解の配置(location of roots)とは、実数係数の 2 次方程式 $f(x)=x^2+bx+c=0$ の実数の解が、与えられた数 $p$ や区間 $(p,q)$ に対してどこにあるかを係数の条件で判定する技法である。平方完成により、判別式 $D\ge0$ のとき解 $\alpha\le\beta$ について $f(p)=(p-\alpha)(p-\beta)$ となるので、$f(p)<0$ は $\alpha<p<\beta$ と同値であり、2 つの解がともに $p$ より大きいことは $D\ge0$、軸 $-\frac b2>p$、$f(p)>0$ の 3 条件と同値である。端点が解でないとき、$(p,q)$ にちょうど 1 つの解があること(重解は 2 つと数える)は $f(p)f(q)<0$ と同値である。一般の連続関数では、中間値の定理が解の存在だけを保証する。
高校では、係数に文字を含む 2 次方程式について「2 つの解がともに正」「1 つの解が $1$ より大きく、もう 1 つが $1$ より小さい」のような条件を満たす文字の範囲を求める。これを 解の配置 の問題という。答え方は、グラフ $y=f(x)$ を描いて、判別式・軸の位置・区間の端での値の符号の 3 つを調べるのが定石である。まず例を見る。
$x^2-2mx+m+2=0$ が異なる 2 つの正の解をもつような $m$ の範囲を求める。$f(x)=x^2-2mx+m+2$ とおくと、グラフは下に凸の放物線で、軸は $x=m$ である。次の 3 つを調べる。
$$
\begin{aligned}
&\text{判別式}:\ \frac D4=m^2-(m+2)=(m-2)(m+1)>0\ \text{より}\ m<-1\ \text{または}\ m>2,\\
&\text{軸}:\ m>0,\\
&\text{端の値}:\ f(0)=m+2>0\ \text{より}\ m>-2.
\end{aligned}
$$
3 つを同時に満たすのは $m>2$ である。たとえば $m=3$ なら $x^2-6x+5=(x-1)(x-5)$ で、解は $1$ と $5$ である。
$x^2-mx+1=0$ の解の 1 つが $0$ と $1$ の間、もう 1 つが $1$ と $2$ の間にあるような $m$ の範囲を求める。$f(x)=x^2-mx+1$ のグラフが $x=0$ で $x$ 軸の上、$x=1$ で下、$x=2$ で上にあればよいので
$$
f(0)=1>0,\qquad f(1)=2-m<0,\qquad f(2)=5-2m>0
$$
から $2< m<\frac52$ である。たとえば $m=\frac94$ なら $4x^2-9x+4=0$ で、解は $x=\frac{9\pm\sqrt{17}}8$、すなわち約 $0.610$ と約 $1.640$ である。
これらの計算は、次の疑問を残す。
| 高校の計算 | 大学の見方 |
|---|---|
| 判別式 $D\ge0$ | 平方完成で実数の解が現れる条件 |
| 端での値 $f(p)$ の符号 | $f(p)=(p-\alpha)(p-\beta)$:解との距離の積の符号 |
| 軸の位置 | 2 つの解の平均 $\frac{\alpha+\beta}2$ |
| $f(p)f(q)<0$ なら間に解 | 中間値の定理 |
| 文字定数を分離してグラフと直線の交点を見る | 関数の値の分布(増減)を調べる |
最高次の係数が $a\ne0$ の 2 次式 $F(x)=ax^2+bx+c$ は、全体を $a$ で割ると $f(x)=\frac{F(x)}a=x^2+\frac bax+\frac ca$ になる。$F(x)=0$ と $f(x)=0$ の解は同じである。$F$ の軸は $x=-\frac b{2a}$ で、$f$ の軸と同じ位置にある。$F$ の判別式は $b^2-4ac$ で、$f$ の判別式と同じ符号である(→ rem-lr-divide)。ただし $a<0$ で割ると値の符号が逆になる。$F$ のまま条件を書くときは、$f(p)>0$ であることを $aF(p)>0$ と、$f(p)<0$ であることを $aF(p)<0$ と読みかえる($\frac{F(p)}a$ と $aF(p)=a^2\cdot\frac{F(p)}a$ は同じ符号である。→ ex-lr-negative)。
$f(x)=x^2+\frac bax+\frac ca$ の軸と判別式を、$F(x)=ax^2+bx+c$ の係数で書くと
$$
\begin{aligned}
&\text{軸}:\ -\frac12\cdot\frac ba=-\frac b{2a},\\
&\text{判別式}:\ \Bigl(\frac ba\Bigr)^2-4\cdot\frac ca=\frac{b^2}{a^2}-\frac{4ac}{a^2}=\frac{b^2-4ac}{a^2}
\end{aligned}
$$
である。$a^2>0$ なので、$f$ の判別式と $F$ の判別式 $b^2-4ac$ は同じ符号である。
例:$F(x)=-x^2+4x-3$($a=-1$、$b=4$、$c=-3$)を $-1$ で割ると $f(x)=x^2-4x+3$ で、$f$ の 1 次の係数は $\frac ba=-4$ である。軸は $-\frac{4}{2\cdot(-1)}=2$ で、$f$ で計算した $-\frac{-4}2=2$ と一致する。$F$ の係数 $4$ に $-\frac b2$ をそのまま当てはめると $-2$ になり、軸の符号を取り違える。
以下では割ったあとの式だけを扱うので、その係数を改めて $b,c$ と書き、$f(x)=x^2+bx+c$($b,c$ は実数)とする。この $b,c$ は $F$ の係数 $b,c$ そのものではなく、$\frac ba,\ \frac ca$ にあたる数である。
$f(x)=x^2+bx+c$ に対し、$s:=-\frac b2$ を 軸(グラフの対称軸 $x=s$ の位置)、$D:=b^2-4c$ を 判別式 という。$D\ge0$ のとき、実数の解を小さい順に $\alpha\le\beta$ と書く。$D=0$(重解)のときは $\alpha=\beta$ であり、解を「2 つ」と数える。「2 つの解がともに $p$ より大きい」とは、$D\ge0$ かつ $p<\alpha\le\beta$ であることをいう。
すべての実数 $x$ について $f(x)=(x-s)^2-\frac D4$ である。
(1) $D<0$ なら、すべての $x$ で $f(x)>0$ であり、実数の解はない。
(2) $D\ge0$ なら、$\alpha=s-\frac{\sqrt D}2$、$\beta=s+\frac{\sqrt D}2$ であり、
$$
f(x)=(x-\alpha)(x-\beta),\qquad s=\frac{\alpha+\beta}2 .
$$
$(x-s)^2-\frac D4=x^2-2sx+s^2-\frac{b^2-4c}4=x^2+bx+\frac{b^2}4-\frac{b^2}4+c=x^2+bx+c$ である($-2s=b$、$s^2=\frac{b^2}4$ を使った)。
(1) $D<0$ なら $-\frac D4>0$ であり、$(x-s)^2\ge0$ なので $f(x)\ge-\frac D4>0$ である。
(2) $D\ge0$ なら $\frac D4=\bigl(\frac{\sqrt D}2\bigr)^2$ なので、2 乗の差の因数分解により
$$
f(x)=\Bigl(x-s-\frac{\sqrt D}2\Bigr)\Bigl(x-s+\frac{\sqrt D}2\Bigr)=(x-\beta)(x-\alpha)
$$
である。$\alpha+\beta=2s$ なので $s=\frac{\alpha+\beta}2$ である。$\square$
この補題の要点は、端での値が
$$
f(p)=(p-\alpha)(p-\beta)
$$
と、「$p$ から 2 つの解までの差の積」になることである。積の符号は、$p$ が 2 つの解の外にあるか間にあるかで決まる。
解が $s\pm\frac{\sqrt D}2$ で、判別式が解の差の 2 乗になることは 2次方程式の判別式の正体 で扱う。
まず、端での値が負になる場合を扱う。
実数 $p$ について、$f(p)<0$ であることと、「$D>0$ かつ $\alpha< p<\beta$」であることは同値である。
$f(p)<0$ とする。lem-lr-square (1) により $D<0$ なら $f(p)>0$ なので、$D\ge0$ である。すると $f(p)=(p-\alpha)(p-\beta)<0$ なので、$p-\alpha$ と $p-\beta$ は符号が逆である。$\alpha\le\beta$ より $p-\alpha\ge p-\beta$ なので、$p-\alpha>0>p-\beta$、つまり $\alpha< p<\beta$ である。特に $\alpha\ne\beta$ なので $D>0$ である。
逆に $D>0$ かつ $\alpha< p<\beta$ なら、$p-\alpha>0$、$p-\beta<0$ なので $f(p)=(p-\alpha)(p-\beta)<0$ である。$\square$
次が、高校の 3 条件の根拠である。
実数 $p$ について、「2 つの解がともに $p$ より大きい」ことは、次の 3 つがすべて成り立つことと同値である。
$$
D\ge0,\qquad s>p,\qquad f(p)>0 .
$$
方針:$f(p)>0$ は「$p$ が 2 つの解の外側にある」ことだけを言い、左右どちらの外側かは言わない。それを決めるのが軸の条件である。
段 1(3 条件が必要なこと):$D\ge0$ かつ $p<\alpha\le\beta$ とする。$D\ge0$ は仮定そのものである。lem-lr-square (2) により $s=\frac{\alpha+\beta}2>\frac{p+p}2=p$ である。また $p-\alpha<0$、$p-\beta<0$ なので $f(p)=(p-\alpha)(p-\beta)>0$ である。
段 2(3 条件で十分なこと):3 条件を仮定する。$D\ge0$ なので $f(p)=(p-\alpha)(p-\beta)$ と書け、これが正なので、$p-\alpha$ と $p-\beta$ は同じ符号をもち、どちらも $0$ でない。
解の配置の 3 つの型(端での値の符号と軸の位置)
図1 は定理の状況を放物線で描いたものである。(a) $x^2-6x+7$、$p=1$:$f(1)=2>0$ で、軸 $x=3$ は $p$ の右にあり、2 つの解 $3\pm\sqrt2$ はどちらも $1$ より大きい。(b) $x^2-2x-3$、$p=1$:$f(1)=-4<0$ で、$p$ は 2 つの解 $-1,3$ の間にある(thm-lr-sep)。(c) $x^2-4x+3$、$p=0$、$q=4$:両端の値が正で軸が区間の中にあり、2 つの解 $1,3$ はどちらも区間の中にある(次の cor-lr-between)。
thm-lr-right を左右反転すると、「$q$ より小さい」側の条件が得られる。
実数 $q$ について、「$D\ge0$ かつ $\alpha\le\beta< q$」であることは、$D\ge0$、$s< q$、$f(q)>0$ がすべて成り立つことと同値である。
$g(x):=f(-x)=x^2-bx+c$ とおく。$g$ の判別式は $(-b)^2-4c=D$ で $f$ と同じ、軸は $\frac b2=-s$ である。$D\ge0$ のとき、$g(x)=0$ の解は $-\beta\le-\alpha$ である($g(-\alpha)=f(\alpha)=0$ などから)。「$\beta< q$」は「$-q<-\beta$」、つまり「$g$ の 2 つの解がともに $-q$ より大きい」と同じである。thm-lr-right を $g$ と $-q$ に使うと、これは $D\ge0$、$-s>-q$、$g(-q)>0$ と同値であり、$-s>-q$ は $s< q$、$g(-q)=f(q)$ なので主張を得る。$\square$
$p< q$ とする。「$D\ge0$ かつ $p<\alpha\le\beta< q$」であることは、次の 4 つがすべて成り立つことと同値である。
$$
D\ge0,\qquad p< s< q,\qquad f(p)>0,\qquad f(q)>0 .
$$
「$p<\alpha\le\beta< q$」は「2 つの解がともに $p$ より大きい」かつ「ともに $q$ より小さい」ことである。前者は thm-lr-right により $D\ge0$、$s>p$、$f(p)>0$ と同値、後者は cor-lr-left により $D\ge0$、$s< q$、$f(q)>0$ と同値である。両方を合わせたものが 4 つの条件である。$\square$
$p< q$ とし、$p,q$ はどちらも解でない($f(p)\ne0$、$f(q)\ne0$)とする。区間 $(p,q)$ の中にちょうど 1 つの解がある(重解は 2 つと数える)ことは、$f(p)f(q)<0$ と同値である。
方針:$f(p)f(q)<0$ は「一方が負、他方が正」ということなので、負の側に thm-lr-sep を使う。
段 1($f(p)f(q)<0$ ならちょうど 1 つ):$f(p)<0< f(q)$ の場合、thm-lr-sep により $\alpha< p<\beta$ である。$f(q)>0$ なので $q$ は解の間 $[\alpha,\beta]$ にない(間の $x$ では $(x-\alpha)(x-\beta)\le0$)。$q>p>\alpha$ なので $q>\beta$ である。よって $\alpha< p<\beta< q$ で、$(p,q)$ の中の解は $\beta$ だけである。$f(q)<0< f(p)$ の場合も同様に $\alpha< q<\beta$ で、$p< q<\beta$ かつ $p\notin[\alpha,\beta]$ から $p<\alpha$ となり、$p<\alpha< q<\beta$ で中の解は $\alpha$ だけである。
段 2(ちょうど 1 つなら $f(p)f(q)<0$):区間の中に解があるので $D\ge0$ である。重解は 2 つと数えるので $\alpha<\beta$ であり、どちらか一方だけが $(p,q)$ の中にある。$\alpha$ が中にあるなら、$\beta>\alpha>p$ で $\beta$ は中にも端にもないので $\beta>q$ であり、$p<\alpha< q<\beta$ から $f(p)=(p-\alpha)(p-\beta)>0$、$f(q)=(q-\alpha)(q-\beta)<0$ である。$\beta$ が中にあるなら、同様に $\alpha< p<\beta< q$ で $f(p)<0< f(q)$ である。どちらでも $f(p)f(q)<0$ である。$\square$
定理を使って、高校の例を見直す。
$F(x)=-x^2+4x-3$ について、$F(x)=0$ の 2 つの解がともに正かどうかを、$F$ のまま調べる。最高次の係数は $a=-1$ である。
$$
\begin{aligned}
&\text{判別式}:\ 4^2-4\cdot(-1)\cdot(-3)=16-12=4>0,\\
&\text{軸}:\ x=-\frac{4}{2\cdot(-1)}=2>0,\\
&\text{端の値}:\ aF(0)=(-1)\cdot(-3)=3>0.
\end{aligned}
$$
3 つとも満たされるので、2 つの解はともに正である。実際 $F(x)=-(x-1)(x-3)$ で、解は $1$ と $3$ である。グラフ $y=F(x)$ は上に凸なので、2 つの解の外側の $x=0$ では $F(0)=-3<0$ になる。「$F(0)>0$」を条件にすると誤りになる。全体を $-1$ で割った $f(x)=x^2-4x+3$ なら、$f(0)=3>0$ で thm-lr-right の形のまま使える。
文字 $m$ が 1 次でしか現れない方程式は、$m=g(x)$ の形に直せることがある。このとき、方程式の解は 曲線 $y=g(x)$ と直線 $y=m$ の交点の $x$ 座標 である。$m$ を動かすと直線が上下に平行移動するだけなので、$g$ の増減さえ調べれば、解の個数と位置がすべての $m$ について一度に分かる。
$x^2-2mx+m+2=0$ を考える。$x=\frac12$ を代入すると $\frac14+2=\frac94\ne0$ なので、$x=\frac12$ は解にならない。よって $2x-1\ne0$ として両辺を割ってよく、方程式は
$$
m=g(x):=\frac{x^2+2}{2x-1}\qquad\Bigl(x\ne\frac12\Bigr)
$$
と同値である。商の微分法により
$$
g'(x)=\frac{2x(2x-1)-2(x^2+2)}{(2x-1)^2}=\frac{2(x-2)(x+1)}{(2x-1)^2}
$$
である。増減は次のとおりである。
| $x$ | $\cdots$ | $-1$ | $\cdots$ | $\frac12$ | $\cdots$ | $2$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| $g'(x)$ | $+$ | $0$ | $-$ | $-$ | $0$ | $+$ | |
| $g(x)$ | 増加 | $-1$(極大) | 減少 | なし | 減少 | $2$(極小) | 増加 |
また $g(0)=-2$ であり、$x\to\frac12$ で左からは $-\infty$、右からは $+\infty$ に向かう。直線 $y=m$ との交点を見ると、次が分かる。
文字定数を分離して、曲線と水平な直線の交点で解を数える
図2 は ex-lr-separate の $y=g(x)$ に直線 $y=3$、$y=2$、$y=-3$ を重ねたものである。直線を上下に動かすと交点の数が $2\to1\to0$ と変わる境目が、極小値 $2$ と極大値 $-1$ である。$y=-3$ のもう 1 つの交点 $x=-3-\sqrt{10}$ は図の左の外にある。
$x^3-3x-m=0$ の実数解の個数を調べる。$m=g(x):=x^3-3x$ と分離すると、$g'(x)=3x^2-3=3(x-1)(x+1)$ なので、$g$ は $x=-1$ で極大値 $g(-1)=2$、$x=1$ で極小値 $g(1)=-2$ をとり、$x\to\pm\infty$ で $g(x)\to\pm\infty$ である。よって実数解の個数は
$$
|m|>2\ \text{のとき}\ 1\ \text{個},\qquad |m|=2\ \text{のとき}\ 2\ \text{個},\qquad |m|<2\ \text{のとき}\ 3\ \text{個}
$$
である($|m|=2$ では 1 つが重解)。$m=1$ なら解は約 $-1.532$、$-0.347$、$1.879$ の 3 つ、$m=2$ なら $x^3-3x-2=(x+1)^2(x-2)$ で解は $-1$(重解)と $2$ である。
3 次方程式 x³−3x=m の実数解の個数
図3 は ex-lr-cubic のグラフである。直線 $y=m$ が極大値 $2$ と極小値 $-2$ の間にあるとき 3 点で交わり、外にあるとき 1 点で交わる。
軸と区間の位置で場合分けする同じ考え方は 2次関数の最大・最小 でも使う。
2 次関数では、$f(p)=(p-\alpha)(p-\beta)$ という式があったので、解の位置を代数的に決められた。一般の関数ではこの式がない。代わりに使うのが次の定理である。
$f$ を閉区間 $[p,q]$ で連続な関数とする。$f(p)$ と $f(q)$ の符号が異なる($f(p)f(q)<0$)なら、$f(c)=0$ となる $c$ が開区間 $(p,q)$ の中に少なくとも 1 つある。
$f(x)=x^3-x-1$ は $f(1)=-1<0$、$f(2)=5>0$ なので、thm-lr-ivt により $(1,2)$ に解がある。中点での値を調べて、符号が変わるほうの半分を残す。
| 区間 | 中点 $c$ | $f(c)$ | 残す区間 |
|---|---|---|---|
| $[1,\,2]$ | $1.5$ | $0.875$ | $[1,\,1.5]$ |
| $[1,\,1.5]$ | $1.25$ | $-0.297$ | $[1.25,\,1.5]$ |
| $[1.25,\,1.5]$ | $1.375$ | $0.225$ | $[1.25,\,1.375]$ |
| $[1.25,\,1.375]$ | $1.3125$ | $-0.052$ | $[1.3125,\,1.375]$ |
| $[1.3125,\,1.375]$ | $1.34375$ | $0.083$ | $[1.3125,\,1.34375]$ |
5 回で解は長さ $\frac1{32}$ の区間に入った。実際の解は約 $1.3247$ である。$f'(x)=3x^2-1>0$($x\ge1$)なので $f$ はこの区間で増加し、解はちょうど 1 つである。
2 次関数の cor-lr-one のうち「$f(p)f(q)<0$ なら $(p,q)$ に解がある」の部分は、thm-lr-ivt の特別な場合である。しかし thm-lr-ivt が保証するのは「少なくとも 1 つ」だけで、「ちょうど 1 つ」は 2 次式であることや、ex-lr-bisect のような単調性から出てくる。
3 次方程式の実数解の個数を判別式で判定する方法は 3次方程式と多項式の判別式 で扱う。
| 外した条件 | 崩れる主張 | ボックス |
|---|---|---|
| 軸の条件 $s>p$ | 3 条件で 2 解とも $p$ より大 | ex-lr-drop (1) |
| 端の値 $f(p)>0$ | 同上 | ex-lr-drop (2) |
| 判別式 $D\ge0$ | 同上 | ex-lr-drop (3) |
| 2 次式であること | $f(p)f(q)<0$ なら解はちょうど 1 つ | ex-lr-cubic3 |
| 連続であること | $f(p)f(q)<0$ なら解がある | ex-lr-jump |
| 解が区間に「ちょうど 1 つ」 | 区間に解があれば $f(p)f(q)<0$ | ex-lr-both |
thm-lr-right で $p=0$ とし、条件を 1 つずつ外す。
(1) 軸の条件を外す:$x^2-2mx+m+2$ で $m=-\frac32$ とすると、$\frac D4=(m-2)(m+1)=\frac74>0$、$f(0)=\frac12>0$ だが、軸は $x=-\frac32<0$ である。方程式は $x^2+3x+\frac12=0$ で、解 $\frac{-3\pm\sqrt7}2$(約 $-0.177$ と約 $-2.823$)はどちらも負である。$0$ は 2 つの解の右の外にある。
(2) 端の値の条件を外す:$x^2-2x-3=(x+1)(x-3)$ は $D=16>0$、軸 $x=1>0$ だが、$f(0)=-3<0$ で、解 $-1$ は負である。
(3) 判別式の条件を外す:$x^2-2x+2$ は軸 $x=1>0$、$f(0)=2>0$ だが、$D=4-8=-4<0$ で実数の解がない。
$f(x)=x^3-x=x(x-1)(x+1)$ は $f(-2)=-6<0$、$f(2)=6>0$ だが、$(-2,2)$ の中に解が $-1,0,1$ の 3 つある。thm-lr-ivt の「少なくとも 1 つ」は正しいが、「ちょうど 1 つ」は正しくない。多項式の場合に言えるのは、重複も数えた解の個数が奇数であることまでである(rem-lr-parity)。
$x<0$ で $f(x)=-1$、$x\ge0$ で $f(x)=1$ と定める。$f(-1)=-1<0$、$f(1)=1>0$ だが、$f(x)=0$ となる $x$ はない。$f$ は $x=0$ で連続でないので、thm-lr-ivt の仮定を満たさない。
$f(x)=x^2-4x+3=(x-1)(x-3)$ は区間 $(0,4)$ に 2 つの解 $1,3$ をもつが、$f(0)=3$、$f(4)=3$ で $f(0)f(4)>0$ である。「$f(p)f(q)<0$ でなければ解がない」とは言えない。区間の中の解の有無は、cor-lr-between のように軸と判別式も合わせて判定する。
2 次式を 1 次式の積に分けて符号を読んだ考え方は、一般の実数係数の多項式に広がる。
実数係数の多項式は、定数と、1 次式と、実数の解をもたない 2 次式の積に分解される(代数学の基本定理から従う。本記事では証明しない)。$p< q$ とし、$f(p)\ne0$、$f(q)\ne0$ とする。1 次の因数 $x-\gamma$ は、$\gamma$ が $p$ と $q$ の間にあるときだけ $x=p$ と $x=q$ で符号が異なる。実数の解をもたない 2 次の因数は、lem-lr-square (1) によりつねに同じ符号なので、符号を変えない。定数の因数も符号を変えない。よって $f(p)$ と $f(q)$ の符号が異なるのは、$(p,q)$ の中の解の個数(重解は重複度だけ数える)が奇数のときであり、$(p,q)$ の中の解の個数は、$f(p)f(q)<0$ なら奇数、$f(p)f(q)>0$ なら偶数である。
例:ex-lr-cubic3 の $x^3-x$ は $f(-2)f(2)=-36<0$ で、$(-2,2)$ の中の解は $-1,0,1$ の $3$ 個(奇数)である。ex-lr-both の $x^2-4x+3$ は $f(0)f(4)=9>0$ で、$(0,4)$ の中の解は $1,3$ の $2$ 個(偶数)である。
区間の両端が解でないとき、区間の中の異なる実数解の個数は、Sturmの定理で数えられる。これは $f$ と $f'$ から、整数の互除法と同じように割り算を繰り返し、そのたびに余りの符号を変えたもの(余りに $-1$ を掛けたもの)を次の項として多項式の列を作り、区間の両端での符号の変わり目の数の差として異なる解の個数を得る方法である。重解も 1 個と数えるので、重解を 2 つと数える本記事や rem-lr-parity の数え方とは異なる。たとえば $(x-1)^2$ の区間 $(0,2)$ の中の解は、本記事の数え方では 2 個、Sturm の定理の数え方では 1 個である。本記事では名前の紹介だけにとどめ、証明しない。
区間を小さく分けて、各区間に解がちょうど 1 つずつ入るようにすることを 根の分離 という。Sturm の定理と二分法を組み合わせると、多項式のすべての実数解を好きな精度で求めることができる。
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