本ページの内容は、人によっては集合論の復習である。
しかし、これは今後の章においても重要な視点をもたらすので、改めて注意しておく。
本ページでのみ、二元体$\mathbb{Z}_2$から演算を忘れて、単なる二元集合と思うことにする。
正の整数$n > 0$に対して、直積集合$\mathbb{Z}_2^n$とは、$\mathbb{Z}_2$の要素$n$個の組全体が成す集合であった。
ここで、一般の集合$X$に対して、$\mathbb{Z}_2^X$を「$X$から$\mathbb{Z}_2 = \{0, 1\}$への写像全体の集合」として定義する。
この定義は、次のような背景による:$v = (v_1, \dots, v_n) \in \mathbb{Z}_2^n$に対して、写像
$$\chi_v \ \colon \ \{1, 2, \dots, n\} \to \mathbb{Z}_2, \quad \chi_v(i) = v_i$$
を対応させる。すると、これは直積集合$\mathbb{Z}_2^n$と$\mathbb{Z}_2^{\{1, 2, \dots, n\}}$の間の全単射を与えている。
以降、この全単射を以て$\mathbb{Z}_2^n = \mathbb{Z}_2^{\{1, 2, \dots, n\}}$と同一視する。
さて、実は、集合$\mathbb{Z}_2^X$と$X$の冪集合$2^X$との間に全単射を構成することができる。実際、
つまり、$\mathbb{Z}_2^X$の要素(数ベクトル)と$2^X$の要素($X$の部分集合)が一対一に対応する。
以降、この全単射を以て $\mathbb{Z}_2^X = 2^X$ と同一視する。