群の定義から出発し、準同型と商群、群の作用、Sylow の定理、組成列、可解群と冪零群、自由群を順に学び、最後に小さな位数の有限群を具体的に分類する。対称性の計算から始めて、写像で群を比べる、類にまとめて新しい群を作る、集合に作用させて数える、という三つの方法を軸に進む。各章で証明を一つずつ確かめ、最後に Sylow の定理と半直積を組み合わせて、位数 15 までの群を分類する地図を作る。前提は、集合と写像、整数の割り算、および線形代数の初歩である。
二つの群が「同じ構造をもつ」とはどういうことかを、積を保つ写像で答える章である。正方形の回転や置換の合成を例に群の公理を取り出し、部分群の判定法と巡回群の部分群、準同型と核・像、第一同型定理を順に示す。後半では、群から自分自身への同型(自己同型)を集め、内部自己同型と特性部分群、巡回群の自己同型群を計算する。最初の 3 ページは以後のすべての章の前提になる。自己同型のページは、第8章の半直積を読むまで飛ばしてもよい。
整数を $n$ で割った余りで計算するように、群の元を「同じ類」にまとめて新しい群を作れるかを問う章である。剰余類と Lagrange の定理から始め、剰余類の積が代表元に依らなくなる条件として正規部分群を導き、商群を定義する。続いて第二・第三同型定理と部分群対応定理で商の計算法を整え、最後に、核と商から群を復元する問題(拡大と完全列)への入口を示す。章末では、正規部分群に対する商群と、元の群・商群の部分群どうしの対応が得られる。
群を、抽象的な対象としてではなく、集合に作用して対称性を動かすものとして調べる章である。置換群の巡回置換分解と符号、すべての群は置換群に埋め込めるという Cayley の定理を扱ったうえで、群作用の軌道と安定化群、軌道安定化群定理、類等式、Burnside の補題を示す。さらに中心化群と正規化群を作用の例として調べ、位数を割る素数に対してその位数の元が存在するという Cauchy の定理を導く。
有限群の位数の素因数分解から、群の内部に何が見えるかを調べる章である。位数 $p^n m$($p\nmid m$)の群について、位数 $p^n$ の部分群の存在、それらが互いに共役であること、その個数 $n_p$ が $m$ を割り $n_p\equiv1\pmod p$ を満たすことを、群の作用を 3 回使って証明する。本書の中心となる定理で、第8章の小さな位数の群の分類で繰り返し使う。
整数が素数の積に分解されるように、有限群を「これ以上正規部分群で分けられない群」へ分解できるかを調べる章である。単純群と、最初の非可換な単純群である $A_5$ の単純性、有限群の組成列の存在、組成因子が順序を除いて一意に決まる Jordan–Hölder の定理を示す。証明には第2章の第二同型定理を使う。
群がどれだけ可換から遠いかを、段階的に測る章である。交換子部分群と導来列による可解群、中心列による冪零群を定義し、可解群が拡大で閉じること、冪零群は可解であること、有限 $p$ 群は冪零であることを示す。対称群 $S_n$ が $n\ge5$ で可解でなくなる理由を調べ、$S_3$ が可解だが冪零でない例で両者の違いを確かめる。
生成元だけを与え、関係式を何も課さずに作る最も大きな群として、自由群を調べる章である。簡約語の一意性から自由群の普遍性を示し、生成元と関係式による群の表示を定める。自由積、Schreier グラフから自由基底を読み取る Nielsen–Schreier の定理(有限指数版)、Tietze 変形による表示の書き直しを扱う。
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