素数の概念は整数論において最も基本的なもののひとつである。素数が重要なのは、あらゆる正の整数が素数の積として一意的にあらわすことができ、整数の乗法的な構造が素数によって説明されるからである。
しかし素数そのものは単純な規則性を持たないように振る舞う。それゆえ素数についての命題は古くからの未解決問題として知られるものが多い。
本ページおよび続くページにおいては素数の定義と基本的な性質を紹介することにする。詳しい性質を議論するには、別の準備が必要なので、後の節および章を参照されたい。
自然数
つぎの事実がすぐにわかる。
つぎのことがすぐにわかる。
すべての
倍数と約数: 定理2 (4)
より
よって数学的帰納法より、すべての
素数は無限に多く存在する。すなわち、任意の実数
定理2
より
よって
なお、上記の数
のうち、最初の
素数が無限に多く存在する証明は、このほかにも様々なものがある。
各
より
定理2
より各
ここで定義した
はいずれも素数である。
Fermatはこの形の数はそれ自体素数であると予想したが、Eulerは
が合成数であることを示した。その後も多くのFermat数が合成数であることが確かめられたが、素数であるFermat数は新たに知られておらず、
このようにして、素数にはいくらでも大きなものがあることがわかるが、やはり、巨大な素数に関する具体的な情報が得られるわけではない。巨大な素数を発見することは数論のひとつの課題である。2018年に
Great Internet Mersenne Prime Search により発見された