5-4 Jordan–Hölderの定理

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組成列そのものは一意ではありません。それでも現れる単純群の多重集合は変わりません。これは整数の素因数分解の一意性に対応する群論の定理です。

定理

Jordan--Hölderの定理

有限群 $G$ の任意の二つの組成列は同じ長さをもち、組成因子は順序を除いて同型である。

$|G|$ に関する帰納法で証明する。$G$ が自明または単純なら明らか。
二つの組成列の最初を
$$ G\trianglerighteq N\trianglerighteq\cdots, \qquad G\trianglerighteq M\trianglerighteq\cdots $$
とする。$G/N,G/M$ は単純なので、$N,M$ は $G$ の極大な真の正規部分群。
$N=M$ なら、$N$ は $G$ より小さい。帰納法により二列の $N$ 以下の組成因子が順序を除いて一致し、共通の先頭因子 $G/N$ を加えればよい。
$N\ne M$ とする。積 $NM$ は $G$ の正規部分群で、$N\subsetneq NM$。$N$ の極大性から
$$NM=G.$$
$K=N\cap M$ と置く。第二同型定理から
$$ N/K\cong NM/M=G/M, $$
$$ M/K\cong NM/N=G/N. $$
右辺は単純なので $K$ は $N,M$ の極大正規部分群です。
$K$ の組成列を一つ選ぶ。$N$ の二つの組成列、すなわち元の列の $N$ 以下と
$$ N\trianglerighteq K\trianglerighteq (\text{$K$ の組成列}) $$
へ帰納法を適用すると、$N$ 以下の元の組成因子は
$$ N/K\quad\text{と $K$ の組成因子} $$
に一致する。同様に、$M$ 以下の元の因子は
$$ M/K\quad\text{と $K$ の組成因子} $$
に一致する。
従って第一の $G$ の組成列の因子は
$$ G/N,\quad N/K,\quad (\text{$K$ の組成因子}), $$
第二の列の因子は
$$ G/M,\quad M/K,\quad (\text{$K$ の組成因子}). $$
しかし
$$ G/N\cong M/K,\qquad G/M\cong N/K. $$
最初の二因子が入れ替わるだけで残りは同じ。よって多重集合と長さが一致する。□

何が一意で、何が一意でないか

一意なのは組成因子の同型類と重複度です。各因子が現れる順序、途中の部分群、組成列そのものは一意ではありません。
$C_{12}$ の二列
$$ C_{12}\trianglerighteq C_6 \trianglerighteq C_3\trianglerighteq e $$
と
$$ C_{12}\trianglerighteq C_4 \trianglerighteq C_2\trianglerighteq e $$
では因子順が
$$ C_2,C_2,C_3 $$
と
$$ C_3,C_2,C_2 $$
で違いますが、多重集合は同じです。

応用

組成因子は群の不変量

有限群が同型なら組成因子の多重集合は一致する。逆に、組成因子が一致しても群が同型とは限らない。

同型写像は組成列を各部分群の像へ送り、対応する商群も同型にするため前半が従う。
逆の反例として $C_4$ と $C_2\times C_2$ はともに組成因子 $C_2,C_2$ をもつが、前者には位数4の元があり後者にはないため非同型。□

位数8の組成因子

位数8の五群がすべて同じ組成因子をもつことを示せ。

解答

位数8の群は $2$ 群なので可解であり、組成因子は素数位数の巡回群。組成因子の位数の積は8であるため
$$ 2\cdot2\cdot2=8 $$
となり、三つの $C_2$ 以外に可能性はない。Jordan--Hölderによりどの組成列でも同じ。□

組成長の加法性

有限群の短完全列
$$ 1\to N\to G\to Q\to1 $$
に対し、組成長が
$$ \ell(G)=\ell(N)+\ell(Q) $$
となることを示せ。

解答

$N$ の組成列と $Q\cong G/N$ の組成列を取る。対応定理で $Q$ の組成列を $N$ を含む $G$ の部分群列へ持ち上げ、その末尾に $N$ の組成列をつなぐと $G$ の組成列になる。段数は二列の段数の和。Jordan--Hölderにより組成長は列の選択によらないため式を得る。□

参考文献

[1]
David S. Dummit and Richard M. Foote, Abstract Algebra, 3rd ed., Wiley, 2004

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