5-2 代数的な捩れと位相的な捩れ

$$\newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{N}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{R}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$

複素数体の上の連結アフィン群について、特性準同型をサイクル類写像で整係数コホモロジーへ送ったものが位相的な主束 $G\to G/B$ の特性準同型に一致することを示し、代数群としての捩れ素数が分類空間の整係数コホモロジーの捩れ素数に一致するという原論文の定理 4 を導く。原論文が未公刊とする Bott の結果と合わせて、捩れのない半単純群が特殊線形群と斜交群の積であることも述べる。原論文が認めるサイクル類写像と Bott の結果は引用として扱う。
前提知識: 特性準同型, 捩れ指数, 分類空間, Chern類, サイクル類写像, 極大コンパクト部分群, 複素化, 旗多様体

この頁で示すこと

本頁では $k=\mathbf C$ とし、通常の位相とコホモロジー $H^*(\cdot)=H^*(\cdot,\mathbf Z)$ の約束、サイクル類写像 $\mathrm{cl}$ は本書『5-1 サイクル類写像と胞体分割』のとおりとする。$G$ を連結アフィン群、$B=T\cdot B_u$ をその Borel 部分群、$\hat B=\hat T$ を有理指標の群、$c_G\colon S(\hat B)\to A(G/B)$ を特性準同型(本書『4-1 特性準同型と特性部分環』)、$N=\dim G/B$、$d$ を $G$ の捩れ指数(本書『4-3 捩れのない群と特性部分環の指数』)とする。$d$ を割る素数を $G$ の捩れ素数という。$BG$ は位相群 $G=G(\mathbf C)$ の分類空間である。
本頁の主結果は次の三つである。

  1. 特性準同型の位相的な解釈(原論文 §6 の Lemme 10 の後の段、印字 5-28):$G\to G/B$ は通常の位相で構造群 $B$ の局所自明な主束で、合成 $\mathrm{cl}\circ c_G\colon S(\hat B)\to A(G/B)\to H^*(G/B)$ はこの主束の位相的な特性準同型に一致する。その余核は有限群で、位数を割る素数はちょうど $G$ の捩れ素数であり、それは $H^*(BG,\mathbf Z)$ の捩れ素数に一致する。[条件付き:本書『0-2 線形代数群と旗多様体』の定理「Rosenlicht の局所切断」と定理「線形群の構造」の (2)、本書『5-1 サイクル類写像と胞体分割』の主結果「サイクル類写像の環準同型」「旗多様体のサイクル類写像は同型」、本書『0-4 Chow 環の枠組み』の定理「因子と Chern 類」の (1) と定理「固有な交わりの重複度と長さ」の (2)(3)、本書『4-1 特性準同型と特性部分環』の主結果「指標の直線束と特性準同型」「特性準同型の環準同型への延長」と補題「直線束の射の比較」、本書『1-2 可解群の等質空間』の主結果「可解群の等質空間はアフィン空間とトーラスの積」、本書『4-3 捩れのない群と特性部分環の指数』の主結果「特性部分環の指数の有限性」「最高次の部分と捩れ指数の存在」、本書『4-5 捩れ指数の特徴づけ』の主結果「捩れ指数の五つの特徴づけ(訂正形)」による。原論文が認めるサイクル類写像、射影的な空間の直線束が大域切断で生成される二つの束の差であること(Serre)、位相の Chern 類と Lie 群の分類空間の基本、原論文が周知とする分類空間の捩れ素数の事実を引用]
  2. 代数的な捩れ素数と位相的な捩れ素数の一致(原論文 Théorème 4、印字 5-28):$\mathbf C$ 上の連結アフィン群 $G$ の捩れ素数は、位相群 $G$ の分類空間 $BG$ の整係数コホモロジーの捩れ素数にちょうど一致する。[条件付き:1 による]
  3. 分類空間が捩れのない半単純群(原論文が引く Bott の結果とその帰結、印字 5-29):$\mathbf C$ 上の半単純群 $G$ について、$H^*(BG,\mathbf Z)$ が捩れをもたないことと、$G$ が特殊線形群と斜交群の直積に同型であることは同値である。したがって $G$ が捩れなし(捩れ指数 $1$)であることも、この直積に同型であることと同値である。[条件付き:2 と、本書『4-5 捩れ指数の特徴づけ』の主結果「捩れのない群と捩れ指数 1」による。複素半単純群とコンパクト Lie 群の複素化の対応(分類空間のホモトピー同値を含む)と、原論文が未公刊とする Bott の結果を引用]
    三つとも、原論文が認めるサイクル類写像(主結果 1 の中で使う)と位相の事実に依るので[条件付き]で、Chow 環の枠組みの下でも完結しない。主結果 1 の余核の素数の段は、本書『4-5 捩れ指数の特徴づけ』の主結果を通して、同じセミナーの exposé 1 の事実と Bertini の定理にも依る。頁の中で示すのは、直線束の第一類がサイクル類写像で位相の第一 Chern 類に写ること、二つの特性準同型が生成元の上で一致すること、余核の素数が捩れ指数の素因子に一致することである。分類空間の捩れ素数の事実と Bott の結果は「原論文はこう述べる」の形で引き、証明したとは書かない。

背景と動機

コンパクト連結 Lie 群 $K$ の整係数コホモロジーと分類空間 $BK$ のコホモロジーの捩れは、Borel Bor53 が調べていた。そこでは、極大トーラス $T_K$ の分類空間のコホモロジー $H^*(BT_K)$ が指標の対称代数であることと、ファイバー束 $K/T_K\to BT_K\to BK$ による特性準同型 $H^*(BT_K)\to H^*(K/T_K)$ が主役を演じる。有理係数ではこの準同型は全射だが、整係数では一般に全射でなく、その余核に捩れの素数が現れる。
原論文の §4 は、代数群の側で同じ形の準同型を立てた。旗多様体 $G/B$ の Chow 環への特性準同型 $c_G$ で、その余核の最高次の部分の位数が捩れ指数 $d$ である。§6 は、複素数体の上ではこの二つが同じものであることを示す。Chow 環とコホモロジーは旗多様体の上ではサイクル類写像で同型になり(本書『5-1 サイクル類写像と胞体分割』)、Chern 類の両立により代数的な特性準同型は位相的な特性準同型に写る。こうして代数的に定義した捩れ素数が位相の捩れ素数に一致する。原論文はこれを Théorème 4 として述べ、その系として、半単純群の場合に Bott の結果を引いて §5 の Lemme 9(本書『6-2 Schubert 類と Chevalley–Bott の補題』)の証明を締めくくる。
本書は依存の順に章を並べ、原論文の §6 を第 5 章、§5 を第 6 章に置いた(本書『0-1 本書の読み方』)。本頁の主結果「分類空間が捩れのない半単純群」は、本書『6-2 Schubert 類と Chevalley–Bott の補題』の主結果「捩れのない半単純群は特殊線形群と斜交群の積」の証明の段 3 で使われる。

定義と準備

位相の側の特性準同型と捩れ素数を定める。代数の側の $c_G$ と比べるには、指標の対称代数と Borel 部分群の分類空間のコホモロジーとの同一視が要る。

位相的な特性準同型

$H$ を Lie 群、$Y$ をパラコンパクトな空間、$P\to Y$ を構造群 $H$ の(位相的な)局所自明な主束とし、$f_P\colon Y\to BH$ をその分類写像とする(下の引用する事実 4 の (1))。引き戻し $f_P^*\colon H^*(BH)\to H^*(Y)$ を $P$ の特性準同型という。$\mathbf C$ 上の連結可解群 $B=T\cdot B_u$ については、下の引用する事実 4 の (3) の同一視 $S(\hat B)\cong H^*(BB)$($\chi\in\hat B$ を、$B$ が $\mathbf C$ に $\chi$ で作用する普遍な直線束 $EB\times^B\mathbf C_\chi$ の第一 Chern 類に送る)を通して、特性準同型を $S(\hat B)\to H^*(Y)$ とみる。

分類空間の捩れ素数

位相群 $G$ について、$H^*(BG,\mathbf Z)$ が位数 $\ell$ の元をもつ素数 $\ell$ を、$BG$ の捩れ素数という。$H^*(BG,\mathbf Z)$ が捩れをもたないことは、$BG$ の捩れ素数が一つも無いことと同じである(捩れ元の適当な倍は素数位数の元である)。

引用する事実

次の事実は証明せずに引用する。1 は原論文が証明なしに認めるもの、5 は原論文が「よく知られている」とするもの、7 は原論文が未公刊と明記するものである。位相の基本事実は第 5 巻『Chern 類と離散群の線形表現』の頁『0-4 位相的 Chern 類・平坦束・Lie 群と代数群』にまとめてあり、出典はそこに挙げた文献と Borel Bor53 である。どの文献についても、該当箇所は本頁では確かめていない。

  1. 原論文が認めるサイクル類写像:本書『5-1 サイクル類写像と胞体分割』の引用する事実 1 のとおり。とくに、逆像と両立し、非特異な閉部分では基本類の Poincaré 双対を与える。
  2. 大域切断で生成される直線束(Serre Ser55):射影的な空間 $X$ を射影空間に埋め込み、$\mathcal O_X(1)$ を超平面の直線束の制限とする。$X$ 上の直線束 $L$ について、$m$ が十分大きければ $L\otimes\mathcal O_X(m)$ と $\mathcal O_X(m)$ は有限個の大域切断で生成される。
  3. 位相の Chern 類(第 5 巻の同じ頁の定理「複素ベクトル束の Chern 類」の (1)(5) と、定理「射影束のコホモロジーと Leray–Hirsch の定理」の (3)):複素直線束の第一 Chern 類 $c_1\in H^2$ は連続写像による引き戻しと両立し、$c_1(L\otimes L')=c_1(L)+c_1(L')$、$c_1(L^\vee)=-c_1(L)$ を満たす。射影空間 $\mathbf P^M$ では $c_1(\mathcal O(1))$ は超平面の類 $h$、すなわち超平面の基本類の Poincaré 双対で、$H^*(\mathbf P^M)=\mathbf Z[h]/(h^{M+1})$ である(向きは複素構造の標準の向きとする)。
  4. Lie 群の分類空間(第 5 巻の同じ頁の定理「Lie 群の分類空間と極大コンパクト部分群」の (1)(2)(3)(5)):(1) Lie 群 $H$ に普遍主束 $EH\to BH$ があり、パラコンパクトな $Y$ の上の主 $H$ 束 $P$ は分類写像 $f_P\colon Y\to BH$ で $EH$ の引き戻しに同型である。付随束は引き戻しと両立する:$f_P^*(EH\times^HF)\cong P\times^HF$。(2) 連結成分が有限個の Lie 群 $H$ の極大コンパクト部分群 $K$ について $BK\to BH$ はホモトピー同値である。(3) 可縮な閉正規部分群 $U\subset H$ について $BH\to B(H/U)$ はホモトピー同値である。$\mathbf C$ 上の連結可解群 $B=T\cdot B_u$ では $B_u\cong\mathbf C^m$ は可縮なので $BB\simeq BT$ で、$T\cong(\mathbf C^*)^r$ について $BT\simeq(\mathbf{CP}^\infty)^r$、$H^*(BT)=\mathbf Z[x_1,\dots,x_r]$($x_j$ は $j$ 番目の座標の指標の普遍な直線束の第一 Chern 類、次数 $2$)である。したがって $\chi\mapsto c_1(ET\times^T\mathbf C_\chi)$ は群の同型 $\hat T\cong H^2(BT)$ で、環の同型 $S(\hat T)\cong H^*(BT)\cong H^*(BB)$ に延びる。
  5. 分類空間の捩れ素数(原論文は「よく知られている」とし、余核が有限であることからは初等的でもあると添える。本書は確かめていない):$\mathbf C$ 上の連結アフィン群 $G$ と Borel 部分群 $B$ について、位相的な特性準同型 $S(\hat B)\to H^*(G/B)$ の余核が有限なら、その位数を割る素数は $BG$ の捩れ素数にちょうど一致する。
  6. 複素化の対応:$\mathbf C$ 上の連結半単純群 $G$ の $G(\mathbf C)$ の極大コンパクト部分群 $K$ は連結なコンパクト半単純 Lie 群で、$G(\mathbf C)$ は $K$ の複素化であり、$BK\simeq BG$ である(第 5 巻の同じ頁の定理「Chern–Weil 理論」の (3) と、上の 4 の (2))。この対応で、代数群の同型類とコンパクト群の同型類が一対一に対応し、直積は直積に、特殊線形群 $\mathrm{SL}(n)$ は特殊ユニタリ群 $\mathrm{SU}(n)$ に、斜交群 $\mathrm{Sp}(n)$ はコンパクトな斜交群 $\mathrm{USp}(n)=\mathrm{Sp}(n)(\mathbf C)\cap\mathrm U(2n)$ に対応し、$K$ が半単純であることは、Chevalley の複素化の理論(Che46、本書は該当箇所を確かめていない)による。
  7. Bott の結果(原論文は「(BOTT)」とだけ書き、未公刊と明記する。後代の所在は Borel Bor61tor とされる。本書は確かめていない):連結なコンパクト半単純 Lie 群 $K$ について、$H^*(BK,\mathbf Z)$ が捩れをもたないのは、$K$ が $\mathrm{SU}(n)$ 型と $\mathrm{USp}(n)$ 型の群の直積であるときに限る。逆にそのような直積の分類空間のコホモロジーは捩れをもたない。
  8. 群と旗多様体の構造(本書『0-2 線形代数群と旗多様体』):定理「線形群の構造」の (2)(旗多様体は非特異で既約な射影的空間)、定理「Rosenlicht の局所切断」($G\to G/B$ は Zariski 位相で局所切断をもつ)。
    事実 6 の $\mathrm{USp}(n)$ は、原論文の「unitaires symplectiques」で、代数群の $\mathrm{Sp}(n)$($2n$ 次元の斜交群)と記号が重ならないように本書が付けた名である。
    サイクル類写像が位相の第一 Chern 類と両立することを、補題として示す。原論文は一般の Chern 類との両立を述べるが、本頁で使うのは直線束の第一類だけである。
直線束の第一類とサイクル類写像

$X\in V$ を $\mathbf C$ 上の射影的な空間、$L$ を $X$ 上の代数的な直線束とし、同じ推移関数で定まる位相的な複素直線束を $L^{\mathrm{an}}$ と書く。このとき $\mathrm{cl}(c_1(L))=c_1(L^{\mathrm{an}})$ である。

段 1(射影空間の超平面の束).$\mathbf P^M$ の上で、零でない線形形式 $\lambda$ は $\mathcal O(1)$ の大域切断で、零点は超平面 $H=P(\ker\lambda)$ であり、零切断に横断的である(本書『4-1 特性準同型と特性部分環』の主結果「特性部分環は群に依存する」の証明の段 1 と同じ局所座標の計算)。本書『0-4 Chow 環の枠組み』の定理「因子と Chern 類」の (1) により $c_1(\mathcal O(1))=[H]$ である。$H$ は非特異なので、引用する事実 1 により $\mathrm{cl}([H])$ は $H$ の Poincaré 双対で、引用する事実 3 によりそれは $c_1(\mathcal O(1)^{\mathrm{an}})$ である。
段 2(大域切断で生成される束).$L_1$ が大域切断 $s_0,\dots,s_M$ で生成されるとする。局所自明化 $L_1|_U\cong U\times\mathbf C$ で $s_j=g_j$ と書くと、各点で $g_j$ のどれかは $0$ でなく、$f(x)=[g_0(x):\dots:g_M(x)]$ は自明化の取り方によらない射 $f\colon X\to\mathbf P^M$ を定める。$L_1^\vee$ のファイバーの元 $\mu$ を $(\mu(s_0(x)),\dots,\mu(s_M(x)))\in\mathbf C^{M+1}$ に送る写像は、各ファイバーで直線 $f(x)$ の上への線形な同型なので、本書『4-1 特性準同型と特性部分環』の補題「直線束の射の比較」により $L_1^\vee\cong f^*\mathcal O(-1)$、すなわち $L_1\cong f^*\mathcal O(1)$ である。係数 $\lambda_j$ を、切断 $s=\sum_j\lambda_js_j$ が $X$ のどの成分の上でも恒等的に $0$ にならないようにとる($s_j$ が各点で生成するので、一般の係数でよい)。$\lambda=\sum_j\lambda_jX_j$ の超平面 $H$ について、$f^{-1}(H)$ は $s$ の零点集合で、空でなければ余次元 $1$ である($s$ がある成分の上で恒等的に $0$ にならないようにとったので、空になるのはその成分の像が $H$ に会わない場合だけで、そこでは $f^*H=0=\operatorname{div}(s)$ となり以下の結論は変わらない)。有効 Cartier 因子の引き戻しはその局所方程式の引き戻しの因子であるという古典的な事実(本書『0-4 Chow 環の枠組み』の定理「固有な交わりの重複度と長さ」の (2) の後半。Fulton Ful98 第 7〜8 章の形、本書は該当箇所を確かめていない)により、逆像のサイクル $f^*H$ は局所方程式 $f^*\lambda=s$ の因子で、$f^*H=\operatorname{div}(s)$ である。定理「因子と Chern 類」の (1) により $[\operatorname{div}(s)]=c_1(L_1)$ なので、引用する事実 1(逆像との両立)、段 1、引用する事実 3(引き戻しとの両立)により
$$\mathrm{cl}(c_1(L_1))=\mathrm{cl}(f^*H)=f^*\mathrm{cl}(H)=f^*c_1(\mathcal O(1)^{\mathrm{an}})=c_1\bigl((f^*\mathcal O(1))^{\mathrm{an}}\bigr)=c_1(L_1^{\mathrm{an}})$$
である。
段 3(一般の場合).引用する事実 2 により、$L_1=L\otimes\mathcal O_X(m)$ と $L_2=\mathcal O_X(m)$ がともに大域切断で生成されるような $m$ があり、$L\cong L_1\otimes L_2^\vee$ である。$c_1$ は代数の側(本書『0-4 Chow 環の枠組み』の定理「因子と Chern 類」の後の段)でも位相の側(引用する事実 3)でもテンソル積を和に、双対を符号の反転に写し、$\mathrm{cl}$ は加法的なので、段 2 から $\mathrm{cl}(c_1(L))=\mathrm{cl}(c_1(L_1))-\mathrm{cl}(c_1(L_2))=c_1(L_1^{\mathrm{an}})-c_1(L_2^{\mathrm{an}})=c_1(L^{\mathrm{an}})$ である。

段 2 で、サイクル類写像の逆像との両立は、射影空間の超平面という非特異なサイクルを引き戻す所だけで使った。特異かもしれない因子 $\operatorname{div}(s)$ の類を直接 Poincaré 双対で読む必要は無い。

Chern 類の公理的な定義の読み

原論文(印字 5-28)は、Chow 環からコホモロジーへの準同型が代数的なベクトル束の Chern 類の形成と両立することを、「Chern 類の公理的な定義から分かる」とだけ書き、講演や論文の番号を挙げない。Chern 類は、直線束の第一類と射影束の関係式によって公理的に定まる。原論文の一言は、この特徴づけを位相の Chern 類とサイクル類写像の像の両方に当てることを指すと読める。指す先は、前の講演の Chern 類の定義(第 6 巻『交叉理論の基本性質』の頁『2-2 Chern 類と分裂の関係式』の主結果「Chern 類の特徴づけ(訂正形)」)とも、同じ年の Chern 類の論文(第 3 巻『Chern 類の公理的理論』の原典)とも読め、本書はどちらかを確かめていない。本頁の議論に要るのは直線束の第一類との両立だけで、それは上の補題(直線束の第一類とサイクル類写像)で直接示した。高い次数の Chern 類との両立は本書では使わず、示してもいない。

主結果と証明

補題で、指標の直線束の類が代数の側と位相の側で一致することが分かった。あとは、特性準同型が次数 $1$ の元で決まる環準同型であることと、旗多様体の上ではサイクル類写像が同型であることを合わせればよい。

特性準同型の位相的な解釈

特性準同型の位相的な解釈

$k=\mathbf C$、$G$ を連結アフィン群、$B=T\cdot B_u$ をその Borel 部分群、$d$ を捩れ指数とする。
(1) $\pi\colon G\to G/B$ は通常の位相で構造群 $B$ の局所自明な主束で、各 $\chi\in\hat B$ について、付随する直線束 $G\times^B\mathbf C_\chi$ は $L_\chi^{\mathrm{an}}$ である。
(2) 合成 $\mathrm{cl}\circ c_G\colon S(\hat B)\to A(G/B)\to H^*(G/B)$ は、(1) の主束の位相的な特性準同型に等しい。
(3) $\mathrm{cl}\circ c_G$ の余核は有限群で、その位数を割る素数は、ちょうど $d$ を割る素数である。
(4) (3) の素数は、ちょうど $BG$ の捩れ素数である。

段 1(位相的な主束).引用する事実 8 により、$G/B$ は $\pi$ の局所切断 $s\colon U\to G$ の定義域で覆われる。Zariski 位相の開集合は通常の位相でも開で、射は連続なので、$\pi^{-1}(U)\cong U\times B$、$(x,b)\mapsto s(x)b$ は通常の位相での同相で、$\pi$ は構造群 $B$ の局所自明な主束である。$L_\chi$ は本書『4-1 特性準同型と特性部分環』の定義(指標に付随する直線束)のとおり、同じ局所切断の座標を推移関数 $\chi(s^{-1}s')$ で貼ったもので、これは主束 $\pi$ の付随束 $G\times^B\mathbf C_\chi$ の推移関数でもある。ゆえに (1) が成り立つ。
段 2(位相の側の値).$f\colon G/B\to BB$ を (1) の主束の分類写像とする。上の定義(位相的な特性準同型)により、特性準同型は $\chi\in\hat B$ を $f^*c_1(EB\times^B\mathbf C_\chi)$ に送り、引用する事実 3・4 の (1) によりこれは $c_1\bigl(f^*(EB\times^B\mathbf C_\chi)\bigr)=c_1(G\times^B\mathbf C_\chi)=c_1(L_\chi^{\mathrm{an}})$ である。
段 3(代数の側の値と一致).引用する事実 8 により $G/B$ は $V$ に属する射影的な空間である。上の補題(直線束の第一類とサイクル類写像)により、$\mathrm{cl}(c_G(\chi))=\mathrm{cl}(c_1(L_\chi))=c_1(L_\chi^{\mathrm{an}})$ で、段 2 の値と一致する。$c_G$ は環準同型(本書『4-1 特性準同型と特性部分環』の主結果「特性準同型の環準同型への延長」)、$\mathrm{cl}$ も環準同型(本書『5-1 サイクル類写像と胞体分割』の主結果「サイクル類写像の環準同型」)で、位相の特性準同型は環準同型 $f^*$ と環の同型 $S(\hat B)\cong H^*(BB)$ の合成である。$S(\hat B)$ は次数 $1$ の元 $\chi$ で環として生成されるので、生成元の上で一致する二つの環準同型は等しく、(2) を得る。
段 4(余核の素数).本書『5-1 サイクル類写像と胞体分割』の主結果「旗多様体のサイクル類写像は同型」により $\mathrm{cl}\colon A(G/B)\to H^*(G/B)$ は次数を 2 倍にする環の同型なので、$\mathrm{cl}\circ c_G$ の余核は次数付き群 $Q=A(G/B)/\operatorname{Im}c_G=\bigoplus_jQ^j$ に同型である。本書『4-3 捩れのない群と特性部分環の指数』の主結果「特性部分環の指数の有限性」により $Q$ は有限である。本書『4-5 捩れ指数の特徴づけ』の主結果「捩れ指数の五つの特徴づけ(訂正形)」の (iii)⇒(ii) を $d'=d$ で使うと(この定理は $N\ge1$ を仮定する)、$Q$ は $d$ で消える。$N=0$ なら $G/B$ は一点で $A(G/B)=A^0(G/B)=\mathbf Z$、$c_G(S^0(\hat B))=\mathbf Z\cdot1$ なので $c_G$ は全射で、$Q=0$、$d=1$ となり、やはり $Q$ は $d$ で消える(同じ頁の注意「旗多様体が一点の場合と訂正の選び方」)。本書『4-3 捩れのない群と特性部分環の指数』の主結果「最高次の部分と捩れ指数の存在」により、$\chi\colon A^N(G/B)\to\mathbf Z$ は同型で $\operatorname{Im}c_G\cap A^N(G/B)=d\,\mathbf Z[\mathrm{pt}]$ なので、$Q^N\cong\mathbf Z/d$ である。素数 $\ell$ が $|Q|$ を割れば、Cauchy の定理により $Q$ は位数 $\ell$ の元をもち、$Q$ は $d$ で消えるので $\ell\mid d$ である。逆に $\ell\mid d$ なら $\ell$ は $|Q^N|=d$ を割り、$Q^N$ は $Q$ の直和因子なので $\ell\mid|Q|$ である。これで (3) を得る。
段 5(分類空間).(2) により $\mathrm{cl}\circ c_G$ は位相的な特性準同型で、段 4 によりその余核は有限なので、引用する事実 5 により、余核の位数を割る素数は $BG$ の捩れ素数にちょうど一致する。(3) と合わせて (4) を得る。

段 1〜3 は、代数の特性準同型が位相の特性準同型の「代数的な実現」であることを言う。原論文はこれを、Chern 類の両立と、$B$ の分類空間のコホモロジーが $S(\hat B)$ と同一視されることが「よく知られている」ことの二点で済ませる(印字 5-28)。段 4 は原論文が「定義 3 と定理 2 の系 2」を参照して述べる部分で、本書は定理 2 の (ii) と最高次の部分から直接示した。段 5 の位相の事実だけは、原論文も本書も証明しない。

特性準同型の符号と位相の約束

代数の側の $c_G(\chi)$ は、基点の上のファイバーに $B$ が $\chi$ で作用する直線束の類とした(本書『0-5 記号と約束』の特性準同型の符号)。上の定義(位相的な特性準同型)の同一視 $S(\hat B)\cong H^*(BB)$ も同じ向きの普遍な直線束で定めたので、段 2・段 3 で符号の食い違いは生じない。位相の文献で逆の約束をとっても、同一視が $S(-1)$ だけ変わり、特性準同型の像と余核は変わらない(本書『4-1 特性準同型と特性部分環』の注意「符号の約束」と同じ理由)。したがって主結果の (3)(4) はどちらの約束でも同じである。

捩れ素数の一致

代数的な捩れ素数と位相的な捩れ素数の一致

$k=\mathbf C$、$G$ を連結アフィン群とする。素数 $\ell$ について、$\ell$ が $G$ の捩れ指数を割ることと、$H^*(BG,\mathbf Z)$ が位数 $\ell$ の元をもつことは同値である。すなわち、代数群 $G$ の捩れ素数は、位相群 $G$ の分類空間の捩れ素数に一致する。

上の定理(特性準同型の位相的な解釈)の (3) と (4) を合わせたものである。

これが原論文の Théorème 4 である。左辺は Chow 環の中の特性部分環という代数的なデータで決まり、任意の標数で意味をもつ。右辺は位相群の分類空間のホモトピー型だけで決まる。原論文の証明はこの二つを、旗多様体の上のサイクル類写像の同型と Chern 類の両立でつなぐ。$G$ の捩れがないこと(捩れ指数 $1$)は、本書『4-5 捩れ指数の特徴づけ』の主結果「捩れのない群と捩れ指数 1」により捩れ素数が無いことと同じなので、定理の特別な場合として、$G$ が捩れなしであることと $H^*(BG,\mathbf Z)$ が捩れをもたないことは同値である。

Bott の結果と半単純群

分類空間が捩れのない半単純群

$k=\mathbf C$、$G$ を半単純群(連結)とする。
(1) $H^*(BG,\mathbf Z)$ が捩れをもたないことと、$G$ が $\mathrm{SL}(n_1)\times\dots\times\mathrm{SL}(n_a)\times\mathrm{Sp}(m_1)\times\dots\times\mathrm{Sp}(m_b)$($n_i\ge2$、$m_j\ge1$、$a,b\ge0$)の形の直積に同型であることは同値である。
(2) $G$ が捩れなし(特性部分環が $A(G/B)$ の全体、すなわち捩れ指数が $1$)であることも、(1) の形の直積に同型であることと同値である。

段 1(コンパクト群への移行).引用する事実 6 により、$G(\mathbf C)$ の極大コンパクト部分群 $K$ は連結なコンパクト半単純 Lie 群で、$BK\simeq BG$ である。ゆえに $H^*(BG,\mathbf Z)\cong H^*(BK,\mathbf Z)$ である。
段 2(Bott の結果).引用する事実 7 により、$H^*(BK,\mathbf Z)$ が捩れをもたないのは、$K$ が $\mathrm{SU}(n_i)$ と $\mathrm{USp}(m_j)$ の直積に同型なときに限り、そのときに限って捩れをもたない。引用する事実 6 の複素化の対応により、$K$ がこの直積に同型であることは、$G$ が $\mathrm{SL}(n_i)$ と $\mathrm{Sp}(m_j)$ の直積に同型であることと同値である。段 1 と合わせて (1) を得る。
段 3(代数の側).本書『4-5 捩れ指数の特徴づけ』の主結果「捩れのない群と捩れ指数 1」により、$G$ が捩れなしであることは捩れ指数が $1$ であること、すなわち $G$ に捩れ素数が無いことと同値である。上の定理(代数的な捩れ素数と位相的な捩れ素数の一致)により、これは $BG$ に捩れ素数が無いこと、すなわち $H^*(BG,\mathbf Z)$ が捩れをもたないことと同値である。(1) と合わせて (2) を得る。

原論文(印字 5-29)は、半単純な $G$ はコンパクト半単純群 $K$ に付随する代数群と同型で、分類空間は $K$ のものとホモトピー同値だと述べ、Bott の結果を引いて「これで §5 の Lemme 9 の証明が終わり、したがって Théorème 3 も」と結ぶ。本書では、(2) の「捩れなし ⇒ 直積」の向きが、本書『6-2 Schubert 類と Chevalley–Bott の補題』の主結果「捩れのない半単純群は特殊線形群と斜交群の積」の証明の段 3 になる。その主結果は Chevalley の Schubert 類の結果による還元(同じ図式の $\mathbf C$ 上の単連結群に移すこと)を経てここに来るので、任意の標数の主張になる。そこから本書『6-3 特別群の特徴づけ』の定理 3 の後半に伝わり、どちらも本頁と同じく[条件付き]である。

厳密さについての原論文の注意

原論文は §6 を、証明が完全であるためには、この節の冒頭で認めたサイクル類写像の事実が証明され、Bott の結果が公刊されることが要る、という注意で閉じる(印字 5-29)。そして、これが Lemme 9 を直接の道で証明する気を「ある人々に起こさせるはずだ」と添える。本書の札は、この注意とそのまま一致する。本頁の三つの主結果、本書『5-1 サイクル類写像と胞体分割』の三つの主結果、それを使う本書『6-2 Schubert 類と Chevalley–Bott の補題』『6-3 特別群の特徴づけ』の主結果はどれも[条件付き]で、札に原論文が認める事実と Bott の結果を名指す。後代にサイクル類写像は Borel と Haefliger BH61 により、Bott の結果は Borel Bor61tor により公刊されたとされる(本書は確かめていない)。

例と反例

定理 4 の両辺を、小さい群で別々に確かめる。一つ目は捩れのない場合、二つ目は捩れ素数 $2$ が両辺に現れる場合である。

特殊線形群と斜交群の分類空間

代数の側:$\mathrm{SL}(n)$ と $\mathrm{Sp}(n)$ はどの標数でも捩れなしで、捩れ指数は $1$ である(本書『6-1 特殊線形群と斜交群の旗多様体』の主結果「特殊線形群の旗多様体の Chow 環」「斜交群の旗多様体の Chow 環」)。$\mathrm{SL}(2)$ では、本書『4-1 特性準同型と特性部分環』の主結果「特性部分環は群に依存する」で特性部分環が $A(\mathbf P^1)$ の全体であることを直接計算した。位相の側:$\mathrm{SL}(n,\mathbf C)$ の極大コンパクト部分群は $\mathrm{SU}(n)$、$\mathrm{Sp}(n)(\mathbf C)$ のそれは $\mathrm{USp}(n)$ で、$H^*(B\mathrm{SU}(n),\mathbf Z)=\mathbf Z[c_2,\dots,c_n]$、$H^*(B\mathrm{USp}(n),\mathbf Z)$ は次数 $4,8,\dots,4n$ の $n$ 個の生成元の多項式環で、どちらも捩れをもたないことが古典的に知られている(Borel Bor53。本書は確かめていない)。$n=2$ の $\mathrm{SL}(2)$ では直接確かめられる。$\mathrm{SU}(2)=\mathrm{USp}(1)$ は単位四元数の群で、$B\mathrm{SU}(2)$ は無限次元の四元数射影空間 $\mathbf{HP}^\infty$ にホモトピー同値である。$\mathbf{HP}^\infty$ は次元 $4k$($k\ge0$)の胞体を一つずつもつ CW 複体なので、胞体鎖複体の微分はすべて $0$ で、整係数コホモロジーは次数 $4k$ で $\mathbf Z$、他で $0$ となり、捩れをもたない。どちらの側でも捩れ素数は無く、上の定理(代数的な捩れ素数と位相的な捩れ素数の一致)と合う。上の定理(分類空間が捩れのない半単純群)の (1) の「直積なら捩れなし」の向きの例でもある。

特殊直交群の捩れ素数 2

代数の側:$\mathrm{PGL}(2)$ の特性部分環は $\mathbf Z\cdot1\oplus2\mathbf Zh\subset A(\mathbf P^1)$ で(本書『4-1 特性準同型と特性部分環』の主結果「特性部分環は群に依存する」の (3))、捩れ指数は $d=2$、捩れ素数は $2$ だけである(本書『4-3 捩れのない群と特性部分環の指数』の例「射影線形群の捩れ指数は 2」)。上の定理(特性準同型の位相的な解釈)の (3) のとおり、$\mathrm{cl}\circ c_G$ の余核は $H^2(\mathbf P^1)=\mathbf Z$ を $2\mathbf Z$ で割った $\mathbf Z/2$ で、位数 $2$ である。位相の側:$\mathrm{PGL}(2,\mathbf C)=\mathrm{SL}(2,\mathbf C)/\{\pm1\}$ の極大コンパクト部分群は $\mathrm{SU}(2)$ の像 $\mathrm{SU}(2)/\{\pm1\}$ で、これはトレース $0$ の歪エルミート行列の空間(実 $3$ 次元)への随伴作用により回転群 $\mathrm{SO}(3)$ に同型である。$\mathrm{SU}(2)$ は $3$ 次元球面で単連結なので、その二重の商 $\mathrm{SO}(3)$ の基本群は $\mathbf Z/2$ である。分類空間の普遍主束の全空間は可縮なので、ホモトピー完全列により $\pi_1(B\mathrm{SO}(3))=\pi_0(\mathrm{SO}(3))=0$、$\pi_2(B\mathrm{SO}(3))=\pi_1(\mathrm{SO}(3))=\mathbf Z/2$ である。単連結な空間では Hurewicz の定理により $H_2(B\mathrm{SO}(3),\mathbf Z)\cong\pi_2=\mathbf Z/2$ で、普遍係数定理(第 5 巻『Chern 類と離散群の線形表現』の頁『0-2 群のコホモロジーと分類空間』の定理「普遍係数定理」)により $H^3(B\mathrm{SO}(3),\mathbf Z)$ は $\operatorname{Ext}^1(\mathbf Z/2,\mathbf Z)=\mathbf Z/2$ を部分群として含む。$B\mathrm{PGL}(2,\mathbf C)\simeq B\mathrm{SO}(3)$(引用する事実 4 の (2))なので、$2$ は $B\mathrm{PGL}(2,\mathbf C)$ の捩れ素数である。両辺に素数 $2$ が現れ、上の定理(代数的な捩れ素数と位相的な捩れ素数の一致)と合う。ここで確かめたのは $2$ が両辺に現れることで、位相の側に奇素数の捩れが無いことは、この直接の計算では確かめていない(定理はそれも主張する)。上の定理(分類空間が捩れのない半単純群)の (1) の「捩れなしなら直積」の向きとも合う。$\mathrm{PGL}(2)$ は次元 $3$ の半単純群で、その形の直積として次元 $3$ になるのは $\mathrm{SL}(2)$ だけだが、中心が自明なので $\mathrm{SL}(2)$ に同型でない。したがって直積の形でなく、実際に分類空間は捩れをもつ。

二つの例はどちらも定理を確かめるもので、定理の証明には使っていない。

その後の発展

以下は後代の結果の紹介である(時点を明記する。本書は文献を開いて確かめていない)。

  • コンパクト Lie 群の捩れ(Borel Bor61tor、1961 年):コンパクト連結 Lie 群の可換部分群と捩れを調べた論文で、原論文が未公刊とした Bott の結果(分類空間が捩れのない群の決定)はここで公刊されたとされる。
  • 分類空間の Chow 環(Totaro Tot99、1999 年、Tot14、2014 年):代数群 $G$ の分類空間の Chow 環 $A^*(BG)$ が定義され、サイクル類写像 $A^*(BG)\to H^{2*}(BG,\mathbf Z)$ が一般には単射でも全射でもないことが調べられた。原論文の特性部分環と捩れ指数は、この枠組みで $A^*(BT)\to A^*(G/B)$ の像として読み直されるとされる。
  • 位相的 Chern 類と分類空間の Chow 環:第 5 巻『Chern 類と離散群の線形表現』の頁『1-2 序論の構想と群のトポス』の注意「位相の定理とスキームの定理」は、Grothendieck が 1968 年の論文で、分類空間の整係数コホモロジーが(捩れを除き、群が連結なら)Chow 環と解釈できることを、本頁の原論文で指摘済みとして引く所を記録している。

原論文との対応表

本頁が対応する原論文は Torsion homologique et sections rationnelles Gro58c の §6 の後半である。

本頁原論文印字頁
定義(位相的な特性準同型)、引用する事実 4Lemme 10 の後の段($B$ の分類空間のコホモロジーは $S(\hat B)$ と同一視される、という周知の事実)5-28
補題(直線束の第一類とサイクル類写像)、注意(Chern 類の公理的な定義の読み)同(Chern 類の公理的な定義から、サイクル類写像が Chern 類の形成と両立する)5-28
定理(特性準同型の位相的な解釈)同(合成は位相的なファイバー束 $G$ の特性準同型で、捩れ素数はその余核の位数を割る素数、それは分類空間の捩れの素数)5-28
注意(特性準同型の符号と位相の約束)(原論文には無い。符号の約束の確認)—
定義(分類空間の捩れ素数)、定理(代数的な捩れ素数と位相的な捩れ素数の一致)Théorème 45-28
定理(分類空間が捩れのない半単純群)半単純の場合の段落(コンパクト群との対応と Bott の結果、Lemme 9 と Théorème 3 の証明の完了)5-29
注意(厳密さについての原論文の注意)§6 末の Remarque5-29
例(特殊線形群と斜交群の分類空間)、例(特殊直交群の捩れ素数 2)(原論文には無い。定理を確かめる例)—

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