整域 $R$ がUFDとは、各非零非単元が既約元の有限積に分かれ、その表示が順序と単元倍を除き一意であること。第7章でPIDの分解の存在と「既約なら素」を得た。
命題。 PIDはUFDである。
証明。 $p_1\cdots p_r=q_1\cdots q_s$ を二つの既約分解とする。$p_1$ は素元だから右辺のある $q_j$ を割る。$q_j$ が既約なので両者は同伴。順序を替えて消去すると、整域の消去律により残りの積の等式を得る。帰納的に全因子が対応し、$r=s$。存在は第7章の昇鎖議論による。□
$K[x,y]$ はUFDだがPIDではない。UFDであることは第9章のGauss補題を $K[x]$ から繰り返すと得られる。一方 $(x,y)$ が一元生成なら生成元は $x,y$ の共通約数で、単元しかなく $(x,y)=R$ となるはずだが、定数項を取れば $1\notin(x,y)$。よってPIDでない。これは「UFDならPID」という逆向きの反例である。
演習。 UFDで $a\mid bc$ かつ $a$ が既約なら何が言えるか。
解答。 $a$ は素元である。$bc$ の既約分解に $a$ の同伴元が現れ、それは $b$ または $c$ の分解に属する。従って $a\mid b$ または $a\mid c$。
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