解析化

同義語:analytification複素解析化

概要

解析化(analytification)とは、複素数上の有限型スキームの複素数値の点に通常の位相と正則関数の構造層を与え、複素解析空間を作る操作である。アフィン表示では多項式の零点集合に収束冪級数による局所環を与え、冪零元も保持する。滑らかな点は複素多様体になり、射も解析的な射へ移る。アフィン直線には指数関数のような代数的でない正則関数が現れ、射影的な場合に連接層とコホモロジーが代数と解析で一致することは GAGA の内容である。

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{div}[0]{\mathbin{÷}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

前提知識: スキーム, 複素解析空間, 正則関数, 局所環

多項式の零点を複素解析で見る

複素数を係数とする方程式 $f_1(z)=\cdots=f_r(z)=0$ は、代数幾何ではスキームを、複素解析では正則関数の零点で定まる複素解析空間を与える。両者の間で、複素数値の点に通常の複素数の位相を与え、多項式を正則関数として読む操作を解析化(analytification)という。得られる空間を $X^{\mathrm{an}}$ と書く。
解析化は零点集合だけを取り出す操作ではない。$z^2=0$ で定まるスキームは点を一つしか持たないが、$z$ に対応する零でない冪零元を持つ。解析化した後もその冪零元は構造層に残る。このことを含めて、代数的な局所環を正則関数の局所環に移すのが解析化である。一方、解析化すると新しい正則関数が現れることがある。たとえばアフィン直線上の多項式 $e^z$ は存在しないが、その解析化である複素平面上では $e^z$ は正則である。
本記事では有限型の複素スキームを扱い、局所模型の作り方、位相と局所環の変化、射との両立、滑らかな場合の幾何を追う。古典的な代数多様体から複素解析空間への構成は Serre Ser56 に、冪零元を許すスキームを含む構成は Nee07 第 5 章に沿う。GAGA が主題とする連接層とコホモロジーの比較は最後に位置づける。

アフィンの場合の構成

アフィンスキームの解析化

$A=\mathbb C[z_1,\ldots,z_n]/I$ を有限生成 $\mathbb C$ 代数とし、$X=\operatorname{Spec}A$ とする。$I=(f_1,\ldots,f_r)$ を選び、台となる集合を
$$X^{\mathrm{an}}_{\mathrm{top}}=\{a\in\mathbb C^n:f_1(a)=\cdots=f_r(a)=0\}$$
とする。この集合には $\mathbb C^n$ からの相対位相を与える。$\mathcal O_{\mathbb C^n}$ を正則関数の層とし、零点集合上の構造層を $\mathcal O_{\mathbb C^n}/I\mathcal O_{\mathbb C^n}$ によって定める。こうして得られる複素解析空間が $X^{\mathrm{an}}$ である。$a=(a_1,\ldots,a_n)$ における局所環は
$$\mathcal O_{X^{\mathrm{an}},a}\cong \mathbb C\{z_1-a_1,\ldots,z_n-a_n\}/(f_1,\ldots,f_r)$$
となる。右辺の括弧は収束冪級数環内で生成されるイデアルを意味する。

この定義に現れる複素数値の点は $X$ の閉点に対応する。有限生成 $\mathbb C$ 代数の極大イデアルが $\mathfrak m_a=(z_1-a_1,\ldots,z_n-a_n)/I$ の形になるのはHilbertの零点定理による。一般のスキーム点、たとえば既約なアフィン直線の生成点は $X^{\mathrm{an}}$ の台には現れない。しかし、その点に支配される代数的な情報が消えるという意味ではない。多項式関係式は解析的な構造層に引き継がれる。
生成元 $f_i$ の取り方は結果に影響しない。実際、別の生成元で書いても正則関数の層に生成するイデアル層は同じ $I\mathcal O_{\mathbb C^n}$ である。表示 $A=\mathbb C[z]/I$ 自体を変えた場合にも、座標関数どうしの多項式による表現が解析的な写像を与え、二つの局所模型を互いに逆の解析空間の射で同一視する。

表示に依存しないこと

$A\cong\mathbb C[z_1,\ldots,z_n]/I\cong\mathbb C[w_1,\ldots,w_m]/J$ とする。各 $w_j$ が $A$ の元として表すものを $z$ の多項式 $P_j(z)$ で選ぶ。すると $P=(P_1,\ldots,P_m)$ は $V(I)$ から $V(J)$ への正則写像を定める。$J$ の元を $P$ に代入すると $I$ に入るので、構造層の商への射も定まる。同じように各 $z_i$ を $w$ の多項式 $Q_i(w)$ で表せば逆向きの射がある。合成 $Q_i(P(z))-z_i$ は $I$ に、$P_j(Q(w))-w_j$ は $J$ に入る。したがって合成は点だけでなく構造層上でも恒等射である。ゆえに両局所模型は同型になる。

アフィン直線と二重点

$\mathbb A^1_{\mathbb C}=\operatorname{Spec}\mathbb C[z]$ の解析化は複素平面 $\mathbb C$ である。点 $a$ で、代数的局所環は $\mathbb C[z]_{(z-a)}$、解析的局所環は $\mathbb C\{z-a\}$ となる。一方、$D=\operatorname{Spec}\mathbb C[\varepsilon]/(\varepsilon^2)$ は台が一点のスキームであり、$D^{\mathrm{an}}$ も台が一点だが、その局所環は $\mathbb C\{z\}/(z^2)\cong\mathbb C[\varepsilon]/(\varepsilon^2)$ である。台だけを集合として取り出すと失われる一次の無限小情報が、解析化では保たれる。

位相と正則関数

代数的な $X$ と解析的な $X^{\mathrm{an}}$ は、複素数値の点について同じ集合を持つが、位相は違う。$\mathbb A^1_{\mathbb C}$ の閉点集合に Zariski 位相を入れると、空でない開集合は有限集合の補集合である。解析化では通常の複素平面の位相を使い、円板のような開集合も取れる。一般の有限型スキームでも、代数的な開集合の複素点集合は解析的に開いている。したがって自然な集合写像 $\pi:X^{\mathrm{an}}\to X$ は連続である。多項式や局所的な有理式を正則関数として読む射と合わせ、$\pi$ は局所環付き空間の射になる。

代数的な関数は解析的な関数になる

$U\subset X$ を Zariski 開集合とする。$U$ 上の代数的正則関数は $\pi^{-1}(U)$ 上の正則関数を定める。これらの対応は和、積、開集合への制限と両立する。

局所的に分母を調べる

主張はアフィンの局所模型で調べられる。$X=\operatorname{Spec}\mathbb C[z]/I$ とし、$D(g)\subset X$ を主開集合とする。$D(g)$ 上の切断は $A_g$ の元で、$p/g^k$ の形に書ける。$D(g)^{\mathrm{an}}=\{a\in V(I):g(a)\ne0\}$ 上では、多項式 $g$ は零点を持たない正則関数である。よって $p/g^k$ はそこでは正則である。別の表示が同じ $A_g$ の元を表せば、両者の差は $A_g$ で零であり、各点の近くで同じ解析的関数を表す。主開集合はアフィンの位相の基底なので、この対応を貼り合わせれば任意の $U$ で射が得られる。式から和、積、制限との両立も従う。

逆に、解析的正則関数がすべて代数的であるわけではない。これは解析化を使うときの最初の重要な境界である。

アフィン直線上の余分な正則関数

$\Gamma(\mathbb A^1_{\mathbb C},\mathcal O)=\mathbb C[z]$ に対し、$\Gamma((\mathbb A^1_{\mathbb C})^{\mathrm{an}},\mathcal O)$ は複素平面上の整関数環である。後者には $e^z$ があり、これは前者から来ない。

指数関数は多項式でない

$e^z$ は複素平面全体で収束する冪級数 $\sum_{k=0}^{\infty}z^k/k!$ で与えられ、正則である。仮に多項式 $P(z)$ として $e^z=P(z)$ が成り立つなら、$P$ の次数より高い階数の $0$ における導関数は零になる。しかし $e^z$ の任意の階数の導関数は $e^z$ であり、$0$ での値は常に $1$ である。矛盾する。

同じ例は射でも起こる。$e^z:\mathbb C\to\mathbb C$ は解析空間の射だが、アフィン直線からアフィン直線への代数的射は座標 $w$ の像として多項式 $P(z)$ を指定するので、$e^z$ は代数的射の解析化ではない。したがって解析化関手は一般のアフィンスキーム上で射を全射に対応させない。GAGA の「代数的なものと解析的なものが一致する」という結論には固有性などの仮定が必要である。

アフィンを貼り合わせる

一般の有限型 $\mathbb C$ スキーム $X$ はアフィン開集合で覆える。アフィン開集合 $U$ の複素数値の点は $X(\mathbb C)$ の解析的開集合となる。$U^{\mathrm{an}}$ をその上で貼り合わせて $X^{\mathrm{an}}$ を作る。重なりはさらにアフィン開集合で覆えるので、アフィンの場合の表示に依存しない性質が貼り合わせの整合性を保証する。ここでは通常の複素解析空間を得るため、$X$ を分離的な有限型スキームとする。局所有限型の場合にも、適切な複素解析空間の流儀で同じ構成を行える。

スキームの解析化

$X$ を $\mathbb C$ 上分離的な有限型スキームとする。アフィン開被覆上で上の局所模型を貼り合わせた複素解析空間 $X^{\mathrm{an}}$ と、自然な局所環付き空間の射 $\pi:X^{\mathrm{an}}\to X$ を $X$ の解析化という。$X$ 上の $\mathcal O_X$ 加群 $\mathcal F$ の解析化は
$$\mathcal F^{\mathrm{an}}:=\pi^{-1}\mathcal F\otimes_{\pi^{-1}\mathcal O_X}\mathcal O_{X^{\mathrm{an}}}$$
である。点 $x\in X(\mathbb C)$ の茎では $\mathcal F^{\mathrm{an}}_x=\mathcal F_x\otimes_{\mathcal O_{X,x}}\mathcal O_{X^{\mathrm{an}},x}$ となる。

この式は、代数的な層の係数を正則関数へ拡げるという意味を持つ。とくに $\mathcal O_X$ の解析化は $\mathcal O_{X^{\mathrm{an}}}$ である。有限表示の加群を行列の余核として書けば、解析化後はその行列の多項式成分を正則関数とみなした余核が得られる。連接層の解析化が連接解析層になることや、局所環の平坦性については GAGA に証明がある。

射と解析化

$f:X\to Y$ を分離的な有限型 $\mathbb C$ スキームの射とする。複素数値の点の対応と構造層の射から正則写像 $f^{\mathrm{an}}:X^{\mathrm{an}}\to Y^{\mathrm{an}}$ が定まる。恒等射と合成について $(\operatorname{id}_X)^{\mathrm{an}}=\operatorname{id}_{X^{\mathrm{an}}}$ および $(g\circ f)^{\mathrm{an}}=g^{\mathrm{an}}\circ f^{\mathrm{an}}$ が成り立つ。

座標関数を正則関数として読む

射の始域と終域を十分小さなアフィン開集合に制限する。$Y=\operatorname{Spec}\mathbb C[w_1,\ldots,w_m]/J$ とすれば、$f$ は $w_j$ の像となる $X$ 上の代数的正則関数 $h_j$ を指定する。prop-analytification-regular により各 $h_j$ は $X^{\mathrm{an}}$ 上の正則関数を与える。$J$ の関係式は $h_j$ に代入すると零なので、$h=(h_1,\ldots,h_m)$ は $Y^{\mathrm{an}}$ への正則写像を定め、構造層の商とも両立する。重なりで同じ代数的射から得た写像は一致するため、アフィン上の写像は貼り合う。座標関数の代入は恒等射と合成を保つので、述べた等式が成り立つ。

閉部分スキーム $Z\hookrightarrow X$ の解析化は $X^{\mathrm{an}}$ の閉解析的部分空間として実現される。イデアルを正則関数の層へ拡げたものが、その部分空間を定める。開部分スキームの解析化は対応する解析的開部分空間である。このため、代数的な図式を解析的な図式に移すとき、単なる点集合の対応より多くの構造が保持される。

滑らかな点と特異な点

代数多様体が滑らかな場合、解析化すると複素多様体になる。この主張の局所的な核心は正則関数に対する陰関数定理である。局所の方程式を使えば、複素次元が代数的な相対次元に等しいことも直接見える。

滑らかな完全交差の解析化

$X=V(f_1,\ldots,f_r)\subset\mathbb A^n_{\mathbb C}$ とし、$a\in X(\mathbb C)$ で Jacobian 行列 $(\partial f_i/\partial z_j)(a)$ の階数が $r$ であるとする。$a$ の十分小さい近傍で $X^{\mathrm{an}}$ は複素次元 $n-r$ の複素多様体である。

正則な陰関数定理

座標を並べ替え、最後の $r$ 個の変数に関する小行列式が $a$ で零でないとする。この行列式は近傍でも零でない。正則な陰関数定理により、$a$ の近くでは $f_1=\cdots=f_r=0$ の解を最後の $r$ 個の変数について一意の正則関数として書ける。したがって最初の $n-r$ 個の変数への射影は解集合の近傍と $\mathbb C^{n-r}$ の開集合の間の双正則写像である。方程式で定める解析的構造層もこの座標変換によって開集合の正則関数の層に一致する。ゆえに台だけでなく解析空間として複素多様体の局所模型を得る。

節点をもつ平面曲線

$X=V(y^2-x^2-x^3)\subset\mathbb A^2_{\mathbb C}$ を考える。原点では両偏導関数が零であるため、上の滑らかさの判定は使えない。実際、$y^2=x^2(1+x)$ の右辺に現れる $1+x$ は原点近くで正則な平方根 $u(x)$ を持つ。よって近くでは $(y-xu(x))(y+xu(x))=0$ となり、二本の解析的枝が原点で交わる。解析化は特異点を消さない。この例は、解析的な局所因数分解が代数的な大域因数分解と異なりうることも示す。

滑らかな射 $f:X\to Y$ についても、局所の Jacobian 判定と陰関数定理から、$f^{\mathrm{an}}$ は局所的に複素座標の射影と同じ形になる。これは代数的な滑らかさを解析的な変形の言葉へ移す入口になる。ただし一般の複素解析的な射が代数的射から来るとは限らない。上の $e^z$ の例がすでに示している。

射影的な場合と比較定理

$\mathbb P^n_{\mathbb C}$ を標準的なアフィン開集合で覆って解析化すると、通常の複素射影空間 $\mathbb P^n(\mathbb C)$ を得る。各アフィン座標の遷移関数は有理式であり、重なりでは分母が零でないため正則である。射影空間の閉部分スキームは斉次多項式の零点として、この複素射影空間の閉解析的部分空間になる。射影空間はコンパクトなので、その閉解析的部分空間もコンパクトである。

射影直線

$\mathbb P^1_{\mathbb C}$ は $\mathbb A^1$ の二枚を座標 $z$ と $w$ で貼り、重なりで $w=1/z$ とする。解析化後も同じ貼り合わせを行い、複素平面に無限遠点を加えた Riemann 球面を得る。この空間はコンパクトである。したがってその上の大域的な正則関数は定数である。アフィン直線では存在した $e^z$ は、無限遠点を越えて球面上の正則関数にはならない。

射影的な $X$ 上では、GAGA により代数的な連接層と解析的な連接層が対応し、それらの層コホモロジーも一致する。ここでの結論は「解析化の構成そのもの」より深い。たとえば一般のアフィンスキームでは解析的関数が多すぎるが、射影的な場合にはコンパクト性と連接性の制約のもとで比較が成立する。より一般の固有スキームについての拡張もある。これらの証明と仮定は GAGA を参照する。
なお、複素数上の解析化と、非アルキメデス体上の解析化は同じ語で呼ばれることがあるが、後者は体の絶対値と別の解析空間の理論を用いる。本記事の $X^{\mathrm{an}}$ は常に複素数の通常の絶対値による複素解析空間である。

反例:仮定を外すと崩れること

解析化についての主張のうち、仮定を必要とするものを並べ、その仮定を外した反例を示す。

外す条件反例成り立たなくなること
Jacobian の階数が $r$(prop-analytification-smooth)節点 $V(y^2-x^2-x^3)$ の原点原点の近傍が複素多様体
同上(台が位相多様体でも)尖点 $V(y^2-x^3)$ の原点原点の近傍が複素多様体
同上(被約性も外れる)$V(z^2)\subset\mathbb A^1_{\mathbb C}$近傍が複素多様体
射影的・固有(GAGA の仮定)$\mathbb A^1_{\mathbb C}$ と $e^z$解析的な大域関数・射がすべて代数的
射影的・固有$\mathbb A^1_{\mathbb C}$$X^{\mathrm{an}}$ がコンパクト
Zariski 開集合から始める(位相の比較)単位円板 $\{\lvert z\rvert<1\}\subset\mathbb C$解析的開集合が Zariski 開集合から来る

各行の確認は次のとおりである。

  • 節点:原点で $\partial f/\partial x=-2x-3x^2$、$\partial f/\partial y=2y$ はともに零なので Jacobian の階数は $0<1$ である。ex-analytification-node のとおり原点の近くで $X^{\mathrm{an}}$ は二本の枝 $y=\pm xu(x)$ の和であり、原点を除くと、原点の十分小さい近傍の中で二つの連結成分に分かれる。一次元の複素多様体なら、原点の近傍は円板で、円板から一点を除いても連結なので、複素多様体ではない。
  • 尖点:$f=y^2-x^3$ の偏導関数 $-3x^2$、$2y$ は原点で零である。$t\mapsto(t^2,t^3)$ は $\mathbb C$ から $X^{\mathrm{an}}$ への連続な全単射で、$|t|\to\infty$ のとき像も無限遠へ行くので同相であり、台は位相的には平面と同じである。しかし原点の解析的局所環 $\mathcal O=\mathbb C\{x,y\}/(y^2-x^3)$ は一次元で、極大イデアル $\mathfrak m$ について $f\in\mathfrak m_{\mathbb C^2}^2$ だから $\dim\mathfrak m/\mathfrak m^2=2$ である。一次元の複素多様体の局所環 $\mathbb C\{w\}$ では $\dim\mathfrak m/\mathfrak m^2=1$ なので、解析空間として複素多様体ではない。台が位相多様体であっても構造層が違う。
  • 二重点:$V(z^2)$ の Jacobian は $2z$ で、原点で零である。解析化の局所環 $\mathbb C\{z\}/(z^2)$ は零でない冪零元 $z$ を持つ。複素多様体の局所環 $\mathbb C\{w_1,\ldots,w_k\}$ は整域なので、これも複素多様体ではない。台は一点で、零次元の複素多様体(一点)と同じ集合だが、構造層で区別される。
  • 固有性を外す(関数と射):$\mathbb A^1_{\mathbb C}$ は固有でない($\mathbb A^1_{\mathbb C}\to\operatorname{Spec}\mathbb C$ は普遍閉でない)。prop-analytification-exponential により、$e^z$ は $(\mathbb A^1_{\mathbb C})^{\mathrm{an}}$ 上の正則関数であり、代数的正則関数から来ない。射についても同じ $e^z$ が代数的でない正則写像 $\mathbb C\to\mathbb C$ を与える。
  • 固有性を外す(コンパクト性):$(\mathbb A^1_{\mathbb C})^{\mathrm{an}}=\mathbb C$ は有界でない閉集合を含む(実軸 $\mathbb R$)ので、コンパクトでない。射影的な $\mathbb P^1_{\mathbb C}$ の解析化が Riemann 球面でコンパクトになること(ex-analytification-projective-line)と対照的である。
  • 位相の比較の逆:$\mathbb A^1_{\mathbb C}$ の空でない Zariski 開集合は有限集合の補集合なので、有界でない。単位円板は有界だから、どの Zariski 開集合の複素点集合とも一致しない。したがって $\pi:X^{\mathrm{an}}\to X$ は連続だが、$X(\mathbb C)$ の上で二つの位相は一致しない。

関連項目

参考文献

[1]
Jean-Pierre Serre, Géométrie algébrique et géométrie analytique, Annales de l'Institut Fourier, 1956, §2, no. 5(代数多様体の解析空間への対応)
[2]
Amnon Neeman, Algebraic and Analytic Geometry, Cambridge University Press, 2007, Chapter 5, The analytification of a scheme, pp. 100–161; Appendix 1

Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する