連続する整数の和

同義語:連続する自然数の和sum of consecutive integers

概要

連続する整数の和(sum of consecutive integers)とは、正の整数 $n$ を $n=a+(a+1)+\cdots+(a+k-1)$($a$、$k$ は正の整数。項数 $k=1$ の $n=n$ も含める)の形に表すことである。この式は $2n=k(2a+k-1)$ と同じで、$k$ と $2a+k-1$ は偶奇が異なり $k<2a+k-1$ である。このような積への分け方は $n$ の奇数の正の約数と 1 対 1 に対応するので、表し方の数は $n$ の奇数の正の約数の個数に等しい。たとえば $15$ は $15$、$7+8$、$4+5+6$、$1+2+3+4+5$ の 4 通りである。とくに、2 個以上の連続する正の整数の和で表せないのは、$n$ が 2 の累乗のときで、そのときに限る。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 約数の個数と約数の総和, 等差数列と等比数列, 素因数分解の一意性

高校での出発点:15 を連続する数の和で書く

$1+2+3+4+5=15$ のように、連続する正の整数を足すと、いろいろな数ができる。逆に、与えられた数を「連続する正の整数の和」で書く方法は何通りあるだろうか。まず小さい数で、手で探してみる。

$15$ を連続する正の整数の和で書く

$15$ を、連続する正の整数の和で書く方法を、足す数の個数ごとに探す。
(1) 1 個:$15$ そのもの。足す数が 1 個の場合も、表し方の 1 つに数えることにする。
(2) 2 個:$m+(m+1)=2m+1=15$ から $m=7$ で、$15=7+8$。
(3) 3 個:$m+(m+1)+(m+2)=3m+3=15$ から $m=4$ で、$15=4+5+6$。
(4) 4 個:$m+(m+1)+(m+2)+(m+3)=4m+6=15$ から $4m=9$ となり、$m$ は整数にならない。4 個の表し方はない。
(5) 5 個:$5m+10=15$ から $m=1$ で、$15=1+2+3+4+5$。
(6) 6 個以上:最も小さい 6 個の和 $1+2+3+4+5+6=21$ がすでに $15$ を超えるので、表し方はない。
よって $15$ の表し方は
$$ 15=15,\qquad 15=7+8,\qquad 15=4+5+6,\qquad 15=1+2+3+4+5 $$
の 4 通りである。

15 の 4 通りの表し方を、足す数の個数ごとに点の段で並べたもの。左から 1 個、2 個、3 個、5 個の和で、どれも点は全部で 15 個 15 の 4 通りの表し方を、足す数の個数ごとに点の段で並べたもの。左から 1 個、2 個、3 個、5 個の和で、どれも点は全部で 15 個

$16$ を連続する正の整数の和で書く

同じように $16$ を調べる。
(1) 1 個:$16$ そのもの。
(2) 2 個:$2m+1=16$ は、左辺が奇数で右辺が偶数なので解がない。
(3) 3 個:$3m+3=16$ から $3m=13$ で、$m$ は整数にならない。
(4) 4 個:$4m+6=16$ から $4m=10$ で、$m$ は整数にならない。
(5) 5 個:$5m+10=16$ から $5m=6$ で、$m$ は整数にならない。
(6) 6 個以上:$1+2+\cdots+6=21>16$ なので表し方はない。
よって $16$ の表し方は $16=16$ の 1 通りだけで、2 個以上の連続する正の整数の和では書けない。

$15$ は 4 通り、$16$ は 1 通りで、数の大きさとは関係なさそうである。この記事で答える問いは次の 3 つである。

  1. 表し方の数は、$n$ のどんな性質で決まるか。→ thm-sci-main
  2. 2 個以上の連続する正の整数の和で書けない数はどれか。→ cor-sci-power2
  3. 足す数の個数が $k$ の表し方があるのは、どんなときか。→ prop-sci-length
    高校の計算この記事の言葉大学の言葉
    等差数列の和の公式$2n=k(2a+k-1)$積への分解
    足す数の個数ごとに探す表し方の数 $r(n)$数論的関数
    約数を書き出す奇数の約数の個数約数の個数の乗法性
    三角数の差$n=T_{a+k-1}-T_{a-1}$母関数の等式

言葉の準備:表し方と項数

連続する正の整数の和による表し方

正の整数 $n$ が、正の整数 $a$ と $k$ を使って
$$ n=a+(a+1)+(a+2)+\cdots+(a+k-1) $$
と書けるとき、この式を $n$ の 連続する正の整数の和による表し方 という。$a$ を 最初の数、足す数の個数 $k$ を 項数 という。項数 $k=1$ の式 $n=n$ も表し方の 1 つに数える。
最初の数 $a$ と項数 $k$ の組 $(a,k)$ が違えば、違う表し方とみなす。$n$ の表し方の数を $r(n)$ と書く。

表し方は組 $(a,k)$ で決まる。和は項数 $k$ が大きいほど大きくなり、$a\ge1$ なので $n\ge1+2+\cdots+k$ でなければならない。したがって $k$ の候補は有限個で、$r(n)$ は有限の値である。

小さい数の表し方
  1. $9$:$9=9$、$9=4+5$、$9=2+3+4$ の 3 通りで、$r(9)=3$ である。項数 4 は $4m+6=9$ から $m$ が整数にならず、項数 5 以上は $1+2+3+4+5=15>9$ で表し方がない。
  2. $10$:$10=10$、$10=1+2+3+4$ の 2 通りで、$r(10)=2$ である。項数 2 は $2m+1=10$ の左辺が奇数で右辺が偶数、項数 3 は $3m+3=10$ で $m$ が整数にならない。
  3. $8$:$8=8$ の 1 通りで、$r(8)=1$ である。項数 2 は $2m+1=8$、項数 3 は $3m+3=8$ で、どちらも整数の $m$ がない。項数 4 以上は $1+2+3+4=10>8$ で表し方がない。

ex-sci-start では、項数ごとに 1 次方程式を立てた。これを一般の項数でまとめておく。和は初項 $a$、公差 $1$、項数 $k$ の等差数列の和である(等差数列と等比数列)。

連続する正の整数の和の公式

正の整数 $a$、$k$ について
$$ a+(a+1)+\cdots+(a+k-1)=\frac{k(2a+k-1)}2 $$
である。したがって、$n$ が最初の数 $a$、項数 $k$ で表せることは
$$ 2n=k(2a+k-1) $$
と同じである。

同じ和を逆順に並べて足す

和を $S$ とおき、同じ和を逆の順に書いて上下に並べる。
$$ \begin{aligned} S&=a+(a+1)+\cdots+(a+k-1)\\ S&=(a+k-1)+(a+k-2)+\cdots+a \end{aligned} $$
上下に並んだ 2 つの数の和は、どの列でも $a+(a+k-1)=2a+k-1$ である(上の数が $1$ 増えるごとに下の数が $1$ 減るので、和は変わらない)。列は $k$ 本あるので、2 式を足すと $2S=k(2a+k-1)$ となる。両辺を $2$ で割れば公式が得られる。後半は、公式の両辺を $2$ 倍した式である。

図 2 は、この証明を点で描いたものである。$4+5+6$ の点の階段と、それを逆さにした階段を組み合わせると、縦 $3$ 段、横 $4+6=10$ 個の長方形になり、点は $3\times10=30=2\times15$ 個ある。
4+5+6 の点の階段(赤)と、それを逆さにした階段(青)を組み合わせると、3 段で横 10 個の長方形になる 4+5+6 の点の階段(赤)と、それを逆さにした階段(青)を組み合わせると、3 段で横 10 個の長方形になる

公式で $15$ を見直す

$2\cdot15=30$ なので、表し方は $30=k(2a+k-1)$ を満たす正の整数の組 $(a,k)$ である。ex-sci-start の 4 通りで確かめる。
(1) $15=15$:$a=15$、$k=1$ で、$k(2a+k-1)=1\cdot30=30$。
(2) $15=7+8$:$a=7$、$k=2$ で、$k(2a+k-1)=2\cdot15=30$。
(3) $15=4+5+6$:$a=4$、$k=3$ で、$k(2a+k-1)=3\cdot10=30$。
(4) $15=1+2+3+4+5$:$a=1$、$k=5$ で、$k(2a+k-1)=5\cdot6=30$。
どの場合も、$30$ が 2 つの数 $k$ と $2a+k-1$ の積に分かれている。分かれ方は $1\times30$、$2\times15$、$3\times10$、$5\times6$ で、どれも一方が奇数、他方が偶数である。

主定理:表し方の数は奇数の約数の個数

ex-sci-sum で見た「一方が奇数、他方が偶数」は、いつでも成り立つ。

2 つの因数の偶奇と大小

正の整数 $a$、$k$ について、$u=k$、$v=2a+k-1$ とおくと、$v-u=2a-1$ は正の奇数である。したがって $u< v$ であり、$u$ と $v$ の一方は奇数、他方は偶数である。

差を計算する

$v-u=(2a+k-1)-k=2a-1$ である。$a\ge1$ より $2a-1\ge1$ なので $v-u>0$、つまり $u< v$ である。$2a-1$ は $2$ で割ると $1$ 余るので奇数である。$u$ と $v$ がともに偶数なら差は偶数、ともに奇数なら差は偶数になるので、差が奇数であることから、$u$ と $v$ の偶奇は異なる。

表し方の数は奇数の約数の個数

正の整数 $n$ を連続する正の整数の和で表す方法の数 $r(n)$ は、$n$ の奇数の正の約数の個数に等しい。

3 つの集合の 1 対 1 の対応を作る

方針:表し方 $(a,k)$ を、lem-sci-sum の積 $2n=k(2a+k-1)$ に移す。この積の分け方が、$n$ の奇数の約数と 1 つずつ対応することを示す。次の 3 つの集合を考える。

  • $R$:$n$ の表し方の組 $(a,k)$ 全体。
  • $F$:$uv=2n$、$u< v$ で、$u$ と $v$ の偶奇が異なる正の整数の組 $(u,v)$ 全体。
  • $D$:$n$ の奇数の正の約数 $d$ 全体。
    段 1($R$ から $F$ へ)。表し方 $(a,k)$ に、組 $(u,v)=(k,\,2a+k-1)$ を対応させる。lem-sci-sum より $uv=k(2a+k-1)=2n$ であり、lem-sci-parity より $u< v$ で偶奇が異なる。よって $(u,v)$ は $F$ の元である。
    段 2($F$ から $R$ へ)。$F$ の元 $(u,v)$ に対して
    $$ k=u,\qquad a=\frac{v-u+1}2 $$
    とおく。$u$ と $v$ の偶奇が異なるので $v-u$ は奇数で、$v-u+1$ は偶数だから $a$ は整数である。$u< v$ より $v-u\ge1$ なので $a\ge\dfrac{1+1}2=1$ である。さらに $2a+k-1=(v-u+1)+u-1=v$ なので、$k(2a+k-1)=uv=2n$ となり、lem-sci-sum より $(a,k)$ は $n$ の表し方である。
    段 1 の対応で $(a,k)$ から $(u,v)=(k,2a+k-1)$ を作り、段 2 の対応でもどすと、$k=u$ と $a=\dfrac{(2a+k-1)-k+1}2=a$ にもどる。逆に段 2 で $(u,v)$ から $(a,k)$ を作り、段 1 でもどすと、$(k,2a+k-1)=(u,v)$ にもどる。したがって段 1 と段 2 の対応は互いに逆で、$R$ と $F$ の元は 1 対 1 に対応する。
    段 3($D$ と $F$)。$n$ の奇数の約数 $d$ に対して、$e=\dfrac{2n}d$ とおく。$\dfrac nd$ は整数なので $e=2\cdot\dfrac nd$ は偶数で、$d$ は奇数だから、$d$ と $e$ は偶奇が異なる(とくに $d\ne e$)。$de=2n$ なので、$d$ と $e$ のうち小さい方を $u$、大きい方を $v$ とすれば、$(u,v)$ は $F$ の元である。
    逆に $F$ の元 $(u,v)$ では、$u$ と $v$ のちょうど一方が奇数である。その奇数を $d$ とすると、$d$ は $2n$ を割り切る。$d$ は奇数なので $2$ と互いに素であり、互いに素な数で割り切る性質(整数の割り算と互除法 の系「互いに素な数による割り算」)から、$d$ は $n$ を割り切る。よって $d$ は $D$ の元である。
    $d$ から作った組 $\left\{d,\dfrac{2n}d\right\}$ の奇数の方は $d$ 自身である。逆に $(u,v)$ の奇数の方を $d$ とすると、もう一方は $\dfrac{2n}d$ なので、$d$ から作り直した組は $(u,v)$ にもどる。したがって $D$ と $F$ の元も 1 対 1 に対応する。
    段 1〜段 3 から、$R$、$F$、$D$ の元の個数は等しく、$r(n)$ は $n$ の奇数の正の約数の個数である。

証明をたどると、表し方を実際に作る手順も分かる。奇数の約数 $d$ ごとに、$d$ と $\dfrac{2n}d$ の小さい方が項数 $k$、大きい方から小さい方を引いて $1$ を足し、$2$ で割ったものが最初の数 $a$ である。

$15$ の奇数の約数から表し方を作る

$15$ の奇数の約数は $1,3,5,15$ の 4 個である。$2n=30$ として、手順を表にする。

奇数の約数 $d$組 $\{d,\ 30/d\}$項数 $k$最初の数 $a$表し方
$1$$\{1,30\}$$1$$(30-1+1)/2=15$$15$
$3$$\{3,10\}$$3$$(10-3+1)/2=4$$4+5+6$
$5$$\{5,6\}$$5$$(6-5+1)/2=1$$1+2+3+4+5$
$15$$\{15,2\}$$2$$(15-2+1)/2=7$$7+8$

ex-sci-start の 4 通りが、ちょうど 1 回ずつ現れる。$d=15$ では $d$ の方が大きいので、項数は偶数の $2$ になる。

$12$ と $105$
  1. $12=2^2\cdot3$ の奇数の約数は $1,3$ の 2 個である。$2n=24$ で、$d=1$ から組 $\{1,24\}$、項数 $1$、$a=12$、$d=3$ から組 $\{3,8\}$、項数 $3$、$a=\dfrac{8-3+1}2=3$ を得る。よって $12=12$、$12=3+4+5$ の 2 通りで、$r(12)=2$ である。$12$ の約数 $2,4,6,12$ は偶数なので、表し方を作らない。
  2. $105=3\cdot5\cdot7$ の奇数の約数は $1,3,5,7,15,21,35,105$ の 8 個なので、$r(105)=8$ である。
    $105$ の 8 通りの表し方を開く

    $2n=210$ である。$d=1$:$\{1,210\}$、$105$。$d=3$:$\{3,70\}$、$a=34$ で $34+35+36$。$d=5$:$\{5,42\}$、$a=19$ で $19+20+21+22+23$。$d=7$:$\{7,30\}$、$a=12$ で $12+13+\cdots+18$(7 項)。$d=15$:$\{14,15\}$、$a=1$ で $1+2+\cdots+14$(14 項)。$d=21$:$\{10,21\}$、$a=6$ で $6+7+\cdots+15$(10 項)。$d=35$:$\{6,35\}$、$a=15$ で $15+16+\cdots+20$(6 項)。$d=105$:$\{2,105\}$、$a=52$ で $52+53$。

奇数の約数の個数は、素因数分解から計算できる。

素因数分解による公式

$n=2^e\,p_1^{e_1}p_2^{e_2}\cdots p_s^{e_s}$($e\ge0$、$p_1,\ldots,p_s$ は相異なる奇数の素数、$e_1,\ldots,e_s\ge1$)と素因数分解すると
$$ r(n)=(e_1+1)(e_2+1)\cdots(e_s+1) $$
である。$n$ が 2 の累乗($s=0$)のときは、右辺は $1$ と読む。

奇数の約数は奇数の部分の約数

$m=p_1^{e_1}\cdots p_s^{e_s}$ とおく($n=2^em$)。$n$ の正の約数は $2^f p_1^{f_1}\cdots p_s^{f_s}$($0\le f\le e$、$0\le f_i\le e_i$)の形の数である(約数の個数と約数の総和 の補題「約数の形」)。この数が奇数であるのは $f=0$ のときで、そのときに限る。したがって $n$ の奇数の約数は、$m$ の約数と同じものである。$m$ の約数の個数は $(e_1+1)\cdots(e_s+1)$ である(同じ記事の定理「約数の個数と総和の公式」)。thm-sci-main と合わせて公式を得る。

公式で数える
  1. $2026=2\cdot1013$ で、$1013$ は素数である。$r(2026)=1+1=2$ で、表し方は $2026=2026$ と、$d=1013$ から組 $\{4,1013\}$、項数 $4$、$a=\dfrac{1013-4+1}2=505$ の $2026=505+506+507+508$ である。
  2. $360=2^3\cdot3^2\cdot5$ なので、$r(360)=(2+1)(1+1)=6$ である。
  3. $81=3^4$ なので、$r(81)=4+1=5$ である。

系:2 個以上の和で書けないのは 2 の累乗

ex-sci-start2 の $16$ は、2 個以上の連続する正の整数の和で書けなかった。どの数がそうなるかは、主定理から決まる。

2 の累乗だけが書けない

正の整数 $n$ について、次の 2 つは同値である。
(R1) $n$ は、2 個以上の連続する正の整数の和で書けない。
(R2) $n$ は 2 の累乗である($n=2^e$、$e\ge0$。$n=1$ も含む)。

奇数の約数が 1 だけかどうか

項数 $1$ の表し方 $n=n$ はどの $n$ にもあるので、条件 (i) は $r(n)=1$ と同じである。thm-sci-main より、$r(n)=1$ は「$n$ の奇数の正の約数が $1$ だけ」と同じである。
$n=2^e$ なら、$n$ の約数は $1,2,\ldots,2^e$ で、奇数は $1$ だけである。逆に $n$ が 2 の累乗でなければ、$n$ を $2$ で割れるだけ割った数 $m$($n=2^em$、$m$ は奇数)は $1$ より大きく、$m$ は $1$ 以外の奇数の約数である。よって条件 (i) と条件 (ii) は同値である。

$n=1$ から $10$ までを表にすると、次のようになる。表し方の数は、奇数の約数の個数と一致している。

$n$奇数の約数$r(n)$表し方
$1$$1$$1$$1$
$2$$1$$1$$2$
$3$$1,3$$2$$3$、$1+2$
$4$$1$$1$$4$
$5$$1,5$$2$$5$、$2+3$
$6$$1,3$$2$$6$、$1+2+3$
$7$$1,7$$2$$7$、$3+4$
$8$$1$$1$$8$
$9$$1,3,9$$3$$9$、$4+5$、$2+3+4$
$10$$1,5$$2$$10$、$1+2+3+4$
$n=11$ から $20$ までの表を開く
$n$奇数の約数$r(n)$表し方
$11$$1,11$$2$$11$、$5+6$
$12$$1,3$$2$$12$、$3+4+5$
$13$$1,13$$2$$13$、$6+7$
$14$$1,7$$2$$14$、$2+3+4+5$
$15$$1,3,5,15$$4$$15$、$7+8$、$4+5+6$、$1+2+3+4+5$
$16$$1$$1$$16$
$17$$1,17$$2$$17$、$8+9$
$18$$1,3,9$$3$$18$、$5+6+7$、$3+4+5+6$
$19$$1,19$$2$$19$、$9+10$
$20$$1,5$$2$$20$、$2+3+4+5+6$

図 3 は $n=1$ から $64$ までの $r(n)$ である。$r(n)=1$ になるのは $1,2,4,8,16,32,64$ だけで、どれも 2 の累乗である。奇数の素数 $p$ では $r(p)=2$($p$ と $\frac{p-1}2+\frac{p+1}2$)になる。
n=1 から 64 までの表し方の数 r(n) の棒グラフ。2 の累乗の n(赤)だけが高さ 1 で、奇数の約数の多い 45 や 63 が高い n=1 から 64 までの表し方の数 r(n) の棒グラフ。2 の累乗の n(赤)だけが高さ 1 で、奇数の約数の多い 45 や 63 が高い

項数と中央の数

thm-sci-main は表し方の数を数えた。ここでは、決まった項数 $k$ の表し方があるかどうかを、中央の数で判定する。

項数 $k$ の表し方がある条件

正の整数 $n$ と $k$ について、$n$ が項数 $k$ の連続する正の整数の和で書けるための必要十分条件は、次のとおりである。
(1) $k$ が奇数のとき:$k$ が $n$ を割り切り、$n\ge\dfrac{k(k+1)}2$ である。このとき中央の数は $\dfrac nk$ である。
(2) $k=2j$ が偶数のとき:$j$ が $n$ を割り切り、$\dfrac nj$ が奇数で、$\dfrac nj\ge 2j+1$ である。このとき中央の 2 つの数の和は $\dfrac nj$ である。

最初の数を $n$ と $k$ で書く

lem-sci-sum より、項数 $k$ の表し方があることは、$2n=k(2a+k-1)$ を満たす正の整数 $a$ があることと同じである。この式を $a$ について解くと
$$ a=\frac12\left(\frac{2n}k-k+1\right) $$
なので、右辺が正の整数になる条件を調べればよい。$a\ge1$ は $\dfrac{2n}k-k+1\ge2$、つまり $\dfrac{2n}k\ge k+1$ と同じである。
(1) $k$ が奇数のとき。$a$ が整数なら $\dfrac{2n}k=2a+k-1$ は整数なので、$k$ は $2n$ を割り切る。$k$ は奇数で $2$ と互いに素なので、$k$ は $n$ を割り切る。逆に $k$ が $n$ を割り切れば、$\dfrac{2n}k=2\cdot\dfrac nk$ は偶数で、$-k+1$ も偶数だから、$a$ は整数である。$a\ge1$ の条件 $\dfrac{2n}k\ge k+1$ は、両辺に $\dfrac k2$ を掛けて $n\ge\dfrac{k(k+1)}2$ となる。中央の数は $a+\dfrac{k-1}2=\dfrac12\cdot\dfrac{2n}k=\dfrac nk$ である。
(2) $k=2j$ のとき。$\dfrac{2n}k=\dfrac nj$ なので $a=\dfrac12\left(\dfrac nj-2j+1\right)$ である。$a$ が整数なら $\dfrac nj=2a+2j-1$ は奇数の整数である。逆に $\dfrac nj$ が奇数の整数なら、$\dfrac nj+1$ は偶数で $-2j$ も偶数だから、$a$ は整数である。$a\ge1$ の条件は $\dfrac nj\ge 2j+1$ である。中央の 2 つの数は $a+j-1$ と $a+j$ で、和は $2a+2j-1=\dfrac nj$ である。

$105$ を項数ごとに調べる
  1. 項数 $7$(奇数):$7$ は $105$ を割り切り、$105\ge\dfrac{7\cdot8}2=28$ である。中央の数は $\dfrac{105}7=15$ なので、$105=12+13+14+15+16+17+18$ である。
  2. 項数 $6=2\cdot3$:$\dfrac{105}3=35$ は奇数で $35\ge7$ である。中央の 2 つの数は和が $35$ の $17$ と $18$ なので、$105=15+16+17+18+19+20$ である。
  3. 項数 $4=2\cdot2$:$2$ は $105$ を割り切らないので、項数 $4$ の表し方はない。実際、$4m+6=105$ は $4m=99$ で、$m$ は整数にならない。
  4. 項数 $15$(奇数):$15$ は $105$ を割り切るが、$\dfrac{15\cdot16}2=120>105$ なので、項数 $15$ の表し方はない。中央の数は $\dfrac{105}{15}=7$ になるはずだが、7 の前後に 7 個ずつ並べると $0$ や負の数が入ってしまう。

例と反例

主定理と系の条件を 1 つずつ変えると、結論がどう崩れるかを表にする。

外す条件反例成り立たなくなること
最初の数 $a$ が正の整数$0$ や負の整数を許すと $15$ は 8 通り$r(n)$ が奇数の約数の個数に等しい(ex-sci-cx-zero)
数えるのは奇数の約数$12$ の約数は 6 個、表し方は 2 通り約数の個数と表し方の数が等しい(ex-sci-cx-even)
$n$ が 2 の累乗でない$n=16$2 個以上の和で書ける(ex-sci-start2)
$n\ge\dfrac{k(k+1)}2$$n=15$、$k=15$$k$ が $n$ を割り切れば項数 $k$ で書ける(ex-sci-cx-length)
反例:$0$ や負の整数を許すと 2 倍になる

def-sci-rep で最初の数 $a$ を正の整数に限らず、$0$ や負の整数も許すと、$15$ の表し方は次の 8 通りになる。
$$ \begin{aligned} &15,\quad 7+8,\quad 4+5+6,\quad 1+2+3+4+5,\\ &0+1+2+3+4+5,\quad (-3)+(-2)+\cdots+6,\quad (-6)+(-5)+\cdots+8,\quad (-14)+(-13)+\cdots+15 \end{aligned} $$
2 行目の 4 つは、1 行目の $a+\cdots+(a+k-1)$ の前に $-(a-1),\ldots,0,\ldots,a-1$ を付け足したものである。付け足した数は $x$ と $-x$ が打ち消し合うので和は $0$ で、全体の和は変わらない。たとえば $4+5+6$ の前に $-3,-2,\ldots,3$ を付けると $(-3)+\cdots+6$ になる。
この場合も $2n=k(2a+k-1)$ は成り立ち、$k>0$、$n>0$ から $2a+k-1>0$ である。しかし $a\ge1$ の条件がないので、$k<2a+k-1$ とは限らない。$2n$ を偶奇の異なる 2 つの数の積に分けたとき、どちらを項数 $k$ にしてもよくなり、表し方の数は奇数の約数の個数の 2 倍になる($15$ では $2\times4=8$)。

反例:約数をすべて数えると合わない

$12$ の正の約数は $1,2,3,4,6,12$ の 6 個だが、ex-sci-main2 より $r(12)=2$ である。偶数の約数 $2,4,6,12$ は表し方を作らない。たとえば $d=4$ とすると、$\dfrac{2\cdot12}4=6$ も偶数で、組 $\{4,6\}$ は偶奇が異なるという条件を満たさない。prf-sci-main の段 2 の式に入れると $a=\dfrac{6-4+1}2=\dfrac32$ で、整数にならない。
逆に $15$ には偶数の約数がないが、$r(15)=4$ である。「偶数の約数の個数」で数えても合わない。

反例:割り切れても小さすぎると書けない

$k=15$ は奇数で $15$ を割り切るが、項数 15 の和は最小でも $1+2+\cdots+15=120$ で、$15$ にならない。prop-sci-length の (1) の条件 $n\ge\dfrac{k(k+1)}2=120$ が成り立たないからである。偶数の項数でも同じで、$k=10=2\cdot5$ では $\dfrac{15}5=3$ は奇数だが $3<2\cdot5+1=11$ なので、項数 10 の表し方はない。
$15$ の奇数の約数 $15$ から作られるのは項数 15 ではなく項数 2 の表し方 $7+8$ である(ex-sci-main)。奇数の約数 $d$ がそのまま項数になるのは、$d<\dfrac{2n}d$、つまり $d^2<2n$ のときである。

演習

$100$ の表し方

$100$ を連続する正の整数の和で表す方法をすべて求めよ。

解答を開く

$100=2^2\cdot5^2$ の奇数の約数は $1,5,25$ なので、thm-sci-main より表し方は 3 通りである。$2n=200$ とする。$d=1$:組 $\{1,200\}$ で $100$。$d=5$:組 $\{5,40\}$、項数 $5$、$a=\dfrac{40-5+1}2=18$ で $18+19+20+21+22$。$d=25$:組 $\{8,25\}$、項数 $8$、$a=\dfrac{25-8+1}2=9$ で $9+10+\cdots+16$。確かめると $18+19+20+21+22=5\cdot20=100$、$9+10+\cdots+16=\dfrac{8(9+16)}2=100$ である。

ちょうど 4 通り

連続する正の整数の和で表す方法がちょうど 4 通りある正の整数のうち、最小のものを求めよ。

解答を開く

cor-sci-formula より、$n=2^e\,p_1^{e_1}\cdots p_s^{e_s}$ について $(e_1+1)\cdots(e_s+1)=4$ となればよい。$4=4$ または $4=2\cdot2$ なので、奇数の部分は $p^3$($p$ は奇数の素数)か $pq$($p< q$ は奇数の素数)である。最小の候補は $3^3=27$ と $3\cdot5=15$ で、2 の累乗を掛けると大きくなるので $e=0$ としてよい。よって最小は $15$ で、表し方は ex-sci-start の 4 通りである。

大学数学で見る:三角数の差と母関数

$1$ から $m$ までの和 $T_m=\dfrac{m(m+1)}2$ を 三角数 という($T_0=0$)。連続する正の整数の和は、2 つの三角数の差である。

三角数の差として見る

$a\ge1$、$k\ge1$ のとき
$$ a+(a+1)+\cdots+(a+k-1)=\underbrace{\bigl(1+2+\cdots+(a+k-1)\bigr)}_{T_{a+k-1}}-\underbrace{\bigl(1+2+\cdots+(a-1)\bigr)}_{T_{a-1}} $$
である。したがって $r(n)$ は、$n=T_M-T_N$($M>N\ge0$)と三角数の差で書く方法の数でもある。$15$ では
$$ 15=T_{15}-T_{14}=T_8-T_6=T_6-T_3=T_5-T_0 $$
($120-105$、$36-21$、$21-6$、$15-0$)の 4 通りで、ex-sci-start の $15$、$7+8$、$4+5+6$、$1+2+3+4+5$ に対応する。

表し方の数を、数の列 $r(1),r(2),r(3),\ldots$ として一度に扱う道具が母関数である(分割の母関数、母関数)。

母関数の等式として見る

項数 $k$ の表し方は $n=\dfrac{k(k+1)}2+kb$($b=a-1\ge0$)と書けるので、項数 $k$ ごとに $x$ の累乗を集めると、主定理は $x$ の累乗の係数を比べる形式的な等式
$$ \sum_{n\ge1}r(n)x^n=\sum_{k\ge1}\frac{x^{k(k+1)/2}}{1-x^k}=\sum_{d\text{ は正の奇数}}\frac{x^d}{1-x^d} $$
として書ける。

両辺の係数の読み方を開く

$\dfrac{1}{1-x^k}=1+x^k+x^{2k}+\cdots$ と展開する(係数だけを見る形式的な計算で、$x$ に数を代入したときの収束は考えない)。中辺の $k$ 番目の項は $x^{k(k+1)/2}(1+x^k+x^{2k}+\cdots)$ で、$x^n$ の係数は「$n=\dfrac{k(k+1)}2+kb$ を満たす $b\ge0$ があれば $1$、なければ $0$」である。これを $k$ について足すと、$x^n$ の係数は項数の違う表し方の数、つまり $r(n)$ になる。右辺の $d$ 番目の項は $x^d+x^{2d}+x^{3d}+\cdots$ で、$x^n$ の係数は「$d$ が $n$ を割り切れば $1$」である。これを奇数の $d$ について足すと、$x^n$ の係数は $n$ の奇数の約数の個数になる。したがって中辺と右辺の係数が一致することが、thm-sci-main の主張そのものである。$x^{59}$ までの係数が一致することを計算機で確かめた(係数は $1,1,2,1,2,2,2,1,3,2,\ldots$)。

さらに先へ

  • この記事では「連続する数」を足した。足す数を 2 種類の決まった数 $a$、$b$ に限り、それぞれ何個でも使ってよいとすると、「どの数が作れないか」という別の問題になる。これが次の Frobeniusの硬貨問題 である。
  • 奇数の約数の個数は、約数の個数と約数の総和 で扱う約数の個数と同じく、互いに素な数の積に対して掛け算になる性質(乗法性)をもつ。約数の個数の平均の大きさは ガウス記号と整数の個数 で扱う。
  • 等差数列の和の公式を「2 つの因数の積」と読む考え方は、不定方程式の解法 の「積の形にする」型と同じである。

関連項目

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