$A_5$ は位数60の最小の非可換単純群です。その単純性は、五文字の偶置換を巡回型ごとに数え、$A_5$ 内での共役類サイズを求めることで証明できます。
偶置換として可能な巡回型は
$A_5$ の共役類の大きさは
$$
1,\quad20,\quad15,\quad12,\quad12.
$$
それぞれ恒等置換、3-cycle、二重互換、二つに分かれた5-cycleの類である。
$x=(123)$ とする。$S_5$ で $x$ と可換する置換は $\langle(123)\rangle$ と残り二文字の交換 $(45)$ からなり、位数6。そのうち偶置換は $\langle(123)\rangle$ の3個だけなので
$$
|C_{A_5}(x)|=3.
$$
従って $A_5$ 内の共役類サイズは $60/3=20$。すべての3-cycleを尽くす。
$y=(12)(34)$ とする。$S_5$ での中心化群は、各組内の交換と二組の交換からなる位数8の群で、たとえば $(12)$ という奇置換を含む。符号写像を中心化群へ制限すると全射なので、偶置換部分は半分の4個。従って
$$
|C_{A_5}(y)|=4,\qquad
|\operatorname{Cl}_{A_5}(y)|=60/4=15.
$$
二重互換15個を尽くす。
$z=(12345)$ とする。$S_5$ で $z$ と可換する置換は $\langle z\rangle$ だけで位数5。5-cycleは偶置換なので、この中心化群は全て $A_5$ に入る。従って
$$
|C_{A_5}(z)|=5,\qquad
|\operatorname{Cl}_{A_5}(z)|=60/5=12.
$$
5-cycleは24個あるため、一つの類では尽くさず、同じ計算により12個ずつの二共役類へ分かれる。□
$A_5$ は非可換単純群である。
正規部分群 $N\trianglelefteq A_5$ は単位元を含む共役類の和集合。従って $|N|$ は
$$
1
$$
に $15,20,12,12$ の一部を加えた数です。またLagrangeの定理から $|N|$ は60の約数。
部分和を調べる。単独追加では
$$13,16,21.$$
二つ追加では
$$
1+12+12=25,\quad
1+12+15=28,\quad
1+12+20=33,\quad
1+15+20=36.
$$
三つ追加では
$$
1+12+12+15=40,\quad
1+12+12+20=45,\quad
1+12+15+20=48.
$$
四つ全部なら60。上の数のうち60を割るものはなく、可能なのは1と60だけ。従って $N=\{e\}$ または $A_5$。非可換性はたとえば $(123)$ と $(345)$ が可換しないことから分かる。□
非可換単純群は完全なので
$$
[A_5,A_5]=A_5.
$$
従って $A_5$ は可解でありません。$A_5\trianglelefteq S_5$ であるため、もし $S_5$ が可解ならその部分群 $A_5$ も可解になるはずで矛盾。よって $S_5$ も非可解です。
これは一般五次方程式のGalois群が $S_5$ となる場合に根号解法が存在しないという定理の群論側の核心です。
$z=(12345)$ と $z^{-1}$ が $A_5$ で共役かどうかを調べよ。
$S_5$ では、$z$ を $z^{-1}$ へ送る共役元は五角形の向きを反転する置換である。たとえば
$$
(25)(34)z(25)(34)=z^{-1}.
$$
この置換は二重互換で偶置換なので、実は $z$ と $z^{-1}$ は $A_5$ でも共役で同じ12元類に入る。残る類には $z^2,z^3$ 型が入る。分裂は「逆元」ではなく、指数が平方剰余かどうかで起こる。□
$A_5$ から位数60未満の群 $H$ への準同型は自明であることを示せ。
$A_5$ は単純なので準同型は自明または単射。単射なら $A_5$ が $H$ の部分群となり、Lagrangeの定理から
$$60=|A_5|\mid|H|.$$
しかし $|H|<60$ では不可能。従って自明。□
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