3-4 同型と座標空間

$$\newcommand{AA}[0]{\mathscr{A}} \newcommand{abs}[1]{\left\lvert#1\right\rvert} \newcommand{angleb}[1]{\left\langle #1 \right\rangle} \newcommand{Arg}[0]{\operatorname{Arg}} \newcommand{Ba}[0]{\mathbf{a}} \newcommand{BB}[0]{\mathscr{B}} \newcommand{Bb}[0]{\mathbf{b}} \newcommand{Be}[0]{\mathbf{e}} \newcommand{Bu}[0]{\mathbf{u}} \newcommand{Bv}[0]{\mathbf{v}} \newcommand{Bw}[0]{\mathbf{w}} \newcommand{Bx}[0]{\mathbf{x}} \newcommand{By}[0]{\mathbf{y}} \newcommand{Bzr}[0]{\mathbf{0}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{CC}[0]{\mathscr{C}} \newcommand{F}[0]{\mathbb{F}} \newcommand{floor}[1]{\left\lfloor#1\right\rfloor} \newcommand{im}[0]{\operatorname{Im}} \newcommand{ind}[0]{\mathrm{ind}} \newcommand{K}[0]{\mathbb{K}} \newcommand{Ker}[0]{\operatorname{Ker}} \newcommand{L}[0]{\mathbb{L}} \newcommand{mmod}[1]{\ \left(\mathrm{mod}\ #1\right)} \newcommand{Mod}[1]{\ \left(\mathrm{mod}\ #1\right)} \newcommand{N}[0]{\mathbf{N}} \newcommand{ord}[0]{\mathrm{ord}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{rank}[0]{\operatorname{rank}} \newcommand{span}[0]{\operatorname{span}} \newcommand{SS}[0]{\mathscr{S}} \newcommand{TT}[0]{\mathscr{T}} \newcommand{UU}[0]{\mathscr{U}} \newcommand{wenvert}[1]{\left\lvert\left\lvert#1\right\rvert\right\rvert} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

読み始める前の問い

多項式と係数ベクトルは別の対象なのに、線形代数の立場では同じと言ってよいだろうか。
このページでできるようになること
線形同型を通して、見た目の違う空間が同じ構造をもつことを判定できるようになる。
多項式と数ベクトルは見た目が違いますが、基底を選ぶと加法と数倍を完全に保って対応します。この意味で線形代数的には同じです。

線形同型

全単射な線形写像を線形同型という。$V$ と $W$ の間に線形同型があるとき $V\cong W$ と書く。

証明を読む前の見取り図

基底を座標ベクトルへ送る写像が線形かつ全単射であることを、表示の存在と一意性から示す。

逆写像の線形性

全単射な線形写像 $T\colon V\to W$ の逆写像は線形である。

$y_1=T(x_1),y_2=T(x_2)$ とする。線形性から
$$ a y_1+b y_2=T(ax_1+bx_2). $$
両辺に $T^{-1}$ を適用して
$$ T^{-1}(ay_1+by_2)=aT^{-1}(y_1)+bT^{-1}(y_2). $$
全射性で任意の $y_i$ がこの形になり、単射性で逆像が一意である。

証明を読む前の見取り図

基底を座標ベクトルへ送る写像が線形かつ全単射であることを、表示の存在と一意性から示す。

有限次元空間の分類

有限次元の二つの $K$ ベクトル空間が同型であることと、次元が等しいことは同値である。

同型 $T$ があれば基底 $v_1,\ldots,v_n$ の像は、線形性・単射性・全射性により $W$ の基底になるので次元が等しい。
逆に両方が $n$ 次元なら、基底 $v_i$ と $w_i$ を選び
$$ T\left(\sum_i a_iv_i\right)=\sum_i a_iw_i $$
と定める。座標の一意性によりwell-definedで線形。逆対応も同じ式で構成できるので同型である。

多項式と座標

$$ \Phi\colon K[t]_{\le2}\to K^3, \qquad a+bt+ct^2\mapsto(a,b,c) $$
は線形同型です。多項式の問題を係数ベクトルの問題へ移し、計算後に逆写像で多項式へ戻せます。

同型は相等ではない

$K[t]_{\le2}$ と $K^3$ は同型だが、元は一方では多項式、他方では数の列であり集合として同じではない。また同型は基底の選択に依存し、一般に一意でない。

同型の構成

対称 $2\times2$ 行列全体が $K^3$ と同型であることを示せ。

解答

$$ \begin{pmatrix}a&b\\b&c\end{pmatrix}\mapsto(a,b,c) $$
は線形で全単射。逆写像は $(a,b,c)$ を表示された対称行列へ送る。

次は線形写像を基底について行列として記録します。

このページで回収したもの

抽象空間の問題を座標空間へ移して計算し、答えを元へ戻す道筋が保証された。
次へ持ち越す問い
この見方を、次のページではより広い対象またはより計算しやすい形へ移す。

参考文献

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