1-5 巡回群の自己同型

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巡回群の準同型は生成元の像だけで決まります。自己同型になる条件は、その像も生成元であることです。したがって巡回群の自己同型群は、整数の単元群へ具体的に翻訳できます。

有限巡回群

巡回群の自己同型群

$C_n=\langle g\rangle$ とする。対応
$$ (\mathbb Z/n\mathbb Z)^\times \longrightarrow\operatorname{Aut}(C_n), \qquad \bar a\longmapsto(g^k\mapsto g^{ak}) $$
は群同型である。

準同型 $\varphi:C_n\to C_n$ は $\varphi(g)$ だけで決まり、$\varphi(g)=g^a$ と書ける。これが全射、従って有限集合上の自己同型になることは、$g^a$ が $C_n$ を生成することと同値。
$g^a$ の位数は
$$ \frac{n}{\gcd(a,n)} $$
である。実際 $(g^a)^k=e$ は $n\mid ak$ と同値で、その最小正整数 $k$ は上式。従って $g^a$ が生成元であることは $\gcd(a,n)=1$、すなわち $\bar a$ が単元であることと同値。
対応は全単射で、合成について
$$ \varphi_a\circ\varphi_b(g) =\varphi_a(g^b)=g^{ab} =\varphi_{ab}(g). $$
よって群同型。□

従って
$$ |\operatorname{Aut}(C_n)|=\varphi(n) $$
です。ここで右辺はEulerの $\varphi$ 関数です。

計算例

$$ \operatorname{Aut}(C_8) \cong(\mathbb Z/8\mathbb Z)^\times =\{\bar1,\bar3,\bar5,\bar7\}. $$
各非単位元の平方は1なので
$$ \operatorname{Aut}(C_8)\cong C_2\times C_2. $$
一方
$$ \operatorname{Aut}(C_5) \cong(\mathbb Z/5\mathbb Z)^\times =\{\bar1,\bar2,\bar3,\bar4\}. $$
$\bar2$ の冪は $2,4,3,1$ と巡るので $C_4$ と同型です。

無限巡回群

無限巡回群の自己同型

$$ \operatorname{Aut}(\mathbb Z)\cong C_2. $$

加法群 $\mathbb Z$ の準同型は $1$ の像 $a$ により
$$\varphi(n)=an$$
と決まる。全射になるのは $a=1$ または $a=-1$ のときだけ。恒等写像と符号反転の二つで、符号反転の平方は恒等。□

特性部分群への応用

巡回群 $C_n$ では各約数 $d\mid n$ に対し位数 $d$ の部分群がただ一つです。自己同型は部分群の位数を保つので、その唯一の部分群を保ちます。従って巡回群の全部分群は特性部分群です。
この性質は一般の可換群では成り立ちません。$C_p\times C_p$ の位数 $p$ の部分群は $p+1$ 個あり、自己同型群 $GL_2(\mathbb F_p)$ がそれらを移し合わせます。

$\operatorname{Aut}(C_{12})$

$\operatorname{Aut}(C_{12})$ の元を列挙し、群として同定せよ。

解答

12と互いに素な剰余類は
$$ \bar1,\bar5,\bar7,\bar{11}. $$
それぞれの平方は12を法として1:
$$ 5^2=25\equiv1,\quad 7^2=49\equiv1,\quad 11^2=121\equiv1. $$
非単位元が三つとも位数2なので
$$ \operatorname{Aut}(C_{12}) \cong C_2\times C_2. $$
□

中国剰余定理と自己同型

$\gcd(m,n)=1$ のとき
$$ \operatorname{Aut}(C_{mn}) \cong\operatorname{Aut}(C_m)\times\operatorname{Aut}(C_n) $$
を中国剰余定理から示せ。

解答

中国剰余定理は環同型
$$ \mathbb Z/mn\mathbb Z \cong\mathbb Z/m\mathbb Z\times\mathbb Z/n\mathbb Z $$
を与える。環同型は単元を単元へ送り、直積環の元が単元であることは各成分が単元であることと同値。従って
$$ (\mathbb Z/mn\mathbb Z)^\times \cong(\mathbb Z/m\mathbb Z)^\times \times(\mathbb Z/n\mathbb Z)^\times. $$
巡回群の自己同型定理を各項へ適用して結論を得る。□

参考文献

[1]
David S. Dummit and Richard M. Foote, Abstract Algebra, 3rd ed., Wiley, 2004

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