Stone双対性(Stone duality)とは、Boole 代数と Stone 空間(コンパクト Hausdorff で完全不連結な空間)が互いに相手から復元できる形で対応するという定理である。Boole 代数 $B$ の超フィルター全体に位相を入れると Stone 空間 $S(B)$ になり、$B$ はその開閉集合の代数に同型である(Stone の表現定理)。証明には Boole 素イデアル定理が要る。逆に Stone 空間 $X$ は $S(\operatorname{Clop}(X))$ に同相で、準同型と連続写像は向きを反転して 1 対 1 に対応する。有界分配束には、スペクトル空間による Stone の双対と、順序つきの空間による Priestley の双対があり、スペクトル空間は可換環のスペクトルとして現れる(Hochster)。
前提知識: Boole代数, 超フィルター, コンパクト空間, Hausdorff空間, 完全不連結空間
Stone双対性(Stone duality)とは、Boole 代数と Stone 空間(コンパクト Hausdorff で完全不連結な空間)とが、互いに相手から復元できる形で 1 対 1 に対応するという定理である。Boole 代数 $B$ からは、その超フィルター全体に位相を入れた Stone 空間 $S(B)$ が得られ、Stone 空間 $X$ からは開かつ閉な集合全体のなす Boole 代数 $\operatorname{Clop}(X)$ が得られる。この 2 つの操作は互いに逆であり(同型・同相を除いて)、準同型と連続写像を向きを反転させて対応させる。M. H. Stone が Boole 代数の表現定理として導入した(Sto36)。
この記事の主定理は、Boole 代数が $\operatorname{Clop}(S(B))$ に同型であるという Stoneの表現定理 と、Stone 空間が $S(\operatorname{Clop}(X))$ に同相であることであり、どちらも完全に証明する。表現定理の証明で選択原理(Boole 素イデアル定理)を使う位置を明示する。あわせて Stone 空間の同値な定義を証明し、分配束への拡張(Stone によるスペクトル空間の双対、Priestley の双対)と、Hochster のスペクトル空間との関係を所在付きで述べる。
この記事では、コンパクト性に Hausdorff 性を含めない(コンパクト空間 の定義)。位相空間 $X$ の開かつ閉な部分集合を 開閉集合 と呼び、その全体を $\operatorname{Clop}(X)$ と書く。開閉集合の全体が開基をなす空間を 零次元 という。
コンパクト Hausdorff 空間で、完全不連結空間(空でない連結部分集合が 1 点集合だけ)であるものを Stone 空間(Boole 空間)という。
コンパクト空間 $X$ について、次の 3 条件は同値である。
2 ⇒ 3.$x\neq y$ なら Hausdorff 性から開集合 $W\ni x$ で $y\notin W$ となるものがあり、零次元性から開閉集合 $K$ で $x\in K\subset W$ となるものがある。
3 ⇒ 1.$x\neq y$ を分ける開閉集合 $K$ について $K$ と $X\setminus K$ は交わらない開集合なので、$X$ は Hausdorff である。2 点以上を含む部分集合 $A$ は、$x,y\in A$ を分ける開閉集合 $K$ によって、交わらない相対開集合 $A\cap K$ と $A\setminus K$ に分かれるので連結でない。
1 ⇒ 2.$x\in X$ を固定し、$x$ を含む開閉集合全体の共通部分を $Q$ とする。
段 1:$Q$ は連結である.$Q=A\cup A'$ を、$Q$ の交わらない相対閉集合への分解とし、$x\in A$ とする。$Q$ は閉集合の共通部分として閉集合なので、$A,A'$ は $X$ の閉集合である。コンパクト Hausdorff 空間は正規なので(コンパクト空間 の命題「コンパクトHausdorff空間の正規性」)、交わらない開集合 $U\supset A$、$V\supset A'$ がある。閉集合 $X\setminus(U\cup V)$ は $Q$ と交わらないので、$x$ を含む開閉集合 $K$ の補集合 $X\setminus K$ たちで覆われる。$X\setminus(U\cup V)$ はコンパクト空間の閉集合としてコンパクトなので、有限個の $K_1,\dots,K_n$ で覆われる。$K:=K_1\cap\cdots\cap K_n$ は $x$ を含む開閉集合で、$K\subset U\cup V$ である。$K\cap U$ は開集合であり、$K\subset U\cup V$ と $U\cap V=\emptyset$ から $K\cap U=K\setminus V$ なので閉集合でもある。$x\in K\cap U$ なので $Q\subset K\cap U\subset U$ であり、$A'\subset Q\cap V\subset U\cap V=\emptyset$ となる。よって $Q$ は連結である。
段 2:零次元性.完全不連結性と段 1 から $Q=\{x\}$ である。$W$ を $x$ の開近傍とすると、閉集合 $X\setminus W$ は $Q$ と交わらないので、段 1 と同じく $x$ を含む有限個の開閉集合の共通部分 $K$ で $K\subset W$ となるものがある。$K$ は開閉集合なので、開閉集合全体は開基をなす。$\square$
条件 3 は Hausdorff 性を含まないが、コンパクト性と合わせると Hausdorff 性を導く。条件 3 を Stone 空間の定義とする文献もある(GvG Definition 3.38、p. 72)。
Boole 代数 $B$(最小元 $0$、最大元 $1$、結び $\vee$、交わり $\wedge$、補元 $\neg$)の準同型は、$0,1,\vee,\wedge,\neg$ を保つ写像とする。
Boole 代数 $B$ の部分集合 $F$ が フィルター であるとは、$1\in F$、$0\notin F$ で、上に閉じ、$a,b\in F$ なら $a\wedge b\in F$ となることをいう。フィルター $F$ が 超フィルター であるとは、各 $a\in B$ について $a\in F$ または $\neg a\in F$ となることをいう。$B$ の超フィルター全体の集合を $S(B)$ と書き、$a\in B$ に対し
$$
\widehat a:=\{F\in S(B)\mid a\in F\}
$$
とおく。$\{\widehat a\}_{a\in B}$ を開基とする位相を入れた $S(B)$ を $B$ の Stone 空間(双対空間)という。
$a\wedge\neg a=0\notin F$ なので、超フィルターは $a$ と $\neg a$ のちょうど一方を含む。超フィルターは包含について極大なフィルターである。実際、フィルター $F\subsetneq G$ で $F$ が超フィルターなら、$a\in G\setminus F$ について $\neg a\in F\subset G$ となり $0=a\wedge\neg a\in G$ に反する。逆に極大なフィルターは超フィルターである(GvG Definition 3.37 の後の説明、p. 72)。
$F$ を $B$ の超フィルターとすると、$a\vee b\in F$ と「$a\in F$ または $b\in F$」は同値である。したがって
$$
\widehat{a\wedge b}=\widehat a\cap\widehat b,\qquad \widehat{a\vee b}=\widehat a\cup\widehat b,\qquad \widehat{\neg a}=S(B)\setminus\widehat a,\qquad \widehat 0=\emptyset,\qquad \widehat 1=S(B)
$$
であり、各 $\widehat a$ は $S(B)$ の開閉集合である。
$a\in F$ なら $a\le a\vee b$ から $a\vee b\in F$ である。逆に $a,b\notin F$ なら $\neg a,\neg b\in F$ なので $\neg(a\vee b)=\neg a\wedge\neg b\in F$ となり、$a\vee b\notin F$ である。交わりの式はフィルターの定義から、補元の式は超フィルターが $a,\neg a$ のちょうど一方を含むことから従う。$\widehat a$ の補集合は $\widehat{\neg a}$ で開集合なので、$\widehat a$ は閉集合でもある。$\square$
$\{\widehat a\}$ は有限個の共通部分で閉じ、$\widehat 1=S(B)$ を含むので、実際に開基になる。
表現定理の証明では、次の選択原理を使う。
Boole 代数 $B$ の任意のフィルター $G$ は、ある超フィルターに含まれる。
この補題は選択原理そのものであり、構成的な手順では得られない。以下の表現定理では、この補題を使う箇所を明示して引用する。
この補題は Boole素イデアル定理 の定理「Boole 素イデアル定理の同値な形」の 2(真のイデアルは素イデアルに含まれる)を、$I\mapsto\{\neg a\mid a\in I\}$ でフィルターに言い換えたものであり、$\mathsf{ZF}$ の上で Boole 素イデアル定理と同値である。$\mathsf{ZF}$ だけでは証明できず、選択公理からは従う。この記事では、選択原理を使う箇所をこの補題の引用として明示する。
$B$ を Boole 代数とする。
段 1(2 点の分離).$F\neq G$ を超フィルターとする。超フィルターは極大なフィルターなので $F\not\subset G$ であり、$a\in F\setminus G$ がとれる。$\widehat a$ は $F$ を含み $G$ を含まない開閉集合である。
段 2(コンパクト性、選択原理を使う).開集合はどれも基本開集合 $\widehat a$ の和なので、基本開集合による被覆 $S(B)=\bigcup_{i\in I}\widehat{a_i}$ が有限部分被覆をもつことを示せばよい。有限部分被覆がないと仮定する。有限個の $i_1,\dots,i_n$ について $\widehat{a_{i_1}}\cup\cdots\cup\widehat{a_{i_n}}\neq S(B)$ なので、lem-stone-basic-open により $\widehat{\neg a_{i_1}\wedge\cdots\wedge\neg a_{i_n}}\neq\emptyset$、とくに $\neg a_{i_1}\wedge\cdots\wedge\neg a_{i_n}\neq0$ である。よって
$$
G:=\{b\in B\mid \text{ある有限個の } i_1,\dots,i_n \text{ で } \neg a_{i_1}\wedge\cdots\wedge\neg a_{i_n}\le b\}
$$
はフィルターである($n=0$ のときの交わりは $1$ とする)。lem-stone-bpi により、$G$ を含む超フィルター $F$ がある。$F$ はすべての $\neg a_i$ を含むので、どの $\widehat{a_i}$ にも属さない。これは被覆の仮定に反する。
段 3(Stone 空間).段 1・段 2 と thm-stone-space-equivalent の条件 3 により、$S(B)$ は Stone 空間である。
段 4(単射、選択原理を使う).$a\neq b$ とし、たとえば $a\not\le b$ とする。このとき $c:=a\wedge\neg b\neq0$ である($a\wedge\neg b=0$ なら $a=a\wedge(b\vee\neg b)=a\wedge b\le b$)。$\{x\mid c\le x\}$ はフィルターなので、lem-stone-bpi により $c$ を含む超フィルター $F$ がある。$a\in F$、$\neg b\in F$ なので $F\in\widehat a\setminus\widehat b$ であり、$\widehat a\neq\widehat b$ である。
段 5(全射).$C$ を $S(B)$ の開閉集合とする。$C$ は開集合なので基本開集合の和であり、コンパクト空間の閉集合なのでコンパクトである。よって $C=\widehat{a_1}\cup\cdots\cup\widehat{a_n}=\widehat{a_1\vee\cdots\vee a_n}$ と書ける($n=0$ なら $C=\widehat 0$)。
lem-stone-basic-open により $a\mapsto\widehat a$ は準同型であり、段 4・段 5 により全単射なので同型である。最後の主張は、$\operatorname{Clop}(S(B))$ が $S(B)$ の冪集合の部分 Boole 代数であることによる。$\square$
表現定理の最後の主張は Stone Sto36 Theorem 67(p. 106)の内容である。Stone は、表現に必要な素イデアルの存在(Theorem 63、p. 100)を超限帰納法で示し、表現の存在と「素イデアルが十分にある」ことが超限的な方法を使わずに同値であることも示した(Theorem 70、p. 110)。有限な Boole 代数では選択原理は要らず、表現定理は原子全体の冪集合との同型になる(Boole代数 の定理「有限Boole代数の構造」)。
$X$ を Stone 空間とする。$x\in X$ に対し $F_x:=\{K\in\operatorname{Clop}(X)\mid x\in K\}$ とおくと、$F_x$ は $\operatorname{Clop}(X)$ の超フィルターであり、$x\mapsto F_x$ は同相写像 $X\cong S(\operatorname{Clop}(X))$ である。
$F_x$ がフィルターであることは明らかで、各開閉集合 $K$ について $x\in K$ または $x\in X\setminus K$ なので超フィルターである。
単射.thm-stone-space-equivalent の条件 3 により、$x\neq y$ なら $x$ だけを含む開閉集合があり、$F_x\neq F_y$ である。
全射.$F$ を $\operatorname{Clop}(X)$ の超フィルターとする。$F$ の元は閉集合で、有限個の共通部分はまた $F$ の元なので空でない。$X$ はコンパクトなので、有限交叉性をもつ閉集合族の共通部分は空でない(コンパクト空間 の命題「有限交叉性による言い換え」)。$x\in\bigcap F$ をとると $F\subset F_x$ であり、超フィルターの極大性から $F=F_x$ である。この段で選択原理は使わない。
同相.開閉集合 $K$ について、$x\mapsto F_x$ による $\widehat K$ の逆像は $K$ であり、$K$ の像は $\widehat K$ である。$X$ も $S(\operatorname{Clop}(X))$ も開閉集合を開基にもつので、この全単射は連続かつ開写像であり、同相写像である。$\square$
thm-stone-representation と thm-stone-recover-space は、対象について $B\cong\operatorname{Clop}(S(B))$、$X\cong S(\operatorname{Clop}(X))$ を与える。射については、Boole 代数の準同型 $h\colon B\to B'$ に連続写像 $S(h)\colon S(B')\to S(B)$、$F\mapsto h^{-1}(F)$ を、Stone 空間の連続写像 $f\colon X\to Y$ に準同型 $f^{-1}\colon\operatorname{Clop}(Y)\to\operatorname{Clop}(X)$ を対応させる。
上の対応 $S$ と $\operatorname{Clop}$ は、Boole 代数と準同型の圏と、Stone 空間と連続写像の圏の反対圏との圏同値を与える。とくに、Boole 代数の準同型 $B\to B'$ と連続写像 $S(B')\to S(B)$ は $h\mapsto S(h)$ で 1 対 1 に対応する。
要点:$S(h)$ が連続写像になること、$\widehat{\,\cdot\,}$ と $x\mapsto F_x$ が準同型・連続写像と両立すること(自然性)を確かめれば、主定理の 2 つの同型から圏同値が従う。
$h$ は $\neg$ と $\wedge$ と $0,1$ を保つので、超フィルター $F$ の逆像 $h^{-1}(F)$ は超フィルターである。$S(h)^{-1}(\widehat a)=\{F\mid h(a)\in F\}=\widehat{h(a)}$ なので $S(h)$ は連続であり、この式は $\operatorname{Clop}(S(h))\circ\widehat{\,\cdot\,}=\widehat{\,\cdot\,}\circ h$、つまり表現定理の同型が $h$ と両立することを表す。連続写像 $f\colon X\to Y$ について、$f^{-1}$ は開閉集合を開閉集合に写し、集合演算を保つので準同型である。$x\in X$ と $K\in\operatorname{Clop}(Y)$ について $K\in(f^{-1})^{-1}(F_x)\iff x\in f^{-1}(K)\iff K\in F_{f(x)}$ なので、$S(f^{-1})(F_x)=F_{f(x)}$ であり、thm-stone-recover-space の同相が $f$ と両立する。こうして $\operatorname{Clop}\circ S$ と $S\circ\operatorname{Clop}$ はそれぞれ恒等関手に自然に同型であり、$S$ と $\operatorname{Clop}$ は互いに逆の反変的な圏同値である。圏同値は射の集合の全単射を与えるので、最後の主張が従う。$\square$
Boole 代数と Boole 空間の双対は GvG Theorem 3.44(p. 73)にもあり、そこでは Priestley の双対の特別な場合として導かれている。
| Boole 代数 $B$ | Stone 空間 $S(B)$ |
|---|---|
| 有限 Boole 代数(原子が $n$ 個) | $n$ 点の離散空間 |
| $\mathbb N$ の有限部分集合と補有限部分集合の全体 | $\mathbb N\cup\{\infty\}$($\mathbb N$ の 1 点コンパクト化) |
| 無限集合 $X$ の冪集合 $\mathcal P(X)$ | 離散空間 $X$ の Stone–Čech コンパクト化 $\beta X$ |
| $\{0,1\}^{\mathbb N}$ の開閉集合の代数(可算で原子をもたない) | Cantor集合 |
$B$ を $\mathbb N$ の有限部分集合と補有限部分集合の全体とする。$X:=\mathbb N\cup\{\infty\}$(ex-stone-space-examples の 4)の開閉集合 $K$ を考える。$\infty\in K$ なら $K$ は $\infty$ の開近傍なので補有限であり、$\infty\notin K$ なら $X\setminus K$ が $\infty$ の開近傍なので $K$ は $\mathbb N$ の有限部分集合である。逆にこれらはどれも開閉集合である。よって $K\mapsto K\cap\mathbb N$ は同型 $\operatorname{Clop}(X)\cong B$ を与え、thm-stone-recover-space により $S(B)\cong X$ である。$B$ の超フィルターは、$n\in\mathbb N$ を含む集合全体($n$ に対応する点)と、補有限集合全体($\infty$ に対応する点)である(GvG Example 3.46、p. 74)。
$C:=\{0,1\}^{\mathbb N}$ の開閉集合は開集合なので柱状集合の和であり、コンパクトなので有限個の柱状集合の和である。柱状集合は可算個なので、$\operatorname{Clop}(C)$ は可算である。空でない開閉集合 $K$ はある柱状集合 $Z$(第 $1$ 座標から第 $n$ 座標までを指定したもの)を含み、$Z$ は第 $n+1$ 座標で 2 つの空でない柱状集合に分かれるので、$K$ より真に小さい空でない開閉集合がある。よって $\operatorname{Clop}(C)$ は原子をもたない可算な Boole 代数であり、その Stone 空間は thm-stone-recover-space により $C$ である。
$\mathcal P(X)$ の Stone 空間が $\beta X$ であることは、この記事では証明しない(GvG Example 3.45、p. 74)。$S(\mathcal P(X))$ は $X$ の点に対応する主超フィルターを孤立点として稠密に含むコンパクト Hausdorff 空間である。
Boole 代数から補元を除いた有界分配束($0,1$ をもつ分配束)にも、同じ型の双対がある。有界分配束 $L$ の 素フィルター とは、真のフィルター $F$ で $a\vee b\in F$ ならば $a\in F$ または $b\in F$ となるものをいう。Boole 代数では素フィルターと超フィルターは一致する。分配束では、フィルター $F$ とイデアル $I$ が交わらなければ、$F$ を含み $I$ と交わらない素フィルターがある(GvG Theorem 3.10、p. 54。Zorn の補題を使い、$\mathsf{ZF}$ の上で Boole 素イデアル定理と同値)。ここから、$a\mapsto\widehat a:=\{F\mid a\in F\}$ が $L$ を素フィルター全体の部分集合の束に埋め込むこと(分配束の Stone 表現、GvG Theorem 3.11、p. 55)が従う。素フィルター全体にどんな位相を入れるかで、2 つの双対が得られる。
| Boole 代数 | 有界分配束(Stone) | 有界分配束(Priestley) | |
|---|---|---|---|
| 双対空間の点 | 超フィルター | 素フィルター | 素フィルター(包含の逆の順序つき) |
| 位相 | $\widehat a$ を開基 | $\widehat a$ を開基 | $\widehat a$ とその補集合を準開基 |
| 空間の種類 | Stone 空間 | スペクトル空間 | Priestley 空間 |
| 元の復元 | 開閉集合 | コンパクト開集合 | 開閉な下方集合 |
| 射 | 連続写像 | spectral 写像 | 順序を保つ連続写像 |
Hochster は、可換環の素イデアル全体に Zariski 位相を入れた空間 $\operatorname{Spec}A$ として現れる空間を特徴づけ、それがちょうどスペクトル空間であることを示した。すなわち、任意のスペクトル空間と spectral 写像は、ある可換環のスペクトルと環準同型の誘導する写像に同型である(Hoc69 Theorem 6、p. 51。Spectral space の定理「Hochster の定理」)。Stone 空間については構成が具体的で、Stone 空間 $X$ は、体 $k$ に離散位相を入れたときの連続写像 $X\to k$ 全体のなす環 $A(X)$ のスペクトルに同相である(Hoc69 Theorem 6 の (c) の証明、p. 51)。
Hochster はまた、スペクトル空間 $X$ のコンパクト開集合を閉集合の基とする新しい位相を入れると再びスペクトル空間になり、特殊化の順序が逆になることを示した(Hoc69 Proposition 8、p. 54)。分配束の側では、これは順序を逆にした束の双対空間をとることにあたる。パッチ位相をとる操作は、スペクトル空間から Stone 空間への関手を与える(Hoc69 §9、p. 54)。
表の各行は、双対の前提の 1 つを外すと何が起こるかを示す。
| 外す条件 | 反例 | 成り立たなくなること |
|---|---|---|
| コンパクト性 | 離散空間 $\mathbb N$ | $\operatorname{Clop}(\mathbb N)=\mathcal P(\mathbb N)$ の Stone 空間はコンパクトで、$\mathbb N$ と同相でない |
| 完全不連結性 | 閉区間 $[0,1]$ | 開閉集合は $\emptyset$ と $[0,1]$ だけで、$S(\operatorname{Clop}([0,1]))$ は 1 点 |
| Hausdorff 性 | Sierpinski空間 | 開閉集合は $\emptyset$ と全体だけで、2 点が復元されない |
| 補元(Boole 性) | 3 元の鎖 $0< m< 1$ | $\widehat a$ を開基とする素フィルターの空間は Sierpiński 空間で Hausdorff でない |
| 準同型が $1$ を保つこと | $h\colon\mathbf 2\to\mathbf 2\times\mathbf 2$、$x\mapsto(x,0)$ | 超フィルターの逆像が空集合になり、$S(h)$ が定まらない |
| 選択原理 | $\mathsf{ZF}$ だけ | 無限の Boole 代数一般には、表現定理が証明できない |
各行の計算を確かめる。
1 行目:$\mathbb N$ は離散なので任意の部分集合が開閉である。$S(\mathcal P(\mathbb N))$ は thm-stone-representation によりコンパクトだが、$\mathbb N$ はコンパクトでない。
2 行目:$[0,1]$ は 連結空間 なので開閉集合は $\emptyset$ と全体だけであり、$\operatorname{Clop}([0,1])=\{0,1\}$ の超フィルターは $\{1\}$ ただ 1 つである。
3 行目:$\{1\}$ は開だが閉でなく、$\{0\}$ は閉だが開でない。
4 行目:鎖の素フィルターは $\{1\}$ と $\{m,1\}$ で、$\widehat 0=\emptyset$、$\widehat m=\{\{m,1\}\}$、$\widehat 1$ は全体である。開集合は $\emptyset$、$\{\{m,1\}\}$、全体で、Sierpiński 空間と同じである。
5 行目:$\mathbf 2\times\mathbf 2$ の超フィルター $G=\{(0,1),(1,1)\}$ について $h^{-1}(G)=\{x\mid(x,0)\in G\}=\emptyset$ であり、$1$ を含まない。$h$ は $0,\vee,\wedge$ を保つが $h(1)=(1,0)\neq(1,1)$ である。
6 行目:Boole素イデアル定理 の記事のとおり、Boole 素イデアル定理は $\mathsf{ZF}$ で証明できない。表現定理の一般形は $\mathsf{ZF}$ の上で素イデアルの存在を導く(Sto36 Theorem 70、p. 110)。
注意を 2 つ挙げる。
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