空間座標と球面の方程式

同義語:球面の方程式coordinates in space and equation of a sphereequation of a sphere

概要

空間座標と球面の方程式(coordinates in space and equation of a sphere)とは、空間の点を座標 $(x,y,z)$ で表し、2 点の距離 $\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2+(z_2-z_1)^2}$ を使って、中心 $(a,b,c)$、半径 $r>0$ の球面を $(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2=r^2$ と表すことである。$x^2+y^2+z^2+Ax+By+Cz+D=0$ は $\frac{A^2+B^2+C^2}4-D>0$ のとき球面を表す。球面と平面の交わりは、中心と平面の距離 $d$ が $d<r$ なら半径 $\sqrt{r^2-d^2}$ の円、$d=r$ なら 1 点、$d>r$ なら空集合である。中心が異なる 2 つの球面の交わりは、方程式の差が表す平面(根平面)の上にある。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: 空間の直線の方程式, 空間の平面と法線ベクトル, 三平方の定理(高校数学)

高校での出発点:空間の距離と、中心から等しい距離の点

平面の円は「中心から等しい距離の点の全体」で、方程式は $(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$ だった。空間で同じことを考えると球面になる。まず、空間の 2 点の距離を測る。
2 点 P(1,2,3)、Q(4,6,15) の距離を、R(4,6,3) を経由して測る。PR=5 は底面の中の長さ、RQ=12 は高さで、角 PRQ は直角なので PQ=13 になる 2 点 P(1,2,3)、Q(4,6,15) の距離を、R(4,6,3) を経由して測る。PR=5 は底面の中の長さ、RQ=12 は高さで、角 PRQ は直角なので PQ=13 になる

空間の 2 点の距離

$P(1,2,3)$、$Q(4,6,15)$ の距離を求める(図 1)。$R(4,6,3)$ をとると、$P$ と $R$ は平面 $z=3$ の上にあり、その平面の中で三平方の定理を使うと $PR^2=(4-1)^2+(6-2)^2=9+16=25$ である。$R$ と $Q$ は $x,y$ 座標が同じなので、線分 $RQ$ は $z$ 軸に平行で、$RQ=15-3=12$ である。$RQ$ は平面 $z=3$ に垂直なので $\angle PRQ=90^\circ$ で、もう一度三平方の定理を使うと
$$ PQ^2=PR^2+RQ^2=25+144=169,\qquad PQ=13 $$
である。まとめると $PQ^2=(4-1)^2+(6-2)^2+(15-3)^2$ で、座標の差の 2 乗を 3 つ足している。

中心から等しい距離の点

点 $C(1,-2,3)$ からの距離が $4$ の点 $P(x,y,z)$ の条件は、ex-sph-start-distance と同じ計算で
$$ (x-1)^2+(y+2)^2+(z-3)^2=16 $$
である。展開して整理すると $x^2+y^2+z^2-2x+4y-6z-2=0$ になる。点 $(1,-2,7)$ や $(5,-2,3)$ はこの式を満たす($0+0+16=16$、$16+0+0=16$)。

球面を平面で切る

$(x-2)^2+(y+1)^2+(z-3)^2=9$(中心 $(2,-1,3)$、半径 $3$)で $z=5$ とすると、$(x-2)^2+(y+1)^2=9-4=5$ となる。平面 $z=5$ の上の、中心 $(2,-1,5)$、半径 $\sqrt5$ の円である。$9-4$ の $4$ は、中心と平面 $z=5$ の距離 $2$ の 2 乗である。

この記事では、次の問いに答える。

  1. 空間の 2 点の距離の公式は、いつも成り立つか。→ thm-sph-distance
  2. $x^2+y^2+z^2+Ax+By+Cz+D=0$ はいつ球面を表すか。→ prop-sph-general
  3. 球面を平面で切ると何が現れるか。ex-sph-start-cut の $9-4$ は何か。→ thm-sph-plane
  4. 2 つの球面の交わりは何か。→ thm-sph-radical
    平面空間この記事のボックス
    2 点の距離 $\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2}$$\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2+(z_2-z_1)^2}$thm-sph-distance
    円 $(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$球面 $(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2=r^2$def-sph-sphere
    円と直線:2 点・1 点・なし球面と平面:円・1 点・なしthm-sph-plane
    2 円の根軸2 球面の根平面thm-sph-radical

空間座標と 2 点間の距離

空間座標

空間に点 $O$ をとり、$O$ で互いに垂直に交わる 3 本の数直線を $x$ 軸、$y$ 軸、$z$ 軸とする。点 $P$ を通り各軸に垂直な 3 枚の平面が、$x$ 軸、$y$ 軸、$z$ 軸と交わる点の目盛りを $a$、$b$、$c$ とするとき、$(a,b,c)$ を $P$ の 座標 といい、$P(a,b,c)$ と書く。$x$ 軸と $y$ 軸を含む平面を $xy$ 平面といい、その方程式は $z=0$ である。$yz$ 平面($x=0$)、$zx$ 平面($y=0$)も同じように定める。

各軸に垂直な平面は $x=a$ のような式で表され、たとえば平面 $z=c$ は $xy$ 平面に平行で、$z$ 軸に垂直である。

2 点間の距離

空間の 2 点 $P(x_1,y_1,z_1)$、$Q(x_2,y_2,z_2)$ の距離は
$$ PQ=\sqrt{(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2+(z_2-z_1)^2} $$
である。特に、原点と $P(x,y,z)$ の距離は $\sqrt{x^2+y^2+z^2}$ である。

三平方の定理を 2 回使う

方針:$R(x_2,y_2,z_1)$ を経由し、平面 $z=z_1$ の中の直角三角形と、$R$ で直角になる直角三角形に三平方の定理を 1 回ずつ使う(ex-sph-start-distance と同じ)。三平方の定理は 三平方の定理(高校数学) による。
段 1($PR$)。$P$ と $R$ はどちらも平面 $z=z_1$ の上にある。この平面は $xy$ 平面を $z$ 軸の向きに平行移動したもので、その中では $x$ 座標・$y$ 座標が平面の座標の役をする。平面の 2 点間の距離の公式(平面の中の三平方の定理)により $PR^2=(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2$ である。
段 2($RQ$)。$R$ と $Q$ は $x$ 座標・$y$ 座標が同じなので、線分 $RQ$ は $z$ 軸に平行で、$RQ=\lvert z_2-z_1\rvert$ である。
段 3(直角)。$z$ 軸は平面 $z=z_1$ に垂直なので、$z$ 軸に平行な線分 $RQ$ は、平面 $z=z_1$ の中の線分 $PR$ と垂直である。$P\ne R$ かつ $R\ne Q$ なら、三角形 $PRQ$ は $\angle PRQ=90^\circ$ の直角三角形で、三平方の定理から
$$ PQ^2=PR^2+RQ^2=(x_2-x_1)^2+(y_2-y_1)^2+(z_2-z_1)^2 $$
である。$P=R$ なら $PR=0$ で $PQ=RQ$、$R=Q$ なら $RQ=0$ で $PQ=PR$ なので、どちらの場合も同じ式が成り立つ。$\square$

位置ベクトルで書くと、$\overrightarrow{PQ}=\vec q-\vec p$ の長さの 2 乗は $\lvert\vec q-\vec p\rvert^2=(\vec q-\vec p)\cdot(\vec q-\vec p)$ で、これが成分の 2 乗の和になることを thm-sph-distance が保証している。

球面の方程式

球面

空間の点 $C$ と正の数 $r$ について、$C$ からの距離が $r$ の点の全体を、中心 $C$、半径 $r$ の 球面 という。$C(a,b,c)$ のとき、thm-sph-distance により、点 $P(x,y,z)$ が球面の上にあることは
$$ (x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2=r^2 $$
と同値である(距離も $r$ も $0$ 以上なので、2 乗しても同値)。位置ベクトルで書けば $\lvert\vec p-\vec c\rvert=r$ で、平面の円のベクトル方程式(ベクトル方程式(直線と円))と同じ形である。

展開すると $x^2+y^2+z^2+Ax+By+Cz+D=0$ の形になる。逆に、この形の式がいつ球面を表すかは、平方完成で分かる。

一般形の表す図形

実数 $A,B,C,D$ について、方程式 $x^2+y^2+z^2+Ax+By+Cz+D=0$ の表す図形は、$k=\dfrac{A^2+B^2+C^2}4-D$ とおくと、

  1. $k>0$ のとき、中心 $\Bigl(-\dfrac A2,-\dfrac B2,-\dfrac C2\Bigr)$、半径 $\sqrt k$ の球面である。
  2. $k=0$ のとき、1 点 $\Bigl(-\dfrac A2,-\dfrac B2,-\dfrac C2\Bigr)$ である。
  3. $k<0$ のとき、空集合(点が 1 つもない)である。
3 つの文字について平方完成する

$x^2+Ax=\Bigl(x+\dfrac A2\Bigr)^2-\dfrac{A^2}4$ で、$y$、$z$ も同じなので、方程式は
$$ \Bigl(x+\frac A2\Bigr)^2+\Bigl(y+\frac B2\Bigr)^2+\Bigl(z+\frac C2\Bigr)^2=\frac{A^2+B^2+C^2}4-D=k $$
と同値である。左辺は点 $P(x,y,z)$ と $M\Bigl(-\dfrac A2,-\dfrac B2,-\dfrac C2\Bigr)$ の距離の 2 乗 $PM^2$ である(thm-sph-distance)。$k>0$ なら $PM=\sqrt k$ で 1 が出る。$k=0$ なら $PM=0$、つまり $P=M$ だけで 2 が出る。$k<0$ なら $PM^2\ge0>k$ なので満たす点がなく、3 が出る。$\square$

一般形から中心と半径を読む
  1. $x^2+y^2+z^2-4x+2y-6z+5=0$:$A=-4$、$B=2$、$C=-6$、$D=5$ で、$k=\dfrac{16+4+36}4-5=14-5=9$ である。中心 $(2,-1,3)$、半径 $3$ の球面で、ex-sph-start-cut の球面である。
  2. 定数項を $14$ に替えると $k=0$ で、表すのは 1 点 $(2,-1,3)$ だけである。$15$ に替えると $k=-1<0$ で、満たす点はない。

主定理 1:球面と平面の交わり

ex-sph-start-cut の切り口は円だった。いつも円になるのか、半径は何で決まるのかを示す。以下、平面 $\pi$ と点 $C$ について、$C$ から $\pi$ に下ろした垂線の足を $H$ とし、$d=CH$ を $C$ と $\pi$ の距離とする。$\pi$ のどの点 $X$ についても
$$ CX^2=CH^2+HX^2\qquad(\ast) $$
が成り立つ($CH$ は $\pi$ に垂直で、$HX$ は $\pi$ の中の線分なので、三平方の定理による。空間の平面と法線ベクトル の定理「点と平面の距離」はこれをベクトルで示し、$d$ の公式も与えている)。

球面と平面の交わり

中心 $C$、半径 $r$ の球面 $S$ と平面 $\pi$ について、$C$ と $\pi$ の距離を $d$、$C$ から $\pi$ に下ろした垂線の足を $H$ とする。

  1. $d< r$ なら、$S$ と $\pi$ の交わりは、$\pi$ の上の、中心 $H$、半径 $\sqrt{r^2-d^2}$ の円である。
  2. $d=r$ なら、交わりは 1 点 $H$ だけである($\pi$ は $S$ に $H$ で接する)。
  3. $d>r$ なら、交わりは空集合である。
垂線の足からの距離に直す

方針:$\pi$ の点 $X$ が $S$ の上にあるかどうかを、$(\ast)$ で「$H$ からの距離」の条件に書き直す。
段 1(言い換え)。$X$ を $\pi$ の点とする。$X$ が $S$ の上にあることは $CX^2=r^2$ と同じで、$(\ast)$ により $d^2+HX^2=r^2$、つまり
$$ HX^2=r^2-d^2 $$
と同じである。
段 2(場合分け)。$d< r$ なら $r^2-d^2>0$ で、段 1 の条件は $HX=\sqrt{r^2-d^2}$ である。$\pi$ の上で $H$ からの距離が一定の点の全体なので、$\pi$ の上の中心 $H$、半径 $\sqrt{r^2-d^2}$ の円である。$d=r$ なら条件は $HX=0$、つまり $X=H$ だけである。$d>r$ なら $r^2-d^2<0$ で、$HX^2\ge0$ なので条件を満たす $X$ はない。$\square$

球面を平面で切ると円が現れる(左)。中心 C と垂線の足 H を通る断面(右)では、半径 r、中心と平面の距離 d、切り口の円の半径が直角三角形をつくる 球面を平面で切ると円が現れる(左)。中心 C と垂線の足 H を通る断面(右)では、半径 r、中心と平面の距離 d、切り口の円の半径が直角三角形をつくる
図 2 の右の断面では、$C$、$H$ と切り口の円の上の点 $X$ が $\angle CHX=90^\circ$ の直角三角形をつくり、斜辺が $r$ である。ex-sph-start-cut の $9-4=5$ は $r^2-d^2$ だった。平面の円と直線の位置関係(円と直線の位置関係)で「中心と直線の距離と半径を比べる」のと同じ考え方で、次元が 1 つ上がっている。

同じ球面をいろいろな平面で切る

球面 $S:(x-2)^2+(y+1)^2+(z-3)^2=9$(中心 $C(2,-1,3)$、$r=3$)と、法線ベクトル $\vec n=(1,2,2)$($\lvert\vec n\rvert=3$)の平面 $x+2y+2z=h$ を考える。$C$ との距離は $d=\dfrac{\lvert2-2+6-h\rvert}3=\dfrac{\lvert6-h\rvert}3$ である。
(1) $h=9$:$d=1<3$ で、切り口は半径 $\sqrt{9-1}=2\sqrt2$ の円である。中心 $H$ は $C$ から $\vec n$ の向きに進んだ点 $\vec c+\dfrac{h-\vec n\cdot\vec c}{\lvert\vec n\rvert^2}\vec n=(2,-1,3)+\dfrac39(1,2,2)=\Bigl(\dfrac73,-\dfrac13,\dfrac{11}3\Bigr)$ で、$\dfrac73-\dfrac23+\dfrac{22}3=9$ なので平面の上にある。
(2) $h=15$:$d=3=r$ で、平面は $S$ に接する。接点は $(2,-1,3)+\dfrac99(1,2,2)=(3,1,5)$ で、$1+4+4=9$、$3+2+10=15$ を満たす。
(3) $h=18$:$d=4>3$ で、共有点はない。

  1. の接する平面は、平面の円の接線(ベクトル方程式(直線と円) の主定理「円の接線」)と同じ形の式で書ける。
接平面の方程式

中心 $C(\vec c)$、半径 $r$ の球面の上の点 $P_0(\vec p_0)$ で球面に接する平面(接平面)は、$P_0$ を通り $\overrightarrow{CP_0}$ に垂直な平面で、方程式は
$$ (\vec p_0-\vec c)\cdot(\vec p-\vec c)=r^2 $$
である。

接点は垂線の足

$P_0$ を通る平面 $\pi$ が球面と $P_0$ だけを共有するとする。thm-sph-plane により共有点が 1 点だけなのは $d=r$ のときで、その点は垂線の足 $H$ なので $H=P_0$ である。よって $CP_0\perp\pi$ で、$\pi$ は $P_0$ を通り法線ベクトル $\vec u=\vec p_0-\vec c$ の平面 $\vec u\cdot(\vec p-\vec p_0)=0$ である。逆にこの平面では、$C$ から下ろした垂線の足が $P_0$ で $d=CP_0=r$ なので、thm-sph-plane の 2 により $P_0$ で接する。最後に、$\vec p-\vec p_0=(\vec p-\vec c)-\vec u$ と $\lvert\vec u\rvert^2=r^2$ から $\vec u\cdot(\vec p-\vec p_0)=\vec u\cdot(\vec p-\vec c)-r^2$ なので、方程式は $(\vec p_0-\vec c)\cdot(\vec p-\vec c)=r^2$ と同値である。$\square$

ex-sph-plane の (2) では、$P_0(3,1,5)$、$\vec p_0-\vec c=(1,2,2)$ で、接平面は $(x-2)+2(y+1)+2(z-3)=9$、つまり $x+2y+2z=15$ で、確かに一致する。
球面と直線の交わりも、平面の円と直線と同じように、直線の媒介変数の式を代入して $t$ の 2 次方程式にすればよい。

球面と直線の交点

$S:(x-2)^2+(y+1)^2+(z-3)^2=9$ と、原点を通り方向ベクトル $(1,1,1)$ の直線 $\vec p=t(1,1,1)$(空間の直線の方程式)の交点を求める。代入すると $(t-2)^2+(t+1)^2+(t-3)^2=9$ で、展開すると $3t^2-8t+14=9$、つまり
$$ 3t^2-8t+5=0,\qquad (t-1)(3t-5)=0 $$
である。$t=1$、$\dfrac53$ で、交点は $(1,1,1)$ と $\Bigl(\dfrac53,\dfrac53,\dfrac53\Bigr)$ である。$(1,1,1)$ では $1+4+4=9$ を満たす。

主定理 2:2 つの球面の交わりと根平面

2 つの円の方程式を引き算すると直線(根軸)が出た(根軸と根心)。球面でも同じことが起きる。

点の球面に関する方べき

中心 $Q$、半径 $r$ の球面 $S$ と点 $P$ について、$f_S(P)=QP^2-r^2$ を、$P$ の $S$ に関する 方べき という。$S$ の方程式が $x^2+y^2+z^2+Ax+By+Cz+D=0$ のとき、$f_S(P)$ は $P$ の座標を左辺に代入した値である(左辺は $QP^2-r^2$ を展開したものだから)。

2 つの球面の交わり

中心が異なる 2 つの球面 $S_1$(中心 $C_1$、半径 $r_1$)、$S_2$(中心 $C_2$、半径 $r_2$)について、$\ell=C_1C_2>0$ とする。

  1. 2 つの球面に関する方べきが等しい点の全体 $\Pi=\{P\mid f_{S_1}(P)=f_{S_2}(P)\}$ は、直線 $C_1C_2$ に垂直な平面である。これを $S_1$ と $S_2$ の 根平面 という。$C_1$ と $\Pi$ の距離は $d_1=\dfrac{\lvert \ell^2+r_1^2-r_2^2\rvert}{2\ell}$ である。
  2. $S_1\cap S_2=S_1\cap\Pi$ である。したがって thm-sph-plane により、2 つの球面の交わりは、$\Pi$ の上の円(中心は直線 $C_1C_2$ の上、半径 $\sqrt{r_1^2-d_1^2}$)か、1 点か、空集合である。
方べきの差は 1 次式

方針:$f_{S_1}-f_{S_2}$ を位置ベクトルで展開すると、$\lvert\vec p\rvert^2$ が消えて 1 次式が残る。
段 1(差を計算する)。$f_{S_i}(P)=\lvert\vec p-\vec c_i\rvert^2-r_i^2=\lvert\vec p\rvert^2-2\,\vec c_i\cdot\vec p+\lvert\vec c_i\rvert^2-r_i^2$ なので
$$ f_{S_1}(P)-f_{S_2}(P)=2\,(\vec c_2-\vec c_1)\cdot\vec p+\bigl(\lvert\vec c_1\rvert^2-r_1^2\bigr)-\bigl(\lvert\vec c_2\rvert^2-r_2^2\bigr) $$
である。$\vec e=\vec c_2-\vec c_1$ とおくと、$\Pi$ は $2\,\vec e\cdot\vec p=m$($m=\lvert\vec c_2\rvert^2-\lvert\vec c_1\rvert^2+r_1^2-r_2^2$)で、$\vec e\ne\vec 0$ なので、法線ベクトル $\vec e$ の平面である(空間の平面と法線ベクトル)。法線ベクトルが $\overrightarrow{C_1C_2}$ なので、$\Pi$ は直線 $C_1C_2$ に垂直である。
段 2(距離)。点と平面の距離の公式から、$C_1$ と $\Pi$ の距離は $\dfrac{\lvert2\,\vec e\cdot\vec c_1-m\rvert}{2\lvert\vec e\rvert}$ である。$\lvert\vec c_2\rvert^2=\lvert\vec c_1+\vec e\rvert^2=\lvert\vec c_1\rvert^2+2\,\vec e\cdot\vec c_1+\ell^2$ を $m$ に代入すると $2\,\vec e\cdot\vec c_1-m=-(\ell^2+r_1^2-r_2^2)$ なので、距離は $\dfrac{\lvert \ell^2+r_1^2-r_2^2\rvert}{2\ell}$ である。
段 3(交わり)。$P\in S_1\cap S_2$ なら $f_{S_1}(P)=0=f_{S_2}(P)$ なので $P\in\Pi$ である。逆に $P\in S_1\cap\Pi$ なら $f_{S_2}(P)=f_{S_1}(P)=0$ なので $P\in S_2$ である。よって $S_1\cap S_2=S_1\cap\Pi$ で、thm-sph-plane を $S_1$ と $\Pi$ に使えば 2 が出る。円の中心は $C_1$ から $\Pi$ に下ろした垂線の足で、$\Pi$ は直線 $C_1C_2$ に垂直なので、その足は直線 $C_1C_2$ の上にある。$\square$

2 つの球面 x²+y²+z²=25(青)と (x-6)²+y²+z²=13(橙)の交わりは、根平面 x=4(緑)の上の、中心 (4,0,0)、半径 3 の円(赤)になる 2 つの球面 x²+y²+z²=25(青)と (x-6)²+y²+z²=13(橙)の交わりは、根平面 x=4(緑)の上の、中心 (4,0,0)、半径 3 の円(赤)になる

2 つの球面の交わりを求める

$S_1:x^2+y^2+z^2=25$(中心 $O$、$r_1=5$)と $S_2:(x-6)^2+y^2+z^2=13$(中心 $(6,0,0)$、$r_2=\sqrt{13}$)を考える(図 3)。$S_2$ の式を展開すると $x^2+y^2+z^2-12x+23=0$ で、$S_1$ の式 $x^2+y^2+z^2-25=0$ から引くと
$$ 12x-48=0\quad\Longleftrightarrow\quad x=4 $$
となる。これが根平面である。$x=4$ を $S_1$ の式に入れると $y^2+z^2=9$ で、交わりは平面 $x=4$ の上の、中心 $(4,0,0)$、半径 $3$ の円である。thm-sph-radical の式で確かめると、$\ell=6$ で $d_1=\dfrac{36+25-13}{12}=4$、半径は $\sqrt{25-16}=3$ である。

交わりがどの場合になるかは、半径と中心の距離だけで決まる。

2 つの球面が円で交わる条件

thm-sph-radical の記号で、2 つの球面の交わりが円になるのは $\lvert r_1-r_2\rvert<\ell< r_1+r_2$ のときであり、そのときに限る。$\ell=r_1+r_2$ または $\ell=\lvert r_1-r_2\rvert$ なら 1 点で接し、それ以外なら共有点はない。

積に因数分解する

要点:円になるのは $d_1< r_1$、つまり $4\ell^2r_1^2-(\ell^2+r_1^2-r_2^2)^2>0$ のときである。左辺は $(r_1+r_2-\ell)(\ell-r_1+r_2)(\ell+r_1-r_2)(\ell+r_1+r_2)$ と因数分解でき、符号を調べると主張の条件になる。

詳しい証明を開く

段 1(因数分解)。$X=\ell^2+r_1^2-r_2^2$ とおく。$4\ell^2r_1^2-X^2=(2\ell r_1-X)(2\ell r_1+X)$ で、$2\ell r_1-X=r_2^2-(\ell-r_1)^2=(r_2-\ell+r_1)(r_2+\ell-r_1)$、$2\ell r_1+X=(\ell+r_1)^2-r_2^2=(\ell+r_1-r_2)(\ell+r_1+r_2)$ である。

段 2(符号)。$\ell+r_1+r_2>0$ である。残りの 3 つの因数 $r_1+r_2-\ell$、$\ell-r_1+r_2$、$\ell+r_1-r_2$ は、どの 2 つを足しても $2r_2$、$2\ell$、$2r_1$ のどれかになって正なので、2 つ以上が同時に $0$ 以下になることはない。よって積が正であることは、3 つがすべて正であること、つまり $\ell< r_1+r_2$ かつ $\ell>r_1-r_2$ かつ $\ell>r_2-r_1$、すなわち $\lvert r_1-r_2\rvert<\ell< r_1+r_2$ と同値である。

段 3(接する場合とそれ以外)。$d_1=r_1$ となるのは積が $0$ のときで、段 2 から 3 つの因数のちょうど 1 つが $0$、つまり $\ell=r_1+r_2$ か $\ell=\lvert r_1-r_2\rvert$ のときである。このとき thm-sph-plane の 2 により 1 点で接する。積が負のときは $d_1>r_1$ で、thm-sph-plane の 3 により共有点はない。$\square$

ex-sph-two では $\lvert5-\sqrt{13}\rvert\approx1.39<6<5+\sqrt{13}\approx8.61$ で、確かに円で交わる。平面の 2 つの円についても同じ条件で 2 点で交わる(2円の位置関係と共通接線)。

4 点を通る球面

同じ平面の上にない 4 点を通る球面はちょうど 1 つある。存在と一意性の証明は 四面体の外接球と内接球 の定理「外接球の存在と一意性」にある。ここでは一般形を使った求め方を示す。

4 点を通る球面を求める

4 点 $(4,2,3)$、$(1,5,3)$、$(1,2,6)$、$(-1,4,4)$ を通る球面を $x^2+y^2+z^2+Ax+By+Cz+D=0$ とおく。4 点を代入すると
$$ 4A+2B+3C+D=-29,\quad A+5B+3C+D=-35,\quad A+2B+6C+D=-41,\quad -A+4B+4C+D=-33 $$
である。2〜4 本目から 1 本目を引くと $D$ が消えて
$$ -3A+3B=-6,\qquad -3A+3C=-12,\qquad -5A+2B+C=-4 $$
となる。1・2 本目から $B=A-2$、$C=A-4$ で、3 本目に入れると $-5A+2(A-2)+(A-4)=-4$、つまり $-2A=4$ で $A=-2$ である。よって $B=-4$、$C=-6$ で、最初の式から $D=-29+8+8+18=5$ である。球面は $x^2+y^2+z^2-2x-4y-6z+5=0$ で、prop-sph-general により $k=\dfrac{4+16+36}4-5=9$、中心 $(1,2,3)$、半径 $3$ である。4 点がどれも中心から距離 $3$ にあること(たとえば $(-1,4,4)$ では $4+4+1=9$)も確かめられる。

平面の円と空間の球面を比べる

観点平面の円空間の球面
方程式$(x-a)^2+(y-b)^2=r^2$$(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2=r^2$
一般形の表すもの円・1 点・空集合球面・1 点・空集合(prop-sph-general)
切る図形と切り口直線:2 点・1 点・なし平面:円・1 点・なし(thm-sph-plane)
接するもの接線 $(\vec p_0-\vec c)\cdot(\vec p-\vec c)=r^2$接平面(同じ式、cor-sph-tangent-plane)
2 つの交わりを含むもの根軸(直線)根平面(thm-sph-radical)
ただ 1 つに決まる条件一直線上にない 3 点を通る同じ平面の上にない 4 点を通る(ex-sph-four)

どの行も、平面の円の性質の「直線」を「平面」に、「2 次元」を「3 次元」に替えたものになっている。

例と反例

外す条件反例成り立たなくなること
一般形で $k>0$定数項が $14$、$15$ の式(ex-sph-general の (2))一般形が球面を表す(1 点・空集合になる)
$x^2$、$y^2$、$z^2$ の係数が等しい$x^2+2y^2+z^2=2$(ex-sph-ellipsoid)式が球面を表す
平面の中で考える空間の $x^2+y^2=4$(ex-sph-cylinder)式が円を表す(円柱になる)
2 つの球面の中心が異なる同心の 2 つの球面(ex-sph-concentric)方べきが等しい点の全体が平面になる
4 点が同じ平面の上にない同じ平面の上の 4 点(ex-sph-coplanar)4 点を通る球面がちょうど 1 つある
反例:係数がそろわない 2 次式

$E:x^2+2y^2+z^2=2$ が、ある中心 $(a,b,c)$、半径 $r$ の球面だとする。$E$ は $(\pm\sqrt2,0,0)$、$(0,\pm1,0)$、$(0,0,\pm\sqrt2)$ を含む。$(\sqrt2,0,0)$ と $(-\sqrt2,0,0)$ から中心までの距離が等しいので $(\sqrt2-a)^2=(\sqrt2+a)^2$、つまり $a=0$ である。同じように $b=0$、$c=0$ で、中心は原点である。すると $(\sqrt2,0,0)$ から $r=\sqrt2$、$(0,1,0)$ から $r=1$ となって矛盾する。よって $E$ は球面ではない(楕円面という 2 次曲面である)。

反例:空間の $x^2+y^2=4$ は円柱

平面では $x^2+y^2=4$ は円だが、空間では $z$ に条件がないので、$(2,0,0)$、$(2,0,5)$、$(2,0,-100)$ などすべてを含む。$z$ 軸を軸とする半径 $2$ の円柱面である。空間の円は、ex-sph-start-cut のように「球面と平面」や「$x^2+y^2=4$ かつ $z=0$」のように、ふつう式を 2 本連立させて表す。

反例:同心の 2 つの球面

$S_1:x^2+y^2+z^2=1$、$S_2:x^2+y^2+z^2=4$ では、方べきの差は $f_{S_1}-f_{S_2}=(x^2+y^2+z^2-1)-(x^2+y^2+z^2-4)=3$ で、どの点でも $0$ にならない。方べきが等しい点はなく、根平面はない。prf-sph-radical の段 1 で使った $\vec e=\vec c_2-\vec c_1\ne\vec 0$ が崩れている。2 つの球面も交わらない。

反例:同じ平面の上の 4 点

$xy$ 平面の 4 点 $(1,0,0)$、$(0,1,0)$、$(-1,0,0)$、$(0,-1,0)$ は、どれも $(0,0,t)$ から距離 $\sqrt{1+t^2}$ にあるので、4 点を通る球面は $t$ ごとに 1 つずつ、無数にある。同じ平面の上にあって同じ円の上にない 4 点では、通る球面が 1 つもない。詳しくは 四面体の外接球と内接球 の反例「同じ平面の上の 4 点」で扱う。

演習

直径の両端から球面を求める

2 点 $A(-1,2,0)$、$B(3,0,4)$ を直径の両端とする球面の方程式を求めよ。

解答を開く

中心は $AB$ の中点 $(1,1,2)$、半径の 2 乗は $\dfrac{AB^2}4=\dfrac{16+4+16}4=9$ なので、$(x-1)^2+(y-1)^2+(z-2)^2=9$ である。$A$ では $4+1+4=9$ を満たす。直径の両端を直角に見込む点が球面をつくることは 直径に対する円周角 で扱う。

球面と平面の切り口

球面 $x^2+y^2+z^2-2x-4y+2z-10=0$ の中心と半径を求め、平面 $z=1$ による切り口の円の中心と半径を求めよ。

解答を開く

平方完成すると $(x-1)^2+(y-2)^2+(z+1)^2=1+4+1+10=16$ で、中心 $(1,2,-1)$、半径 $4$ である。中心と平面 $z=1$ の距離は $2$ なので、thm-sph-plane により切り口は中心 $(1,2,1)$、半径 $\sqrt{16-4}=2\sqrt3$ の円である。

2 つの球面の交わり

球面 $x^2+y^2+z^2=9$ と $(x-2)^2+(y-2)^2+(z-1)^2=4$ の交わりを調べよ。

解答を開く

中心の距離は $\ell=\sqrt{4+4+1}=3$、半径は $3$ と $2$ で、$\lvert3-2\rvert<3<3+2$ なので、cor-sph-two-condition により円で交わる。2 式を引くと $4x+4y+2z-14=0$、つまり根平面は $2x+2y+z=7$ である。原点との距離は $\dfrac73$ で(thm-sph-radical の式でも $\dfrac{9+9-4}{6}=\dfrac73$)、交わりの円の半径は $\sqrt{9-\dfrac{49}9}=\dfrac{4\sqrt2}3$ である。

大学数学で見る:球面と 2 次曲面

球面から先へ

球面の方程式 $x^2+y^2+z^2+Ax+By+Cz+D=0$ は、$x,y,z$ の 2 次式 $=0$ の形の図形(2 次曲面)のうち、2 次の部分が $x^2+y^2+z^2$ に比例するものである。2 次の部分が $x^2+2y^2+z^2$ のようにそろわないと楕円面(ex-sph-ellipsoid)、$x^2+y^2$ だけなら円柱(ex-sph-cylinder)、$x^2+y^2-z^2$ なら円錐や双曲面になる。

次元を上げた球面と、立体射影を開く

$n$ 次元の球面。thm-sph-distance の式を $n$ 個の座標に広げた距離 $\sqrt{(x_1-y_1)^2+\dots+(x_n-y_n)^2}$ で、中心からの距離が $r$ の点の全体を $\mathbb{R}^n$ の球面という(n次元球面)。中心からの距離が $r$ 以下の点の全体は球(ボール)$\{\vec x\mid(\vec x-\vec x_c)\cdot(\vec x-\vec x_c)\le r^2\}$ で、凸集合の基本的な例として BV04 の §2.2.2 にある。thm-sph-plane と thm-sph-radical の証明は座標の個数によらずそのまま通り、$\mathbb{R}^n$ の球面を超平面で切ると、その超平面の中の球面・1 点・空集合のどれかになる。

立体射影。単位球面 $x^2+y^2+z^2=1$ の北極 $N(0,0,1)$ と、$xy$ 平面の点 $(u,v,0)$ を結ぶ直線は、球面と $N$ 以外にもう 1 点$$\Bigl(\frac{2u}{1+u^2+v^2},\ \frac{2v}{1+u^2+v^2},\ \frac{u^2+v^2-1}{1+u^2+v^2}\Bigr)$$で交わる(成分を 2 乗して足すと $1$ になる)。この対応で平面と「球面から $N$ を除いたもの」が 1 対 1 に対応し、平面の円や直線は球面の上の円に移る(この記事では証明しない)。立体射影 として、複素数平面を球面で見るときに使う。

さらに先へ

  • 同じ平面の上にない 4 点を通る球面(外接球)と、四面体の 4 つの面に接する球面(内接球)は 四面体の外接球と内接球 で扱う。
  • 平面の 2 つの円の根軸と、3 つの円の根心は 根軸と根心 で扱う。球面でも、中心が一直線上にない 3 つの球面の根平面は 1 本の直線で交わる(この記事では扱わない)。
  • 2 つの球面の方程式 $F_1=0$、$F_2=0$ から $F_1+\lambda F_2=0$ を作ると、交わりの円を通る球面や根平面がまとめて得られる。この考え方は 2曲線の交点を通る図形(束) で扱う。

関連項目

参考文献

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