5-3 組成列

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正規部分群で商を取り続け、これ以上分解できない単純群まで進む列が組成列です。整数を素因数へ分解するように、有限群を単純群という因子へ分解します。

正規列と細分

正規列

群 $G$ の部分群列
$$ G=G_0\trianglerighteq G_1 \trianglerighteq\cdots \trianglerighteq G_r=\{e\} $$
で、各 $G_{i+1}\trianglelefteq G_i$ となるものを正規列という。商群
$$ G_i/G_{i+1} $$
を正規列の因子|因子という。

二項 $G_i\trianglerighteq G_{i+1}$ の間に
$$ G_i\trianglerighteq H\trianglerighteq G_{i+1} $$
を挿入した列を細分といいます。対応定理から、間に正規部分群を挿入できないことと $G_i/G_{i+1}$ が単純であることは同値です。

組成列

すべての因子 $G_i/G_{i+1}$ が単純群である正規列を組成列という。その因子を組成因子という。列の段数 $r$ を組成長という。

有限群の組成列の存在

任意の有限群は組成列をもつ。

$G=\{e\}$ なら空の列。$G\ne\{e\}$ とする。有限個の正規部分群のうち真部分群であるものから包含について極大な $N$ を取れる。対応定理により $G/N$ は単純です。
$|N|<|G|$ なので、群の位数に関する帰納法により $N$ は組成列
$$ N=N_0\trianglerighteq\cdots\trianglerighteq N_s=\{e\} $$
をもつ。先頭に $G\trianglerighteq N$ を加えれば、最初の因子 $G/N$ も単純なので $G$ の組成列。□

例

$C_{12}$ には
$$ C_{12}\trianglerighteq C_6 \trianglerighteq C_3 \trianglerighteq\{e\} $$
という組成列があり、因子は
$$ C_2,\quad C_2,\quad C_3. $$
別の列
$$ C_{12}\trianglerighteq C_4 \trianglerighteq C_2 \trianglerighteq\{e\} $$
では因子が
$$ C_3,\quad C_2,\quad C_2 $$
となり、順序は違っても同じ単純群が現れます。
$S_3$ では
$$ S_3\trianglerighteq A_3 \trianglerighteq\{e\} $$
が組成列で、因子は $C_2,C_3$。
$A_4$ では
$$ A_4\trianglerighteq V \trianglerighteq C_2 \trianglerighteq\{e\}, $$
ここで $V\cong C_2\times C_2$。因子は $C_3,C_2,C_2$。

位数との関係

有限群の正規列についてLagrangeの定理を反復すると
$$ |G|=\prod_{i=0}^{r-1}|G_i/G_{i+1}|. $$
組成因子の位数の積は群の位数です。ただし位数の素因数分解だけでは非可換単純因子の構造までは分かりません。

可解性と組成因子

有限群 $G$ が可解であることと、その組成因子がすべて素数位数の巡回群であることは同値である。

$G$ が可解なら、部分群と商群も可解。各組成因子は単純かつ可解です。非可換単純群は可解でないため、組成因子は可換単純群、従って素数位数の巡回群。
逆に組成因子がすべて可換なら、最下段の自明群から上へ、短完全列
$$ 1\to G_{i+1}\to G_i\to G_i/G_{i+1}\to1 $$
へ可解群の拡大閉性を反復適用する。各因子と自明群が可解なので、最終的に $G$ も可解。□

$D_4$ の組成列

$D_4$ の組成列を一つ作り、組成因子を求めよ。

解答

$$ D_4\trianglerighteq\langle r\rangle \trianglerighteq\langle r^2\rangle \trianglerighteq\{e\} $$
を取る。$\langle r\rangle$ は指数2で正規、その中の $\langle r^2\rangle$ も正規。各因子の位数は2なので全て $C_2$。□

$A_5$ を含む列

$S_5$ の組成列を一つ求め、$S_5$ が可解でないことを組成因子から示せ。

解答

$$ S_5\trianglerighteq A_5 \trianglerighteq\{e\} $$
で、$A_5$ は単純、$S_5/A_5\cong C_2$ も単純なので組成列。組成因子は $C_2,A_5$。非可換単純因子 $A_5$ を含むので、可解性判定から $S_5$ は非可解。□

参考文献

[1]
David S. Dummit and Richard M. Foote, Abstract Algebra, 3rd ed., Wiley, 2004

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