2次曲線の接線と光学的性質

同義語:tangents and reflective properties of conics

概要

2次曲線の接線と光学的性質(tangents and reflective properties of conics)とは、楕円・双曲線・放物線の接線を鏡とみなしたときの反射の性質である。楕円 $\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$($a>b>0$)の接線の上では、2 つの焦点までの距離の和は接点でだけ最小値 $2a$ をとり、そのため一方の焦点から出た光は反射して他方の焦点を通る。双曲線の接線は 2 つの焦点を見る角を 2 等分し、一方の焦点から出た光は他方の焦点から出たように反射する。放物線 $y^2=4px$($p>0$)の接線は、焦点と、接点から準線に下ろした垂線の足を結ぶ線分の垂直二等分線で、軸に平行な光は焦点に集まる。同じ焦点をもつ楕円と双曲線は直角に交わる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 2次曲線の焦点と準線, 陰関数の微分, 点と直線の距離, 絶対値と三角不等式

高校での出発点:接線で光を折り返す

パラボラアンテナは、遠くの衛星から平行にやってくる電波を、放物線の形の面で反射させて 1 点(焦点)に集める。楕円の形の部屋では、一方の焦点でささやいた声が、壁で跳ね返って他方の焦点に集まる(SH16 §7.5 は、これらの反射の性質を放物線・楕円・双曲線のそれぞれについて紹介している)。この記事では、これらの性質を、接線の式と焦点の性質から証明する。
曲線に当たった光は、当たった点での接線を鏡とみなして反射する。まず、楕円の接線で光を折り返してみる。楕円の接線の式は 陰関数の微分 と 円の接線と極線 で求めてある:楕円 $\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ の点 $(x_0,y_0)$ での接線は $\frac{x_0x}{a^2}+\frac{y_0y}{b^2}=1$ である。

楕円の接線と 2 つの焦点

楕円 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}9=1$ の焦点は $F(4,0)$、$F'(-4,0)$ である($4^2=25-9$)。楕円上の点 $P\bigl(3,\frac{12}5\bigr)$ での接線は $\frac{3x}{25}+\frac{12}5\cdot\frac y9=1$、両辺を $75$ 倍して
$$ \ell:\ 9x+20y=75 $$
である。

  1. 焦点までの距離:$PF=\sqrt{1+\frac{144}{25}}=\frac{13}5$、$PF'=\sqrt{49+\frac{144}{25}}=\frac{37}5$(和は $10=2a$)。
  2. 焦点と接線の距離(点と直線の距離):$F$ からは $\frac{|36-75|}{\sqrt{81+400}}=\frac{39}{\sqrt{481}}$、$F'$ からは $\frac{|-36-75|}{\sqrt{481}}=\frac{111}{\sqrt{481}}$。
  3. 比をとると
    $$ \frac{39/\sqrt{481}}{13/5}=\frac{15}{\sqrt{481}},\qquad \frac{111/\sqrt{481}}{37/5}=\frac{15}{\sqrt{481}} $$
    で等しい。$\frac{(\text{焦点と接線の距離})}{(\text{焦点と }P\text{ の距離})}$ は、線分 $PF$($PF'$)と接線 $\ell$ のなす角の正弦($\sin$)である。したがって、$PF$ と $PF'$ は接線と等しい角をなす。
放物線に軸に平行な光を当てる

放物線 $y^2=4x$ の焦点は $F(1,0)$、準線は $x=-1$ である。点 $P(4,4)$ での接線は、両辺を $x$ で微分した $2yy'=4$ から傾き $y'=\frac24=\frac12$ で、$y-4=\frac12(x-4)$、つまり
$$ \ell:\ x-2y+4=0 $$
である。右から軸に平行に進んできた光(向き $\boldsymbol d=(-1,0)$)が $P$ で $\ell$ に当たるとする。$\ell$ の法線ベクトル $\boldsymbol m=(1,-2)$ について、$\boldsymbol d$ を $\ell$ で折り返した向きは
$$ \boldsymbol d-\frac{2(\boldsymbol d\cdot\boldsymbol m)}{\boldsymbol m\cdot\boldsymbol m}\boldsymbol m=(-1,0)-\frac{2\cdot(-1)}{5}(1,-2)=\Bigl(-\frac35,\ -\frac45\Bigr) $$
である(この式の意味は def-trc-reflection で述べる)。一方 $F-P=(-3,-4)$ で、反射した光はちょうど焦点 $F$ に向かう。

2 つの例から、次の問いが出てくる。

  1. 楕円の一方の焦点から出た光は、どこで反射しても他方の焦点を通るのか。→ thm-trc-ellipse
  2. その理由を、計算ではなく焦点の性質(距離の和が一定)から説明できるか。→ prf-thm-trc-ellipse
  3. 双曲線と放物線ではどうなるか。→ thm-trc-hyperbola、prop-trc-parabola
  4. 同じ焦点をもつ楕円と双曲線はどう交わるか。→ cor-trc-confocal
    高校の計算この記事での見方ボックス
    接線の式を陰関数の微分で求める接線は光を折り返す鏡fml-trc-tangents、def-trc-reflection
    焦点と接線の距離を計算する焦点半径の公式から、2 つの焦点で比が等しいex-trc-start-ellipse、thm-trc-hyperbola
    楕円の定義:距離の和が $2a$接線の上では、接点で距離の和が最小になるthm-trc-ellipse
    放物線の定義:焦点と準線から等距離接線は焦点と準線上の点を結ぶ線分の垂直二等分線prop-trc-parabola
    楕円と双曲線を別々に扱う焦点を共有すると直角に交わるcor-trc-confocal

接線の式と反射の法則

2次曲線の焦点と準線 と同じく、焦点が $x$ 軸上にある標準形で考える。接線は、陰関数の微分 で求めた傾き $y'$ をもち接点を通る直線とする($y'$ の分母が $0$ になる点では縦の直線)。

2 次曲線の接線
  1. 楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ の点 $(x_0,y_0)$ での接線は $\dfrac{x_0x}{a^2}+\dfrac{y_0y}{b^2}=1$。
  2. 双曲線 $\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$ の点 $(x_0,y_0)$ での接線は $\dfrac{x_0x}{a^2}-\dfrac{y_0y}{b^2}=1$。
  3. 放物線 $y^2=4px$($p>0$)の点 $(x_0,y_0)$ での接線は $y_0y=2p(x+x_0)$。
陰関数の微分で傾きを求める

1 は 陰関数の微分 の例「楕円の接線の方程式」で示されている(円の接線と極線 は、楕円を単位円に縮める方法で、この直線が楕円とただ 1 点を共有する直線であることも示している)。
2:両辺を $x$ で微分すると $\frac{2x}{a^2}-\frac{2yy'}{b^2}=0$ である。$y_0\ne0$ なら $y'=\frac{b^2x_0}{a^2y_0}$ で、接線は $y-y_0=\frac{b^2x_0}{a^2y_0}(x-x_0)$ である。両辺に $\frac{y_0}{b^2}$ を掛けて整理すると $\frac{x_0x}{a^2}-\frac{y_0y}{b^2}=\frac{x_0^2}{a^2}-\frac{y_0^2}{b^2}=1$ となる(最後は点が双曲線上にあることを使った)。$y_0=0$ なら点は $(\pm a,0)$ で、$x$ を $y$ の関数とみて微分すると $\frac{dx}{dy}=\frac{a^2y}{b^2x}=0$ なので接線は縦の直線 $x=\pm a$ であり、これは式 $\frac{\pm a\,x}{a^2}=1$ と一致する。
3:両辺を $x$ で微分すると $2yy'=4p$ である。$y_0\ne0$ なら $y'=\frac{2p}{y_0}$ で、接線は $y-y_0=\frac{2p}{y_0}(x-x_0)$ である。両辺に $y_0$ を掛けると $y_0y-y_0^2=2px-2px_0$ で、$y_0^2=4px_0$ を使うと $y_0y=2px+2px_0=2p(x+x_0)$ となる。$y_0=0$ なら点は原点で、接線は縦の直線 $x=0$ であり、式 $0=2p(x+0)$ と一致する。$\square$

次に、鏡での反射を式で表す。平らな鏡(直線 $\ell$)に当たった光は、入射角と反射角が等しくなるように進む。これはベクトルで次のように書ける。

直線による反射と、曲線による反射

直線 $\ell$ に関する折り返し(線対称移動)を $\sigma$ と書く。ベクトル $\boldsymbol d$ を $\ell$ で折り返したベクトルとは、$\boldsymbol d$ の $\ell$ に平行な成分をそのままにし、$\ell$ に垂直な成分の向きを逆にしたもので、$\ell$ の法線ベクトルを $\boldsymbol m$ とすると
$$ \sigma(\boldsymbol d)=\boldsymbol d-\frac{2(\boldsymbol d\cdot\boldsymbol m)}{\boldsymbol m\cdot\boldsymbol m}\boldsymbol m $$
である。向き $\boldsymbol d$ に進む光が点 $P$ で鏡 $\ell$ に当たると、$P$ から向き $\sigma(\boldsymbol d)$ に進む。これを反射の法則という。光が曲線に点 $P$ で当たるときは、$P$ での接線を鏡とみなす。

$\ell$ 上の点 $P$ と点 $X$ について、$X$ を $\ell$ で折り返した点を $\sigma(X)$ とすると、$\sigma(X)-P=\sigma(X-P)$ である(折り返しは $P$ を動かさず、点の位置の差をベクトルとして折り返す)。したがって「$P$ から $X$ に向かう光の向き $X-P$ を折り返すと、$P$ から $\sigma(X)$ に向かう向きになる」。また $\boldsymbol d$ と $\sigma(\boldsymbol d)$ は $\ell$ と同じ大きさの角をなす(平行な成分が同じで、垂直な成分は大きさが同じ)。この 2 つが以下の証明の道具である。行列で書いた折り返しは 回転・鏡映と行列の群 で扱う。

折り返しの計算
  1. $\ell$ が $x$ 軸($\boldsymbol m=(0,1)$)なら、$\sigma(d_1,d_2)=(d_1,d_2)-2d_2(0,1)=(d_1,-d_2)$ で、$y$ 成分だけが逆になる。
  2. ex-trc-start-ellipse の接線 $9x+20y=75$($\boldsymbol m=(9,20)$)で、$F$ から $P$ へ進む光の向き $P-F=\bigl(-1,\frac{12}5\bigr)$ を折り返す。$\boldsymbol d\cdot\boldsymbol m=-9+48=39$、$\boldsymbol m\cdot\boldsymbol m=481$ なので
    $$ \sigma(\boldsymbol d)=\Bigl(-1,\ \frac{12}5\Bigr)-\frac{78}{481}(9,20)=\Bigl(-\frac{481+702}{481},\ \frac{12}5-\frac{1560}{481}\Bigr)=\Bigl(-\frac{91}{37},\ -\frac{156}{185}\Bigr) $$
    である($\frac{1183}{481}=\frac{91}{37}$、$\frac{12}5-\frac{120}{37}=\frac{444-600}{185}$)。$F'-P=\bigl(-7,-\frac{12}5\bigr)$ の $\frac{13}{37}$ 倍が $\bigl(-\frac{91}{37},-\frac{156}{185}\bigr)$ なので、反射した光は $F'$ に向かう。

主定理 1:楕円の反射の性質

以下、楕円 $E:\ \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$($a>b>0$)、$c=\sqrt{a^2-b^2}$、焦点 $F(c,0)$、$F'(-c,0)$ とする。2次曲線の焦点と準線 により、$E$ は $PF+PF'=2a$ を満たす点 $P$ 全体である。点 $X=(x,y)$ について
$$ g(X):=\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2},\qquad s(X):=XF+XF' $$
とおく。$g(X)<1$ の点を楕円の内部、$g(X)>1$ の点を外部という。証明の鍵は、次の 2 つの補題である。

接線は接点以外で楕円の外にある

$P(x_0,y_0)\in E$ での接線 $\ell$ の上の点 $X$ について、$g(X)-1=\Bigl(\dfrac{x-x_0}a\Bigr)^2+\Bigl(\dfrac{y-y_0}b\Bigr)^2$ である。特に、$X\ne P$ なら $g(X)>1$ である。

2 乗の和に書きかえる

$X_0=\frac{x_0}a$、$Y_0=\frac{y_0}b$、$X_1=\frac xa$、$Y_1=\frac yb$ とおく。$P\in E$ から $X_0^2+Y_0^2=1$、$X\in\ell$ から $X_0X_1+Y_0Y_1=1$ である。よって
$$ (X_1-X_0)^2+(Y_1-Y_0)^2=X_1^2+Y_1^2-2(X_0X_1+Y_0Y_1)+(X_0^2+Y_0^2)=g(X)-2+1=g(X)-1 $$
である。$X\ne P$ なら $(X_1,Y_1)\ne(X_0,Y_0)$ なので左辺は正であり、$g(X)>1$ である。$\square$

距離の和が $2a$ 以下の点は楕円の内部か楕円上にある

点 $X$ について $s(X)\le2a$ ならば $g(X)\le1$ である。対偶をとると、$g(X)>1$(外部)ならば $s(X)>2a$ である。

同じ焦点をもつ小さい楕円に乗せる

方針:$s(X)=2a'$ とおくと、$X$ は焦点 $F$、$F'$ をもち長軸の長さが $2a'$ の楕円の上にある。$a'\le a$ なら、その楕円は $E$ の内側にある。
段 1($s(X)=2c$ のとき)。三角不等式(絶対値と三角不等式)により $s(X)=XF+XF'\ge FF'=2c$ で、等号は $X$ が線分 $FF'$ の上にあるときだけである。このとき $X=(x,0)$、$|x|\le c< a$ なので、$g(X)=\frac{x^2}{a^2}<1$ である。
段 2($2c< s(X)\le2a$ のとき)。$a':=\frac{s(X)}2$ とおくと $c< a'\le a$ である。2次曲線の焦点と準線 の楕円の定理(焦点 $(\pm c,0)$、$0< c< a'$ で、$PF+PF'=2a'$ と $\frac{x^2}{a'^2}+\frac{y^2}{a'^2-c^2}=1$ が同値)により
$$ \frac{x^2}{a'^2}+\frac{y^2}{a'^2-c^2}=1 $$
である。$0< a'\le a$ から $\frac{x^2}{a^2}\le\frac{x^2}{a'^2}$、$0< a'^2-c^2\le a^2-c^2=b^2$ から $\frac{y^2}{b^2}\le\frac{y^2}{a'^2-c^2}$ である。足すと $g(X)\le1$ である。$\square$

2 つの補題を合わせると、接線 $\ell$ の上の点 $X$ は、$X\ne P$ なら $s(X)>2a=s(P)$ となる。つまり、接線の上で 2 つの焦点までの距離の和が最小になるのは、接点だけである。これが反射の性質の中身である。

楕円の反射の性質

$P\in E$ での接線を $\ell$ とする。

  1. $\ell$ の上の点 $X$ について $XF+XF'\ge2a$ であり、等号は $X=P$ のときだけ成り立つ。
  2. $F$ から出て $P$ に向かう光は、$P$ で $E$ に反射して $F'$ に向かう。$PF$ と $PF'$ は $\ell$ と等しい角をなす。
焦点の一方を接線で折り返す

方針:$F'$ を $\ell$ で折り返した点を $F''$ とすると、$\ell$ の上では $XF'=XF''$ なので、1 は「$\ell$ の上の点 $X$ で $XF+XF''$ が最小になるのは $X=P$」と言いかえられる。$F$ と $F''$ が $\ell$ の反対側にあれば、最小になる点は線分 $FF''$ と $\ell$ の交点であり、そこから $F$、$P$、$F''$ が一直線に並ぶことが出る。
段 1(1 の証明)。$X=P$ なら $s(P)=2a$ である。$X\in\ell$、$X\ne P$ なら、lem-trc-outside により $g(X)>1$、lem-trc-sum により $s(X)>2a$ である。
段 2($F$ と $F'$ は $\ell$ の同じ側にある)。$L(X):=\frac{x_0x}{a^2}+\frac{y_0y}{b^2}-1$ とおくと、$\ell$ は $L=0$ の直線で、$L$ の符号が $\ell$ のどちら側かを表す。$|x_0|\le a$ なので $\bigl|\frac{cx_0}{a^2}\bigr|\le\frac ca<1$ であり、$L(F)=\frac{cx_0}{a^2}-1<0$、$L(F')=-\frac{cx_0}{a^2}-1<0$ である。よって $F$ と $F'$ は $\ell$ の同じ側にある。
段 3(折り返した点)。$F''=\sigma(F')$ とする($\sigma$ は $\ell$ に関する折り返し)。$F''$ は $\ell$ に関して $F'$ の反対側、したがって $F$ の反対側にある。$\ell$ の点 $X$ は折り返しで動かないので、$XF''=XF'$ である。
段 4(最小の点)。線分 $FF''$ は $\ell$ をまたぐので、$\ell$ と 1 点 $X^*$ で交わる。$X^*$ は線分 $FF''$ の上にあるので $X^*F+X^*F''=FF''$ である。$\ell$ のどの点 $X$ についても、三角不等式と段 3 から
$$ s(X)=XF+XF''\ge FF''=X^*F+X^*F''=s(X^*) $$
である。特に $s(X^*)\le s(P)=2a$ で、段 1 により $X^*=P$ である。よって $P$ は線分 $FF''$ の上にあり、$F$、$P$、$F''$ はこの順に一直線に並ぶ。
段 5(反射)。$F$ から $P$ に向かう光の向き $P-F$ は、$F''-P$ の正の数倍である(段 4)。def-trc-reflection の後で述べたとおり、折り返し $\sigma$ は $F''-P$ を $\sigma(F'')-P=F'-P$ に移す。したがって反射した光の向き $\sigma(P-F)$ は $F'-P$ の正の数倍で、光は $F'$ に向かう。$P-F$ と $\sigma(P-F)$ は $\ell$ と同じ大きさの角をなすので、$PF$ と $PF'$ は $\ell$ と等しい角をなす。$\square$

左は楕円 !FORMULA[305][-428618344][0] の焦点 !FORMULA[306][36802][0] から出た光(橙)が、どこで反射しても他方の焦点 !FORMULA[307][1140991][0] を通ること(青)を見る図。右は証明の図で、!FORMULA[308][1140991][0] を接線 !FORMULA[309][-183516900][0] で折り返した点 !FORMULA[310][35370850][0] をとると、!FORMULA[311][36802][0]、!FORMULA[312][37112][0]、!FORMULA[313][35370850][0] が一直線に並び、接線上の別の点 !FORMULA[314][37143][0] では !FORMULA[315][-763749692][0] が !FORMULA[316][1121089][0] より大きいことを見る。 左は楕円 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}{9}=1$ の焦点 $F$ から出た光(橙)が、どこで反射しても他方の焦点 $F'$ を通ること(青)を見る図。右は証明の図で、$F'$ を接線 $9x+20y=75$ で折り返した点 $F''$ をとると、$F$、$P$、$F''$ が一直線に並び、接線上の別の点 $Q$ では $QF+QF'$ が $10$ より大きいことを見る。

接線の上で距離の和を比べる

ex-trc-start-ellipse の楕円と接線 $9x+20y=75$ で確かめる。

  1. 接線上の点 $Q\bigl(5,\frac32\bigr)$($45+30=75$)では、$g(Q)=1+\frac{9/4}9=\frac54>1$ で楕円の外にある。lem-trc-outside の式でも $\bigl(\frac{5-3}5\bigr)^2+\bigl(\frac{3/2-12/5}3\bigr)^2=\frac4{25}+\frac9{100}=\frac14=g(Q)-1$ である。距離の和は $QF+QF'=\sqrt{1+\frac94}+\sqrt{81+\frac94}=\frac{\sqrt{13}}2+\frac{\sqrt{333}}2\approx1.80+9.12=10.93>10$ である。
  2. $F'(-4,0)$ を接線で折り返すと $F''=F'-\frac{2(9\cdot(-4)-75)}{481}(9,20)=(-4,0)+\frac{222}{481}(9,20)=\Bigl(\frac{2}{13},\ \frac{120}{13}\Bigr)$ である($\frac{222}{481}=\frac6{13}$)。$F(4,0)$、$P\bigl(3,\frac{12}5\bigr)$、$F''$ について、$P-F=\bigl(-1,\frac{12}5\bigr)$、$F''-P=\bigl(-\frac{37}{13},\frac{444}{65}\bigr)=\frac{37}{13}\bigl(-1,\frac{12}5\bigr)$ で、3 点は一直線に並び、$P$ は $F$ と $F''$ の間にある。$FF''=\frac{13}5+\frac{37}{13}\cdot\frac{13}5=\frac{13}5+\frac{37}5=10=2a$ である。

thm-trc-ellipse の 1 は、「$\ell$ の片側にある 2 点 $F$、$F'$ を、$\ell$ 上の 1 点を経由して結ぶ最短の折れ線」を求める問題の答えでもある。$F'$ を $\ell$ で折り返して一直線にする方法は、対称点と折れ線の最短 と同じ考え方である。

主定理 2:双曲線と放物線

双曲線では、thm-trc-ellipse と同じ折り返しの議論も使えるが、ここでは ex-trc-start-ellipse で見た「焦点と接線の距離の比」の計算で示す。

双曲線の反射の性質

双曲線 $\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1$($a,b>0$)、$c=\sqrt{a^2+b^2}$、焦点 $F(c,0)$、$F'(-c,0)$ とし、双曲線上の点 $P(x_0,y_0)$ での接線を $\ell$ とする。

  1. $\ell$ は角 $\angle FPF'$ を 2 等分する。つまり、$\ell$ に関する折り返し $\sigma$ は半直線 $PF$ を半直線 $PF'$ に移す($y_0=0$ のときは $\angle FPF'=180^\circ$ で、$\ell$ はこの角を $90^\circ$ ずつに分ける縦の直線である)。
  2. したがって、$F$ から出て $P$ に向かう光は、$P$ で接線に反射したあと、直線 $F'P$ の上を $F'$ から遠ざかる向きに進む($F'$ から出た光のように見える)。
焦点半径で距離の比を計算する

方針:焦点と接線の距離を焦点半径で表し、$PF$ と $PF'$ が $\ell$ となす角の正弦が等しいことを示す。$F$ と $F'$ は $\ell$ の反対側にあるので、等しい角は $\ell$ をはさんで向かい合い、折り返しで移り合う。
段 1(焦点と接線の距離)。$e=\frac ca>1$ とし、$N:=\sqrt{\frac{x_0^2}{a^4}+\frac{y_0^2}{b^4}}$ とおく。$\ell:\ \frac{x_0}{a^2}x-\frac{y_0}{b^2}y-1=0$ と $F(c,0)$ の距離は、点と直線の距離 により
$$ \frac{\bigl|\frac{cx_0}{a^2}-1\bigr|}{N}=\frac{|ex_0-a|}{aN} $$
である($\frac c{a^2}=\frac ea$)。2次曲線の焦点と準線 の双曲線の定理(焦点半径の公式)により $PF=|ex_0-a|$ なので、この距離は $\frac{PF}{aN}$ である。同じく $F'$ と $\ell$ の距離は $\frac{|ex_0+a|}{aN}=\frac{PF'}{aN}$ である。
段 2(角の正弦)。$P\ne F$ である($F$ は双曲線の上にない:$\frac{c^2}{a^2}=e^2>1$ だが $y=0$ なので $\frac{c^2}{a^2}-0\ne1$)。線分 $PF$ と $\ell$ のなす角を $\theta$($0^\circ\le\theta\le90^\circ$)とすると、$F$ から $\ell$ に下ろした垂線と $PF$ で直角三角形ができるので、$\sin\theta=\frac{(F\text{ と }\ell\text{ の距離})}{PF}=\frac1{aN}$ である。$PF'$ と $\ell$ のなす角 $\theta'$ も $\sin\theta'=\frac1{aN}$ である。$0^\circ\le\theta,\theta'\le90^\circ$ なので $\theta=\theta'$ である。
段 3($F$ と $F'$ は反対側)。$L(X):=\frac{x_0x}{a^2}-\frac{y_0y}{b^2}-1$ とおくと、$L(F)=\frac{ex_0-a}a$、$L(F')=-\frac{ex_0+a}a$ である。双曲線上では $|x_0|\ge a$、$e>1$ なので $e|x_0|>a$ であり、$ex_0-a$ と $ex_0+a$ は同じ符号($x_0>0$ ならともに正、$x_0<0$ ならともに負)である。よって $L(F)$ と $L(F')$ は異符号で、$F$ と $F'$ は $\ell$ の反対側にある。
段 4(半直線の特定)。$\ell$ を横軸とする座標で考えると、$P$ から出る半直線のうち、$F'$ の側にあって $\ell$ と角 $\theta$ をなすものは、法線に関して対称な 2 本($\theta=90^\circ$ なら 1 本)である。1 本は半直線 $PF$ を $\sigma$ で折り返したもの、もう 1 本は半直線 $PF$ の反対向きの半直線である。半直線 $PF'$ はこのどちらかである。反対向きの半直線だとすると、$F$、$P$、$F'$ が一直線上に $P$ をはさんで並び、$P$ は $x$ 軸上にあって $y_0=0$ となる。このとき $\theta=90^\circ$ で 2 本は一致する。いずれの場合も $\sigma$ は半直線 $PF$ を半直線 $PF'$ に移す。これで 1 が示せた。
段 5(2 の証明)。1 から $\sigma(F-P)$ は $F'-P$ の正の数倍である。光の向きは $P-F=-(F-P)$ なので、反射した向き $\sigma(P-F)=-\sigma(F-P)$ は $P-F'$ の正の数倍である。つまり光は直線 $F'P$ の上を、$F'$ から $P$ へ向かう向きのまま進む。$\square$

双曲線での反射

双曲線 $\frac{x^2}4-\frac{y^2}5=1$($a=2$、$c=3$、$e=\frac32$)の点 $P(4,\sqrt{15})$ での接線は $\frac{4x}4-\frac{\sqrt{15}\,y}5=1$、つまり $\ell:\ 5x-\sqrt{15}\,y=5$ である。

  1. 距離:$PF=4$、$PF'=8$(2次曲線の焦点と準線 の例と同じ点)。$F(3,0)$ と $\ell$ の距離は $\frac{|15-5|}{\sqrt{25+15}}=\frac{10}{2\sqrt{10}}=\frac{\sqrt{10}}2$、$F'(-3,0)$ とは $\frac{|-15-5|}{2\sqrt{10}}=\sqrt{10}$ である。比はどちらも $\frac{\sqrt{10}}8$ で等しい。
  2. 反射:$F$ から $P$ への向き $\boldsymbol d=P-F=(1,\sqrt{15})$ を $\ell$($\boldsymbol m=(5,-\sqrt{15})$)で折り返す。$\boldsymbol d\cdot\boldsymbol m=5-15=-10$、$\boldsymbol m\cdot\boldsymbol m=40$ なので
    $$ \sigma(\boldsymbol d)=(1,\sqrt{15})+\frac{20}{40}(5,-\sqrt{15})=\Bigl(\frac72,\ \frac{\sqrt{15}}2\Bigr)=\frac12(7,\sqrt{15}) $$
    で、$P-F'=(7,\sqrt{15})$ の正の数倍である。反射した光は $F'$ から $P$ を通って伸ばした直線の上を進む。

放物線は焦点が 1 つなので、もう一方の焦点の代わりに準線を使う。

放物線の反射の性質

放物線 $y^2=4px$($p>0$)、焦点 $F(p,0)$、準線 $x=-p$ とし、放物線上の点 $P(x_0,y_0)$ から準線に下ろした垂線の足を $H(-p,y_0)$ とする。

  1. $P$ での接線 $\ell$ は、線分 $FH$ の垂直二等分線である。
  2. したがって、軸に平行に向き $(-1,0)$ で進んで $P$ に当たった光は、反射して $F$ に向かう。
中点を通り垂直であることを確かめる

段 1(垂直)。$H-F=(-2p,\ y_0)$ である。$\ell:\ 2px-y_0y+2px_0=0$(fml-trc-tangents の 3 を移項したもの)の法線ベクトルは $(2p,-y_0)=-(H-F)$ なので、$FH\perp\ell$ である。
段 2(中点を通る)。$FH$ の中点は $M\bigl(0,\frac{y_0}2\bigr)$ である。$\ell$ の式に入れると、左辺 $y_0\cdot\frac{y_0}2=\frac{y_0^2}2$、右辺 $2p(0+x_0)=2px_0$ で、$y_0^2=4px_0$ から等しい。よって $\ell$ は $M$ を通る。段 1・段 2 から、$\ell$ は $FH$ の垂直二等分線であり、$\ell$ に関する折り返し $\sigma$ は $H$ と $F$ を入れかえる。1 が示せた。
段 3(反射)。$H-P=(-p-x_0,\ 0)$ で、$-p-x_0<0$ なので、光の向き $(-1,0)$ は $H-P$ の正の数倍である。$\sigma$ は $H-P$ を $\sigma(H)-P=F-P$ に移すので、反射した光は $F$ に向かう。$\square$

$P$ は $FH$ の垂直二等分線の上にあるので $PF=PH$ であり、これは放物線の定義そのものである。1 は「放物線の定義を満たす点 $P$ で、接線がちょうど $FH$ の垂直二等分線になる」と言っている。

放物線での反射
  1. $y^2=4x$($p=1$)の $P(4,4)$ では $H(-1,4)$、$FH$ の中点は $(0,2)$ で、接線 $x-2y+4=0$ の上にある($0-4+4=0$)。$H-F=(-2,4)$ は法線 $(1,-2)$ の $-2$ 倍である。ex-trc-start-parabola の計算と合う。
  2. $P(1,-2)$ では接線は $-2y=2(x+1)$、つまり $x+y+1=0$ で、$H=(-1,-2)$、中点 $(0,-1)$ は接線の上にある。光の向き $(-1,0)$ を折り返すと $(-1,0)-\frac{2\cdot(-1)}2(1,1)=(0,1)$ で、$F-P=(0,2)$ の正の数倍である。

左は放物線 !FORMULA[537][1069612844][0] に軸に平行に入った光(橙)が焦点 !FORMULA[538][1504154954][0] に集まること(青)と、!FORMULA[539][1792031579][0] での接線が線分 !FORMULA[540][1142014][0] の垂直二等分線であることを見る図。右は双曲線 !FORMULA[541][184305469][0] で、焦点 !FORMULA[542][36802][0] から出た光が右の枝で反射して、もう一方の焦点 !FORMULA[543][1140991][0] から出たかのように進むことを見る図。 左は放物線 $y^2=4x$ に軸に平行に入った光(橙)が焦点 $F(1,0)$ に集まること(青)と、$P(4,4)$ での接線が線分 $FH$ の垂直二等分線であることを見る図。右は双曲線 $\frac{x^2}{4}-\frac{y^2}{5}=1$ で、焦点 $F$ から出た光が右の枝で反射して、もう一方の焦点 $F'$ から出たかのように進むことを見る図。

共焦点の楕円と双曲線は直交する

共焦点 2 次曲線

同じ 2 点 $F(c,0)$、$F'(-c,0)$($c>0$)を焦点とする楕円と双曲線を、共焦点(焦点を共有する)2 次曲線という。$a>c$ のとき楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{a^2-c^2}=1$、$0< A< c$ のとき双曲線 $\dfrac{x^2}{A^2}-\dfrac{y^2}{c^2-A^2}=1$ が、この 2 点を焦点とする(2次曲線の焦点と準線)。

共焦点の楕円と双曲線の直交

$F$、$F'$ を焦点とする楕円と双曲線が点 $P$ で交わるとき、$P$ での 2 本の接線は直交する。また、座標軸の上にない点 $P$ を通る共焦点の楕円と双曲線は、ちょうど 1 つずつある。

内角と外角の二等分線

段 1($P$ は軸の上にない)。楕円と双曲線の共有点 $P$ が $x$ 軸上にあったとすると、楕円の $x$ 軸上の点は $(\pm a,0)$、双曲線の $x$ 軸上の点は $(\pm A,0)$ で、$A< c< a$ なので一致しない。$y$ 軸上の点は双曲線にない($-\frac{y^2}{c^2-A^2}\ne1$)。よって $P$ は座標軸の上になく、$F$、$P$、$F'$ は一直線に並ばない。
段 2(直交)。$P$ での双曲線の接線 $\ell_h$ に関する折り返しは、半直線 $PF$ を半直線 $PF'$ に移す(thm-trc-hyperbola の 1)。楕円の接線を $\ell_e$、$P$ での $\ell_e$ の垂線(法線)を $n_e$ とする。thm-trc-ellipse の 2 により、$F$ から $P$ への向き $P-F$ を $\ell_e$ で折り返すと $F'-P$ の正の数倍になる。$\ell_e$ での折り返しと $n_e$ での折り返しは、ベクトルの $\ell_e$ 方向の成分と $n_e$ 方向の成分のどちらを逆にするかの違いで、互いに $-1$ 倍の関係にある。よって $n_e$ での折り返しは $F-P$ を $F'-P$ の正の数倍に移し、半直線 $PF$ を半直線 $PF'$ に移す。$F$、$P$、$F'$ は一直線にないので、半直線 $PF$ を半直線 $PF'$ に移す折り返しの直線は、$\angle FPF'$ の二等分線ただ 1 本である。したがって $\ell_h=n_e$ で、$\ell_h\perp\ell_e$ である。
段 3(1 つずつあること)。座標軸の上にない点 $P$ について、$a:=\frac{PF+PF'}2$、$A:=\frac{|PF-PF'|}2$ とおく。$F$、$P$、$F'$ は一直線にないので、三角不等式の等号は成り立たず、$PF+PF'>FF'=2c$、$|PF-PF'|<2c$ である。よって $a>c$、$A< c$ である。また $P$ は $y$ 軸($FF'$ の垂直二等分線)の上にないので $PF\ne PF'$、$A>0$ である。2次曲線の焦点と準線 により、$P$ は def-trc-confocal の楕円(この $a$)と双曲線(この $A$)の上にある。逆に $P$ を通る共焦点の楕円・双曲線は、距離の和・差から $a$、$A$ が上の値に決まるので、ほかにない。$\square$

共焦点の楕円と双曲線の交点

焦点 $(\pm4,0)$ の楕円 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}9=1$ と双曲線 $\frac{x^2}4-\frac{y^2}{12}=1$($4+12=16$)を考える。

  1. 交点:2 つ目の式から $y^2=3x^2-12$、1 つ目に入れて $225$ 倍すると $9x^2+25(3x^2-12)=225$、$84x^2=525$、$x^2=\frac{25}4$ である。$y^2=\frac{75}4-12=\frac{27}4$ で、第 1 象限の交点は $P\bigl(\frac52,\frac{3\sqrt3}2\bigr)$ である。
  2. 距離:$PF=\sqrt{\frac94+\frac{27}4}=3$、$PF'=\sqrt{\frac{169}4+\frac{27}4}=7$ で、和 $10=2\cdot5$、差 $4=2\cdot2$ である(cor-trc-confocal の段 3 の $a=5$、$A=2$)。
  3. 直交:接線の法線ベクトルは、楕円では $\bigl(\frac{x_0}{25},\frac{y_0}9\bigr)=\bigl(\frac1{10},\frac{\sqrt3}6\bigr)$、双曲線では $\bigl(\frac{x_0}4,-\frac{y_0}{12}\bigr)=\bigl(\frac58,-\frac{\sqrt3}8\bigr)$ である。内積は $\frac1{16}-\frac3{48}=0$ で、2 本の接線は直交する。

焦点 !FORMULA[643][-1147336546][0] を共有する楕円(青)と双曲線(橙)の族。どの楕円とどの双曲線も直角に交わることを見る図。太線は楕円 !FORMULA[644][-428618344][0] と双曲線 !FORMULA[645][1236640159][0] で、点 !FORMULA[646][37112][0] で直交する。 焦点 $(\pm4,0)$ を共有する楕円(青)と双曲線(橙)の族。どの楕円とどの双曲線も直角に交わることを見る図。太線は楕円 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}{9}=1$ と双曲線 $\frac{x^2}{4}-\frac{y^2}{12}=1$ で、点 $P$ で直交する。

例と反例

反射の性質と直交の性質は、仮定を外すと次のように崩れる。

外した仮定崩れる主張ボックス
光源が焦点にある(楕円)反射光がすべて 1 点(もう一方の焦点)を通るex-trc-not-focus
光が軸に平行に進む(放物線)反射光が焦点を通るex-trc-not-parallel
直線が接点での接線である直線上で接点以外の点では 2 つの焦点までの距離の和が $2a$ より大きいex-trc-chord
楕円と双曲線が焦点を共有する交点で 2 本の接線が直交するex-trc-not-confocal
反例:焦点でない点から出た光

楕円 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}9=1$ で、焦点でない点 $G(2,0)$ から光を出す。

  1. $P(0,3)$ に向かう光:接線は $y=3$ で、向き $(-2,3)$ を折り返すと $(-2,-3)$ になる(ex-trc-reflection の 1)。反射光は $(0,3)+t(-2,-3)$ で、$t=1$ のとき $x$ 軸上の点 $(-2,0)$ を通る。
  2. $P\bigl(3,\frac{12}5\bigr)$ に向かう光:接線 $9x+20y=75$ で向き $\bigl(1,\frac{12}5\bigr)$ を折り返し、反射光が $x$ 軸と交わる点を求めると $x=\frac{862}{469}\approx1.84$ である。
    2 本の反射光は $x$ 軸上の違う点を通るので、1 点には集まらない。焦点から出るという仮定を外すと、「反射光がすべてもう一方の焦点を通る」という主張が崩れる。
反例:軸に平行でない光

放物線 $y^2=4x$ に、向き $\boldsymbol d=(-2,1)$ の平行な光を当てる。

  1. $P(4,4)$(接線 $x-2y+4=0$、$\boldsymbol m=(1,-2)$):$\boldsymbol d\cdot\boldsymbol m=-4$ なので、反射光の向きは $(-2,1)+\frac85(1,-2)=\bigl(-\frac25,-\frac{11}5\bigr)$ である。この向きで $P$ を通る直線と $F(1,0)$ の距離は $\sqrt5$ で、焦点を通らない。
  2. $P(1,-2)$(接線 $x+y+1=0$、$\boldsymbol m=(1,1)$):$\boldsymbol d\cdot\boldsymbol m=-1$ なので、反射光の向きは $(-2,1)+(1,1)=(-1,2)$ で、直線 $(1-t,\ -2+2t)$ は $x=1$ のとき $y=-2$ なので $F$ を通らない($F$ との距離は $\frac2{\sqrt5}$)。
    どちらの点でも $H-P$ の向きは $(-1,0)$ で、prop-trc-parabola の段 3 の「光の向きが $H-P$ の正の数倍」が成り立たない。軸に平行という仮定を外すと、「反射光が焦点を通る」という主張が崩れる。
反例:接線でない直線

楕円 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}9=1$ の点 $P\bigl(3,\frac{12}5\bigr)$ と $(-5,0)$ を結ぶ弦を考える。弦の中点 $Q\bigl(-1,\frac65\bigr)$ では $g(Q)=\frac1{25}+\frac{36/25}9=\frac1{25}+\frac4{25}=\frac15<1$ で楕円の内部にあり、
$$ QF+QF'=\sqrt{25+\frac{36}{25}}+\sqrt{9+\frac{36}{25}}=\frac{\sqrt{661}+3\sqrt{29}}5\approx8.37<10 $$
である。$P$ を通る直線が接線でないと、lem-trc-outside の結論(接点以外は外部)が成り立たず、「直線上では接点で距離の和が最小($2a$)」という thm-trc-ellipse の 1 が崩れる。

反例:焦点を共有しない楕円と双曲線

楕円 $\frac{x^2}{25}+\frac{y^2}9=1$(焦点 $(\pm4,0)$)と双曲線 $x^2-y^2=1$(焦点 $(\pm\sqrt2,0)$)の交点を求める。$x^2=1+y^2$ を入れて $225$ 倍すると $9+9y^2+25y^2=225$ で、$y^2=\frac{108}{17}$、$x^2=\frac{125}{17}$ である。接線の法線ベクトル $\bigl(\frac{x_0}{25},\frac{y_0}9\bigr)$ と $(x_0,-y_0)$ の内積は
$$ \frac{x_0^2}{25}-\frac{y_0^2}9=\frac5{17}-\frac{12}{17}=-\frac7{17}\ne0 $$
で、接線は直交しない。焦点を共有するという仮定を外すと、cor-trc-confocal の直交が崩れる。

大学数学で見る:勾配とビリヤード

勾配で見た反射の性質

楕円は関数 $f(X)=XF+XF'$ の等高線 $f=2a$ である。多変数の微分では、関数の勾配(各変数での微分を並べたベクトル)は等高線に垂直であり、$f$ の勾配は $F$ から $X$ への向きの単位ベクトルと $F'$ から $X$ への向きの単位ベクトルの和になる。2 つの単位ベクトルの和は、それらのなす角を 2 等分する向きなので、法線が $\angle FXF'$ を 2 等分し、thm-trc-ellipse の 2 が出る(Tab05 第 4 章 Lemma 4.2 の証明)。双曲線 $XF-XF'=\pm2A$ の勾配は 2 つの単位ベクトルの差で、和と差は直交するので、共焦点の楕円と双曲線は直交する(同書の同じ章。cor-trc-confocal の別証明)。勾配が等高線に垂直であることは、この記事では証明しない(偏微分 を参照)。高校数学の範囲では、陰関数の微分 の「大学数学で見ると:法線ベクトルと接線」が同じ見方を $F(x,y)=0$ の形の曲線で述べている。

楕円の法線は角を 2 等分する:単位ベクトルで確かめる

ex-trc-start-ellipse の $P\bigl(3,\frac{12}5\bigr)$ で、$F$ から $P$ への単位ベクトルは $\frac{P-F}{PF}=\frac5{13}\bigl(-1,\frac{12}5\bigr)=\bigl(-\frac5{13},\frac{12}{13}\bigr)$、$F'$ から $P$ への単位ベクトルは $\frac5{37}\bigl(7,\frac{12}5\bigr)=\bigl(\frac{35}{37},\frac{12}{37}\bigr)$ である。和は
$$ \Bigl(\frac{-185+455}{481},\ \frac{444+156}{481}\Bigr)=\Bigl(\frac{270}{481},\ \frac{600}{481}\Bigr)=\frac{30}{481}(9,20) $$
で、接線 $9x+20y=75$ の法線ベクトル $(9,20)$ の正の数倍である。

楕円のビリヤード

楕円の形の台でボールを転がし、壁で反射の法則どおりに跳ね返らせる(楕円のビリヤード)。軌道の線分が 2 つの焦点を結ぶ線分と交わらなければ、すべての線分が同じ共焦点の楕円に接し、交われば、すべての線分が同じ共焦点の双曲線に接する(Tab05 第 4 章 Theorem 4.4。この記事では証明しない)。焦点を通る軌道は、thm-trc-ellipse により次にもう一方の焦点を通る。このように、軌道がいつまでも 1 つの曲線に接し続けることは、楕円のビリヤードが「可積分」と呼ばれる性質をもつことの表れである。

さらに先へ

  • 楕円・双曲線の焦点が、円錐に内接する球(Dandelin の球)と切る平面の接点として立体の中に見えることは、円錐の切り口としての2次曲線 で扱う。この記事の証明はすべて「焦点までの距離の和(差)が一定」という性質から出発しているので、円錐の切り口として得た楕円・双曲線にもそのまま当てはまる。
  • 双曲線の反射の性質は、SH16 §7.5 では「一方の焦点に向かう光が双曲線の鏡で他方の焦点に向かって反射される」という形で述べられている。これは thm-trc-hyperbola の 2 で光の向きを逆にしたものである。
  • 実軸に関する折り返しを複素数で書くと $z\mapsto\overline z$ で、円を円に移すが、$\frac{az+b}{cz+d}$ の形の 1 次分数変換ではない(複比を共役に変える)。この違いは 1次分数変換(高校数学) の反例「共役をとる変換」で見る。
  • 鋭角三角形に内接する三角形で周が最小のものを求める問題も、辺で折り返して一直線にする考え方で解ける(Fagnanoの問題)。

関連項目

参考文献

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