ロジスティック写像(logistic map)とは、正の定数 $\mu$ について $L_\mu(x)=\mu x(1-x)$ で定まる 2 次関数を漸化式 $x_{n+1}=L_\mu(x_n)$ として繰り返し施す力学系である。$0<\mu\le1$ ではすべての軌道が $0$ に、$1<\mu\le3$ では $0,1$ 以外のすべての軌道が不動点 $1-1/\mu$ に収束し、$\mu$ が $3$ を越えると周期 2 の軌道が現れて周期の倍加が続き、$\mu=4$ ではテント写像と位相共役でカオス的になる。$\mu>2+\sqrt5$ では $[0,1]$ にとどまる点の集合が Cantor 集合で、その上の $L_\mu$ は 2 記号のシフト写像と位相共役である。
ロジスティック写像(logistic map)は、正の定数 $\mu$ を 1 つ決めて
$$
L_\mu(x)=\mu x(1-x)
$$
で定まる 2 次関数を、漸化式 $x_{n+1}=L_\mu(x_n)$ として繰り返し施す 力学系 である。個体数が上限に近づくと増え方が鈍るという個体数の模型を差分方程式で書くと、変数の取り替えでこの形になる(Tes12 §10.1, pp. 279–280)。式は高校で学ぶ 2 次関数にすぎないが、$\mu$ を $0$ から $4$ まで動かすと、軌道は「1 点に近づく」「周期 2 の軌道に近づく」「周期が倍々に増える」「カオス的になる」と移り変わり、$\mu>4$ では $[0,1]$ にとどまる点の集合が Cantor 集合になる。
不動点の安定性の判定、周期 2 の軌道の計算、$\mu=4$ でのテント写像との位相共役とカオス性、周期 3 からすべての周期が出る定理は 力学系 で証明した。この記事では、それらを $\mu$ 全体の見取り図の中に置き、$0<\mu\le3$ ではほとんどすべての点の軌道が不動点に収束すること(安定性の判定が使えない $\mu=1,3$ を含む)と、$\mu>2+\sqrt5$ では $[0,1]$ にとどまる点の集合が Cantor 集合で、そこでの $L_\mu$ が 2 記号のシフト写像と位相共役であることを証明する。微分方程式のロジスティック方程式 $x'=x(1-x)$ は別の対象で、ロジスティックモデル と 力学系 の例で扱う。
$\mu>0$ について、$L_\mu\colon\mathbb{R}\to\mathbb{R}$、$L_\mu(x)=\mu x(1-x)$ を ロジスティック写像 という。$0<\mu\le4$ では $L_\mu([0,1])=\bigl[0,\frac\mu4\bigr]\subset[0,1]$ なので、$([0,1],L_\mu)$ は離散力学系である。
$L_\mu$ のグラフは $x=\frac12$ を軸とする上に凸な放物線で、$L_\mu(1-x)=L_\mu(x)$、最大値は $L_\mu\bigl(\frac12\bigr)=\frac\mu4$ である。$L_\mu$ は $\bigl(-\infty,\frac12\bigr]$ で狭義単調増加、$\bigl[\frac12,\infty\bigr)$ で狭義単調減少である。不動点は $0$ と、$\mu\ne1$ のとき $p_\mu:=1-\frac1\mu$ で、$p_\mu\in(0,1)$ となるのは $\mu>1$ のときである。$\hat p_\mu:=1-p_\mu=\frac1\mu$ とおくと $L_\mu(\hat p_\mu)=p_\mu$ であり、次の 2 つの恒等式がよく使われる(展開して確かめられる)。
$$
L_\mu(x)-x=\mu x\,(p_\mu-x),\qquad L_\mu(x)-p_\mu=\mu\,(x-p_\mu)(\hat p_\mu-x).
$$
$\mu$ による振る舞いの変化をまとめると次のようになる。
| $\mu$ の範囲 | $[0,1]$ 上の振る舞い | 所在 |
|---|---|---|
| $0<\mu\le1$ | すべての軌道が $0$ に収束する | thm-lg-global |
| $1<\mu\le3$ | $0,1$ 以外のすべての軌道が $p_\mu$ に収束する | thm-lg-global |
| $3<\mu<1+\sqrt6$ | $p_\mu$ は反発的になり、周期 2 の吸引的な軌道が現れる | 力学系 の例「ロジスティック写像の不動点と周期 2 の軌道」 |
| $1+\sqrt6<\mu<4$ | 周期の倍加が続き、その先で複雑な振る舞いが現れる(数値計算) | Tes12 §11.1, pp. 292–293 |
| $1+\sqrt8\le\mu\le4$ | 周期 3 の点があり、したがってすべての周期の点がある | Tes12 p. 295、力学系 の定理「周期 3 の点があればすべての周期の点がある」 |
| $\mu=4$ | テント写像と位相共役で、カオス的 | 力学系 の定理「テント写像とロジスティック写像のカオス」 |
| $\mu>4$ | $[0,1]$ にとどまる点は Cantor 集合をなし、ほかの点は $-\infty$ へ発散する | thm-lg-cantor($\mu>2+\sqrt5$) |
ロジスティック写像の分岐図(数値計算)。横軸 μ(2.5 から 4)、縦軸は x0=0.4 から 1000 回反復したあとの 300 個の値。μ=3 で 1 本の線が 2 本に分かれ、1+√6 で 4 本に分かれ、その先で点が帯状に広がる。1+√8 の近くに周期 3 の窓が見える
ロジスティック写像は、1 次式による座標の取り替えで、2 次多項式 $y\mapsto y^2+c$ の族と移り合う。
$\mu>0$ とし、$h_\mu(x):=\mu\bigl(\frac12-x\bigr)$、$c(\mu):=\frac\mu2-\frac{\mu^2}4$ とおく。このとき $h_\mu\circ L_\mu=Q_{c(\mu)}\circ h_\mu$ である。ここで $Q_c(y):=y^2+c$ である。より一般に、$a\ne0$ の 2 次式 $f(x)=ax^2+bx+e$ は $\eta(x)=ax+\frac b2$ によって $\eta\circ f=Q_{c}\circ\eta$($c=ae+\frac b2-\frac{b^2}4$)を満たす。
$\eta(f(x))=a(ax^2+bx+e)+\frac b2$ と $\eta(x)^2+c=a^2x^2+abx+\frac{b^2}4+c$ を比べると、$c=ae+\frac b2-\frac{b^2}4$ で一致する。$L_\mu$ は $a=-\mu$、$b=\mu$、$e=0$ の場合で、$\eta=h_\mu$、$c=\frac\mu2-\frac{\mu^2}4$ である。$\square$
$\eta$ は $\mathbb{R}$ の同相写像なので、$(\mathbb{R},L_\mu)$ と $(\mathbb{R},Q_{c(\mu)})$ は位相共役である(Tes12 Problem 11.5, p. 298 の特別な場合)。$\mu$ が $[1,4]$ を動くと $c(\mu)$ は $\frac14$ から $-2$ まで単調に減る。また $c(\mu)=c(2-\mu)$ なので、$0<\mu<2$ のとき $L_\mu$ と $L_{2-\mu}$ は($\mathbb{R}$ 上の写像として)位相共役である。
力学系 の定理「不動点の安定性の判定」から、$\mu<1$ なら $0$ が、$1<\mu<3$ なら $p_\mu$ が漸近安定である。これは不動点の近くの点についての主張だが、実際には $[0,1]$ のほとんどすべての点の軌道が収束する。
$J$ を有界閉区間、$g\colon J\to J$ を連続写像とする。
1:$J$ は閉なので $\ell\in J$ で、連続性から $g(\ell)=\lim g(g^n(x))=\lim g^{n+1}(x)=\ell$。2:$g(x)\ge x$ なら、$g$ が単調増加なので $g^2(x)\ge g(x)$、帰納法で $g^{n+1}(x)\ge g^n(x)$ となり、数列は単調増加で $J$ の中で有界だから収束する。$g(x)\le x$ の場合も同様。極限は 1 により不動点である。$\square$
この定理は $\mu=1$($L_1'(0)=1$)と $\mu=3$($L_3'(p_3)=-1$)を含み、そこでは微分係数による判定は使えない。証明では、軌道を単調な数列に分けて lem-lg-monotone を使う。
$L=L_\mu$、$p=p_\mu$、$\hat p=\hat p_\mu$ と書く。
1:$0< x\le1$ では $\mu-1-\mu x<0$ なので $L(x)-x=x(\mu-1-\mu x)<0$、また $L(x)\ge0$ である。よって $L^n(x)$ は($0$ に達するまで)単調減少で $[0,1]$ にとどまり、lem-lg-monotone の 1 により不動点に収束する。$[0,1]$ にある不動点は $0$ だけである($p_\mu\le0$)。
2 の準備:$x\in(0,p)$ なら $L(x)-x=\mu x(p-x)>0$ である。$x\in(p,1)$ なら $\hat p< x$ のとき $L(x)-p=\mu(x-p)(\hat p-x)<0$ である。
2、$1<\mu\le2$ の場合:$0< p\le\frac12\le\hat p<1$ である。
$\frac{L(x)-p}{x-p}=1-\mu x$ を使う別の証明が Tes12 §11.1, pp. 292–293 にある。
$\mu$ が $3$ を越えると $L_\mu'(p_\mu)=2-\mu<-1$ となって $p_\mu$ は反発的になり、代わりに周期 2 の軌道 $\{x_+,x_-\}$ が現れる。$(L_\mu^2)'(x_\pm)=-\mu^2+2\mu+4$ なので、この軌道は $3<\mu<1+\sqrt6$ で吸引的、$\mu>1+\sqrt6$ で反発的である(力学系 の例「ロジスティック写像の不動点と周期 2 の軌道」)。$\mu=3$ で起きるように、吸引的な不動点が不安定になると同時に吸引的な周期 2 の軌道が生まれる現象を 周期倍分岐 という。$L_\mu^2$ の不動点として見ると、$\mu=1+\sqrt6$ で同じことが周期 2 の点に起きて周期 4 の吸引的な軌道が現れ、数値計算では倍加が続く(Tes12 §11.1, pp. 292–293)。分岐図はこの様子を示している。
くもの巣図。左 μ=2.8:軌道は不動点のまわりを回りながら近づく。中 μ=3.3:軌道は周期 2 の軌道に近づく。右 μ=3.9:軌道は区間の中を不規則に動き回る
$0<\mu\le4$ の範囲で周期 3 の点が現れるのは $\mu\ge1+\sqrt8\approx3.828$ のときである(この記事では証明しない。Tes12 p. 295)。周期 3 の点があれば、区間上の連続写像はすべての周期の点をもつ(力学系 の定理「周期 3 の点があればすべての周期の点がある」)。$\mu=4$ では $h(x)=\sin^2\frac{\pi x}2$ によってテント写像 $T(x)=1-\lvert2x-1\rvert$ と位相共役であり、$L_4$ はカオス的(位相推移的で周期点が稠密)で初期値に鋭敏である(力学系 の定理「テント写像とロジスティック写像のカオス」)。この共役から、$L_4$ の不変測度が具体的に書ける。
$[0,1]$ 上の確率測度 $\nu(A):=\displaystyle\int_A\frac{dx}{\pi\sqrt{x(1-x)}}$ は $L_4$ で不変である。つまり Borel 集合 $A\subset[0,1]$ について $\nu(L_4^{-1}(A))=\nu(A)$ である。
まず、Lebesgue 測度 $\lambda$ はテント写像 $T$ で不変である:$0\le s\le1$ について $T^{-1}([0,s])=[0,\frac s2]\cup[1-\frac s2,1]$ の長さは $s$ で、区間 $[0,s]$ の全体は Borel 集合族を生成し共通部分で閉じているので、測度の一意性から $\lambda(T^{-1}(A))=\lambda(A)$ がすべての Borel 集合で成り立つ。次に、$h(t)=\sin^2\frac{\pi t}2$ の逆写像は $h^{-1}(y)=\frac2\pi\arcsin\sqrt y$ で、その導関数は $\frac1{\pi\sqrt{y(1-y)}}$ なので、置換積分により $\nu(A)=\lambda(h^{-1}(A))$ である。$h\circ T=L_4\circ h$ から $h^{-1}(L_4^{-1}(A))=T^{-1}(h^{-1}(A))$ なので、$\nu(L_4^{-1}(A))=\lambda(T^{-1}(h^{-1}(A)))=\lambda(h^{-1}(A))=\nu(A)$ である。$\nu([0,1])=\frac2\pi\bigl(\arcsin1-\arcsin0\bigr)=1$。
$\mu>4$ では $L_\mu\bigl(\frac12\bigr)=\frac\mu4>1$ なので、$[0,1]$ の点の一部は 1 回で $[0,1]$ の外へ出る。$x>1$ なら $L_\mu(x)<0$ であり、$x<0$ なら $L_\mu(x)=\mu x(1-x)<\mu x$ なので、一度負になった点は $L_\mu^n(x)\le\mu^{n}x\to-\infty$ と発散する。$[0,1]$ にとどまり続ける点を調べる。
$a:=\frac12\bigl(1-\sqrt{1-4/\mu}\bigr)$ とおくと、$L_\mu(x)\le1$ となる $x\in[0,1]$ の全体は $I_0\cup I_1$、$I_0:=[0,a]$、$I_1:=[1-a,1]$ で、$L_\mu$ は $I_0$ を $[0,1]$ の上へ単調増加に、$I_1$ を $[0,1]$ の上へ単調減少に写す。$I_0\cup I_1$ の上では
$$
\lvert L_\mu'(x)\rvert=\mu\lvert1-2x\rvert\ge\mu(1-2a)=\sqrt{\mu(\mu-4)}=:\lambda
$$
であり、$\lambda>1$ は $\mu^2-4\mu-1>0$、つまり $\mu>2+\sqrt5\approx4.236$ と同値である。
μ=5 のロジスティック写像のグラフ。区間 I_0 と I_1 の上ではグラフは 0 から 1 までを走り、その間の点は 1 を越えて次に負になる
記号の列の空間 $\Sigma_2:=\{0,1\}^{\mathbb{Z}_{\ge0}}$($s=(s_0,s_1,\dots)$)に距離 $d(s,t):=\sum_{j\ge0}2^{-j}\lvert s_j-t_j\rvert$ を入れる。$s,t$ の最初の $n$ 項が一致すれば $d(s,t)\le2^{-n+1}$、一致しなければ $d(s,t)\ge2^{-n+1}$ である。この距離の位相は積位相で、$\Sigma_2$ はコンパクトであり、Cantor空間 そのものである。シフト写像 $\sigma\colon\Sigma_2\to\Sigma_2$ を $\sigma(s_0,s_1,s_2,\dots):=(s_1,s_2,\dots)$ で定めると、$d(\sigma s,\sigma t)\le2d(s,t)$ なので $\sigma$ は連続である。
$\mu>2+\sqrt5$ とし、$\Lambda:=\{x\in\mathbb{R}\mid\text{すべての }n\ge0\text{ で }L_\mu^n(x)\in[0,1]\}$ とおく。
$L=L_\mu$ と書く。
1:$x\notin\Lambda$ なら、ある $n$ で $L^n(x)\notin[0,1]$ である。$L^n(x)<0$ ならそこから $-\infty$ へ発散し、$L^n(x)>1$ なら次に負になる。$L(\Lambda)\subset\Lambda$ は定義から明らか。逆に $y\in\Lambda$ なら $L(x)=y$ となる $x\in I_0$ があり、$x\in\Lambda$ である。
2:$L$ の $I_0$、$I_1$ への制限の逆写像を $g_0\colon[0,1]\to I_0$、$g_1\colon[0,1]\to I_1$ とする。$u,v$ が同じ $I_i$ にあれば、平均値の定理により $\lvert L(u)-L(v)\rvert\ge\lambda\lvert u-v\rvert$ なので、$\lvert g_i(y)-g_i(y')\rvert\le\lambda^{-1}\lvert y-y'\rvert$ である。有限列 $(s_0,\dots,s_{n-1})$ について閉区間を
$$
J_\emptyset:=[0,1],\qquad J_{s_0s_1\cdots s_{n-1}}:=g_{s_0}\bigl(J_{s_1\cdots s_{n-1}}\bigr)
$$
で定めると、帰納法により $J_{s_0\cdots s_{n-1}}=\{x\mid0\le j< n\text{ で }L^j(x)\in I_{s_j}\}$ で、長さは $\lambda^{-n}$ 以下である。$I_0\cap I_1=\emptyset$($a<\frac12$)なので $S$ は矛盾なく定まり、$S(L(x))=\sigma(S(x))$ は定義から分かる。
$s\in\Sigma_2$ について $J_{s_0}\supset J_{s_0s_1}\supset\cdots$ は空でない閉区間の減少列で、長さが $0$ に近づくので、共通部分はただ 1 点 $x_s$ からなる。$x_s\in\Lambda$ で $S(x_s)=s$ であり、$S(x)=s$ となる $x$ はすべての $J_{s_0\cdots s_{n-1}}$ に入るので $x=x_s$ である。よって $S$ は全単射で、逆写像は $s\mapsto x_s$ である。$s,t$ の最初の $n$ 項が一致すれば $x_s,x_t\in J_{s_0\cdots s_{n-1}}$ なので $\lvert x_s-x_t\rvert\le\lambda^{-n}$ であり、$S^{-1}$ は連続である。$S^{-1}$ はコンパクト空間 $\Sigma_2$ から Hausdorff 空間 $\Lambda$ への連続な全単射なので同相写像であり(同相写像 の定理「コンパクト空間からHausdorff空間への連続全単射は同相」)、$S$ も同相写像で、$\Lambda=S^{-1}(\Sigma_2)$ はコンパクトである。完全不連結で孤立点をもたないことは $\Sigma_2$ から移る(完全不連結空間)。
3:$\sigma^n(s)=s$ は $s$ が周期 $n$ で繰り返す列であることと同値で、そのような $s$ は $2^n$ 個ある。$s$ の最初の $n$ 項を周期的に繰り返した列は $s$ に $2^{-n+1}$ 以内で近いので、周期点は稠密である。長さ $1,2,3,\dots$ のすべての 0-1 列を順に並べた列 $s^*$ では、どの有限列も $s^*$ のどこかに現れるので、$\{\sigma^k(s^*)\}$ は稠密である。$\Sigma_2$ は孤立点をもたないので、空でない開集合から有限個の点を除いても空でない開集合が残り、稠密な軌道はどの空でない開集合にも無限回入る。よって空でない開集合 $U,V$ について $\sigma^k(s^*)\in U$、$\sigma^l(s^*)\in V$($l>k$)となる $k,l$ がとれて $\sigma^{l-k}(U)\cap V\ne\emptyset$ となる。$\Sigma_2$ は無限集合なので、$\sigma$ はカオス的である(Tes12 Lemma 11.8・11.9, p. 303)。力学系 の命題「位相共役で保たれる性質」により、$L|_\Lambda$ もカオス的で、$\Lambda$ の中に $L^n$ の不動点がちょうど $2^n$ 個ある。$L^n(x)=x$ となる実数 $x$ の軌道は有界なので 1 により $x\in\Lambda$ である。$\square$
thm-lg-cantor は Tes12 Theorem 11.21(p. 311)にある。結論は $4<\mu\le2+\sqrt5$ でも成り立つが、$\lvert L_\mu'\rvert>1$ が $I_0\cup I_1$ 全体では成り立たず、別の議論が要る(この記事では証明しない。Tes12 p. 311 は Robinson の本を挙げている)。$\Lambda$ の Hausdorff次元 は $\frac{\log2}{\log\mu}$ と $\frac{\log2}{\log\lambda}$($\lambda>2$ のとき)の間にある(Tes12 Theorem 11.22, p. 312)。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| thm-lg-global の $\mu\le3$ | $\mu=3.2$、$x=x_+=\frac{4.2+\sqrt{0.84}}{6.4}$ | $x\in(0,1)$ の軌道が $p_\mu$ に収束する |
| thm-lg-global の $x\in(0,1)$ | $1<\mu\le3$、$x=1$ | 軌道が $p_\mu$ に収束する |
| thm-lg-cantor の $\mu>2+\sqrt5$ | $\mu=4$ | $\Lambda$ が完全不連結である |
1 行目:$\mu=3.2$ は $3<\mu<1+\sqrt6$ を満たし、$x_\pm=\frac{\mu+1\pm\sqrt{(\mu+1)(\mu-3)}}{2\mu}$ は周期 2 の軌道である(力学系 の例「ロジスティック写像の不動点と周期 2 の軌道」)。$x_+\approx0.799$、$x_-\approx0.513$ で、軌道は $x_+,x_-,x_+,\dots$ と交互に並び、$p_{3.2}=0.6875$ に収束しない。
2 行目:$L_\mu(1)=0$ で、$0$ は不動点なので軌道は $0$ にとどまる。$p_\mu>0$ である。$x=0$ でも同じである。
3 行目:$\mu=4$ では $L_4([0,1])=[0,1]$ なので $\Lambda=[0,1]$ で、これは連結な区間である。$a=\frac12$ なので $I_0=[0,\frac12]$ と $I_1=[\frac12,1]$ は端点を共有し、$\lvert L_4'(\frac12)\rvert=0$ なので逆の枝で区間を縮める議論が使えない。
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