二つの変換を続けた体積倍率は、それぞれの倍率の積になるだろうか。
このページでできるようになること
$\det(AB)=\det A\det B$ を用い、可逆性と行列式を結び付けられるようになる。
二つの線形変換を続ければ、体積倍率も掛け合わされるはずです。
$A$ を固定し、$B$ の列に関する行列式が再び交代的多重線形関数になることを一意性へ結ぶ。
正方行列 $A,B$ に対して
$$
\det(AB)=\det A\det B.
$$
$F_0=0,F_1=1,F_{n+1}=F_n+F_{n-1}$ とする。行列
$$
Q=\begin{pmatrix}1&1\\1&0\end{pmatrix}
$$
について、帰納法により
$$
Q^n=
\begin{pmatrix}
F_{n+1}&F_n\\
F_n&F_{n-1}
\end{pmatrix}
\qquad(n\ge1)
$$
と分かる。小さい $n$ で実際に掛ければ、成分がFibonacci数列になることを確認できる。
一方、$\det Q=-1$ だから、積の行列式より
$$
\det(Q^n)=(\det Q)^n=(-1)^n.
$$
左辺を成分で計算すると
$$
F_{n+1}F_{n-1}-F_n^2=(-1)^n.
$$
これはCassiniの恒等式である。数列の項だけを眺めると偶然に見える整数恒等式が、「行列式は積を保つ」という一つの定理から直ちに出た。行列へ持ち上げることで、数列の背後にある保存量が見えるようになった。
$B$ の列を $b_1,\ldots,b_n$ とし
$$
D(B):=\det(Ab_1,\ldots,Ab_n)
$$
と置く。$A$ の作用は線形なので $D$ は各 $b_i$ について線形。同じ二列なら像も同じ二列なので交代的。特徴づけ定理の一意性証明で正規化を一般化した式
$$
D(B)=D(I)\det B
$$
が成り立つ。ここで $D(I)=\det A$ だから主張を得る。
$A$ を固定し、$B$ の列に関する行列式が再び交代的多重線形関数になることを一意性へ結ぶ。
$A$ が可逆であることと $\det A\ne0$ は同値である。
可逆なら
$$
1=\det I=\det(AA^{-1})=\det A\det A^{-1}
$$
なので $\det A\ne0$。
逆に $A$ を行基本変形で簡約する。もし階数が $n$ 未満なら零行が現れ、行列式は0。行交換・非零倍・他行の倍の加算を逆向きに追っても、零か非零かは変わらない。したがって $\det A\ne0$ なら簡約形に零行はなく $I_n$、よって可逆である。
基底変換 $A'=P^{-1}AP$ では
$$
\det A'=(\det P)^{-1}\det A\det P=\det A.
$$
したがって行列式は線形変換の基底に依らない量です。
$A$ を固定し、$B$ の列に関する行列式が再び交代的多重線形関数になることを一意性へ結ぶ。
$$ \det(A^{-1})=(\det A)^{-1}. $$
$1=\det(AA^{-1})=\det A\det A^{-1}$ を解く。
行列では $AB=0$ でも $A,B$ が零行列とは限らない。しかし行列式を取れば $0=\det A\det B$ なので、体上では少なくとも一方が非可逆である。
$A'=P^{-1}AP$ に対し $\det A'=\det A$ を積公式だけで示せ。
上記の通り
$$
\det A'=\det(P^{-1})\det A\det P=(\det P)^{-1}\det A\det P=\det A.
$$
次は余因子を行列にまとめ、逆行列と連立方程式の公式を得ます。
合成の体積倍率が積になる。Cassini恒等式のような数列の結果も一行の行列式計算へ変わる。
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