多項式の共通零点集合(アフィン代数的集合)と座標環の対応から出発し、Zariski位相、Hilbertの基底定理・零点定理、局所環と接空間、次元を扱う。後半では前層と層、局所環付き空間、環のスペクトラム Spec とアフィンスキーム、スキームの貼り合わせと射、ファイバー積と特殊化、閉埋入・有限型・有限射を順に導入し、「環と幾何の翻訳」を一貫した軸にする。最後に射影空間と斉次座標を橋渡しとして導入し、総合問題で全体を往復する。前提は可換環論(イデアル・局所化・素イデアル)と体の初歩である。
多項式の共通零点集合をアフィン代数的集合として定義し、方程式から図形、図形から関数環へと向きを逆にした対応を作る章である。零点集合の演算、イデアルと座標環、Zariski位相、既約集合と既約成分、正則写像と座標環の準同型を導入する。さらにHilbertの基底定理、Zariskiの補題と弱零点定理、Hilbertの零点定理を示し、零点集合から根基イデアルが復元できることを確かめる。最後に消去とGröbner基底への入口を扱う。
点の近くだけに注目して関数を調べる章である。局所化と主開集合、局所環とgerm、接空間とJacobian、正則点と特異点、整拡大と有限射、Noether正規化、Krull次元と超越次数を順に扱う。「接空間が膨らむ場所が特異点」という幾何的な言い方を、局所環の言葉で言い換える。
局所的に定義された関数を大域的に貼り合わせるという考えを、前層と層で定式化する章である。stalk(一点の近くの情報)と層化、環付き空間と局所環付き空間を導入し、空間とその上の関数環をひとつの対象として扱う。次章でSpecに構造層を載せるための準備になる。
環の素イデアル全体にZariski位相を入れた空間 Spec と、各点の局所化を貼り合わせた構造層を導入し、アフィンスキームを定義する章である。環準同型と空間の射が反変に対応し、アフィンスキームの射と環準同型が同じ情報であることを示す。
アフィンスキームを開部分スキームとして貼り合わせて大域的な図形(スキーム)を作る方法と、スキームの射を局所表示で記述する方法を扱う章である。貼り合わせ条件を満たす座標変換の族からスキームが一意に決まることを示す。
同じ底の上のスキームを組み合わせるファイバー積と base change、スキームの点とその剰余体、パラメータが動くときの図形の変化(fiberと特殊化)を扱う章である。「一点の中に残る数体」を剰余体で読み、一般ファイバーと特殊ファイバーを比較する。
スキームの部分集合にスキーム構造を載せる閉埋入・開埋入・局所閉埋入と、射の「大きさ」を測る有限型・有限射・支配射を扱う章である。
射影空間と斉次座標を導入し、アフィン空間に無限遠の点を加えて図形を閉じる見方を学ぶ章である。標準アフィン図と貼り合わせ、斉次方程式だけが点上で意味を持つこと、射影変換と有限体上の点数を扱う。補論として、斉次イデアルと射影零点集合、射影閉包と飽和、射影射とSegre・Veronese写像を扱う。
第1〜8章の概念(方程式・環・局所化・層・射)を往復する総合問題を扱う章である。可約図形の成分と接空間、穴のある平面の大域関数、放物線の射影閉包、基底変換、二重原点と分離性、特異ファイバー、尖点の正規化、射影直線上の因子、楕円曲線の有限群、平方写像の有限性と分岐など10題を、解答とともに収録する。
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