17. Fréchet空間における一様有界性定理

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

17. Fréchet空間における一様有界性定理

セミノルム空間の部分集合の有界性

$X$ をセミノルム空間とする。 $B\subset X$ が有界であるとは、$0$の任意の開近傍 $V$ に対し $r\in (0,\infty)$ が存在し $B\subset rV=\{rx:x\in V\}$ が成り立つことを言う。 命題1 $(3)$ より $B$ が有界であることは、任意の連続なセミノルム $p\colon X\rightarrow[0,\infty)$ に対し $r\in(0,\infty)$ が存在し $B\subset \{x\in X:p(x)< r\}$ が成り立つことと同値である。
セミノルム空間の部分集合の有界性はノルム空間の部分集合の有界性と矛盾しない。

$X$ をセミノルム空間とする。$0\in X$ の任意の近傍 $V$ に対し、絶対凸開集合 $W$$\overline{W}\subset V$ を満たすものが取れる。

加法の連続性と 命題1 $(3)$ より絶対凸な開集合 $W$ で、
$$ W+W=\{x+y:x,y\in W\}\subset V $$
なるものが取れる。このとき、
$$ W\cap ((X\backslash V)-W)=\emptyset $$
であり、$(X\backslash V)-W=\{x-y: x\in X\backslash V,y\in W\}=\bigcup_{x\in X\backslash V}(x-W)$ は開集合であるから、
$$ \overline{W}\cap ((X\backslash V)-W)=\emptyset $$
である。よって $\overline{W}\cap (X\backslash V)=\emptyset$ であるから、$\overline{W}\subset V$ である。

一様有界性定理

$X$$\mathbb{F}$ 上のFréchet空間、$Y$$\mathbb{F}$ 上のセミノルム空間とし、$J$ を空でない集合とし、各 $j\in J$ に対し連続線形写像 $T_j\colon X\rightarrow Y$ が与えられているとする。そして各 $x\in X$ に対し $\{T_jx\}_{j\in J}$$Y$ の有界集合であるとする。このとき $0\in Y$ の任意の開近傍 $V$ に対し、$0\in X$ の開近傍 $U$$T_j(U)\subset V$ $(\forall j\in J)$ を満たすものが存在する。

補題1 より $Y$ の絶対凸開集合 $W$$\overline{W}\subset V$ なるものが取れる。このとき $\overline{W}$ は絶対凸閉集合(注:$\overline{W}$の点は $W$ のネットの収束点によって表されることに注意。 ネットによる位相空間論の命題2.4 を参照。)である。各 $T_j\colon X\rightarrow Y$ は連続線形写像であるので、
$$ F\colon=\bigcap_{j\in J}T_j^{-1}(\overline{W}) $$
$X$ の絶対凸閉集合である。任意の $x\in X$ に対し、$\{T_jx\}_{j\in J}$$Y$ の有界集合であるから、ある $n\in \mathbb{N}$ に対し、
$$ \{T_jx\}_{j\in J}\subset nW, $$
すなわち、
$$ \frac{1}{n}x\in \bigcap_{j\in J}T_j^{-1}(W)\subset F $$
が成り立つ。これより、
$$ X=\bigcup_{n\in \mathbb{N}}nF $$
であるので、Baireのカテゴリ定理( )より、 $F^{\circ}\neq\emptyset$ が成り立つ。$F$ は絶対凸なので、任意の $x\in F^{\circ}$ に対し、
$$ 0=\frac{1}{2}x-\frac{1}{2}x\in \frac{1}{2}F^{\circ}-\frac{1}{2}x\subset F $$
であり、$\frac{1}{2}F^{\circ}-\frac{1}{2}x$ は開集合なので、$0\in F^{\circ}$ である。そして任意の $j\in J$ に対し $T_j(F^{\circ})\subset\overline{W}\subset V$ であるから、$U$$F^{\circ}$ とすればよい。

$X$$\mathbb{F}$ 上のFréchet空間、$Y$$\mathbb{F}$ 上のノルム空間とし、各 $n\in \mathbb{N}$ に対し連続線形写像 $T_n\colon X\rightarrow Y$ が与えられているとする。そして各 $x\in X$ に対し $(T_nx)_{n\in \mathbb{N}}$ は収束するとする。このとき、
$$ Tx\colon=\lim_{n\rightarrow\infty} T_nx\quad(\forall x\in x) $$
として定義される線形写像 $T\colon X\rightarrow Y$ は連続である。

$T$ の連続性を示すには $0\in X$ における連続性を示せば十分である。$0\in Y$ の任意の近傍 $V$ を取る。任意の $x\in X$ に対し $\{T_nx\}_{n\in \mathbb{N}}$ は有界なので、一様有界性定理より、$0\in X$ の近傍 $U$$T_n(U)\subset V$ $(\forall n\in \mathbb{N})$ を満たすものが取れる。よって $T(U)\subset \overline{V}$ であるから $T$$0\in X$ において連続である。

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