6-1 有限射影平面

$$\newcommand{AA}[0]{\mathscr{A}} \newcommand{abs}[1]{\left\lvert#1\right\rvert} \newcommand{Arg}[0]{\operatorname{Arg}} \newcommand{BB}[0]{\mathscr{B}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{CC}[0]{\mathscr{C}} \newcommand{F}[0]{\mathbb{F}} \newcommand{floor}[1]{\left\lfloor#1\right\rfloor} \newcommand{ind}[0]{\mathrm{ind}} \newcommand{mmod}[1]{\ \left(\mathrm{mod}\ #1\right)} \newcommand{Mod}[1]{\ \left(\mathrm{mod}\ #1\right)} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{ord}[0]{\mathrm{ord}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{rank}[0]{\mathrm{rank}} \newcommand{SS}[0]{\mathscr{S}} \newcommand{TT}[0]{\mathscr{T}} \newcommand{UU}[0]{\mathscr{U}} \newcommand{wenvert}[1]{\left\lvert\left\lvert#1\right\rvert\right\rvert} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

1 点と直線

$\mathbb F_2^3$ の一次元部分空間を射影点と呼ぶ。非零スカラーは1だけなので、七つの非零ベクトルがそのまま七点になる。二次元部分空間を射影直線と呼ぶ。異なる二点 $u,v$ が張る直線は $\{u,v,u+v\}$ の三点を含む。各二点の組は一意の直線に入り、一直線に三つの点対があるので、直線数は $\binom72/3=7$。
点を $1=100,2=010,3=001,4=110,5=101,6=011,7=111$ と番号づけすると、直線の点集合は
$$124,\quad135,\quad236,\quad167,\quad257,\quad347,\quad456.\tag{1}$$
例えば $1+6=7$ だから $167$ は直線である。式 (1) の各三点について、一点が残る二点の和となることを確認できる。一点を通る直線は3本。実際、その点以外の6点を、同一直線上の相手二点ずつに分けると3組になる。

2 一般の有限体での数え上げ

$q$ 元体 $\mathbb F_q$ を使う場合も、射影点は $\mathbb F_q^3$ の一次元部分空間、射影直線は二次元部分空間とする。零でないベクトルは $q^3-1$ 個で、一つの点を表す非零ベクトルは $q-1$ 個だから、点数は
$$N=\frac{q^3-1}{q-1}=q^2+q+1.\tag{2}$$
二次元部分空間は、零でない線形汎函数の核として一意に表せる。ただし汎函数の非零定数倍は同じ核を与える。双対空間も三次元なので、直線数も $N$ である。一つの直線内では、零でないベクトル $q^2-1$ 個を $q-1$ 個ずつ点へまとめるから、各直線の点数は $q+1$。
異なる二点は異なる一次元部分空間であり、その和は一意の二次元部分空間を作る。従って二点を通る直線はただ一本。逆に異なる二直線 $U,V$ は異なる二次元部分空間で、$U+V=\mathbb F_q^3$。次元公式から $\dim(U\cap V)=2+2-3=1$ であり、交点はただ一つ。点 $p$ を通る直線は、$p$ に対応する一次元部分空間 $P$ で割った二次元空間 $\mathbb F_q^3/P$ の一次元部分空間に対応するので、各点を通る直線数も $q+1$。こうして $\mathbb P^2(\mathbb F_q)$ は $2$-$(q^2+q+1,q+1,1)$ の入射構造になる。
直線を行、点を列とする $0,1$ 入射行列を $B$ とする。ここでは $B$ を 整数行列 として掛ける。$(BB^T)_{L,L'}$ は二直線に共通する点数なので、対角では $q+1$、非対角では1である。$N\times N$ の全成分1の行列を $J_N$ とすれば
$$BB^T=qI_N+J_N.\tag{3}$$
式 (3) は第1節の七点七直線にも成り立つ。有限体上の行列積に替えると整数の点数が標数で消えることがあるため、入射数の等式としては整数係数で読む。

3 演習と解答

演習。 点4と点5を通る直線の第三点を求めよ。
解答。 $110+101=011$ は点6。従って直線は $456$。
演習。 二つの異なる直線がちょうど一点で交わる理由を線形代数で示せ。
解答。 $\mathbb F_2^3$ の異なる二次元部分空間 $U,V$ では $\dim(U+V)=3$。次元公式から $\dim(U\cap V)=2+2-3=1$ で、射影点一つに対応する。
演習。 $\mathbb P^2(\mathbb F_3)$ の点数、直線数、一直線上の点数、一点を通る直線数を求めよ。また整数の入射行列について式 (3) を書け。
解答。 点・直線はそれぞれ $3^2+3+1=13$ 個で、各直線上の点と各点を通る直線はそれぞれ4個。入射行列 $B$ は $13\times13$ で、$BB^T=3I_{13}+J_{13}$。対角は4、非対角は1になる。
この七点七直線を$2$-$(7,3,1)$ デザインと照合できる。本章の点 $1,2,3,4,5,6,7$ を順に $0,1,2,3,6,4,5\in\mathbf Z/7\mathbf Z$ と読み替えると、式 (1) の七直線は $\{i,i+1,i+3\}$($i=0,\ldots,6$)の七ブロックになる。例えば $124$ は $\{0,1,3\}$、$135$ は $\{0,2,6\}$ に移る。一般の有限射影平面の分類と非Desargues平面は本書では扱わない。

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