区間(interval)とは、実数 $a,b$ を端点とする $[a,b]$、$(a,b)$、$[a,b)$、$(a,b]$ や、$[a,\infty)$、$(-\infty,b)$、$\mathbb{R}$ のような、数直線の途切れのない一続きの部分集合のことである。たとえば $[0,1)$ は $0$ 以上 $1$ 未満の実数全体である。$\mathbb{R}$ の部分集合 $I$ が区間(1 点や空集合の退化した区間を含む)であることは、「$x,y\in I$、$x<z<y$ ならば $z\in I$」と同値であり、これは実数の上限性質から従う。したがって区間は 1 次元の凸集合であり、$\mathbb{R}$ の連結部分集合でもある。有界な閉区間の減少列は共通点をもつ(区間縮小法)が、開区間や有界でない区間の列、有理数の範囲では成り立たない。
$[0,1)$ と書くと、$0$ 以上 $1$ 未満の実数全体を表す。$0$ は含まれ、$1$ は含まれない。$0.999$ も $0.9999999$ も含まれるが、$1$ に最も近い元はない。このように数直線の「途切れのない一続きの部分」を 区間 という。一方、$\{x\in\mathbb{R}\mid 1< x^2<4\}$ は $1<|x|<2$ と同じ条件なので $(-2,-1)\cup(1,2)$ であり、$-1.5$ と $1.5$ を含むのにその間の $0$ を含まない。これは区間ではない。この「2 点を含めばその間の点をすべて含む」という性質が、区間を特徴づける(thm-interval-characterization)。
区間は関数(写像)の定義域、中間値の定理や平均値の定理の舞台、Riemann積分の積分範囲など、解析学のいたるところに現れる。本記事では実数の区間を扱う。半順序集合の元 $a\le b$ に対する $\{x\mid a\le x\le b\}$ も区間と呼ばれる(数え上げ組合せ論 などで使う)が、ここでは扱わない。
$a,b$ を実数とする。次の形の $\mathbb{R}$ の部分集合を 区間(interval)という。
記号 $\infty$ は実数ではなく、$[a,\infty)$ の「$\infty$ の側には端がない」ことを示す記号にすぎない。したがって $\infty$ の側には丸括弧だけを使う。有界でない区間のうち $[a,\infty)$ と $(-\infty,b]$ を閉区間、$(a,\infty)$ と $(-\infty,b)$ を開区間に含める流儀もある(prop-interval-open-closed により、それぞれ閉集合・開集合である)。本記事で単に閉区間というときは有界な $[a,b]$ を指す。開区間 $(a,b)$ の記号は平面の点 $(a,b)$ と同じなので、文脈で区別する(Ham §1.1、pp. 6–7 に 8 種類の区間の記号と、この記号の衝突の注意がある)。開区間を $]a,b[$ と書く流儀もある。
区間は、数直線の上で「端から端まで塗りつぶした部分」である。端点が塗られているか($[\ ]$)、白抜きか($(\ )$)、あるいは端がなくどこまでも伸びているか($\infty$)で種類が分かれる。どの種類であっても、区間には「穴」がない。区間の 2 点 $x< y$ をとると、$x$ と $y$ の間の実数はすべて同じ区間に属する。逆に、この「穴がない」性質をもつ部分集合は、必ず上の定義のどれかの形をしている。これは実数に「すき間」がない(上限と下限 の上限性質をもつ)ことによる。有理数だけで考えると、$\{x\in\mathbb{Q}\mid x^2<2\}$ は穴のない部分集合なのに、端点 $\pm\sqrt2$ が有理数の中にないので、有理数の区間の形には書けない。
$I\subset\mathbb{R}$ について、次の 2 条件は同値である。
1 ⇒ 2:たとえば $I=[a,b)$ で $x,y\in I$、$x< z< y$ なら、$a\le x< z$ かつ $z< y< b$ なので $a\le z< b$、すなわち $z\in I$ である。ほかの形も、端点の不等式を $x$ の側と $y$ の側から 1 つずつ受け継ぐだけなので同じである。
2 ⇒ 1:$I=\emptyset$ なら退化した区間 $(0,0)$ である。以下 $I\ne\emptyset$ とする。$I$ が下に有界なら $\alpha:=\inf I$、そうでなければ $\alpha:=-\infty$ とおき、$I$ が上に有界なら $\beta:=\sup I$、そうでなければ $\beta:=\infty$ とおく(下限・上限の存在は実数の上限性質による。実数 の記事の定義「上限性質」と命題「上限性質と下限性質」)。
(i) $\alpha< z<\beta$ を満たす実数 $z$ はすべて $I$ に属する。実際、$z>\alpha$ なので $z$ は $I$ の下界ではなく($\alpha=-\infty$ なら $I$ は下に有界でないので、やはり $z$ は下界でない)、$x< z$ となる $x\in I$ がある。同様に $z<\beta$ から、$z< y$ となる $y\in I$ がある。条件 2 により $z\in I$ である。
(ii) $I$ の元 $x$ は $\alpha\le x\le\beta$ を満たす(下限・上限の定義)。
(i)(ii) により、$I$ は開区間 $(\alpha,\beta)$ に、端点 $\alpha,\beta$ のうち実数であって $I$ に属するものを付け加えた集合である。$\alpha,\beta$ がともに実数なら、$\alpha\le\beta$ であり、端点を含むかどうかの 4 通りに応じて $I$ は $(\alpha,\beta)$、$[\alpha,\beta)$、$(\alpha,\beta]$、$[\alpha,\beta]$ のどれかになる。$\alpha=-\infty$ または $\beta=\infty$ の場合も、同様に定義の 2 のどれかの形になる。いずれの場合も $I$ は区間である。$\square$
この証明で上限・下限の存在を使ったところが本質的である。有理数全体 $\mathbb{Q}$ の中で同じ条件を考えると、$\{x\in\mathbb{Q}\mid x^2<2\}$ は条件 2 を満たすが、$\mathbb{Q}$ の中に上限をもたない(上限と下限 の命題「有理数体における上限の不存在」)ので、有理数を端点とする区間の形には書けない。
条件 2 は「区間とは凸集合である」と言い換えられる。$x< z< y$ となる $z$ は $z=(1-t)x+ty$($0< t<1$)と書ける点であり、条件 2 は「$I$ の 2 点を結ぶ線分が $I$ に含まれる」ことを意味するからである。したがって $\mathbb{R}$ の凸集合はちょうど区間であり、区間は凸集合の 1 次元の場合である。また、位相空間としての $\mathbb{R}$ の連結な部分集合もちょうど区間である(連結空間 の記事の定理「実数直線の連結部分集合」。そこでは条件 2 を区間の定義に採っている)。
区間の任意の族 $(I_\lambda)_{\lambda\in\Lambda}$ の共通部分 $\bigcap_{\lambda}I_\lambda$ は区間である(空集合になることもある)。
$x,y\in\bigcap_\lambda I_\lambda$、$x< z< y$ とする。各 $\lambda$ について $x,y\in I_\lambda$ であり、$I_\lambda$ は区間なので thm-interval-characterization により $z\in I_\lambda$ である。よって $z\in\bigcap_\lambda I_\lambda$ であり、ふたたび thm-interval-characterization により共通部分は区間である。$\square$
区間 $I,J$ が共通の点をもつならば、和集合 $I\cup J$ は区間である。
$c\in I\cap J$ をとる。$x,y\in I\cup J$、$x< z< y$ とする。$x,y$ が同じ区間に属すればその区間が $z$ を含む。$x\in I$、$y\in J$ の場合、$z\le c$ なら $x< z\le c$ で $x,c\in I$ なので $z\in I$($z=c$ なら明らか)であり、$z>c$ なら $c< z< y$ で $c,y\in J$ なので $z\in J$ である。$x\in J$、$y\in I$ の場合も $I$ と $J$ の役割を入れ替えて同じである。よって $z\in I\cup J$ であり、thm-interval-characterization により $I\cup J$ は区間である。$\square$
共通点をもたない場合は ex-interval-non-examples の $[0,1]\cup[2,3]$ のように区間にならないことがある。ただし $[0,1)\cup[1,2]=[0,2]$ のように、共通点がなくても区間になる場合もある。
1:$x\in(a,b)$ なら $r:=\min\{x-a,\,b-x\}>0$ とおくと $(x-r,x+r)\subset(a,b)$ である。よって $(a,b)$ の各点はその中に含まれる開球をもち、開集合である。有界でない場合も、存在する端点までの距離を $r$ とすればよい。
2:$[a,b]$ の補集合は $(-\infty,a)\cup(b,\infty)$ であり、1 により開集合の和なので開集合である。よって $[a,b]$ は閉集合である。$[a,\infty)$ の補集合 $(-\infty,a)$、$(-\infty,b]$ の補集合 $(b,\infty)$ も開集合である。
3:$a\in[a,b)$ だが、どんな $r>0$ についても $a-r/2\in(a-r,a+r)$ は $[a,b)$ に属さないので、$[a,b)$ は開集合でない。また補集合 $(-\infty,a)\cup[b,\infty)$ は点 $b$ を含む。どんな $r>0$ についても $s:=\min\{r,b-a\}/2$ とおくと $0< s< r$ かつ $s< b-a$ なので、点 $b-s$ は $(b-r,b+r)$ に入り、しかも $a< b-s< b$ より $[a,b)$ に属する。よって補集合は $b$ を中心とするどの開球も含まず、開集合でない。よって $[a,b)$ は閉集合でもない。$\square$
有界でない $[a,\infty)$、$(-\infty,b]$ を閉区間に、$(a,\infty)$、$(-\infty,b)$ を開区間に含める流儀では、「開区間」「閉区間」という名前は、この命題によって「開集合である区間」「閉集合である区間」とほぼ一致する。ただし $\mathbb{R}=(-\infty,\infty)$ と $\emptyset$ は例外である。この 2 つはどちらの流儀でも開集合でも閉集合でもあるが、この流儀でも $\emptyset$ は閉区間ではなく、$\mathbb{R}$ を閉区間に数えるかどうかも流儀によるので、この 2 つについては一致しない。本記事の約束(閉区間は有界な $[a,b]$)では、閉集合である区間には $[a,\infty)$ なども入るので一致しない。
有界な閉区間の列 $I_1\supset I_2\supset I_3\supset\cdots$、$I_n=[a_n,b_n]$($a_n\le b_n$)について、共通部分 $\bigcap_{n\ge1}I_n$ は空でない。さらに長さ $b_n-a_n$ が $0$ に収束するならば、共通部分はちょうど 1 点からなる。
$I_{n+1}\subset I_n$ より $a_n\le a_{n+1}\le b_{n+1}\le b_n$ である。任意の $m,n$ について $a_m\le b_n$ である。実際、$k:=\max\{m,n\}$ とすると $a_m\le a_k\le b_k\le b_n$ である。したがって集合 $\{a_m\mid m\ge1\}$ は空でなく、各 $b_n$ がその上界である。実数の上限性質により $\alpha:=\sup_m a_m$ が存在し、上限は最小の上界なので、すべての $n$ について $a_n\le\alpha\le b_n$、すなわち $\alpha\in I_n$ である。よって $\alpha\in\bigcap_nI_n$ である。
$b_n-a_n\to0$ とし、$x< y$ がともに共通部分に属すると仮定する。すべての $n$ で $a_n\le x< y\le b_n$ なので $b_n-a_n\ge y-x>0$ となり、$b_n-a_n\to0$(数列の極限)に反する。よって共通部分は 1 点である。$\square$
区間縮小法は、二分法による方程式の解の近似や、中間値の定理の証明(中間値の定理 の記事の証明「区間を半分ずつ縮める」)、Bolzano–Weierstrassの定理の証明、閉区間が非可算集合であることの証明(非可算集合 の記事の定理「区間の非可算性」)に使われる。
この反例の 3 が示すように、区間縮小法は 上限と下限 の上限性質と同じく、実数に「すき間」がないこと(完備性)を表す性質の 1 つである。本記事では上限性質から区間縮小法を導いた。
区間は連続写像で区間に写る。すなわち、区間 $I$ 上の実数値連続関数 $f$ について $f(I)$ は区間である。実際、$f(I)$ の 2 点 $f(x)$、$f(y)$($x,y\in I$、$x< y$ としてよい)の間の実数 $k$ をとる。thm-interval-characterization により $[x,y]\subset I$ なので、$f$ を $[x,y]$ に制限して 中間値の定理 を使うと、$f(c)=k$ となる $c\in[x,y]$ がある。よって $k\in f(I)$ であり、再び thm-interval-characterization により $f(I)$ は区間である。閉区間 $I=[a,b]$ の場合は、中間値の定理 の記事の証明「区間の連続像は区間」でも連結性を使って示されている。さらに有界な閉区間の連続像は有界な閉区間である(中間値の定理 の記事の系「閉区間の連続像」)。開区間の連続像は開区間とは限らない。たとえば $f(x)=x^2$ で $(-1,1)$ の像は $[0,1)$ である。
Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する