数論

数論 (Number theory) あるいは整数論は整数や有理数に関する研究、およびそれに由来する数学の一分野である。整数の研究においては整除性(約数・素数など)と不定方程式の研究が代表的な分野であるが、加法的な性質(ある集合に属する性質を、別の集合に属する2つの整数の和であらわす問題など)も研究の対象となる。 現在では、整数や有理数を一般化した代数的数、有限体や局所体のほか、一般の実数や複素数であっても数値近似や一様分布、超越数などの整数や代数的数と関連した性質に関する研究が含まれる。 このように数論の研究対象は多岐にわたっており、その手法も代数学、幾何学、解析学、組合せ論、数理論理学など非常に幅広くなっている。

参考書

加法的整数論の表紙
加法的整数論
加法的整数論は、整数や自然数などの加法的な性質について扱う理論である。すなわち $\mathbb{Z}$, $\mathbb{N}$, より一般にある加法半群 $G$ の要素 $g$ を、$G$ の部分集合 $A_1, A_2, \ldots, A_k$ の要素の和 $$g=a_1+a_2+\ldots +a_k\ (a_i\in A_i)$$ としてあらわす方法について扱う理論である。 すべての自然数が$4$つの平方数の和であらわされるというLagrangeの定理、 $4$ 以上のすべての偶数が$2$つの素数の和であらわされるというGoldbachの予想、 与えられた数 $n$ 以下のすべての整数が、ある部分集合 $A$ について、一定の個数以下の $A$ の要素の和であらわされるとき、 そのような部分集合 $A$ で要素の数が可能な限り少ないものをもとめる郵便切手の問題などが加法的整数論で取り扱われる。
2023929
篩法の表紙
篩法
篩法 (sieve method) は、全体集合から、与えられた条件をすべて満足する(あるいはいずれも満足しない)ものの個数を評価する技法である。 最も古い篩法は、与えられた範囲内の素数をすべて発見するEratosthenesの篩であるが、20世紀になって篩法が素数に関する様々な問題の研究に盛んに用いられるようになり、近年では他の数論や組合せ論の問題への応用も行われるようになっている。 この参考書では、20世紀以降飛躍的に進展した、篩法の素数に関する問題への応用について解説する。
2023929
初等整数論の表紙
初等整数論
本テキストでは、整数の性質について取り扱う。 整数の性質についての研究は初等幾何学と並んで、最も古い数学の分野のひとつである。直角三角形の3辺の長さとなる正の整数、つまり $$a^2+b^2=c^2$$ となる正の整数 $a, b, c$ の組は非常に古く、古代バビロニアや古代エジプトでも知られていたと考えられている(たとえばバビロニアの粘土板プリンプトン322には $65^2+72^2=97^2$, $12709^2+13500^2=18541^2$ をあらわすと思われる記述がある)。$6$ の($6$ 自身を除く)約数の和が $6$ に一致し、$28, 496, 8128$ も同様の性質をもつことは、古代ギリシアのピタゴラス教団では知られており、完全数と呼ばれ崇拝の対象となっていた。ユークリッドの「原論」では公倍数や公約数、素数に関する基礎的な定理が記されている。 本テキストでは、こうした整数の性質や関係について取り扱う。
2023630

用語一覧

Mathpediaを支援する

運営者のTwitter

技術提供および開発

技術提供・開発 Mathlog