8-8 位数12の群

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位数12では、可換群、二面体型、四元数型、正四面体の回転群 $A_4$ が同時に現れます。このページでは完全分類の準備として、Sylow部分群の個数が群構造をどこまで決めるかを具体的に追います。

Sylow数

$|G|=12=2^2\cdot3$ とすると
$$ n_3\mid4,\qquad n_3\equiv1\pmod3, $$
よって $n_3=1$ または4。また
$$ n_2\mid3,\qquad n_2\equiv1\pmod2, $$
よって $n_2=1$ または3。

位数12の群の正規部分群

位数12の群は、正規なSylow 3部分群または正規なSylow 2部分群をもつ。

$n_3=1$ ならSylow 3部分群が正規。$n_3=4$ とする。相異なる位数3の部分群は単位元以外で交わらないので、四部分群は
$$ 1+4(3-1)=9 $$
個の元を占める。残る元は3個と単位元で計4個。
共役作用はSylow 3部分群4個を置換し、準同型
$$ \varphi:G\to S_4 $$
を与える。Sylow 3部分群 $Q$ の安定化群は $N_G(Q)$。軌道の大きさが4なので
$$ |N_G(Q)|=|G|/4=3, $$
しかも $Q\subset N_G(Q)$ だから $N_G(Q)=Q$。
$\ker\varphi$ は四つすべてのSylow 3部分群を固定するため
$$ \ker\varphi\subset\bigcap_QN_G(Q)=\bigcap_QQ=\{e\}; $$
異なる位数3部分群の共通部分は自明だからである。従って $\varphi$ は単射で、像は $S_4$ の位数12の部分群。
位数12の部分群は $S_4$ で指数2なので正規であり、$S_4$ の交換子部分群を含む。符号写像から
$$[S_4,S_4]\subset A_4.$$
一方
$$[(12),(23)]=(132)$$
で、交換子部分群は正規だから全3-cycleを含む。3-cycleは $A_4$ を生成するので $A_4\subset[S_4,S_4]$。従って $[S_4,S_4]=A_4$。像も位数12でこれを含むため $\varphi(G)=A_4$。
$A_4$ の正規部分群
$$ V=\{e,(12)(34),(13)(24),(14)(23)\} $$
の逆像 $\varphi^{-1}(V)$ は位数4の正規部分群であり、Sylow 2部分群である。したがって $n_2=1$。□

完全な同型分類は位数15までの総合分類のページで行います。ここでは二つの主要配置を具体例で確認します。

$n_3=4$:正四面体群 $A_4$

$A_4$ の3-cycleは8個で、各Sylow 3部分群は非単位元を2個もつため $n_3=4$。残る
$$ V=\{e,(12)(34),(13)(24),(14)(23)\} $$
はKlein四元群 $C_2\times C_2$ で、共役は巡回型を保つため正規。従って $V$ が一意なSylow 2部分群です。
$$ A_4/V\cong C_3 $$
であり
$$A_4\cong V\rtimes C_3.$$
$C_3$ は $V$ の三つの非単位元を巡回置換します。

$n_3=1$:正規な $C_3$

二面体群
$$ D_6=\langle r,s\mid r^6=s^2=e,\ srs=r^{-1}\rangle $$
では $\langle r^2\rangle\cong C_3$ が正規です。また
$$ D_6\cong S_3\times C_2. $$
実際 $D_6$ の $r^3$ は中心的な位数2の元で、$\langle r^2,s\rangle\cong S_3$ と共通部分が自明、積が全体を生成するため内部直積です。
別の非可換例として
$$ \operatorname{Dic}_3 =\langle a,x\mid a^6=e,\ x^2=a^3,\ xax^{-1}=a^{-1}\rangle $$
があります。これは位数12で、$x$ の位数は4。$D_6$ には反転として多くの位数2元がありますが、$\operatorname{Dic}_3$ の $\langle a\rangle$ 外の元はすべて平方が $a^3$ なので位数4です。従って両群は非同型です。

$A_4$ に位数6の部分群はない

$A_4$ が位数6の部分群をもたないことを示し、Lagrangeの定理の逆が偽であることを確認せよ。

解答

位数6の部分群 $H$ があれば指数2なので正規。$H$ のSylow 3部分群の個数は1または4だが、$|H|=6$ では $n_3\mid2$ なので1。従って $H$ は一つの位数3部分群 $P$ を含む。
$H\trianglelefteq A_4$ なので、$P$ の $A_4$ による共役はすべて $H$ に含まれる。$A_4$ の四つのSylow 3部分群は共役であり、それらの非単位元だけで8個ある。これは $|H|=6$ に矛盾。よって存在しない。□

$A_4$ の導来部分群

$$[A_4,A_4]=V$$
を示せ。

解答

$A_4/V\cong C_3$ は可換なので $[A_4,A_4]\subset V$。一方
$$ [(123),(124)] $$
を計算すると二重互換の一つを得る。交換子部分群は正規であり、二重互換三つは $A_4$ で共役なので全てを含む。従って $V\subset[A_4,A_4]$。両包含から等号。□

参考文献

[1]
David S. Dummit and Richard M. Foote, Abstract Algebra, 3rd ed., Wiley, 2004

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