Bézoutの定理(Bézout's theorem)とは、代数閉体 $k$ 上の射影平面の次数 $m$ と次数 $n$ の曲線 $F,G$ が共通成分をもたなければ、交点を交点数込みで数えると $\sum_PI(P,F\cap G)=mn$ となるという定理である。射影平面で数えること、係数体が代数閉であること、交点数で重なりを数えることのどれを外しても等式は崩れる。証明は、次数付きの商環 $k[X,Y,Z]/(F,G)$ の次数 $d$ の部分が $d\ge m+n$ で $mn$ 次元になり、それが交点での局所環の商の次元の和に等しいことによる。系として、$mn$ 個より多くの共有点をもつ 2 曲線は共通成分をもつこと、非特異な射影平面曲線は既約であること、どの 4 点も同じ直線の上にない 5 点を通る 2 次曲線はただ 1 つであることが従う。2 つの円は無限遠の円点でも交わる。
Bézout の定理(Bézout's theorem)とは、代数閉体 $k$ 上の射影平面 $\mathbb{P}^2$ の次数 $m$ と次数 $n$ の曲線が共通成分をもたなければ、交点を交点数(重複度)込みで数えるとちょうど $mn$ 個である、という定理である:
$$
\sum_{P\in F\cap G}I(P,F\cap G)=mn.
$$
高校数学では、円と直線の共有点は 2 個以下、2 つの 2 次曲線の共有点は 4 個以下であることを、連立方程式を解いて確かめる。Bézout の定理はこれを「ちょうど」の等式に強めたものである。等式にするには 3 つの手当てが要る。平行線のように「遠くで交わる」点を数えるために平面を射影平面に広げること、$x^2+y^2=1$ と $y=2$ のように実数の点で交わらないものを数えるために係数を代数閉体(たとえば複素数体)に広げること、接する点を重ねて数えるために 交点数(平面曲線) を使うことである。どれか 1 つでも欠けると等式は崩れる(節「反例」)。
この記事では、Fulton の本に沿って定理を完全に証明し、そこから、共有点が多すぎる曲線は共通成分をもつこと、非特異な射影平面曲線は既約であること、5 点を通る 2 次曲線の一意性を導く。2 つの 2 次曲線が 4 点で交わる例、接する例、2 つの円が無限遠の 2 点(円点)で交わる例も計算する。以下、$k$ はいつも代数閉体とする。
$k[X,Y,Z]$ の定数でない斉次多項式(形式)$F$ を、$0$ でない定数倍の違いを除いて考えたものを射影平面曲線、$F$ の次数をその次数という。次数 $1,2,3$ の曲線を直線、2 次曲線、3 次曲線という。$F=\prod_iF_i^{e_i}$ の既約分解の $F_i$ を成分といい、2 つの曲線が同じ成分をもつとき共通成分をもつという。$P=[a:b:c]\in\mathbb{P}^2$ について $F(a,b,c)=0$ であることを $P\in F$ と書き、$F\cap G$ で共通の点全体を表す。
点 $P$ での交点数 $I(P,F\cap G)$ は、$P$ を通らない直線 $L$ をとり、$P$ での射影平面の局所環で $\dim_k\mathcal{O}_P(\mathbb{P}^2)/(F/L^{\deg F},\,G/L^{\deg G})$ と定める(交点数(平面曲線) の節「射影平面曲線での交点数」)。$L=Z$、$P=[a:b:1]$ のときは、アフィン曲線 $f:=F(x,y,1)$、$g:=G(x,y,1)$ の $(a,b)$ での交点数 $I((a,b),f\cap g)=\dim_k\mathcal{O}_{(a,b)}/(f,g)$ に等しい。交点数は射影変換で変わらず、$P$ で横断的に交わる(両方の単純点で接線が異なる)とき、そのときに限り $1$ で、一般に $I(P,F\cap G)\ge m_P(F)\,m_P(G)$ である(交点数(平面曲線) の性質 (v))。
多項式 $p\in k[x,y]$ の斉次化を $p^*:=Z^{\deg p}p(X/Z,Y/Z)$ と書く。$(pq)^*=p^*q^*$ であり、$Z$ で割り切れない形式 $F$ は $F=(F(x,y,1))^*$ をみたす。また、次数 $N$ の形式 $K$ は $K(x,y,1)$ で決まる(単項式 $X^iY^jZ^{N-i-j}$ は相異なる単項式 $x^iy^j$ に移る)。
射影平面曲線 $F,G$ が共通成分をもたなければ、$F\cap G$ は有限集合である。
要点:3 つのアフィン開集合 $\{Z\ne0\}$、$\{Y\ne0\}$、$\{X\ne0\}$ のそれぞれで、非斉次化した多項式が共通因子をもたないことを確かめる。
$\{Z\ne0\}$ で考える。$f:=F(x,y,1)$、$g:=G(x,y,1)$ とする。どちらかが $0$ でない定数ならこの開集合に共通点はない($F=Z^{\deg F}\cdot$定数 の場合など)。$f=0$ にはならない($F$ が $Z$ で割り切れても、$F=Z^aF_1$ で $F_1$ が $Z$ で割り切れなければ $f=F_1(x,y,1)\ne0$)。$f,g$ が次数正の共通因子 $h$ をもつとすると、$F=Z^af^*$、$G=Z^bg^*$ と $(h\cdot f_1)^*=h^*f_1^*$ から $h^*$ は $F,G$ の次数正の共通因子になり、仮定に反する。よって $f,g$ は共通因子をもたず、交点数(平面曲線) の補題「互いに素な多項式の商は有限次元」により $V(f,g)$ は有限である。ほかの 2 つの開集合でも同じなので、$F\cap G$ は有限である。$\square$
$F,G$ を次数 $m,n$ の射影平面曲線とし、共通成分をもたないとする。このとき
$$
\sum_{P\in F\cap G}I(P,F\cap G)=mn
$$
が成り立つ。
(Ful08 §5.3、p. 57–58。)証明の中心は、次数付きの商環 $\Gamma:=k[X,Y,Z]/(F,G)$ の次数 $d$ の部分の次元が、$d$ が大きいとき $mn$ になることと、それが交点の局所環の次元の和に等しいことである。後者で次の補題を使う。
$F,G$ を共通成分のない射影平面曲線とし、直線 $Z$ の上に $F\cap G$ の点がないとする。形式 $H$ について $ZH\in(F,G)$ ならば $H\in(F,G)$ である。すなわち、$Z$ 倍の写像 $\Gamma\to\Gamma$ は単射である。
$J\in k[X,Y,Z]$ に対し $J_0:=J(X,Y,0)$ と書く。$F_0,G_0$ は $X,Y$ の形式で、共通因子をもたない。実際、共通因子があれば、2 変数の形式は $k$ 上 1 次式の積に分解するので、共通の 1 次因子 $\alpha X+\beta Y$ があり、点 $[\beta:-\alpha:0]$ は直線 $Z$ の上の $F\cap G$ の点になる。
$ZH=AF+BG$ とする。$Z=0$ を代入して $A_0F_0=-B_0G_0$ である。$F_0,G_0$ は共通因子をもたないので $G_0\mid A_0$ であり、$A_0=CG_0$、$B_0=-CF_0$ となる $C\in k[X,Y]$ がある。$A_1:=A-CG$、$B_1:=B+CF$ は $Z=0$ で $0$ になるので $A_1=ZA'$、$B_1=ZB'$ と書ける。$ZH=A_1F+B_1G=Z(A'F+B'G)$ を $Z$ で割って $H=A'F+B'G\in(F,G)$ を得る。$\square$
段 0(座標の取り方)。 lem-bez-finite により $F\cap G$ は有限である。$k$ は代数閉なので無限体であり、有限個の点のどれも通らない直線がある。射影変換でそれを $Z=0$ に移す。交点数は射影変換で変わらないので、以後、直線 $Z$ の上に $F\cap G$ の点はないとしてよい。このとき $F$ は $Z$ で割り切れない。割り切れるなら、$G_0=G(X,Y,0)$ は $0$ でない($G$ も割り切れれば $Z$ が共通成分)$n$ 次の形式で、$k$ が代数閉なので $Z=0$ の上に零点をもち、それは $F\cap G$ の点になるからである。同じく $G$ も割り切れない。$f:=F(x,y,1)$、$g:=G(x,y,1)$ とおくと $F=f^*$、$G=g^*$、$\deg f=m$、$\deg g=n$ であり、prf-bez-finite と同じ理由で $f,g$ は共通因子をもたない。すべての交点が $\{Z\ne0\}$ にあるので、交点数(平面曲線) の補題「大域の商は局所の商の直積」により
$$
\sum_{P\in F\cap G}I(P,F\cap G)=\sum_{Q\in\mathbb{A}^2}I(Q,f\cap g)=\dim_kk[x,y]/(f,g)
$$
である。$A:=k[x,y]/(f,g)$ とおき、$\dim_kA=mn$ を示せばよい。
段 1($d\ge m+n$ で $\dim\Gamma_d=mn$)。 $R:=k[X,Y,Z]$、$R_d$ を $d$ 次の形式全体($d< 0$ なら $0$)、$\Gamma_d$ をその $\Gamma$ での像とする。$\dim R_d=(d+1)(d+2)/2$ である。列
$$
0\longrightarrow R_{d-m-n}\xrightarrow{\ C\mapsto(GC,\,-FC)\ }R_{d-m}\times R_{d-n}\xrightarrow{\ (A,B)\mapsto AF+BG\ }R_d\longrightarrow\Gamma_d\longrightarrow0
$$
は完全である。最初の写像の単射性と最後の写像の全射性は明らかで、真ん中は、$AF+BG=0$ なら $F\mid BG$ で、$F,G$ は共通因子をもたないので $B=CF$、$A=-CG$ となることからわかる。次元の交代和は $0$ なので、$q(d):=(d+1)(d+2)/2$ とおいて
$$
\dim\Gamma_d=q(d)-q(d-m)-q(d-n)+q(d-m-n)\qquad(d\ge m+n)
$$
である。$q(d)-q(d-m)=m(2d-m+3)/2$ を $d$ と $d-n$ で評価して差をとると、$\dim\Gamma_d=m\cdot2n/2=mn$ を得る。
段 2($\Gamma_d\cong A$)。 $d\ge m+n$ を固定し、$\varphi\colon\Gamma_d\to A$ を $H\mapsto H(x,y,1)$ の像で定める($F,G$ は $f,g$ に移るので定まる)。
単射であること:$H\in R_d$ で $H(x,y,1)=af+bg$($a,b\in k[x,y]$)とする。$N\ge\max(d,\ \deg a+m,\ \deg b+n)$ をとると、$Z^{N-d}H$ と $Z^{N-\deg a-m}a^*F+Z^{N-\deg b-n}b^*G$ はどちらも次数 $N$ の形式で、$Z=1$ を代入するとどちらも $af+bg$ になる。次数 $N$ の形式は $Z=1$ を代入したもので決まるので両者は等しく、$Z^{N-d}H\in(F,G)$ である。lem-bez-z-injective を $N-d$ 回使って $H\in(F,G)$ を得る。
全射であること:$h\in k[x,y]$、$e:=\deg h$、$d':=\max(d,e)$ とし、$H':=Z^{d'-e}h^*\in R_{d'}$ とおくと $H'(x,y,1)=h$ である。lem-bez-z-injective により $Z^{d'-d}$ 倍 $\Gamma_d\to\Gamma_{d'}$ は単射で、段 1 により両辺とも $mn$ 次元なので全単射である。よって $Z^{d'-d}H\equiv H'\pmod{(F,G)}$ となる $H\in R_d$ があり、$Z=1$ を代入して $H(x,y,1)\equiv h\pmod{(f,g)}$ となる。
段 1 と段 2 により $\dim_kA=\dim\Gamma_d=mn$ であり、段 0 の等式から定理が従う。$\square$
交点数を並べた形式和 $F\bullet G:=\sum_PI(P,F\cap G)\,P$ を $F$ と $G$ の交点サイクルという。Bézout の定理は、$F\bullet G$ が係数の和 $mn$ の形式和であることと言い換えられる。この言い方は Max Noetherの基本定理 で使う。
交点数は交点で $1$ 以上、さらに重複度の積以上なので、Bézout の定理からすぐに次が従う(Ful08 §5.3 の Corollary 1–3、p. 58)。
$F,G$ を次数 $m,n$ の射影平面曲線とする。
1:各交点で $I(P,F\cap G)\ge m_P(F)m_P(G)$ であり、交点以外では右辺が $0$ なので、和をとって thm-bez-main を使う。2:共通成分がなければ交点数は交点ごとに $1$ 以上なので、共有点の個数は $\sum_PI(P,F\cap G)=mn$ 以下である。3:$mn$ 個の交点の交点数はどれも $1$ 以上で和が $mn$ なので、すべて $1$ である($mn$ 個の交点があるので共通成分はない。共通成分があれば共有点は無限個)。交点数が $1$ なら $m_P(F)m_P(G)\le1$ で両方の単純点であり、性質 (v) の等号の条件から接線は異なる。$\square$
すべての点が単純点である射影平面曲線は既約である。
$F=GH$($G,H$ は次数 $1$ 以上の形式)と分解したとする。$G$ と $H$ が共通成分をもてば、その成分の点は $G\cap H$ に属する(代数閉体上の曲線は点をもつ)。共通成分がなければ、thm-bez-main により $G\cap H$ の交点数の和は $\deg G\cdot\deg H\ge1$ なので、やはり $G\cap H$ は空でない。$P\in G\cap H$ をとると、重複度は積について足し算になるので $m_P(F)=m_P(G)+m_P(H)\ge2$ であり、$P$ は $F$ の多重点になる。$\square$
アフィン平面ではこの系は成り立たない。$x(x-1)=0$(平行な 2 直線)はアフィン平面のすべての点で単純点だが既約でない。射影平面では 2 直線は無限遠点 $[0:1:0]$ で交わり、そこが多重点になる。
$\mathbb{P}^2$ の相異なる 5 点のうち、どの 4 点も同じ直線の上にないとする。このとき 5 点を通る 2 次曲線はちょうど 1 つある。さらにどの 3 点も同じ直線の上にないなら、その 2 次曲線は既約である。
存在:2 次の形式は 6 個の係数 $aX^2+bXY+cXZ+dY^2+eYZ+fZ^2$ で決まり、点を通るという条件は係数についての 1 次の条件なので、5 つの条件をみたす $0$ でない係数の組がある。
一意性:相異なる 2 次曲線 $Q,Q'$ が 5 点を通るとする。共通成分がなければ cor-bez-bounds の 2 により共有点は $4$ 個以下で、矛盾する。よって共通成分があり、$Q\ne Q'$ なのでそれは直線 $M$ で、$Q=MN$、$Q'=MN'$($N,N'$ は相異なる直線)と書ける。5 点のうち $M$ の上にない点は $N\cap N'$ に属し、それは 1 点以下である。すると $M$ の上に 4 点以上があり、仮定に反する。
既約性:2 直線の積なら、5 点のうち 3 点以上が一方の直線の上にある。$\square$
$n=1$、すなわち $G$ が直線 $L$ の場合は、高校数学と同じく代入で確かめられる。射影変換で $L=Y$ とする。$L$ が $F$ の成分でなければ $F(X,0,Z)$ は $0$ でない $m$ 次の 2 変数の形式で、$k$ は代数閉なので $F(X,0,Z)=c\prod_j(\beta_jX-\alpha_jZ)^{e_j}$($[\alpha_j:\beta_j]$ は相異なり、$\sum_je_j=m$)と分解する。$L\cap F$ は点 $P_j=[\alpha_j:0:\beta_j]$ である。$P_j=[a:0:1]$ のとき、非斉次化した $f$ について (vii) で $f$ を $f(x,0)$ に替え、(vi)、(ii)、(v) を使うと $I(P_j,F\cap L)=I((a,0),(x-a)^{e_j}\cap y)=e_j$ となる($[1:0:0]$ でも同様)。よって交点数の和は $\sum_je_j=m=m\cdot1$ であり、交点数は「代入してできる方程式の解の重複度」にほかならない。
楕円 $x^2+4y^2=4$ と円 $x^2+y^2=3$ を引くと $3y^2=1$ で、交点は $\bigl(\pm\sqrt{8/3},\,\pm1/\sqrt3\bigr)$ の 4 点である。無限遠直線 $Z=0$ の上では $X^2+4Y^2=0$ と $X^2+Y^2=0$ から $X=Y=0$ となるので、無限遠の交点はない。4 点で $2\cdot2=4$ なので、cor-bez-bounds の 3 により各交点は横断的で交点数は $1$ である。
円 $f=x^2+y^2-1$ と楕円 $g=x^2+4y^2-1$ の共有点は $(\pm1,0)$ の 2 点だけで、無限遠の交点もない。点 $P=(1,0)$ で、(vii) により $g$ を $g-f=3y^2$ に替えると
$$
I(P,f\cap g)=I(P,f\cap y^2)=2\,I(P,f\cap y)=2\,I(P,(x^2-1)\cap y)=2
$$
である(最後は $x+1$ が $P$ で $0$ にならず、直線 $x-1$ と $y$ が横断的に交わることから)。$(-1,0)$ でも同じく $2$ で、合計 $4$ になる。2 つの曲線は $(\pm1,0)$ で接線 $x=\pm1$ を共有している。
円 $x^2+y^2+ax+by+c=0$ を斉次化した $X^2+Y^2+aXZ+bYZ+cZ^2$ は、$Z=0$ のとき $X^2+Y^2=0$ となり、$a,b,c$ によらず 2 点 $[1:i:0]$、$[1:-i:0]$ を通る。この 2 点を円点という。したがって 2 つの円のアフィン平面での共有点は、Bézout の数 $4$ から円点の分を引いた $2$ 個以下になる。たとえば $x^2+y^2=1$ と $(x-1)^2+y^2=1$ は $(1/2,\pm\sqrt3/2)$ と 2 つの円点で交わり、交点数はどれも $1$ である。同心円 $x^2+y^2=1$ と $x^2+y^2=4$ はアフィン平面では交わらず、2 つの円点でそれぞれ交点数 $2$ で交わる。
$F:=X^2+Y^2-Z^2$ とする。$(x-1)^2+y^2=1$ を斉次化した $G:=X^2+Y^2-2XZ$ は $F$ と $G-F=Z(2X-Z)$ で置き換えられるので、各点で $I(P,F\cap G)=I(P,F\cap Z)+I(P,F\cap(2X-Z))$ である。$X=1$ で非斉次化すると、円点 $[1:\pm i:0]$ は $(y,z)=(\pm i,0)$ で、$2X-Z$ は $0$ にならず、$I(P,F\cap Z)=I(P,(1+y^2)\cap z)=I(P,(y\mp i)\cap z)=1$ である。アフィンの 2 点は直線 $x=1/2$ と円の横断的な交点で、交点数は $1$ である。同心円では $G':=X^2+Y^2-4Z^2$ を $G'-F=-3Z^2$ に置き換えて、$I(P,F\cap G')=2\,I(P,F\cap Z)=2$ を得る。
放物線 $y=x^2$ と直線 $x=c$ のアフィン平面での共有点は $(c,c^2)$ の 1 個だけである。斉次化した $YZ-X^2$ と $X-cZ$ は、$Z=0$ で $X=0$ となり無限遠点 $[0:1:0]$ でも交わる。$Y=1$ で非斉次化すると、そこでの 2 曲線は $z-x^2$ と $x-cz$ で、原点で単純点どうし、接線 $z=0$ と $x=cz$ が異なるので交点数は $1$ である。合計 $2=2\cdot1$ である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 共通成分がない | $F=XY$、$G=XZ$ | 交点が有限個で交点数の和が $mn=4$ |
| 射影平面で数える | アフィン平面の $y=0$ と $y=1$ | 交点数の和が $1\cdot1=1$(実際は $0$) |
| 射影平面で数える | アフィン平面の $y=x^2$ と $x=0$ | 交点数の和が $2$(実際は $1$) |
| 係数体が代数閉 | $k=\mathbb{R}$、$x^2+y^2=1$ と $y=2$ | 交点数の和が $2$(実数の点は $0$ 個) |
| 交点数で数える | 円 $x^2+y^2=1$ と接線 $y=1$ | 共有点の個数が $2$(実際は $1$ 個) |
各行の反例が破る条件と、崩れる結論を確かめる。
1 行目:直線 $X=0$ は共通成分で、その上の点はすべて共有点である。交点数は $\infty$ で、和は定まらない。
2 行目:平行な 2 直線はアフィン平面では交わらないが、射影平面では無限遠点 $[1:0:0]$ で交点数 $1$ で交わる。
3 行目:ex-bez-parabola の $c=0$ の場合で、落とした無限遠点 $[0:1:0]$ に交点数 $1$ がある。
4 行目:$\mathbb{R}^2$ には共有点がないが、係数を $\mathbb{C}$ に広げると $(\pm\sqrt3\,i,2)$ の 2 点で横断的に交わり、和は $2$ になる。証明の段 0 で使った「$Z=0$ の上の 2 変数の形式は零点をもつ」ことや、交点数の和を局所環に分ける補題が、代数閉でない体では成り立たない。
5 行目:$y=1$ を代入すると $x^2=0$ で、点 $(0,1)$ は 1 個だが、交点数は $I=I((0,1),x^2\cap(y-1))=2$ である。無限遠の交点はない。
$\mathbb{P}^n$ の中で固有に交わる次数 $d$、$e$ の部分多様体の余次元の和が $n$ なら、交点を重複度込みで数えると $de$ 個になる。これは $\mathbb{P}^n$ の Chow環 $\mathbb{Z}[h]/(h^{n+1})$ での積の計算として述べられる(この記事では証明しない。主張と出典は Chow環 の注意「次数とBézoutの定理」にある)。高次元での交わりの重複度は 交叉理論 で扱う。平面曲線の場合、交点サイクルを使って「$H$ が $AF+BG$ の形に書けるか」を交点ごとに判定するのが Max Noetherの基本定理 である。
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