Pontryagin双対(Pontryagin duality)とは、局所コンパクトな可換位相群 $G$ から円周群 $\mathbb{T}$ への連続準同型(指標)全体を、コンパクト集合上の一様収束の位相で位相群とみた双対群 $\widehat G$ のことである。$G$ を二重双対 $\widehat{\widehat G}$ へ移す自然な写像が位相群の同型になることを双対定理という。$\mathbb{Z}$ と $\mathbb{T}$ は互いの双対、$\mathbb{R}$ は自分自身の双対で、コンパクトな群の双対は離散的、離散的な群の双対はコンパクトである。可換なコンパクト群と可換な離散群の双対定理は Peter–Weyl の定理と Stone–Weierstrass の定理から従い、Fourier 級数と Fourier 変換を指標による展開として統一する。
前提知識: コンパクト群, 位相群, 局所コンパクト空間, 離散Fourier変換
可換な位相群 $G$ から円周群 $\mathbb{T}=\{z\in\mathbb{C}\mid\lvert z\rvert=1\}$ への連続準同型を指標といい、指標全体は再び可換な位相群 $\widehat G$ をなす。これを $G$ の双対群(Pontryagin 双対)という。整数の加法群 $\mathbb{Z}$ の双対は円周群 $\mathbb{T}$、$\mathbb{T}$ の双対は $\mathbb{Z}$、実数の加法群 $\mathbb{R}$ の双対は $\mathbb{R}$ 自身であり、Fourier 級数・Fourier 変換は、関数をそれぞれの双対群の元(指標)で展開する操作と見られる。
$x\in G$ に「$\chi$ を $\chi(x)$ に移す写像」を対応させると、$G$ から二重双対 $\widehat{\widehat G}$ への準同型ができる。$G$ が局所コンパクトなとき、これが位相群の同型になるというのが Pontryagin の双対定理である。有限アーベル群の場合は 離散Fourier変換 の定理「双対群の位数と点の分離」にある。この記事では双対群の位相を定め、$\mathbb{Z}$・$\mathbb{T}$・$\mathbb{R}$・$p$ 進整数環の双対群を計算し、コンパクトな可換群と離散的な可換群について双対定理を証明する。双対群の上の測度で $L^2$ ノルムを書き直す定理は Plancherelの定理 で扱う。
以下、群の演算を $+$、単位元を $0$ と書く。局所コンパクト Hausdorff な可換位相群を LCA 群(locally compact abelian group)という。
LCA 群 $G$ から $\mathbb{T}$ への連続準同型を $G$ の指標(character)という。指標全体を $\widehat G$ と書き、値ごとの積 $(\chi\psi)(x):=\chi(x)\psi(x)$ で群とみる。単位元は恒等的に $1$ の自明な指標 $\chi_0$、逆元は複素共役 $\overline\chi$ である。$\widehat G$ には、コンパクト集合 $K\subset G$ と $\varepsilon>0$ に対する
$$
N(\chi;K,\varepsilon):=\{\psi\in\widehat G\mid\lvert\psi(x)-\chi(x)\rvert<\varepsilon\ (x\in K)\}
$$
を基本近傍とする位相(コンパクト集合の上の一様収束の位相)を入れる。この位相群 $\widehat G$ を $G$ の双対群(dual group)または Pontryagin 双対(Pontryagin dual)という。
$G$ が有限群なら、$G\to\mathbb{C}^\times$ の準同型の値は $1$ の冪根なので自動的に $\mathbb{T}$ に入り、離散Fourier変換 の定義「指標と双対群」と一致する。離散群ではコンパクト集合は有限集合なので、$\widehat G$ の位相は各点収束の位相である。
$\widehat G$ は Hausdorff な可換位相群である。
要点:コンパクト集合上の一様ノルムで積と共役が連続であることを確かめる。
$K$ 上で $\lvert\chi\psi-\chi'\psi'\rvert\le\lvert\chi-\chi'\rvert+\lvert\psi-\psi'\rvert$($\lvert\chi\rvert=\lvert\psi'\rvert=1$ を使う)、$\lvert\overline\chi-\overline{\chi'}\rvert=\lvert\chi-\chi'\rvert$ なので、積と逆元は連続である。$\chi\neq\psi$ なら $\chi(x)\neq\psi(x)$ となる $x$ があり、$K=\{x\}$、$\varepsilon=\lvert\chi(x)-\psi(x)\rvert/2$ の基本近傍で分離できる。$\square$
$\mathbb{T}$ の部分群で $\{z\mid\lvert z-1\rvert<1\}$ に含まれるものは $\{1\}$ だけである。
要点:$z\neq1$ の冪を順にとると、偏角が $[\pi/3,5\pi/3]$ に入るものがある。
$z=e^{i\theta}\neq1$ とし、逆元に取り替えて $0<\theta\le\pi$ としてよい。$n\theta\ge\pi/3$ となる最小の $n\ge1$ をとると $\pi/3\le n\theta<\pi/3+\theta\le4\pi/3$ なので、$z^n$ の偏角は $[\pi/3,5\pi/3]$ に入り $\lvert z^n-1\rvert\ge1$ である。よって $z$ を含む部分群はこの円板に入らない。$\square$
$G$ を LCA 群とする。
1:$K=G$、$\varepsilon=1$ とすると、$\psi\in N(\chi_0;G,1)$ の像 $\psi(G)$ は $\{\lvert z-1\rvert<1\}$ に含まれる部分群なので、lem-pd-no-small-subgroups により $\psi=\chi_0$ である。よって $\{\chi_0\}$ は開集合で、平行移動により各点が開集合である。
2:$\widehat G$ は直積空間 $\mathbb{T}^G$ の部分集合で、その位相は各点収束、すなわち直積位相の相対位相である。$\mathbb{T}^G$ は Tychonoffの定理 によりコンパクトで、$\widehat G=\bigcap_{x,y\in G}\{\chi\mid\chi(x+y)=\chi(x)\chi(y)\}$ は閉集合の共通部分なので閉集合である。離散群の上の写像は連続なので、この集合が指標全体である。よってコンパクトである。$\square$
1:$\chi$ は $\chi(n)=\chi(1)^n$ で決まり、逆に $z\in\mathbb{T}$ から $n\mapsto z^n$ は指標である。$\mathbb{Z}$ は離散的なので位相は各点収束で、$\chi_k(n)=\chi_k(1)^n$ だから各点収束は $\chi_k(1)$ の収束と同値である。
2:$e_\xi$ は指標で、$\xi\mapsto e_\xi$ は準同型である。逆に指標 $\chi$ をとる。$\chi(0)=1$ と連続性から、$c:=\int_0^\delta\chi(t)\,dt\neq0$ となる $\delta>0$ がある。準同型であることから
$$
c\,\chi(x)=\int_0^\delta\chi(x+t)\,dt=\int_x^{x+\delta}\chi(s)\,ds
$$
なので $\chi$ は $C^1$ 級で、微分すると $c\,\chi'(x)=\chi(x+\delta)-\chi(x)=\chi(x)(\chi(\delta)-1)$ である。$a:=(\chi(\delta)-1)/c$ とおくと $\chi'=a\chi$、$\chi(0)=1$ から $\chi(x)=e^{ax}$ で、$\lvert\chi\rvert=1$ から $a=2\pi i\xi$($\xi\in\mathbb{R}$)である。よって全単射である。
位相:$\lvert x\rvert\le R$ で $\lvert e_{\xi'}(x)-e_\xi(x)\rvert\le2\pi R\lvert\xi'-\xi\rvert$ なので、$\xi\mapsto e_\xi$ は連続である。逆に $0<\varepsilon<2$ とし、$e_{\xi'}\in N(e_\xi;[-1,1],\varepsilon)$ とする。$\eta:=\xi'-\xi$ とおくと、$\lvert x\rvert\le1$ で $\lvert e_\eta(x)-1\rvert=\lvert e_{\xi'}(x)-e_\xi(x)\rvert<\varepsilon$ である。$\lvert\eta\rvert\ge1/2$ なら $x=1/(2\eta)\in[-1,1]$ で $e_\eta(x)=-1$ となって $\varepsilon<2$ に反するので $\lvert\eta\rvert<1/2$ であり、$\lvert e_\eta(1)-1\rvert=2\lvert\sin\pi\eta\rvert\ge4\lvert\eta\rvert$ から $\lvert\xi'-\xi\rvert<\varepsilon/4$ である。したがって逆写像も連続である。
3:指標 $\chi$ に対し $t\mapsto\chi(e^{2\pi it})$ は $\mathbb{R}$ の指標なので、2 によりある $\xi$ で $e_\xi$ に等しい。$t=1$ で $e^{2\pi i\xi}=1$ なので $\xi=m\in\mathbb{Z}$ であり、$\chi(z)=z^m$ である。$m\mapsto(z\mapsto z^m)$ は単射な準同型で、$\mathbb{T}$ はコンパクトなので thm-pd-compact-discrete の 1 により $\widehat{\mathbb{T}}$ は離散的である。$\square$
2 の同型は、Fourier 変換の規格化 $e^{-2\pi ix\xi}$(Fourier変換 の定義「Fourier変換」)に合わせて選んだものである。$e^{i\xi x}$ を使えば $\xi$ の目盛りが $2\pi$ 倍に変わるだけで、同型であることは変わらない。
LCA 群 $G_1,G_2$ について、$(\chi_1,\chi_2)\mapsto\bigl((x_1,x_2)\mapsto\chi_1(x_1)\chi_2(x_2)\bigr)$ は位相群の同型 $\widehat{G_1}\times\widehat{G_2}\to\widehat{G_1\times G_2}$ である。とくに $\widehat{\mathbb{R}^n}\cong\mathbb{R}^n$($\xi$ に $x\mapsto e^{2\pi i\xi\cdot x}$ を対応させる)、$\widehat{\mathbb{T}^n}\cong\mathbb{Z}^n$、$\widehat{\mathbb{Z}^n}\cong\mathbb{T}^n$ である。
要点:逆写像は $\chi\mapsto(\chi(\cdot,0),\chi(0,\cdot))$ である。
群の同型であることは 離散Fourier変換 の命題「直積の双対群」と同じ計算で分かる(そこでの有限性は使っていない。連続性は射影・包含との合成で保たれる)。位相:$G_1\times G_2$ のコンパクト集合 $K$ は $K_1\times K_2$($K_i$ は射影の像でコンパクト)に含まれ、$K_1\times K_2$ 上で $\lvert\chi_1\chi_2-\psi_1\psi_2\rvert\le\lvert\chi_1-\psi_1\rvert+\lvert\chi_2-\psi_2\rvert$ なので、写像は連続である。逆写像は $\chi\mapsto(\chi\circ\iota_1,\chi\circ\iota_2)$($\iota_1(x_1)=(x_1,0)$ など)で、$K_1$ 上の一様収束は $K_1\times\{0\}$ 上の一様収束なので連続である。$\square$
$p$ を素数とし、$\mathbb{Z}_p$ を $p$ 進整数環の加法群(コンパクト)とする。指標 $\chi$ の連続性から、ある $n$ で $\chi(p^n\mathbb{Z}_p)\subset\{\lvert z-1\rvert<1\}$ となり、像は部分群なので lem-pd-no-small-subgroups により $\chi$ は $p^n\mathbb{Z}_p$ 上で $1$ である。よって $\chi$ は $\mathbb{Z}_p/p^n\mathbb{Z}_p\cong\mathbb{Z}/p^n\mathbb{Z}$ を経由し、$\chi(1)$ は $1$ の $p^n$ 乗根である。逆に $1$ の $p^n$ 乗根 $\zeta$ から $x\mapsto\zeta^{x\bmod p^n}$ は局所定数なので連続な指標である。したがって
$$
\widehat{\mathbb{Z}_p}\cong\mu_{p^\infty}:=\{z\in\mathbb{T}\mid z^{p^n}=1\text{ となる }n\text{ がある}\}\cong\mathbb{Q}_p/\mathbb{Z}_p
$$
(離散群)である(最後の同型は $a/p^n+\mathbb{Z}_p\mapsto e^{2\pi ia/p^n}$)。下の thm-pd-duality により逆向きに $\widehat{\mathbb{Q}_p/\mathbb{Z}_p}\cong\mathbb{Z}_p$ でもあり、射影極限 が述べる $\mathbb{Z}_p$ と $\mathbb{Q}_p/\mathbb{Z}_p$ の双対性はこの場合である。一般に、離散的な捩れ群 $A$ の指標の値は $1$ の冪根なので、$\mathbb{Q}/\mathbb{Z}\cong\{1\text{ の冪根}\}$($t\mapsto e^{2\pi it}$)により $\widehat A=\operatorname{Hom}(A,\mathbb{Q}/\mathbb{Z})$ と書ける。
$x\in G$ に対し、$\alpha_G(x)(\chi):=\chi(x)$ で $\widehat G$ 上の関数 $\alpha_G(x)$ を定める。$\alpha_G(x)$ は準同型 $\widehat G\to\mathbb{T}$ であり、$\alpha_G(x+y)=\alpha_G(x)\alpha_G(y)$ である。
$K$ を可換なコンパクト群、$dx$ を全体の測度 $1$ の Haar 測度とする。$\chi,\psi\in\widehat K$ について、$\chi\neq\psi$ なら $\int_K\chi\overline\psi\,dx=0$、$\chi=\psi$ なら $1$ である。
$\eta:=\chi\overline\psi$ は指標で、$\chi=\psi$ のとき $\eta=\chi_0$ である。$\eta\neq\chi_0$ なら $\eta(a)\neq1$ となる $a$ があり、平行移動の不変性から $S:=\int\eta(x)\,dx=\int\eta(x+a)\,dx=\eta(a)S$ なので $S=0$ である。$\square$
$G$ が可換なコンパクト群か可換な離散群なら、$x\neq0$ に対し $\chi(x)\neq1$ となる $\chi\in\widehat G$ がある。
要点:コンパクトな場合は コンパクト群 の系「可換なコンパクト群の指標は点を分離する」(Peter–Weyl の定理の帰結)である。離散的な場合は、巡回群 $\langle x\rangle$ の上で $\chi(x)\neq1$ となる準同型を作り、$\mathbb{T}$ で冪根がとれることを使って Zorn の補題で $G$ 全体へ延ばす。
$x$ の位数が無限なら $nx\mapsto(-1)^n$、有限の $m\ge2$ なら $nx\mapsto e^{2\pi in/m}$ と定めると、$\langle x\rangle$ の準同型で値 $\chi(x)\neq1$ となる。$\langle x\rangle$ を含む部分群 $H$ とその上の準同型 $H\to\mathbb{T}$ でこれを延ばすものの組を、延長の関係で順序づける。鎖の和集合は上界なので、Zorn の補題により極大な組 $(H,\chi_H)$ がある。$H\neq G$ と仮定し $y\notin H$ をとる。$\{n\in\mathbb{Z}\mid ny\in H\}$ は $\mathbb{Z}$ の部分群なので $k\mathbb{Z}$($k\ge0$)の形である。$k=0$ なら $w:=1$、$k\ge1$ なら $w^k=\chi_H(ky)$ となる $w\in\mathbb{T}$ をとり、$\chi'(h+ny):=\chi_H(h)w^n$ と定める。$h+ny=h'+n'y$ なら $n-n'=qk$、$h'-h=qky$ なので $\chi_H(h')w^{n'}=\chi_H(h)w^{qk}w^{n'}=\chi_H(h)w^n$ となり、$\chi'$ は $H+\mathbb{Z}y$ の上で矛盾なく定まる準同型である。これは極大性に反するので $H=G$ である。離散群の上の準同型は連続なので $\chi_H\in\widehat G$ である。$\square$
$G$ が可換なコンパクト群か可換な離散群なら、$\alpha_G\colon G\to\widehat{\widehat G}$ は位相群の同型である。
要点:単射は lem-pd-separation による。離散群 $G$ では、$\alpha_G(G)$ がコンパクト群 $\widehat G$ の上の連続関数を一様近似するので、それと直交する指標は存在しない。コンパクト群 $G$ では、像が真の閉部分群なら商群の指標が離散群 $\widehat G$ の元から来ることになり矛盾する。
段 1(連続性と単射性).$G$ がコンパクトなら $\widehat G$ は離散的(thm-pd-compact-discrete の 1)なので、$\alpha_G(x)$ は連続であり、$\widehat{\widehat G}$ の位相は各点収束で、$x\mapsto\alpha_G(x)(\chi)=\chi(x)$ は連続なので $\alpha_G$ は連続である。$G$ が離散的なら $\widehat G$ の位相は各点収束なので $\alpha_G(x)$ は連続で、$\alpha_G$ は離散空間からの写像として連続である。$\alpha_G(x)=\chi_0$ ならすべての $\chi$ で $\chi(x)=1$ なので、lem-pd-separation により $x=0$ である。
段 2($G$ が離散的なときの全射性).$K:=\widehat G$ はコンパクト群である(thm-pd-compact-discrete の 2)。$\alpha_G(G)$ の線形包 $\mathcal A$ は、$\alpha_G(x)\alpha_G(y)=\alpha_G(x+y)$、$\overline{\alpha_G(x)}=\alpha_G(-x)$、$\alpha_G(0)=1$ により積・複素共役で閉じ定数を含む。$\chi\neq\chi'$ なら $\chi(x)\neq\chi'(x)$ となる $x$ があり、$\alpha_G(x)$ が $\chi,\chi'$ を分離する。Stone–Weierstrass の定理(Kna16b Theorem 10.50 (b)、p. 529)により $\mathcal A$ は $C(K)$ で一様稠密である。$\psi\in\widehat K$ が $\alpha_G(G)$ に入らないとすると、lem-pd-orthogonality により $\psi$ は $\mathcal A$ のすべての元と $L^2(K)$ で直交する。$\|\psi-a\|_\infty<1/2$ となる $a\in\mathcal A$ をとると、$\int\psi\overline a\,dx=0$ から $1=\int\psi\overline\psi\,dx=\bigl\lvert\int\psi\,\overline{(\psi-a)}\,dx\bigr\rvert\le1/2$ となって矛盾する。
段 3($G$ がコンパクトなときの全射性).$\Gamma:=\widehat G$ は離散群で、$\widehat\Gamma$ はコンパクトである。$\alpha_G(G)$ はコンパクト集合の連続像なので $\widehat\Gamma$ の閉部分群である。$\alpha_G(G)\neq\widehat\Gamma$ と仮定すると、$Q:=\widehat\Gamma/\alpha_G(G)$ は自明でない可換なコンパクト群であり(コンパクト群 の命題「基本的な構成」の 1)、lem-pd-separation により $Q$ の自明でない指標 $\theta$ がある。$\psi:=\theta\circ(\text{射影})$ は $\widehat\Gamma$ の自明でない指標で、$\alpha_G(G)$ の上で $1$ である。段 2 を離散群 $\Gamma$ に当てると、ある $\gamma\in\Gamma$ で $\psi=\alpha_\Gamma(\gamma)$、すなわち $\psi(\varphi)=\varphi(\gamma)$ である。$\psi(\alpha_G(x))=\alpha_G(x)(\gamma)=\gamma(x)=1$ がすべての $x$ で成り立つので $\gamma=\chi_0$ となり、$\psi=\alpha_\Gamma(\chi_0)$ は自明な指標で矛盾する。
段 4(同相性).$G$ がコンパクトなら、$\alpha_G$ はコンパクト空間から Hausdorff 空間への連続な全単射なので同相写像である。$G$ が離散的なら $\widehat G$ はコンパクトなので $\widehat{\widehat G}$ は離散的で、離散空間の間の全単射は同相写像である。$\square$
thm-pd-basic-duals と prop-pd-product から、$\mathbb{R}^n$ と、$\mathbb{R}^n\times\mathbb{T}^m\times\mathbb{Z}^k\times F$($F$ は有限アーベル群)の形の群でも $\alpha_G$ は位相群の同型である(たとえば $\mathbb{R}$ では $\widehat{\widehat{\mathbb{R}}}\cong\widehat{\mathbb{R}}\cong\mathbb{R}$ と同一視すると $\alpha_{\mathbb{R}}(x)$ は $e_\xi\mapsto e^{2\pi i\xi x}$、すなわち $x$ そのものに対応する)。
双対群の定義と双対定理の主張そのものは、局所コンパクトな可換群一般へ広がる。
双対定理により、可換なコンパクト群と可換な離散群は互いの双対として 1 対 1 に対応する。たとえば副有限な可換群 $G$(コンパクトで完全不連結)の双対は離散的な捩れ群である。指標 $\chi$ について、連続性から $0$ の近傍 $U$ で $\chi(U)\subset\{\lvert z-1\rvert<1\}$ となるものがあり、$U$ は開部分群 $N$ を含む(副有限群 の補題「開正規部分群の存在」)。$\chi(N)$ は部分群なので lem-pd-no-small-subgroups により $\chi$ は $N$ の上で $1$ であり、有限群 $G/N$ を経由するので $\chi$ の位数は有限である。ex-pd-padic はその典型である。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 指標の連続性(thm-pd-basic-duals の 2) | $\mathbb{Q}$ 線形写像 $\phi\colon\mathbb{R}\to\mathbb{R}$($\phi(1)=1$、$\phi(\sqrt2)=0$)による $x\mapsto e^{2\pi i\phi(x)}$ | 準同型 $\mathbb{R}\to\mathbb{T}$ が $e_\xi$ の形であること |
| 群の可換性(thm-pd-duality) | 対称群 $S_3$ | $\alpha_G$ が同型であること($\widehat{\widehat{S_3}}$ の位数は $2$) |
| 群のコンパクト性(thm-pd-compact-discrete の 1) | $\mathbb{R}$ | 双対群が離散的であること($\widehat{\mathbb{R}}\cong\mathbb{R}$) |
| 値を $\mathbb{T}$ にとる(thm-pd-compact-discrete の 2) | 準同型 $\mathbb{Z}\to\mathbb{C}^\times$ 全体 | 各点収束の位相でコンパクトであること($\mathbb{C}^\times$ と同相) |
1 行目:$1,\sqrt2$ は $\mathbb{Q}$ 上一次独立なので、選択公理により $\{1,\sqrt2\}$ を含む $\mathbb{R}$ の $\mathbb{Q}$ 上の基底があり、$\phi$ はその上の値で定まる。$\chi:=e^{2\pi i\phi}$ は準同型である。$\chi=e_\xi$ とすると、有理数 $q$ で $e^{2\pi i\xi q}=e^{2\pi iq}$、すなわち $(\xi-1)q\in\mathbb{Z}$ がすべての $q\in\mathbb{Q}$ で成り立つので $\xi=1$ だが、$\chi(\sqrt2)=1\neq e^{2\pi i\sqrt2}$ である。よって $\chi$ は連続でない。
2 行目:$S_3$ は離散的で非可換である。準同型 $\chi\colon S_3\to\mathbb{T}$ の値は可換なので、交換子 $(1\,2\,3)=(1\,2)(1\,3)(1\,2)^{-1}(1\,3)^{-1}$ の上で $1$ であり、$\chi$ は $S_3/A_3\cong\mathbb{Z}/2\mathbb{Z}$ を経由する。よって $\widehat{S_3}$ は自明な指標と符号の 2 元からなり、$\widehat{\widehat{S_3}}$ の位数も $2$ なので、位数 $6$ の $S_3$ と同型でない。
3 行目:thm-pd-basic-duals の 2 により $\widehat{\mathbb{R}}\cong\mathbb{R}$ で、$\mathbb{R}$ は離散的でない。
4 行目:準同型 $\mathbb{Z}\to\mathbb{C}^\times$ は $1$ の像 $z\in\mathbb{C}^\times$ で決まり、各点収束は $z$ の収束と同値なので、全体は $\mathbb{C}^\times$ と同相で、コンパクトでない($n\mapsto2^n$ のような有界でない準同型を含む)。値を $\mathbb{T}$ に制限すると thm-pd-basic-duals の 1 の $\mathbb{T}$ になる。
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