有限次拡大(finite field extension)とは、拡大体を基礎体上のベクトル空間とみた次元が有限の体の拡大である。次数は中間体を通る塔で積となる。最小多項式を使う一元拡大の次数、有限次なら代数的であること、代数拡大や有限生成拡大の逆向きが成り立たない例を説明し、有限体と数体へのつながりを示す。
体 $K$ を含む体 $L$ では、$L$ の元を足し、$K$ の元を掛けられる。したがって $L$ は $K$ 上のベクトル空間になる。この次元が有限のとき、$L/K$ を有限次拡大(finite field extension)という。「有限」とは $L$ の元が有限個であるという意味ではない。たとえば $\mathbb C/\mathbb R$ は 2 次拡大だが、$\mathbb C$ には無限個の元がある。
有限次拡大では、無限に見える $L$ の元の計算を有限個の基底に還元できる。また $K\subset M\subset L$ と中間の体を挟めば、拡大次数は掛け算になる。この性質が代数的な元の次数、有限体、数体、Galois 理論を結ぶ(StacksFinite Definition 9.7.1, Lemma 9.7.7)。
$L/K$ を体の拡大とする。$L$ を $K$ 上のベクトル空間とみた次元を拡大次数 $[L:K]$ と書く。$[L:K]<\infty$ のとき $L/K$ を有限次拡大という。次数が $n$ なら、$L$ の元 $u_1,\ldots,u_n$ を選び、どの $x\in L$ も一意に
$$
x=a_1u_1+\cdots+a_nu_n\qquad(a_1,\ldots,a_n\in K)
$$
と書ける。
$[K:K]=1$ であり、逆に $[L:K]=1$ なら $L=K$ である。実際、$1\in L$ は $K$ 上の非零ベクトルなので、1 次元ならすべての元が $a\cdot1$ と書ける。$\mathbb C=\mathbb R\oplus i\mathbb R$ より $[\mathbb C:\mathbb R]=2$ である。一方、$\mathbb Q(\sqrt2)$ は基底 $1,\sqrt2$ を持つため $[\mathbb Q(\sqrt2):\mathbb Q]=2$ となる。後者で $\sqrt2$ が $\mathbb Q$ に属さないことは、この二元が線形独立であることと同じである。
$f\in K[T]$ を次数 $d\ge1$ の既約多項式とする。商環 $L=K[T]/(f)$ は体である。この体における $T$ の剰余類を $\alpha$ と書けば、$L=K(\alpha)$ であり、$1,\alpha,\ldots,\alpha^{d-1}$ が $K$ 上の基底になる。従って $[K(\alpha):K]=d$ である。
多項式の割り算により、任意の剰余類は次数 $d$ 未満の多項式で表せるので、この $d$ 個は $L$ を張る。もし線形従属なら、$f$ より低い次数の非零多項式が $(f)$ に入ってしまう。これで独立性も分かる。一般の代数的な元 $\alpha$ については $f$ をその最小多項式とすればよい(StacksFinite Example 9.7.6)。
たとえば $f(T)=T^3-2$ は $\mathbb Q$ 上既約である。実際、整数係数は最高次以外すべて $2$ で割り切れ、定数項 $-2$ は $4$ で割り切れないから、素数 $2$ に関する Eisenstein の判定法が適用できる。したがって $\mathbb Q(\sqrt[3]{2})$ の基底は $1,\sqrt[3]{2},\sqrt[3]{4}$ で、次数は 3 である。この体は無限集合でも、$\mathbb Q$ 上では三つの座標で元を記述できる。
$K\subset M\subset L$ を体の塔とする。$L/M$ と $M/K$ がともに有限次なら $L/K$ も有限次で、
$$
[L:K]=[L:M][M:K]
$$
が成り立つ。逆に $L/K$ が有限次なら、この塔の両段も有限次で、同じ公式が成り立つ。
$u_1,\ldots,u_r$ を $L$ の $M$ 上の基底、$v_1,\ldots,v_s$ を $M$ の $K$ 上の基底とする。$x\in L$ を $x=\sum_i b_i u_i$、さらに $b_i=\sum_j a_{ij}v_j$($a_{ij}\in K$)と展開すれば、$rs$ 個の積 $u_iv_j$ が $L$ を $K$ 上で張る。
$\sum_{i,j}a_{ij}u_iv_j=0$ とすると、$u_i$ の $M$ 上の独立性から各 $i$ について $\sum_j a_{ij}v_j=0$。続いて $v_j$ の $K$ 上の独立性から $a_{ij}=0$ となる。ゆえに積は基底であり、次数は $rs$ である。
逆に $[L:K]<\infty$ なら $M\subset L$ は $K$ 上の部分空間なので $[M:K]<\infty$。また $L$ の有限個の $K$ 上の基底は $M$ 上でも $L$ を張るので $[L:M]<\infty$。すでに示した公式を適用できる。$\square$
塔の公式は、与えられた拡大を段階的に作る計算にも、中間体の取り得る次数を絞る議論にも使う。後者については具体例の後で述べる。
$L/K$ が有限次なら、$L$ のすべての元は $K$ 上代数的である。さらに $L$ は有限個の代数的な元で $K$ 上生成される。逆に、有限個の代数的な元で生成される拡大は有限次である。
$[L:K]=n$ とし、$\alpha\in L$ を取る。$1,\alpha,\ldots,\alpha^n$ は $n+1$ 個のベクトルなので $K$ 上線形従属である。従って $\alpha$ を根とする非零の $K$ 係数多項式がある。$L$ の有限個の $K$ 上の基底 $u_1,\ldots,u_n$ はそれぞれ代数的で、$L=K(u_1,\ldots,u_n)$ である。
逆に $L=K(\alpha_1,\ldots,\alpha_m)$ で各 $\alpha_i$ が $K$ 上代数的なら、塔 $K\subset K(\alpha_1)\subset\cdots\subset L$ を作る。$K$ 上の代数的元は各中間体上でも代数的で、各一元拡大の次数は有限である。塔の公式を繰り返せば $[L:K]<\infty$ を得る。$\square$
この証明は次数の上界も与える。各 $\alpha_i$ の $K$ 上の最小多項式の次数を $d_i$ とすれば、$\alpha_i$ の直前の中間体上の最小多項式はその $K$ 上の最小多項式を割るので、各段の次数は $d_i$ 以下である。ゆえに
$$
[K(\alpha_1,\ldots,\alpha_m):K]\le d_1\cdots d_m.
$$
等号は常に成り立つわけではない。たとえば $\alpha_1=\sqrt2$ と $\alpha_2=\sqrt8$ はどちらも $\mathbb Q$ 上 2 次の元だが、$\sqrt8=2\sqrt2$ なので合成した体の次数は 2 であり、$2\cdot2=4$ より小さい。この「後から加える元の次数は、すでに作った体上で測る」という点が、塔の公式の実際の使い方である。
代数拡大が必ず有限次とは限らない。たとえば $\overline{\mathbb Q}/\mathbb Q$ は代数拡大だが無限次である。もし有限次 $n$ なら、すべての $m$ について $\mathbb Q(\sqrt[m]{2})$ がその部分体となり、次数 $m$ が $n$ を割る必要がある。しかし $T^m-2$ は Eisenstein の判定法で既約なので、次数 $m$ を任意に大きくでき、矛盾する。個々の元が有限次の一元拡大を作ることと、全体が一つの有限次拡大であることは異なる(StacksAlgebraic Lemma 9.8.5)。
他方、有限生成な体の拡大が必ず有限次とも限らない。有理関数体 $K(t)$ は一元 $t$ で体として生成されるが、$t$ が超越的なら $1,t,t^2,\ldots$ は $K$ 上線形独立である。従って $K(t)/K$ は無限次である(StacksFinite Example 9.7.4, Lemma 9.7.5)。ここで「有限生成」は体としての生成元の個数、「有限次」はベクトル空間としての基底の個数を数える。
$M=\mathbb Q(\sqrt2)$、$L=\mathbb Q(\sqrt2,\sqrt3)$ とする。$[M:\mathbb Q]=2$ であり、$\sqrt3\notin M$ だから $[L:M]=2$。塔の公式から $[L:\mathbb Q]=4$ で、
$$
1,\quad\sqrt2,\quad\sqrt3,\quad\sqrt6
$$
は $L$ の $\mathbb Q$ 上の基底となる。たとえば $(1+\sqrt2)(2-\sqrt3)=2+2\sqrt2-\sqrt3-\sqrt6$ はこの座標で表せる。
ここで $\sqrt3\notin M$ を確かめる。もし $\sqrt3=a+b\sqrt2$($a,b\in\mathbb Q$)なら、二乗して $3=a^2+2b^2+2ab\sqrt2$ だから $ab=0$ である。$b=0$ なら $a^2=3$、$a=0$ なら $b^2=3/2$ となるが、どちらも有理数の平方にはならない。従って二段目の次数は確かに 2 である。一般に、塔の各段で新しい元の最小多項式をその段の基礎体上で調べれば、全体の次数を掛け算で求められる。
この例は「二つの 2 次拡大を並べれば必ず 4 次」と言っているわけではない。$\mathbb Q(\sqrt2,\sqrt8)=\mathbb Q(\sqrt2)$ では二つ目の元はすでに最初の体に属するので、次数は 2 のままである。$\sqrt8=2\sqrt2$ と計算すればすぐに分かる。塔の公式に入れる二段目の次数は、追加した記号の見かけでは決まらない。
$L/K$ を有限次拡大、$K\subset M\subset L$ を中間体とする。このとき $[M:K]$ と $[L:M]$ は $[L:K]$ の正の約数である。特に $[L:K]$ が素数なら、中間体は $K$ または $L$ だけである。
塔の公式で二つの正整数の積 $[L:M][M:K]$ が $[L:K]$ になるため、両因子はその正の約数である。$[L:K]$ が素数なら、二因子のいずれかが 1 になる。次数 1 の拡大は二つの体が等しいことを意味するので、$M=K$ または $M=L$ である。$\square$
ただし次数 4 の拡大から次数 2 の中間体が必ず得られる、といった逆向きの推論はこの命題には含まれない。約数であることは存在した中間体への制約であり、存在定理ではない。
有限次拡大は代数的だが、分離拡大であるとは限らない。標数 $p>0$ では、最小多項式が重根を持つことがある。これを無視して「有限次なら複素数への埋め込みが次数と同じ個数ある」と一般化すると誤りになる。
$p$ を素数とし、$K=\mathbb F_p(t)$ を一つの不定元 $t$ の有理関数体とする。$\alpha^p=t$ を満たす元を加えて $L=K(\alpha)$ と置くと、$[L:K]=p$ だが $L/K$ は分離拡大でない。
$t$ が $K$ の $p$ 乗元でないことは、$t$ の零点における次数を見れば分かる。有理関数の $p$ 乗の零点の次数は $p$ の倍数だが、$t$ の零点の次数は 1 である。標数 $p$ で $p$ 乗根を持たない元 $t$ に対し $X^p-t$ は既約である(StacksInseparable Lemma 9.14.2)。よってこれが $\alpha$ の最小多項式で、次数は $p$ となる。一方、その形式微分は $pX^{p-1}=0$ なので、代数閉包では $X^p-t=(X-\alpha)^p$ と重根だけを持つ。有限次という次元条件は、根が互いに異なるという分離性を保証しない。
標数 0 の有限次拡大では、既約多項式とその微分に共通因子がないので、すべての元は分離的である。従って数体ではこの非分離現象は起きない。有限分離拡大には原始元定理が適用でき、一つの元 $\theta$ で $L=K(\theta)$ と書ける(StacksPrimitive Lemma 9.19.1)。一般の有限次拡大については、有限個の生成元は取れても一つに減らせるとは限らない。
$K$ が $q$ 個の元を持つ有限体で $[L:K]=n$ なら、$K$ 上の基底による表示から $L$ の元はちょうど $q^n$ 個である。基底 $u_1,\ldots,u_n$ に対して各係数を $K$ の $q$ 通りから独立に選べるからである。たとえば $T^2+T+1$ は $\mathbb F_2$ 上に根を持たないので既約で、
$$
\mathbb F_4=\mathbb F_2[T]/(T^2+T+1)
$$
は $\mathbb F_2$ の 2 次拡大である。$\alpha=T\bmod(T^2+T+1)$ とすると四つの元は $0,1,\alpha,1+\alpha$ で、$\alpha^2=\alpha+1$ が計算規則になる。この場合は「有限次」から体の元の個数も有限になる。$K$ が無限のときには、この結論を元の個数について読んではいけない。
この構成を直接確かめると、$T^2+T+1$ は $T=0$ でも $T=1$ でも値が 1 なので、$\mathbb F_2$ 上に根がない。2 次多項式が可約なら 1 次因子を持ち、根が存在するはずだから、これは既約である。商環は従って体となる。多項式の割り算により剰余類は $a+b\alpha$($a,b\in\mathbb F_2$)の形に一意に書けるため、元の個数が $2^2=4$ であることも構成から確認できる。
一方、$\mathbb Q$ の有限次拡大を数体という。数体の次数はその加法的な座標の個数を表すが、体の元の個数は無限である。標数 0 では有限次拡大は分離的なので、数体から $\mathbb C$ への $\mathbb Q$ 上の埋め込みの個数は拡大次数に等しい。有限次拡大からさらに正規性を加えると、Galois拡大の枠組みに進む。
有限次拡大 $L/K$ では、任意の $\alpha\in L$ について「$\alpha$ を掛ける」写像
$$
m_\alpha\colon L\longrightarrow L,\qquad x\longmapsto\alpha x
$$
が $K$ 線形である。$K$ 上の基底を選べば $m_\alpha$ は有限正方行列になる。基底を替えると行列は相似になるため、そのトレースと行列式は基底に依存しない。これらをそれぞれ $\operatorname{Tr}_{L/K}(\alpha)$、$N_{L/K}(\alpha)$ と呼ぶ。有限次であることにより、無限集合 $L$ 上の乗法を有限次元線形代数で調べられる(StacksTraceNorm Definition 9.20.1)。
$L=\mathbb Q(\sqrt2)$、$K=\mathbb Q$ とし、$\alpha=a+b\sqrt2$($a,b\in\mathbb Q$)を取る。基底 $1,\sqrt2$ に関する $m_\alpha$ の行列は
$$
\begin{pmatrix}a&2b\\ b&a\end{pmatrix}
$$
である。従って $\operatorname{Tr}_{L/K}(\alpha)=2a$、$N_{L/K}(\alpha)=a^2-2b^2$ となる。
この行列の第 1 列は $\alpha\cdot1=a+b\sqrt2$ の係数で、第 2 列は $\alpha\sqrt2=2b+a\sqrt2$ の係数である。$\alpha\ne0$ なら $m_\alpha$ は逆写像 $m_{\alpha^{-1}}$ を持つので $N_{L/K}(\alpha)\ne0$。$a^2-2b^2$ は共役な二元 $(a+b\sqrt2)(a-b\sqrt2)$ の積とも一致する。一般の有限次拡大でもノルムは乗法的で、体の塔に沿って合成できる(StacksTraceNorm Lemma 9.20.5)。
トレースとノルムを使うと、拡大体の元を基礎体の元へ戻して比べられる。たとえば $\mathbb Q(\sqrt2)$ の元の逆数は
$$
(a+b\sqrt2)^{-1}=\frac{a-b\sqrt2}{a^2-2b^2}
$$
と書ける。分母が $\mathbb Q$ に属し、零でないことはノルムの説明から分かる。この単純な計算は、代数的整数のノルム、数体の単元、判別式へ進む際の入口になる。
この記事の命題の仮定を一つずつ外すと、次のように結論が崩れる。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| 有限個の元で生成されること | $\overline{\mathbb Q}/\mathbb Q$ | 代数拡大が有限次であること |
| 生成元が代数的であること | $K(t)/K$ | 体として有限生成な拡大が有限次であること |
| 後から加える元の次数を $K$ 上で測ってよいこと | $\mathbb Q(\sqrt2,\sqrt8)$ | $[K(\alpha_1,\ldots,\alpha_m):K]=d_1\cdots d_m$ |
| 分離性(原始元定理) | $\mathbb F_p(s,t)\subset\mathbb F_p(s^{1/p},t^{1/p})$ | 有限次拡大が一つの元で生成されること |
| 分離性(埋め込みの個数) | $\mathbb F_p(t)\subset\mathbb F_p(t)(t^{1/p})$ | 代数閉体への $K$ 上の埋め込みが次数と同じ個数あること |
節「有限次と代数的の違い」で見たとおり、$\overline{\mathbb Q}/\mathbb Q$ はすべての元が代数的だが無限次である。命題「有限次拡大は代数拡大」の逆向きの主張は、生成元が有限個であることを使っており、$\overline{\mathbb Q}$ はこの仮定を破る(有限個の代数的な元で生成されていれば有限次になるはずなので、$\overline{\mathbb Q}$ は体として有限生成でない)。
$K(t)/K$($t$ は超越的)は一元で生成されるが、$1,t,t^2,\ldots$ が $K$ 上線形独立なので無限次である。破る仮定は「生成元が $K$ 上代数的」であり、証明で使った「$K$ 上の代数的元の一元拡大は有限次」の段が働かない。
$\alpha_1=\sqrt2$、$\alpha_2=\sqrt8$ はどちらも $\mathbb Q$ 上の最小多項式が $2$ 次($X^2-2$、$X^2-8$ は有理数の根を持たない)なので、$d_1d_2=4$ である。しかし $\sqrt8=2\sqrt2\in\mathbb Q(\sqrt2)$ だから $\mathbb Q(\sqrt2,\sqrt8)=\mathbb Q(\sqrt2)$ で、次数は $2$ である。二段目の $\sqrt8$ の $\mathbb Q(\sqrt2)$ 上の最小多項式は $X-2\sqrt2$ で、$\mathbb Q$ 上の最小多項式 $X^2-8$ はこの体上で既約でない。破る仮定は「各段で、加える元の最小多項式が直前の中間体上でも既約」であり、崩れるのは不等式 $[K(\alpha_1,\ldots,\alpha_m):K]\le d_1\cdots d_m$ の等号である。
埋め込みの個数。 例「$p$ 次の非分離拡大」の $L=\mathbb F_p(t)(\alpha)$、$\alpha^p=t$ を考え、$\Omega$ を $L$ の代数閉包とする。$K=\mathbb F_p(t)$ 上の埋め込み $\sigma:L\to\Omega$ は $\sigma(\alpha)^p=\sigma(t)=t$ を満たすので、$\sigma(\alpha)$ は $X^p-t=(X-\alpha)^p$ の根、つまり $\alpha$ に限る。$L=K(\alpha)$ なので $\sigma$ は包含写像ただ一つで、個数 $1$ は次数 $p$ より小さい。破る仮定は「分離的」である。
原始元。 $K=\mathbb F_p(s,t)$($s,t$ は独立な不定元)、$u^p=s$、$v^p=t$ として $L=K(u,v)$ とする。$s$ は $K$ で $p$ 乗元でない($\mathbb F_p(t)$ 上の一変数有理関数体で $s$ の零点の次数が $1$)ので、例「$p$ 次の非分離拡大」と同じ理由で $[K(u):K]=p$ である。$K(u)=\mathbb F_p(u,t)$ の中でも $t$ は $p$ 乗元でない($\mathbb F_p(u)$ 上の一変数有理関数体で $t$ の零点の次数が $1$)ので $[L:K(u)]=p$、塔の公式で $[L:K]=p^2$ である。一方、任意の $\theta\in L$ は $u,v$ の $\mathbb F_p$ 係数の有理式で、標数 $p$ では $(x+y)^p=x^p+y^p$、$a^p=a$($a\in\mathbb F_p$)なので $\theta^p$ は $u^p=s$、$v^p=t$ の有理式となり $K$ に属する。従って $\theta$ は $X^p-\theta^p\in K[X]$ の根で $[K(\theta):K]\le p< p^2$ となり、$L=K(\theta)$ となる $\theta$ はない。破る仮定は「分離的」、崩れる結論は原始元定理の「一つの元で生成される」である。
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