整域 $R$ がPIDとは全イデアルが一元生成であること。$a,b$ の少なくとも一方が零でない場合に $(a,b)=(d)$ とすると $d$ は $a,b$ を割り、$d=ra+sb$ と書ける。逆に $a,b$ の任意の公約数は $d$ を割るので、$d$ は最大公約数を表す。$R$ がEuclid整域である必要はない。
命題。 PIDで既約元 $p$ は素元である。
証明。 $p\mid ab$ かつ $p\nmid a$ とする。$(p,a)=(d)$ なら $d\mid p$ なので、$p$ が既約ゆえ $d$ は単元または $p$ の同伴元。後者なら $p\mid a$ となり矛盾。従って $d$ は単元で $rp+sa=1$ と書ける。両辺に $b$ を掛けると $b=rpb+sab$ で、右辺の両項は $p$ で割れる。ゆえに $p\mid b$。□
PIDではイデアルの真の昇鎖 $(a_1)\subsetneq(a_2)\subsetneq\cdots$ は存在しない。和集合はイデアルで $(a)$ と書け、生成元 $a$ はある $(a_j)$ に属するのでそこから鎖は安定する。非零非単元 $a$ を既約元へ分解できないと仮定し、$a=bc$ と非単元に分け、なお分解できない因子を選ぶと $(a)\subsetneq(b)$ のような昇鎖が無限に続く。矛盾するので既約元分解は存在する。第8章で一意性を証明する。
演習。 PIDの $(a,b)=R$ なら $a,b$ が共に割れる元は単元に限ることを示せ。
解答。 $ra+sb=1$。共通の約数は左辺すなわち1を割るので単元である。
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