる。
$\eta\in C_c^\infty(B_2)$ を $B_1$ の上で $1$、$|\nabla\eta|\le4$ となるようにとる。$w_k=2^k(u-c_k)^+$($c_k:=1-2^{-k}$)に lem-dgnm-caccioppoli を当てると、$0\le w_k\le1$ から $\int_{B_1}|\nabla w_k|^2\le16C_1|B_2|=:Q$ である。$Z_k:=\{w_k\le0\}\cap B_1$ は $\{u\le0\}\cap B_1$ を含むので $|Z_k|\ge\mu|B_1|$。$w_{k+1}=2(w_k-\frac12)^+$ なので $\{w_{k+1}>0\}=\{w_k>\frac12\}$ であり、$w_{k+1}\le1$ から $|T_k|\ge\int_{B_1}w_{k+1}^2$($T_k:=\{w_k\ge\frac12\}\cap B_1$)。$E_k:=\{0< w_k<\frac12\}\cap B_1=\{c_k< u< c_{k+1}\}\cap B_1$ は互いに交わらない。
$\int_{B_1}w_{k+1}^2\ge\delta_0/4$ となる $k$ では、lem-dgnm-isoperimetric から $|E_k|\ge\beta:=\bigl(\mu\delta_0/(2^{n+5}Q^{1/2})\bigr)^2$ である。$\sum_k|E_k|\le|B_1|$ なので、$K:=\lfloor|B_1|/\beta\rfloor$ とおくと、$0\le k\le K$ のうちに $\int_{B_1}w_{k+1}^2<\delta_0/4$ となる $k$ がある。その $k$ について $v:=2^{k+2}(u-c_{k+1})$ は $B_1$ の上の劣解で $v^+=2w_{k+1}$、$\int_{B_1}(v^+)^2<\delta_0$ だから、prop-dgnm-l2-linfty により $B_{1/2}$ の上で $v\le1$、すなわち $u\le c_{k+1}+2^{-k-2}=1-2^{-k-2}\le1-2^{-K-2}$ である。$\gamma:=2^{-K-2}$ とおけばよい。$\square$
$n\ge3$ とする。$n,\lambda,\Lambda$ だけで決まる $\theta\in[\frac78,1)$ があって、$u\in H^1(B_2)$ が $B_2$ の上の有界な弱解なら
$$
\operatorname*{osc}_{B_{1/2}}u\le\theta\operatorname*{osc}_{B_2}u
$$
が成り立つ。ここで $\operatorname{osc}_Gu:=\operatorname{ess\,sup}_Gu-\operatorname{ess\,inf}_Gu$ である。
$\gamma$ を lem-dgnm-measure-to-sup で $\mu=\frac12$ としたものとし、$\theta:=1-\gamma/2$ とおく。$M:=\operatorname{ess\,sup}_{B_2}u$、$m:=\operatorname{ess\,inf}_{B_2}u$ とし、$M>m$ としてよい。$w:=(2u-M-m)/(M-m)$ は弱解で、$B_2$ の上で $-1\le w\le1$ である。$\{w\le0\}$ と $\{-w\le0\}$ の和は全体なので、どちらかは $B_1$ の測度の半分以上を占める。前者なら lem-dgnm-measure-to-sup を $w$ に当てて $B_{1/2}$ の上で $w\le1-\gamma$、後者なら $-w$ に当てて $w\ge-1+\gamma$ を得る。どちらでも $\operatorname{osc}_{B_{1/2}}w\le2-\gamma$ であり、$u$ に戻すと $\operatorname{osc}_{B_{1/2}}u\le(1-\gamma/2)(M-m)$ である。$\square$
thm-dgnm-main を、ここまでの評価から証明する。
段 1($n\ge3$、単位球の場合). $B_1$ の閉包が $\Omega$ に含まれるとし、$\|u\|:=\|u\|_{L^2(B_1)}$ とおく。$z\in B_{3/4}$ について $B_{1/4}(z)\subset B_1$ なので、cor-dgnm-local-bound から $B_{1/8}(z)$ の上でほとんど至る所 $|u|\le M_0:=2C_3\,4^{n/2}\|u\|$ である。中心が有理点の可算個の球 $B_{1/8}(z)$ で $B_{3/4}$ をおおえるので、$B_{3/4}$ の上でほとんど至る所 $|u|\le M_0$ である。
次に $z\in B_{1/2}$、$0<\rho\le\frac14$ とし、$\omega(\rho):=\operatorname{osc}_{B_\rho(z)}u$ とおく。$B_\rho(z)\subset B_{3/4}$ であり、$u$ はそこで有界な弱解なので、prop-dgnm-oscillation を拡大縮小して $\omega(\rho/4)\le\theta\,\omega(\rho)$ を得る。$\omega(1/4)\le2M_0$ から $\omega(4^{-j-1})\le2M_0\theta^j$ である。$\alpha:=\log_4(1/\theta)\in(0,1)$ とおく。$4^{-j-2}<\rho\le4^{-j-1}$ のとき $\theta^j=(4^{-j})^\alpha<(16\rho)^\alpha$ なので
$$
\omega(\rho)\le2M_0(16\rho)^\alpha\le32M_0\rho^\alpha\qquad(z\in B_{1/2},\ 0<\rho\le\tfrac14)
$$
となる。
段 2(連続な代表元). 中心と半径が有理数の球 $B\subset B_{3/4}$ は可算個なので、零集合 $N$ をとって、$x\notin N$ なら、$x$ を含むそれらの球 $B$ のすべてで $\operatorname{ess\,inf}_Bu\le u(x)\le\operatorname{ess\,sup}_Bu$ となり、$|u(x)|\le M_0$ となるようにできる。$x,y\in B_{1/2}\setminus N$、$0<|x-y|<\frac1{12}$ なら、$|z-x|<|x-y|$ となる有理点 $z\in B_{1/2}$ と、$2|x-y|<\rho\le3|x-y|$ となる有理数 $\rho$ をとると、$x,y\in B_\rho(z)$、$\rho\le\frac14$ なので $|u(x)-u(y)|\le\omega(\rho)\le32M_0(3|x-y|)^\alpha\le96M_0|x-y|^\alpha$ である。$|x-y|\ge\frac1{12}$ なら $|u(x)-u(y)|\le2M_0\le24M_0|x-y|^\alpha$ である。よって $u$ は $B_{1/2}\setminus N$ の上で一様に Hölder 連続であり、$B_{1/2}\setminus N$ は $B_{1/2}$ で稠密なので、$B_{1/2}$ の上の連続関数 $\bar u$ にただ 1 つに延び、$\bar u=u$ ほとんど至る所で、同じ評価を満たす。
段 3(一般の球と全体). 拡大縮小 $v(y)=u(x_0+Ry)$ により、閉包が $\Omega$ に含まれる球 $B_R(x_0)$ について主張の評価を $C:=192C_3\,4^{n/2}$ で得る。球ごとの連続な代表元は、重なりの上でほとんど至る所等しく連続なので一致し、$\Omega$ の上の連続な代表元に貼り合わさる。
段 4($n\le2$). $d:=3-n$ とし、$\Omega':=\Omega\times\mathbb R^d$ の上で $\tilde u(x,y):=u(x)$、$\tilde A(x,y):=\begin{pmatrix}A(x)&0\\0&I_d\end{pmatrix}$ とおく。$\tilde A$ は楕円性の定数 $\min\{\lambda,1\}$、$\max\{\Lambda,1\}$ をもち、$\tilde u\in H^1_{\mathrm{loc}}(\Omega')$、$\nabla\tilde u=(\nabla u,0)$ である。$\varphi\in C_c^\infty(\Omega')$ について Fubini の定理から
$$
\int_{\Omega'}\tilde A\nabla\tilde u\cdot\nabla\varphi=\int_{\mathbb R^d}\Bigl(\int_\Omega A\nabla u\cdot\nabla_x\varphi(x,y)\,dx\Bigr)dy=0
$$
なので、$\tilde u$ は 3 次元の弱解である。段 1〜3 を $\tilde u$ に当てる。連続な代表元 $\bar u(x,y)$ は、ほとんどすべての $y$ で $x\mapsto\bar u(x,y)$ が $u$ のほとんど至る所等しい連続関数なので、$y$ によらず、$x\mapsto\bar u(x,0)$ が $u$ の連続な代表元になる。球 $B_R((x_0,0))$ は $B_R(x_0)\times(-R,R)^d$ に含まれるので $R^{-3/2}\|\tilde u\|_{L^2(B_R((x_0,0)))}\le2^{d/2}R^{-n/2}\|u\|_{L^2(B_R(x_0))}$ であり、主張の評価が定数を取り替えて成り立つ。$\square$
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 楕円性の下からの評価 $\lambda>0$ | $n=2$、$A\equiv0$、$u(x)=\log\log(1/\lvert x\rvert)$($B_{1/e}$ の上) | $u\in H^1(B_{1/e})$ はどの試験関数についても弱解の等式を満たすが、原点の近くで有界でなく、連続な代表元をもたない |
| $u$ が弱解(劣解に弱める) | $n\ge3$、$A=I$、$u(x)=-\lvert x\rvert^{-\beta}$($0<\beta<\frac{n-2}2$、$B_1$ の上) | $u\in H^1(B_1)$ は劣解で、上には有界(cor-dgnm-local-bound と合う)だが下に有界でなく、連続な代表元をもたない |
1 行目:$|\nabla u|=1/(|x|\log(1/|x|))$ なので $\int_{B_{1/e}}|\nabla u|^2=2\pi\int_0^{1/e}\frac{dr}{r\log^2(1/r)}=2\pi<\infty$ であり、$u$ も $L^2$ に入る。$A\equiv0$ なので $\int A\nabla u\cdot\nabla\varphi=0$ である。$|A\xi|\le\Lambda|\xi|$ は満たし、外れているのは $\lambda>0$ だけである。
2 行目:$\Delta(|x|^p)=p(p+n-2)|x|^{p-2}$($x\ne0$)から、$u=-|x|^{-\beta}$ について $\Delta u=\beta(n-2-\beta)|x|^{-\beta-2}>0$ であり、$\beta+2< n$ なのでこれは局所可積分である。$|\nabla u|=\beta|x|^{-\beta-1}$ は $2\beta+2< n$ のとき 2 乗可積分なので $u\in H^1(B_1)$。$\varphi\in C_c^\infty(B_1)$、$\varphi\ge0$ について、$\{|x|>\varepsilon\}$ で部分積分すると境界の項は $\varepsilon^{-\beta-1}\varepsilon^{n-1}\to0$ の程度なので $\int\nabla u\cdot\nabla\varphi=-\int\Delta u\,\varphi\le0$ であり、非負の $H^1_0(B_1)$ の元へは非負の滑らかな関数での近似で延びる。よって $u$ は $\Delta u\ge0$ の弱い意味の劣解である。
この記事の証明は FRRO22 §3.3(pp. 81–93)の De Giorgi の方法に沿う。対応は、lem-dgnm-caccioppoli が Lemma 3.8(p. 84。同書は非負の劣解と対称でない係数を扱い、この記事は切り落とし $(u-k)^+$ に直接当てる形にした)、prop-dgnm-l2-linfty が Proposition 3.10・3.11(pp. 86–88)、lem-dgnm-isoperimetric が Lemma 3.15(p. 91)、lem-dgnm-measure-to-sup が Lemma 3.14(pp. 90–92)、prop-dgnm-oscillation が Proposition 3.13(pp. 89–91)、thm-dgnm-main が Theorem 3.7・3.17(pp. 81、93)である。同書の第 1 段では $n\le2$ で Sobolev の不等式の指数を $4$ に取り替えるが、この記事では変数を足して $n=3$ に帰着させた。定数の具体的な値($C_1$、$\delta_0$、$\gamma$ など)はこの記事で計算したもので、最良ではない。
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