1-3 正則切断・零点サイクル・横断性

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

ベクトル束の切断から得られる「零点」には、点集合、閉部分スキーム、被約な部分空間、重複度付きサイクルという異なる対象がある。本頁ではこれらを区別し、切断が零切断に横断的であることを局所座標と接写像で特徴づけ、横断性が零点の滑らかさと重複度1を保証する仕組みを示す。

この頁で示すこと

$k$ を完全体、$X$$k$ 上滑らか・分離的・有限型のスキーム、$E$$X$ 上の階数 $p$ のベクトル束、$s\in\Gamma(X,E)$ を正則切断とする。本頁でいう正則切断はスキームの射 $s\colon X\to E$ としての切断であり、成分が正則列をなすことをあらかじめ仮定する語ではない。
本頁の主結果は次の3つである。

  1. 横断性の局所判定(原論文 §1、印字 p.139):零点での局所成分が余接空間で一次独立であることと、正則パラメータ系の一部をなすことは同値である。零点が $k$ 有理点なら、これらは接写像が零切断の法方向へ全射であることとも同値である。[完結]
  2. 横断的零点の滑らかさと重複度(原論文 §1、印字 p.139):横断的な切断の零点スキームは空であるか、滑らかで余次元 $p$ の閉部分スキームであり、その零点サイクルの各成分の重複度は1である。[完結]
  3. 反例:横断性を外すと被約零点の公式は破れる(原論文にはない補足):$\mathbb P^1$ 上の $\mathcal O(2)$ の二重零点は、Chow環で被約零点の類と最高次 Chern 類が一致しないことを示す。[完結]
    最初の二つは正則局所環の標準的な判定を引用し、局所自明化の取り替えに対する不変性と接写像との対応を頁内で証明する。三つ目は零点集合と零点サイクルを混同した誤った一般化を、次数の計算で退ける。

背景と動機

原論文 Gro58 は、線束の横断的な切断の零点を第1 Chern類と結びつける公理 A 2 を置き、後に階数 $p$ の束の横断的切断について最高次 Chern 類の公式を導く。その議論には、零点が期待余次元をもち、押し出せる滑らかな対象になることが必要である。横断性は、まさにこの幾何学的な良さを局所一次近似から保証する条件である。
一方、切断が横断的でなくても零点スキーム自体は定義できる。そのとき、同じ台の上に冪零元や交叉重複度が残りうる。点集合だけを見ればこの情報は消えるので、最高次 Chern 類との等式には被約零点ではなく重複度付き零点サイクルが必要になる。本書『5-2 零点サイクルの類』ではこの違いを交叉理論と結びつけるが、本頁ではまず対象を厳密に分ける。
原論文の section régulière は「正則な射としての切断」を意味する。後代の可換環論でいう「正則列を定める切断」を無言で読み込むと、横断性の仮定が最初から結論へ混入してしまう。本頁では、切断であることと、その零点での横断性を別の条件として扱う。

定義と準備

切断と零点スキーム

切断は全空間 $E$ の中の零切断と比較する。局所自明化で成分関数を並べると、零点スキームの構造が具体的に見える。

正則切断と零点スキーム

$\pi\colon E\to X$ をベクトル束の射影とする。正則切断とは、$k$ 上の射
$$ s\colon X\longrightarrow E, \qquad \pi\circ s=\operatorname{id}_X $$
である。零切断を $s_0\colon X\to E$ とする。切断 $s$ の零点スキームを Cartesian 積
$$ Z(s):=X\times_{E,s,s_0}X $$
で定める。
$E|_U\cong\mathcal O_U^{\oplus p}$ となる開集合 $U$ 上で $s=(f_1,\ldots,f_p)$ と書けば、$Z(s)\cap U$ はイデアル $(f_1,\ldots,f_p)$ が定める閉部分スキームである。その点集合は $\{x\in U:s(x)=0\}$ だが、スキーム構造は成分関数の消え方も記録する。

自明化を替えると成分ベクトルには可逆行列が掛かるため、成分が生成するイデアルは変わらない。従って上の局所表示は貼り合わさり、零点スキームは大域的に定まる。

被約零点と零点サイクル

$Z(s)$ の被約化を $Z(s)_{\mathrm{red}}$ と書く。これは零点の台と被約スキーム構造だけを残し、冪零元と重複度を忘れる。
$Z(s)$ が空であるか、各既約成分 $Z_a$ が、それを含む $X$ の既約成分の中で余次元 $p$ をもつと仮定する。滑らかな $X$ の既約成分は互いに交わらない開閉部分なので、$Z_a$ を含む成分は一意である。$Z_a$ の一般点を $\eta_a$ とし、
$$ m_a:=\operatorname{length}_{\mathcal O_{X,\eta_a}} \mathcal O_{Z(s),\eta_a} $$
と置く。このとき
$$ [Z(s)]_{\mathrm{cyc}}:=\sum_a m_a[Z_a] $$
$s$ の零点サイクルと呼ぶ。$Z(s)=\emptyset$ の場合は零サイクルとする。

点集合、$Z(s)$$Z(s)_{\mathrm{red}}$$[Z(s)]_{\mathrm{cyc}}$ は一般には相互に置き換えられない。横断性があるときだけ、零点スキームは被約になり、零点サイクルの各係数は1になる。

横断性

零切断 $s_0(X)\subset E$ の法束は $E$ 自身である。横断性は、$s$ の一次変化が零点でこの法方向をすべて捉えることを表す。

零切断への横断性

$x\in Z(s)$ とし、$E$$x$ の近傍で自明化して $s=(f_1,\ldots,f_p)$ と書く。$s$$x$ で零切断に横断的であるとは、$f_1,\ldots,f_p$ の像が
$$ \mathfrak m_x/\mathfrak m_x^2 $$
で一次独立であることをいう。すべての $x\in Z(s)$ でこの条件が成り立つとき、$s$ は零切断に横断的であるという。$Z(s)=\emptyset$ のときは、条件は空虚に成り立つ。

この条件は零点でだけ課す。原論文にはすべての $x\in X$ で成分が正則パラメータ系の一部をなすように読める印刷があるが、零点でない点では少なくとも一つの成分が単元であり、極大イデアルのパラメータにはなれない。従って正しい範囲は $x\in Z(s)$ である。

引用する事実

以下の正則局所環の標準事実を引用する。参考文献として EGA4Mat89 を挙げるが、本書は現時点で該当定理番号を実読確認していない。

  1. $R$ を次元 $d$ の正則局所環、$f_1,\ldots,f_r\in\mathfrak m_R$ とする。これらの $\mathfrak m_R/\mathfrak m_R^2$ での像が一次独立であることは、正則パラメータ系の一部へ延長できることと同値である。
  2. 同じ条件のもとで、$R/(f_1,\ldots,f_r)$ は次元 $d-r$ の正則局所環である。逆に商がこの次元の正則局所環なら、$f_i$ の像は一次独立である。
  3. 完全体上の有限型スキームでは、正則性と底体上の滑らかさが一致する。
  4. 正則パラメータ系の一部が定める閉部分スキームは、各既約成分の一般点で長さ1をもつ。
    完全体という仮定は、局所環の正則性から $k$ 上の滑らかさへ移る段で使う。非完全体ではこの移行を無条件に用いてはならない。

主結果と証明

局所座標と接写像

まず、定義が自明化に依存しないことを確かめ、$k$ 有理点では原論文の接写像による表現と一致することを示す。

横断性の局所判定

$x\in Z(s)$ とする。次の条件は同値である。

  1. ある局所自明化で $s=(f_1,\ldots,f_p)$ と書いたとき、$f_1,\ldots,f_p$ の像は $\mathfrak m_x/\mathfrak m_x^2$ で一次独立である。
  2. 任意の局所自明化で同じ一次独立性が成り立つ。
  3. $f_1,\ldots,f_p$$\mathcal O_{X,x}$ の正則パラメータ系の一部をなす。
    さらに $x$$k$ 有理点なら、これらは接写像
    $$ ds_x\colon T_xX\longrightarrow T_{s(x)}E $$
    と商写像の合成
    $$ T_xX\xrightarrow{ds_x}T_{s(x)}E \longrightarrow T_{s(x)}E/T_{s(x)}s_0(X) $$
    が全射であることと同値である。

段 1(自明化の取り替え).二つの局所自明化の間の遷移行列を $g\in\mathrm{GL}_p(\mathcal O_X(U))$ とする。成分ベクトルは $f=(f_i)$ から $gf$ へ移る。$x\in Z(s)$ では全 $f_i$$\mathfrak m_x$ に入り、$g$ の係数を剰余体へ落とした行列 $g(x)$ は可逆である。従って $\mathfrak m_x/\mathfrak m_x^2$ において、$f_i$ の像と $gf$ の成分の像は同じ次元の部分空間を張り、一次独立性は変わらない。これで 1 と 2 は同値である。
段 2(正則パラメータ系).引用した正則局所環の判定により、$f_1,\ldots,f_p$ の余接空間での一次独立性は、それらが正則パラメータ系の一部へ延長できることと同値である。従って 2 と 3 は同値である。
段 3(接写像).$E|_U\cong U\times\mathbb A^p$ とし、$s(y)=(y,f_1(y),\ldots,f_p(y))$ と書く。零点 $x$ では
$$ T_{s(x)}E\cong T_xX\oplus k^p, \qquad T_{s(x)}s_0(X)\cong T_xX\oplus0, $$
であり、
$$ ds_x(v)=(v,df_1(v),\ldots,df_p(v)). $$
従って法空間への合成は $(df_1,\ldots,df_p)\colon T_xX\to k^p$ である。これが全射であることは、双対写像が単射であること、すなわち $df_i$$\mathfrak m_x/\mathfrak m_x^2\cong(T_xX)^\vee$ で一次独立であることと同値である。

この命題により、横断性は座標に依存しない幾何学的条件であると分かる。接写像による表現は一次近似を強調し、正則パラメータによる表現は零点スキームの局所環を直接計算するのに適している。

横断的零点の構造

横断性が与えるのは余次元だけではない。商局所環が再び正則になるため、零点には埋め込み重複度が残らない。

横断的零点の滑らかさと重複度

$s$ が零切断に横断的なら、$Z(s)$ は空であるか、$k$ 上滑らかな閉部分スキームであり、$X$ 内で至る所余次元 $p$ をもつ。また零点サイクル $[Z(s)]_{\mathrm{cyc}}$ は各既約成分を係数1で数え、$Z(s)$ の被約な基本サイクルと一致する。

段 1(局所環).$x\in Z(s)$ を取り、局所自明化で $s=(f_1,\ldots,f_p)$ と書く。横断性の局所判定により、$f_1,\ldots,f_p$ は正則局所環 $\mathcal O_{X,x}$ の正則パラメータ系の一部である。従って
$$ \mathcal O_{Z(s),x}\cong \mathcal O_{X,x}/(f_1,\ldots,f_p) $$
は正則局所環で、その次元は $\dim\mathcal O_{X,x}-p$ である。
段 2(滑らかさと余次元).$k$ は完全体であり、$Z(s)$ は有限型だから、各局所環の正則性から $Z(s)$$k$ 上滑らかである。次元の差が各点で $p$ なので、$Z(s)$$X$ 内で至る所余次元 $p$ をもつ。
段 3(重複度).$Z(s)$ は正則だから被約である。各既約成分の一般点 $\eta_a$ では $\mathcal O_{Z(s),\eta_a}$ は体であり、$\mathcal O_{X,\eta_a}$ 上の長さは1である。従って定義の $m_a$ はすべて1で、零点サイクルは被約な基本サイクルに一致する。

ここまでの結論は、横断性のもとで被約零点と重複度付き零点サイクルが一致することを述べるだけである。そのサイクル類が $c_p(E)$ に等しいという Chern 類の公式は、公理 A 5 と射影的完備化を導入した本書『5-2 零点サイクルの類』で証明する。

切断であることと横断性

本書で「正則切断」と呼ぶ条件は、$s$ が正則な射 $X\to E$ であることだけである。零点の局所成分が正則列をなすこと、期待余次元をもつこと、零点が滑らかであることは、この語には含めない。これらは横断性または別の交叉理論上の仮定から導く。

この注意は、原論文の語を後代の用語へ移す際の誤読を防ぐ。横断性を独立の仮定として保つことで、任意の切断へ進むときに何が失われるかも明確になる。

例と反例

線束の切断

階数1では横断性は、零点が局所的に一つの正則パラメータで切り出されることを意味する。最も基本的な射影空間の例でこの形を確認する。

射影空間の超平面

$X=\mathbb P_k^n$$E=\mathcal O_{\mathbb P^n}(1)$ とする。非零な一次形式
$$ \ell=a_0X_0+\cdots+a_nX_n $$
$E$ の大域切断を定め、その零点スキームは超平面 $H=V(\ell)$ である。$a_j\ne0$ となる $j$ を一つ選ぶ。$H$ の各点の近傍で適切なアフィン座標を取れば、$\ell$ は可逆な因子を除いて座標関数の一つになる。従って $\ell$ は正則パラメータ系の一部であり、切断は零切断に横断的である。
$H\cong\mathbb P_k^{n-1}$ は滑らかで余次元1であり、零点サイクルは係数1の $[H]$ である。これは横断的零点の滑らかさと重複度の命題の階数1の場合である。

この例では、零点の台、零点スキーム、零点サイクルの三つが一致する。次の例は、零点が無い場合にも横断性の定義と最高次 Chern 類の消滅が自然につながることを示す。

どこでも零にならない切断

$s$ がどこでも零にならないなら $Z(s)=\emptyset$ であり、横断性は空虚に成り立つ。幾何学的には $s$ は自明線束 $\mathcal O_X$ から $E$ への単射を与え、その像は階数1の部分束になる。
本書『5-2 零点サイクルの類』の最高次 Chern 類の公式を適用すると
$$ c_p(E)=0 $$
となる。本頁ではその Chern 類の等式を先取りして証明せず、横断性の条件が空集合でも整合的に定義されることだけを確認する。

空の零点を圏の対象として基本類に送る段では、$\emptyset\in\mathbf V$$A(\emptyset)=0$ を別々に仮定する必要がある。この区別は本書『2-1 公理 A 1〜A 4 と補題 2』で公理系の一部として扱う。

二重零点

横断性を外すと、零点の台だけでは消え方の次数が見えなくなる。次の反例は、破れる条件と破れる結論を分けて示す。

反例:横断性を外すと被約零点の公式は破れる

$X=\mathbb P_k^1$$E=\mathcal O_{\mathbb P^1}(2)$ とする。斉次座標を $[X_0:X_1]$ とし、切断
$$ s=X_1^2 $$
を取る。その零点の台は一点 $P=[1:0]$ である。$X_0\ne0$ のアフィン座標 $t=X_1/X_0$ では $s=t^2$ と書けるので、零点スキームは
$$ Z(s)=\operatorname{Spec}k[t]/(t^2) $$
を局所模型にもつ。
零点 $P$$t^2$$\mathfrak m_P/\mathfrak m_P^2$ における像は0である。従って $s$ は零切断に横断的でない。被約零点は $Z(s)_{\mathrm{red}}=\{P\}$ で、そのサイクルは $[P]$ である。一方、局所環 $k[t]_{(t)}/(t^2)$ の長さは2だから、重複度付き零点サイクルは
$$ [Z(s)]_{\mathrm{cyc}}=2[P] $$
である。ここまでの等式は余次元1の形式サイクルの群における等式である。その Chow 群 $CH^1(\mathbb P^1)$ への像も $2[P]$ であり、この具体例では
$$ c_1(\mathcal O(2))=2[P]\in CH^1(\mathbb P^1) $$
となる。
したがって、外した条件は横断性であり、破れる結論は「被約零点集合の類が最高次 Chern 類に等しい」という主張である。この具体例では、重複度付き零点サイクルの Chow 類と $c_1(\mathcal O(2))$ はともに $2[P]$ で一致する。ただし、任意の切断について同じ一致を主張する一般公式は、本書『5-2 零点サイクルの類』で外部入力 E-ZERO に依存する条件付きの結果として扱う。

同じ一点が零点であるという集合論的情報だけからは、$t$$t^2$ の違いを判別できない。Chern 類が捉えるのはこの消失次数を含む交叉論的な類であり、横断的な場合には消失次数がすべて1になるため、被約零点でも足りる。

一変数で見る単純零点と重複零点

$X=\mathbb A_k^1=\operatorname{Spec}k[t]$$E=\mathcal O_X$ とする。切断 $s_1=t$ の零点では $dt\ne0$ であり、$t$ は正則パラメータなので横断的である。零点スキームは $\operatorname{Spec}k$、重複度は1である。
これに対し $s_m=t^m$$m\geq2$)では $t^m\in\mathfrak m^2$ だから、余接空間での像は0であり横断的でない。零点の台は同じ一点だが、零点スキームは $\operatorname{Spec}k[t]/(t^m)$、零点サイクルの係数は $m$ になる。被約化はすべての $m$ を同じ一点へ送るため、重複度を失う。

この局所模型が、射影直線上の二重零点の本質である。高階数の場合も、局所成分が期待余次元を切り出しても横断的でなければ、零点サイクルの係数は局所環の長さとして現れうる。

期待余次元だけでは滑らかさは出ない

零点スキームが階数と同じ余次元をもつことは、横断性より弱い。両者を混同しないため、特異な零点スキームの例を挙げる。

期待余次元だが横断的でない零点

$X=\mathbb A_k^2=\operatorname{Spec}k[x,y]$$E=\mathcal O_X$ とし、切断 $s=y^2-x^3$ を取る。零点スキームは平面曲線
$$ Z(s)=V(y^2-x^3) $$
であり、$X$ 内の余次元は階数1に等しい。しかし原点では
$$ y^2-x^3\in(x,y)^2 $$
なので余接空間での像は0であり、切断は横断的でない。実際、零点曲線は原点で特異である。
従って期待余次元は零点サイクルを定義するには足りても、零点スキームの滑らかさや重複度1を保証しない。横断的零点の命題の逆向きを、余次元だけから主張することはできない。

本書『5-2 零点サイクルの類』で任意切断を扱うときには、このような場合も含めて局所重複度を保つ。横断性の公式と期待余次元の零点サイクルの公式は、同じ記号で一括してはならない。

その後の発展

ここからは1958年の原論文自身の証明ではなく、後代の交叉理論による位置づけである。
Fulton流の交叉理論では、任意の切断 $s$ の零点スキームを零切断との交叉として扱い、refined Gysin写像や局所化最高 Chern 類によって重複度を保った類を作る Ful98。零点スキームが期待余次元 $p$ をもつとき、この構成は零点サイクル $[Z(s)]_{\mathrm{cyc}}$ を与え、その Chow 類は $c_p(E)$ と結びつく。本書は現時点で Ful98 の該当定理番号を実読確認していないため、公開上は本書『5-2 零点サイクルの類』の条件付き入力として明示する。
横断的な場合には、refined Gysin写像が付ける局所交叉重複度はすべて1である。そのため原論文の公理 A 5 と滑らかな閉部分スキームの基本類だけで最高次 Chern 類の公式を閉じられる。横断性を外した一般化には、原論文の公理系だけではなく、零点スキームの非被約構造を読む交叉理論が追加で必要になる。
微分位相では、横断性は摂動によって一般位置を得るための基本概念として現れる。代数幾何では任意の摂動を同じ形で使えるとは限らないため、本書では「一般の切断なら横断的」とは仮定せず、個々の切断について局所成分を検査する。原論文の証明でも、射影束上の標準切断に横断性を適用する箇所では、斉次座標による局所計算が必要になる。
本頁の局所判定は、本書『2-1 公理 A 1〜A 4 と補題 2』で部分束列に沿って零点を一段ずつ切り出す際に再利用される。さらに本書『3-2 存在の証明』では、射影束上の標準切断の各成分が線形な座標関数になることを確かめ、完全分裂した束の Chern 類の積公式へつなぐ。

原論文との対応表

本頁が対応する原論文は Gro58 である。

本頁原論文印字頁
正則切断と零点スキーム§1 の section régulière と零切断の逆像p.139
零切断への横断性§1 の接写像による定義p.139
横断性の局所判定§1 の局所座標による判定p.139
横断的零点の滑らかさと重複度§1 の判定から従う補足p.139
二重零点と期待余次元の反例原論文にはない本書の補足

原論文の局所判定には、条件をすべての点で課すように読める表現がある。本頁では零点でだけ課す訂正形を採用し、自明化不変性、接写像との同値、滑らかさと重複度1への帰結を分けて証明した。任意切断の重複度付き零点サイクルと最高次 Chern 類の等式は、原論文 §5 の式 (18 bis) から交叉理論を介して導く別の主張であり、本頁の横断的な結論へ混ぜていない。
この整理により、後続頁では「横断性から得る滑らかな基本類」と「期待余次元だけを仮定して得る重複度付きサイクル」を、必要な公理と外部入力ごとに別々に追跡できる。

参考文献

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Friedrich Hirzebruch, Neue topologische Methoden in der algebraischen Geometrie, Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete (N.F.) 9, Springer, 1956
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Séminaire C. Chevalley(Claude Chevalley 他), Classification des groupes de Lie algébriques, tome 1(années 1956–1958), Secrétariat mathématique, Paris, 1958
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Alexander Grothendieck, Théorèmes de dualité pour les faisceaux algébriques cohérents, Séminaire Bourbaki 1956/57–1957/58, exposé 149(Numdam: SB_1956-1958\_\_4\_), 1957, 169–193
[12]
Alexander Grothendieck, Sur quelques propriétés fondamentales en théorie des intersections, Séminaire C. Chevalley, Anneaux de Chow et applications 2e année, tome 3, exposé 4, 1958, 36 p.
[27]
Alexander Grothendieck, Jean Dieudonné, Éléments de géométrie algébrique II : Étude globale élémentaire de quelques classes de morphismes, Publications Mathématiques de l'IHÉS, 1961, 5–222
[32]
Alexander Grothendieck, Jean Dieudonné, Éléments de géométrie algébrique IV(4部構成:Première–Quatrième partie), Publications Mathématiques de l'IHÉS 20, 24, 28, 32, 1964

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