2次方程式
$$x^2-Px+Q=0$$
の解を
$$\alpha=\frac{P+\sqrt{D}}{2}, \beta=\frac{P-\sqrt{D}}{2}$$
とおいて、$n\in\Z$ に対して $u_n=u_n(P, Q), v_n=v_n(P, Q)$ を
$$u_n=\frac{\alpha^n-\beta^n}{\alpha-\beta}, v_n=\alpha^n+\beta^n\tag{1.1}$$
と定義すると、直接計算あるいは
線形回帰数列:定理2
より
$$u_0=0, u_1=1, v_0=2, v_1=P\tag{1.2}$$
かつ
$$u_{n+2}=Pu_{n+1}-Qu_n, v_{n+2}=Pv_{n+1}-Qv_n\tag{1.3}$$
となることが容易に確かめられる。これによって定まる数列
$(u_n)_{n\in\Z}=(u_n(P, Q))_{n\in\Z}$, $(v_n)_{n\in\Z}=(v_n(P, Q))_{n\in\Z}$ を $(P, Q)$ に関するLucas数列 (Lucas sequence) という。
また $(v_n)_{n\in\Z}=(v_n(P, Q))_{n\in\Z}$ を $(P, Q)$ に関する同伴Lucas数列 (associated Lucas sequence) ともいう。
Fibonacci数列
OEIS:A000045
$$0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144, \ldots$$
は漸化式
$$F_0=0, F_1=1, F_{n+2}=F_{n+1}+F_n\ (n=0, 1, \ldots)$$
により定義され、
$$\alpha=\frac{1+\sqrt{5}}{2}, \beta=\frac{1-\sqrt{5}}{2}$$
を方程式
$$x^2-x-1=0$$
の解とすると、
$$F_n=\frac{\alpha^n-\beta^n}{\alpha-\beta}$$
とあらわされる。よって $F_n=u_n(1, -1)$ となる。
この同伴Lucas数列
$$2, 1, 3, 4, 7, 11, 18, 29, 47, 76, 123, 199, 322, \ldots$$
は漸化式
$$L_0=2, L_1=1, L_{n+2}=L_{n+1}+L_n\ (n=0, 1, \ldots)$$
を満足し、
$$L_n=v_n(1, -1)=\alpha^n+\beta^n$$
で与えられる。
Fibonacci数列の同伴数列に属する数を'''Lucas数'''という(数列自体をLucas数列と呼ぶことは一般的なLucas数列と混同を招く)。
$(P, Q)=(2, -1)$ に関するLucas数列
$$\begin{split}
P_n= & \frac{(1+\sqrt{2})^n-(1-\sqrt{2})^n}{2\sqrt{2}}, \\
Q_n= & (1+\sqrt{2})^n+(1-\sqrt{2})^n
\end{split}$$
は漸化式
$$\begin{split}
P_0= & 0, P_1=1, P_{n+2}=2P_{n+1}+P_n\ (n=0, 1, \ldots) \\
Q_0=& 2, Q_1=2, Q_{n+2}=2Q_{n+1}+Q_n\ (n=0, 1, \ldots)
\end{split}$$
を満足し、最初の数項は
$$\begin{split}
P_n=u_n(2, -1): & 0, 1, 2, 5, 12, 29, 70, 169, 408, \ldots, \\
Q_n=v_n(2, -1): & 2, 2, 6, 14, 34, 82, 198, 478, 1154, \ldots
\end{split}$$
で与えられる。
さらに $(x, y)=(P_n, Q_n/2)$ はPell方程式
$$y^2-2x^2=(-1)^n$$
の自然数解である(さらに、このPell方程式の自然数解はすべて $(P_n, Q_n/2)$ で与えられることが知られている)。
それで、これらの数列をそれぞれPell数列
OEIS:A000129
、同伴Pell数列
OEIS: A002203
という。
$a>b$ で $(P, Q)=(a+b, ab)$ のとき $\alpha=a, \beta=b$ となるので、 $(P, Q)=(a+b, ab)$ に関するLucas数列は
$$u_n=\frac{a^n-b^n}{a-b}, v_n=a^n+b^n$$
で与えられる。とくに $a\neq 1$ のとき、$(P, Q)=(a+1, a)$ に関するLucas数列は
$$u_n=\frac{a^n-1}{a-1}, v_n=a^n+1$$
で与えられる。$a$ が $2$ 以上の整数のとき、この $u_n$ は $a$ を基数とするrepunitとなる。とくに $a=2$ のとき
$u_n=2^n-1$ はMersenne数
OEIS: A000225
を、
$v_n=2^n+1$ は $n=2^m$ のときFermat数
OEIS: A000215
を与える。