Kan拡張

概要

Kan拡張(Kan extension)とは、全ての概念である。

$$\newcommand{cat}[0]{\mathcal{C}} \newcommand{commring}[0]{A} \newcommand{domain}[0]{\commring} \newcommand{func}[3]{{#1}\colon{#2}\rightarrow{#3}} \newcommand{ideal}[0]{I} \newcommand{idealgen}[2]{\langle #1 \rangle_{#2}} \newcommand{invert}[0]{^{-1}} \newcommand{ModCat}[1]{\mathsf{Mod}(#1)} \newcommand{morph}[3]{{#1}\colon{#2}\rightarrow{#3}} \newcommand{overcat}[2]{{#1}_{/#2}} \newcommand{ring}[0]{R} \newcommand{SetCat}[0]{\mathsf{Set}} \newcommand{sexseq}[3]{\zeroobj\rightarrow{#1}\rightarrow{#2}\rightarrow{#3}\rightarrow\zeroobj} \newcommand{TopCat}[0]{\mathsf{Top}} \newcommand{undercat}[2]{#1_{\backslash #2}} \newcommand{zeroobj}[0]{0} $$

まず、『圏論の基礎(Categories for the Working Mathematician)』から引用しよう。

圏論の基本概念が終わりの二章にまとめられている。たとえば極限の、より差し迫って必要となる性質、特にフィルター極限の性質、「エンド」の計算、そしてカン拡張の概念、といったものである。カン拡張は随伴の基本的構成の、より深い形式である。圏論のすべての概念はカン拡張である、ということを見て本書は終わる。

全ての概念はKan拡張であるという言葉はこの『圏論の基礎』に由来するものであり、実際、Kan拡張は圏論の多くの概念が見通しよく整理する上で大変役に立つ。

Kan拡張

$\cat$ からの二つの関手 $\func{F}{\cat}{\cat'}$ および $\func{G}{\cat}{\mathcal{D}}$ が与えられてるとする。このとき、組 $\KanExt{G'}{\eta}$$F$ に沿った $G$ の左Kan拡張であるとは、次のデータの中で終普遍性を満たすことをいう。

  • $G'$$\cat'$ から $\mathcal{D}$ への関手であり、
  • $\eta$$G'F$ から $G$ への自然変換である。

 Kan拡張は $G$$F$ を経由するように近似するとき、最も $G$ に近いものを与えていることに他ならない。とくに、$G=G'F$ なる $G'$ が取れる場合(このような状況を $G$$F$ を経由するという)は、これと恒等自然変換との組が $G$$F$ に沿った左Kan拡張である。逆に、Kan拡張は、経由するとは限らないが、$2$-射 ($2$-cell) の違いまで許したときの最良近似といる。