Hjelmslevの定理

同義語:イェルムスレウの定理Hjelmslev's theorem

概要

Hjelmslevの定理(Hjelmslev's theorem)とは、平面の合同変換 $f$ と直線 $\ell$ について、点 $P$ が $\ell$ の上を動くとき、$P$ と $P'=f(P)$ を結ぶ線分の中点は、互いに異なってすべて 1 本の直線の上にあるか、すべて同じ 1 点に重なる、という定理である。複素数で $f(z)=az+b$ または $f(z)=a\overline z+b$($\lvert a\rvert=1$)と書くと、中点が媒介変数の 1 次式になることから従う。1 点に重なるのは、$f$ が点対称移動のときと、$f$ が鏡映またはすべり鏡映でその軸が $\ell$ と垂直なときである。回転では中点の直線は $\ell$ を回転相似で移したもの、鏡映・すべり鏡映では軸そのものになる。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 平面の合同変換の分類, 複素数の掛け算は回転と拡大, 中点連結定理, ベクトル方程式(直線と円)

高校での出発点:動かした点ともとの点の中点

図形を回転させると、もとの図形と動かした図形が重なり合わずに並ぶ。もとの図形の点 $P$ と、それが移った先の点 $P'$ を線分で結び、その中点をとってみる。$P$ が 1 本の直線の上を動くとき、中点はどんな図形をえがくだろうか。

直線 $y=1$ を $90^\circ$ 回転させる

原点を中心とする $90^\circ$ の回転は、点 $(x,y)$ を点 $(-y,x)$ に移す(複素数の掛け算は回転と拡大:$z=x+yi$ に $i$ を掛けると $iz=-y+xi$)。直線 $\ell\colon y=1$ の上の点 $P(t,1)$($t$ は実数)は、点 $P'(-1,t)$ に移る。$P'$ は直線 $m\colon x=-1$ の上を動く。
いくつかの $t$ で、線分 $PP'$ の中点 $M$ を計算する。

  • $t=0$:$P(0,1)$、$P'(-1,0)$、$M\left(-\dfrac12,\dfrac12\right)$
  • $t=1$:$P(1,1)$、$P'(-1,1)$、$M(0,1)$
  • $t=3$:$P(3,1)$、$P'(-1,3)$、$M(1,2)$
    3 つの中点は、どれも直線 $y=x+1$ の上にある。一般の $t$ では
    $$ M=\left(\frac{t+(-1)}2,\ \frac{1+t}2\right)=\left(\frac{t-1}2,\ \frac{t+1}2\right) $$
    で、$y$ 座標から $x$ 座標を引くと $\dfrac{t+1}2-\dfrac{t-1}2=1$ である。よって、すべての中点は直線 $y=x+1$ の上にある。しかも $t$ が違えば $x$ 座標 $\dfrac{t-1}2$ も違うので、中点は互いに異なる。

中点の $x$ 座標と $y$ 座標が、どちらも $t$ の 1 次式になった。これが一直線に並んだ理由である。この記事で答える問いは次の 3 つである。

  1. 回転以外の動かし方(平行移動・鏡映・すべり鏡映)でも、中点は一直線に並ぶか。→ thm-hj-main
  2. 中点がすべて 1 点に重なってしまうのは、どんなときか。→ thm-hj-main、ex-hj-point
  3. 中点の並ぶ直線は、どこにあるか。→ prop-hj-where、cor-hj-triangle
    高校の計算この記事の言葉大学の言葉
    回転・鏡映を複素数の式で書く合同変換の式 $az+b$、$a\overline z+b$直交変換と平行移動
    直線を $z_0+tw$ と書く直線の媒介変数表示1 次元のアフィン部分空間
    中点 $\dfrac{z+f(z)}2$ が $t$ の 1 次式Hjelmslev の定理アフィン写像は直線を直線か 1 点に移す
    中点の直線の場所回転相似・すべり鏡映の軸アフィン写像の像

言葉の準備:合同変換の式と中点の写像

平面の点を複素数で表す(点 $(x,y)$ を $z=x+yi$ で表す)。2 点の距離を変えない平面の写像を 合同変換 という。合同変換は平行移動・回転・鏡映・すべり鏡映のどれか(または恒等写像)で、複素数を使うと次の 2 つの形のどちらかに書ける(平面の合同変換の分類 の定理「合同変換の式」)。$a$ は絶対値 $1$ の複素数、$b$ は複素数である。
$$ \text{(I)}\ \ f(z)=az+b\qquad\text{または}\qquad\text{(II)}\ \ f(z)=a\overline z+b $$
(I) は向きを保つ合同変換(平行移動・回転・恒等写像)、(II) は向きを逆にする合同変換(鏡映・すべり鏡映)である。

合同変換の式の例
  1. 原点を中心とする $90^\circ$ の回転は $f(z)=iz$ で、(I) の形($a=i$、$b=0$)である。
  2. 点 $c$ を中心とする角 $\theta$ の回転は $f(z)=c+e^{i\theta}(z-c)=e^{i\theta}z+(1-e^{i\theta})c$ で、(I) の形である。$\theta=180^\circ$ なら $e^{i\theta}=-1$ で $f(z)=-z+2c$ となり、これは $c$ に関する点対称移動である。
  3. 直線 $y=x$ に関する鏡映は、点 $(x,y)$ を点 $(y,x)$ に移す。$z=x+yi$ に対して $y+xi=i(x-yi)=i\overline z$ なので、$f(z)=i\overline z$ で、(II) の形($a=i$、$b=0$)である。
  4. 実軸に関する鏡映 $z\mapsto\overline z$ の後に $2$ だけ平行移動する写像 $f(z)=\overline z+2$ は、実軸を軸とするすべり鏡映で、(II) の形である。

直線は、1 点 $z_0$ と $0$ でない複素数 $w$(直線の向き)を使って、$z=z_0+tw$($t$ は実数)と書ける。これは直線のベクトル方程式 $\vec p=\vec p_0+t\vec d$ を複素数で書いたものである(ベクトル方程式(直線と円))。ex-hj-start の直線 $y=1$ は $z_0=i$、$w=1$ で、$z=i+t$ である。

対応する点の中点の写像

平面の合同変換 $f$ に対して、点 $z$ を、$z$ と $f(z)$ を結ぶ線分の中点に移す写像
$$ h_f(z)=\frac{z+f(z)}2 $$
を、$f$ の 中点の写像 と呼ぶことにする。$f(z)=z$ となる点($f$ で動かない点)では、$h_f(z)=z$ とする(線分が 1 点につぶれた場合の中点)。

2 点 $z_1$、$z_2$ を結ぶ線分の中点が $\dfrac{z_1+z_2}2$ であることは、位置ベクトルの中点の公式を複素数で書いたものである(位置ベクトルと内分点)。

同じ対応が 2 つの合同変換から来る

$x$ 軸の上の点 $P(t,0)$ を考える。
(1) 原点を中心とする $90^\circ$ の回転 $f_1(z)=iz$ で、$P$ は $(0,t)$ に移る。
(2) 直線 $y=x$ に関する鏡映 $f_2(z)=i\overline z$ でも、$P$ は $(0,t)$ に移る($t$ は実数なので $\overline t=t$)。
どちらでも、$x$ 軸の点 $P(t,0)$ と $y$ 軸の点 $P'(0,t)$ が対応し、中点は $\left(\dfrac t2,\dfrac t2\right)$ で、直線 $y=x$ の上を動く。
1 本の直線の上の点の行き先だけでは、合同変換は 1 つに決まらない。平面全体では $f_1$ と $f_2$ は違う写像で、たとえば点 $i$ は $f_1$ で $-1$ に、$f_2$ で $i\cdot(-i)=1$ に移る。合同変換が決まるには、一直線上にない 3 点の行き先が要る(平面の合同変換の分類 の系「合同変換は 3 点の行き先で決まる」)。

主定理:中点は一直線に並ぶか、1 点に重なる

Hjelmslev の定理

平面の合同変換 $f$ と直線 $\ell$ をとる。点 $P$ が $\ell$ の上を動くとき、$P$ と $P'=f(P)$ を結ぶ線分の中点について、次のどちらか一方が成り立つ。
(R1) 中点は互いに異なり、すべて 1 本の直線の上にある。
(R2) 中点はすべて同じ 1 点である。
$\ell$ を $z=z_0+tw$($w\ne0$)と書くとき、条件 (ii) が起こるのは、$f$ が (I) の形 $f(z)=az+b$ で $a=-1$(点対称移動)のときと、$f$ が (II) の形 $f(z)=a\overline z+b$ で $w+a\overline w=0$ のときに限る。

この形の主張は Wei26 にある。証明は、ex-hj-start で見た「中点の座標が $t$ の 1 次式になる」ことを、合同変換の式で一般に確かめるだけである。

中点を $t$ の 1 次式で書く

方針:$\ell$ の点を $z=z_0+tw$ と書き、中点 $h_f(z)=\dfrac{z+f(z)}2$ を計算する。どちらの形の $f$ でも、中点は $c+td$($c$、$d$ は $t$ によらない複素数)の形になる。
段 1((I) の形)。$f(z)=az+b$ のとき、$z=z_0+tw$ を代入すると $f(z)=az_0+b+t\,aw$ なので
$$ h_f(z)=\frac{(z_0+tw)+(az_0+b+t\,aw)}2=\underbrace{\frac{(1+a)z_0+b}2}_{c}+t\cdot\underbrace{\frac{(1+a)w}2}_{d} $$
である。
段 2((II) の形)。$f(z)=a\overline z+b$ のとき、$t$ は実数なので $\overline{z}=\overline{z_0}+t\,\overline w$ である(実数 $t$ の共役は $t$ 自身)。よって $f(z)=a\overline{z_0}+b+t\,a\overline w$ で
$$ h_f(z)=\frac{(z_0+tw)+(a\overline{z_0}+b+t\,a\overline w)}2=\underbrace{\frac{z_0+a\overline{z_0}+b}2}_{c}+t\cdot\underbrace{\frac{w+a\overline w}2}_{d} $$
である。
段 3($d\ne0$ の場合)。中点は $c+td$ で、$t$ が実数全体を動くと、これは点 $c$ を通り向き $d$ の直線をえがく(ベクトル方程式(直線と円))。$t_1\ne t_2$ なら $(c+t_1d)-(c+t_2d)=(t_1-t_2)d\ne0$ なので、中点は互いに異なる。これが (i) である。
段 4($d=0$ の場合)。中点は $t$ によらず $c$ で、すべて同じ 1 点である。これが (ii) である。
段 5($d=0$ になる条件)。(I) の形では $d=\dfrac{(1+a)w}2$ で、$w\ne0$ なので、$d=0$ は $1+a=0$、つまり $a=-1$ と同じである。$a=-1$ のとき $f(z)=-z+b$ は点 $\dfrac b2$ に関する点対称移動である(ex-hj-formulas の (2) で $c=\dfrac b2$)。(II) の形では $d=\dfrac{w+a\overline w}2$ なので、$d=0$ は $w+a\overline w=0$ と同じである。$\square$

$P'$ の動く範囲も同じ計算で分かる。(I) では $f(z)=(az_0+b)+t\,aw$、(II) では $f(z)=(a\overline{z_0}+b)+t\,a\overline w$ で、向き $aw$ または $a\overline w$(どちらも絶対値が $\lvert w\rvert\ne0$)の直線である。つまり $P'$ は、$\ell$ を $f$ で移した直線 $m$ の上を動く。
ex-hj-start を prf-hj-main の式で見直すと、$f(z)=iz$($a=i$、$b=0$)、$z_0=i$、$w=1$ なので
$$ c=\frac{(1+i)i}2=\frac{-1+i}2,\qquad d=\frac{1+i}2 $$
である。中点は $\left(-\dfrac12,\dfrac12\right)$ を通り、向き $(1,1)$ の直線、つまり $y=x+1$ の上に並ぶ。

すべり鏡映で動かす

ex-hj-formulas の (4) のすべり鏡映 $f(z)=\overline z+2$ で、直線 $\ell\colon y=x$ の上の点 $P(t,t)$ を動かす。$z=t+ti$ なので $f(z)=t-ti+2$、つまり $P'(t+2,-t)$ である。$P'$ は直線 $m\colon y=-x+2$ の上を動く。

  • $t=0$:$P(0,0)$、$P'(2,0)$、中点 $(1,0)$
  • $t=1$:$P(1,1)$、$P'(3,-1)$、中点 $(2,0)$
  • $t=-2$:$P(-2,-2)$、$P'(0,2)$、中点 $(-1,0)$
    一般には中点は $\left(\dfrac{t+(t+2)}2,\dfrac{t+(-t)}2\right)=(t+1,0)$ で、$x$ 軸の上に並ぶ。$x$ 軸は、このすべり鏡映の軸である。prf-hj-main の式では $a=1$、$b=2$、$z_0=0$、$w=1+i$ で、$c=1$、$d=\dfrac{(1+i)+(1-i)}2=1$ である。
原点のまわりの 90° の回転で、直線 y = 1 の点 P を直線 x = −1 の点 P′ に移す。線分 PP′ の中点は直線 y = x + 1 の上に並ぶ 原点のまわりの 90° の回転で、直線 y = 1 の点 P を直線 x = −1 の点 P′ に移す。線分 PP′ の中点は直線 y = x + 1 の上に並ぶ
x 軸を軸とするすべり鏡映で、直線 y = x の点 P を直線 y = −x + 2 の点 P′ に移す。線分 PP′ の中点は軸である x 軸の上に並ぶ x 軸を軸とするすべり鏡映で、直線 y = x の点 P を直線 y = −x + 2 の点 P′ に移す。線分 PP′ の中点は軸である x 軸の上に並ぶ

図 1 は ex-hj-start の回転、図 2 は ex-hj-glide のすべり鏡映である。どちらでも、対応する点を結ぶ線分(細い線)の中点が、1 本の直線(太い線)の上に並ぶ。

中点がすべて 1 点に重なる
  1. 点 $(1,1)$ に関する点対称移動 $f(z)=-z+2+2i$ では、どの点 $z$ についても中点は $\dfrac{z+(-z+2+2i)}2=1+i$ である。$\ell$ がどんな直線でも、中点はすべて点 $(1,1)$ に重なる。
  2. 直線 $x=1$ に関する鏡映は点 $(x,y)$ を $(2-x,y)$ に移し、式では $f(z)=-\overline z+2$ である($z=x+yi$ に対して $-\overline z+2=(2-x)+yi$)。$\ell$ を $x$ 軸($z_0=0$、$w=1$)とすると、$P(t,0)$ は $P'(2-t,0)$ に移り、中点はいつも $(1,0)$ である。条件を確かめると、$a=-1$、$w=1$ で $w+a\overline w=1-1=0$ である。
    1. の鏡映の後に $(0,3)$ だけ平行移動する写像 $f(z)=-\overline z+2+3i$(直線 $x=1$ を軸とするすべり鏡映)では、$P(t,0)$ は $P'(2-t,3)$ に移り、中点はいつも $\left(1,\dfrac32\right)$ である。
      (2)・(3) では、鏡映・すべり鏡映の軸(直線 $x=1$)と $\ell$($x$ 軸)が垂直である。prop-hj-where で、条件 $w+a\overline w=0$ が「軸と $\ell$ が垂直」と同じことを示す。

中点の直線はどこにあるか

thm-hj-main は中点が並ぶことを示したが、どの直線に並ぶかは述べていない。中点の写像 $h_f$ を、$\ell$ の上だけでなく平面全体で調べると、場所が分かる。合同変換の種類ごとに見る。

中点の写像の形

平面の合同変換 $f$ の中点の写像 $h_f(z)=\dfrac{z+f(z)}2$ は、次のとおりである。
(1) $f$ が平行移動 $f(z)=z+b$ なら、$h_f(z)=z+\dfrac b2$ で、$h_f$ は $\dfrac b2$ の平行移動である。
(2) $f$ が点 $c$ を中心とする角 $\theta$ の回転($-180^\circ<\theta<180^\circ$、$\theta\ne0^\circ$)なら
$$ h_f(z)-c=\cos\frac\theta2\cdot e^{i\theta/2}\,(z-c) $$
である。つまり $h_f$ は、$c$ を中心に角 $\dfrac\theta2$ だけ回転し、$c$ からの距離を $\cos\dfrac\theta2$ 倍に縮める写像(回転相似)である。
(3) $f$ が点 $c$ に関する点対称移動(角 $180^\circ$ の回転)なら、$h_f(z)=c$ で、どの点も $c$ に移る。
(4) $f$ が (II) の形 $f(z)=a\overline z+b$ なら、$a=u^2$($\lvert u\rvert=1$)となる $u$ をとると
$$ h_f(z)=\frac b2+\mathrm{Re}(\overline u z)\,u $$
である。平面のすべての点の中点が、点 $\dfrac b2$ を通り向き $u$ の直線 $L$ の上にある。$L$ は $f$ の軸($f$ が鏡映なら鏡映の軸、すべり鏡映ならすべり鏡映の軸)である。

種類ごとに式を整理する
  1. $h_f(z)=\dfrac{z+z+b}2=z+\dfrac b2$ である。
  2. $f(z)=c+e^{i\theta}(z-c)$ なので
    $$ h_f(z)-c=\frac{(z-c)+(f(z)-c)}2=\frac{(z-c)+e^{i\theta}(z-c)}2=\frac{1+e^{i\theta}}2\,(z-c) $$
    である。ここで
    $$ 1+e^{i\theta}=e^{i\theta/2}\left(e^{-i\theta/2}+e^{i\theta/2}\right)=e^{i\theta/2}\cdot2\cos\frac\theta2 $$
    である($e^{i\varphi}+e^{-i\varphi}=2\cos\varphi$。複素数の掛け算は回転と拡大)。よって $h_f(z)-c=\cos\dfrac\theta2\cdot e^{i\theta/2}(z-c)$ である。$-90^\circ<\dfrac\theta2<90^\circ$ なので $\cos\dfrac\theta2>0$ で、$e^{i\theta/2}$ を掛けることは角 $\dfrac\theta2$ の回転、正の数 $\cos\dfrac\theta2$ を掛けることは $\cos\dfrac\theta2$ 倍の拡大(縮小)である。
  3. $f(z)=-z+2c$ なので $h_f(z)=\dfrac{z-z+2c}2=c$ である。
  4. 段 1($h_f$ の式)。$a=u^2$ で $u\overline u=\lvert u\rvert^2=1$ なので
    $$ z+a\overline z=z+u^2\overline z=u\left(\overline u z+u\overline z\right)=u\left(\overline u z+\overline{\overline u z}\right)=u\cdot2\,\mathrm{Re}(\overline u z) $$
    である(複素数 $\zeta$ について $\zeta+\overline\zeta=2\,\mathrm{Re}\,\zeta$)。よって $h_f(z)=\dfrac{z+a\overline z+b}2=\dfrac b2+\mathrm{Re}(\overline uz)\,u$ である。$\mathrm{Re}(\overline uz)$ は実数なので、$h_f(z)$ は直線 $L\colon \dfrac b2+su$($s$ は実数)の上にある。
    残るのは $L$ が $f$ の軸であることである。$\tau:=a\overline b+b$ とおくと、$f$ は $L$ の点を $L$ に沿って $\dfrac\tau2$ だけずらし、$f$ から $\dfrac\tau2$ の平行移動を取り除いた写像は $L$ に関する鏡映になる。したがって $f$ は、$\tau=0$ なら $L$ に関する鏡映、$\tau\ne0$ なら $L$ を軸とするすべり鏡映である。$\square$
    $L$ が軸であることの計算を開く

    段 2($f$ は $L$ を $L$ に沿ってずらす)。$L$ の点 $z=\dfrac b2+su$ について、$\overline z=\dfrac{\overline b}2+s\overline u$ と $u^2\overline u=u$ から

    $$f(z)=u^2\left(\frac{\overline b}2+s\overline u\right)+b=\frac b2+su+\frac{a\overline b+b}2=z+\frac{\tau}2$$

    である。$\overline u\tau=u\overline b+\overline ub=2\,\mathrm{Re}(\overline ub)$ は実数なので、$\tau$ は $u$ の実数倍で、$\dfrac\tau2$ は $L$ に平行である。

    段 3($L$ は軸)。$g(z)=f(z)-\dfrac\tau2$ とおくと、$g$ は (II) の形の合同変換で、段 2 により $L$ の点を 1 つも動かさない。平面の合同変換の分類 の定理「平面の合同変換の分類」により、(II) の形は鏡映かすべり鏡映である。すべり鏡映は 2 回続けると $\vec 0$ でないベクトルの平行移動になるので、動かない点をもたない。よって $g$ は鏡映で、鏡映の動かない点の集まりは軸なので、$g$ は $L$ に関する鏡映である。$f(z)=g(z)+\dfrac\tau2$ なので、$f$ は $L$ に関する鏡映の後に $L$ に平行な $\dfrac\tau2$ の平行移動をする写像である。

prop-hj-where の (4) の $\tau$ は、平面の合同変換の分類 の定理「平面の合同変換の分類」の $t=a\overline b+b$ と同じ数で、すべり鏡映の移動のベクトルは $\dfrac\tau2$ である。

中点が 1 点に重なる条件の意味

thm-hj-main の条件 $w+a\overline w=0$ を、prop-hj-where の (4) で読む。$\ell$ の点 $z=z_0+tw$ の中点は
$$ h_f(z)=\frac b2+\mathrm{Re}(\overline uz_0)\,u+t\,\mathrm{Re}(\overline uw)\,u $$
である。$\mathrm{Re}(\overline uw)$ は、ベクトル $w$ と、軸 $L$ の向きのベクトル $u$ の内積である($u=p+qi$、$w=r+si$ なら $\overline uw=(pr+qs)+(ps-qr)i$ で、実部は内積 $pr+qs$)。したがって

  • $\ell$ が軸 $L$ と垂直でない(内積が $0$ でない)なら、中点は $L$ 全体をえがく。
  • $\ell$ が軸 $L$ と垂直(内積が $0$)なら、中点はすべて 1 点に重なる。この 1 点は、$\ell$ と $L$ の交点 $X$ と $f(X)=X+\dfrac\tau2$ の中点、つまり $X$ を $\dfrac\tau4$ だけずらした点である。
    $w+a\overline w=u\cdot2\,\mathrm{Re}(\overline uw)$(段 1 の式で $z$ を $w$ にしたもの)なので、$w+a\overline w=0$ は $\mathrm{Re}(\overline uw)=0$、つまり $\ell\perp L$ と同じである。ex-hj-point の (2)・(3) はこの場合である。
    以上をまとめる。表の「中点」は、$P$ が直線 $\ell$ の上を動くときの線分 $PP'$ の中点の集まりである。
    合同変換 $f$式中点の写像 $h_f$中点
    恒等写像$z$恒等写像$\ell$ 自身
    平行移動$z+b$$\dfrac b2$ の平行移動$\ell$ を $\dfrac b2$ ずらした直線
    回転($0^\circ<\lvert\theta\rvert<180^\circ$)$c+e^{i\theta}(z-c)$回転相似(角 $\dfrac\theta2$、$\cos\dfrac\theta2$ 倍)$\ell$ をその回転相似で移した直線
    点対称移動$-z+2c$どの点も $c$ に移す1 点 $c$
    鏡映・すべり鏡映$a\overline z+b$軸 $L$ の上に移す$\ell\not\perp L$ なら $L$、$\ell\perp L$ なら 1 点
    回転の行の「回転相似」は、相似変換と相似の中心 で扱う変換である。ex-hj-start の $90^\circ$ の回転では、$h_f$ は原点を中心に $45^\circ$ 回転して $\cos45^\circ=\dfrac1{\sqrt2}$ 倍にする写像で、直線 $y=1$(原点からの距離 $1$)を、原点からの距離 $\dfrac1{\sqrt2}$ の直線 $y=x+1$ に移す。
鈍角の回転と中点の直線

点 $c=1+2i$ を中心とする $150^\circ$ の回転 $f$ で、直線 $\ell\colon z=3+t(1+i)$(点 $(3,0)$ を通り傾き $1$)を動かす。prop-hj-where の (2) により、中点の写像は $c$ を中心に $75^\circ$ 回転して $\cos75^\circ$ 倍にする回転相似である。$\cos75^\circ=\dfrac{\sqrt6-\sqrt2}4\fallingdotseq0.259$ である。
中点の直線は、$\ell$ の向き $45^\circ$ を $75^\circ$ 回した向き $120^\circ$ をもつ。実際に $t=0$、$t=1$ で中点を計算すると(数値は小数第 3 位まで)
$$ t=0:\ (1.634,\ 2.366),\qquad t=1:\ (1.451,\ 2.683) $$
で、2 点を結ぶ向きは $(-0.183,\ 0.317)$、その傾きは $-1.732\fallingdotseq-\sqrt3=\tan120^\circ$ である。

中点の座標を式で求める計算を開く

$\ell$ の点 $z=3+t(1+i)$ について $z-c=(2+t)+(t-2)i$ である。$h_f(z)=c+\cos75^\circ\,e^{i\,75^\circ}(z-c)$ で、$\cos75^\circ e^{i\,75^\circ}=\dfrac{1+e^{i\,150^\circ}}2=\dfrac{1}2+\dfrac12\left(-\dfrac{\sqrt3}2+\dfrac12i\right)=\dfrac{2-\sqrt3}4+\dfrac14i$ である。$t=0$ では $z-c=2-2i$ で、$\left(\dfrac{2-\sqrt3}4+\dfrac14i\right)(2-2i)=\dfrac{2-\sqrt3}2+\dfrac12+\left(\dfrac12-\dfrac{2-\sqrt3}2\right)i=\dfrac{3-\sqrt3}2+\dfrac{\sqrt3-1}2i$ なので、中点は $\left(1+\dfrac{3-\sqrt3}2,\ 2+\dfrac{\sqrt3-1}2\right)=\left(\dfrac{5-\sqrt3}2,\ \dfrac{3+\sqrt3}2\right)$ である。$t$ が $1$ 増えると $z-c$ は $1+i$ 増え、中点は $\left(\dfrac{2-\sqrt3}4+\dfrac14i\right)(1+i)=\dfrac{1-\sqrt3}4+\dfrac{3-\sqrt3}4i$ だけ動く。この向きの傾きは $\dfrac{3-\sqrt3}{1-\sqrt3}=\dfrac{(3-\sqrt3)(1+\sqrt3)}{(1-\sqrt3)(1+\sqrt3)}=\dfrac{2\sqrt3}{-2}=-\sqrt3$ である。

向きが逆の合同な三角形

prop-hj-where の (4) は、$\ell$ の上の点だけでなく平面のすべての点について述べている。そこで、三角形の頂点のように直線の上にない点にも使える。

向きが逆の合同な三角形の中点

三角形 $ABC$ と三角形 $A'B'C'$ が、向きを逆にする合同変換 $f$((II) の形)で $f(A)=A'$、$f(B)=B'$、$f(C)=C'$ と移り合うとする。このとき、線分 $AA'$、$BB'$、$CC'$ の中点は、$f$ の軸の上にあり、とくに一直線上にある。

軸の上に移ることを使う

prop-hj-where の (4) により、どの点 $z$ についても、$z$ と $f(z)$ を結ぶ線分の中点 $h_f(z)$ は $f$ の軸 $L$ の上にある。$z=A,B,C$ とおくと、3 つの中点 $h_f(A)$、$h_f(B)$、$h_f(C)$ はどれも $L$ の上にある。$\square$

3 辺の長さが等しい 2 つの三角形は、必ず合同変換で移り合う(平面の合同変換の分類 の 3 鏡映定理の証明は、$AB=A'B'$、$BC=B'C'$、$CA=C'A'$ だけを使って、$A,B,C$ を $A',B',C'$ に移す鏡映の合成を作っている)。その合同変換が (II) の形になるのは、頂点を $A\to B\to C$ の順に回る向きと $A'\to B'\to C'$ の順に回る向きが逆のとき(片方が時計回りで、もう片方が反時計回り)である(平面の合同変換の分類 の定義「向きを保つ・逆にする」の後の説明)。

鈍角三角形を裏返して動かす

$A(0,0)$、$B(5,0)$、$C(-2,3)$ の三角形は、$\overrightarrow{AB}\cdot\overrightarrow{AC}=5\cdot(-2)+0\cdot3=-10<0$ なので、$\angle A$ が鈍角の三角形である。すべり鏡映 $f(z)=i\overline z+1+3i$ で動かすと
$$ A'=f(0)=1+3i,\qquad B'=f(5)=5i+1+3i=1+8i,\qquad C'=f(-2+3i)=i(-2-3i)+1+3i=4+i $$
で、$A'(1,3)$、$B'(1,8)$、$C'(4,1)$ である。辺の長さは $AB=A'B'=5$、$AC=A'C'=\sqrt{13}$、$BC=B'C'=\sqrt{58}$ である。
線分 $AA'$、$BB'$、$CC'$ の中点は
$$ \left(\frac12,\frac32\right),\qquad (3,4),\qquad (1,2) $$
で、どれも $y-x=1$ を満たし、直線 $y=x+1$ の上にある。

軸と移動のベクトルを式から確かめる計算を開く

prop-hj-where の (4) で確かめる。$a=i=u^2$ から $u=e^{i\,45^\circ}=\dfrac{1+i}{\sqrt2}$ で、軸 $L$ は点 $\dfrac b2=\dfrac12+\dfrac32i$ を通り向き $(1,1)$ の直線、つまり $y=x+1$ である。移動のベクトルは $\dfrac\tau2=\dfrac{i(1-3i)+1+3i}2=\dfrac{4+4i}2=2+2i$ で、軸に平行である。

鈍角三角形 ABC を、直線 y = x + 1 を軸とするすべり鏡映で三角形 A′B′C′ に移す。対応する頂点を結ぶ 3 本の線分の中点は軸の上に並ぶ 鈍角三角形 ABC を、直線 y = x + 1 を軸とするすべり鏡映で三角形 A′B′C′ に移す。対応する頂点を結ぶ 3 本の線分の中点は軸の上に並ぶ
向きが同じ合同な三角形では、$f$ は平行移動か回転である。prop-hj-where の (1)・(2) により、中点の写像は平行移動か回転相似なので、3 つの中点は、三角形 $ABC$ と相似な三角形の頂点になる($f$ が点対称移動なら 1 点に重なる)。一直線には並ばない。

例と反例

thm-hj-main の仮定を 1 つ外すと、中点は一直線に並ばなくなる。

外す条件反例成り立たなくなること
$P$ と $P'$ の対応が合同変換から来る$P(t,0)$ と $P'(0,t^3)$中点が一直線上にある
$P$ が直線の上を動く単位円の上の $P$ と、$(4,0)$ の平行移動中点が一直線上にある
反例:距離を保たない対応

$x$ 軸の上の点 $P(t,0)$ に、$y$ 軸の上の点 $P'(0,t^3)$ を対応させる。$P$ も $P'$ も直線の上を動き、異なる $P$ には異なる $P'$ が対応する。しかし距離は保たれない。$P(1,0)$ と $P(2,0)$ の距離は $1$ だが、対応する $P'(0,1)$ と $P'(0,8)$ の距離は $7$ である。
中点は $\left(\dfrac t2,\dfrac{t^3}2\right)$ で、$t=0,1,2$ では
$$ (0,0),\qquad \left(\frac12,\frac12\right),\qquad (1,4) $$
である。$(0,0)$ から残りの 2 点へのベクトル $\left(\dfrac12,\dfrac12\right)$、$(1,4)$ について $\dfrac12\cdot4-\dfrac12\cdot1=\dfrac32\ne0$ なので、2 つのベクトルは平行でなく、3 点は一直線上にない。中点は曲線 $y=4x^3$ の上を動く。
崩れた理由は、中点の座標が $t$ の 1 次式でなくなったことである。prf-hj-main では、合同変換が (I)・(II) の式で書けることから、$f(z_0+tw)$ が $t$ の 1 次式になった。

反例:円の上を動く点

単位円 $x^2+y^2=1$ の上の点 $P$ を、$(4,0)$ の平行移動 $f(z)=z+4$ で動かす。$f$ は合同変換だが、$P$ は直線の上を動かない。prop-hj-where の (1) により、中点は $P$ を $(2,0)$ だけずらした点で、中心 $(2,0)$、半径 $1$ の円の上を動く。たとえば $P(1,0)$、$(0,1)$、$(-1,0)$ の中点は $(3,0)$、$(2,1)$、$(1,0)$ で、$(3,0)$ から残りの 2 点へのベクトル $(-1,1)$、$(-2,0)$ について $(-1)\cdot0-1\cdot(-2)=2\ne0$ なので、一直線上にない。
中点の写像 $h_f$ は、直線を直線に移す写像である。直線でない図形の上の点の中点が並ぶとは限らない。ただし、$f$ が鏡映やすべり鏡映なら、prop-hj-where の (4) により、どんな図形の上の点でも中点は軸の上に並ぶ(cor-hj-triangle)。

x 軸の点 P(t, 0) に y 軸の点 P′(0, t³) を対応させると、中点は曲線 y = 4x³ の上を動き、一直線に並ばない x 軸の点 P(t, 0) に y 軸の点 P′(0, t³) を対応させると、中点は曲線 y = 4x³ の上を動き、一直線に並ばない
単位円の点 P を 4 だけ右に平行移動すると、中点は中心 (2, 0)、半径 1 の円の上を動く 単位円の点 P を 4 だけ右に平行移動すると、中点は中心 (2, 0)、半径 1 の円の上を動く

大学数学で見る:中点の写像は 1 次式

prf-hj-main で使ったのは、「$f(z_0+tw)$ が $t$ の 1 次式である」ことだけだった。この性質をもつ写像は合同変換に限らない。平面の点 $\vec x$ を $A\vec x+\vec q$($A$ は $2\times2$ 行列、$\vec q$ はベクトル)に移す写像を アフィン写像 という($A$ の行列式が $0$ でないものがアフィン変換で、中点連結定理 でも扱う)。$f(\vec x)=A\vec x+\vec q$ がアフィン写像なら、中点の写像
$$ h_f(\vec x)=\frac{\vec x+A\vec x+\vec q}2=\frac{E+A}2\,\vec x+\frac{\vec q}2 $$
($E$ は単位行列)もアフィン写像である。直線 $\vec x=\vec p_0+t\vec d$ の像は $h_f(\vec p_0)+t\cdot\dfrac{E+A}2\vec d$ なので、$\dfrac{E+A}2\vec d\ne\vec 0$ なら直線、$=\vec 0$ なら 1 点である。

空間の合同変換、相似変換の場合を開く

同じ計算は空間でもそのまま成り立つ。空間の合同変換は $\vec x\mapsto A\vec x+\vec q$($A$ は $3\times3$ の直交行列)の形に書けることが知られている(この記事では証明しない)。これを認めると、空間の直線 $\ell$ の上の点 $P$ と $P'=f(P)$ の中点は、1 本の直線の上にあるか、1 点に重なる。$\ell$ と $f(\ell)$ が同じ平面の上になくてもよい。

相似変換でも中点は並ぶ。たとえば原点を中心とする $2$ 倍の拡大 $f(z)=2z$ では、中点の写像は $h_f(z)=\dfrac32z$ で、直線 $\ell$ の点の中点は、$\ell$ を $\dfrac32$ 倍した直線の上に並ぶ。このとき $\dfrac{E+A}2=\dfrac32E$ は逆行列をもつので、中点が 1 点に重なることはない。

合同変換に特有なのは、prop-hj-where の (4) のように、行列 $\dfrac{E+A}2$ が逆行列をもたない場合があることである。(II) の形の合同変換では、$A$ は直線 $L$ に関する折り返しの行列で、$\dfrac{E+A}2$ は $L$ の向きへの正射影の行列になる(正射影と射影行列)。平面全体が 1 本の直線 $L$ につぶれるので、どんな図形の上の点でも中点は $L$ の上に並ぶ。

演習

回転と鏡映で中点の直線を求める

直線 $\ell\colon x=2$ の上の点 $P$ を考える。
(1) 原点を中心とする $60^\circ$ の回転で $P$ を $P'$ に移すとき、線分 $PP'$ の中点の並ぶ直線の方程式を求めよ。
(2) 中点がすべて 1 点に重なるような鏡映の軸を 1 つ挙げ、その 1 点を求めよ。

解答を開く

(1) prop-hj-where の (2) により、中点の写像は $h(z)=\cos30^\circ\,e^{i\,30^\circ}z=\dfrac{\sqrt3}2\left(\dfrac{\sqrt3}2+\dfrac12i\right)z=\left(\dfrac34+\dfrac{\sqrt3}4i\right)z$ である。$\ell$ の点 $z=2+ti$ を代入すると

$$h(z)=\left(\frac34+\frac{\sqrt3}4i\right)(2+ti)=\left(\frac32-\frac{\sqrt3}4t\right)+\left(\frac{\sqrt3}2+\frac34t\right)i$$

である。$t=0$ のとき点 $\left(\dfrac32,\dfrac{\sqrt3}2\right)$ で、$t$ が $1$ 増えるごとに $\left(-\dfrac{\sqrt3}4,\dfrac34\right)$ だけ動くので、傾きは $\dfrac{3/4}{-\sqrt3/4}=-\sqrt3$ である。直線は $y-\dfrac{\sqrt3}2=-\sqrt3\left(x-\dfrac32\right)$、つまり $y=-\sqrt3x+2\sqrt3$ である。原点からの距離は $\dfrac{2\sqrt3}{\sqrt{3+1}}=\sqrt3=2\cos30^\circ$ で、$\ell$ の原点からの距離 $2$ の $\cos30^\circ$ 倍になっている。

(2) 軸が $\ell$ に垂直な鏡映を選べばよい。たとえば $x$ 軸に関する鏡映では $P(2,t)$ が $P'(2,-t)$ に移り、中点はいつも $(2,0)$ である。

さらに先へ

  • thm-hj-main は「中点」を「同じ比 $s:(1-s)$ の内分点」に替えても成り立つ。内分点の写像 $(1-s)z+sf(z)$ も $t$ の 1 次式になるからである。
  • 頂点 $A$ を共有する同じ向きの 2 つの正方形 $ABCD$、$AB'C'D'$ では、線分 $B'D$、$BD'$ の中点と、2 つの正方形の中心が、新しい正方形を作る。これは Finsler–Hadwigerの定理 で扱う。
  • 四角形の辺の中点を結ぶと平行四辺形になる Varignonの定理 も、「中点をとる操作は 1 次式」という同じ見方で証明できる。
  • 合同変換の全体は合成について群をなし、向きを保つ (I) の形がその部分群になる(回転・鏡映と行列の群)。

関連項目

参考文献

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