3-3 次元定理

$$\newcommand{AA}[0]{\mathscr{A}} \newcommand{abs}[1]{\left\lvert#1\right\rvert} \newcommand{angleb}[1]{\left\langle #1 \right\rangle} \newcommand{Arg}[0]{\operatorname{Arg}} \newcommand{Ba}[0]{\mathbf{a}} \newcommand{BB}[0]{\mathscr{B}} \newcommand{Bb}[0]{\mathbf{b}} \newcommand{Be}[0]{\mathbf{e}} \newcommand{Bu}[0]{\mathbf{u}} \newcommand{Bv}[0]{\mathbf{v}} \newcommand{Bw}[0]{\mathbf{w}} \newcommand{Bx}[0]{\mathbf{x}} \newcommand{By}[0]{\mathbf{y}} \newcommand{Bzr}[0]{\mathbf{0}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{CC}[0]{\mathscr{C}} \newcommand{F}[0]{\mathbb{F}} \newcommand{floor}[1]{\left\lfloor#1\right\rfloor} \newcommand{im}[0]{\operatorname{Im}} \newcommand{ind}[0]{\mathrm{ind}} \newcommand{K}[0]{\mathbb{K}} \newcommand{Ker}[0]{\operatorname{Ker}} \newcommand{L}[0]{\mathbb{L}} \newcommand{mmod}[1]{\ \left(\mathrm{mod}\ #1\right)} \newcommand{Mod}[1]{\ \left(\mathrm{mod}\ #1\right)} \newcommand{N}[0]{\mathbf{N}} \newcommand{ord}[0]{\mathrm{ord}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{rank}[0]{\operatorname{rank}} \newcommand{span}[0]{\operatorname{span}} \newcommand{SS}[0]{\mathscr{S}} \newcommand{TT}[0]{\mathscr{T}} \newcommand{UU}[0]{\mathscr{U}} \newcommand{wenvert}[1]{\left\lvert\left\lvert#1\right\rvert\right\rvert} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

読み始める前の問い

入力の自由度は写像を通るとどこへ行くのか。消えた分と残った分を足すと元へ戻るだろうか。
このページでできるようになること
次元定理で、核の自由度と像の自由度を一つの保存則として扱えるようになる。
入力空間の自由度は、写像によって失われる自由度と、出力に残る自由度へ分かれます。

証明を読む前の見取り図

核の基底を定義域の基底へ延長し、追加したベクトルの像が像空間の基底になることを示す。

次元定理

$V$ を有限次元、$T\colon V\to W$ を線形写像とすると
$$ \dim V=\dim\ker T+\dim\operatorname{im}T. $$

$\ker T$ の基底 $u_1,\ldots,u_k$ を $V$ の基底
$$ u_1,\ldots,u_k,v_1,\ldots,v_r $$
へ延長する。
$T(v_1),\ldots,T(v_r)$ が像の基底であることを示す。任意の $T(x)$ について、$x$ を上の基底で展開すると $T(u_i)=0$ なので $T(x)$ は $T(v_j)$ の線形結合。したがって生成する。
$\sum_jc_jT(v_j)=0$ なら $\sum_jc_jv_j\in\ker T$。よって $\sum_jc_jv_j=\sum_i d_iu_i$ と書ける。移項して全基底の線形関係を得るから、独立性によりすべての $c_j,d_i$ は零。したがって像の列も独立である。
よって $\dim\ker T=k$、$\dim\operatorname{im}T=r$、$\dim V=k+r$ である。

Gauss消去の自由変数を説明する

$A$ が $m\times n$ 行列なら $T_A\colon K^n\to K^m$ を定めます。像の次元は主成分列の個数、すなわち階数です。したがって
$$ \dim\ker A=n-\operatorname{rank}A. $$
Gauss消去で数えた自由変数の個数は、核の次元だったのです。

証明を読む前の見取り図

核の基底を定義域の基底へ延長し、追加したベクトルの像が像空間の基底になることを示す。

同次元での単射と全射

$\dim V=\dim W<\infty$ なら、$T\colon V\to W$ について単射、全射、同型は同値である。

単射なら核の次元は0なので次元定理から像の次元は $\dim V=\dim W$。像は $W$ の同次元部分空間だから $W$ 全体で、全射。全射なら像の次元は $\dim W=\dim V$ なので核の次元は0、よって単射。両方なら逆写像をもち、線形性も像の一意表示から従う。

次元が違う場合

$K^2\to K^3$ は単射になれても全射にはなれず、$K^3\to K^2$ は全射になれても単射にはなれない。定義域と終域の同次元仮定を外せない。

微分の次元

$D\colon K[t]_{\le4}\to K[t]_{\le3}$ の核と像の次元を求めよ。

解答

核は定数多項式で一次元。任意の三次以下の多項式には四次以下の原始関数があるので全射、像は四次元。定義域は五次元で $5=1+4$。

次は、座標表示が違っても構造が同じであることを線形同型で定式化します。

このページで回収したもの

Gauss消去の自由変数の個数を、座標に依存しない次元の保存則として説明できる。
次へ持ち越す問い
この見方を、次のページではより広い対象またはより計算しやすい形へ移す。

参考文献

Mathpediaは寄付と、参考文献の書籍リンク(Amazonアソシエイト)の紹介料で運営されています。 支援について / 寄付する

Mathpediaを支援する
前のページへ
30 / 57
次のページへ
前ページへ
線形代数学I ― 連立方程式からベクトル空間・線形写像までの表紙
次ページへ