小さい位数の群を分類すると、Lagrangeの定理、Sylow理論、群作用、半直積、有限生成可換群の構造定理がどう連携するか見えます。このページでは位数15以下の有限群を同型を除いて整理します。
$C_n$ は位数 $n$ の巡回群、$D_n$ は正 $n$ 角形の対称群で位数 $2n$、$V_4=C_2\times C_2$ とします。
| 位数 | 同型を除いた群 | 個数 |
|---|---|---|
| 1 | 自明群 | 1 |
| 2 | $C_2$ | 1 |
| 3 | $C_3$ | 1 |
| 4 | $C_4,\ C_2\times C_2$ | 2 |
| 5 | $C_5$ | 1 |
| 6 | $C_6,\ S_3\cong D_3$ | 2 |
| 7 | $C_7$ | 1 |
| 8 | $C_8,\ C_4\times C_2,\ C_2^3,\ D_4,\ Q_8$ | 5 |
| 9 | $C_9,\ C_3\times C_3$ | 2 |
| 10 | $C_{10},\ D_5$ | 2 |
| 11 | $C_{11}$ | 1 |
| 12 | $C_{12},\ C_6\times C_2,\ D_6,\ \operatorname{Dic}_3,\ A_4$ | 5 |
| 13 | $C_{13}$ | 1 |
| 14 | $C_{14},\ D_7$ | 2 |
| 15 | $C_{15}$ | 1 |
素数 $p$ に対し、位数 $p$ の群は任意の非単位元で生成されるので $C_p$ です。これで位数 $2,3,5,7,11,13$ が決まります。
位数 $p^2$ の群は可換で、構造定理から
$$
C_{p^2},\qquad C_p\times C_p
$$
の二種類です。従って位数4と9の行が得られます。二群は、位数 $p^2$ の元が存在するかどうかで区別できます。
異なる素数 $p< q$ に対し、位数 $pq$ の群ではSylow $q$ 部分群が正規です。$p\nmid(q-1)$ なら群は $C_{pq}$ だけ。$p\mid(q-1)$ なら、巡回群に加えて非自明な半直積
$$
C_q\rtimes C_p
$$
が一つ現れます。
位数6,10,14では $p=2$ で $2\mid(q-1)$。$\operatorname{Aut}(C_q)$ の位数2の元は反転だけなので、非可換群は
$$
C_q\rtimes C_2\cong D_q
$$
の一種類です。位数15では $p=3,q=5$ ですが $3\nmid4$ なので $C_{15}$ しかありません。
「非自明な半直積が一種類」という主張も確認できます。$\operatorname{Aut}(C_q)\cong C_{q-1}$ は巡回群で、その位数 $p$ の部分群は一意です。$C_p$ の生成元の選び替えは、その部分群の異なる生成元を互いに移すため、得られる非自明作用は同型な半直積を与えます。
位数8の群はすべて2群です。可換なものは有限生成可換群の構造定理から
$$
C_8,\quad C_4\times C_2,\quad C_2^3.
$$
非可換なものは、位数4の元を取り、その巡回部分群への共役作用を調べることで
$$
D_4,\quad Q_8
$$
の二種類に限られることを位数8の群のページで証明しました。
五群が非同型であることは次の不変量で見分けられます。
| 群 | 可換か | 位数2の元の個数 | 位数4以上の元 |
|---|---|---|---|
| $C_8$ | はい | 1 | 位数8あり |
| $C_4\times C_2$ | はい | 3 | 位数4あり |
| $C_2^3$ | はい | 7 | なし |
| $D_4$ | いいえ | 5 | 位数4あり |
| $Q_8$ | いいえ | 1 | 位数4あり |
位数12では $n_3=1$ または4です。
位数12の群は
$$
C_{12},\quad C_6\times C_2,\quad
D_6,\quad\operatorname{Dic}_3,\quad A_4
$$
のいずれか一つと同型である。
$n_3=4$ の場合、位数12の群のページで四つのSylow 3部分群への共役作用が単射
$$
G\hookrightarrow S_4
$$
を与え、像が $A_4$ になることを証明しました。従って $G\cong A_4$。
$n_3=1$ の場合、一意なSylow 3部分群を $Q\cong C_3$、Sylow 2部分群を $P$ とします。$Q\trianglelefteq G$、$Q\cap P=e$ で
$$
|QP|=|Q||P|=12
$$
だから
$$
G\cong C_3\rtimes P.
$$
$P$ は位数4なので $C_4$ または $V_4$。作用は準同型
$$
\alpha:P\to\operatorname{Aut}(C_3)\cong C_2
$$
で決まります。
$\alpha$ が自明なら直積です。$P=C_4$ のとき $C_3\times C_4\cong C_{12}$、$P=V_4$ のとき
$$
C_3\times V_4\cong C_6\times C_2.
$$
$\alpha$ が非自明とします。$P=C_4$ なら核は唯一の位数2部分群で、生成元が $C_3$ を反転させます。これは
$$
C_3\rtimes C_4\cong\operatorname{Dic}_3.
$$
$P=V_4$ なら核は $V_4$ の位数2部分群です。$\operatorname{Aut}(V_4)$ が三つの位数2部分群を推移的に置換するので、非自明作用は同型を除いて一つだけ。その半直積は
$$
(C_3\rtimes C_2)\times C_2
\cong S_3\times C_2
\cong D_6.
$$
以上で五種類を尽くします。
非同型性も確認します。最初の二群は可換。$A_4$ には位数6の元がなく、$D_6$ にはあります。$\operatorname{Dic}_3$ では中心外の位数2元がなく、$D_6$ には反射型の位数2元があります。従って三つの非可換群も互いに非同型です。□
小さい位数の分類は、次の順で進めると見通しがよくなります。
位数14の群が $C_{14}$ または $D_7$ のいずれかであることを、Sylow理論と作用から証明せよ。
Sylow 7部分群 $Q$ は一意で正規です。Sylow 2部分群 $P\cong C_2$ を取ると $G=Q\rtimes P$。作用
$$
C_2\to\operatorname{Aut}(C_7)\cong C_6
$$
が自明なら $G\cong C_7\times C_2\cong C_{14}$。非自明なら $C_6$ の唯一の位数2元、すなわち反転 $r\mapsto r^{-1}$ が作用します。従って
$$
G\cong\langle r,s\mid r^7=s^2=e,\ srs=r^{-1}\rangle=D_7.
$$
□
位数12の五群について、可換性、元の最大位数、位数2の元の個数を調べ、どの二群も同型でないことを確かめよ。
$C_{12}$ は可換で最大位数12、位数2元は1個。$C_6\times C_2$ は可換で最大位数6、位数2元は3個です。
$D_6$ は非可換で最大位数6。六つの反射と中央回転 $r^3$ の計7個が位数2です。$\operatorname{Dic}_3$ は非可換で最大位数6ですが、位数2元は中心の一つだけです。$A_4$ は非可換で最大位数3、位数2元は三つの二重互換です。これらの組はすべて異なるため、五群は互いに非同型です。□
位数15の群が巡回群になることを、Sylow数を直接計算して示せ。
$$
n_5\mid3,\qquad n_5\equiv1\pmod5
$$
より $n_5=1$。また
$$
n_3\mid5,\qquad n_3\equiv1\pmod3.
$$
候補1と5のうち、5は3を法として2なので $n_3=1$。両Sylow部分群が正規で共通部分は自明、積は全体です。従って
$$
G\cong C_5\times C_3\cong C_{15}.
$$
□
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