8-10 小さい位数の群の総合分類

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小さい位数の群を分類すると、Lagrangeの定理、Sylow理論、群作用、半直積、有限生成可換群の構造定理がどう連携するか見えます。このページでは位数15以下の有限群を同型を除いて整理します。

分類表

$C_n$ は位数 $n$ の巡回群、$D_n$ は正 $n$ 角形の対称群で位数 $2n$、$V_4=C_2\times C_2$ とします。

位数同型を除いた群個数
1自明群1
2$C_2$1
3$C_3$1
4$C_4,\ C_2\times C_2$2
5$C_5$1
6$C_6,\ S_3\cong D_3$2
7$C_7$1
8$C_8,\ C_4\times C_2,\ C_2^3,\ D_4,\ Q_8$5
9$C_9,\ C_3\times C_3$2
10$C_{10},\ D_5$2
11$C_{11}$1
12$C_{12},\ C_6\times C_2,\ D_6,\ \operatorname{Dic}_3,\ A_4$5
13$C_{13}$1
14$C_{14},\ D_7$2
15$C_{15}$1

素数位数と素数平方位数

素数 $p$ に対し、位数 $p$ の群は任意の非単位元で生成されるので $C_p$ です。これで位数 $2,3,5,7,11,13$ が決まります。
位数 $p^2$ の群は可換で、構造定理から
$$ C_{p^2},\qquad C_p\times C_p $$
の二種類です。従って位数4と9の行が得られます。二群は、位数 $p^2$ の元が存在するかどうかで区別できます。

位数 $pq$

異なる素数 $p< q$ に対し、位数 $pq$ の群ではSylow $q$ 部分群が正規です。$p\nmid(q-1)$ なら群は $C_{pq}$ だけ。$p\mid(q-1)$ なら、巡回群に加えて非自明な半直積
$$ C_q\rtimes C_p $$
が一つ現れます。
位数6,10,14では $p=2$ で $2\mid(q-1)$。$\operatorname{Aut}(C_q)$ の位数2の元は反転だけなので、非可換群は
$$ C_q\rtimes C_2\cong D_q $$
の一種類です。位数15では $p=3,q=5$ ですが $3\nmid4$ なので $C_{15}$ しかありません。
「非自明な半直積が一種類」という主張も確認できます。$\operatorname{Aut}(C_q)\cong C_{q-1}$ は巡回群で、その位数 $p$ の部分群は一意です。$C_p$ の生成元の選び替えは、その部分群の異なる生成元を互いに移すため、得られる非自明作用は同型な半直積を与えます。

位数8

位数8の群はすべて2群です。可換なものは有限生成可換群の構造定理から
$$ C_8,\quad C_4\times C_2,\quad C_2^3. $$
非可換なものは、位数4の元を取り、その巡回部分群への共役作用を調べることで
$$ D_4,\quad Q_8 $$
の二種類に限られることを位数8の群のページで証明しました。
五群が非同型であることは次の不変量で見分けられます。

群可換か位数2の元の個数位数4以上の元
$C_8$はい1位数8あり
$C_4\times C_2$はい3位数4あり
$C_2^3$はい7なし
$D_4$いいえ5位数4あり
$Q_8$いいえ1位数4あり

位数12の完全分類

位数12では $n_3=1$ または4です。

位数12の群の分類

位数12の群は
$$ C_{12},\quad C_6\times C_2,\quad D_6,\quad\operatorname{Dic}_3,\quad A_4 $$
のいずれか一つと同型である。

$n_3=4$ の場合、位数12の群のページで四つのSylow 3部分群への共役作用が単射
$$ G\hookrightarrow S_4 $$
を与え、像が $A_4$ になることを証明しました。従って $G\cong A_4$。
$n_3=1$ の場合、一意なSylow 3部分群を $Q\cong C_3$、Sylow 2部分群を $P$ とします。$Q\trianglelefteq G$、$Q\cap P=e$ で
$$ |QP|=|Q||P|=12 $$
だから
$$ G\cong C_3\rtimes P. $$
$P$ は位数4なので $C_4$ または $V_4$。作用は準同型
$$ \alpha:P\to\operatorname{Aut}(C_3)\cong C_2 $$
で決まります。
$\alpha$ が自明なら直積です。$P=C_4$ のとき $C_3\times C_4\cong C_{12}$、$P=V_4$ のとき
$$ C_3\times V_4\cong C_6\times C_2. $$
$\alpha$ が非自明とします。$P=C_4$ なら核は唯一の位数2部分群で、生成元が $C_3$ を反転させます。これは
$$ C_3\rtimes C_4\cong\operatorname{Dic}_3. $$
$P=V_4$ なら核は $V_4$ の位数2部分群です。$\operatorname{Aut}(V_4)$ が三つの位数2部分群を推移的に置換するので、非自明作用は同型を除いて一つだけ。その半直積は
$$ (C_3\rtimes C_2)\times C_2 \cong S_3\times C_2 \cong D_6. $$
以上で五種類を尽くします。
非同型性も確認します。最初の二群は可換。$A_4$ には位数6の元がなく、$D_6$ にはあります。$\operatorname{Dic}_3$ では中心外の位数2元がなく、$D_6$ には反射型の位数2元があります。従って三つの非可換群も互いに非同型です。□

分類で使った判断の流れ

小さい位数の分類は、次の順で進めると見通しがよくなります。

  1. Sylow数の合同条件と約数条件を書く。
  2. 一意なSylow部分群を正規部分群として確保する。
  3. 正規部分群と補部分群から半直積にする。
  4. 作用 $P\to\operatorname{Aut}(N)$ を分類する。
  5. 元の位数、中心、可換性などで候補を区別する。
    この流れは位数15を越えても有効ですが、位数が上がると作用と拡大の候補が急増し、分裂しない拡大も現れます。
位数14の分類

位数14の群が $C_{14}$ または $D_7$ のいずれかであることを、Sylow理論と作用から証明せよ。

解答

Sylow 7部分群 $Q$ は一意で正規です。Sylow 2部分群 $P\cong C_2$ を取ると $G=Q\rtimes P$。作用
$$ C_2\to\operatorname{Aut}(C_7)\cong C_6 $$
が自明なら $G\cong C_7\times C_2\cong C_{14}$。非自明なら $C_6$ の唯一の位数2元、すなわち反転 $r\mapsto r^{-1}$ が作用します。従って
$$ G\cong\langle r,s\mid r^7=s^2=e,\ srs=r^{-1}\rangle=D_7. $$
□

位数12の五群を区別する

位数12の五群について、可換性、元の最大位数、位数2の元の個数を調べ、どの二群も同型でないことを確かめよ。

解答

$C_{12}$ は可換で最大位数12、位数2元は1個。$C_6\times C_2$ は可換で最大位数6、位数2元は3個です。
$D_6$ は非可換で最大位数6。六つの反射と中央回転 $r^3$ の計7個が位数2です。$\operatorname{Dic}_3$ は非可換で最大位数6ですが、位数2元は中心の一つだけです。$A_4$ は非可換で最大位数3、位数2元は三つの二重互換です。これらの組はすべて異なるため、五群は互いに非同型です。□

位数15

位数15の群が巡回群になることを、Sylow数を直接計算して示せ。

解答

$$ n_5\mid3,\qquad n_5\equiv1\pmod5 $$
より $n_5=1$。また
$$ n_3\mid5,\qquad n_3\equiv1\pmod3. $$
候補1と5のうち、5は3を法として2なので $n_3=1$。両Sylow部分群が正規で共通部分は自明、積は全体です。従って
$$ G\cong C_5\times C_3\cong C_{15}. $$
□

参考文献

[1]
David S. Dummit and Richard M. Foote, Abstract Algebra, 3rd ed., Wiley, 2004

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